写真:九州新幹線800系「つばめ」号
さて新幹線がらみで色々ニュースが入ってきたので少し取り上げてみましょう。
ひかりレールスター廃止へ 九州新幹線全線開業に合わせ@MSN産経8/14
まずは山陽~九州新幹線がらみの話から九州新幹線博多開業に合わせて山陽新幹線の人気列車ひかりレールスターが廃止されるそうです。ひかりレールスターと言うと700系のぞみがデビューした直後にその車両を用いて運転した新大阪~博多間の速達型のひかり号で古くは0系を利用したウェストひかりや2階建て車両4両を連結し食堂車も営業、最高速度230km/h運転を始めて行ったグランドひかりなどのJR西日本の山陽新幹線のみ(グランドひかりは東京直通)で運転する速達ひかり号の集大成として車内放送を殆ど行わないサイレンスカー、大型テーブルとPC用コンセントを備えたオフィスシ-ト、またコンパートメント車両等が原則指定席のみで利用できる大盤振る舞い列車だったのですが、300km/h運転かつカーブ通過速度を向上させたN700系のデビューでスピード面で陳腐した事、また九州新幹線直通が新大阪発着の為、JR九州共々N700系ベースの新車を導入して対応するとの事です。
写真:九州新幹線800系内装
個人的には後継となる新車はJR1デザインとサービスに凝るJR九州との共同制作だけにどれだけすばらしいものになるかが楽しみです。レールスターの様々なコンセプトを引き継ぎつつどれだけすばらしい車両を生み出せるのか注目したいところです。
また後継車両はN700系ベースと言うことでスピード面でも期待できます。
現在のN700系のぞみの新大阪~博多間は2時間23分、それに博多~鹿児島中央間は300km弱で新神戸~広島間とほぼ同距離ですから、その所要時間(69分)を加えると3時間32分と新幹線と飛行機が互角に戦える所要時間となります。
また燃料費高騰によるリストラで航空便の神戸~鹿児島線が減便になる等の追い風も吹いているのですばらしいデザイン、サービス、スピードで鹿児島方面へのアクセス向上を期待したいところです。
写真:東海道新幹線を走る700系のぞみ号
[JR東海]日本車輌製造にTOB 一貫体制築く@毎日新聞8/15
続いてはもっとビッグなニュース、JR東海が自社の新幹線車両や今後開業が予定されているリニア用車両の製造も行っている鉄道車両製造会社、日本車両製造を262億円をかけてTOBし買収するそうです。現在の日本の主要鉄道車両製造会社会社は以下のようになっているのですが
近畿車輛
・近鉄系、関西の鉄道会社に強い、また海外向けの受注も少なくない
東急車輛製造
・東急系、関東私鉄及びJR東日本に強い
川崎重工業車両カンパニー
・メーカー系、NY市等海外向け車両を積極的に受注している
日立製作所
・メーカー系、イギリス・アフリカ等海外からの受注実績も多い
新潟トランシス
・メーカー系、国内のディーゼル車市場の大半のシェアを誇る
日本車両製造
その中で川重や日立のような知名度が無く、近畿や東急のような後ろ盾も無く、トランシスのようなニッチ市場も持たない日本車両はガソリン高で好景気に沸く鉄道車両業界の中で苦戦を強いられ昨年度の決算も赤字と言う状況でした。
写真:JR東海を代表する通勤車両313系&キハ75系
その中でリニアやN700系等の最先端技術の集積とも言える車両から写真にある313系等通勤電車までありとあらゆる車両の生産を発注し日本車両最大のお得意様であるJR東海にとっては最先端プロジェクトにも参加するパートナーが外資に買収されるリスクを避ける為と言うのがまず出てきます。
激安「新幹線」乗って天津へ! 反町ジャパンの観戦旅行=「北京五輪」脱力ルポ(15)@LivedoorPJより
帰りはいよいよ中国版新幹線の旅です。とはいっても、たった40分程度の乗車時間ですが。運賃は120キロで46元、日本円でなんと736円です。往路のような立ち席ではありません。ちゃんとした普通の指定席です。1000円以下で新幹線に乗れるのは驚きでした。けれども、日本の新幹線のイメージがだいぶ違いました。屋根のない雨ざらしのプラットホームに新幹線が入線してきた時には、「高級感が無いなー」と思いました。
中国ではこの新幹線のことを「CRH」と呼んでいます。この車両は日本の川崎重工業から購入したもので「和諧号」と呼ばれています。形は東北新幹線などで使われているE2型の兄弟車です。日本ですべて製造した車両や中国で日本製部品を組み立てた車両、そして中国国内のノックダウン製造車両があるようです。この車両の購入条件として、中国側は完全な技術供与を求めました。そのためか、中国政府は新幹線を「中国の技術」で作っていると中国人民に喧伝(けんでん)しているそうです
また北京オリンピックで注目された新幹線に代表される海外向け市場への対応と言うのも忘れてはなりません。実際に電車を動かすノウハウのある鉄道会社や海外で有名ブランドとなっている大手メーカーの後ろ盾の無い日本車両にとってJR東海と言う新幹線から通勤電車まで一揆痛感で運営する鉄道会社の後ろ盾を得ることは原油高によって今後成長が期待できる海外市場への展開に大きくプラスになるでしょう。これは今後リニアを作っていくにあたって資金調達のため収益増加を求めるJR当会にとってもシナジーが期待できる分野でもあります。
そう言った意味でJR東海とタッグを組んだ日本車両がどこまで仕掛けていくのか、またJR東海がこれまで培ってきたノウハウをいかに海外でのビジネスに結び付けていくのか、典型的な国内向け産業と言われてきた鉄道産業の新たな展開に期待したいところです。