カリン(花梨・榠樝)  ~運転席の横にも花梨の実~
- 2011/11/30(Wed) -
かりん   

実高くにあり
枝にささる楕円

落ちて転がり
庭に香を放つ
一つを車に入れる

   おのが香を庭に放ちて榠樝熟れ  (金子伊昔紅)

かりん  

かりん 

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イロハモミジ・イロハカエデ(伊呂波楓)  ~透き通る~
- 2011/11/29(Tue) -
イロハカエデ   

その前に立つ。
考えない。
ただ感じる。
ただ見る。
表の彩。
裏の趣。
浴びてよし。
陰のわび。
重なればなおふかし。

言葉を拾ってみるが…。
言葉はいらない。

イロハニホヘト。
色は揉みぢ。

木全体を押し花にしたい。

   日々是好日、就中此日紅葉濃し (中野三允) 


イロハカエデ 

イロハカエデ  

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キク(菊)  ~「しゃきっと」~
- 2011/11/28(Mon) -
菊 

花の姿もだんだん少なくなっている。
しかし、菊だけはまだ霜にも負けてはいない。
氷点下の朝でもしゃきっとしている。

少し先の林の上を鳥の群れが旋回している。
絵にでも描きたくなるような光景だ。

日中は気温も上がり、少し季節が戻ったかのような暖かさだった。
「小春日和」、そんな言葉の陽気に包まれた一日だった。

  玉の如き小春日和を授かりし  (松本たかし)

菊  

菊

菊   
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ほおずき(鬼灯)  ~そんな気がする靜かな霜の朝~
- 2011/11/27(Sun) -
ほおずき 

   ある時   山村暮鳥

  おや、いつのまにか
  自分のこころも
  なんとなくうすぐらくなつた
  靜かな晩秋である
  ちろちろと
  赤い小さな灯(ともしび)が
  もうそのくらがりには
        ともされている
  そんな気がする

冷えた朝だった。
箒を持った。
ぐるりを掃いた。
掃いた後にまた葉が舞い散っていた。
霜が降りている。
草花は白くなる。
鬼灯も霜姿に。

   まだ読まぬ詩おほしと霜にめざめけり   (田中裕明)

ほうずき  

ほおずき   

ほおずき

ほおずき    
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マリーゴールド  ~今といふ刻~
- 2011/11/26(Sat) -
マリーゴールド 

秋よ、もう少し私のそばにいてくれないか。
君とまだ語り足りないのだ。
いや、君の澄んだ言葉を聞きたいし、君の感性を心をもっと知りたい。
席を立つのをちょっととどまってほしい。
マリーゴールドだって咲いているのだから。
1年先まで逢えなくなるというのは寂しいのだよ。
そんなにせかずにもう少しだけそばにいて…。

   母韻の秋   大江拓次

 ながれるものはさり、
 ひびくものはうつり、
 ささやきとねむりとの大きな花たばのほとりに
 しろ毛のうさぎのやうにおどおどとうづくまり、 
 宝石のやうにきらめく眼をみはつて
 わたしはかぎりなく大空へとびらをたたく。

   今といふ刻(とき)またあらず秋晴るる  (成瀬正とし)

マリーゴールド
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サツキ(早月)  ~凩にそっと引きとゞめ~
- 2011/11/25(Fri) -
さつき

  白い季節の風に吹かれ
  寒い冬がやって来る
  激しく萌える恋の炎は
  誰にも消せないの

『木枯らしに抱かれて』がラジオから流れてくる。
“せつない片想い”を湯船の中で聞く。

冬の声だというのに早月がちらほら。
杜鵑の鳴く爽やかな季節の花なのに。
何を思って返り咲くのか。

空を見れば空に。
鳥を見れば鳥に。
木を見れば木に。
土を見れば土に。
歌を聞けば歌に。
物悲しさを感じたりする。

   こころしづかにせよと返り花咲けり  (八幡城太郎)

さつき 

さつき  
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サザンカ(山茶花・朝倉)  ~さびた風姿に重ねて~
- 2011/11/24(Thu) -
山茶花   

外の花びらを薄桃色にする山茶花。

霜月下旬、気は地を冷やす。
諸花凋落の季(とき)。
僅かばかりに色残せる花姿に心動かす。
人の一生も春夏秋冬なれば、私もすでに白秋となる。

また同級会の知らせが届く。
来年の2月だという。

   山茶花の日和に翳のあるごとく (西島麦南)

