巨人の状態がいいようだ。7月8日現在、貯金を「4」にした。広島とは厘差の2位。一時は借金を作り、モタモタしていたが、ひとつの補強によって、チームは激変した。新外国人のヘルナンデスの加入で打線が「線」になった。1番の丸、3番のヘルナンデス、4番岡本…。前半は3番に適任者がなく苦しんだが、ヘルナンデスの出現で様変わりした。

中日も踏ん張っている。先週は広島に3連勝。ここも外国人選手ががんばっている。カリステだ。クリーンアップを打ち、打率は3割をキープ。欠かせぬ戦力になっている。

外国人によって、チームが変わる典型例だが、阪神は…というと、ベンチに外国人バッターはいない。ノイジー、ミエセスの2人は2軍。いまのところ、監督の岡田彰布は1軍に戻す気はないようだ。

「調整? って、いつも同じことの繰り返しやんか。こちらが修正しろと伝えても、最後は元通り。これではなあ…」。今回はよほどのことがない限り、2人の1軍はない。それを裏付ける起用法が見られた。

先のDeNA戦。相手先発がサウスポーということで、豊田を先発起用。それも3番を打たせた。またゲーム途中に野口を代打に。これがうまく決まって、逆転勝ちの要因のひとつになった。

岡田が2軍戦を必ずチェックしていることは有名。必ず自分の目で確認している。2軍監督の和田とのホットラインで報告を聞いてはいるが、実際に自分で若い選手の状態を把握する。これは欠かしたことがない。

何日か前、岡田から聞いたこと。「いまファームで一番エエ形で打っているのが野口よ。ホンマ、着実に成長している。そんなん、テレビやビデオを見てたら、わかるやん。おーん、野口はエエよ」。笑いながらの言葉が印象的だった。野口の前には豊田も褒めていた。すると日を空けることなく2人を1軍に上げた。

一連の1、2軍の入れ替えで見えた岡田の判断。「やっぱり新しい力が出てこないと、チームとして厚みが増さないからな」。描いている構想に突き進む。これを決めたに違いない。

シーズン中のトレード、外国人補強の期限は7月いっぱいまで。あと3週間後に迫っている。以前も書いたが、手っ取り早い補強策は外国人の獲得になる。巨人のヘルナンデスのような成功例もあり、球団も準備を続けているが、岡田からGOサインが出る気配はない。「見合うような候補がいない。ポジションの問題もあるし。それよりも…」と続けたのが若い力だった。

「ウチは去年、日本一になった。もし、優勝してなかったら、今年はどうなっていた? そら若い2軍の選手を試して、上げるよ」と語っていた。日本一になったことで、逆に制約ができた。レギュラークラスをまずは起用すること。若い選手を起用する状況に、なかなかなれなかった。それが、ここまで攻撃力が上がらないとなれば、制約を外すチャンスを迎えたことになった。豊田、野口の起用により、トレード、外国人補強はないことを示した。

そう受け取っているのだが、残り3週間。何が起きても不思議でない。さあ球団、そして岡田の判断は。注目の3週間になる。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)

7月7日 阪神対DeNA 1回裏阪神無死一、三塁、豊田は空振り三振に終わる
7月7日 阪神対DeNA 1回裏阪神無死一、三塁、豊田は空振り三振に終わる