コチョウラン(胡蝶蘭) ~幽(かす)かに揺れて~
- 2011/07/31(Sun) -
胡蝶蘭  

愛らしい胡蝶蘭がある。
二つの花茎は分かれるように左右に伸びている。
それにそれぞれ数個の花が付く。
花びらは黄色からオレンジへのグラデーション。
その中に無数の細かな赤い斑点がある。

これは、去年咲き終わったものを、五月になり庭に出して置いていたものだ。
桜の木の下の木陰が、この花にとってちょうど過ごしよい環境だったのだろう。

環境が花を育てる。必要なことを必要な分だけ手を掛ける。
繊細なものにはきめ細かな配慮をし、逞しいものにはその奔放な力を生かす。
人も同じ。いろんな状況を見る。必要なことを想像する。求められる環境を整える。

今日の会議もまた難しくなりそうだ。
責任を負って、しっかり務めを果たそう。
七月が終わる。

   蘭の花幽(かす)かに揺れて人に見す   (西東三鬼)

胡蝶蘭

胡蝶蘭 
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仙丈ヶ岳(3033㍍) ~登山道なかなか高くなつて来ず(阿波野青畝)~
- 2011/07/30(Sat) -
仙丈

雨降る中での決行だ。
ずっとレインスーツを着ながらの登山である。
馬の背ヒュッテ周辺にはバイケイソウやタカネグンナイフウロ、ウサギギクなどが広がる。
2500㍍を越える辺りのハイマツ帯の下にクロユリやハクサンシャクナゲを見る。
仙丈小屋に着いたのは2時過ぎ、周りはガスっている。
中の薪ストーブで冷えた体を温める。
外に出ると、雷鳥の親子が歩いていた。
気温は5度、すぐ中に入る。

翌朝、4時少し過ぎに小屋を出て、登頂を目指す。
3033㍍の仙丈の頂上は風が強く、手がかじかむほどに寒い。
富士山と北岳が並んで目の前に見える。
周りには間ノ、農鳥、甲斐駒、鋸、鳳凰三山、など。
ご来光は厚い雲の中にあり、その神々しい輝きを目にする事はできない。
一旦降りて、小仙丈を廻って下山する。
岩場にひっそりとしたクルマユリの姿。
北沢峠に着いたのは11時過ぎ。

もう、仙丈に登ることはないだろう。
いや、高い山はもう登ることもない。
これからは、近くの山を楽しむ形にする。
秋には小八郎に登ってみよう。

     雷鳥がゐて薄明の霧ながる (山上樹実雄)

雷鳥
ライチョウ

ウサギギク
ウサギギク

バイケイソウ
バイケイソウ

ハクサンシャクナゲ
ハクサンシャクナゲ

クルマユリ
クルマユリ
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ヘリオプシス(Heliopsis ・姫向日葵) ~色目も夏~
- 2011/07/29(Fri) -
ヘリオプシス 

黄色い花がある。
ヘリオプシスは姫向日葵、あるいは菊芋擬(キクイモモドキ)の和名を持つ。
たしかにどちらにも似ている。
違うのは、背丈と花の大きさ。
どこもかしこも夏色。

不思議な夢を見た。
滅多に夢など見ない私だが。
きっと良いことがあると思うことにしよう。

くさぐさの色目や夏のおもむきに (上川井梨葉)

ヘリオプシス   

ヘリオプシス  

ヘリオプシス
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ニガウリ(苦瓜・ゴーヤー) ~蝉の羽化~
- 2011/07/28(Thu) -
せみ

毎朝、畑を一回りしてから勤めに出る。
トマトや、キュウリの朝取りをする。
苦瓜は収穫にはまだ早い。
と、その葉の上に蝉がいる。
殻の上に乗っかかっている。
羽化である。
羽もしっかり伸び、色もはっきり見える。
そろそろ、終わりを迎えているようだ。
もうすぐ飛び立つ頃かもしれない。
苦瓜の上で羽化とは、また変わった蝉だ。

