大型ナイフを2本購入しました。
(左のシースに入った2本。右の2本は私が使用中のもの)
いつもながら親父の作品。
(高齢で、もうナイフ作りはしていません)
「ATS-34」というナイフ専用の鋼材を使用して作った、親父の大型ナイフ作品群の中の最後の2本。
日立金属が開発し、「カスタムナイフの神様」と呼ばれたR.W.ラブレスが愛用した鋼材である「ATS-34」自体がすでに廃版になっています。
親父がナイフを作り始めたのは私が小学生くらいだったと思うので、今から40年くらい前の事になります。
「使いやすいナイフが無いのなら自分で作ってしまおう」
と考えて作り始めたのがきっかけで、もともと手先がとても器用で物作りが大好きだった親父は、それからナイフ作りにのめり込んでいくようになります。
最初は自動車のリーフサスや折れた工業用ノコギリから削り出していた記憶があります。
そしてその頃、カスタムナイフの専門雑誌「ナイフマガジン」が創刊され、毎月熱心に読んでいました。
自己流だったナイフ作りも、専門知識が得られて一気に凄みを増したものになりました。
私も親父も兄貴も、一家で揃って黎明期の「ビーパル」や「ナイフマガジン」を読んでいましたね。
(その当時は商業色が薄く、とても骨太の内容だった)
その後に起こったカスタムナイフブーム。
時代はバブル真っ盛りで、ちょっと名が知られた作家さんのナイフが何十万円もの価格で取引されていた時代です。
「ナイフはあくまでも実用品なんだ。飾りで作るようなものではない。自分で使い倒して、切れ味が落ちたら砥いでナンボのもんなんだけどなぁ…」
そんな事を言って、いつも親父が嘆いていたのを覚えています。
で、このナイフ2本を何故入手することになったのかというと、「狩猟者登録や猟銃の所持許可更新で何かと入り用なんだ。コロナの影響で仕事が激減しているから、誰か買ってくれる人はいないか」との相談があったからです。
正規ルートでは1本12万円で販売していたものですが、「いいよ、(無理してでも)2本ともオレが買う」と即答。
(シースから抜いたところ。今回入手したのはシースの隣の真ん中の2本。写りが悪いけれど、きれいな鏡面仕上げ)
当然ながら(包丁なども含めて)市販の刃物も多数使用していますが、狩猟を始めるずっと前から親父の作ったナイフを愛用しているし、そのクオリティは充分過ぎるくらい理解していました。
山を駆け回り、数えきれないくらいの獲物と対峙してきた現役ハンターが、自分の体験を基に試行錯誤して改良を重ねた実用ナイフです。
いつもブログに親父の作ったナイフの記事をアップすると「作って欲しい」という反響が大きかったし、今回の2本も「売りたしっ!!」と告知すると言い値で買い手が付いたと思います。
しかしもう入手できない親父の作った大型ナイフでしたし、そしてなにより誰とも知らない人間に使われるのが嫌だったのです。
私自身が親父が作った大型ナイフを4本(今回の2本を含む)も所有していて、どんなに頑張って砥いで使っても一生に使いきれる本数ではありません。
でも作り手の想いを知っているだけに、かなり頑張って購入しました。
(特別家族割引価格でしたけどね)
「勢いで買っちゃったけど、こんなにあってもナイフコレクションの趣味は無いしどうしよう…」
写真を撮りながら、少し途方に暮れます。
それからシースに皮革油を塗り込み、ナイフ表面を軽く磨きます。
「まあ、なんとかなるか!! まだそんな身分ではないけれど、将来自分に狩猟の弟子が出来る様な時が来たら、未来ある若者にこのナイフを託すのもいいかもな…」
きれいにナイフの手入れを終えて収納し、久しぶりにウイスキーをロックグラスでチビチビと飲みながら、そんなことを思ったのでした。
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