2016年11月

ポリコレから成長へ~トランプ大統領誕生に思う~

米大統領選挙(アメリカ大統領選挙)2016@朝日新聞11月10日11時08分更新より
daitoouryo



 さて本blogでも何度か書いてきたのですがどうやらトランプ氏が大統領になったようです。しかも現段階で総得票数はわからないものの朝日新聞での最新情報ではトランプ氏の獲得選挙人は290人とヒラリークリントン候補より25%多く意外に差がついての勝利だったようです。個人的には開票時トランプ氏優位の状況が明らかになるにつれ日経平均が500円下落→当確で1000円下落と言う状況に冷や汗をかく前になんて分かりやすい(とは言えそんな単純なリアクションでもなかったわけですが)とあほな関心をしてしまいました。

ExitPolls @CNN Politicsより
daitoouryo3

 さていろいろ言われる、トランプ氏を誰が支持したかですが、個人的に興味深かったのは上のCNNの出口調査でのデータ、白人はトランプ氏、非白人はクリントン氏と明確に分かれていますが、一方で白人女性の過半数がトランプ氏を支持し女性初の大統領を妨げたのはやはり女性だったという見方もできます。

米大統領選:嫌な予感ほど当たることがあるんだよね、という話@BLOGOS 2016/11/11より

 さて、トランプが「地方の白人中下層」の不満をすくい上げ、一部の経済的政治的特権階級(エスタブリッシュメント)をdisり、反グローバリゼーションを唱えたのが圧倒的な支持を得た、という論評が多いようですが、これは正しい部分もありますが、間違っている部分も大きいです。~中略~
 つまりなにが言いたいかというと、トランプの勝利は、「彼が貧困層の味方だと思われ、弱者の支持を得た」ということではなく、いままで米国という国で「征服者であり絶対的支配階級」であったはずの「白人」が、公民権運動の起こった20世紀後半以来、どんどん立場が弱くなってきていて、しかもヒスパニック(この場合は、フロリダの「白人系」ではなくて、メキシコや中米から来る「有色人種系」)や黒人の人口増加で、やがて多数派としての地位さえ失い、「このままだと、米国は有色人種に乗っ取られる」と感じている「白人優位志向のおっさんおばはん層」が、8年間の黒人大統領と、そのあとの「リベラルな女の」大統領に「ノー」と叫んだ、ということだということです
 さて大統領選挙への反応ですがアメリカとのつながりが深くインテリな層の人達からは懸念と言うかやや感情的なトランプ氏当選とその支持者たちへの一種の怨嗟の念が聞こえてきます。

アメリカ大統領選挙の結果を受けて@BLOGOS(自由党)2016/11/9より

平成28年11月9日
代表 小沢 一郎


 このたびアメリカ大統領選挙で当選されたドナルド・トランプ氏に対し、率直に祝意を申し上げたい。

 今回のトランプ氏の勝利は、米国におけるさまざまな課題の解決に向け、既存のしがらみにとらわれないその政治姿勢や手法に、米国民の大きな期待が集まった結果であると認識している

 言うまでもなく日米関係は両国にとって引き続き枢要な問題であり、日米関係の維持・発展のため、トランプ氏にもご尽力をいただけるものと大いに期待している。

トランプ候補の勝利が意味するもの@BLOGOS(管直人)2016/11/9より

アメリカ大統領選でトランプ候補の当選が決まった。トランプ氏の勝利をどう受け止めるべきか。現状に対し大きな不満を抱えたアメリカ国民が、既成政治家であるクリントン氏ではなく、政治家として全く未知数のトランプ氏を、現状に対する不満を共有しているという一点で選んだということだ

しかしこの選択が何を生み出すか。現状を変えてほしいとトランプ氏を選んだ人たちも、何をどう変えてほしいかという点では方向性はバラバラだ。トランプ氏のこれまでの発言からは内政面での具体的な改革の方向は見えてこない。

外交面ではトランプ氏のこれまでの発言からすると、世界への関与を弱め、モンロー主義的傾向が強くなる可能性がある。日本としてそれをどう受け止めるか、これまで以上に深い洞察が必要だ

 一方で興味深いのは所謂日本ではリベラルと呼ばれる政党の曲がりなりにも党首経験者であるお二方のコメント、前段の記事に比べ冷静と言うか、自由党の記事はある意味「当選おめでとうございます」と言う挨拶が主眼ではあってもTPP反対と言う意味である意味同じ方向を向いた存在という事である種の期待を持っているのだろうなと言う点がありますし、管直人氏の記事にも前段の記事に比べて冷静に分析しようと言うスタイルで失礼な言い方になりますが、この方がこんな評論家めいたものの書き方をしているのは珍しく妙な関心をしました。トランプ氏の政策には基地問題やTPP等リベラル層が重要視する施策に対して比較的突っ込んだ内容があり、それ故にそれに対してものを言い続けてきた人間として無下にできない部分があったのでしょう。

日経平均、2日ぶり上昇 終値は9カ月半ぶりの高値@朝日新聞2016/11/16
NYダウ、4日連続で最高値 「トランプ銘柄」買い続く@朝日新聞2016/11/16

 そしてもう1つ意外だったのは開票時大幅な下落を見せた株式市場の動向、特にアメリカで顕著だったのですが、開票中の下落以降大幅な株高が続いています。1時千円もの下落を見せた日経平均もあっという間にその下落を取り戻し上昇を続けています。

トランプ次期大統領の掲げる政策とこれまでの市場の反応は? @SBI証券2016/11/15より

11月8日の米大統領選でクリントン候補を破ったトランプ氏は、来年1月20日に第45代米大統領に就任します。

今年4月30日、オバマ大統領はホワイトハウス主催の夕食会の場でトランプ氏の外交面での経験不足について、『トランプ氏はこれまで世界中の指導者と会談を重ねてきたじゃないか、ミス・スウェーデンやミス・アルゼンチンとね・・』とジョークで会場を沸かしました。それから半年、今回の大統領選はものの見事に市場の予想を覆す結果となりました。

トランプ次期大統領が掲げる政策

1. 減税政策
  • 法人税を35%から15%に引き下げ
  • 多国籍企業に10%の特別税率、海外資金の還流を図る
  • 中間所得者層に35%の減税実施
2. インフラ投資10年間で1兆ドルのインフラ投資を促進
3. 社会保障オバマ・ケアの改修
4. 規制緩和金融規制の大幅緩和、ドッド・フランク法の緩和など
5. 通商政策
  • 雇用流出防止に向けて、貿易協定の見直し
  • メキシコや中国への関税強化、TPP見直しや脱退
  • 中国を為替操作国に認定することも検討
6. エネルギー政策
  • シェール・オイルや石油、天然ガスの生産・利用促進
  • 石炭産業の復興も検討

※出所:SBIリクイディティ・マーケット提供

トランプ氏のスローガンでもある『Make America Great Again』(偉大なアメリカの再建)に向けて、今後10年間で成長率を4%に引上げ、新たに2,500万人の雇用創出を目指しています


 ここで忘れてはならないのは暴言の陰で忘れられがちなトランプ氏の政策、上は証券会社のレポートから引用したものですが、個人的に特に興味深かったのはオバマ政権の施策で特に保守層に嫌われたオバマ・ケアの改修と4%の経済成長・2500万人の雇用創出と言う具体的な数値を挙げた部分でしょうか?トランプ氏と言うと極右と言うイメージがありますが、オバマ政権で最も極左と言われた施策をそのままではないが引き継ぐのは興味深いですし、雇用や成長率は実現性はともかく経済政策への意欲の高さは伝わってきます。また同時に行われた議会選挙で共和党が多数を確保し議会の多数派となった影響もありますが、結果的に市場が最高値を更新する形でトランプ大統領誕生を歓迎したのは注目されてよいと思います


トランプの勝利により、今、ポリコレ派が何をやらかしているのか+おまけ @together より
  • ヒラリー派左翼による暴力のまとめです。
    ツイートまとめっつーよりつべまとめになってるけどそれは仕方ない。後ソースは全部英語です。
    あと、出来るだけinfowarsソースを回避したつもりです。(前に反ビデオゲーム系の動画をアップしたから)

    まあ、何が言いたいのかというと・・・

    『自分は昔のように同情できないのかもしれない。』
  • ヒラリー敗北後、キャリフォルニア高等学校のトランプ派女子学生がヒスパニック系黒人に強烈に暴行される。
  • California High School Trump Student BRUTALLY BEATEN by Black Hispanic after Hillary Clinton lost
  • 11歳の少年が学校の疑似選挙でトランプに投票したためにクラスメイトに暴行された。
  • トランプサポーター一人をを集団で暴行。
  • トランプの勝利により、今、マイノリティに何が起こっているか @together より

  • ミネソタの高校で書かれた落書き。

    「くたばれ黒んぼ」
    「#白人だけのアメリカ」
    「トランプ万歳」

  • Shaun King @ShaunKing 2016-11-10 10:18:01
    This happened at a high school in Minnesota today. DAY 1 of Trump. pic.twitter.com/zpbFdpvOYU
  • 「お前の「結婚」とやらが真の大統領によって違法になるのが楽しみだ。ゲイファミリーは地獄に落ちろ」
  •  さてトランプ氏当選後のアメリカでは混乱が続いています。個人的にはどんな政治主張を掲げてもデモなどの政治的意見には賛成するものの、落書きやましてや暴力等の犯罪行為は反対するのでどちらも褒められたものではないのですが、ただ1つはこの混乱を見ると何故ヒラリーがこの選挙で負けたのかが見えてくるような気がします。一言でいえば「トランプ氏を支持する」という事を政治的にありえない事とする所謂ポリティカルコレクト的な扱いとしてしまった事、これはトランプ氏が過激な発言の多い政治家だったことと無関係ではないのですが、政治的な敵と言うのは封じ込めるものではなく説得し出来れば納得、そうでなく仕方ないと諦めさせる必要のある存在であるのに封じ込めようとして見えづらくし、コミュニケートしづらくしたのはどう考えても愚策であり、そういった支持者の動きを抑え込めなかったのはその政治力のなさを披見した様に思います。

     そういった意味で言えば一見BREXITと同様に語られる要素の多い選挙とその結果ですが、個人的にはトランプ氏の勝利にはBREXITとの大きな違いは「ポリコレで差別的な発言を止めるよりもまず経済を成長させた方が、差別する側、される側の双方が幸せになるのでは」と言う未来へ向けた一石を投じた事ではないでしょうか?
     果たしてトランプ氏が成功するかそれはわからないものの先進国で続いた所謂極右台頭と言う現象の中で「ポリコレから成長へ」と言う新しい希望となってくれることを祈るのみです。

    数字学外論~とある不誠実な大学教授~

    IMG_0308
    写真:出生率の高い地域と言うと豊かな地方都市と言うイメージがあります。@宇都宮市

    出生力に関してモデルとなる自治体はあるか?@YahooNews個人(筒井淳也)より

    先日の記事では、出生力やその関連数値については都道府県のみならず、各都道府県内の自治体の水準でもかなりの多様性があることを示しました。

    ではどういった自治体が出生力の観点から「優れて」いるのでしょうか。(データは先日の記事と同じく2010年の国勢調査をもとに、人口動態統計その他のデータを用いています。)

     さて立命館大学の筒井淳也教授が少子化に関して様々な事を書いていました。一見もっともらしいのですが個人的にはちょっとなぁと感じたので少し書きたいと思います。

    出生力に関してモデルとなる自治体はあるか?@YahooNews個人(筒井淳也)より

    まず合計特殊出生率ですが、安倍政権が当面の目的としている1.8以上の数値を持っている自治体は110個あり、これは全自治体数1,893のなかの5.8%を占めます。とはいえ、このなかには人口規模が極めて小さい自治体が含まれていますので、ここでは試みに15-49歳の女性人口が2万人以上の自治体のみをリストアップしてみましょう。 ~中略~
    この顔ぶれをみていて気づくのは、これらの自治体はいくつかのカテゴリーに分けることができる、ということです。多少恣意的ですが、表に書き込んでいます。ここでは、東海圏(愛知県の南部と浜松)、瀬戸内海沿岸の中規模都市、同じく西九州と南九州(沖縄含む)の中規模都市、その他に分けています。(ちなみに、政府が三世代同居政策を推し進める際に念頭に置いている福井の自治体は上記定義ではリストに入りません。

