ハクサイ(白菜) ~朝の会話~
- 2016/11/30(Wed) -
白菜162

「ねえ、見て」
「1個、38円よ」

【毎週恒例 火曜市】との折り込み広告を見て言った。
〈お1人さま5個限り 先着500個限り〉とあるピーマンのこと。
私には値段のことはよく分からないが、今総じて野菜が高いらしい。

そういえば先日、「ピーマンをパックして」と言われた。
それで、収穫してあったピーマンの残りを幾つかの小分けにしてフードセーバーで真空パックにしたのだった。
主婦の働かせる知恵…。

そのあと、「白菜一つ採ってきて」と言うので、畑に行った。
手渡すと、外葉を何枚か剥き新聞に霧を吹きかけてくるんだ。
すぐに料理に使うのかと思っていたらどうやら違うらしい。
その辺のことは無頓着で大雑把な私のような男は分からない方がいい。

11月も終わるか。

  洗ひ上げ白菜も妻もかがやけり  (能村登四郎)

白菜161

白菜510
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
フウチソウ(風知草・裏葉草) ~移ろう季節の風を知る~
- 2016/11/29(Tue) -
風知草2160

風知草が麦色に染まる。
裏表になった細い葉は小さな芒をたくさん付けている。
このように足元に見る色づく草も美しい。
昔のひとの感性はこうした趣を草もみじとの言葉にして愛でたのだろう。

三季の様々な風がそのやわらかな葉の上を通り過ぎた。
そして、もうすぐの冬風とともにその姿を消し、根で静かに春を待つ。

裏葉草(うらはぐさ)との別の名もまた味わい深い。

   草々の力尽せし紅葉かな  (藤本安騎生)

風知草2161

風知草2162

風知草2163
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
キク(赤い菊) ~今あるところで~
- 2016/11/28(Mon) -
赤い菊161

赤い菊があります。
庭の西隅、李の木の下です。
ずっとそこにあります。
もう何年にもなります。
茎はひょろひょろです。
でも花が少なくなる頃にこうして毎年咲いてくれるのです。

日当たりの良い場所へ移してやればいいのではとも思いますが。
でも、この菊にはそこが一番似合っている気もします。

その場その時をひたすらに健気にです。
一途に一筋に一所懸命にです。

晩秋の庭の物静かな赤い菊です。

  たましひのしづかにうつる菊見かな  (飯田蛇笏)

赤い菊162

赤い菊163

赤い菊164
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
カエデ(楓の紅葉) ~短いひとときの素敵なコラボ~
- 2016/11/27(Sun) -
楓01

まだ黄色いけど。
きれい、きれい。
この先さらに赤くなって色鮮やかに…。
青空を背景に楓の紅葉です。

その2日後のことでした。

時ならぬ11月の雪はそれらを落としました。
止んだあと、残っていた葉も少しの風ですべて落ちました。
ちょっとだけ部分を赤く染めているのもわずかに見られます。
でも雪の上にある葉の多くはまだ黄色いままでした。
雪も葉の形にあわせてシンクロしたりも。

あまりお目にかかることのできない白雪と紅葉楓の素敵なコラボです。

そしてしばらくして、そこの雪はその日のうちにとけました。

  手に拾ふまでの紅葉の美しき  (和田順子)

楓02

楓03

楓042

雪の上3

雪の上4

雪の上1

雪の上2
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(1) | ▲ top
カーネーション(carnation) ~雪のあとは~
- 2016/11/26(Sat) -
雪とカーネーション1

雪が止み、晴れて陽が広がると嬉しくて外に出たくなる。
たとえればそれは子犬の気分?

