ダンガンロンパ3 The End of 希望学園 THE STAGE 2018 観劇レポート
ほっしゃん 著@fu_hime_misa_46

20180824-01


先日の大阪公演を観に行ってきました。今回、観劇するにあたって初めて原作を見ることなく行きました。毎度舞台を観に行くたびに希望を与えられて帰ってくるのですが、今回の作品は題名通りもちろん希望、そしてそれ以上のものを与えられました。本当に素晴らしい舞台で、初めて涙を流しました。しかも2回見て2回とも。いいですか、これはかなり珍しいことですよ。

舞台というものはやはり生で観て感じることが1番説得力があるとは思いますが、出来るだけ文章でその熱さを伝えられるように頑張って書いたつもりです。その結果がこの長文記事です。ここの大元は乃木坂のファンブログであり、僕も永島聖羅が出るという理由で観に行ったタチですが、原作・舞台ファンの方々、あわよくば演者さんまで届けば嬉しいなと・・・最後までお付き合いいただければ幸いです。
大きく分けると文章は二部構成に分かれます、前半部分では主に舞台全体の感想や印象に残った場面、後半部分では主に舞台に出演した役(キャストさん)についての感想を書いていきます。

1.舞台全体について 

まずはゲネプロの動画がエンタステージさんによりアップされているので、それを見ていただいたらより頭に入りやすくなると思います。



そしてキャストさんの一覧やあらましなどはこちらのサイトを御参照ください。



・プロジェクションマッピング
もはや2.5次元では欠かせないですが、今回も沢山使われていました。
中央の可動式の田んぼの田みたいな形の部分だけでも出口もどき、スクリーン、本棚・・・と変化します。モノクマからの映像、絶望ビデオ、そして映像出演のキャストさんの登場シーンなどにおいても不可欠ですね。

・アクションシーン
この舞台で行われるのは「コロシアイ」。故に手段として実力行使という選択肢もあるわけで、たくさんのアクションシーンがありました。舞台上だけでなく客席(階段)まで使用したり迫力満点で、特に刀を持った宗方のアクションシーンは凄かったです。前方の席になると客席側に剣を向ける時、剣先が物凄く近いんですよ!(それはそう)

・アドリブ
この舞台はシリアスなシーンが多めですが、思わず笑ってしまうシーンもあります。それがアドリブシーン。天願が「こんなNG行動は嫌だ」で大喜利を展開したり(各キャストの答えはパンフレットに載っています)、万代の自作ことわざもそうでしょうか。
また、回想シーンで惣之助が静子に薬を頼むところで同じセリフを繰り返して笑いを取る部分もアドリブでした。僕が行った時には『沢山食べても太らない』と『3の倍数になるとアホになる』で、特に後者はセリフごとに1・・・、2・・・、とカウントダウンして行ったところで笑いが起きていました(僕もめちゃくちゃ笑いました)

・ビジュアル、衣装など
割と現実寄りな感じがしました。常に椅子に座っているモナカ、言葉を発せずコンピュータ搭載の車のようなものに乗っている月光ヶ原は例外ですが。

ここまでは要素について述べてきましたが、ここからはストーリーについて触れていきます。

まずは前提条件としてこれらを頭に入れて欲しいです。

・コロシアイにおいて、一夜ごとに時間が来るとこの中の「裏切り者」により一人の犠牲者が出る。
(実際はモニターに1番近い者が「絶望のビデオ」により絶望に陥らされ、小刀により自殺させられる。もちろん復活しない。)

・人によりNG行動が定められており、それをすると手首のバングルが作動して、毒が回り死に至る。
(後に毒が遅く回るタイプと分かり、静子が作成していた解毒薬によりNG行動で仮死状態になったメンバーは復活する)

・未来機関のメンバーは希望を持っているメンバーだが、絶望に染まった裏切り者がこの中に潜んでいる設定。(最初に殺された雪染が絶望に染まっていたと後に判明する)

この舞台におけるシーンは色々考えさせられるものが多く、現実世界においてもこういったことがないだろうか?ああどうしてこうなってしまったんだ、と感じることが多いと思います。個人的に心に残ったシーン含めて抜粋してお伝えしたいと思います。