時間である。
朝は、いろいろな出会いがある。
早起きは三文の得…小さい頃、母はそんなことを教えてくれた。

    やわらかき蝉の生まれし苦瓜の花   (文)

せみ 

苦瓜の花
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マツバギク(松葉菊) ~少年の頃の思い出 夏休み~
- 2011/07/27(Wed) -
松葉菊

子ども達の弾んだ声が聞こえる。
自分の子どもの頃の夏休みを思い出す。

当時は一研究というのがあったように記憶している。
日本地図を模造紙に大きく書いていた。
母に教えてもらい、方言によることわざ調べなんてのもやった。
貝を拾ってきた時、希塩酸で汚れを落とすことを教えてくれたのは父だった。
歴代総理大臣や天皇については、自転車に乗って図書館まで行ってのことだったか。
胴乱と新聞紙をもって身近な雑草を収集。
展翅板にコノハチョウを広げ、そして標本作り。

ラジオ体操カードにハンコを押してもらい、休み明けには提出。
下にその日の様子を書き、そして上に色鉛筆でその出来事を絵にしたのはたぶん低学年のこと。
麦藁帽子に捕虫網を持ったランニングシャツの色黒な少年がボク。
今の子どもたちにも絵日記というのはあるのだろうか。

結構、クリヤーにそのときどきのことがモノクロの映像になって甦ってくる。
のんびりした時代だった。

鮮やかな淡紅色の花が庭先にある。
まさに夏って感じがする花だ。
それは、花びらが花火のように、きれいに放射状に広がる松葉菊。
「夏に負けないでね」、そんな声が聞こえて来そうである。

   大きな木大きな木蔭夏休み    (宇多喜代子)

松葉菊   

松葉菊  
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花無心 蝶無心
- 2011/07/26(Tue) -
蝶と花 

  花無心    坂村眞民

  濁りなき身に
  濁りなきもの寄りくる

  濁りなき心に
  濁りなきものの映り来る

  濁りなきものを恋い
  路傍の花に向う

  花無心にして
  蝶来たり
  蝶無心にして
  花開くとや
  噫々


花は蝶を待ち
蝶は花を求める
気持ち良さそうに留まっている蝶を見ると
私も蝶になってみたくなる

でも
濁りなき身とは
濁りなき心とは
そして無心とは
難しいなあ

   朝日のび二つ蝶のいる夏の花   (文)

蝶と花

まかとりあ  
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キキョウ(桔梗) ~いにしえの庭にもありし姿と~
- 2011/07/25(Mon) -
白桔梗 

白い桔梗と青い桔梗が仲良く並んであります。
それは地上に降りてきた星のようです。
白い星と青い星…男星と女星でしょうか。

憶良が詠み、清少納言も見たという桔梗です。
あの歴史の中の人々の目に触れた花です。
古(いにしえ)の文学に繋がる花です。
そんなことを思ったりすると、嬉しくなります。

一昨日からです、白い桔梗と青い桔梗が咲き出したのは。

    桔梗の空のひろがる信濃なり   (阿部誠文)

桔梗

白桔梗
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ノウゼンカズラ(凌霄花) ~蛍蛍、ほたるほたるほたる、ホタル…~
- 2011/07/24(Sun) -
ノウゼンカズラ   

夕食後、ふと思い立って散歩に出た。
蛍が見たくなったからだ。
近くにある棲息地での、いつもの盛りは6月下旬。
大暑のこの時期まで、果たして舞っているだろうか。
せめて1匹、2匹に出会いたいと、かすかな期待を持ちつつ川沿いを歩く。
歩を進めて数分。
「あっ、いた」。
続いて、「あそこにも。そこにも」。
思わず声が出る。
足元の草むらに、離れた竹藪の中に、次々と暗闇にほのかな光が浮かぶ。
目の前の宙をふわりと横切る。
何匹も何匹もである。
ついには腕の上に。
両手を合わせ、包み込むようにして入れる。
黄色い灯りが手を灯籠のようにする。
いつのまにか童心の自分。
いい時間だった。
「行ってよかったね」。
「ああ、よかった」。
昨夜のことである。