目に映る白い景色。
もののかたちになるやわらかな起伏。
微妙な階調に変化する青い陰影。
雪だけが創ることのできる造型の妙。

そんな中に顔を出すものなどを見つけると、いいようがない。

雪の中にカーネーションもあった。

  雪まみれにもなる笑つてくれるなら  (櫂未知子)

雪とカーネーション2

雪とカーネーション3
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
オオサカフユザクラ(大阪冬桜) ~雪に桜~
- 2016/11/25(Fri) -
大阪冬桜2161

冬桜が咲きつつありました。
大阪冬桜は春と冬の二度咲きの桜です。
白い小さな八重桜です。

きのうこと、そこへ思わぬ雪でした。
18㎝の積雪となりました。
ともあれ雪かきをすませます。

花のまわりにも雪が残っています。
でも寒さには強い桜です。
これからが満開の姿となります。

雪のそばに桜、めったにないすてきな情景でした。

   そばに雪なにごともなく冬桜 (あや)

大阪冬桜2162

大阪冬桜2163

大阪冬桜2164
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
シダレモミジ(枝垂紅葉) ~もみじあそび~
- 2016/11/24(Thu) -
シダレモミジ161

美しい時を迎えているもみじたち。
たとえば歌に詠んで遊んでみたりもして。

  「きれいだね」と 一葉を取って 手渡して あなたが言った 枝垂れ紅葉
  これは僕、これは君のと もみじの葉は 太宰の本に 挟まれてある 

深い切れ込みの葉を持つ枝垂紅葉。
下に入って裏から見るのが好き。

    枝垂れ葉に光延び来て冬隣  (あや)

シダレモミジ162

シダレモミジ163

シダレモミジ164

シダレモミジ165
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
サザンカ(白山茶花) ~創るということ~
- 2016/11/23(Wed) -
白サザンカ160

2日前の新聞にあった。

「創(つく)るという字は『きず』とも読む。何かを得るためには傷を伴う」

長野市で開催のスピードスケートW杯女子500で開幕3連勝した小平奈緒選手の言葉。
彼女が低い姿勢で滑走する写真の下の解説囲みに見つけた。

さらなる飛躍を求め、オランダに移り過ごした2年目の昨季、彼女はW杯総合11位に沈んだのだった。
しかしそこで、肩を上げ首を低く保つ理想のフォーム(猫フォーム)を身につけて臨んだ今季のレースは見事に結果を出した。

なるほどとその解釈を咀嚼する。
小さな傷、大きな傷、深い傷、表に見えないところにある傷…。
過去にあった、あるいは現在なおものそれらよって人生は創られているのかもしれないと。

よい天気、白い八重の山茶花が咲いている。

   山茶花の明るき日和たまはりぬ  (稲畑汀子)

白サザンカ161

白サザンカ162

白サザンカ163
この記事のURL | 思い・感じ・考えたこと | CM(0) | ▲ top
マンサク(万作) ~ひたすらに~
- 2016/11/22(Tue) -
マンサクの黄葉161

マンサクも黄葉します。
朝陽があたります。

秋にはどこにでもあるさりげない佇まいですが。
近寄ればえもいわれぬ趣があります。

葉の付け根には小さな膨らみがいくつもあります。
花芽のようです。
寒くなる季節の中で、春に向かって気持ちを蓄えているのでしょう。

草木はその時々にあわせてひたすらです。

   胸の中も黄葉するや小春日和 (あや)

マンサクの黄葉162

マンサクの黄葉164
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
マメガキ(豆柿・信濃柿・小柿) ~甘くて美味しいんです~
- 2016/11/21(Mon) -
コガキの実161

葡萄のような丸い実があります。
豆柿が黒紫色に熟しています。
大きさは1㎝をを少し超えるほどの小さな柿です。

甘いんです。
ちょっとしたデザートです。

遠くに目を遣れば、どの山々も肌を秋染めにする11月下旬です。

  信濃柿もろともに山寂びにけり  (宮坂靜生)

コガキの実162

コガキの実163
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(1) | ▲ top
レコード(record) ~30何年かぶりに~
- 2016/11/20(Sun) -
レコード160

〈幻想交響曲〉と〈悲愴〉。
30何年かぶりにレコードをかけた。

慎重に針を落とす。
円盤が波に揺れるように僅かに上下する。
サーッと音が鳴る。
そして始まる演奏。

昨日は雨だった。
用事を済ませ、窓の外を眺めていた。
ぼんやりと、焦点も定めずに。
なぜか急にレコードが頭に浮かんだ。
離れた部屋にストックしてあるレコードの棚に急いで向かった。
ずっと閉じられたままだった硝子ケースを開ける。
LPの多くはクラシックだが、混じって越路吹雪や岸洋子、佐良直美、坂本九、ザピーナツ…などの懐かしい名前と顔も。
レコードを聴いていた時代が分かる。

中からベルリオーズとチャイコフスキーの2枚組を抜く。
ビニールケースに覆われたレコードをおそるおそる取り出す。
劣化しているかもしれない。
しかし思いの外、保護シートの中から現れたレコードは新品同様に綺麗だった。

電源を入れる。
スピーカーを通して耳に届くボストン交響楽団の演奏。
ホールにいるようなやわらかな音。
長い間の眠りから覚めた音は昔のまま何一つ衰えていなかった。
音飛びすることもなく。
これがレコードの音。
すっかり忘れていたその感覚。

見開きの解説のいたるところにあるシミが長い年月、空気に触れぬままに置かれてあったことを物語る。
多くの物を捨ててきたが、しかしどうしてもレコードだけは捨てられなかったというその思いにあったものは…。
しばらくは、指を添えてアナログの響きを少しずつターンテーブルの上で再生させるとする。

レコードがその役目をすることなく過ごした30数年の間には私の人生にも様々な出来事があった。

   秋雨は無声映画のやうに降る  (仁平勝)

レコード161

レコード162

レコード163

レコード164

レコード165

レコード166
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(3) | ▲ top
ハナビシソウ(花菱草・カリフォルニアポピー) ~暮れの秋にひっそりと~
- 2016/11/19(Sat) -
カリフォルニアポピー2161

終わりに近い秋の穏やかな陽を受けて咲くオレンジの花がありました。
ふわっとやわらかな花びらの花菱草です。
3輪と1輪とそしてもう1輪、合わせて5輪です。

夏にはたくさん咲いていました。
花が終わった株は全部抜かれました。

きっとその時のこぼれた種から、生まれた花なのでしょう。
淋しくなった庭に静かに静かにひっそりとです。

そろそろの秋に心和ませてくれてありがとう。

  待つ胸に形なして行く花菱草  (野崎明子) 

カリフォルニアポピー2163

カリフォルニアポピー2162
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
ハナノキ(花の木の紅葉) ~残る葉もまた落ちる葉~
- 2016/11/18(Fri) -
ハナノキ160

今年の花の木の紅葉は赤味が弱い感がある。
葉は一色に美しく染まるというのではなく、斑だったり虫喰いだったりする。
それはそれでまた寂びた情趣があっていい。

ここ数日の間にだいぶ落ちた。
色を粧ったまま地にある葉も綺麗で、掃くのがもったいない。

中から数枚を選び手にとって本に挟む。
こうして今年の秋の時間を色と形にしてとどめておく。
一人遊び。

   手に拾ふまでの紅葉の美しき  (和田順子)

ハナノキ161

ハナノキ162

ハナノキ165

ハナノキ163

ハナノキ164

ハナノキ166
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
カリン(花梨の実) ~一つ二つと落ちてきました~
- 2016/11/17(Thu) -
カリンの実165

カリンも落ちてきます。
部屋に入れました。
甘い香りが広がります。
しばらくは手にもその香りが残ります。
車にも置きました。
自然の芳香剤です。

今年もたくさんの実りです。

昨年は頑張ってたくさん漬けました。
とても固いので共同作業です。
割って種を取り出すところまでは私です。
後の細かいところを任せます。

「いつ漬ける?」
「今度の土日…」

金曜日に採るとします。

    花梨の実高きにあれば高き風  (池上樵人)