・すれ違いから生まれる望まない展開と悲劇
この舞台では複数にわたりそういうシーンが生まれています。例えば、静子と流流歌、惣之助が対立しているシーンについて。惣之助は除外して実質忌村と流流歌との対立と捉えてよさそうですが、そのきっかけには双方の言い分があります。まず静子の言い分は、友達だったはずなのにいつしか自分を利用してばかり。流流歌が何でも要求し、しまいには作っても遅いだとか言い出す始末。これは同情します。
一方流流歌の言い分は静子が自分が作ったお菓子を食べてくれない、というもの。静子は薬の副作用が出てしまうから食べられない、と伝えているのにも関わらずです。いや、お前ジコチュー過ぎるやろ!コノヤロー!と思わず心の中で叫びました(笑)それを思わせてくれるくらい憎たらしいくらいわがままに演じて下さった裏返しでもあります。
また、流流歌が退学になった際は別の要因が原因ですが、それを静子が薬をミスったせいだと勘違いしているのも、これに当たるかもしれません。そしてそれにより罵倒されて静子が流流歌に利用するだけされて捨てられた、と感じているのも、もしかしたらそのせいかもしれません。

・流流歌の裏切り
前述のエピソードに加え、静子役が永島聖羅であったことも相まって流流歌に対するイメージは良くなかったのですが、このシーンではハッとさせられると同時に色々考えさせられました。流流歌と惣之助は相思相愛のバカップルと言ってもよく、互いに信頼し合っていました。しかし、扉を発見した際惣之助が外に出ようとします。流流歌のNG行動は「参加者が外に出る」。この日に限って流流歌のお菓子を惣之助が口にしないことから、流流歌は惣之助のNG行動が食べ物を口にすることであると気付きます。そしてキスをする時に口移しで仕込んでおいたお菓子を食べさせ、惣之助はNG行動でもちろん死すことになります。
この時のセリフが「裏切られたくないの、だから裏切られる前に流流歌が裏切るの」。一見矛盾しているようにも感じますが、これがズシリと響きました、こういうのもあるんだなあと同時に、望まないのに殺さなきゃ行けないのはなんて運命なんだ、と・・・

・霧切の死
霧切がNG行動で亡くなったシーンです。その直前に霧切は苗木に「何があっても、絶対に希望を諦めないで」と希望を託します。そしてタイムリミット。襲撃者に殺されたのは流流歌。しかし霧切が起きません。バングルに表示されたNG行動は「苗木誠が生存したまま4回目のタイムリミットを迎える」・・・これは泣きましたよ、どうして霧切さんが死ななきゃならないんだと・・・!モナカが「苗木のせいで誰かが死ぬ」と言っていたのですが、このことだったのと。苗木にはもちろん事前に伝えていなかったわけですから、自分が死ぬと分かっていて、苗木に希望を託した、と・・・

・逆蔵の死
まず死因は宗方に斬られた傷が致命傷になりました。ここでもまたすれ違いというか食い違いから生まれた悲劇という側面がまたあります。
宗方は逆蔵が江ノ島をシロだと嘘の報告をしたことから、逆蔵が絶望に染まっていると思い込み、逆蔵に致命傷を負わせてしまいます。しかし逆蔵はまだ宗方に言えていなかったことがあり、結局言えずじまいで死んでしまうのですが、逆蔵は宗方のことが好きだったのです。しかしそれを江ノ島に気づかれ弱みを握られ、バラして欲しくなかったらシロだと報告しろと脅され、虚偽の報告をした訳です。

