2015年12月17日、「乃木坂46 アンダーライブ at 日本武道館」にて、永島聖羅さんがグループを卒業することを発表しました。

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 自分がはじめて乃木坂を意識した楽曲である「君の名は希望」。繰り返し繰り返しMVを見て、ひとりひとりの顔と名前を一致させる日々。しかしそのときは、永島聖羅という人物に対し、強い想いを抱くことはありませんでした。楽曲の後ろで踊るひとりのメンバー。その程度の認識です。

 
 今もそうであるように、乃木坂を知るには、彼女たちがレギュラーの番組をおいかけるのが最善です。当時放送されていた「乃木坂って、どこ?」を見ていれば、ある程度、選抜のキャラクターをつかむことはできます。しかし乃木坂は選抜だけで構成されているわけではありません。

 現在更新は止まっていますが、アンダーメンバーが主体となった「乃木坂って、ここ!」というネット番組があります(公式サイトから視聴可能)。アンダーにまったくといっていいほど光があたらなかった時代。「乃木ここ」はそんなメンバーが活躍できる唯一の場でした。

 その「乃木ここ」でBBQ大会を開催したことがあります。この回で、樋口日奈、中元日芽香、大和里菜(卒業)とチームを組んだ聖羅さんは抜群の女子力と家庭的な面、そしてリーダーシップを発揮します。わがままや奇想天外な行動をするチームメンバーに対し、やんわりと注意しながらも笑顔でてきぱきと準備を進めていく彼女に、いつしか心を奪われていました。どうでもいい情報ですが、わたしは家庭的な女性に弱いのです。

 このとき、乃木坂の握手会に行くことを企んでいたため、はじめての握手を誰にするか、その決定打を探すために、「乃木どこ」や「乃木ここ」を見ていました。そしてまさに、聖羅さんのBBQで見せた一面は決定打。彼女を初握手の相手に選ぶことに迷いはなくなりました。



 聖羅さんが卒業を発表したとき、わたしはアリーナでそれを聞いていました。表情がはっきり分かるほどの近さ。スポットライトを浴びる彼女を見て思い出していたのは、その初握手のときでした。

 アイドルと握手なんて当然はじめて。緊張で並ぶ前から震えていました。聖羅さんの声は大きく、並んでいる途中でもその声が聞こえてきます。ひとりひとり列が減るにつれ緊張は高まります。しかし自分の順番になり、笑顔で手を差し出す彼女を見て、その緊張は一瞬で霧散しました。見るものすべてを包み込む優しさに満ちた表情。ああ、これがアイドル、これが永島聖羅さんなんだと思い知りました。

 初握手のことを告げると、聖羅さんは「うれしー! ありがとうございます!」とあの笑顔で言ってくれました。そのとき咄嗟に出た一言。

「最初の相手が聖羅さんでよかったです」

 冷静に考えれば物議を醸しそうな一言ですが、何かを考える余裕もなく、感情のまま口走っていました。当時、自分はそのときの様子をこのように書いています。


 短い。思いを伝えるには、あまりにも短い、たった1枚という時間。でも強烈に胸に刻まれた聖羅さんの姿。はじめてみた生のアイドル。決して大げさではない神々しさ。そのまばゆさに目がくらみ、ぎこちない笑顔で、早口でまくしたてることしかできなかった苛立ち。そしてそんな自分を笑顔で誘導してくれた聖羅さんへの感謝。

 聖羅さんが最初でよかった。その言葉はあのとき、とっさに出た一言でした。そして、だからこその本心。今、改めて思います。彼女でよかった。あのすべてを許容してくれそうな笑顔。大きく包み込んでくれた声。緊張をほぐすためか、強めに握ってくれた柔らかい手。

 右手から香る匂いが、あの一瞬のできごとをまざまざと思い起こさせてくれ、目頭が熱くなります。

 

 何事もはじめてのことは印象深く覚えているものです。涙を流しながら、それでも凛々しく言葉を紡ぐステージの聖羅さんを眺めながら、この人と握手したんだよなぁと呆然としていました。悲しさ、寂しさ、切なさ。自分の感情を表現することができません。「くるべきときがきたんだ」。そう思えるようになったのは、それからしばらく後のことです。


 卒業発表を終えたあと、twitter上において、こんなハッシュタグを付けたツイートがあふれました。


#らりんそこにいて


 聖羅さんはよく、ファンが羨むようなシチュエーションで画像をあげてくれました。例えばこんな画像です。

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 このときファンは愛情と羨望をもって、「らりんそこ代われ」と言いました。決して憎しみの感情ではありません。聖羅さんが愛されているからこそ、そこ代われ、と言うことができるのです。しかし聖羅さんが卒業したあとは、その言葉を使うことはできません。代わる相手がいません。


 いいんだよ、ずっとそこにいてもいいんだよ、そこ代われなんて冗談だから、ずっとそこにいて、そこは永島聖羅さんじゃないとだめなんだよ。


 そんなファンの心の声が「#らりんそこにいて」。

 そのタグに込められていると思います。



 でも卒業する日はやってきます。笑顔が似合う彼女だから笑顔で見送りたい。芸能界からいなくなるわけではありません。これは別れではなく、新たな出会いの一歩。また違う「永島聖羅」に会える。聖羅さん自身も変化、成長しようとしている。だったら悲しみなんか――。

 そんな簡単に人の感情は割り切れません。辛いと思います。新しい旅立ちとはいえ、好きだった、応援していた「乃木坂46の永島聖羅」にはピリオドが打たれるわけです。もう見ることはできません。紛れもない終止符が打たれます。

 だから今、辛い気持ちの人にかける言葉はありません。自分自身で気持ちを立て直すしかありません。悲しんで、寂しいと叫んで、感情のままにもだえて、その先にある姿こそ、本当の自分です。体裁や見栄を考えて強引に感情を割り切らず、寂しいときはまず叫びましょう。大人になるのはそれからでいいはずです。

 聖羅さんの乃木坂46としての活動はまだ続きます。2016年3月19日(土)、20日(日)、名古屋国際会議場センチュリーホールで卒業コンサートの開催も決定しました。彼女の未来に想いを馳せることも大切ですが、残りわずかな乃木坂46としての永島聖羅を目に焼き付けたいと思います。


 

 

 まだこの言葉は早いですけど……。


 いつも心に笑顔と元気をありがとう。


 あなたからの届け物は、永遠です。


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