NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

ラング

ラング、ベリオ、オリヴェーロ「Song of Songs」トリオ・メディアヴアル

The Song of Songs
Trio Mediaeval
Louth Contemporary
2015-10-02


トリオ・メディアヴァルは1997年にノルウェーのオスロで結成された、女性ヴォーカル3人のグループ。中世のポリフォニックな作品をレパートリーにしていたが、最近では現代作曲家の作品にレパートリーを拡大している。
 
2001年に「天使の言葉」でCDデビューを果たし、ギャヴィン・ブライアーズGavin Bryarsやイヴァン・ムーディIvan Moodyの作品も取り上げている。今回は、デヴイッド・ラングDavid Lang、ルチアーノ、ベリオLuciano Berio、ベッティ・オリヴェーロBetty Oliveroの作品を取り上げた。

こういったグループは日本では全く見当たらないが、アメリカではクラシック・ジャンルの中ではビルボード・トップ10にランクインしたというから、結構人気があるグループなのだろう。
 
デイヴィラド・ラングは1957年ロス・アンジェルス生まれの作曲家。現在はニューヨークを拠点に活動している。「マッチ売りの少女のための音楽」で2008年のピューリツアー賞を受けている。一般的にミニマル・ミュージックの作曲家と言われているんじゃないかと思うが、ここに収められている「Just」も短い言葉を延々と繰り返していく手法はミニマル・ミュージックといってもいいと思った。
 
繰り返される短い言葉は 「Just your kiss.Just your love.Just your eyes.」というようにJust yourの次の言葉が次々に変わっていく。言葉に脈絡があるような、ないような、私の英語聞き取り能力では全ての言葉を理解するのは困難だったので、判断がつかなかった。
 
しかし、そんな私でも、こういった言葉の連なりは、それなりに詩的でかっこよかった。音楽は調性があってポピュラー・音楽のような美しいメロディが使ってある。女性3人の声にパーカッション、ヴィオラ、チェロが入るが、パーカッションは非常に控えめで一定のパターンをひたすら繰り返す。ヴィオラとチェロもノン・ヴィブラートで音を延々と伸ばして神秘的な世界を形作っていた。
 
ルチアーノ・ベリオは1925年イタリア生まれの作曲家。2003年に78歳で没した。いきなり「ボワワワワアアアアンンン~~~」と銅鑼の音が鳴り響き、未開人の叫び声のような歌?が聴こえてくる。祈りの叫びにも聴こえる。

とても1曲目と同じ人が歌っているようには聴こえないが、同じなんだろう。1曲目は透明で完璧なハーモニーで歌っていたが、個々ではしわがれた迫力のある声を聴かせる。途中でフォーク・ソングのようなフレーズが出てきて、そこから調性のあるフレーズが多くなった。

もちろん奇妙な不協和音もたくさん入つていて、原色の力強さはあるが、むき出しの野蛮さが感じられ、全体的にガラガラと騒々しい音楽だった。
 
ベッティ・オリヴェーロは1954年、イスラエル、テル・アビブ生まれの女性作曲家。曲は調性のある悲しい曲だった。エキゾチックで民族的な香りのする歌がゆったりと歌われる。時々不協和音が入るところがちょっと現代的と言えるくらい。どこか中近東あたりの不思議な祈りを聴いているようだ。言葉も何語で歌っているのか分からない所が却って神秘的。ヘブライ語?最後に静かに鳴らされる大太鼓が密やかでよかった。  
 
①デイヴィッド・ラング David Lang 「ジャスト Just (after sOng of Songs)」
②ルチアーノ・ベリオ Lutiano Berio 「ナチュラル Naturale」
③ベッティ・オリヴェーロ Betty Olivero 「En La Mai Hai una Torre」
演奏:トリオ・メルディヴァル Trio Mediaval 
Garth Knox,altvlool
Sylvain Lemetre,percussie,                    
Agnes Vesterman,cello
Plaatpaal このCDが聴けるサイト
Trio_Mediaeval

デヴィッド・ラング「マッチ売りの少女の受難曲」

Little Match Girl Passion (Hybr)Little Match Girl Passion (Hybr)

NHKのクラシック倶楽部で「マッチ売りの少女の受難曲」というなんとも悲しそうな題名の演奏会があったので、題名に魅かれて聴いてみた。デヴィッド・ラングってどこかで聞いたことがあるような名前だな~と思っていたら、家族の目の前で突然消失してしまった事件の名前だった。これと作曲者は全く関係ない。ラングはミニマル・ミュージックを得意とするカナダの現代作曲家で、ビューリッツアー賞も受賞している。

演奏は4人の独唱者が同時に打楽器を演奏する。とても静誼な雰囲気の中で控えめな打楽器に乗って、マッチ売りの少女の物語が歌われるのだが、歌もまた静かなもので決して叫んだりしない。かなり前衛的な音楽で、一つ一つの単語(英語)がお経のように引き伸ばされて不思議な世界を作っていた。例えば文章の中に「When」という単語があれば、4人が「When、When、When、When」「When~When~When~When~」「WheWheWheWheWheWheWheWhe~~~~~n」「W~~h~~e~~n、W~~h~~e~~n」と口々に言葉を発し、それが繋がっ て物語を語っているのだ。

さらに映像的な仕掛けとして、後ろに「When」「I」「can」「catch」等の切れ切れの単語が映し出され、細分化された言葉がことさら強調されて、独特の雰囲気を醸し出している。物語はよく知られているマッチ売りの少女のストーリーを忠実になぞっていて、特に新たな解釈を持ち込んだりはしていない。私は何か変わった視点でこの良く知られた物語を捉え直しているのではないかと期待していたのだが、この点ではちょっとはぐらかされてしまった。というか、私が変な期待をしていたんだろうけど。

ストーリーは分かっているし、音楽は良く言えば静誼だけど、悪く言えば退屈。盛り上がるところなどまったくない。いつまで続くんだろうと、途中で眠くなってきた。こんなマイナーな曲でもちゃんとCDが出ている。しかも指揮はヒリヤード・アンサンプルのポール・ヒリヤー。確かにヒリヤード・アンサンプルの指向と通じるものがあるような気がする。

「ドイツ・バロックの受難曲から」
・バッハ「マタイ受難曲」から“おお、こうべは血潮にまみれ"
・カイザー「マルコ受難曲」から”いつの日かわたしが死ぬときに"
・カイザー「マルコ受難曲」から“見なさい人の子らよ"
・テレマン「ヨハネ受難曲」から“小羊が罪を運んでゆきます"
・マッテゾン「ブロッケス受難曲」から“ああ神よ主よ"
(ソプラノ)鈴木美紀子(アルト)高橋ちはる(テノール)石川洋人(パス)藤井大輔(チェンパロ)芝崎久美子(バイオリン)天野寿彦宮崎容子(ビオラ)深沢美奈
(チェロ)西沢央子(打楽器)藤川健司
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