2016年03月

知性の劣化を感じさせるもの~米大統領選に思う~

トランプ旋風、全米席巻 15戦10勝、党勢拡大を誇示@朝日新聞2016/3/3より
 「トランプ旋風」が止まらない。これまでの3連勝に続き、米大統領選の共和党候補者選びの最大の山場「スーパーチューズデー」でも圧倒的強さを見せた。党の主流派は焦るが、トランプ氏を阻止する動きは足踏みを続けるだけ。候補者一本化への道筋は見えず、同氏の指名獲得に向け、さらに有利な状況が生まれつつある。
 共和党の先頭を走るトランプ氏は、11州のうち7州での勝利。通算成績を「15戦10勝」とし、さらにリードを広げた

 注目されるアメリカの大統領選挙、共和党トランプ候補の快進撃が物議を醸し出しているようです。

トランプ氏がお金持ちなのに庶民に見える理由@blogos茂木 健一郎2016/3/4より
実際にはトランプ氏は、大富豪であり、エスタブリッシュメントである。ところが、エリート臭がしない。数々の失言も、どこかの酒場で庶民のおっさんがくだを巻いているようなものだと思えば、それほど突飛ではない。だから、自分たちの仲間だと思ってしまう

ヒラリー・クリントンから感じられるのは本物の知性であり、教養である。ところが、米国民のあるひとたちは、そういうものは自分たちと関係がない、と感じるのだろう。それはワシントンのエリートたちの独善であると。

ここに、興味深い分析が生まれる。ひとびとが、「階層」を感じるのは、お金の問題だけでなく、「知性」や「教養」においてもそうなのだと。米大統領選挙においては、「知性」や「教養」は、大衆の支持を得る際に邪魔になっているのかもしれない
シリーズ夏休みの課題図書その2~ターニングポイントとしての2005年~より
実際にそうかどうかは別として「高IQ」に分類されている「テレビ関係者」や評論家でもある「大学教授」は、始めから「対象外」だったのだ。もっと言えば、小泉政権はテレビを利用しながら、テレビ関係者やスタジオの識者たちの頭の上を素通りして、その向こうにいる「B層」にのみ、話しかけていたと言うわけだ。
 と言った感じできついまとめ方をしてしまえば「小泉はTVをぼ~っとみている知的程度の低い「B層」むけにアピールをし、それを無批判で受け入れた「B層」のせいで日本はえらいことになってしまった」と言った感じでしょうか?

 郵政選挙のころの小泉氏を巡る論調に近いものがあります。ただこの時に感じた事でもありますが、この状況を見ると知性の劣化ここに極まれりと感じます
 それはトランプ候補の支持者ではなくそれを批判している知識人と言われる層の、この手の人は良く「政治家は政策を」と言いますがトランプ氏の政策を前面に出すのでなくその言動を批判するのに終始してはいないでしょうか?

過激な発言が目立つトランプ、実際は何をしようとしているのか? @blogos Platnews 2015/12/10より

公約としては大きく5つ挙げている

米中貿易の改革

中国の人民元切り下げを止めさせ、環境基準や労働基準を改善させる。また知的財産保護やハッキングに対して厳しく対処する。「中国はアメリカの雇用とカネをかすめ取っている」と言い放っている。

退役軍人省の改革

退役軍人省の首脳部を総入れ替えし、退役軍人の医療制度を変革する。具体的には、退役軍人の病院での待ち時間を減らせるように仕組みを変え、増加する女性退役軍人の医療充実のため、女性医療を専門とする医師の数も増やすつもりだ。またオバマケアは大失敗だとし、自由市場原理で動く医療保険計画を提案している。

税制の改革

年収2万5000ドル(約300万円)未満の人の所得税を免除する。法人税率を15%引き下げ、多国籍企業が海外に滞留した所得は税率10%で国内に還流させることができるようにする。最低賃金の引き上げには反対し、労働コストの低い海外に移転した製造業の雇用を米国に戻すべきだとしている

武器の所有権利

銃規制強化に反対し、銃購入時の身元調査の範囲拡大にも反対している。また銃乱射事件を減らすために精神医療に投資すべきだとしている。

移民の改革

オバマ政権が大統領令で導入した移民制度改革を撤廃し、数百万人に上る不法移民を強制送還する。ムスリム系米国人のデータベースを強化し、モスクを監視すべき。米国とメキシコの間に「大きな壁」を建てる(トランプ氏は以前からメキシコ人を強姦犯などと罵倒している)。