凌霄花が昼間の空に登る。
地面には蝉の穴がいくつも開いている。

   凌霄花や旦(あした)の蝉の啼きいづる   (百合山羽公)

ノウゼンカズラ

ノウゼンカズラ  

ノウゼンカズラ 
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グラジオラス(Gladiolus・唐菖蒲) ~揺れてをのをのをの席~
- 2011/07/23(Sat) -
グラジオラス  

小さい時のグラジオラスのイメージは朱色だった。
私の中ではグラジオラスというとそれがきまりだった。
強い陽射しが映すコントラストの濃い野山に広がっていた。
このようにグラジオラスは野の花だと思っていた。
今はグラジオラスにも様々な色や形がある。
作り出された色とりどりのグラジオラス。
美しく気品さえある。
でも、やはり少年時代と重なるグラジオラスはどうしても朱色である。

   グラジオラス揺れてをのをの席につく    (下田実花)

グラジオラス    

グラジオラス   

グラジオラス 

グラジオラス
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クロコスミア(Crocosmia・姫檜扇水仙) ~水のごと光るべし~
- 2011/07/22(Fri) -
クロコスミヤ

   底深き縁の澄みて
   静かなる如く
   心あるものは
   道をききて こころ安泰なり  (法句経)

仕事が一段落した。
やらなければならない義務をいくつも負う。
しかしながら、なかなか予定通りぬ進められないもどかしさがある。
そしていつも思うのは、余裕を持った働きをしなくてはということ。
なかなか、自己学習が機能しない。

次、今度…はないものと思え。
今こそが一生。
向上するのも堕落するのも自分持ちであることを自覚して、修行向上に励むこと。(内山興正)

仕事終えて、寛ぐ中で手にする本の中にそんな言葉を見つけるとなおさらである。

クロコスミアが咲いている。
花はやや下向き。
色は濃橙色。
姫檜扇水仙との美しい和名があるという。
これも毎年増えてありがたい。
束ねて切って部屋に入れた。

   わが朱夏の詩は水のごと光るべし    (酒井弘司)

クロコスミヤ 

クロコスミヤ   

クロコスミヤ  

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テンニンギク(天人菊・ガイラルディア ) ~きちんと並べをる~
- 2011/07/21(Thu) -
ガイラルディア 

天人菊には景色に馴染むような飾らぬ美しさがある。
花は外が黄色、中が橙紅色の覆輪となっている。
そんな中に、一輪だけ黄色だけの単色の花を見つけた。
何年も覆輪だけを見て来たので、ちょっと驚いた。
たまにはそんな変わり者もいい。
天人菊はとても丈夫な花だ。
毎年のように株が増えて広がっていく。
この暑さにも負けずに長く咲き続ける。
好きな花の一つだ。

   暑き故ものをきちんと並べをる   (細見綾子)

ガイラルディア

ガイラルディア  
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コオニユリ(小鬼百合) ~あいらしかなそのあばた~
- 2011/07/20(Wed) -
こおにゆり 

おれんじのゆりのはなですね。
小鬼百合です。
こおにゆり?
小さい鬼百合です。
では、おおきいおにゆりもあるんですか?
そうですね、これより大きい鬼百合というのがあります。
おにのながつくとこわいかんじがしますが、くるりとそりかえってかわいいではないですか。
どうして鬼の名が付くのか私もよく分かりません。
むしろしょうじょをおもわせるようなあいらしさがありますね。
葉も茎も細くて、か弱い感じのある花です。
まいとしさくんですか?
植えっぱなしにしてあるんですが、毎年この時期に顔を出してくれます。
いいですね。
百合根って知っていますか?
もちろん、ちゃわんむしにいれるのがすきです。
その百合根の花がこれなんです。
えっ、そうなんですか。しりませんでした。
ほら、隣には大きなカサブランカも咲こうとしていますよ。
いろんなゆりがあるんですね。
百合は花としてもちろん魅力的ですが、加えて切り花として長持ちするので好きなんです。
へやにゆりのかおりがひろがるんですね。
そうです。でも花粉が服に付いたりすると大変です。
なるほど。
雨が落ちてきましたよ。
なかへはいりましょうか。