カリンの実161

カリンの実162

カリンの実163

カリンの実160
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(1) | ▲ top
ドウダンツツジ(満天星躑躅の紅葉) ~深まる秋の彩りをどう詠む~
- 2016/11/16(Wed) -
満天星躑躅紅葉161

「同級会があって横浜まで行ってきたの」
「はい、お土産」
車を降りて義姉が紙袋を手渡す。
「寄ってください」
「これからシモジョウへ行くの」
見れば整った服装、歌人として長年指導する短歌会なのだろう。
加えて花や畑に美術や音楽の鑑賞と多彩な趣味。
満天星躑躅を見て「だいぶ赤くなったね」といいつつ、そくそくと車に乗り込む。
羨ましいほどに行動的である。

紅葉の満天星躑躅。
義姉なら深まる秋の彩りをどう詠むのだろう。

  出不精になりし我身の秋深く  (渋沢渋亭)

満天星躑躅紅葉162

満天星躑躅紅葉163
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
サザンカ(山茶花) ~白寿の言葉~
- 2016/11/15(Tue) -
サザンカに蜂1

定期購読している月刊誌がある。
その12月号の表紙のサブコピーには『白寿語録 堀文子99歳 驚くこと。感動すること。ただそれだけあればいい』

5頁の特集は人の生き方、あり方として考えさせられる深い言葉に溢れている。
その中の1頁は白寿記念インタビュー。
堀さんは答えて次のように語る。
一部を抜粋する。

― 私は自分に対して冷たい人間ですから、自分の経歴やしてきたことなんていちいち覚えていないのです。
  私にとっては常に「現在(いま)」しかないのです。
― 私が確かに生きているという今日。全身、全霊を傾けて考え、嘆き、感動することのできるのが今という時間なのです。
― 九十九といっても、齢がたまっただけのこと。歳を取ったから偉い、なんて冗談じゃない。
― 人間は生きている限り、未熟なのです。この齢になっても、私は自分に対する不満が山のように溜まっています。
― 99歳になるというのは初体験です。
  人の一生は毎日が初体験で、喜びも嘆きも時の流れに消え、同じ日は戻らず、同じ自分もいないのです。
― この世に同じ人はふたりといないんですね。“私”という人間はこの世にたったひとりしかいない。何と不思議なことでしょう。
― あるのは“私”という人間だけです。「孤独」なんていって甘ったれていられない。ひとはそもそも孤独なのです。 

99年生きてきたという裏付けから発せられる女性の言葉、直截的で真っ直ぐで強い。
白寿の今なお、筋を通し芯のある生き方をされておられる。
冒頭には白髪を湛えた堀さんのお顔、本当に美しい。
歳はこう取りたいものと、憧れる。

 “私にとっては常に「現在(いま)」しかないのです。”
 “全身、全霊を傾けて考え、嘆き、感動することのできる今という時間なのです。”

今一度胸の奧に墨書する。

蜜を求めて雨粒を乗せる山茶花にフタモンアシナガバチ。
奧へ奧へ。

   今といふ刻わがいろに秋生きる  (山崎荻生)


サザンカに蜂2

サザンカに蜂3
この記事のURL | 思い・感じ・考えたこと | CM(3) | ▲ top
ピラカンサ(Pyracantha・タチバナモドキ) ~晩秋という響きと形~
- 2016/11/14(Mon) -
ピラカンサ2161

朱色の実がいっぱい。
艶々して小さな柿みたい。
おいしそう。

実がこぼれ落ちている。
ジョウビタキやヒヨドリがいたりする。
鳥さんたちは好物のよう。
食べ過ぎに注意してね。

「無理しないで」と声を掛ける、晩秋の風が。

  晩秋の誰が私を暖める   (高澤晶子)

ピラカンサ2162

ピラカンサ2164
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
サクラモミジ(鬱金桜の紅葉) ~寂寥も深まり~
- 2016/11/13(Sun) -
桜紅葉161

木々の姿も変わりゆく。

すでにほとんどが裸になったもの。
枝に実だけを残すもの。
そして葉を美しく染めるもの。

廻る一年の中で華やぎ滴り装い眠る。
人の一生もまた。

鬱金桜の紅葉。
ところどころに虫喰い。

深まる秋、気はいっそう冷やかに澄んで寂寥の奧へといざなう。

   日をこぼし紅葉こぼして桜の木  (市村究一郎)

桜紅葉162

桜紅葉163
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
ビワ(枇杷の花) ~秋も終わりに近くなると~
- 2016/11/12(Sat) -
枇杷の花161

喪中の葉書が二通届く。
奥様を亡くされた長いおつきあいの大先輩。
50歳の彼はご病気だったお父上を。
暮れ向かう人はそれぞれに。

秋も終わりに近づく頃に咲く枇杷の花。
集まり咲く花は白い五弁。
褐色の毛に覆われる蕾。
香を放つ蕊に蜂。

自問することが多くなってきたこの頃。
いろいろの物も処分したく。

  蜂のみの知る香放てり枇杷の花  (右城暮石)

枇杷の花163

枇杷の花162
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
ツルバラ(蔓薔薇) ~松茸の味噌漬け~
- 2016/11/11(Fri) -
松茸の味噌漬け

「こんにちは~」
大きな声がドアを開ける。
頭に手ぬぐいを巻いた小松さんがビニール袋を手に持っていらっしゃる。
「ほら、松茸」と、差し出す。
「えっ、松茸?」
「今日、林檎の出荷を終わってから山にちょっと出掛けたら大きいのが2本採れたもんで」
「今頃でもまだ松茸が採れるんですね」
「去年は40本ばかあ採れたんだがなあ、今年は9本だけな」
「そんな貴重なものをいただいていいんですか」
「いい、いい~。今フーちゃんところにも分けたとこよ」
「違う『城』に行ったんな。そしたら松の根元に頭が見えていて、大事に掘って掘って長さが20㎝ばっかさ」
「木の反対側にもう1本あってさ、これはそろそろいいかと思って抜いたら途中で折れちゃってな」
そして「笠はこんなもんよ」と無骨な掌を広げて見せる。
感嘆するばかりの私。
「味噌漬けにしてあるでな」
「松茸の味噌漬けなんて初めてです。なんか贅沢ですね」
「うまいにい~。汁とかご飯とか焼くとかもいいけどなあ、これはまた一味違うもの」
「どうぞ上がってお茶でも」
「これからまだ一仕事あるんな、贈答用を箱詰めしなくちゃ。じゃあ」と。

本職が大工の小松さんは兼業で梨と林檎を栽培する果樹農家でもある。
きさくで面倒見がよく、また地区の伝統行事の保存にも取り組まれていて人望があるお方。
感謝感謝でその逞しい後ろ姿を見送る。

見上げるところには赤い蔓薔薇。
近所の温もりの味が手渡し便で届く秋寒の日。

  松茸の香りも人によりてこそ   (高浜虚子)

蔓薔薇161

蔓薔薇162
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
サザンカ(山茶花) ~また一段と寒くなって~
- 2016/11/10(Thu) -
山茶花161

だいぶ冷えるようになった。
今朝は県下のほとんどが氷点下だという。
窓から見る塩見は中腹まで白い。

山茶花も咲き始める。
寒くなってからが美しい姿を見せるこの樹。
「四季の中で私はこの時期が一番好きなの」と。

東京では木枯らし1号が吹いたという。

冷え性の私は今季初めてエアコンを作動させた。

   山茶花の長き盛りのはじまりぬ  (高野素十)

