NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

ジョリヴェ

「ジョリヴェへのオマージュ」Vn河野綾、P大瀧拓哉

Hommage à André Jolivet
Initiale
2019-11-22

河野 彩は桐朋学園大学音楽学部を卒業後、渡仏。パリ国立高等同音楽院第三課程現代音楽科及び室内楽科修士課程を修了。ブレスト国際コンコール室内楽部門、レオポルド. ベラン国際コンクール室内楽部門、ルイージ. ザヌッコリ国際コンクール室内楽部門にて1位受賞など輝かしい受賞歴を持ち、欧州各地の音楽祭に招待され、フランス内外で活動している。

河野は、ジョリヴェと親交があったヴァイオリン奏者ドゥヴィ・エルリーに師事し、エルリーの妻であり、ジョリヴェの娘であるクリスティーヌ・ジョリヴェとも親交があるそうで、ジョリヴェの音楽に造詣が深いそうだ。このCDではジョリヴェのヴァイオリン曲3曲にバルトーク、三善晃の作品が挟まれている。

ジョリヴェは抒情的な曲から前衛的な曲まで、いろんなタイプの曲を作っているが、この3曲はいずれも前衛的で、ハッキリ言って非常にとっつきにくかった。

楽しいとか悲しいとか、典型的な感情を想起しにくい音楽で、よくある不安を煽るような現代音楽とも違う。薄っすらと不安な気持ちが漂っているが、どこにも持って行きようのない気持ちが右往左往しているような音楽。どこに行けばいいのか分からない音楽は、聴いている方もどうすればいいのか分からない気がした。

この後にバルトークを聴くと、なんて分かり易くて、情熱的な感情を肯定してくれている音楽だろうと感激してしまう。

演奏家は、尊敬するジョリヴェの作品に対して、変な演奏は絶対できないという気迫が伝わってくる。

【収録情報】
● ジョリヴェ:無伴奏ヴァイオリンのための狂詩的組曲
● バルトーク:ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ第1番
● ジョリヴェ:呪文~無伴奏ヴァイオリン(G線)のための
● 三善 晃:無伴奏ヴァイオリンのための『鏡』
● ジョリヴェ:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ

 河野 彩(ヴァイオリン)
 大瀧拓哉 (ピアノ)

 録音時期:2018年9月14日


「フランスの風」レ・ヴァン・フランセ CD-1

フランスの風
レ・ヴァン・フランセ
EMIミュージックジャパン
2012-04-11


フランス人木管楽器奏者たちで結成されたレ・ヴァン・フランセのCD。以前からNHKのクラシック倶楽部でライブが放送されたり、アクロス福岡シンフォニーホールでライブがあったりして、何度かその演奏を聴いてきたが、今回はPlaatpaalでCDを聴いた。ライブは聴いていたけど肝心のリリースされたCDは今まで聴いたことがなかったのだ。CDは2枚組で、今回の記事はそのCD1。主にフランス人作曲家の作品が取り上げられている。
 
ジャック・イベールは1890年パリ生まれの作曲家で、交響組曲「寄港地」や「パリ」、「フルート協奏曲」が有名。「木管楽器のための3つの小品」は1960年に作曲されている。軽妙洒脱な作風を旨とし、前衛的なところは殆ど感じられない。第1楽章はちょこまかと動き回るカワイイ曲、第2楽章はちょっと憂欝で優しい曲、第3楽章は明るくユーモラスでしゃれた味わいを感じさせる曲だった。
 
「クープランの墓」は、ラヴェルが1914年から17年にかけて作曲した最後のピアノ独奏曲だが、ここではメイソン・ジョーンズが木管五重奏曲に編曲したものが演奏されている。ラヴェルはこの曲を自身で管弦楽版に編曲しているが、ジョーンズの編曲とは「プレリュード」「フーガ」「メヌエット」「リゴードン」の4曲編成となっていて、管弦楽曲版では「フーガ」ではなく「フォルレーヌ」が入っている。
 