  しづけさは鬼百合の丈そのあばた (森澄雄)  

こおにゆり  

コオニユリ
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ムクゲ(木槿) ~儚くてまいにち淋し~
- 2011/07/19(Tue) -
ムクゲ 

鶯が鳴く。
手を休めて冷たいお茶を飲む。
すると今度は時鳥。
聞きなしで知られるあの独特の鳴き声だ。
長く続く。
そしてときどき鶯と時鳥の声が重なる。
暑さを忘れさせる森からの届け物。
少しの安らぎ…。
再び画面に向かい、キーを打つ。

白い木槿も見頃。
5弁の中には赤い放射模様。
花は次々に咲き、次々に落ちていく。
木槿は「儚い一日花」。

    白木槿まいにちさいてまいにち淋し    (山口青邨)

ムクゲ  

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ギボウシ(擬宝珠) ~こころを落ち着かせ~
- 2011/07/18(Mon) -
擬宝珠

同級会の案内があった。
11月と2月の二つである。
一つは海辺のホテル。
5年前の案内には行けなかった。
私には今回が最後となるかもしれない。
もう一つは山あいの温泉旅館。
これは2年前に続いてである。
ここにはどうしても行くべき理由がある。

時は人をどのように変えたのだろうか。
人はその人生をどのように歩んだのだろうか。
どのような生業(なりわい)の中で皺を刻んできたのか。
年輪を重ねたそれぞれの顔にお互いの歴史を見る。

そういえば、2年前にはつらい過去を涙で語った彼がいた。
「気にするなよ」と周りは励ます。
「同級」という絆で結ばれた仲間の温かさが彼の涙を止める。

それぞれが悲喜こもごもの物語を懐にしてやって来る。
そんなショートショートを聞くのも楽しみである。
青春の一コマが走馬燈になって巡ってくる。
だいぶ先のことだが、スケジュールをきちんと記しておこう。

擬宝珠が庭の小径に溢れて咲いている。
花径が伸びて総状に花を付ける。
傾き斜めになって径に被さる。
顔を近づけて覗けば、一つひとつの花も美しい。
花言葉は「心の落ち着き」と「沈静」。

   木漏れ日の径を遮る花擬宝珠(文)

擬宝珠  

擬宝珠 

ぎぼうし 

ぎぼうし
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アルストロメリア( Alstromeria・百合水仙) ~引き立てる気配り~
- 2011/07/17(Sun) -
アルストロメリア 

ドーン、ドーン、ドンドンドン、ドーン。
部屋に重いずっしりとした低い音が届く。
町の祇園祭の花火だ。
2階に上がると、放射状に、あるいは柳になって鮮やかな色が広がる。
夜空が華やぐ夏祭りの季節。
そして鎮魂の夏。

朝のラジオは懐かしい音楽を流していた。
   麦藁帽子はもう消えた 
   田んぼの蛙はもうきえた 
   それでも待ってる 
   夏休み
つい、彼にあわせて口ずさむ。
若者たちがロングヘヤーだった頃の歌だ。
そして私の生活の中にもギターがあった。
その頃の楽譜が捨てられずにある。

庭では淡黄色のアルストロメリアが盛りを迎えている。
上と下の花びらに暗赤色の条斑が多数ある。
しかし左右の花びらのそれは目立たない。
そこに花の造型の妙、自然の作り出す不思議を見る。
強い陽射しや暑さに強く、また耐寒性もあるのでこうして毎年こうして顔を出してくれる。
また、何より花期が長いのが重宝だ。
アルストロメリアには「やわらかな気配り」、「人の気持ちを引き立てる」の花言葉があるという。
小さな花瓶に挿して職場の机の上に置こう。
頑固な心も少しは柔らかい気持ちを持てるかもしれない。

