クリ(木彫の栗) ~楠で栗を彫る~
- 2023/11/09(Thu) -
木彫栗0

9月初旬、小諸に住む彫刻家の友人が訪ねてくれた。
その折に自身の制作で出た端材だと言って、厚い楠の板を数枚持ってきてくれた。

家には毎年実を生らせてくれる大きな“丹波”という栗の木がある。
今年も9月下旬から10月の中頃まで収穫できた。
親戚や知り合い、友人達に届けた。
残りは冷凍保存にして、少しずつ栗おこわなどで食べている。

閃いた。
「栗を楠で彫ろう」。

チェーンソーで切った跡の残る板材を栗が彫れる大きさの角材にする。
実際の栗の形をその三面に写して面取りする。
実物を側に置いて、それを見ながら平刀で少しずつ削り出していく。
彫るたびにいい香りがする。
一般的な木は逆目と順目で刃の当たりがだいぶ違う。
その点、楠はどの方向からでも刃に抵抗がないので彫りやすい。
そして材質もわらかいので作業が捗る。
彫刻に一番向いている材と言えるかもしれない。
先端の細い部分は折れないように神経を遣った。
つややかな上部と凹凸感ある下部の質感表現にもこだわった。
見にきた家人が「虫食いの穴も入れたらいいんじゃない」と言った。
位置を決めて穴を一つ空けた。
始めたのは10月20日、11月02日に彫りが終わり、11月06日に着色を終えて完成した。
もっと出来たのではないかと、自己評価は80点。

その友人から昨日「明日は頼むね」とメールが届いた。
桜の名所として全国的にも知られる公園内にある美術館で11日から作品展を開く。
その搬入と展示の手伝いを頼まれていた。
もう半世紀近い付き合いになる親友である。
了解の旨と初日の開館時間に合わせて別の友人を誘って一緒に行くことを伝えた。

   こつこつと栗を彫るコツコツを続ければものになる形になる (居山聞涛)

木彫栗1

木彫栗2

木彫栗3

木彫栗4

木彫栗4-1

木彫栗5

木彫栗6
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山埜九痴(詩人の肖像)~石膏直付け~
- 2023/05/06(Sat) -
詩人山埜九痴の肖像1-1

石膏直付けでの造型を終えたのは2月の中旬。
白い石膏のままだったそれに着色を施して完成。

最初に塗った錆色は思い描いたイメージにはほど遠かった。
「ダメだ。人物を生かせていない」
間を置いて2度3度塗り直す。
そして今回の色。
直付け表現の特徴も引き出せた着色になったと納得している。

   夭折人の「自然が師だ」の言葉山を見て手で考え足で思えと (居山聞涛)

詩人山埜九痴の肖像2-2


詩人山埜九痴の肖像3
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『苔の詩(仮題)』(石膏直付け) ~造型を終える~
- 2023/02/18(Sat) -
詩人の肖像正面

一月から進めてきた石膏直付けによる制作をようやく終えた。

表現テーマは早くに決まり、頭に描く人物像も一貫していた。
出刃包丁をメインにタガネと鑿などを用いて造型していく。
顔と首はおよそイメージ通りスムーズに進む。
難儀したのは頭髪のボリュームや流れの表現。
顔とのバランスを取りながら石膏を付けたり取ったりを何度も繰り返す。
すべて納得というわけではないが、区切りを付ける。
氷点下が続く中での水を使う作業であったが、心は切らさずに。

しばらく乾燥させた後、着色して仕上げる。

   山村暮鳥の詩を読みつつ彫刻を造った今年の冬  (居山聞涛)  

詩人の肖像正面1027

詩人の肖像横顔

制作道具
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河原の石(木彫) ~彫ってみよう~
- 2022/12/19(Mon) -
0-0彫り完成