ピアノ曲が木管五重奏曲になると、メロディが浮き立って曲が持っている抒情性が増している。その一方で木管楽器特有のとぼけた味わいが感じられた。「フーガ」が優しい曲で、木管楽器の音色が微妙に変化していく様が味わい深くて、なんだか癒やされる気分。メヌエットは有名なメロディで、オーボエが吹くと哀愁感たっぷりに聴こえた。「リゴードン」は速めのテンポで力ワイさを演出。
 
アンドレ・ジョリヴェは1905年生まれのフランスの作曲家。生まれが20世紀になると、かなり曲想が現代的になってくる。響きが奇妙で前衛的な印象を受けるが、断片的にはメロディがあったりして結構楽しめる。第2楽章は2人(オーボエとバソン)が暗闇の中で奇妙なダンスを踊っているようなイメージだった。
 
ダウリス・ミヨーは、1892年、エクス=アン=プロヴァンス生まれの作曲家。「ルネ王の暖炉」は「愛の騎馬行列」という映画のために作った曲を7曲の木管五重奏組曲に編曲したもの。「ルネ王」とは、15世紀にプロヴァンス伯としてプロヴァンス地方を治めていたヴァロワ家傍系(ヴァロワ=アンジュ一家)のフランス貴族ルネ・ダンジューのことで、一時ナポリ王位に就いていたため「ルネ王」(roi Rene)と呼ばれ、また「善良王」 (Le bon)の異名を持つ。
 
ミヨーの故郷エクス=アン=プロヴァンスには、冬の間もよく日が当たって風が当たらず暖かい場所があって、ルネ王はそこへ毎日のように出かけたという逸話があり、エクスの人々はその場所を「ルネ王の暖炉」と呼んでいたことからこうした題名がついたらしい(ウィキペディア)。
 
曲はとても色彩感豊かで、カワイイメロディがふんだんに出てくる。お伽噺の伴奏のような曲でとても聴きやすかった。7曲がそれぞれ特徴的で、動きがあっておどけた曲や、穏やかで抒情的な曲など、聴いていて飽きさせない楽しさがある。

ポール・タファネルは1844年、ボルド一生まれの作曲家。ちょっと時代が遡るので、曲調がロマンチックに感じる。CD1の中で一番「普通」な曲だ。それ故一番特徴がないように感じる。他の曲に比べて響きが伝統的だから。所々抒情的で瑞々しいメロディが聴かれるが、曲全体としての求心力に欠けるような気がした。
 
レ・ヴァン・フランセ
「フランスの風、20世紀の木管五重奏曲」CD-1 
1.イベール「3つの小品」 
2.ラヴェル「クープランの墓」
3.ジョリヴェ「オーボエとファファゴットのためのソネチネ」
4.ミヨー「組曲"ルネ王の暖炉"」 
「行列」「朝の歌」「軽業師」「ラ・マウザングラード」「アルク川での馬上試合」「ヴァラブルでの狩り」「マドリガル・ノクチュルヌ」
5.タファネル「木管五重奏曲」
レ・ヴァン・フランセ
フルート:エマニュエル・パユ(Emmanuel Pahud)
オーボエ:フランソワ・ルルー (Francois Leleux)
クラリネット:ポール・メイエ (Paul Meyer)
ホルン:ラドヴァン・ヴラトコヴィチ (Radovan Vlatkovic)
バソン:ジルベール・オダン(Girbert Audin)

シュミット、ミヨ一、ジョリヴェ他「フレンチ・コネクション」レ・ヴァン・フランセ

French Connection - Emmanuel PahudFrench Connection - Emmanuel Pahud クチコミを見る

今年4月に福岡にもやってきたレ・ヴァン・フランセのCD。フランス作曲家の演奏される機会の少ない室内楽が選ばれている。

最初と最後に入っているショスタコーヴィチの曲は、映画のために書かれた曲だ。非常に分かりやすく、とてもあの晦渋な交響曲を書いた作曲家の物とは思えない。明るく朗らかで屈託がない音楽だ。CDの最初と最後を飾る音楽としてわざと配置しであるのだろう。