    揚花火二階灯してすぐ消して   (長谷川かな女)

アルストロメリア  

アルストロメリア   
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キンシバイ(金糸梅) ~いさぎよし颯々の夏~
- 2011/07/16(Sat) -
キンシバイ  

  あゝ
  わたしはもう
  野心もなく欲もない
  ただしずかに生きてゆきたい
  美しいひとの美しい心にふれて
  こころみださず生きてゆきたい
            (『坂村眞民自選詩集』から 「夕空」より部分)

猫柳の枝に青大将の抜け殻がぶら下がっています。
そこまで登って脱皮したのでしょうか。
あんな1㍍を超えるほどの大きな体が、よくも細枝にと思ったりもします。。
そういえば以前も梅擬きの枝にもありました。
暑さに弱い彼らも、涼しい緑陰を求めてやって来るようです。
どうやらこの庭は、蛇たちにも住み心地がいいのかもしれません。
私はあまり交流を深めたくないのですが。

その近くに黄色い五弁花が咲いています。
金糸梅です。
雄蕊をいっぱいもっています。

花には野心も欲もありません。
眞民さんの言うように私も「こころみださず生きてゆきたい」のですが…。
まだまだいろいろを捨てきれない自分です。

    樹々そよぐ颯々の夏いさぎよし (森澄雄)

キンシバイ
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イトバハルシャギク(糸葉春車菊) ~桔梗の絵葉書届く~
- 2011/07/15(Fri) -
イトバハルシャギク

きいろいこすもすですか?
いえ、イトバハルシャギクです。
いとば?
ええ、糸の葉と書きます。
いとって、ぬういとのことですか?
そうです。葉がこのように細いことに因むようです。
はるしゃとは?
春の車と書きます。
はるにさくはななんですか?
いえ、春車とはどうやらペルシャのことのようです。
そうなんですか。
糸葉春車菊…名前からして繊細な感じがしますね。
きょうもあつくなりそうですよ。
お互いに水分をこまめにとって、体調管理には十分気をつけましょう。
あすからさんれんきゅうですね。
そうですね。でも、私は仕事が詰まっています。
そうでうすか。あまりむりなさらないように。
休み休みしながら、頑張ります。
あ、おきゃくさんです。

     まつすぐに一を引くなる夏書かな   (高野素十)

イトバハルシャギク 
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ユリ(タラゴナ)~香を深く吸ふ~
- 2011/07/14(Thu) -
タラゴーナ

  みんなでいちばんいいものをさがそう
  そして ねうちのないものに あくせくしない工夫をしよう

  さがしたってないんだ
  自分でぐうっと熱が高まってゆくほかない
  自分の体をもやしてあたりをあかるくするほかない
                               (八木重吉)

工夫をしよう
なにを
これは
それも
ほしいものは我慢できる
必要なものだけにしよう
あれは
できる
すこしだけでいい
気持ちだ
工夫をしよう

いろいろな百合が咲き出しています。
切り花にいいですね。
大きな器に活けましょう。

    百合の香を深く吸ふさへいのちかな  (村越化石)

タラゴーナ 

タラゴーナ  
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ナツツバキ(夏椿・沙羅の木)~水のごときに~
- 2011/07/13(Wed) -
シャラ

真っ白な沙羅の花。
縮れに縁取られる花びらと黄色い雄蕊の花糸。
その妙がなんとも味わい深い。
しかしそれは儚き命の花。
朝に開けば、夕刻にはその形は地にある。
清らかで美しい。

   肉体を離れてしずか沙羅の花    (高澤晶子)

シャラ 
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ポンポンザキキンシバイ(ポンポン咲き金糸梅・ ヒペリカム・サンバースト)~深く折る~
- 2011/07/12(Tue) -
ポンポン咲きキンシバイ

黄色い花が次から次。
丸い球状の蕊をふさふさと。
それはチアリーダーのポンポンのよう。
その名もポンポン咲き金糸梅。
でも、そんな形は長く保てぬ。
今日また新しい花が咲き、昨日の花は終わる。

花言葉は「悲しみは続かない」
今日一日が一生。

     或時は谷深く折る夏花(げばな)かな   (高浜虚子)

ポンポン咲きキンシバイ  

ポンポン咲きキンシバイ 
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リアトリス(Liatris・麒麟菊)~デクレッシェンドのかなかなかなかな…~
- 2011/07/11(Mon) -
リアトリス

長い穂状の花が並び咲く。
色は明るい紫。
それは小さい花の集まりのリアトリス。
毎年の夏に馴染みとなった顔。
その変わった出で立ちが素敵。
4、5本切って部屋の中にも招き入れる。

またひぐらしのなく季節となった。
ものかなしげな音調がひびきわたる。

  かなかなと鳴きまた人を悲します  (倉田紘文)

リアトリス 

リアトリス  

リアトリス    
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ネジバナ(捩花・モジズリ・文字摺)~もののはづみのねぢれかな~
- 2011/07/10(Sun) -
もじずり     

あついですね。
暑いですね。
せみですよ。
朝から賑やかですね。
にいにいぜみですか?
きっとそうでしょう。
油蟬にはまだ早いですものね。
あまがえるもいますよ。
いい緑色していますね。
よるがにぎやかになりそうです。
そういえば、龍之介に「雨蛙おまえもペンキ塗りたてか」という句がありました。
だんだんになつのせかいがめにみえてふえていきますね。
今年の夏はいろいろと心配です。
おやっ、あれはねじばなではないですか?
そう、文字摺です。
どうしてこのはなはこうねじれてさくんですか?
どうしてなんでしょう、私にもよく分かりません。
そいいえばこうこうのころ、もじずりのこいのうたをならったきがします。
「陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに」でしょうか。
むかしからにほんにあるはななんですね。
そして、多くの人の心を掴んできた花と言えるかもしれません。
きょうもあつくなりそうですね。
松本は33℃の予報が出ていましたよ。
きょうのかいぎのみとおしはどうなんですか?
課題の多い会議ですので、私にも先が読めません。
ほうこうせいがはっきりでるといいんですが。
どうなるんでしょうかね。迎えの車が来たようです。では出かけましょう。

   捩花のまことねぢれてゐたるかな    (草間時彦)

もじずり   

もじずり
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アジサイ(紫陽花)~色をあつめて~
- 2011/07/09(Sat) -
紫陽花 

紫陽花。

色もいろいろ。
形もいろいろ。
大きさもいろいろ。

雨によく。
晴れによく。
いずれの日にもよく。

移りゆく。
流れゆく。
変わりゆく。

手にとって「水鏡」に映す己の姿。

   あぢさゐの色をあつめて虚空とす (岡井省二)

紫陽花

紫陽花の花 

あじさいの花

あじさい  

あじさい 

アジサイ  

アジサイ 

あじさい

アジサイ

 紫陽花  

 紫陽花 

 アジサイ 
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ヒメシャラ(姫沙羅)~白い花に夕べのひかり~
- 2011/07/08(Fri) -
ヒメシャラ

雨の中、往復で約22㌔の軽登山をする。
ほとんどが雨具装着のままの行程となった。
ある意味では、かんかん照りでなくて歩きやすかったのかもしれない。
久しぶりの長距離歩行で、多少の痛みが脚にはある。
かといって、さほどの疲労感はない。
我ながら意外と丈夫である。
下旬に仙丈ヶ岳(3,033m)に登るための、足慣らしだった。
仙丈には何度も登頂しているので、心配は無いが、しかしそれなりの準備は必要である。
それに備えて、5月から体重を落としてきた。
しかしまだ2㌔減のみ、目標にはまだ足りない。
あと3週間、さらに減量に努め、体調を整える。

姫沙羅が咲いている。
これにも虫が来て遊ぶ。
そういえば「姫」の名を冠するものは、およそ本家の花より小さいものに付けられている。
総じて、小振りで可愛いものが多い。
これも沙羅よりも花が小さい。
色形はほとんど同じようであるが、葉に若干の違いがあるのがわかる。
そばにあるその沙羅も蕾が膨らみだした。

   濡縁に夕べのひかり沙羅の花   (藺草慶子)

ヒメシャラ 
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タニワタリノキ(谷渡りの木)~雨の七夕~
- 2011/07/07(Thu) -
タニワタリノキ

   ○    八木重吉
  ひょっとして
  ぐうっと 心が伸びて
  自在に 形づくってゆく
  私のである(そして世界のである)
  新しい 草をつくる
  木をつくる

雨の七夕です
子どもたちはどんな願いを込めたのでしょう。
私も少し童心に戻る時間にします。

“ぐうっと 心を伸ばして”
“新しい 自分をつくる”


谷渡りの木は上から見ても横から見ても丸い花。
雄蕊がたくさん伸びて、まるで花火のようです。

   七夕の一粒の雨ふりにけり   (山口青邨)

タニワタリノキ  

タニワタリノキ 
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ノリウツギ(糊空木・さびたの花)~花の訪問者たち~
- 2011/07/06(Wed) -
糊空木

装飾花に囲まれて中には小さなたくさんの両性花が見える。
この多くの円錐花序を咲かせているのは糊空木。
木いっぱいの白い花はいかにも涼しげである。
花には小さな虫たちが次々にやって来る。
この日見たのは、ヨツスジハナカミキリ、クロオオアリ、そしてアカウシアブ。
ほかにも蝶などが時々やって来る。
この花は彼らを引き寄せる魅力的な何かを持っているのだろうか。

昨日、寝る前にたまたま開いた本の第2話の扉はこうであった。
「言葉には姿がある。美しい心の人は、言葉も美しい」   (青山俊董著『悲しみはあした花咲く』より)
話の中で、古谷綱武の次の言葉を取り上げて、“心とことばのおしゃれ”を説く。
「言葉への愛を持ちたい」、「自分の使っている言葉の姿を、いつも自分で見ている人間に」と。
師は最後に、「美しい心にしてはじめて容姿も言葉も美しく温かく、深いものとなりましょう」と結ぶ。
難しいことではあるけれど、少なくとも、人を悲しませたり、傷付けるようなことだけは心したい。

   水よりも風澄む日なり花サビタ  (上村占魚)

ノリウツギ

のりうつぎ  

のりうつぎ

のりうつぎ 
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シライトソウ(白糸草)~ゆっくりと時間は流れ~ 
- 2011/07/05(Tue) -
白糸草  

名前がいいですよね。
白い糸の花(草)なんてね。
ちょっとロマンチックでしょ。
学名のChionographisは「雪のような筆」の意だとか。
これもまたステキ。
たしかに集まった小さな花は筆のようにも。
でも、どれが花か、どこまでが花か、どれが蕊か…私にはよく分からない。
ともあれ、その名を表すような立ち姿ね。
おしとやかなお花。
ところで、赤糸草なんてのもあるかしら。

  白糸草屈みて見れば時ゆるやか    (文)

白糸草

白糸草 
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アジサイ(くれない・紅)~白から始まる~
- 2011/07/04(Mon) -
くれない 

くれないはすべてが小さな紫陽花である。
まず白から始まる。
そして、まわりに少し紅(べに)を引いていく。
だんだんに花びらは色の割合を変えながら赤に染まっていく。
おしまいにはすべてが真紅になる。
30年程前に、ほど近い山地で発見された紫陽花である。
このところ樹勢に衰えが見え、花数も少なくなってきた。
ほんとうは、これも山の奥深い木々の下にあるのがいいのだろう。

