フランスのジャズ・ピアニスト、フランシス・クチュリエと、 ドイツ、カッセル生まれのチェロ奏者、アニア・レヒナーが作ったアルバム。クチュリエの作品と共に、グルジエフ、コミタス、モンポウといつた作曲家が採り上げられている。
グルジエフは、1866年、アルメニア生まれの著述家・舞踏作家・作曲家。色んな肩書きがあることからも分かるように、作曲以外にも、東洋を遍歴したり、心身統合セラピーを始めたりと、色んなことをしてあちこちに影響を及ぼした人だ。ただの怪しい人物と言う人もいる。
①「サイイドの祈りと踊り第3番、賛美歌第7番」は、エレジー調の物悲しい曲。調性の枠内にある音楽で、とてもロマンチックだ。映画音楽に使ったら良さそうな曲で、歌詞をつけたらいいバラード曲になりそう。
③「詩篇第8番“夜の行進"」も、物悲しく暗い雰囲気。ここでは不協和音も聴こえて来る。⑨詩編第11番も不気味なチェロのフレーズで始まり、静かな中で抒情的なフレーズが彷徨っているような曲。途中でモンポウの曲に繋がって行き、土俗的なフレーズをチェロが弾いて雰囲気もガラッと変わった。
このCDでピアノを弾いているクチュリエも、さりげなく自分の曲を3曲滑り込ませている。
②「ヴォヤージュ」は、ゆつたりとしたテンポの物悲しい曲。チェロの渋い音色に情感がこもっているのがいい。時々引きつったような音を出して、現代性もアピールしているのが、ちょっとしたアクセントになっている。ピアノの伴奏がずっと四分音符の和音を弾いている所がポピュラー音楽っぽい。
②「ヴォヤージュ」は、ゆつたりとしたテンポの物悲しい曲。チェロの渋い音色に情感がこもっているのがいい。時々引きつったような音を出して、現代性もアピールしているのが、ちょっとしたアクセントになっている。ピアノの伴奏がずっと四分音符の和音を弾いている所がポピュラー音楽っぽい。
⑥「ソレイユ・ルージュ」は、複雑なリズムの曲で、このCDの中では異彩を放っている。ジャズのイディオムで書かれており、チェロもベースのようなフレーズを弾いているところもジャズそのもの。
⑦「蝶々」では、チェロが特殊奏法で奇妙な音を出しているが、そこに入ってくるピアノは割と聴き易いメロディ。チェロのフレーズは終始前衛的だけど、ピアノは透明で抒情的なジャズ・フレーズを歌っている。
ヴァダペット・コミタスは、アルメニアの作曲家。アルメニアの民謡を採取し、それを基にした作曲活動を行った。ここに納められている③「あなたはスズカケの木」は、ちょっと暗めの雰囲気のミディアム・バラード。ミニマル音楽っぱいピアノ伴奏に流麗なチェロのメロディが乗っている。
このCDで一番有名なのは、フェデリコ・モンポウだろう。熊本マリが入れ込んでいるって話なので、私でも名前くらいは知っていた。モンポウは、1893年、バルセロナ出身の作曲家。多くのピアノ曲を残している。
④「歌と踊り第6番」も物悲しく、①~③と同種の、調性に根ざした曲。後半でリズムが弾み始めると、独特の雰囲気に変わる。ここでは演奏者が前半のロマンチックな雰囲気を引きずってしまっていて、キチッとした変換ができていない。もっと鮮やかに弾き方を変えて、激しく鋭い演奏でコントラストを見せて欲しかった。
④「歌と踊り第6番」も物悲しく、①~③と同種の、調性に根ざした曲。後半でリズムが弾み始めると、独特の雰囲気に変わる。ここでは演奏者が前半のロマンチックな雰囲気を引きずってしまっていて、キチッとした変換ができていない。もっと鮮やかに弾き方を変えて、激しく鋭い演奏でコントラストを見せて欲しかった。
⑤「ひそやかな音楽第28番/内なる印象第1番」は、穏やかなバラードで、終始物悲しい雰囲気だった。
最後もモンポウで、⑩「内なる印象第8番」。ちょっと神秘的な雰囲気が漂っているけど、メロディは抒情的でロマンチック。あまりに耳当たりが良くて、つい他のことを考えてしまう。
最後もモンポウで、⑩「内なる印象第8番」。ちょっと神秘的な雰囲気が漂っているけど、メロディは抒情的でロマンチック。あまりに耳当たりが良くて、つい他のことを考えてしまう。
CD全体を通しても、あまり集中して聴く音楽ではなく、BGM的に流してい洒落た雰囲気や東洋的なエキゾチックな世界に浸れる音楽だった。
「モデラート・カンタービレ(Moderato cantabile)」
①ゲオルギイ・グルジエフ(George Ivanovich Gurdjieff、1866~1949)&トーマス・ド・ハルトマン
「サイイドの歌/踊り第3番/詩篇第7番」
②フランソワ・クチュリエ:ヴォヤージュ
③ヴァダペット・コミタス(Komitas):あなたはスズカケの木
④フェデリコ・モンポウ(Federico Mompou,1893~1987):歌と踊り第6番
⑤モンポウ:ひそやかな音楽第28番/内なる印象第1番
⑥クチュリエ:ソレイユ・ルージュ
⑦クチュリエ:蝶々
⑧グルジエフ:詩篇第8番/ナイト・プロセッション
⑨グルジエフ:詩篇第11番/モンポウ:遠い祭り第3番
⑩モンポウ:内なる印象第8番
ピアノ:フランソワ・クチュリエ(Francois Couturier)
チェロ:アニア・レヒナー(Anja Lechner)
チェロ:アニア・レヒナー(Anja Lechner)
収録:2013年11月ルガーノ、スイス・イタリア語放送オーディトリオ
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