御田寺圭

令和の大きな宿題 その23~ フローからストックへ、世代間対立を緩和するための配当の使い方

高齢者福祉か、子育て支援か5公5民時代のむなしいゼロサムゲーム
ついに岸田総理が「扶養控除の廃止」を検討しだしたヤバい理由…「田舎の高齢者政党」自民党の哀しき限界@週刊現代2023/7/3より
年間3.5兆円の予算を投じる、少子化対策の「加速化プラン」を発表するなど、様々な点でこれまでの政権とは一線を画す岸田政権の「異次元の少子化対策」であるが、しかしいざ財源の議論になると歯切れが悪くなり、現役世帯向けの控除を廃止したり社会保障負担を増額したりと、事実上の「現役世代同士のカネの奪い合い」という奇妙な方法論を出さざるを得ないという現状がある。~中略~
自民党だって、現役世代で負担を押し付け合わせるようなやり方で「子育て支援」の財源を捻出するのはちぐはぐだし不合理であることくらい理解している。
だからといってその財源を、年間100兆円を超える高齢者福祉(医療・介護)から取ってくるという選択もできないジレンマに陥っている。それはまさしく自分たちの票田に弓を引くような真似だからだ。
出生率の低い首都圏の日本人は生物学的には絶滅へ 生き残るのは職住環境が安心な“過疎自治体”@AERA.net2023/7/29より
藻谷:主要国で最初に65歳以上人口が増えない時代を迎えるはずです。すでに全国約1700自治体のうち、過疎地を中心に300近い自治体で70歳以上人口が減り始めました。こうなれば福祉予算を減らして、子育て支援に予算を振り向けられるようになります。それで子育て環境が整えば、子どもが増え始めるでしょう。私はそう予測しています。


さて論説系の御田寺圭氏と経済アナリスト(?)の藻谷浩介氏が同じような事を書いていてびっくりしました。簡単に言えば「高齢者を中心とした福祉予算を減らして子育て支援に向けろ」と言う意見です。

国民負担率47.5%で「五公五民」がトレンド入り「日本中で一揆が」「江戸時代とどっちがマシ」の声@SmartFlash2023/2/22より
 2月21日、財務省は、2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表した。過去最大だった2021年度の48.1%をやや下回ったものの、国民所得のほぼ半分を占めている
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表:年収300万円(月収25万円)での税金・社会保険料負担額・率(参照:厚生年金協会けんぽ・介護保険雇用保険料所得税@国税庁住民税@横須賀市

確かに前提条件として、5公5民と言う言葉が言われるようになり、現役世代の負担が限界に近付いている為、負担増を伴わない前提で言えば既存の予算リソースのどこかを削って別の事に回すという側面があるのは分からなくはないです。

高齢者福祉の削減が現役世代に押し付ける高齢者への負担と決断
【親などを介護する場合の不安の有無】
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介護について知る@朝日生命より

ただし「高齢者向けを中心とした福祉」の受益者が単純に高齢者化と言われたらそこまで単純でもありません。例えば上の生命保険会社のアンケートでは現役世代の多くが現状の介護に関して「肉体・精神・時間・経済的な負担」の大きさに不安を感じていて、かつ半数近くが「現状の公的介護は不十分」と感じています。この中で福祉を減らし介護保険を縮小する事は現役世代の負担増加に繋がると言えますし、それが出生率低下につながる可能性も否定できないと言えるのではないでしょうか?

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親への仕送りをしている世帯の割合や金額は? トラブルの避け方も紹介@朝日新聞Re:ライフ.netより

また金額的には最大と言える年金に関しても同様の事が言えます。上は新聞社による親への仕送りに関するアンケートですが、現状親世代に仕送りをしているのは2%程ですが、年金の縮小はそれを拡大し、現役世代の負担拡大につながる可能性が大きいです。「高齢者への福祉を縮小し、子育て支援に」と言うのは一見聞こえは良いですが、高齢者を支える、そして言い方は悪いですが切り捨てる判断を行う役割を現役世代の個々人に押し付ける形と言うのが現実に起こりうる光景に見えます。それは現役世代の負担を軽減させるのとは逆の方向に作用すると感じるのは私だけでしょうか?

高齢者たちが育ててきたストックからの所得で世代間対立を緩和できないだろうか?
日本の対外純資産、円安で過去最高を更新…32年連続で世界一418兆6285億円@読売新聞2023/5/23より

 財務省が26日発表した2022年末時点の対外資産・負債残高によると、対外純資産は前年末比0・2%増の418兆6285億円で過去最高を更新した。円安の進行で、外貨建て資産の評価額が円換算で膨らんだ。32年連続で、世界最大の対外純資産を持つ国となった


増税などの現役世代への負担増加、高齢者への福祉削減も簡単には難しい、そんな中で「じゃぁどうしたらよいんだ」と思われる方がいるかもしれません。ただそれを考える際に忘れてはならないのはストックの視点かもしれません。日本が衰退したという人が多いですが、日本はまだ32連連続で世界最大の対外純資産を持つ国と言うのは何かを物語っています。

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2022年度の運用状況@GPIF

当然対外純資産ではあいまいですがその中で大きな存在感を持つ年金基金を見ると面白い事が分かります。2022年度の収益額は2.9兆円、配当などのインカムゲインは3.7兆円に対し国庫納付は3800億円と収益の20%未満となっています。これは2002年度からの通算でも108兆円に対し18兆円弱とやはり20%未満となります。せめてこれが50%となれば年平均利回り3%として半分で3兆円、今との比較でも2兆円以上使えるお金が増える訳です。その為の大前提としてはこの基金は当然将来の年金支払いの為の大切な資金ですから安易に取り崩すべきお金ではないですし、また政治的な人気取りの為の道具にするのも好ましい事ではないです。ただ少なくとも短期的に政権交代が起こらないであろう政治的に安定している今、将来の年金支払いのためとはいえ、実質活用されていない資産からの配当を活用を検討するのは実質的に現役世代の利益にすらつながらない世代間対立を煽るだけの結論に陥りそうなゼロサムゲームからの脱却を考えると意味のある事に思えます。言うなれば、高齢化でフローの所得が伸び悩んだのを高齢者たちが育ててきたストックからの所得でフォローする、それこそ現役世代と高齢者の対立を緩和し、これからの高齢社会を上手く回す手段と感じるのですがいかがでしょうか?