   紫陽花やはかなしごとも云へば云ふ   (加藤楸邨)

くれない  

くれない   

くれない
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クチナシ(梔子)~旅路の果てまで付いてくる~
- 2011/07/03(Sun) -
くちなし

アメリカシロヒトリが大量に発生した。
見るからに鳥肌が立つような不気味さだ。
特に桑の被害が大きい。
ほかに花水木、プルーン、鬱金桜なども。
高三脚に乗って枝を剪り、焼却処分する。
黒松にはマツカレハが蠢く。
体中に毛を立てた大型の毛虫だ。
すでにほとんどの葉が食い尽くされている。
手の施しようがない。
葉の再生の力を信じて待とう。
早朝からの重労働であった。

馬鈴薯も収穫した。
少ない家族には何ヶ月も持ちそうなくらいである。

庭で甘い香りがする。
その主はすぐにわかる。
これだけの芳香を放つのはこの時期、梔子しかない。
山茱萸の下に、李の下に、その白い花が咲いている。
いつまでも鼻を付けておきたいくらいにいい香りだ。
ついつい、「梔子の白い花 お前のような…」と、昔の歌が口からこぼれる。

    梔子の花見えて香に遠き距離   (八木澤高原)

クチナシ

クチナシ 
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ミソハギ(禊萩・千屈菜・鼠尾草)~鼠尾草に風渡る半夏生~ 
- 2011/07/02(Sat) -
ミソハギ

私の子どもの頃には、今のようにエアコンなどはなかった。

どの家にも数枚の団扇が部屋の片隅に掛けて置かれる。
夏の必需品だ。
朝顔や蝉、あるいは浴衣姿など様々な絵模様が描かれる。
作家の名の入った(もちろん印刷だが)表現レベルの高いものも多かった。
骨はすべて竹だったし、面はすべて紙を貼り合わせて手作り感がある。
使い続けて、だいたいはところどころ裂けたりしている。
その、骨がむき出しになったところがまたいいのだ。
一つ、二つある扇風機は貴重で活躍した。
それも洒落たデザインというより、機能性を重視したものが多かった。
本体など、鋳物で出来ていたりして重かった記憶がある。
故に、静音なんてものではなく、羽が回り出すと結構な音がした。
扇風機には細長い紙が糸で付けられたりして、それが小刻みに揺れ、涼しさを演出する。
夜は蚊帳を吊って寝る。
もちろん、戸などは開けっ放しだ。
渦巻きの蚊取線香はどこでも必需品だった。

こうして書き綴れば、昔はそれで工夫して夏を乗り切っていたのだと。
節電はしなくてはならない。
しかし、生活の中での工夫はまだまだできそうである。

直立した茎に咲く淡紅紫色の花はミソハギである。
聖霊花・禊萩・千屈菜・鼠尾草…の字があてられる。
それぞれの名付けには由来と意味を持つ。
花には団扇も扇風機もない。
今日は半夏生、花はただ咲く。

   鼠尾草に父母思えば風渡る   (文)

みそはぎ 

みそはぎ
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シモツケ(繍線菊) ~『繍線菊の咲く頃』~ 
- 2011/07/01(Fri) -
シモツケ 

七月。
うーん。
七月。
七月。
七月。
これまでの自分を評価する。
七月。
七月。
七月。
七月。
七月。
やれなかったのか。やらなかったのか。
七月。
よし、後半に向けてよーいどん。

繍線菊を見ると、いろいろ思い出すことがある。
この花は、多くの草木に溶け込みながら、静かに咲いているのがあっているような気がする。
景色に紛れるようにして、ひっそりと。
『繍線菊の咲く頃』、そんな物語でも書いてみたくなる。

    後の日に知る繍線菊の名もやさし   (山口誓子)

シモツケ
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