庭に沿って川が流れている。

先日河原に降りた。
石を木で彫ってみようと思った。
そして年内には仕上げようと。
冬の水は澄んでいる。
川底から数個拾い上げる。
それらをいろいろな角度から見て一つに決めた。
全体の角が取れて丸味を帯びている。
触った感触が少しざらっとしている。
どうやら砂岩のようだ。
うまく彫れるだろうか。
なにせ、石を彫るのは初めてだ。

彫る材はストックしてある木の中から朴を選んだ。
実物とほぼ同じ大きさに仕上がるようにサイズを確かめて切る。
角材の三面に形を写して面取りする。
あとは平刀で少しずつ削り落としていく。
細部のところどころは丸刀や三角刀なども使い分けて。
朴はやわらかいので作業が捗る。
刀痕の強く出たところは稜を落とし目立たないようにする。
彫りが終わった。
さて、仕上げは木地のままにするか、着色するか。
少し考えよう。

   師走だからこそ落ち着こう遠くを眺め広くを見渡し足元をしっかり見つつ  (居山聞涛)

0-1川底の石

1モチーフの石

1彫刻材「朴」

2荒取り2

3面出し

5木彫1214

5木彫1215

7彫り完成1840

12彫り完成1227
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《女の首》 ~「ブロンズにはしないんですか?」~
- 2022/11/29(Tue) -
正面1

私の作品を見てY先生はおっしゃった。
「ブロンズにはしないんですか?」と。
「はい。高いですからね」と私は答えた。
市井の人間が自作を高価なブロンズにするのはなかなか勇気が要る。
それで白い石膏に着色して完成としている。
いかにも金属質の緑がかったブロンズ風に。

最近仕上がったばかりの《女の首》もそう。
ポスターカラーのバーントシェンナとコバルトブルーとパーマネントグリーンを混色すればその色はできる。
それは長年やってきた私の制作最後の仕上げ作業。

着色すると重量感が出てくる。
少し前にそれを見た人は「重そうですね。身体で抱えないと持てないようです」と言った。
たしかにそうだが、石膏の厚さは1㎝ほどで中は空洞になっているので片手でも持てるほど軽い。

Y先生との時間はとても楽しく有意義だった。
いつか先生の東京谷中のアトリエ訪問を実現したいと思っている。

さてこの作品のタイトルは何としよう。

   テレビで「一喜一憂するな」と監督は言った制作においてもそう「慢心するな」 (上武旋転子)

正面2

横 1

横2

後1

後2
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女の頭像(粘土による造型) ~何年ぶりになるだろうか~
- 2022/11/02(Wed) -
正面1101

何年ぶりになるだろうか、粘土での造型は。
これまではずっと他の材料を用いての制作だった。
久しぶりというか、かなり長いブランクである。

ふと粘土で人物表現をしてみたくなった。
特段理由というのはない。
強いて言えば自分の中になんらかの変化というか新たなチャレンジを求めたのかもしれない。
10月の内には完成させようと決めて。

粘土をこねると懐かしい感触が甦る。
初めは粘土を扱う手の動きにどことなくぎこちなさを感じたりもした。
それも次第に昔の感覚が戻り、楽しくなる。
一人アトリエにシンガーソングライターの旧友のCDをかけたりしながら。
時には外から小鳥の声も届いて励まされ。
髪型はどうする、耳は出すか隠すかなどと思案しつつ。
口や鼻や目など細部表現はなかなか進まず。
いいと思ったのに、翌日見ると納得いかずにやり直すことしばしばで。
そして予定通り10月末日に完成。
タイトルは何としよう。

さて、次に待つのは石膏取り。
おじさんがんばれ!