さて、ここから逆蔵のカッコよすぎた最期について。
まず、タイムリミットで自ら志願してモニター付近に行った苗木が絶望のビデオを見せられて自殺寸前の所で、阻止。そして最後の力を振り絞り、絶望のビデオが流れないようモニターの電源を落とすため、電源室へと向かい、ブレーカーを落としていきます。
さて、雪染の死後暴走を極めていた宗方ですが、雪染が絶望に染まっていたことを知り更に暴走に拍車が掛かります。雪染との思い出すらも消し去るという宗方ですが、苗木の真っ直ぐな言葉により瘴気を取り戻します。ここの「雪染さんを消し去るなんて言うなよ!」からのセリフが真っ直ぐで、思わず泣いてしまいました。例えが霧切さんだったのも熱い。
その後モニターに映し出される逆蔵がブレーカーを落としていく姿を見て、宗方は急いで逆蔵の元に向かいますが、時すでに遅し。「何時も俺は遅すぎる・・・」と宗方が最後にも言いますが、逆蔵はブレーカーを落とし終え、既に息絶えていました。この時の死に顔がすごくいい顔してた。それにしても、苗木の自殺を止めて、ブレーカーを落として絶望のビデオが流れないようにし、重要な役割を果たして死んでいく、かっこよすぎやしませんか。いや死んで欲しくなかったし、もちろん思いが伝えられたらどれだけ良かったか、とは思いますが。今のところ今年見た舞台の中で一番カッコイイと思ったのが逆蔵です。それほどに痺れた。

・キーフレーズ
「希望(絶望)は伝染する」「強すぎる希望は時に絶望に近づく」「それは違うよ!」この3点が特に響きましたね。これ、日常(特にTwitterランド)でも言える気がします。希望が強すぎるあまり、絶望に陥って自分が好きな物以外の他の対象をけなしてしまったり、ハッピーな出来事(ネガティヴな出来事)がひとたび流れるとこちらの気持ちが左右されたり、話題がそれ1色に染まったり・・・身内だろうが外様だろうが、なにかおかしな方向性に向かってしまっている時に「それは違うよ!」と言える苗木のような勇気は必要不可欠ですし、持ち続けていたいなと強く感じました。

ここまでが前半です、あまりにも長い文章ですが、どうか絶望に染まらないでください()

2.役別の感想
大阪公演のチームの感想です。ただし映像出演、声での出演(ちびまる子ちゃん役で有名なTARAKOさんやタラちゃん役で有名な貴家堂子さんも!)に関しては省略させていただきます、悪しからずご了承ください。なおキャストさんや役名は敬称略。

苗木誠(西銘駿)
等身大の主人公であり、真っ直ぐに希望を持って突き進む姿勢と感情の表現に何度心を突き動かされたことか。この舞台全体もそうですが、苗木からは本当に多くの希望を貰いました。

霧切響子(岡本夏美)
冷静で凛とした感じが印象に残っています。苗木に対する揺るぎない信頼が伝わってきたからこそ、霧切さんが死んで、NG行動が分かったシーンで感情移入が出来たのだと思います。

朝日奈葵(飯田里穂)
明るさと健気さが良かったです、特に苗木のNG行動が「廊下を走る」で、早く逃げるために苗木をおぶって移動するシーン。あと、逆蔵に水泳の技で挑むシーン、可愛かったです。

十六夜惣之助(神永圭佑)
静子に薬をお願いするところのアドリブが最高でしたw 「おいちい」も良かったですね。あと、流流歌を大切に守る感じがすごく真っ直ぐな愛だなと伝わってきて良かったです、女の子はああいう男性に憧れるんだろうなと。

逆蔵十三(鮎川太陽)
まず背が高くて、イケメン。アクションシーンでの迫力と動きのキレが素晴らしかったです。再三触れますが、本当にかっこよかった。そして死に顔、めちゃくちゃいい顔してました。

御手洗亮太(木津つばさ)
御手洗はアニメで沢山の人を幸せにしたかったのに江ノ島(強いていえば天願にも)その技術を悪用され、絶望が広がったりコロシアイが始まったりしてしまったわけで、重責を感じていただろうし、本当に辛かっただろうなと思います。希望のビデオを使おうとする場面で彼が発するセリフが江ノ島の絶望に関するセリフとリンクして流れるシーンがすごく印象に残りました。ある意味1番の被害者なかなあと。自分の技術のせいで望まない展開になってしまった現実に苦しんでいる様子がとても伝わってくる演技でした。

月光ヶ原美彩(三秋里歩)
この役、セリフを全く話さない役なんです。操作が主で、あとはモナカのダンスシーンが主な動きでしょうか。しかし無表情で踊るダンスシーンは本当に綺麗でした。

安藤流流歌(山下まみ)
なかなかわがままな性格で、イライラする場面もありましたが、イライラさせられたのも流流歌をしっかり演じてくれたからなのかな、と思っています。静子とのすれ違いシーン、そして惣之助を裏切るシーンは考えさせられました。

