トリオ・メディアヴァルは1997年にノルウェーのオスロで結成された、女性ヴォーカル3人のグループ。中世のポリフォニックな作品をレパートリーにしていたが、最近では現代作曲家の作品にレパートリーを拡大している。
2001年に「天使の言葉」でCDデビューを果たし、ギャヴィン・ブライアーズGavin Bryarsやイヴァン・ムーディIvan Moodyの作品も取り上げている。今回は、デヴイッド・ラングDavid Lang、ルチアーノ、ベリオLuciano Berio、ベッティ・オリヴェーロBetty Oliveroの作品を取り上げた。
こういったグループは日本では全く見当たらないが、アメリカではクラシック・ジャンルの中ではビルボード・トップ10にランクインしたというから、結構人気があるグループなのだろう。
デイヴィラド・ラングは1957年ロス・アンジェルス生まれの作曲家。現在はニューヨークを拠点に活動している。「マッチ売りの少女のための音楽」で2008年のピューリツアー賞を受けている。一般的にミニマル・ミュージックの作曲家と言われているんじゃないかと思うが、ここに収められている「Just」も短い言葉を延々と繰り返していく手法はミニマル・ミュージックといってもいいと思った。
繰り返される短い言葉は 「Just your kiss.Just your love.Just your eyes.」というようにJust yourの次の言葉が次々に変わっていく。言葉に脈絡があるような、ないような、私の英語聞き取り能力では全ての言葉を理解するのは困難だったので、判断がつかなかった。
しかし、そんな私でも、こういった言葉の連なりは、それなりに詩的でかっこよかった。音楽は調性があってポピュラー・音楽のような美しいメロディが使ってある。女性3人の声にパーカッション、ヴィオラ、チェロが入るが、パーカッションは非常に控えめで一定のパターンをひたすら繰り返す。ヴィオラとチェロもノン・ヴィブラートで音を延々と伸ばして神秘的な世界を形作っていた。
ルチアーノ・ベリオは1925年イタリア生まれの作曲家。2003年に78歳で没した。いきなり「ボワワワワアアアアンンン~~~」と銅鑼の音が鳴り響き、未開人の叫び声のような歌?が聴こえてくる。祈りの叫びにも聴こえる。
とても1曲目と同じ人が歌っているようには聴こえないが、同じなんだろう。1曲目は透明で完璧なハーモニーで歌っていたが、個々ではしわがれた迫力のある声を聴かせる。途中でフォーク・ソングのようなフレーズが出てきて、そこから調性のあるフレーズが多くなった。
とても1曲目と同じ人が歌っているようには聴こえないが、同じなんだろう。1曲目は透明で完璧なハーモニーで歌っていたが、個々ではしわがれた迫力のある声を聴かせる。途中でフォーク・ソングのようなフレーズが出てきて、そこから調性のあるフレーズが多くなった。
もちろん奇妙な不協和音もたくさん入つていて、原色の力強さはあるが、むき出しの野蛮さが感じられ、全体的にガラガラと騒々しい音楽だった。
ベッティ・オリヴェーロは1954年、イスラエル、テル・アビブ生まれの女性作曲家。曲は調性のある悲しい曲だった。エキゾチックで民族的な香りのする歌がゆったりと歌われる。時々不協和音が入るところがちょっと現代的と言えるくらい。どこか中近東あたりの不思議な祈りを聴いているようだ。言葉も何語で歌っているのか分からない所が却って神秘的。ヘブライ語?最後に静かに鳴らされる大太鼓が密やかでよかった。
①デイヴィッド・ラング David Lang 「ジャスト Just (after sOng of Songs)」
②ルチアーノ・ベリオ Lutiano Berio 「ナチュラル Naturale」
③ベッティ・オリヴェーロ Betty Olivero 「En La Mai Hai una Torre」
演奏:トリオ・メルディヴァル Trio Mediaval
Garth Knox,altvlool
Sylvain Lemetre,percussie,
Agnes Vesterman,cello
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