山茶花162

塩見岳417
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(2) | ▲ top
キク(黄菊) ~今日もいい天気らしい~
- 2016/11/09(Wed) -
黄菊161

郵便局の方が年賀状の注文を取りに来られた。
配達してくれることになった。
挨拶の文を考えた。

一室に新しいカレンダーを掛けた。
表紙には酉年、明治150年、大正106年、昭和92年と。
平成29年だから、昭和にするには63を足して、大正は77、明治は121…などと、どうでもいいことを。

黄菊の上で蜂はのんびり遊ぶ。
その様子を私はのんびり見る。

  虫柱立ちゐて幽か菊の上 (高浜虚子)

黄菊162

黄菊に蜂
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
ニシキギ(錦木の紅葉) ~身近なところで~
- 2016/11/08(Tue) -
ニシキギ紅葉161

朝の落葉掃きは昨年よりはだいぶ楽になった。
3月に屋根を覆っていた霞桜をはじめ、欅、栃、小楢などを伐ったからである。
作業の時間と労力、そして落葉の収量は比べものにならない。
残る辛夷と桂についても来春までにはと思案する。

山なみを越えた陽が庭に差し込む。
紅葉する錦木をいっそう鮮やかにする。
身近なところで彩る錦をしみじみ味わう。

   錦木に寄り添ひ立てば我ゆかし (高浜虚子)

ニシキギ紅葉162

ニシキギ紅葉163

ニシキギ紅葉164
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
キクイモ(菊芋のレリーフ) ~暦では冬立つと~
- 2016/11/07(Mon) -
菊芋163

小さな畑だがそれでもそれなりにやることが結構ある。
大根を間引いて土寄せをする。
そして葉枯れの茗荷を片付けたり、ナスの支柱を揃えて束ねたり。
リュウキュウシカクマメの棚も払う。

土手の菊芋も抜く。
根元に芋が見える。
もともとは栄養価の高いこの芋を食用にと植えたのが始まりだったのだが。
繁殖力が強く、今ではやっかいの感。
少しだけ掘り上げ、どうするか聞いてみた。
「味噌漬けにするから洗って…」と。
しばらくぶりに。

菊芋は初秋から中秋にかけて黄色いひまわりのような花を咲かせる。
そのくっきりした花をレリ-フにしたのは10月10日のことだった。

  冬来る眼をみひらきて思ふこと  (三橋鷹女)

菊芋161

菊芋162

キクイモレリ-フ162

キクイモレリーフ161

14年9月17日
                                                                 2014/9/17
この記事のURL | 彫刻を作る | CM(1) | ▲ top
キク(ドーム菊) ~冬に向けてハタラク~
- 2016/11/06(Sun) -
赤菊163

家に居るのがもったいないほどの好天が続く。

訪ねてきた義兄夫婦は県外の山あいにある温泉宿に二泊で出掛けるという。
そこは紅葉が綺麗なところでジビエ料理が出るらしい。
時には東北まで車を運転し、二ヶ月に一度はそうした旅行を楽しんでいる。
二人とも饒舌で弁が立つ。
どちらかと言えば反対の私達はもっぱら相づちを打ち、頷きながらの聞き役。
帰り際、車に乗り組む段になってからもまた10分ほど話しかける。
義兄は妹に、江戸っ子の義姉は私に。
性格のまるで違う二組である。

深秋の行楽日和、でも私は畑で冬支度をしている。

青い空の下にはたくさんの赤い菊。

   寄り添えば菊華やげり去れば澄み  (星野立子)

赤菊162

赤菊161
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | ▲ top
バラ(薔薇・秋のピンクノックアウト) ~初霜だった~
- 2016/11/05(Sat) -
ピンクノックアウト610