山茶花朝倉 

山茶花  

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コチョウラン(胡蝶蘭・なごり雪)  ~青女庭に来たりて~
- 2011/11/23(Wed) -
なごり雪

八木重吉に『霜』という2行だけの短い詩があります。 

     霜
 
   寂しく住むと
   霜はうつくしい


朝、霜が降りるようになりました。
霜にはしみじみとした美しさがあります。
眼に見えぬもののコラボレーションが産み出す美です。
紅薔薇をうっすらと白化粧させる霜に安らぎを見るのです。

  時間濃く使いしと思う霜の晴れ  (北原志満子)

なごり雪  

なごり雪 

なごり雪   
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キモリガキ(木守柿)  ~当たり前でなくありがたく~
- 2011/11/22(Tue) -
木守り柿  

ありがとうございました。
また、お願いします。
しばらくおやすみください。

そんな思いの残果。
空の青に柿の色。
枝は裸。
去りゆく秋。

  木守柿に明日の空はなかりけり   (野口富士子)

木守り柿 
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ニシキギ(錦木)  ~心もくれなゐに染る~
- 2011/11/22(Tue) -
ニシキギ 

「危険な遊び」に「あなたの魅力を心に刻む」「深い愛情」。
どれもニシキギの花言葉。
花は目立たないのに意味深な言葉ばかりなのはなぜか。

たくさんの可愛いぶらぶら。
鮮やかな橙色の実。
葉も錦、実も錦。
心も錦に染めてとか。

初雪だったらしい。

   錦木の実もくれなゐに染るとは  (後藤夜半)

ニシキギ

ニシキギ  
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サザンカ(山茶花)  ~終わりの美学~
- 2011/11/21(Mon) -
山茶花 

杉浦、皆川、スタンカ、野村、岡本、ブレイザー、大沢、広瀬…。
小さい頃は「南海」のファンだった。
特に杉浦と野村が好きだった。
色褪せたアルバムにはグローブを持って構える白黒の写真がある。
キャッチャーのポーズをとっているのは野村に憧れていたからなのだろう。
野球少年だった、小学5年生の頃のものだ。
昔の名前のままのホークスの日本シリーズ優勝で、プロ野球も幕を閉じた。
有終の美を落合にも飾って欲しかった思いもあった。

何かに付け、区切りというものはどうしても必要だ。
「ここまで」と「これから」を「こうする」との決断。
決めたことをどう実行できるかが個を高めていく。
「終わりの美学」。

生け垣の山茶花が陽を浴びる。

   さざん花の長き睫毛を蘂(しべ)といふ (野澤節子)

山茶花   

山茶花
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ナンテン(nandin・南天の実)  ~赤い時白い時~
- 2011/11/20(Sun) -
南天

赤い南天の実です。
白い南天の実です。
赤い丸い実です。
白い丸い実です。
ところどころなくなっています。
小鳥さんが食べたのです。
赤い実を食べた小鳥は羽を赤くしたのでしょうか。
白い実を食べた小鳥は羽を白くしたのでしょうか。
また、いつでもお出かけください。
でも少し残しておいてくれますか。
正月飾りにも使わせてくださいね。

   たましひの抜けしにあらず白南天   (片山由美子)

白南天

南天 

白南天 
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イチョウ(銀杏)  ~黄色いわらべうたが聞こえてくる~
- 2011/11/18(Fri) -
イチョウ

あるのはビニールが覆う丸められた筒。
もう暦である。
いやはやに人は先を行っている。
早速取り出し、開いて巻き戻し、伸ばして掲げてみる。
ゴシックの2012の下には小さな文字で大正101,昭和87,平成24と並ぶ。
でも、よく考えたら明治がない。
まだ明治生まれのお方は大勢いらっしゃると思うのだが…。
捲って確かめると誕生日は木曜日だった。
その頃は何する私だろう。

敷き詰められた銀杏の扇葉。
庭は黄色に染まる。
明日には掃き集めて片付けよう。

   一色に大樹の銀杏落葉かな  (小澤碧童)

イチョウ   

イチョウ 
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アサガオ(朝顔)  ~白い朝~
- 2011/11/17(Thu) -
朝顔  

冷え込んだ。
初霜だった。
人差し指を押し当てた。
指紋のような跡が残った。

どうだんは葉を真っ赤に染めている。
それを背景にしてひとつの朝顔があった。

冬がすぐ側にいる。
暖房を入れた。
日常となる白い朝。

  初霜に人差し指を押し付けり (文)

朝顔 
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バラ(蔓薔薇)  ~そうびといふ~
- 2011/11/16(Wed) -
蔓薔薇 

赤い蔓薔薇です。
木によりかかりながら高いところで咲いています。
下から見上げます。
いつの日からか私は赤い薔薇を紅薔薇(べにそうび)というようになりました。
だいぶ前のことです。
いただいた歌集が『紅薔薇(べにそうび)』だったのです。
すっかり気に入ってしまいました。
そして冬に咲く薔薇を冬薔薇(ふゆそうび)と呼んでその淋しさを思うのです。

   地に落ち葉仰げば蔓の紅薔薇(べにそうび) (文)

蔓薔薇

蔓薔薇  
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ヒペリカム(Hypericum)  ~冷えれば膝掛けを~
- 2011/11/15(Tue) -
ヒペリカム 

天気予報では寒気が降りてくるという。
今週は寒くなるらしい。
知り合いはもうスタッドレスにするという。
みんな冬準備を着々だ。
そういえば昨日は注文しておいた年賀状が届いた。
これも段々に用意しなくてはならない。
次々とやることが私をせき立てる。
「一つひとつだね」とみつをさんならきっと言う。

冬が「下駄を鳴らしてやって来る」というのに、夏花のヒペリカムが咲いている。
どうしたことだろう。

   晩秋の誰が私を暖める (高澤晶子)

ヒペリカム  

ヒペリカム
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ゼラニウム(geranium) ~綿虫のふわりふわり~
- 2011/11/14(Mon) -
ゼラニウム

綿虫が飛んでいる。
ふわりふわりと音もなく。
秋の宿から冬の住処へと引っ越すらしい。
このわずか数ミリの白い虫が現れると、雪の便りもちらほらと届くようになる。
本格的な冬が来る前にいろいろを早めに始末しよう。
鉢花もそろそろ中に入れなくてはならない。
玄関のゼラニウムも。

   綿虫飛ぶ先の月日は誰が知らむ  (文挾夫佐恵)

ゼラニウム 

ゼラニウム   
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サザンカ(八重咲山茶花) ~白い色は何の色~
- 2011/11/13(Sun) -
八重山茶花白

多くの木々は葉の色を染め、あるいは落として冬の備えをしている。
そんな中で、この晩秋にあっても艶葉のままのものもある。
そのひとつの山茶花が花開く。
冬に向かう花の少ないこの時期だけに、淋しくなった庭に和みを運ぶ。
今咲いているのは大輪の白い八重の花。
支える枝も少し重たげだ。
見るからに和の装い。
一輪剪って部屋に入れる。
「白」に心も引き締められる。

   山茶花に咲き後れたる白さあり    (宮田正和)

八重山茶花白  

八重山茶花白 

八重山茶花白   

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モズのはやにえ(百舌の早贄) ~鳥日和~
- 2011/11/13(Sun) -
百舌の早贄  

取り残して置いた苦瓜とトマトの棚を片付けた。
シナモンバジルとズッキーニを抜いた。
畑が少し淋しくなった。

林檎の枝に枯葉がかかっている。
取り除こうとした手を止めた。
枯葉と思ったのは蜥蜴の死体だった。
百舌の早贄だ。
蜥蜴の固有の色は残り、艶も確かめられることからそれほど時間が経ってはいないようだ。
後で食べるために戻ってくるのだろうか。
それにしても見事に枝に突き刺してある。
鳥たちも冬支度だ。

職場でもすべての箇所にストーブが設置された。
また季節が一つ進む。

   鵙の贄かくも光りて忘らるる    (熊谷静石)

百舌の早贄

百舌の早贄 
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アゲラタム(Ageratum) ~深秋を楽しむ~
- 2011/11/12(Sat) -
アゲラタム

あいたいですね
げんきですか
らしくしてますか
たのしんでますか
むりなさらないでくださいね

あげらたむはあおむらさきの花
 あげらたむにはかっこうあざみの名
  あげらたむにはしんらいのはな言葉
   あげらたむはとしとらずのぎりしゃ語

阿碍良侘無阿碍良侘無阿碍良侘無阿碍良侘無
気分転換支離滅裂遊言戯語意味不明用意周到

   戯れ言葉詠んで楽しむ秋深し   (文)
 
アゲラタム   

アゲラタム 
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コスモス(秋桜・Cosmos) ~晩秋の虚空~
- 2011/11/11(Fri) -
コスモス 