   水に冷たさを覚え粘土もつ指先も割れて痛くそれをも「快」とする11月  (居山聞涛)

右1101

左1101-2

正面1011

右1011

左1014
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『落葉の頃(仮題)』(木彫レリーフ) ~彫り終わる~
- 2022/02/15(Tue) -
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制作する仲間の会がある。
日本画、洋画、彫刻とジャンルを越えた数人で、年代も20代から70代までとさまざま。
そこで11月下旬、知人の女性をモデルにスケッチした。
しかし、諸般の事情で次回は三月頃となった。

冬になり、それを木彫レリーフで表現してみようと思った。
粘土と石膏によるレリーフはこれまでもやったことはあるが、木彫でははじめてだ。
チャレンジ。
材はストックしてある朴を用いる。

19㎝×21㎝の方形に切る。
位置、大きさを決めて板に人物を描く。
その輪郭を真っ直ぐに落とす。
鑿を打って背景を一気に彫り下げる。
この先、どういう手順で進めればいいか思案する。
やりながら考えていけばいい。
できたところで次を決めればいい。
とりあえず後頭部から丸味を出す。
徐々に前面に向かって彫っていく。
ほぼ立体感が出てきたところで、顔の部分の細かな表現に入る。
最後に髪を三角刀で表す。

昨日の午前で一応彫り終わる。
道具や部屋を片付ける。
このまま置いて眺め、しばらくしてから気になるところなどを手直して完成させよう。

窓の外でギィーギィーギィーとコゲラの鳴き声がする。

   バレンタインの「バ」も出ず黙々と「麻婆茄子」の昼食老い二人 (上武旋転子) 

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「2021私の夏の思い出」(仮題) ~石膏直付けで作る~
- 2021/09/26(Sun) -
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夏の盛りのことだった。
若い女性の胸像を実物大で作ろう、そう思った。
制作はそんな大雑把でスタート。

モデルはいない。
形や顔は作りながら練っていく。
どんな子が現れるか私自身も完成するまでは分からない。

心棒を立てる。
発泡スチロールでおよその動きと量を出す。
あとはイメージを膨らませながら、石膏を付けては削り、削っては付けるを繰り返して表現していく。
鎖骨と肩、背中はだいたいこんな感じだろう。
胸部もだんだん女性らしいやわらかさが。
顔のパーツも揃って、表情も出てきた。
左右の腕は長さや角度のバランスを考えて切る。
髪型をどうするか少し悩んだが、オーソドックスなショートに。
そして変化をつけるため左耳だけを出し、右耳は覆ってわずかに覗かせる。
造型終了。
着色して完成。

浮かんだ作品名はその若い女性が経験した楽しかっただろう“「2021私の夏の思い出」”。

芸術の秋。
11月までにはもう一点作ろう。

   小さな諍いの後アトリエに籠もる像の前に立てばひたすら「無」の中に  (居山聞涛)

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『女の首《(ポニーテール》』(仮題) ~石膏直付けによる表現~
- 2021/03/05(Fri) -
1女の首正面

モチーフは若い女性。
髪型はポニーテール。
表現方法は石膏直付けで。
それだけを決めて制作に取りかかった。

モデルはいない。
頭の中でイメージを膨らませる。
首はほんの少し右に向ける。
ポニーテールの形と長さは顔とのバランスがとれるように。
そしてようやく終わる。

「ごくろうさん」
「さて次は……」

   サティを聴きつつ手考足思三月のアトリエ (上武旋転子)

2女の首右向き

3女の首左向き

4女の首後ろ向き

ポニーテールの表現1

ポニーテールの表現2

石膏直付け道具
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ル レクチエ(木彫洋梨) ~初彫り~
- 2020/01/12(Sun) -
木彫洋梨1

果樹農家の小松さんが洋梨の“ル レクチエ”を持ってきてくださったのは12月の中旬だった。
「しっかり追熟させてから食べなよ」と言われていたので、置くことにした。
それらを見ていると彫ってみたいと思いが湧いてきた。
年が明けてから色が濃くなってきたので食べることにした。
香りと甘味があってとても美味しかった。
一つだけは彫るモチーフにするために別に取って残しておいた。

そして今年の初彫り。
材は 家にあった榀(シナ)の角材。
面で大きく荒取りする。
彫刻刀で丸みを出していく。
思いの外、すいすいと彫り進む。
きのう着色して完成した。