ショーロスとはブラジル民謡を都会的にアレンジした舞曲のこと。ヴィラ=ロボスは全部で14曲のショーロスを作っている。私はヴィラ=ロボスを聴くのは初めてだが、こんなに現代的な音楽とは思わなかった。フルートとクラリネットがムチャクチャに絡み合いながら妙に明るい舞曲を奏でるが、そのうち無調的な色調に染まっていく。

フローラン・シュミット(Florent Schmitt 1870~1958)はフランスの作曲家。ヴィラ=ロボスよりは聴き易い。第3楽章が哀愁漂う静かで息の長い音楽で、ブラームスを思わせるような寂寥感が聴く者の心を打つ。ほの暗いクラリネットの音色がこういったイメージを呼び起こすのだろうか。

ダウリス・ミヨーは交響曲、協奏曲、弦楽四重奏曲、器楽曲、オペラ、声楽曲とあらゆるジャンルに渡って大量の曲を作っているが、室内楽にも作品が多い。作品の量の割には一般的に曲を聴く機会が少ないのが玉にきずで、特に室内楽は、ほんの一部が録音されているに過ぎない。

Fl,Ob,Cl,Pのためのソナタは、単体で聴けば何の変哲もないメロディが、違う調でいくつも重なりあって重苦しさを増し、不思議な効果を上げている。静かな部分は結構いい雰囲気で聴けるのだが、それに止まっているようなミヨーではないという事か。第2楽章は抒情的でいい音楽。第3楽章はひたすら騒がしく、第4楽章はゆったりとした歩みの中で、時折疾風が舞い上がるようなフレーズが印象的だった。

アンドレ・ジョリヴェ(Andre Jolivet 1905~1974)は、これまたいろんな音楽を作ったフランスの作曲家。フルートとクラリネット2本だけの曲が入っている。普通伴奏にピアノが入っているものだが、ここでは管楽器2本だけで構成されている。ピアノがないので音楽に大きく隙間がある印象だ。まるで暗い劇場で2人の俳優がパントマイムか何かを踊っているようだ。

モーリス・エマニュエル(Maurice Emmanuel 1862~1938)はフランスの音楽学者・作曲家。ミヨーやジョリヴェよりも時代的に前の作曲家なので、作風が穏やかで聴き易い音楽になっている。とても爽やかな中にちょっとドビュッシーっぽいテイストがあっていい感じの曲だ。ただ口当たりはいいが、後に残らない。

1. 「マクシムの帰還」 op.45~ワルツ第3番(フルート,クラリネットとピアノのため)(ショスタコーヴ、イチ)
2.ショーロス第2番(フルートとクラリネットのための)(ヴィラ=ロボス)
3.三重奏のためのソナチネop.85(フルート,クラリネットとピアノのための)(フローラン・ シュミット)
4.ソナタop.47(フルート、オーボエ、クラリネットとピアノのための)(ミヨー)
5.フルートとクラリネットのためのソナチネ(ジョリヴェ)
6.ソナタop.11(フルート,クラリネットとピアノのための)(モーリス・エマニュエル)
7.「馬あぶ」組曲op.97a~ワルツ第4番(フルート,クラリネットとピアノのための)(ショス タコーヴィチ)
プロフィール

nadegatapapa

最新コメント
視聴環境
Speaker
Tannoy Stirling
Amp DENON
PMA-1500SESP
SACD Player DENON
DCD-1500SESP
Apple iPod nano 16GB <第7世代>
Huawei 7型 タブレットパソコン MediaPad T2 7.0 Pro
STAX SR-009
Teac DAコンバータ 501
バッハ オルガン全集がSACD5枚組みに
ダウランドのリュート全集がSACD1枚に
プーランクのピアノ全集と室内楽5枚組み
ヴィヴァルディ10枚組み
ショスタコーヴィチ 交響曲全集
月別アーカイブ
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ
  翻译: