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4月9日は神奈川県知事、県議会議員選挙です。投票へ行きましょう

選挙概要
さて私の地元横須賀では4月9日に神奈川県知事・県議会議員選挙、4月23日には横須賀市議会議員選挙が行われる等統一地方選挙が行われます。当日投票できないという方も横須賀の場合だと以下で期日前投票及び不在者投票について情報がありますので参照ください。
令和5年4月9日執行神奈川県知事選挙及び神奈川県議会議員選挙のご案内 令和5年4月23日執行横須賀市議会議員選挙のご案内
また神奈川県知事選挙、県議会議員選挙、横須賀市議会議員選挙の期日前投票に関しては下記で実施可能です。
~4月8日まで実施中(県議会議員選挙は4月1日より、市議会議員選挙は4月17日~22日)
横須賀市選挙管理委員会(ヴェルク横須賀、京急横須賀中央駅、JR横須賀駅より横須賀中央方面バス横須賀中央バス停より徒歩)
4月1日~8日(市議会議員選挙は4月17日~22日)
横須賀市内各行政センター(追浜、田浦、逸見、衣笠、大津、浦賀、久里浜、北下浦、西)
4月2日~8日(市議会議員選挙は4月17日~22日)
横須賀モアーズシティ8階(京急横須賀中央駅、JR横須賀駅より横須賀中央方面バス横須賀中央バス停より徒歩)

神奈川県議会議員・県知事選挙 候補者情報
県知事選挙選挙公報
県知事選挙各候補者HP
岸 牧子
加藤 健一郎(HP不明)
黒岩 祐治
おおつ あやか

イエール大学助教授の問題発言とその反応

いや僕はもう、唯一の解決策ははっきりしてると思っていて、結局、高齢者の集団自決、集団切腹しかないんじゃないかなと。(スタジオのどよめきを制しながら)いやいや、これは結構大真面目で、やっぱり人間って引き際が重要だと思うんですよ。
べつに物理的な切腹だけでなくてもよくて、社会的な切腹でもよくて、過去の功績を使って居座り続ける人っていうのが色々なレイヤーで多すぎるっていうのがこの国の明らかな問題で。
まったく呂律が回ってなかったり、まったく会話にならないような人たちが社会の重要なポジションをごくごく普通に占めていて、僕たちはそれが当然だともう思っちゃってるじゃないですか。


さて「高齢者の集団自決、集団切腹しかないんじゃないかなと」との米イェール大学助教授の成田悠輔氏の発言が物議を醸しだしているようです。

「高齢者は集団自決すべき」成田悠輔氏の発言に養老孟司氏ら“平均84歳”知識人が喝!「問題にする気も起きない」@SmartFlash2023/2/21より
では、自決や切腹を求められた側はどう受け止めたのか。まずは東京大学名誉教授で『バカの壁』(新潮新書)著者の養老孟司氏(85)に聞いたーー。
「彼の発言にはいろんな背景があると思いますが、ひとつは、社会は“順送り”だから仕方がないという感覚が消えてしまっているんですね。
 今の若い人は、自分たちの世代ばかりが損をしているという感覚になっているんじゃないか。ウザくて邪魔な年寄りが大勢いるせいで、若い人が割を食っていると思っている。でも実際は、世代間で順送りになっているんです。  僕は、定年前にさっさと大学を辞めてしまいました。大学ってのは、若い人が下に溜まっている場所なんです。「終活」をしている人も、子供に迷惑をかけたくないという思いがあるのでしょう。これも順送りの考え方です。
 しかし、今は長い目で世の中を見ることができない人が増えた。今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない
 そりゃ、“今”という断面で切ったら、不公平はいっぱいありますよ。しかし、長い目で見ると、結局は順送りになっているんだということが、彼にはなかなか想像がつかないのだろうけど。


当然のことながら高齢者の方からは反論が出て来ています。曰く「社会は“順送り”だから仕方がない」「今は長い目で世の中を見ることができない人が増えた。今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない」と言った所でしょうか?

五公五民と言う言葉が語る現役世代の厳しい現状
国民負担率47.5%で「五公五民」がトレンド入り「日本中で一揆が」「江戸時代とどっちがマシ」の声@SmartFlash2023/2/22より
 2月21日、財務省は、2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表した。過去最大だった2021年度の48.1%をやや下回ったものの、国民所得のほぼ半分を占めている
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表:年収300万円(月収25万円)での税金(所得税・住民税)・社会保険料負担額・率(参照:厚生年金、協会けんぽ・介護保険、雇用保険料、所得税@国税庁、住民税@横須賀市)
北条五代にまつわる逸話@小田原市より
「北条五代記」によれば、早雲は支配下に置いた土地の年貢率を下げ、「四公六民」とした。他国の農民は、それを聞いて「自分たちの国も新九郎殿の国になればよいのに」と願ったという


養老孟司氏言う所の「今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない」と言うのはもしかしたら正しいかもしれません。ただ現状の現役世代の置かれている状況の過酷さと言うのは考える必要があります。実際養老氏の反論の記事の翌日には財務省から国民負担率47.5%との発表がありtwitterでは「5公5民」と言うパワーワードがあがってきました。特に神奈川県、静岡県伊豆地方を中心とした関東地方に関しては後北条氏の「4公6民」の治世と言うのが有名ですから、言って見れば戦国時代以上の重税に苦しんでいるとも言えます。

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表:厚生年金保険料率の変遷より

流石に戦国時代との比較は非現実的と思われますので養老孟司氏が現在の成田悠輔氏と同じ年38歳だった時期との負担率を比較してみます。全てと言うのは難しいので今の多くの現役世代にとって最も負担となっている厚生年金保険料で比較します。養老孟司氏は現在85歳ですので47年前1976年の厚生年金保険料を見ますと負担率が上がった8月以降で9.1%、7月以前は7.6%ですので今は18.3%となっていますので養老氏が現役の時期よりも倍以上の負担となっています。これでは「今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない」となるのも仕方ないですし、「、社会は“順送り”だから仕方がない」と言われても説得力がない様な気がします。

成田氏の発言に足りなかった事
成田悠輔「私が“言ってはいけない”ことを言う理由」@みんなの介護より
成田 やさしい人であればあるほど「見殺しにするぐらいなら共倒れした方がまだマシ」と感じてしまいます。私もそういう心情を持ってしまうタイプの人間なので理解できます。
しかし、その感情からどう自分を救うか。どうしたらそれ以外の見方や生き方をしても良いんだという心情になれるかが鍵だと思います。
そもそも私たちは家族関係や人間関係に深い意味を見出し過ぎるきらいがあります。そして、責任を感じることがもたらすストレスや社会問題がとても大きくなってしまっている。 責任を感じることは、人口が増えて成長していく社会で家族や企業を組織していく局面では良い方向に働きます。しかし今の日本は、だんだん人口や経済的な成長が飽和してきて、横ばいから徐々に衰退していくステージです。
そんな社会で、老いて亡くなっていく家族や企業に責任を感じすぎると、国や社会全体みんなで共倒れするところに行きついてしまう可能性があります。沈没しかけている船でそれをやると、ボートに乗ったまま全員が死んでしまうように。


ただそれでは単に若い世代と高齢世代の分断と言う結論に陥ってしまいそうなので、もう少し成田市の発言を見ていこうと思います。本来養老氏の様な高齢の知識人に行ってほしい仕事ですが、楽しいツイッターランドの住民に丁寧な仕事をされている方がいましたので元ネタとなっている記事とも一緒に引用します。一言で言えば現状の高齢者の看取り体制は素晴らしいものだが、負担率が上がって5公5民となったり、少子化で人的リソースが減っている中でこれを維持するのは不可能、無理をすれば現役世代ともども共倒れとなるというのが成田氏の考えと言う事なのかもしれません。そう言った意味で多分成田市の発言に問題があるとすれば多分「高齢者の集団自決、集団切腹しかないんじゃないかなと」と言う言葉は片手落ちで「そうしなければ現役世代が集団自決せざるを得なくなる」と言う後ろの部分こそ投げなければならないものではなかったのではと思います。

成田氏発言で思い出す植松聖と彼の問題提起から逃げ続ける社会
被告と接見19回、手紙34通 ゆがんだ正義と心の闇@神奈川新聞2019/4/8より  「事件を起こしたことは、今でも間違っていなかったと思います。意思疎通のできない重度障害者は人の幸せを奪い、不幸をばらまく存在。絶対に安楽死させなければいけない」~中略~
 〈私が入浴支援をする際に、入所者の男性が発作を起こし浴槽で溺れていました。すぐに助けたので大事には至りませんでしたが、家族にお礼を言われることもありませんでした〉 〈親でも子どもが何を考えているか分からない、と漏らしたことも覚えています〉


