NadegataPapaのクラシック音楽試聴記

クラシック音楽の試聴記です。オーケストラ、オペラ、室内楽、音楽史から現代音楽まで何でも聴きます。 カテゴリーに作曲家を年代順に並べていますが、外国の現代作曲家は五十音順にして、日本人作曲家は一番下に年代順に並べています。

タファネル

タファネル「木管五重奏曲」モネ五重奏団

Dubugnon, Taffanel, Holst and Françaix: Wind Quintets
Cavi-Music
2020-09-11

①リシャール・デュビュニョン[1968-]:フラングレ組曲
リシャール・デュビュニョンは1968年、ローザンヌ生まれの作曲家。パリ音楽院とロンドンの王立音楽院で作曲を学び修士号を取得。その後2002年にはパリの美術アカデミーよりピエール・カルダン賞、2014年にはスイスのヴォードワ文化財団賞を受賞。その活躍が評価され2015年にはSACEMグランプリを受賞した。

ニューヨーク・タイムズ紙が「遊び心のある現代的感覚に牽引されている」と評するなど、その音楽は現代作曲家の作品の中でも異彩を放っている。これまでに80を超える作品を発表し、メジャーなオーケストラで演奏されている。

②『17のメカニズム日課大練習』が有名なポール・タファネル。このフルート教則本、弟子のゴーベールとフルーリが完成させたので、「タファネル=ゴーベール」と呼ばれるが、私は長らくそういう名前の作曲家がいると思っていた。

1844年生まれなので、フォーレと同時代の人だが、作品に印象派的な所は感じられず、曲想はロマンチック。技巧的には結構難しい所を攻めていて、各奏者の妙技を堪能できる。あまり抒情的な郷愁や神秘的な霧の様な雰囲気を感じる事はない。どちらかと言えば乾いた明るさがあり、近代フランス音楽に通じるものがある。玄人受けする曲

それぞれが著名オーケストラの首席奏者を務める、実力派の若手5人からなるモネ五重奏団が、管楽器アンサンブルの復権に尽力した作曲家、ポール・タファネル[1844-1908]に捧げる1枚!
 フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットというカラフルな組み合わせは、18世紀の宮廷では人気の編成でしたが、フランス革命とそれに伴う貴族の衰退を経て、徐々に忘却の彼方へと沈んでいってしまいました。19世紀後半に、フランスのフルート奏者で作曲家のタファネルは、過去の音楽を復活させることを目的に木管室内楽協会を設立。本アルバムではタファネルの五重奏曲を中心に、高難度のフランセ(当時フランス国立管弦楽団の5人の木管奏者が練習のために数か月「監禁」されたといいます)や、抒情的な美しさが際立つホルストの作品など、多彩な五重奏曲を集め、その復権を祝います。(輸入元情報)

【収録情報】
● リシャール・デュビュニョン[RICHARD DUBUGNON 1968-]:フラングレ組曲
● タファネル:五重奏曲
● ホルスト:五重奏曲
● フランセ:五重奏曲第1番

 モネ五重奏団

 録音時期:2018年11月、2019年7月
 録音場所:ドイツ、カイザースラウテルン、SWRスタジオ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

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「フランスの風」レ・ヴァン・フランセ CD-1

フランスの風
レ・ヴァン・フランセ
EMIミュージックジャパン
2012-04-11


フランス人木管楽器奏者たちで結成されたレ・ヴァン・フランセのCD。以前からNHKのクラシック倶楽部でライブが放送されたり、アクロス福岡シンフォニーホールでライブがあったりして、何度かその演奏を聴いてきたが、今回はPlaatpaalでCDを聴いた。ライブは聴いていたけど肝心のリリースされたCDは今まで聴いたことがなかったのだ。CDは2枚組で、今回の記事はそのCD1。主にフランス人作曲家の作品が取り上げられている。
 
ジャック・イベールは1890年パリ生まれの作曲家で、交響組曲「寄港地」や「パリ」、「フルート協奏曲」が有名。「木管楽器のための3つの小品」は1960年に作曲されている。軽妙洒脱な作風を旨とし、前衛的なところは殆ど感じられない。第1楽章はちょこまかと動き回るカワイイ曲、第2楽章はちょっと憂欝で優しい曲、第3楽章は明るくユーモラスでしゃれた味わいを感じさせる曲だった。
 
