看板

写真:LRTフォーラム看板

 ※都市整備局鈴木氏は局長でなく理事でした。以下修正します。
 前回からの続きです。
イベント見聞録:2010/1/23横浜LRTフォーラム

都市プランナー野口氏


 さて質問によるディスカッションと前後してディスカッションからの参加となる都市プランナー野口氏、神奈川新聞元編集委員&現記者である松本氏の紹介も行われました。まずは写真の野口氏
 まずプロフィールとして横浜では上大岡や戸塚等の再開発事業に関わっていたそうです。その経験から言えることとして2点を挙げられていました。
・日本ではコンパクトシティは無理
→まちを集約して成長するエリアを作ると人口減少中の日本では衰退する地域も増えていくから、諸外国でもそれは同様で、強いて言えばサンフランシスコのように成長地域の果実を他の地域に振り分ける方法は考えられる。
・都市の成長戦略が描きづらい
→特に横浜の場合近所に東京と言う一大集積があるため「どんなに頑張っても・・・」となり勝ち。
・また上大岡で20年近くかかったように、日本の土地は殆どが民間保有なので再開発に時間がかかるのが難点。

 全体的に辛口と言うか身も蓋も無いと言った感じの発言が多かったイメージの方、のっけからコンパクトシティ否定&成長戦略否定と言うのはこの手のフォーラムでは珍しい感じでした。ただ個人的には成長するエリアと衰退するエリアの陰陽の様な話はやはり昨年宇都宮や堺で躓いた事を考えるとあったほうが面白かったです。

参考
野口都市研究所
戸塚駅周辺再開発@横浜市

 続いてはコメンテーターとして参加された神奈川新聞松本氏
 プロフィールとしては昨年還暦でそれまでの約40年間横浜に本拠を置く神奈川新聞の記者として関内の街の推移、特にバブル以降の夜の街の衰退を眺めてきました。また今年から藤沢支局で勤務しているが前に勤務した30年前に比べてこちらも衰退著しいとの事。
 また30年前は車での取材が当たり前だったが、今は横浜に関しては歩きで十分に回れるし、藤沢も江ノ電等を使っているとの事でした。
 そしてLRT等の公共交通に関しては行政は未だに車社会の呪縛から逃れられず脱車社会を大胆に提案できない状況、しかしCO2の25%削減と言う大きな数値目標を考えていったとき、単に車を電気自動車でかえるだけでは結局1~2人をあれだけの車体で運ぶと言う不経済そのものは解消できるわけなく、意識変化が必要でその意識変化によって富山の様にLRT導入を必要と考える首長に変えるくらいでなくてはとの事でした。

 ポジションとしてはメディア代表と言った所ですが一番スタンダードな事を行っていたのが印象に残りました。関内を愛する会の池田氏同様関内の衰退と言う点を強調していた点も個人的には印象に残っています。
 関内の衰退に関しては難しいのはバブル以前との比較では確かに衰退しているし、最近では松坂屋の撤退もあったのですが、個人的にはあの周辺を歩いていると「これだけ人の多い衰退地域と言うのもなぁ」と言う気持ちになると言うのも前回書いたとおりです。
 関内だけでは無いですが結局バブル前を基準に考えると色んな事を見誤りそうな気がします。今でも関内あたりで盛り上がっている人達は相変わらずいる、とは言えその中身は確実に変わってきているのではないかと思います。関内はなやかなりし頃、華盛りだった社用族と言った人達は激減していて色んなアプローチが出てくる。例えばオタクに代表されるサブカルチャーも重要な構成要素として出てくるだろうし、ビジネスにしてももう関係のある程度固まった大企業同士の接待と言うつながりよりもこれから新しい関係を作り上げる若い企業同士のつながりと言った面も活力としては重要になるだろうし、当然増えてくる定年退職者やまた前橋の弁天通りのように失業率の高い若い世代を取り込んで活性力にするといったアプローチも考えられる、そう言った意味でこう言った雑多で多様なアプローチは横浜の顔としてスタンスが決まっているみなとみらい沿線でもターミナルとして多くの人が行き交っているものの面積的な制約の大きい横浜駅周辺で無く関内の役割のような気がしますがいかがでしょうか?