さて成田氏の論を見て思い出した人物がいます。相模原障害者施設殺傷事件の植松 聖氏です。彼の起こした事件を肯定するわけではないですし、どんな事情があっても人の命を奪うのは決して良くないです。ただ彼の体験した「入所者の男性が発作を起こし浴槽で溺れていました。すぐに助けたので大事には至りませんでしたが、家族にお礼を言われることもありませんでした」と言う光景には成田氏の言葉の対象が高齢者と言う違いがあるものの「家族すら積極的に延命を望まない人を生き延びさせるためにどこまでリソースを投入するのか?」と言う問いかけがあります。そして成田氏の発言を深く追求しなかった養老氏同様、相模原障害者施設殺傷事件の地元の神奈川新聞は事件のあったやまゆり園の立地自治体である神奈川県、相模原市の選挙投開票日の翌日に特集記事を書く等いかに議論を避けるかに注力してきたような気がします。確かに成田氏の様な発言を「今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない」、と無視し、植松 聖氏の考えを「ゆがんだ正義と心の闇」とかわすことは可能でもその本質からは逃げられないような気がします。

成田・植松氏の問題解決に必要な地道な解決手段
成田悠輔「私が“言ってはいけない”ことを言う理由」@みんなの介護より
みんなの介護 とすると、もう1つの「機械化・自動化による生産性の向上」の道でしょうか。「介護を生産性で語るな」という声も根強くありますが。
成田 介護だけじゃなくて、教育、医療などでも見られますよね。“生産性”より“人間同士のつながり”が大事だという意見は…。
両者は対立する概念だと思い込んでいる人が多いですが、私は逆の考えです。生産性というものは、本来人の良い部分や人と人とのつながりを強めるために必要だと思います。
いまだに学校では教師が延々とプリントを印刷する、土日返上でともかく部活に付き合うなんてことをしていて。機械化を怠ったため、本来人が担う必要がなかった役割を人が背負わされているケースが多くあります。その結果、教師が人間らしく生徒に向き合う余裕が奪われてしまっている。
生産性を上げることは、人と人とが笑顔で生き生きと繋がりをもって活躍できるためにこそ必要なのです。個々人の根性や頑張りに依存しなくても、サービスや組織、制度を持続可能なものにできる。


こう書くと、ものすごく大規模な革命的な事を思い浮かべる人も多いと思いますが実際やるべきことは1つ1つの課題に対して冷静に議論し、改善していくことが大半だと思います。例えば「現場の介護士が介護に専念できる様に、面倒な事務作業をITで代行する」と言った話になると思いますただその中には「胃ろうの様な延命措置を本人が望んでいない場合行わない」と言ったデリケートなテーマも入らざるを得なくなると思われます

問題解決の為に必要な世代間対立の緩和
令和の大きな宿題その22 令和のイエはどうなるのか~負動産、限界ニュータウンが語るもの~より
その一方稼働率の低くなった家の活用方法として、「金融資産形成の為、就職してからも実家に住む」と言うのが資産形成の有力な手段としてどんどん言われるようになってきています。こういった実家暮らしの勤め人は「パラサイトシングル」「子供部屋おじさん/おばさん」等のレッテルを張られてきましたが、その裏でなってこういった手段が上手く生きるための戦略として言われているのが平成末期~令和初期に起こった変化の様な感じがします。
実家暮らしの人はいくら貯金できる?平均貯金額と効率良い貯金方法@MONEY JOURNALより
実家暮らしは貯金には最適な環境!
貯金をするなら、実家暮らしは最適な環境です。なぜ実家暮らしでは貯金しやすいのか、その理由を解説します。
理由1.家賃の支払いが必要ない~中略~
理由2.食費や水道光熱費が少なくて済む
すごい貯蓄 最速で1000万円貯めてFIREも目指せる! [ くらま ]P63より
あらゆる手段を講じて家賃を下げていきましょう。~中略~たとえば、郊外に住む、シェアハウス、同棲、実家暮らしなど


その際に必要なのは、多分若者VS高齢者と言う対立構造を避け、出来るだけ世代間の分断を避け、出来るだけ冷静に議論していく必要がありますし、それは可能と思います。実際昔からこういった世代間の対立を煽る言説は多かったわけですが、その割に例えば若者党の様な政党が出来たという話も聞きません。その背景には例えばパラサイトシングル、子供部屋おじさん、おばさんと呼ばれるような動きが大きいのではないかと思います。世代間の家計がある程度連結化した事、そして何より距離が近い事により親世代、子世代の事情の相互理解がされやすいという面があります。そう言った中で世代間対立を避け、冷静に苦い話し合いを世代間で行える状況を作る事が求められるような気がします。

まとめ~地味な地方政治選挙に投票に行こう~
如何だったでしょうか?地味な印象のある地方選挙ですが、様々な問題の解決に必要なのは結局地味な話し合いであり、それを行うのが地方の政治ではないでしょうか?その地方の政治の担い手を決める選挙、きちんと参加するのはいかがでしょうか?