忌村静子(永島聖羅)
薬を飲んで覚醒するアクションシーンの迫力が良かったです。あの叫んで走っていく時の叫びね。あとは衣装的に脚の綺麗さがよく分かりました(オイ)
最終的に静子が作っていた薬のおかげでNG行動で仮死状態になったメンバーは復活できるんですけど、あそこは静子かっこいいなと痺れましたね。

雪染ちさ(高橋りな)
明るさと天真爛漫さと可愛さがたまらなかったです。何度見てもたまらんかったし、虜になりました。好きだー!
同期の絆を感じさせるシーン、良かったです。あとホントに可愛かっ(無限ループ)

万代大作(一徹(トリテン))
自作ことわざがめちゃくちゃ面白かったですwカーテンコールでも振られていましたね。早めに死んじゃうけれどいいアクセントになっている役でした。ネギを振り回してのアクションシーンは必見でしたね。

グレート・ゴズ(大久保圭介)
体格がいい。あと言動がキリッとしてて、レスラーの片鱗を感じさせました。覆面をかぶっていて顔が見えない役だったのですが、カーテンコールで覆面取ろうとした時は笑いましたw

黄桜公一(永山たかし)
キザで酒飲んで・・・ではなく、要所要所でズバズバ事実を言い当てていくシーン、さすが超高校級のスカウトマンって感じでした。そしてこちらも死に方がかっこよかった。霧切の父との約束を守り、NG行動覚悟で守って死ぬ。美しい散り方でした。

天願和夫(竹若元博(バッファロー吾郎))
このコロシアイの黒幕。御手洗に希望のビデオを使わせて、江ノ島が絶望でしようとしたことの希望verを実現させようとしていた訳です。いちばんタチが悪いのですが()、彼の発する言葉には重みがあって、考えさせられましたね。「強すぎる希望は時に絶望に近づく」とか、特に。

塔和モナカ(市川美織)
黒幕もどき。明るくて声も可愛くて顔も小さくて、でも黒い時は黒くて怖さもあってすごく好きでした。
ダンスシーン、超絶可愛かったです。常に椅子に座っている役なので、彼女自身の持つお人形さん感がすごくマッチしているように感じました。

宗方京助(仲田博喜)
アクションシーンの迫力がとにかく凄かった。階段を駆けていくシーンだったり、件を振り回すシーンだったり、とにかくかっこよかったですね。そして宗方も苗木に引けを取らないくらい感情が揺れ動く役であり、セリフから感情の動きがすごく伝わってきました。泣き崩れたあとの「俺達はいつから間違っていたんだ」とか(ここのシーンは苗木と宗方の両方の気持ちが入った感じがすごく伝わって余計に泣けました)、逆蔵の最期に駆けつけたシーンの「何時も俺は遅すぎる・・・」だとか。

モノクマダンサーズの皆さん
色んな場面で大活躍でした。登場シーンの数も多くて大変だったろうなあと思います。特に可愛かったのはコロシアイゲームの説明のところと、モナカと月光ヶ原とのダンスシーン!

3.最後に
原作ファンでもなく、1人のキャストが出るから観に行った、そんな僕の心を大きく動かしてくれたのがこの舞台でした。故にでしょうか、観劇してからだいぶ時間が空いての執筆になってしまっていますが、このレポートも恐らく6000字近くに達していると思います。もちろん生で見ることに越したことはありません。しかし今はライブビューイング、ネット媒体での配信、そして円盤化など、様々な方法で作品を見るとこが可能になっています。ダンガンロンパ THE STAGEは一区切りのようですが、幸いにもこの作品は円盤化が決まっています。僕の拙い文章でわからなかった部分も、これを観れば見えてくるかも知れません。
或いは、あなたなりの違った感想が芽生えてくるかもしれません。


詳しくはココから!

なんか宣伝チックになってしまいましたが、この素晴らしい作品が、永遠に多くの人の心の中で生き続けるとこを願いまして、この長いレポートの結びと致します。拙い文章でしたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ほっしゃん様の過去の投稿記事

20180824-02



<ノギザカッションでは、皆さまからのレポート、エッセイ、小説、イラスト等を募集しております。詳しくはこちらをご覧ください。>