そろそろ裸の手は温もりを欲しがっている。
目に映るものが深まれば、心までも淋しさの歌を詠む。
一枚の葉にため息をつき、敷き詰められた葉に情念が動く。

風に揺れる白いコスモスの健気さ。
聞こえる。
私にだけ。
11月11日、晩秋の庭。

   コスモスの花あそびをる虚空かな    (高浜虚子) 

コスモス
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シーマニア(Seemannia) ~身を貫く秋深し~
- 2011/11/10(Thu) -
シーマニア 

シーマニアがオレンジの花をたくさん付けている。
横から見るとふっくらとしたフグの体そっくり。
正面から見ると口を開けた金魚。
まるで口をぱくぱくさせて餌をねだって群れているよう。
先の細く尖らせた濃い艶やかな葉とその小さな膨らみのオレンジのコントラスト。
これはよく水を欲しがる。
ちょっと油断すると全体がすぐに撓って、「くださ~い」と言う。
「私にいつも眼を掛けてね」と、甘えん坊さんでもある。

立冬を過ぎたら、最低気温が5~6度と、朝の寒さが急に進んだ気がする。
銀杏の葉はすべて落ちてしまった。

   秋深き言葉を探し礼(いや)を作す   (轡田進)

シーマニア   

シーマニア  

シーマニア
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キク(黄菊) ~空はつながる~
- 2011/11/09(Wed) -
黄色い菊 

眼を閉じれば
季節のない町
眼を閉じれば
連なる石垣
眼を閉じれば
鷹の渡る森
眼を閉じれば
悲しき物語の墓
イメージの中にある幼い頃の記憶。
目を開ければそこにある人とものと風景と。
色も形もイントネーションも。
音も光も風の囁きも。
昔がそこにある。

季節を往復して機上に。

庭で黄菊を見る。
木々は一段と葉を落とし、冬間近であることを教える。
過去から現実の日常へ。

   見上げれば空はつながる黄菊かな   (文)

黄色い菊  

黄色い菊
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ニワザクラ(庭桜) ~かがやける冬立つ日~
- 2011/11/08(Tue) -
返り咲き花桃

庭桜は春の花。
躍動の季節そのままに白い八重が溢れるように咲く。
そして秋深き今、一輪二輪の返り咲き。
瑞々しく萌える青葉ではなく、色づいた葉に隠れるように。
周りにそぐわぬさびしくわびしい姿にもひとつのゆかしさがある。

もろもろの葉がおちて地に敷かれゆく。
手に取れば桂の葉の甘さ。
手に取れば柿の葉の堆朱の美しさ。
冬立つ日と暦は移りゆく時を教える。

   立冬のことに草木のかがやける   (沢木欣一)

返り咲き花桃 
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イソギク(磯菊)
- 2011/11/07(Mon) -
いそぎく

突き出た岬の白い灯台。
弧を描く水平線。
遠くに波打つ瀬。
透き通る海は薄緑から紺碧へのグラデーション。
重なるように伸びて広がる長い枝と無数の樹根を下ろす精霊が宿うかのような樹々。
雨傘代りの大きな芋の葉。
濃い色の葉に覆われた山々。
幼い頃の記憶を目の当たりによみがえらせる原風景。

「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」(石川啄木)
15才の啄木と18歳の私。
啄木の汽車と私の船と。
ゴーギャンの言葉を借りるなら『私はどこから来たのか 私は何者か 私はどこへ行くのか』 
さまざまな思いと懐かしい友の顔が時空を超えて現れる。

磯菊が咲く。
この花ももともとは潮風を浴びる海辺の花。
私と同じように、故郷を遠く離れて山国信州で根付く。
今ある私は自分で選んだ道。
 
父と母の墓は遠くに海を望む丘の上にある。
自分のアイデンティティーとルーツを確かめた心地よい疲労感に包まれる秋の日。

   潮風が汗を吹かせる秋の崖 (文)

いそぎく 

いそぎく  
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カンザキクロッカス(寒咲きクロッカス・ブルーバード)
- 2011/11/06(Sun) -
クロッカス

青い鳥は幸せを運んでくれると、少年は幼いころの絵本で知りました。
大人になった少年は振り返っています。
自分のところへ青い鳥は来たのだろうかと。
ふと、耳に届く優しい声がありました。
「あなたの宇宙の中で私はいつも飛んでいるのですよ」
「見えないものではあるけど、見ようと思えば見えるのです」と。
少年は空を見上げました。
もしかすると青い鳥は透き通っている鳥かもしれません。
澄み切った心の時だけに見える鳥なのでしょう。
きっと今、こうしている只今にも私のそばにいてくれているはずです。
よどみを洗い流し、感謝の気持ちを持って身の回りを見渡してみます。