次は半年前から温めてある構想の制作を。

   初彫や作り馴れたる翁面  (伊藤逗子)

ルレクチエ1

木彫洋梨4

木彫洋梨4-1

木彫洋梨5

木彫洋梨6

木彫洋梨7

木彫洋梨8

木彫洋梨9

木彫洋梨10
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『道程・68』(石膏直付けによる造型)  ~着色する~
- 2019/09/13(Fri) -
着色851

造型の終わった石膏直付け作品に着色する。
ポスターカラーを混色してブロンズ風の色を作る。
色が乾いたところで、化繊布を用い、磨きを掛けて、自然な風合いの光沢を出す。
いつもこのようにして仕上げる。

さて、次は…。

    九月とふ大きな洞のなかにゐる  (小形さとる)

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『道程・68』(石膏直付けによる造型)  ~付けて削って~
- 2019/09/13(Fri) -
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今年の夏は温めていたテーマがあった。
でも資料を充分に集めることができなかったので今回は諦めることにした。
そして新たな構想で制作をスタートさせた。

私の石膏直付けによる制作過程はあまり一般的でない方法。
用意した制作台座が最後はそのまま作品の台座になる。

・台座を作る。
・それに心棒を立てる。
・モチーフの大きさと動きを決め発泡スチロールをカットする。
・石膏を溶き、付けては削り、削っては付けてを繰り返して直接造型する。
・出刃包丁や鑿を用いて面や量、バランスなどを見ながら大きく表す。
・細部はサフォームや鑢を使って仕上げていく。

あとは着色して完成。

先のテーマはあらためて取り掛かることする。

   けふの月長いすゝきを活けにけり (阿波野青畝)

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春の微睡み(石膏直付け)  ~モチーフだけを先に決めて~
- 2019/03/13(Wed) -
1完成作1

3月12日、昨日仕上がる。

「若い女性像を作ろう」と、モチーフだけを決めてスタート。
普通はテーマが先なのだろうが。
ポーズ、大きさを考え、想を練る。
ふと、微睡む姿が浮かぶ。

スケッチなしで、すぐに心棒を立てる。
イメージの中にある像を描きながら発泡スチロールで大まかな動きを作る。
その後は一気に石膏を付けてボリュームを出していく。
荒付けは思い切りよく大胆に進める。
付けては削り、付け加えては包丁や鏨でたたき落とす。

中付けの段階に入り、何度もチョークで線を引きながら動勢や均衡を確かめる。
さらに顔面の各パーツの位置や大きさ、傾きなどを慎重に見極める。
彫刻刀や鑢などを用いて、口、耳、鼻、目などの細部の表現をする。
よく考えれば、目を閉じた作品を作るのは初めてだ。
モデルがおれば楽なのだが…。
結局、表情のポイントとなる目の表現が一番最後になった。

そして髪。
最初は黒い長髪で有名な女性タレントのようにしようと考えていた。
しかし、徐々に形ができてくるに従い、首のやわらかなラインを生かそうと思った。
特にうなじから肩にかけての流れを。
さすれば、それを見せるには短髪の方が良い。
宝塚の男役のようなイメージが浮かび、オールバックで。

造型を始めておよそ20日で終了。

仕上げはいつものように、ポスターカラーでブロンズ風に着色。

次は久々に木彫で作ることにしよう。


そうそう、その前に放っておいた手つかずの畑仕事をしなくては。

    うららかといふほかはなき午後となる  (稻畑汀子)


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13完成作3

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作る(石膏直付け) ~ブロンズ風に着色~
- 2019/02/07(Thu) -
黒人の青年着色1

造型の終わった石膏作品に着色をする。
使うのは水性のサクラポスターカラーEX。
仕上がりはブロンズ風で。

パーマネントグリーン5、バーントシェンナ3、ブラック2の割合で混色。
それにおよそ40% ほどの水を入れる。
紙に試し塗りをし、濃淡を確かめて微調整。

斑にならないように平筆で素早く塗る。
一時間ほどおいて、化繊を当て、軽く磨く。
やわらかな金属質の光沢が出る。
完成。

   命あるものの呟く二月かな  (滝川名末)
 
黒人の青年着色2

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黒人の青年着色7

黒人の青年着色5

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作る(石膏直付け) ~私の“手考足思”~
- 2019/02/06(Wed) -
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正月に思った。
今年は制作に費やす時間を多くしようと。

まずは小品の頭像。
瞬間、頭に浮かんだのは黒人の青年。
強い意思を内に秘めている。
決めた。

台座に心棒を立てる。
モデルはいない。
イメージの中に見える彼の姿。
発泡スチロールを棒に固定し、カットして大まかな動きを作る。
石膏を溶いて少しずつ粗付けしていく。
台座に対しての作品の大きさを決めだし、全体のバランスを確かめつつ肉付けする。
サフォームや出刃包丁を使って余分な部分を削り落とし、面で捉えていく。
首と頭部の量感と動勢を決定する。
各部分の位置や長さなどをチョークでデッサンしながら確認して進める。
付けては削り、削っては付けるを繰り返し。
彫刻刀や鑢などを用いて各パーツの細部を仕上げていく。
最後に特有の縮毛を表現する。

造型のすべてを終えたのは立春の夕刻。
今日、着色して完成する予定。
タイトルはまだ決めていない。

   待春の心が先に歩きをり  (稲畑汀子)

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ザクロ(木彫柘榴の実) ~年内に仕上げると決めて~
- 2018/12/28(Fri) -
0着色

柘榴を彫り始めたのは12月7日。
そして昨日着色を済ませ、一応の完成です。
材は朴の木です。

11月20日のブログには次のように書いてあります。

 《ザクロ(柘榴の実) ~くれなゐの泪~ 》
 石榴の実が割れました。
 均等ではありません。
 でもそれがいい表情になっています。
 乱調の美とでも言ったらいいのかもしれません。
 高村光太郎に「石榴」の木彫があります。
 何度か見たことがあります。
 好きです。
 今年は私も彫ってみましょう。
   くれなゐの泪ぎつしりざくろの実  (和田知子)

年内に仕上げると決めていました。
予定通りでほっとしています。

年明けてからまたもう一つ彫ろうかと思います。

   はらわたの紆余曲折を年の暮  (中原道夫)

0柘榴

1朴材

2粗彫り

3彫り

4彫り

5彫り

6着色

7完成

8完成

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サラ(木彫の磁器皿) ~事始め~
- 2018/01/04(Thu) -
木調干し柿と磁器の皿1

以前に彫った干し柿がある。
見ていて、乗せる皿も彫ってみようと思った。

材は干し柿と同じ朴の木を使う。
鋸で高さ(厚み)を決め、輪郭をカットする。
彫刻刀でおよそを彫り上げて、鑢で細部の形を整える。
着彩はポスターカラーとアクリル。
磁器の光沢ある質感を出すために水性ニスを塗って仕上げる。

干し柿を置いてみる。

私の事始め。

  靄ふかく明けて四日の静かな (坂田昌子)

木調磁器の皿朴材

木調磁器の皿2 - コピー

木調磁器の皿3 - コピー

木調磁器の皿4

木調磁器の皿5

木調干し柿と磁器の皿2

木調の干し柿17年4月
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子どもの木彫(着色) ~空の色~
- 2017/02/19(Sun) -
男子木彫23

ティーポットを落とした。
壊れた。
私専用のものだったので少し残念。
形あるものは必ず壊れるものだが…。
ただこのところこうしたことがよくある。
先日も小皿を割ったばかりだ。
手から落としたり、うまく持ち上げられなかったり。
滑りやすくなっている指先を見れば、指紋の溝が浅くなり、その渦の形も不明瞭になっている。
このごろ、手の機能や感覚の衰えをも実感する。

10日ほど前に彫った子どもの木彫に着色をした。
最後まで迷った靴の色は空色にした。
「すずさん」の見上げる空が思い浮かんだ。

   雨水より啓蟄までのあたたかさ   (後藤夜半)

