2010年代中産と下流の時代~プロローグ1980年代に始まった非婚化・草食化が語るもの~その1
2010年代中産と下流の時代~プロローグ1980年代に始まった非婚化・草食化が語るもの~その2
さてこれまで書いてきたこのシリーズですがタイトルにある「中産」も「下流」もなく坦々とバブル期前後の状況と非婚化しか開いてませんのでまず「中産」「下流」といった社会階層についてまず纏めつつ進んで行きたいと思います。
社会階層@wikipediaより
マルクス主義的な社会階級では、生産手段を保有するものを資本家、そうでないものを労働者とし、その中間(小規模な生産手段を持つ自営業など)を中間層とする。
さてまず階層と言う事で多分第一人者であろうマルクスさんの定義付けを持ってきました。かつては中流と言う言葉が使われなかったので、中間層は中産として取り敢えず各項目を書くと
資本家(=上流):大規模生産手段を保有するだけで遊んで暮らせる人達(大企業の大株主、大地主等)
中産:小規模生産手段を保有し、労働も行う事で比較的豊かに暮らす人達(中小企業のオーナー社長、商店主、自作農等)
労働者(下層):生産手段を保有せず、誰かに借りるか雇われるかで暮らしている人達(工員、小作農等)
さて、これだけでは少し分かりづらいので表にしてみましょう。
生産手段 労働 投資 消費 属性
上流 ◎ Ⅹ ◎ ◎ 大企業の大株主、大地主等
中産 〇 〇 〇 〇 中小企業のオーナー社長、商店主、自作農等
下層 Ⅹ 〇 Ⅹ △ 工員、小作農等
項目としては左2つが収入の項目、右2つが支出の項目です。上流の人達は働いている可能性もあるのですが労働=生活の為に働く事なので働いていても労働とは言えないでしょう。それでもリッチな生活が送れると言うのが上流の所以とも言えます。中産に関しては生産手段+労働の2馬力で相対的に豊かな生活を送る層、下層は生産手段を持たない事で相対的に貧乏生活を送る層と言う区分けです。
生産手段 労働 投資 消費 属性
?? ? ? ? 〇 サラリーマン等
さてここで重要なのは現在の日本でマジョリティと言えるサラリーマンを中心としたホワイトカラーは全く無視されている事です。
そして2つ言えるのは、かつて無かった中流と言う階層のコアの部分は彼ら(自分もそうですが)であり、そして中間層に位置づけられる事から少なくともこの図表で言えば消費に代表される生活水準は中産階級並みでそれは収入が中産階級並みである事を示しています。
生産手段 労働 投資 消費 属性
中流 ? ? ? 〇 サラリーマン等
さて他の部分を考えて行きましょう。ここで重要なのは生産手段となります。何故かと言えば生産手段が決まれば投資が決まり、そして残りの労働の部分は他との兼ね合いで決まってくるからです。
生産手段=??
さてマルクス流に言う所の生産手段に一番近い言葉とは資産ではないかと思います。ただあくまでそれは近い言葉でしかないと思います。
パラサイトシングル女性の陥った落とし穴~豊中餓死事件に思う~
何故かと言えば単なる資産は扱いを間違えると悲惨な事になりかねないからです。それは先月起きた豊中の餓死事件を見ても分かる事です。
[コラム・エッセイ編]京都の「一代果て(いちだいはて)」という言葉をご存じですか?@不動産投資と金融・ファイナンスブログより
京都では、「一代果て(はて)」なる言葉があるそうです。
これも京都で3代続くある経営者に聞いた言葉です。
つまり、京都では、一代で会社が終わることをあまりよしとしない、というより全く尊敬されなといった風潮が昔からあるようです。
~中略~
更に先の若女将さん曰く、
「東京の社長さんは、少し儲かったら(背伸びをして)車でも最高級車を買いますが、関西の社長は敢えて3段ぐらい落とした車を買います」
と「かつそれを美徳としている」
というのです。
そう考えると資産に加えてそれを上手く扱うノウハウ・知恵・生き方と言うのも重要になってきます。上の引用は不動産やさんのblogから引用したものですが、結構お金持ちの話を聞くとこう言ったお金や生き方へのこだわりが聞かれます。こう言ったこだわりを持っているサラリーマンは決して多くないのではと感じます。
そう言った意味で考えると中流層は生産手段と言うよりも労働で豊かになった、言い換えればずば抜けた労働生産性があるから中産層に劣らない生活水準を維持できたといえるのではないでしょうか?
生産手段 労働 投資 消費 属性
上流 ◎ Ⅹ ◎ ◎ 大企業の大株主、大地主等
中産 〇 〇 〇 〇 中小企業のオーナー社長、商店主、自作農等
中流 Ⅹ ◎ Ⅹ 〇 サラリーマン等
下層 Ⅹ 〇 Ⅹ △ 工員、小作農等
と言う事でまとめると中流層と言うのは生産性が高いので生活水準そのものは中産階級に近いですが、本質的には稼ぎが良くなった下層と言えるのではないでしょうか?
2010年代中産と下流の時代~プロローグ1980年代に始まった非婚化・草食化が語るもの~その2より
そして何故結婚し子供を作った2人が一戸建てを建てたかは、上の引用を見てみれば明確です。要は大きくなった子供に普通に子供部屋を与えようとすれば賃貸では無く一戸建てなりそれなりの規模のマンションを所有するしかないと言うわけです
2010年代中産と下流の時代~プロローグ1980年代に始まった非婚化・草食化が語るもの~その1より
さてもう1つ重要な点を上げるとすればそれはバブル経済です。上の表は大卒初任給の推移と東京圏最大のベッドタウンとも言える横浜市の住宅地価を比較したものです。それを見ると1980年段階で横浜市の1.31m2に価していた初任給が1990年には0.42m2分と1/3にまで激減していることがわかります。これが語る事は「一生働いても一戸建てが手に入らないかもしれない」言い換えれば優良な家族向け賃貸住宅の少ない日本において「子供を育てるための十分な環境が普通に働くのではてにはいらない」と言う事です
さて当シリーズがこれまで書いてきたバブル期に戻りましょう。サラリーマン=中流層を成り立たせていたものがその際立った生産性にあるのならバブル期の地価高騰が示すものはなにでしょうか?
それはサラリーマンの生産性向上が中レベルの生活を築くまでの水準に追いつかなくなり始めた事ではないでしょうか?
効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方
それは言い換えるなら下層への転落を意味する事であり、それを避ける為の動きの活発化する事となります。
1つは更なる生産性の向上、これは様々な資格を取ったり、あるいは実力主義の外資系で働いて高収入を目指すなど、正直な所いろんな人が色んな事を書いているので多くは書きませんが、勝間和代さんがスターダムにのし上がったのは結局そう言った空気の中での正統派の成功者だからだと思われます。
そして資産を生かすと言う意味での中産への道、言うなれば生産手段を保有する道です。そして色んな意味で目立ったのはベンチャー起業の道、これもホリエモンと言うスターを生み出しました。
パラサイト・シングルの時代 (ちくま新書)
とは言え多くの人達が現実的な選択として選んだのは既存資産を生かすこと、そしてその一番現実的な生かし方は生活費の多くを占める家賃を親と同居する事で節減する事だったのではないのでしょうか?
そしてその中で特にバブル期以降の豊かな生活をした人達は「パラサイトシングル」と言う言葉を生み出し90年代後半以降度々議論の的となりました。
若者受難の時代@agoraより
年功序列を良い事に、企業には中高年が大量に滞留している。膿の塊の様なものであり、辺りには腐臭が漂っている。
若者が此れに耐えられないのは、鼻の機能が正常な為で、何ら若者事態に問題は無い。寧ろ機能が正常であり、喜ぶべき事である。
独裁者のいない日本 @Joe's Laboより
ニューヨークタイムズが「日本の世代間格差」を取り上げたので紹介。僕も少しコメントしている。
内容は、雇用における新卒一括採用の弊害から、社会保障における一億円にも上る世代間格差の存在まで。一通りの論点について取り上げてくれている。
さて、僕はこの手の問題で何社か海外メディアとコンタクトをもったことがあるが、年功序列や世代間格差について、彼ら外国人に説明するのは実に骨が折れる。
で、理解してもらうと、決まってこんな質問が来るのだ。
「そんな無茶苦茶なシステムがなぜいまだに続いているんですか?」
いや、なんででしょうね……
雇用制度はもちろん、実質的に破綻状態の年金制度まで、政権交代してからまったく争点にすらなってないんですけど。
ただ今これだけ識者が世代間格差を叫び、嘆いて多くの若者達がそれほど大きくその是正を求めてこなかったのは多分その格差を親世代との連結化で緩和したからで、少なくとも現段階でそれが間違っていたようには思えないと言うのが個人的な感想です。
支出を制する者が投資を制する@ノマドライフ2.0 年収300万円からの資産形成より
最近は株価の上下に一喜一憂しなくなりました
一番の原因は支出を極限まで減らすことが出来たから・・・かな
お金を増やす方法は
1 収入を増やす
2 支出を減らす
3 金融資産の運用
でしたよね?
私は収入を増やすことを簡単にアドバイス出来ません
基本、駄目人間ですから
ただ、支出を減らすことなら出来ます
今の基本生活費(住居費、光熱費、通信費、食費+雑費)
は、月75000円ほど年間で90万円
目標の年間生活費120万円まで落としてきましたここまで来ると精神的に楽です
株価が下がろうが多少の不景気が来ようが、ドンと構えていられます
矢でも鉄砲でも来い!
ってな感じです
支出で減らすポイントは住居費 保険費 車 ギャンブル+煙草です
ただ未来を考えていった際ポイントになるのは次の一手をどう考えるか、まず出てくるのは投資、投資と言うと株や通貨を買ってその値段の上げ下げや細かい経済ニュースに一喜一憂すると言うギャンブル的なイメージがありますが、その第一歩は種銭を作る事、そしてその為には生活を見直していくことが必要になります。家をどうするのか、車をどうするのか、保険をどうするのか・・・。
こう言ったことを考えるきっかけとして考えていくと結構無視できないものがあります。実際私自身交通系のイベントに出たことは多くありますが「交通が便利になって車を手放した」人は見たことはありませんが、「投資をやるようになって車に使うカネが無駄だとわかって手放した」と言う人には会った事があります。
こう言った人はやはり強い、いざなんかしらの理由で失業したとしても資産はあるし、また何よりも安く生活できると言う事は給与が安い仕事でも大丈夫と言う事、そうすると仕事を選ぶ上でも済む場所を選ぶ上でも選択肢が広がると言う事、そしてそれは配当や売却益等本来投資で得られる利益抜きでも成り立つ事であり、それに多少不安定でも配当や売却益が入ると言うのは鬼に金棒です。
もう1つは何か作る流れ、上の動画の作者は2年以上200本以上その作品を投稿しているのですがそれは言い換えるなら顔の見えない視聴者に投げかける事をその期間続けていると言う事とも言えます。
動画サイトの性質上お金にはならないものの、個人的には多少は動画投稿をしたので分かるのですが、作るには思った以上に時間がかかりますし、また向上を続ける品質を見ると、それなりに動画を作る為の勉強も続けている。また動画サイトのSNS的な側面を見るとソースのやり取りをする同好の氏やファンとの付き合いもあるでしょう、言うなれば「お金のやり取りのない」商売をやっているようなもので、お金のように明確ではないもののかといって勉強で身につけるスキルとも違う中産化のための無形の力を蓄えている様な気がします。
高望みしているわけじゃないのです・・@「結婚できない」はずがないっ!!より
自分が大学を出ているなら、やっぱり相手も大学を出ていてほしいし、自分の年収450万円あるなら、相手は同じか少なくともそれ以上はもらっていてほしい(^_^;)。
年齢的にすぐに子供を作りたいから、どうしても外で働くことは難しい。しばらくは専業主婦。だから所得が高い人に越したことはないし、普通に考えて今のご時世、男性の親(まだ元気なうちは)との同居は考えられない。
連結家計 連結資産の時代@ノマドライフ2.0 年収300万円からの資産形成より
ようは、貧乏人はさっさと結婚した方が得!!
ただ、一つ問題があって、低所得者ほど無駄なことにお金を使い女性の中(男もだが)には価値観の転換が出来ていない、特に私と同世代は
なんだよなぁーー
って、ことで解決策を一つ
日本男児よ!!パートナーはアジアを目指せ!!
さてそろそろ纏めに入ります。結局の所一言で纏めれば上の引用の太字の部分に集約されていると思われます。
自分なりに言い直すと、バブル期以降中流社会が崩壊していく中で、独身男性が段々中流から中産化への道を歩み始めるのに対し、女性は結局中流であり続けたいと変われなかった事、そして段々そう言った女性たちを抱えきれないと男性たちが結婚から逃げ始めた事がこの非婚化・草食化の本質のように感じます。
安い税金を望むのは当然。@Espresso Diary@信州松本より
税金は1円でも安い方が良い。再選された河村市長の話は、いかにも名古屋らしい。いま全国には公務員の待遇をうらやむ声があふれているので、「税金を払う人が苦しんで、税金をもらう人が楽をする社会は間違っている」という言葉が多くの人の胸に落ちるのは当然です。進む円高で製造業の雇用が脅かされているのは信州も同じなので、私は愛知県の人たちの選択に納得ができます。
最近中東を初め様々な場所が大きく揺らいでいます。日本ではその筆頭になるのが上で挙げた名古屋市、ここで起きているのは、税金と言う強固な基盤で支えられたある意味で中流最後の牙城公務員の中流としてのポジションへの大きな揺さぶり、そして中東も含めそのゆれが終わった後何が起こるかはわかりませんが、そこで中産化した彼らが何を示すのか、そしてパラサイトでひと段落着いていたのが支えきれず中流から下流へ流れ落ちる人達がどれくらい出てくるのか、2010年代、そこが注目されるのではないでしょうか?