欅の木の下で「ブルーバード」という寒咲きのクロッカスが咲いてくれました。

   サンセット秋風ぬくし島の影 (文)

クロッカス 

クロッカス  
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セイチョウシラヤマギク(清澄白山菊) ~ながれるものはさり~
- 2011/11/05(Sat) -
清澄白山菊 

積み重なる子音の秋

誘う秋
微笑む秋
香る秋
燃える秋
今年の秋は特別な秋です。
振り返る秋
確かめる秋
巡る秋
自分を見つめるための秋です。
綴る秋
捲る秋
読む秋
自分を確かめる秋です。
距離を超え
場所を移し
時間を遡り
太陽と海と土と
記憶の中に根を掘り起こす秋です。
ながれ
ながれ
ながれ
ながれて
いつもにまして感傷に浸る秋です。

清澄白山菊は不揃いの花びらです。
ほんの少しだけ紫の色を持ちます。
素朴な野の菊です。

  秋深き音生むために歩き出す  (岡本眸)

清澄白山菊

清澄白山菊  
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アキチョウジ(白花秋丁字) ~懐かしき友の声~
- 2011/11/04(Fri) -
アキチョウジ   

秋丁字を見ると、つい笑(えみ)がでる。
愛らしい小動物のように見えるからだ。
そして語りかけてくるかのような表情にも。
秋の深まりゆく庭に顔を出す白い小さな花。
コンコンこぎつねさん。
一人眺めて「うふふふっ」。

故郷の友から電話があった。
切磋琢磨の青春の日々。
夕暮れの部室での語らい。
走馬燈になって甦る。

   青空の十一月柿をとる  (文)

アキチョウジ  

アキチョウジ 
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セイリュウホトトギス(青竜杜鵑草) ~こんな日は何をしますか?と問われ~
- 2011/11/03(Thu) -
青竜ホトトギス   

「人の世には三智がある」
これは藤村の言葉。
彼が言う三智とは
「学んで得る智、人と交わって得る智、自らの体験によって得る智」。
自己を高める働きを凝縮した言葉といえよう。
先人の知恵に学び、考え、感じる。
人との触れあいの中でその姿に学び、道徳観と生き方を身につける。
行うことによって失敗と成功を繰り返し、様々な方法や技術を体得する。

心を耕す。
例えば
自分の中に図書館。
自分の中に劇場。
自分の中にアトリエ。
自分の中の工場。
自分の中の畑。
「三智」で心を耕す。

青竜杜鵑草は少し青みがある。

   ほととぎす咲かせかたぶく齢(よはひ)かな  (岩城のり子)

青竜ホトトギス  

青竜ホトトギス 
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ドームキク(ドーム菊)  ~たくさんのたくさんの赤い赤い菊の花~
- 2011/11/02(Wed) -
ドーム菊

菊の花
菊の花
菊の花
赤い赤い菊の花
菊の花
菊の花
菊の花
たくさんたくさんの菊の花
菊の花
菊の花
菊の花
丸い屋根のような菊の花
菊の花
菊の花
菊の花
ひとつふたつみっつよっついつつむっつななつ
数えてみたけどやめといた
赤い赤い菊の花
たくさんたくさんの菊の花

   寄り添えば菊華やげり去れば澄み   (星野立子)

ドーム菊 

ドーム菊  
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ユウバエノコンギク(夕映え野紺菊) ~霜月の夕映え~
- 2011/11/01(Tue) -
夕映えノコンギク  

11月ですね。
あとふた月ですか。
大小さまざまな荷物がいくつもあります。
あれこれをきちんと片付けて、一つひとつを着実に収めなくてはいけないですね。
さあここいらで、今一度気を引き締めて、自分に活を入れましょう。
だんだんに身の回りをきれいさっぱりに。
誰にもどこにあっても、時は平等に刻まれていくのです。
時の流れに置き去りにされないようにしなくては。
「おーい、ちゃんとやっているかあー」
空から届く声。
自分が一番自分を知っています。

濃い紫色の小さな菊は「夕映え野紺菊」です。
「夕映え」…という詩情。
陽が当たって一段と色美しく映えています。
石に囲まれた小さな山野草の花壇の中です。

   足元に日のおちかかる野菊かな   (一茶)

夕映えノコンギク

夕映えノコンギク 

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