NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

コープランド

コープランド「ヴァイオリン・ソナタ」 vnシャハム、pプレヴィン 「アパラチアの春」スラットキン指揮セントルイス響

ガーシュウィン:3つのプレリュード
シャハム(ギル)
ユニバーサル ミュージック クラシック
2003-01-22

アーロン・コープランドは、1900年生まれのユダヤ系ロシア移民の息子として生まれ、かなり分かりやすい作風を特徴としている20世紀アメリカを代表する作曲家のひとりだ。アメリカの古謡を取り入れた、親しみやすく明快な曲調で「アメリカ音楽」を作り上げた作曲家として知られている。

コープランドは前衛的な現代音楽と一般大衆との間に大きな隔たりがあることを意識し、アメリカ民謡を取り入れた分かりやすい作風の作品を書くようになった。そのためコープランドの曲に現代人の不安を煽るような無調的な響きは全く聴かれず、どこか懐かしく抒情的なメロディが聴く人にやさしく語りかけてくるような音楽だ。これが20世紀に書かれた音楽とは思えない程。アイヴスなんか想像して聴くとあまりの違いにビックリしてしまう。

「ヴァイオリン・ソナタ」は1943年の作品。急ー緩一急の3楽章になっている。ゆっくりした第2楽章はとても穏やかで印象的な音楽だ。ロマン的に濃厚な情緒を振りまくのではなく、スッキリした中にも独創的で静かな音楽が聴かれる。が、あまり深くはない。こういう言葉は陳腐で嫌なんだけど他に適当な言葉が浮かばないので、使ってしまうが、精神性が感じられない気がする。耳に優しく聴き易く、そして個性的な楽想が散りばめられているが、あまり深みを感じない音楽、それが今のところのコープランドに対する印象だ。
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ギル・シャハムのヴァイオリンは滑らかな音色がとても気持ちいい。こんなに美しいヴァイオリンは聴いたことがないってくらいに美しい。プレヴィンのサポートも同じような傾向で息はピッタリだ。
「アパラチアの春」も似たような感想を持った。非常に甘く優しい楽想が続くが、熱狂的に盛り上がるといったところはあまりない。聴き易い曲なので割と有名だし、バーンスタインやスラットキンなどアメリカ関係の指揮者はよく取り上げるが、それ以外の地域ではあまりメジャーではないと言った感じ 


コープランド「ビリー・ザ・キッド」「エル・サロン・メヒコ」「ロデオ」リットン指揮コロラド響

Copland: Billy the Kid/Rodeo
Colorado Symphony
Bis
2015-11-27


1959年、アメリカ生まれの指揮者、アンドルー・リットンとコロラド交響楽団によるコープランドの管弦楽曲集。リットンは、1988年から1994年までイギリスのボーンマス交響楽団の首席指揮者を務め、1992年から2006年までアメリカのダラス交響楽団の音楽監督も務めた。2003年からノルウェー、ベルゲン・フィルの音楽監督兼首席指揮者の地位にある。

アーロン・コープランドは、1900年、ニューヨーク生まれの作曲家。20世紀アメリカを代表する作曲家の一人で、とても親しみやすい曲調を特徴としている。1990年まで生きていたが、代表作として聴かれるのは、このCDに収められた1930年代から40年代に作曲されたバレエ音楽ということになるだろう。

ウィキペディアで楽曲一覧を見ても、作品の殆どが1960年代までに作曲されていて、1970年代前半の作品がちらほら。それ以後は作曲をやめていたということだろうか?

① 戸外の序曲は、1938年に音楽美術専門学校の演奏会のために作曲された作品。古き良きアメリカの西部劇映画を見ているような曲だ。とても分かりやすい音楽で、少々底が浅い気がしないでもないが、それがこの曲のよさなのだろう。コロラド響が大胆で華々しい曲を見事に演奏している。

② バレエ音楽『ビリー・ザ・キッド』は、21歳で21人を殺したという伝説のアウトロー、ビリー・ザ・キッドの物語をバレエ化したもの。私はサム・ペキンパーが監督した映画を見たことがあるが、結構血なまぐさい映画だった。ボブ・ディランが音楽を書いていたので、それに惹かれて見たのだ。

コープランドの音楽にそうした血なまぐさい荒くれ物のイメージはなく、「涯しない大平原」から堂々とした序奏で、これから一大叙事詩が始まりそうな予感に満ちている。「開拓者の町の踊り」では管楽器の可愛いフレーズによって陽気な音楽が流れる。カッポカッポと馬の蹄を表す所なんか、あまりにイメージどおりで拍子抜けしてしまった。

「拳銃の戦い」では大太鼓がドンドン鳴り、すぐに銃撃戦だと分かる。凄い音響で大太鼓が鳴っていて、拳銃というより大砲のよう。小太鼓はマシンガンの一斉射撃を思わせた。

「ビリー逮捕後の祝賀会」「ビリーの死」は美しいメロディはあるものの、少々退屈。最後の「涯しない大平原」になって迫力一杯に盛り上がって終わった。

③ 「エル・サロン・メヒコ」は1936年に作曲され、これが出世作となった。題名はメキシコ・シティにあるダンスホールの名前で、コープランドが1932年にここを訪れたときの印象を音楽にしたもの。メキシコの民族音楽が使ってあり、西部劇臭プンプンして雰囲気はたっぷり味わえる。前半の甘いフレーズを聴くとクレメンタインのような美女が酒場にいそうな感じがする。後半の盛り上がりも華やかで、どこかで聴いたことがあるようなメロディも出てきて楽しい。 

こういった音楽では派手にぶちかましてノリノリの演奏が求められるような気がするが、リットンは抑制が効いていて、一昔前のような派手な演奏にはなっていない。上品にまとめながら、決める所はしっかり決めるって感じ。もちろん録音も優秀で、大太鼓の音なんかド迫力で捉えられている。

④ バレエ音楽『ロデオ』は1942年の作品。ここでは通常の組曲4曲に「ランチ・ハウス・パーティー」が加えられ、5曲が演奏されている。

「カウボーイの休日(Buckaroo Holiday)」は、オープニングにふさわしく華やかな曲で、のんびりした休日って感じじゃない。カウボーイは休日でもアグレッシブに遊ぶのか。「畜舎の夜想曲(Corral Nocturne)」と「土曜の夜のワルツ(Saturday Night Waltz)」はいかにもゆったりとして甘いメロディの映画音楽って感じ。

「ランチ(牧場)・ハウス・パーティー」はチェンバロのような音のピアノが陽気で弾んだフレーズを奏でる。クラリネットのクネクネしたフレーズとキャラキャラした音がいかにもアメリカっぽい。最後の「ホーダウン」は田舎の活発なスクウェアダンスのこと。いかにもユーモラスなダンス曲になっている。

この組曲って、すべて陽気な曲ばかりで、手に汗握るような緊張感のある曲がなかった。ロデオというから、もっとはらはらさせられるようなスリリングな所を期待したが、それはちょっと当てが外れたようだ。コープランドの音楽って、深刻な所が全然なく、全部陽気で甘い雰囲気に満ちているが、そうした所が余り人気が出ない所じゃないだろうか。

アーロン・コープランド
① 戸外の序曲 (1938) [8:17]
② バレエ音楽『ビリー・ザ・キッド』 (1938) [32:12]
③ エル・サロン・メヒコ (1933-36) [11:19]
④ バレエ音楽『ロデオ』 (1942) [24:10]
演奏:コロラド交響楽団
アンドルー・リットン(指揮)
録音:2014年11月コロラド、ベッチャー・コンサートホール
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