Mahler:Symph 2
Studer:Abbado
Pgd/Deutsche Grammophon
1994-06-14

アバド2回目の「復活」の録音。アバドはこの曲を3回録音しており、1回目は1976年にシカゴ響と、3回目は2003年にルツェルン祝祭管と録音している。よほどこの曲に思い入れがあるのだろう。

第1楽章
ムジークフェラインザールでのライブ録音だからか、けっこう残響が多く取り入れられており、その分雰囲気の豊かさが感じられる。バーンスタインのマーラーのようなヒリヒリとした緊張感はなく、穏やかな響きの中に迫ってくるものがある。

迫力は言うに及ばず、静かな所でのニュアンスの豊かさ、決して音楽を弛緩させない力量は見事と言うほかない。これはオーケストラの技術の進歩も大いに貢献しているだろうし、近年のオーケストラはどこも上手くなって指揮者の要求に難なく応えられるようになっていると思う。

第2楽章
曲の造型はアバドらしく、真面目にキッチリ守られている。バーンスタインなら、こってり甘く歌って見せるような所も、スッキリ爽やかにとどめられている。ウィーン・フィルの弦が紡ぎだす美しい音色が、アバドの清楚な歌い方と相まって可憐な世界を表現していた。

第3楽章
ここもあまり奇怪なスケルツォにはなっていない。あくまでリリックに、フレーズは懐かしく心に染み、美的感覚に溢れた世界に遊ぶようだって。

第4楽章
ヴァルトラウト・マイヤーが歌っている。 ドイツ語特有の巻き舌をはっきり使っているのには驚いたが、声質に透明感があって、発音はよく聞き取れるので気持ちいい。

第5楽章
冒頭の大爆発が凄い迫力。しかし荒れ狂っているのではなく、堂々として立派な爆発だ。静かな所は静謐に、爆発は本当に音が炸裂していて、ダイナミックレンジが非常に大きい。それでいて全体のフォルムは端正で格調が高いのだ。

ソプラノのステューダーがこれまた透明感の高い清楚な歌を聴かせる。合唱の精度の高さも驚異的で、完璧に揃っていて、表情豊かな歌い方をしている。どこまでも高い空に上り詰めていくような表現は、とても清らかで感動的だった。

グスタフ・マーラー「交響曲第2番“復活”」
メゾ・ソプラノ:ヴァルトラウト・マイヤー
ソプラノ:シェリル・ステューダー
指揮:クラウディオ・アバド
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1992年11月ウィーン、ムジークフィラインザール(ライブ)