今年は終猟の15日に出猟できないので、この日が最後の山行き。
「さあ、このラウンドが今猟期最後のラウンドだ。思い切り走って来るんだよ」
左よりふじさん、モリさん、カヤさん。
ヤル気みなぎっています♪
出猟の準備をしながら一頭一頭に話しかけます。
「ふじ、さすがモリとカヤのお母さんだ。
ふじが先導犬で引っ張ってくれたからモリもカヤも猟犬としてグンと良くなった。
モリもカヤも頑張ったね。ずいぶん猟犬として成長した。
モリはかなり筋肉が付いたし、一人でイノシシを追い出すことも多かったね。
カヤは誰よりも速く走ってたね。ふじとイノシシを何度も追い出したし、何よりも一緒に山に行けるようになって本当に嬉しいよ」
最後に親方(若き勢子)から教えてもらったケガ除けのおまじない。
ふじとモリとカヤをギュッと抱きしめます。
「みんなケガをしないように最後まで気を付けるんだよ」
犬を放つ予定の山には50kgほどのイノシシがしっかりと入り足を付けていました。
「50kgのイノシシはたぶん入っているだろう。
もう一つ80kgくらいの大きなイノシシの新しい足跡もある。
こちらは入りの足より出足の方が強いから山に留まっているかは分かんないな…。
50kgがメスイノシシで、80kgがそれを追っかけている発情期のオスイノシシだろう」
そんな見立てをします。
待ち(射撃手)の配置が終わり、ワンコ達を放ちます。
春になり気温も上がって山を歩くと汗が吹き出します。
実はこの場所は
カヤが初めて立て撃ちをした場所で、前回獲物を出した場所では反応なし。
その後も山の中のカセギ(餌を食べた痕跡)や足跡が乏しく、獲物の痕跡が薄い感じ。
「しっかり見たつもりだったけど、見切りが間違っていたかなぁ…」
ワンコ達の反応がないまま待ち(狙撃手の張った包囲網)の近くまで来て、あきらめようとした瞬間ワンコの啼き声。
ヒャンヒャンッ!(モリの声)
ヴァンヴァンッ!!(カヤの声)
「啼いたよ!!」
「いや、それが犬が出てきたけど獲物がいないんだ…」
「あ~、今のはモリとカヤの啼き声だったから、ウサギかなんか追いかけて啼いたんでしょう。
その後の啼きも続かないし、獲物が違った感じ。
やっぱり見切りが間違ってましたね」
ギャンギャンギャンっ!!!そんなことを待ちの人と話していたら、ふじの激しい立て啼き。
そして何発もの銃声が鳴り響きます。
銃声に驚いて獲物が引き返して来たり、半矢で立てたり(手傷を追ったイノシシを猟犬が啼き止めること)することもあるので状況が掴めるまで山の中で気配を殺して待機。
「50kgくらいのイノシシが来たけど抜けられた」
「こっちは80kgのイノシシが2メートルくらいの距離を走って行った。手傷を追って血を引いているし、犬が追跡している」
どうやら2頭のイノシシがワンコ達の追跡に気付き、ギリギリまで包囲網をくぐり抜けようと逃げ回り、最後には逃げられないことを悟って飛び出したようです。
一番健脚の親方(若き勢子)はイノシシと犬を追って山の中を駆け進んでいたので、そちらはある程度お任せします。
小さな山で山の中には獲物はもう残っていないと判断し、第二・第三の布陣。
他のメンバーの方はすぐに待ちを解いてもらい、車で走って半矢のイノシシが向かった方向へ先回りをお願いします。
私も親方(若き勢子)に続き犬を追いかけます。
「なるほど、血を引いている。それも高い位置から結構な量が噴き出している感じ…」
血痕を辿ってトレースするには、まず出血量、色や血泡が混じっていないか、勢いよく噴き出しているのか等を見て、どの程度の手傷を追っているのかを推測します。
血泡が混じっていたら肺に中って空気が混じっている可能性が高く、勢いよく血を噴いていたら大きな血管を破壊しているので共に致命傷です。
今回の傷はかなりの深手。
「こりゃ、近くで倒れていてもおかしくないぞ。どちらにしても動けなくなってへたり込んでいるだろうから、すぐにワンコ達が追い付くはずだ」
ギャンギャンギャンっ!!!再びふじの啼き声。
先行していた親方(若き勢子)が忍び寄ってくれたので、すぐに決着がつくと思っていたのですがこれが大誤算。
ヌタ場でゆっくりと体を冷やし、泥を傷口に塗り込んで出血を止めたイノシシはダッシュで山を駆け上って行ったとのこと。
「犬達の方が暑さでバテ上がっている」
との報告を受け、犬がケガをする確率が高いため中止の判断をしました。
追い出した獲物には逃げられました。
この結果は私の勢子役としての未熟さが招いたことでもあります。
自分の見切りを信じられず、自分の猟犬達も信じてやることが出来なかったために、自信のない競り方になってしまいました。
その自信のなさがモリとカヤにも伝わってしまい空鳴き。
そして「獲物が違った」なんていう間違った情報を待ち役に送ってしまい、張り詰めて待っている射手の緊張感を切るような事を自ら行ってしまいました。
「あ~あ、ダメダメじゃん」
と、前のラウンドで3頭の大きなイノシシを撃ち漏らしたことも併せて、この日はダメダメ…。
結局、1ラウンド目で獲れた子イノシシが2頭。
今年の私の猟はこれで終猟。
まあしかし、次の猟期に向けての課題も出来たし、来期はもっとバリバリと山を駆け回ろう!
今日も自然の恵みに感謝です。
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