初霜だった。

昨日の朝いつものように落ち葉掃きをしようと外へ出た。
川を隔てた向かいの家の屋根が白くなっていた。
カリンの木の下に駐めてある私の軽トラのフロントも。

箒を持つ厚手の手袋の中の手が冷えた。

ピンクノックアウトはまだ薔薇としての色を十分保っている。

   静けさとゆかし艶なる秋の薔薇  (あや) 

ピンくノックアウト611

ピンクノックアウト609
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
キク(菊) ~日ごと寒さが…~
- 2016/11/04(Fri) -
セザンヌ2162

テレビの天気予報を見ても季節は秋と冬のはざまにあることが分かる。
県内の降水確率の表示はつい先日までは傘のマークと青い数字だった。
そこに昨日初めて県北に雪マークが表示された。
そして予報士の「雨または雪の確率で20%でしょう」の説明とともに表記される数字は白い文字になっている。
降るのが「雨」から「雨または雪」となり、そしてそれはいずれ「雪」だけになっていく。

陽射したっぷりの日中はポカポカで気持ちいい。
虻や蜂などはまだ菊の花の上を元気に飛び回る。
私は布団を干す。
見上げる青空に2機の飛行機が光に反射する。

  菊日和虻の饗宴蜂の饗宴   (高浜虚子)

セザンヌ2163
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
マユミ(真弓・檀) ~実を付ける木々~
- 2016/11/03(Thu) -
マユミの実161

先日、家人を乗せて出掛けた帰りのこと。
近くの無人販売にハヤトウリ(隼人瓜)があった。
1袋買った。

甘酢漬けにしてくれた。
コリコリの歯ごたえがありうまい。
好みである。
「チャーテ(ハヤトウリ)、来年作ったら…」と言う。
それもいいと思った。

西日を受けて薄紅色の実が枝にぶら下がっている。
丸みのある四角いそれはマユミの実。
割れた果皮の中からは赤い種子も覗く。

木々にそれぞれの実を見るこの頃である。

長閑な時を刻む秋の日、空気のようなやりとりに身を置く。

   檀の実割れて山脈ひかり出す  (福田甲子雄)

マユミの実162

マユミの実163

マユミの実164
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
ツワブキ(石蕗) ~秋のさびしさを灯し~
- 2016/11/02(Wed) -
ツワブキ161

塩見に初冠雪がありました。
あのドーム型の山容がうっすらと白くなっています。
いよいよ、そんな時期です。

自然はあるがままに光や風の中でゆったり姿形を粧っていきます。
せせこましくなく、あくせくすることなく。

石蕗も咲きます。
淋しくなりつつある庭をそっと灯すように。

  静かなる月日の庭や石蕗の花  (高浜虚子)

ツワブキ162

ツワブキ163

ツワブキ164

ツワブキ165
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(2) | ▲ top
シジュウカラ(四十雀) ~晩秋の枯れひまわりとその種を食む小鳥のいる情景~
- 2016/11/01(Tue) -
ひまわりとシジュウカラ2

抜かずの向日葵が4本。
来年用の採種のため。
その枯れ姿の趣もよく絵になる。
好き。

そこへ四十雀。
ツッピー、ツッピー、ツッピー。
賑やかな声を響かせ。
花の重みで横向きに曲がった花茎。
位置といい角度といい、留まるにほどよい。

辺りを見渡し。
そして体を前屈し伸ばし。
さらに首をグーッと突き出す。
種を一つ。

飲み込めないのか。
茎の上に置いて両脚で押さえつつ何度も啄む。

食んだのは一つだけ。
それはそれで満足したよう。
体を反転させ、飛んでいった。

種採はしばらくおいて、彼らに供する。
また喜ぶ顔が見たい。
愛らしい仕草が見たい。

  山晴るる日は呼び合ひて四十雀  (中島畦雨)

シジュウカラ16212

シジュウカラ16222

シジュウカラ16232

シジュウカラ16242

シジュウカラ16252

シジュウカラ16262

シジュウカラ16272

ヒマワリとシジュウカラ22
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
| メイン |
  翻译: