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傍目八目晴天をみる

 2024-08-21
今年のお盆も無事に終わり、盆棚を片付けるなどの後始末に追われた。
盆棚は僅か4・5日のお役目なのだが、ご多分に漏れず我家でも数百年来綿々と受け継がれ、続けてきた。
お盆が終わる16日には、位牌など仏具一式仏壇に戻し、盆棚を土蔵に仕舞い来年のお盆まで保管するのが常である。
その為、土蔵と行ったり来たりしなければならない。組み立て式とは云え、意外と運搬が大変なのである。雨の日などは尚更。盆棚を濡らす訳にもいかないと思いつつも、雨があがるのを待っている時間が勿体ない。多少の濡れは已む無しとして無理やり運んだりしていたものだ。

昨年のお盆は、父の初盆の為に妹が帰省していたことから、いつもは一人で組み立てや解体に汗を掻いていたが、妹の手伝いもあって片付けも捗り、大変助かったものである。
「それじゃ、土蔵まで運ぶから手伝ってくれよ」と妹に加勢を頼んだところ、「お兄ちゃん、なにも土蔵まで運ぶ必要なんてないんじゃないの、奥座敷の奥廊下、今は使ってないんだからそこでいいんじゃない」とのこと。
確かに、「あっ、それもそうだな、そりゃいい考えだ」と云うことで、昨年来雨の心配や靴の履き替え、母屋と土蔵を何度も行き来する必要がなくなったのである。

父や祖父、曽祖父などご先祖さんも皆おそらく、土蔵まで難儀しながら行ったり来たりしていた筈。
至極当然なことだと考えも及ばなかったが、今迄一度も手伝ったことがなかっただろう筈の妹の何気ない一言が、雲霧を払いて晴天をみる思いに相成ったのだった。


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