 という事で政策を見ていきましょう。個人的には英語が苦手なので親切な人が訳してくれたまとめを引用します。英語が得意な方はリンク先を参照してください。
 太斜字で書いた部分は個人的に比較的納得した部分、太字で書いた部分は余り賛同できない部分です。納得と書いたのは他国の選挙でありまた他の候補者の政策までわからないという点です。
 とは言え日本で言えば非正規雇用などで経済的に苦しんでいる様な人にとっては響くものがあるだろうなとは感じます。最低賃金の話は一見違うように見えますが、「お前をこの賃金で雇うよりも中国人をその何分の一で雇えるんだぞ」といった事を言われた人も多いであろうことを考えると中国の話を出しているのも肝と言えるでしょう。
 確かに強い部分もありますが方向性そのものは意外に納得できる部分も多いです。

トランプ氏、ヒスパニック系も支持 候補者争い3連勝@朝日新聞2016/2/25より
 米大統領選の共和党候補者指名争いで、同党ネバダ州党員集会が23日にあり、実業家のトランプ氏(69)が圧勝した。これで同氏は予備選・党員集会で3連勝。同州はヒスパニック系の有権者が多く、同氏のメキシコ不法移民排斥発言の影響が注目されたが、ヒスパニック系でもトランプ氏が圧倒的な強さを見せた。~中略~
 だが、米CNNが実施した投票者への調査によれば、ヒスパニック系の45%がトランプ氏を支持。他候補を圧倒し、「トランプ人気」が浸透している実態が浮き彫りになった。
 スペインとの間の壁が注目され、ヒスパニック等マイノリティに厳しい言動で注目されることの多いトランプ氏ですが一方でその厳しくされる側のヒスパニックの支持を得られていないという事も無い様です。
 よく考えればわかりますが、彼らはヒスパニックと言う人種である以前に1労働者であり、1求職者であり、もともと地域に基盤がある訳でない移民であることを考えると人種差別よりも経済的な厳しさ例えば工場移転等による失業だったり、オフショアとの競争による労働条件の引き下げである方が彼らにとって厳しく切実な問題であり、トランプ氏の政策は差別的発言をしないなどポリティカルコレクトを守る「知性ある」政治家よりも彼ら1人1人にきちんと届いたからこそ支持を取り付けたのではないでしょうか?
 こういった考察を行わないで単に支持する人の知性を責めるような言説を見ると本当にそういった言説を言う人の知性の劣化を感じるのは私だけでしょうか?
 

与党独り勝ち時代に旅立つ2つの政党

民維、3月合流で合意 岡田氏「安倍政治と対決」@  共同通信2016/2/26より
民主党の岡田克也、維新の党の松野頼久両代表は26日、国会内で党首会談を開き、3月中に新党結成を目指すとした確認事項に署名し、両党の合流で正式合意した。衆参両院で150人規模となる。この後、両党の代表と幹事長で構成する「新党協議会」を設置し、新たな党名や綱領などの検討に着手した。他の野党議員らにも参加を呼び掛け、安倍政権に対抗できる幅広い勢力の結集を図りたい考えだ。新党トップには岡田氏、代表代行に松野氏が就く方向だ。
維新+民主は薩長同盟か?それとも大坂の陣の豊臣家か?


 さて昨年から迷走を続けてきた維新の党ですが、どうやら民主党と合流するようです。

新・民主党は最後のチャンスであることを心に留めておいた方がいい @ 長谷川豊2016/2/29より
皆さんもご存じの通り、「維新の党」などと名乗ってはいるが、はっきり言って、その中身は到底リスペクト出来る集団ではない。
民主党は2009年に政権交代を掲げて与党となった。しかし、相次ぐ不祥事に実行力の無さ、マニフェストの不実行などが重なり、その支持率は地に落ちていった。その時に…
このままだと次の選挙で当選できないから、このままだとエライエライ国会議員さんではいられなくなってしまいそうだから…と、当時、大人気だった橋下徹氏人気に縋(すが)りつきに行った議員達が現在の「維新の党」の大半である。

 ニュースキャスターの長谷川豊氏がそんな維新の党に冷ややかな意見を出していますが、個人的には同感です。

◎任期満了選挙が筋=ガソリン値下げは温暖化助長-高村外相@時事通信1/19より
 また、民主党が揮発油税の暫定税率撤廃によるガソリン値下げを掲げていることに関しては、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを削減しようという世界の流れに逆行していると批判。「日本が北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を主催しようとしているとき、『ガソリン税を下げました、もっとガソリンを使いましょう』という態度でリーダーシップが取れるのか」と強調した。 


ガソリン値下げ隊@wikipediaより

  • 2008年(平成20年)1月15日、結成式。菅直人が「衆院における与党の圧倒的多数の横暴を許さない」、山岡賢次国会対策委員長が「この国会はガソリン国会であり、ガソリン解散にする」と訴え、気勢を上げた。
  • ガソリン税の暫定税率廃止でガソリン1リットルあたり約25円の値下げをするキャンペーンを街頭で行った。
  •  かつて民主党は自民党から政権奪取を成功させた時期もあったのですが、当時は自民党が軽視していたガソリン価格急上昇の問題など人々の生活に密接な分野できちんとした政治的な問題提起を行い有権者たちに政治的な期待を持たせることに成功したからと言う面は見逃してはいけないと思います。

    消費増税 軽減税率撤回なければ反対 民主・維新が一致@毎日新聞2016/2/19
    消費税10% 「税収減なら見送りも」菅官房長官@毎日新聞2016/2/26

     さて今の民主・維新にそれが出来るでしょうか?上は消費税を巡る官邸と民主・維新の意見、正直な所軽減税率を巡る駆け引きと取れる民主・維新に対し菅官房長官の方はかつての小沢一郎同様、株安・円高で不透明感を増す景気、言うなれば人々の気持ちへの配慮が見て取れ、役者の違いすら感じさせます。
     極端に言えばかつての小沢一郎氏のような知恵を絞って何とか互角、現状の政争ばかり意識したままで数合わせを行っても正直勝算は生まれないでしょう

    表現の自由を守る党より

    私は、2010年の参議院議員選挙に立候補したときから、表現の自由を守ることについては重要な公約として掲げてきました。野党であっても、国会での質問や質問主意書などを駆使することで、また、皆さんからの後押しの声もあり、何度もの危機を乗り越えてくることができました。

    今回、憲法21条の表現の自由と通信の秘密を守るために【表現の自由を守る党】を立ち上げました。

     そんな中個人的にはある意味で民主・維新連合よりよっぽど期待が持てるかなと思われる新党も誕生しました。表現の自由を守る党です。現在参議院で活躍中の山田太郎氏の個人(?)政党で参議院の比例代表で議席を取るとしたら100万票近く必要という事でいきなり存続の危機に立たされている政党でもあります。

    児童ポルノ@wikipedia
    山田太郎の記事一覧@blogos
    改めて整理!児童ポルノ禁止法の概要と問題点【第53回山田太郎ボイス】@参議院議員 山田太郎 オフィシャル Web サイト

     山田太郎議員と言われてもと言う方に簡単に説明すると児童ポルノ法に対して懐疑的な視点で活動している政治家さんです。児童ポルノ法と言うのは「少女のエッチな写真やコンテンツを保有するのも駄目だよ」と言う法律です。


    萌えキャラが語るもの@私的まちづくり論5より
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    写真:大洗町のガールズ&パンツァー立て看板@2013年&萌え絵に批判的なツイート

     さてその上で萌えキャラについて考えてみましょう。そして舞台は志摩から常陸、大洗町に移ります。
     Leoさんがガールズ&パンツァーのキャラクターを引っ張り出して砂糖でくるんだ毒薬と手厳しいコメントを出しています。確かにそう受け取り不快に感じる人はいるかもしれません。ただこれも悪い言い方をすれば作り手からすれば織り込んで覚悟して作ったものなのではと感じます。
     これが厄介なのは定義次第ではとんでも無い事になりうる事です。
     例えば娘さんと海水浴に行った際の写真(要は娘さんの水着写真)を持つ父親と言うのも定義次第では取り締まりの対象になりえますし、あいまいにすると警察などそれを運用する側の恣意で犯罪かどうかが決まる訳でこれは実に怖い事です。

    表現の自由を守る党党首の山田太郎参議院議員、警察庁にフィギュア陳列の件で問い質す! @togetherより
    警察庁から直接聞きました。児童に対する性的好奇心を疎明するためにフィギアを押収した印象。まったく理解できません!詳細はさんちゃんで


     そして特に言われているのが所謂2次元、アニメやゲームなどのコンテンツです。どこまで正しいかわかりませんが独身男性が何か犯罪を起こし、それが報道される際によくフィギュアなどこういったコンテンツ関連のグッズが画像に入ってくるケースは多いように感じます。

    最貧困女子 [ 鈴木大介 ]

    良く考えればこういったコンテンツは直接的には少女を傷つける存在ではないですし実際少女を傷付ける存在はそういったものと縁が深い人か冷静に考えればそうでないと感じられますが如何でしょうか?そういった中で上で上げたLeoさんの様な考え方で規制したら多くのコンテンツが規制の対象になるでしょうし、それを持つ人たちも準犯罪者的な扱いを受けるのではと感じます。そして厄介なのはこの規制には少女を性的搾取から守るというお題目までついている事であからさまに反対側に回る人が少ないという事です。
     そういった意味で山田議員のような存在は貴重であり、きっと少数政党であっても歳費等の議員にわたる税金がが安く感じられるくらい働いてくれそうな気がします

     果たして与党独り勝ちな世知辛い世の中に旅立つ2つの政党、あなたはどちらに期待しますか? 

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