<七夕賞>

戸崎騎手が絶妙のタイミングで動いた。ゴールまで残り600メートル。後方集団の先頭を走っていたレッドラディエンスを、軽く促して先行グループとの差を詰めていく。後方には1番人気キングズパレス。終始マークされる形で仕掛けどころは難しかったが、早めに踏んでいく判断が功を奏した。

直線入り口で先頭に並んだダンディズムが、小差4着に残る競馬。ゆったり構えれば前に残られ、早すぎれば後ろの餌食になる。前半1000メートルは57秒3。ハイペースで縦長の展開。どこで動けばゴールまでもつか。瞬発力と持久力が求められる中、余すことなく脚を使い切るタイミングが、3コーナー過ぎだった。

これまでは先行して結果を残してきた馬。瞬発力勝負では分が悪い。先行勢との距離を測りながら徐々にペースを上げ、前を射程圏に捉えるとともに後続の切れを削っていく。キングズパレスの松岡騎手は「もう少しペースが遅ければ、瞬発力で追いつけた」と話したが、上がりは同じ34秒9。平行移動のまま2馬身差の勝利は、戸崎騎手の手腕によるところが大きい。