神奈川新聞
横浜初のオタク系マップ「横浜オタウォーカー」が創刊@ヨコハマ経済新聞
横浜のホームページ制作 スタジオFIXの社長ブログ
弁天通~弁天ワッセで盛り上がる門前町~@前橋弱小ポータルサイト

横浜駅乗り入れ案

写真:横浜にLRTを走らせる会&横浜の公共交通活性化をめざす会によるLRT横浜駅乗り入れ案

 続いて主催団体である横浜にLRTを走らせる会&横浜の公共交通活性化をめざす会による活動報告とLRT横浜駅乗り入れ案についての説明がありました。
 まずは活動報告として
4月 中田前市長とのカレーランチミーティング
・市長としては財政難で難しい
・市長の1個人の立場では本牧や関内・関外を結ぶ路線が望ましい
 との事でした。
8月 市長選挙
・アンケートを実施、現市長林氏には「導入を推進する」との回答をいただく
9月 カーフリーデー参加
・パネル展示(めざす会)
・LRT塗り絵(走らせる会)
12月 人と環境に優しい交通をめざす全国大会参加
   塗り絵大会表彰式

 開会挨拶と被りますがこんな感じでした。
 続いてLRT横浜駅乗り入れ案としては
共通:横浜駅~みなとみらい方面
A:そごう2階の踊り場ターミナル
B:そごう前発着
C:東口崎陽軒前発着
 と言う3案が挙げられました。
 そして各パネラーの意見が聞かれました。
池田氏
・現状のバス・自転車・徒歩等の都心部交通では広い都心部を回るのは大変、だから声を上げたい
・特に循環交通が必要、ただし関内・関外地区活性化推進計画検討会では無料バスの案があり中々LRT案に陽の目があたらない
鈴木理事※
・理事の立場でコメントするのは難しいがあるべき交通の中で議論していくべき事
・1個人としては単なる交通施策としてだけではなく、街の活性化と絡めた時有効になるのではないだろうか?
・またいかに盛り上げていくかが重要
・ルートに関してはみなとみらい線との競合、みなとみらい地区はJR,みなとみらい線は良いがそこのつなぎが良くないので串刺しにするルートが良いのでは
・財政が厳しいのでそこはより一層の工夫を
・ただし国交省は気合を入れているので施策が出た際に乗っていけるかも鍵
鈴木准教授
・インナーハーバーは市の公式計画になるわけでは無いのでそこにLRTが入るのはそれほど難しいわけではない
・ただし他の交通とのタッチを・・・例えば水上交通は駅から遠いと利用されないのでそのつなぎを
・今の制度ではLRTは難しい、EUの様に行政がお金を出さないと
野口氏
・LRTは手段でしかないのできちんとしたビジョンが必要
・富山は華々しいLRT開業の裏で廃止になったバスがある等新たな交通弱者を生み出したと言う面も忘れてはならない

 こんな感じでした。個人的にはやはり突っ込んだ話が出てきたのが印象的でした。特に池田氏で言えば無料バス案、鈴木局長で言えばみなとみらい線と言う競合の話であったり、野口氏言う所のビジョン、例えば鈴木局長言う所の街の活性化や鈴木准教授言う所の水上交通との連携等具体案あっての議論は印象に残りました。

 さていかがだったでしょうか?個人的に今回のフォーラムで印象に残ったのは成長戦略と関内と言う2つのキーワードです。横浜と言う都市を考えていくときに個人的に最近すごく感じているのは「横浜と言うのは薄利多売の都市なのではないか」と言う点、観光で言えば、確かにみなとみらいや元町・中華街等おしゃれなスポットに多くの人が訪れるものの彼らが飲酒や宿泊等言い方は悪いですが「儲けの多い」消費をしてくれるかと言えば殆どしてくれない、また昨年話題になった開国博ではあれだけ大きなイベントでたくさんの人が訪れたのに「儲かったのは(東京の)電通だけ」と言う言葉がまことしやかに囁かれている状況もあります。先日無くなった横浜の街づくりを語るのに欠かせない第一人者田村明氏の施策で「田園都市線沿線の人口増加によって小学校の建設費用が捻出できず東急に一定の負担をさせた」と言う物があったのですがこれは何よりこの状況をうらがいていると感じるのは私だけでしょうか?
 確かにこれまでは370万人近い人口、そしてベッドタウン的ではあっても人口が伸びていた事で、ただ訪れてくれる、住んでくれる莫大な人口を相手に何となく商売していてもそれなりに成り立ったのが、今後高齢化、人口減少とその前提が崩れていく事への危機感がこの言葉を論者から引き出したのではないかと思います。
 特に横浜市大の鈴木准教授による「横浜は地元の事業者や人が計画していない、だから地元が儲かるわけが無い」と言う指摘は印象に残りました。
 そしてそこで重要な役割を果たしていくのが多分今は衰退したとは言え古くからの都心である関内地区と言う事なのでは無いでしょうか?
 おおよそLRTフォーラムの感想としてはどうかと言った感じですが、個人的にはかつて田村明氏が構想したみなとみらいが現在横浜駅と臨海部の都心を結びビジネスに観光に横浜の顔として存在感を示しているように、新しいLRTが横浜を「薄利多売都市」から脱却させ新たな成長を生み出すきっかけとなる事を願ってやみません。

参考
横浜にLRTを走らせる会
横浜の公共交通活性化をめざす会 
都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法 (中公新書 678)

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