写真:北総線1期区間と言えば・・・
1月ほど開いてしまいましたが引き続きほくそう春まつり号をおっていきましょう。
列車追跡シリーズその7:臨時特急「ほくそう春まつり号」の行く道その1
列車追跡シリーズその7:臨時特急「ほくそう春まつり号」の行く道その2
列車追跡シリーズその7:臨時特急「ほくそう春まつり号」の行く道その3
白井駅~赤字バス路線の苦悩~
写真:白井駅
続いて北総線内を見ていきます。続いては各駅停車区間を代表して白井市の玄関駅、新鎌ヶ谷駅と共に北総線で数少ない市役所最寄り駅です。千葉県の統計によると2006年度の乗車人員は以下のようになっています。
定期客 3165人(68.2%)
普通客 1469人(31.8%)
合計 4634人(県内6位、0.1%増加)
定期比率はやや高いものの北総線千葉県内の66.0%に近い数字、一方増加率に関しては0.1%増と減ってはいないものの成長著しい北総線内では少々寂しい数字が出ています。
写真:開発が進む駅前
とは言え駅前を見ると新築マンションの販売が行われ市役所へ続く一等地ながら開発の遅れていた北口も駅前広場が完成し着々と整備が進んでいる様子が見て取れます。
写真:4月で廃止になった千葉レインボーバス木下線
さてそんな駅前を見るとバスターミナルにバスが乗り入れてきます。このバス路線は白井市役所最寄り駅白井駅と印西市役所最寄り駅である成田線木下駅を結ぶ千葉レインボーバス木下線です。このバス路線は1928年と80年近い歴史を誇る老舗路線ですが2008年度には乗車密度(1便の乗車人員を区間全体で慣らしたもの)が1.8人まで低下し、県や白井市・印西市の補助で何とか存続していたものの最終的に廃線となったわけです。
ちばレインボーバス@Wikipedia
バス路線に関する「生活交通維持・確保計画」についてのお知らせ@千葉県バス対策地域協議会北総分科会
バス路線維持について@千葉レインボーバス
写真:印西牧の原駅近辺の大型店を巡る無料バスクルバス
こう言った利用者の少ないローカルバスを考える際にぱっと浮かぶのは以下のようなことだと思います。
・もともと人口密度が低い等利用を喚起しづらい環境にある事
・それに加え昔から変わらない、むしろ利用減少に伴い減便する等バス会社の企業努力にかける姿勢
こう言った面が全く無いとは思わないのですが個人的には無視できないのはただでさえ少ないパイを食い合う構造にある状況です。
白井市循環バス「ナッシー号」@白井市
同路線図
市内循環「ふれあいバス」@印西市
同路線図
例えば沿線の白井市・印西市のコミュニティバスを見るとこの木下線と完全並行している訳ではないですがよくよく見ると殆どの区間白井市・印西市の路線でカバーできているわけです。こうして見ると実は気づかないうちに白井市・印西市の補助金で命運を保っていた路線バスと印西市・白井市直営のコミュニティバスが同じ需要を食い合うと言う構図になっていたのが分かります。
印旛日本医大駅発着バス(無料)@日本医科大学千葉北総病院
木下駅発着バス(無料)@日本医科大学千葉北総病院
スクールバス@秀明大学
印西牧の原駅圏の商業施設をくるーっとまわる無料バス「クルバス」@印西市
また少ないパイを奪い合うのはコミュニティバスだけではありません。乗客の少ないローカルバスの場合、病院への通院客、学生の通学、大型SCへのアクセス等はパイが少ない中でも比較的乗客の多い分野なのですが揃いも揃ってそれぞれの施設が直接無料バスを走らせ、数少ない有望な分野さえも有料の路線バスが進出しづらくなっていると言う構図があります。
千葉レインボーバスと言う会社はここ最近でも西白井のベリーフィールドの街開きに合わせて新設路線を設定したり、印西牧の原周辺のSCの活況に合わせてお買い物バス、日本医大の通院向けに病院直行バスを走らせる等不足している部分は多いながら積極的な展開も見て取れる会社です。しかしここまで競合が激しいと赤字になる既存のバス路線よりもこう言った自治体や各施設のバス路線を請け負う事で糊口をしのごうとなってしまうのではないでしょうか?
北総鉄道2007年度決算レポート@ぶらざーてぃのページより
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律と言う法律が昨年10月に施行されました。~中略~
何よりも前段で挙げた千葉ニュータウンでの学割補助の問題や、市町村の運行するコミュニティバスを中心としたバス路線との連携の問題、ここ最近沿線に大挙して進出した大型店等との連携、近辺の大学の通学バス等、成田新高速を抜きにしても北総鉄道と地域とのwin-winな関係を作る為にやるべきテーマはいくらでもあります。
上の引用は昨年書いた北総鉄道の決算レポートからのものなのですが無料バスやコミュニティバスを走らせられる現状のままで行けばよいのですが、自治体は財政問題、各施設も経営状態いかんでは直接収益に結びつかないこれらのバス路線は真っ先にリストラ対照になってしまうのでは無いでしょうか?
その時に地元のバス路線は再びバス路線を走らせるでしょうか?
こう言った構図はなにも白井や千葉ニュータウンだけでなく全国各地で見られることだと思います。そして80年の歴史を閉じたこの伝統あるバス路線はその事を静かに語っていると感じるのは私だけでしょうか?