男子木彫20

男子木彫21

男子木彫22

男子木彫24
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子ども(木彫) ~久しぶりに彫る~
- 2017/02/10(Fri) -
男子木彫6

寒いですね~。
いつまでも寒いですね。
インフルエンザがかなり流行っているようですが、大丈夫ですか?
ええ、あまり外へ出ないですから。
家では何をしているんですか?
本を読んだり、音楽を聴いたり、それから…。
退屈しませんか?
そんなことないです。やりたいことはいっぱいあって。
どこかに出掛けるということはないんですか?
がんらい出不精で。
へえ~、もてあましそう。
そうそう、久しぶりに木を彫ったんです。見ます?
ぜひ。
これなんですがね。
あら、こどもさん?
はい、ずっと前からこどもを彫ってみようかと思っていたんです。
小さい。よくまあ。
なんとか彫り上げることができました。
堅そうな木ですね。
いえ、朴の木ですのでそれほど堅くはありません。
何を使って彫るんですか?
今回は主に小刀と反り小刀を使いました。所によって彫刻刀も使ってあります。
細かくて大変でだったでしょう。
そうですね。刀が入らなくて難儀したりしました。でも楽しみながらぼちぼちと。
どのくらいかかりましたか?
どうでしょう。一週間くらいですかね。
これで仕上がりですか?
ええ、一応およその彫りは終わりですが、この後細かなところに手を入れてから着色しようと思っています。
じゃあ、また色が付いたのを見せてください。
そうですね。ではまたしばらくしたら、時間を見てお出かけください。

  きびしさと春の寒さとあるばかり  (上村占魚)

男子木彫1

男子木彫2

男子木彫3

男子木彫0

男子木彫5

男子木彫4

小刀と反り小刀

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サクラ(木彫の桜落葉) ~大事に取ってあったもの~
- 2016/12/08(Thu) -
桜落葉1

拾われた桜の落葉が一枚ある。
部屋に入れたのは10月21日。
時のオブジェのように置かれ、今に至る。
その間、時々手にとっては眺めた。

よく見ると、それはなぜか落葉であって落葉以上のものを感じさせたりも。
たとえば生きているような、話しかけられているような感覚とでもいおうか。
そんな不思議さの大事に取っておいた桜落葉。

「彫る?」
「彫る!」

材は厚さ4㎝の朴の板。
形を描き入れ、鋸で輪郭を大まかにカットする。
久しぶりに彫刻刀を手にする。
滑り止めにゴム手袋をはめる。
葉の起伏に合わせて板を薄く薄く彫っていく。
葉先と葉柄を折らないように気をつけながら。
ゴム天袋を取りはずし、細部に入る。
人差し指と親指で挟んで厚さを確かめつつ削る。
慎重にしたつもりだが、2箇所ほどに穴を開ける。
わずかに浮かぶ葉脈や縁取る鋸歯も。
ポスターカラーで着色。
ところどころにある染みも表す。
彫り始めてから3日。
思いの外短時間で完成。

心に温かいものが満ちる一人過ごした冬のいい時間。

   削るほど紅さす板や十二月  (能村登四郎)

桜落葉2

桜落葉3

桜落葉4

桜落葉5

桜落葉6

桜落葉7

桜落葉8
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キクイモ(菊芋のレリーフ) ~暦では冬立つと~
- 2016/11/07(Mon) -
菊芋163

小さな畑だがそれでもそれなりにやることが結構ある。
大根を間引いて土寄せをする。
そして葉枯れの茗荷を片付けたり、ナスの支柱を揃えて束ねたり。
リュウキュウシカクマメの棚も払う。

土手の菊芋も抜く。
根元に芋が見える。
もともとは栄養価の高いこの芋を食用にと植えたのが始まりだったのだが。
繁殖力が強く、今ではやっかいの感。
少しだけ掘り上げ、どうするか聞いてみた。
「味噌漬けにするから洗って…」と。
しばらくぶりに。

菊芋は初秋から中秋にかけて黄色いひまわりのような花を咲かせる。
そのくっきりした花をレリ-フにしたのは10月10日のことだった。

  冬来る眼をみひらきて思ふこと  (三橋鷹女)

菊芋161

菊芋162

キクイモレリ-フ162

キクイモレリーフ161

14年9月17日
                                                                 2014/9/17
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ハマギクとノギクのレリーフ(浜菊・野菊) ~やってきのは~
- 2016/10/26(Wed) -
浜菊823

寒かった。
暖房を入れようかどうか迷った。
県北では初霜だと伝えていた。

大根に土を寄せた。
畑仕事のあとの脚は冷えていた。

ツッ、ツッ、ツッ。
ツッ、ツッ、ツッ。
耳を傾ける。
それは何年も聞き慣れた声。
もしかしてと、急いで辺りを見渡した。
いた。
3月に伐り倒した桜の大きな切り株の上。
雄の尉鶲(ジョウビタキ)。
尾を上下にゆっくり振る姿が愛らしい。
10月も下旬、そろそろ現れるかと心待ちにしていた。
この時期になると、毎年北の大地から来てくれる。
雌の姿も早くみたいものだ。
三月までは、短くリズムを刻むその声を聞かせてくれる。

ダウンのベスト、ジャケットを出す。
長靴も冬用に替えた。

   一羽来てすぐ一羽来て尉鶲  (坂本宮尾)

ハマギク824

浜菊821

野菊825

浜菊822
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バラ・カクテルのレリーフ(秋薔薇) ~「あきそうび」という響き~
- 2016/10/21(Fri) -
カクテル192

飲み会のお誘いがあった。
年長の方が多く、立場的に気兼ねする会。
夜に弱く、併せてアルコールとあまり親しくしていない私。
丁寧にお断りした。
歳のせいか、そんなことが苦手になってきた。
「不義理な奴だ」と声が聞こえてきそうだが。
最近は疲れないことを優先する。

秋の薔薇には少しの淋しさともの悲しさがある。
少なくて小さくなって、でも深みがあって。
私は「あきそうび」というその響きが好き。

カクテルをレリ-フに。

   秋薔薇に袖垂れ去ぬる懺悔僧   (菅裸馬)

カクテル190

カクテル189

カクテル191
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ニンジンのレリ-フ(人参) ~夏畑の片付け~
- 2016/10/14(Fri) -
人参レリ-フ161

夏畑の片付けもだんだんに進める。

取り残してあった人参も。
抜くとどれもが小さい。

細かい葉とやわらかな茎と逆円錐形のその形。
レリ-フにするのも面白い。

構成は土も加えたイメージで。
色は人参らしさが出るまで丁寧に何度も塗り重ねる。
ん~ん…、まっ、いいことにしよう。

「虫も入れるとよかったかもよ」と声がかかる。

  人参を人参色に洗ひあげ  (小島花枝)

人参162

人参161

人参163

人参レリーフ162

人参レリーフ163
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アカマンマのレリーフ(犬蓼) ~一人ままごと遊び~
- 2016/10/10(Mon) -
赤まんまのレリーフ161

ところどころにアカマンマが顔を出している。
その名前と形がそうさせるのだろう、懐かしさと親しみを感じさせる花である。

そんな秋空の下の野の花をレリーフにした。
色も実際に近づける。

こんな愛らしいアカマンマの花言葉は「お役に立ちたい」。
 
  わが心やさしくなりぬ赤のまま  (山口青邨)

赤まんま162

赤まんま163
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レリ-フ(マリーゴールドとノギク) ~秋を切り取る~
- 2016/10/05(Wed) -
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マリーゴールドが咲き続けます。
そばではノギクも広がります。
二つの花をレリーフにしましょう。

バランスを整えてレイアウトします。
粘土に型取りして写します。
溶いた石膏を粘土の雌型に流し込みます。
1時間ほどおいて粘土と雄型を外します。
石膏雄型の汚れを洗い落とし、天日で乾燥させます。

ブロンズ風に着色して仕上げます。
ビリジャンとバーントシェンナとカーマインの3色の混色です。
化繊を使って表面を軽く磨き、立体感を浮き出させます。
はい、壁掛けができ上がりました。

秋を遊んでいます。

   秋暁や胸に明けゆくものの影  (加藤楸邨)

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バラ(薔薇) ~秋には~
- 2016/09/02(Fri) -
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夜には一段の虫の音。
リリリリリリ…、リリリリリリ…。
私はここにと鈴虫。

私も秋。
作品を仕上げる。

赤い薔薇を一輪剪った。
彼女のそばに。
香る。

   薔薇剪るや深きところに鋏入れ  (島谷征良)

66 - コピー

直付け造型2016/8 - コピー (2)


01 - コピー

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フキン(木彫の布巾) ~台所の片隅に~
- 2016/05/04(Wed) -
布巾0

通常、台所には立たない。
でもたまに洗い物をすることはある。

折り畳まれた布巾があった。
その柔らかな感じと布の質感…彫りで表現してみよう。

朴板を用いる。
およその形を切り取る。
全体の厚みを丸刀で彫り下げる。
各部分の段差を出す。
重なりを表す。
布と布の間にできた隙間を彫る。
僅かに見えるなだらかな凹凸、折り角にできる皺、端の反り返りなども。
サンドペーパーで磨き、刀痕を消す。
着色はいつものようにポスターカラーで。
以前に彫ったエンドウ、トウガラシ、ピーナツを乗せてみる。

さて今日は「みどりの日」、草刈りでもしよう。
♪みどりのそよ風 いい日だね  ちょうちょもひらひら 豆のはな~

  木々の香にむかひて歩む五月来ぬ  (水原秋櫻子)

布巾1

布巾2

布巾3

布巾4

布巾5

布巾6

布巾7 - コピー

布巾9
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ホン(木彫の本) ~本棚の中から~
- 2016/04/07(Thu) -
本1

心を耕してくれた古い本など、愛着があってなかなか処分できない。
その中の一冊を彫ることにした。
昭和17年発行、定價二圓八拾銭。

朴板を本のサイズに切る。
全体の厚さに合わせて丸刀で薄くしていく。
微妙に反りのある表紙、裏表紙を表す。
丸い背と開き溝の線を形作る。
天と地と小口を彫り下げる。
束に筋をつけ一枚一枚の感じを出す。
筆とスポンジを使って着色。
経年で退色した紙の質感を混色して表現する。
角の傷みを色を削って落とす。
破れや汚れは水分を多く含ませて滲ませる。
ひとまず完成。

外は四月の雨。

  靄に透く紺の山なみ四月かな  (三森鉄治)

本棚の古本

本2

本3

本4

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本557
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ホシガキ(木彫干し柿) ~干し柿作り~
- 2016/04/03(Sun) -
干し柿01

ここらは昔から、干し柿のブランドの地域として知られる。
晩秋の農家の軒や納屋に並ぶ柿暖簾は風物詩となっている。
11月の中旬、私も家庭用に少しばかりを剥いて干した。
正月に間に合わせた。

春の皿の上に季節外れの干し柿。

朴の木で彫った。
昨日仕上がった。

果肉のやわらかさ。
できる深い皺。
三段になった蔕の表情。
軸にもいろいろな形。
それぞれの特徴を表現する。

着彩はポスターカラー。
糖分の白い粉は歯ブラシでスパッタリング。
ホワイトをつけ、指で弾いて霧状に飛ばす。
蔕の堅い感じも色を変えそれなりに。

「はいどうぞ」。

  あらたしく四月だからと始め事 (あや)

干し柿01-1

干し柿2

干し柿2-2

干し柿3

干し柿3-3

干し柿194

干し柿205
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