いつもより遅くなったが、およその夏野菜の植え付けが終わった。
ここへ来て真夏日が続いているが、つい先日までは気温が低かったため少し先に伸ばしていた。
これから出回る苗用にいくらかのスペースを空けておく。
あとはそれらの顔を日々眺めながら、会話をしつつ除草などをして育てていく。
先般蒔いた牛蒡や茶豆も芽を出している。
ジャガイモの育ちも順調である。
サツマイモの苗は来週あたり迄まとう。
そんな畑の仕事をしていて、昔に書いた文章を思い出した。
自分の畑にどんな花を咲かせるか、どんな野菜を作るか。
そのためには個々の植物の特性を知り、植える場所や配置を考えなければならない。
同一作物による連作障害などにも配慮する。
長い時間と手間を惜しまないずくと成長に必要な知恵が求められる。
まず畑は土作り。
しっかり耕し、空気を入れ換え軟らかくする。
根が横に広がるように、あるいは深く深く伸ばせるように。
次は栄養である。
痩せた土ではいい花や野菜は育たない。
NPKをバランス良く含有した相応の施肥が必要だ。
花、実野菜、葉野菜、根菜それぞれに適した肥料がある。
また、過肥は根腐れを起こすし、開花の阻害を招いたりする。
必要なものを必要なだけ施す。
水を多くほしがるもの、逆に乾燥気味を好むもの様々である。
やり過ぎやほったらかし、つまり過保護でもいけないし放任でもいけない。
それぞれに対し、時期時期においてやるべきことの見通しを立てながら育くむ。
春夏秋冬では自ずと違った仕事がある。
夏は草が作物を駆逐しないように暑い日ざしの中での除草が必要である。
何もしなければ草がはびこる畑になるし、花は貧相となり、少ない実りとなる。
時には葉が病気にやられてしまうこともあるし、また根が虫に食われることもある。
その時どきに応じて的確に判断し、的確な処置が求められる。
野菜や花の仕事は合理的で理にかなったものでなければならない。
季節に応じその花や作物の様子を確かな目で見つめながら何をどうすれば良いかを思案し、事を行い働く。
手を抜けば手を抜いただけの姿となって現れ、手を入れれば入れただけの立派な花や大きな実りを得る。
畑仕事あるいは植物を育てるということは人が自分自身を育てることに似ている気がする。
人は疲れもする、弱りもする、病気にもなる。
われわれはまさに「自分を植え、育てる」仕事をしている。
果たして自分畑の仕事は適切か。
5月の陽射しを待っていたかのように、アヤメ(アイリス)の仲間も咲き出した。
渡る風アイリスの花は背を伸ばし (文)