「クープランの墓」は、ラヴェルが1914年から17年にかけて作曲した最後のピアノ独奏曲だが、ここではメイソン・ジョーンズが木管五重奏曲に編曲したものが演奏されている。ラヴェルはこの曲を自身で管弦楽版に編曲しているが、ジョーンズの編曲とは「プレリュード」「フーガ」「メヌエット」「リゴードン」の4曲編成となっていて、管弦楽曲版では「フーガ」ではなく「フォルレーヌ」が入っている。
 
ピアノ曲が木管五重奏曲になると、メロディが浮き立って曲が持っている抒情性が増している。その一方で木管楽器特有のとぼけた味わいが感じられた。「フーガ」が優しい曲で、木管楽器の音色が微妙に変化していく様が味わい深くて、なんだか癒やされる気分。メヌエットは有名なメロディで、オーボエが吹くと哀愁感たっぷりに聴こえた。「リゴードン」は速めのテンポで力ワイさを演出。
 
アンドレ・ジョリヴェは1905年生まれのフランスの作曲家。生まれが20世紀になると、かなり曲想が現代的になってくる。響きが奇妙で前衛的な印象を受けるが、断片的にはメロディがあったりして結構楽しめる。第2楽章は2人(オーボエとバソン)が暗闇の中で奇妙なダンスを踊っているようなイメージだった。
 
ダウリス・ミヨーは、1892年、エクス=アン=プロヴァンス生まれの作曲家。「ルネ王の暖炉」は「愛の騎馬行列」という映画のために作った曲を7曲の木管五重奏組曲に編曲したもの。「ルネ王」とは、15世紀にプロヴァンス伯としてプロヴァンス地方を治めていたヴァロワ家傍系(ヴァロワ=アンジュ一家)のフランス貴族ルネ・ダンジューのことで、一時ナポリ王位に就いていたため「ルネ王」(roi Rene)と呼ばれ、また「善良王」 (Le bon)の異名を持つ。
 
ミヨーの故郷エクス=アン=プロヴァンスには、冬の間もよく日が当たって風が当たらず暖かい場所があって、ルネ王はそこへ毎日のように出かけたという逸話があり、エクスの人々はその場所を「ルネ王の暖炉」と呼んでいたことからこうした題名がついたらしい(ウィキペディア)。
 
曲はとても色彩感豊かで、カワイイメロディがふんだんに出てくる。お伽噺の伴奏のような曲でとても聴きやすかった。7曲がそれぞれ特徴的で、動きがあっておどけた曲や、穏やかで抒情的な曲など、聴いていて飽きさせない楽しさがある。

ポール・タファネルは1844年、ボルド一生まれの作曲家。ちょっと時代が遡るので、曲調がロマンチックに感じる。CD1の中で一番「普通」な曲だ。それ故一番特徴がないように感じる。他の曲に比べて響きが伝統的だから。所々抒情的で瑞々しいメロディが聴かれるが、曲全体としての求心力に欠けるような気がした。
 
レ・ヴァン・フランセ
「フランスの風、20世紀の木管五重奏曲」CD-1 
1.イベール「3つの小品」 
2.ラヴェル「クープランの墓」
3.ジョリヴェ「オーボエとファファゴットのためのソネチネ」
4.ミヨー「組曲"ルネ王の暖炉"」 
「行列」「朝の歌」「軽業師」「ラ・マウザングラード」「アルク川での馬上試合」「ヴァラブルでの狩り」「マドリガル・ノクチュルヌ」
5.タファネル「木管五重奏曲」
レ・ヴァン・フランセ
フルート:エマニュエル・パユ(Emmanuel Pahud)
オーボエ:フランソワ・ルルー (Francois Leleux)
クラリネット:ポール・メイエ (Paul Meyer)
ホルン:ラドヴァン・ヴラトコヴィチ (Radovan Vlatkovic)
バソン:ジルベール・オダン(Girbert Audin)
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