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    【JAZZ】 2022.08.10 (Wed)

    E・ドルフィーとB・リトル、幻のジャズ名コンビ

    エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイブ・スポット
    (『vol.1』より、ドルフィー(左)とリトル)

     まだまだ続く真夏の熱帯夜のお供に、『エリック・ドルフィー at the ファイブ・スポット』vol.1、2。プラス、未収録集 『メモリアル・アルバム』 ――。1961年7月16日、ジャズの名店での熱い夜を収めた歴史的傑作3枚です。
     名義こそサックス奏者エリック・ドルフィーの単名になっていますが、実際はトランペットの新星ブッカー・リトルとのコンビ作と呼ぶのがふさわしい。


     ドルフィーは、O・コールマンらと並んで '60年代“フリー・ジャズ” 路線を開拓。『vol.2』 の1曲目 『アグレッション』(リトル作曲) なんぞエキサイティングなことこの上なし! 確かな音楽理論をよりどころとしながら、その呪縛から解き放たれていく予感と片鱗を聴かせてくれます。ベースの巨人C・ミンガスを思い出させる演奏。
     一方の天才児リトルも、従来の'50年代“ハード・バップ”ジャズの技法ながら、とめどなくあふれる音の火花が炸裂。アドリブ部、次々と繰り出されるしびれるフレーズは、作曲者としての才能も証明している。長生きしていればクリフォード・ブラウンの流れをくむ、リー・モーガンやフレディ・ハバードといった、ぼく好みの超絶技巧派として大成してくれただろうに・・・。遺された演奏だけでもじゅうぶん巨星たちに匹敵するのに、いかんせんその遺された数が少ない!


     ドルフィーとリトルの共演は少なくはないものの、1960年に前後して散発的にのみ。ジャズの新しい表現を探究し続けたドルフィーは、リトルらとの固定バンド結成には特にこだわらなかったとも言うし、何よりリトルその人が本作の直後、病気で急死してしまう。22歳の若さで!
     ドルフィーもまた、J・コルトレーンの右腕・音楽監督として'60年代ジャズ革命(『at ヴィレッジ・ヴァンガード』など)を支えながら、生き急ぐかのようにベルリンで客死 ('64年。彼もまだ36歳だって!)。 この死の直前の録音 『ラスト・デイト』 も好きな一枚です。
     ふたりの天才の早すぎた死。幻の名コンビの、一夜の花火のような輝きと刹那(せつな)さよ・・・。
     

    【続き・・・】


     『エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイブ・スポット』vol.1、2 (1961年)
     『エリック・ドルフィー・メモリアル・アルバム』 (・・・ドルフィー追悼企画として1965年発売。)

     エリック・ドルフィー (アルトサックス、バスクラリネット)
     ブッカー・リトル (トランペット)
     マル・ウォルドロン (ピアノ)
     リチャード・デイヴィス (ベース)
     エド・ブラックウェル (ドラムス)


     エド・ブラックウェルはオーネット・コールマンのバンドにいた人だそうだ (彼とデイヴィスは本作で知った)。“フリー・ジャズ”でならしたのだろう、挑発的なドラミングでWフロントメンに負けない強烈な存在感を発揮。
     そして陰に日向に、マル・ウォルドロンの頼もしい名脇役ぶり。本作が熱演名演となり得たのも、堅実に下支えしてくれた彼の力によるところが大きい。いつもの泣かせ節だけでない、ハジけた面も聴かせてくれます。

     
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