米国ではこの週末、牡馬と牝馬の2つの注目3歳G1競走が開催されます。

東部ニュージャージー州のモンマスパーク競馬場で現地20日(土曜)に行われるG1ハスケルステークス(ダート1800メートル)は、昨年の2歳牡馬チャンピオンでG1フロリダダービー優勝のフィアースネス(牡3、父シティオブライト)、昨年のケンタッキーダービー馬メイジの全弟で3冠最後のG1ベルモントSを制したドーノック(牡3、父グッドマジック)、それにベルモントSの2着馬で、その素質を高く買われているマインドフレーム(牡3、父コンスティチューション)の三つどもえを軸に展開されます。

フィーアスネスは1番人気で臨んで15着に敗れた5月のG1ケンタッキーダービー以来の実戦。ここは捲土(けんど)重来を期す大事な一戦となります。一方、ケンタッキーダービーは不利な最内枠から出て10着に敗れたのち、G1プリークネスSを回避して臨んだベルモントSできっちりと結果を出したドーノックは、ここを制して3歳馬の覇権を握りたいところ。ここがキャリア4戦目のマインドフレームには既成勢力を覆す躍進が期待されています。

ケンタッキーダービー馬のミスティックダン(牡3、父ゴールデンセンツ)や、プリークネスS優勝のシーズザグレイ(牡3、父アロゲート)、それにケンタッキーダービーでゴール前横一線の接戦に持ち込んだシエラレオーネ(牡3、父ガンランナー)や、秋に再渡米を計画するフォーエヴァーヤング(牡3、父リアルスティール)の姿こそないものの、秋につながる見逃せない一戦になりそうです。

同日にはニューヨーク郊外のサラトガ競馬場を舞台に東部牝馬三冠の第2戦のG1、CCAオークス(ダート1800メートル)が行われます。こちらの注目ポイントは、このカテゴリーで圧倒的な強さを誇るソーピードアンナ(牝3、父ファストアンナ)の走りでしょう。

一昨年のファシグティプトンセールで4万ドル(約600万円)という廉価で取引きされたソーピードアンナは昨年10月にデビュー勝ちし、2戦目も連勝。2歳最後となったG2ゴールデンロッドS(ダート1700メートル、チャーチルダウンズ)はイントリケートの大駆けの前に2着に終わりましたが、今年の初戦となったG3ファンタジーS(ダート1700メートル、オークローンパーク)では3番手から長く良い脚を使って完勝。5月のG1ケンタッキーオークス(ダート2000メートル、チャーチルダウンズ)では、ブライアン・ヘルナンデスJr.騎手の誘導で内ラチ沿いから先頭に立ち、直線で泥だらけになって追いすがる2歳牝馬女王のジャストエフワイアイに4馬身3/4差をつけて優勝し、ものの違いをアピールしました。

6月7日(金曜)のG1エイコーンS(ダート1800メートル、サラトガ)では最終コーナー先頭から直線で後続を突き放す圧巻のパフォーマンスで、2着に5馬身半差の快勝。一戦ごとにすごみを増しています。

ソーピードアンナがケンタッキーオークスとエイコーンステークスに続いてCCAオークスを制することが出来れば、今世紀では17年のエイベルタスマン、18年のモノモイガールに続く3頭目の快挙となります。

(ターフライター奥野庸介)

※レース成績等は2024年7月19日現在