私には「幼馴染み」がいません。
親戚の従姉妹などはいますが、幼少期から小中学校時代を共に過ごした友人がいないのです。
別に「激しく人見知りで友達がまったくいなかった」というわけではありません。
それなりに友人はいて、魚釣りに行ったりザリガニ獲りをしたりと遊びまわっていました。
じゃあなぜ幼馴染みがいないのかというと、皆さん何処かに行ってしまって連絡が取れなくなったからです。
私の住んでいた地区は街自体が大きな企業の社宅用地で、ある時突然「お父さんの仕事の都合(転勤)で転校していなくなる」というのが当たり前だったからです。
しかもそれは小学校、中学校の校区のほどんどのエリアで似た状況で、たくさんの企業の社宅や集合アパートが存在していました。
自営業を営んでいた我が家はずっと同じ場所に住居を構えていましたが、年月が経過し社宅の地域自体が商業施設になったり分譲マンションになったりで、旧友たちの実家自体がどこか遠くになって連絡が取れない状況になっていたのです。
そんな私も年月が経ち、いい年したオッサンになってそんな事すら忘れた年齢になってSNSにメッセージが届きました。
「久しぶりです!ボクのことを覚えていますか?」
あ~、よくある迷惑メッセージね。ハイハイ削除!
と思ってメッセージを削除する寸前に、その特徴のある名前に目が留まりました。
「ん?ディーンくん(仮名)」
メッセージを読むと、確かに小中学校を共に過ごして遊んだディーンくん(仮名)でした。
何度かメッセージのやり取りをした後、
「実はそちらに旅行に行く予定があるので会わない?」
「え!それは楽しみ。ぜひ!!」
となりました。
それにしても何十年もの空白の時間を繋いでくれるSNSって凄いものですね。
私の居住地に来てくれるというので、知っているお店を予約。
そして当日…。
先に入店していたディーンくん(仮名)を一目見るなり、本人だと分かりました。
「おお!本当に久しぶりだね」
「元気だった?」
固い握手を交わしお互いの近況を報告。
ディーンくんが引っ越して行ったのが中学2年生の時だったので、約40年ぶりの再会です。
ディーンくん(仮名)は現在関東にお住まいとのこと。
お互いにいい年したオッサンになってしまいましたが、すぐに少年時代に戻れました。
「いつもいつも自転車で遠くまで釣りに行っていた。小学生にとっては大冒険だった」
「春はタケノコを掘りに行って、毎回自転車のカゴに積み切れないほど大量のタケノコを持ち帰っていた」
「ザリガニ獲りに行くと大袈裟じゃなく100匹以上獲っていた(さすがにこれは食べることなく知合いの家にある池に放して怒られた)」
などという、今の私の生活とあまり変わりのない昔話に華が咲きました。
「他の友達と遊ぶ時は野球やドッチボールをするくらいだったから、じゃんくんと遊びに行くと僕にとってはメチャクチャ衝撃的出来事の連続だった」
「いや~、オレは今でもそんな生活だから進歩してないね…(笑)」
今思えば近隣の住宅地の中でもその一角はかなりハイソなご家庭ばかりで、ディーンくん(仮名)自身もその当時でもかなり珍しいバイオリンを習っていたし、他の友人のご家庭には立派な七段雛飾りが飾っていたりしました。
泥だらけの自転車にカゴいっぱい積み込んだタケノコを見た時は、さぞかしディーンくん(仮名)のお母様は驚いたことだろうなぁ…。
生まれて初めてと言っていい幼馴染みの出現と二人で話す内容から、次々と芋蔓式に様々な記憶が蘇ります。
「〇〇くんと…」
「□□くんとは…」
「学校帰りに買い食いをして…」
これは4~5年前にディーンくん(仮名)のお父様が勤めていた工場の煙突が解体されている様子。
毎日この煙突を見て育った私にとっては「正義のヒーローが悪の組織に倒される」ほどの衝撃を受けたものです。
そしてディーンくん(仮名)から聞かれたことがありました。
「僕が引っ越す時に達磨絵の和凧をプレゼントしてくれたことを覚えてる?」
実は私の親父はナイフ以外にもずっと和凧を作っていて、立派な武者絵や龍などを描いた和凧を友人や親戚の新築祝いなどに贈っていました。
時代がそんな時代だったのですが、私も見様見真似で何度か作ったことがありました。
しかし私の作ったものは「学校の凧揚げ大会」に作って持って行っていたもので、ディーンくん(仮名)との別れの際に贈ったことなんて全く覚えていなかったのです。
(ビニール製のゲイラカイト全盛期で、さぞかし私の作った手作りの和凧は浮いていただろうなぁ。笑)
「ああ、確かに達磨絵の凧を作ったのは覚えてるよ。凧揚げ大会に作って持っていたものとばかり思っていたらディーンくん(仮名)にプレゼントしていたのか。ごめん、今聞くまですっかり忘れていた…」
その写真がこちら。
親父が「これを中学生が描いたと言っても誰も信じないだろうな」と言っていたのを思い出しました。
「今でも我が家の家宝として大切にしているよ」
とのこと。
ディーンくん(仮名)、本当にありがとう。
その日はたくさんの想い出話をしながらとても楽しい時間を過ごしました。
また会おう、友よ!!
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