     さて何がひどいかと言うと上で太字で書いた部分、ちなみに中略部分には15~49歳の女性の人口が2万人以上かつ何故か合計特殊出生率1.7以上の自治体の19市区のリストが表示されています。さてこれのどこがひどいかと言うと「ちなみに、政府が三世代同居政策を推し進める際に念頭に置いている福井の自治体は上記定義ではリストに入りません。」と言う言葉の通り確かに福井県の自治体はリストに載っていません。しかしそれははたして福井県が誇る3世代同居策が少子化対策として無効だからでしょうか?

     総人口出産可能年齢女性
    福井県806314 
    福井市26679652813
    坂井市9190019038
    越前市8561416931
    敦賀市6776013214
    鯖江市6745013937
    表:福井県の人口5万人以上の自治体と15~49歳の出産可能年齢女性の人口(平成22年国勢調査 人口等基本集計 福井県結果の概要(平成23年10月26日公表)@福井県より作成)

     上の表は2010年の国勢調査結果から福井県の市町村のうち人口の多い順に総人口と出産可能年齢の女性の人口を抜き出したものです。出産可能年齢女性の人口が2万人を超えるのは福井市ただ一つであることが見て取れます。こうしてみると「15-49歳の女性人口が2万人以上の自治体のみをリストアップしてみましょう。」と一軒客観的に見える基準が非常に胡散臭く感じられないでしょうか?そもそもカッコ書きで書かれているように筆者は3世代同居策のモデルとなっている福井県を批判したいのは見え見えでかつ福井県では満たすのは県庁所在地である福井市しかない指標を用意するわけですから

     総人口出産可能年齢女性合計特殊出生率
    福井県806314  
    福井市266796528131.65
    坂井市91900190381.57
    越前市85614169311.54
    敦賀市67760132141.72
    鯖江市67450139371.68
    表:福井県の人口5万人以上の自治体と15~49歳の出産可能年齢女性の人口と出生率(人口は平成22年国勢調査 人口等基本集計 福井県結果の概要(平成23年10月26日公表)@福井県より合計特殊出生率は平成20年~平成24年人口動態保健所・市区町村別統計の概況@厚労省作成)

     ちなみにこれに出生率のデータを乗せると上の表のようになります。仮に出産可能年齢女性の人口が1万人を超える自治体と言う基準だったら見事に敦賀市が合計特殊出生率1.7超えを果たし、さらに福井市、鯖江市も1.65を以上なので年度を選べば福井県は福井市・敦賀市・鯖江市の3都市が見事にリスト入りを果た福井県はし人口5万人以上都市の過半数がリスト入りを果たす少子化対策超優等生の座に輝き全国が「少子化対策は福井に学べ」となりかねません。

     さて私が何故こんなことに気付いたかと言えば単純にリストにある都市を見て人口10万人以上の都市ばかりだなと感じたからです。大都市に住むと気づきませんが地方、特に人口の少ない地域にとって人口10万人以上の都市と言うのは多くは無いです。私の生まれ故郷大分県では大分・別府の2都市だけですし、今年震災で被害を受けた熊本県も熊本市・八代市だけです。そう考えると大分市・別府市だけで大分県、熊本市・八代市だけで語る熊本県と言うのはやはり違和感があります大分だったら中津・日田・佐伯・竹田・湯布院、熊本だったら荒尾・水俣・人吉や阿蘇地域は最低でもないと片手落ちとどうしても感じてしまいます。
     そういった事を考えるとこういった主張を持った先生たちの論を読む際に気を付けないといけないのは何が欠けているかと言う想像力ではないでしょうか?
     またもし論を書く側として考えるならばこのような大雑把な主張は避ける方が無難で自分が正しいと思う論を展開する際にはそれに対する反論を意識して数字的に裏を取る必要があるのだと改めて感じます。

     しかしながら筒井教授はあからさまに不誠実に感じますが皆さんはいかがでしょうか?


     
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