名人ドラマーの死とSNS

さて本題の前にコロナに関する役立つ情報を
新型コロナ 対策支援制度まとめ@Yahoo
・Yahooによる支援制度の情報です。
新型コロナお役立ちコーナー@首相官邸
・首相官邸での各省庁の対策のまとめサイトです。
新型コロナウイルス感染症について@神奈川県
・神奈川県庁でのコロナウィルスに関するまとめサイトです。
新型コロナウイルス感染症に関する情報(2020年4月3日更新)@横須賀市
・横須賀市役所でのコロナウィルスに関するまとめサイトです。
横須賀市・横浜市公共交通各社の新型コロナウイルスに関する対応について
・横須賀・横浜地区の公共交通各企業のコロナ対策のリンク集です。利用者の協力をもとに3密を恐れず公共交通を利用しましょう。

動画:ブッチャーさん、青木さん、信吾さんに続きPONTAさんまで・・・

訃報@村上“ポンタ”秀一公式HPより

村上“ポンタ”秀一が2月8日に視床出血により入院しておりましたが
令和3年3月9日享年70歳にて永眠いたしました。
葬儀・告別式は親族のみで執り行いました。
ここに生前に賜りましたご厚誼に深謝し謹んでご報告申し上げるとともに故人のご冥福をお祈りいたします。


青春のメロディを支えた名人がまた一人旅立ちました。村上“ポンタ”秀一、日本のドラムの第一人者です。まずは故人のご冥福をお祈りいたします。
齢70、さすがに早すぎるなんて言葉は似あいませんがでももう少しその演奏を聴いていたかった気がしますし、何よりあの名曲を支えた名人がいなくなったのが何よりも寂しい限りです。

角松敏生@Facebook2021/3/15より
私信
肉親や親戚、親しい友人、知人の逝去の報に向かい合うたびにいつも考えることは、
これまでの自分の人生の確認とこれからへの覚悟ですよ。
おかしな言い方ですけどね、こんなご時世のおかげでね、
信吾とはまだお別れをできないでいましてね。
というか、別にこの後もそんなことわざわざするつもりもないし、する必要もないと思っていますよ。またいつでも、スケジュールが合えばうちのスタジオの扉を開けてまたあの仏頂面で「よ」と、入ってくると想っています。
あ、そうだポンタさん、また何かお願いしたいことあったらよろしくお願いしますよ。
昔の話もしたいし、最近、よく思い出すんですよ。
あの頃は、お世話になりました。仕事もそうですが何より私的な部分で支えてくれました。
ありがたかったなぁ。
今年、40周年なんすよ、あれから5年、あっちゅう間ですよね。
ギリギリでなんとかやってます。まぁ不安じゃないと言ったら嘘になりますがね。
そのうち僕もそちらのスケジュールに合う時があるでしょうからね、
その時は、お会いできるのを楽しみにしてます。
角松敏生


そんな名人と多くのセッションを重ねてきた男の言葉は非常に重い、「これまでの自分の人生の確認とこれからへの覚悟」なんて言葉は冴えないおっさんには重いものの一方で人生の大変な時期を共に歩み、「私的な部分で支えてくれました。」なんて言葉まで出てくる相手と言うのはその重さにふさわしくかつそんな存在が少なくない数いたというのはうらやましい限りです。
きっと彼らはリアルなステージやスタジオ、飲みの場で出会い、そのプレイやお酒を媒介に、その繋がりを強めていったのでしょう。

「SNSの文章はまずいから見ない」村上春樹にそう言われたSNS世代からの反論@President2021/3/16より

村上春樹はSNSを一切見ないという。
曰く、なぜなら、そこには人生を豊かにする「いい文章」がないからだ。~中略~
文筆家はPVを気にするし、アーティストはダウンロード数を、ユーチューバーは再生数やチャンネル登録者数をそれぞれつねに気にしなければならない。より近くなったファンの声をダイレクトに受け取り、より多くの人から喜ばれるよう「マーケティング」することにも余念がない。積極的にSNSを運用して告知・宣伝し、ひとりでも多くのオーディエンスを引きつけることを強いられる。~中略~
だが、若い世代の表現者たちはみな、自分たちこそが「ソーシャルなメディア」としてふるまわなければならない時代に生きている。それができない表現者には、そもそもお呼びの声がかからない。プロとして食っていけない。やっていけない。


しかし角松敏生や村上PONTA秀一たちが世に出ていった時代とは随分変わって来てしまったようです。上は音楽とはジャンルは違いますが、文筆家御田寺 圭氏による表現者とSNSに関するコラム、角松敏生や村上PONTA秀一達がステージやスタジオであくまで自らの音楽に専念できたのに対し、SNSを使って自ら読み手や聞き手を引き込まなくてはならない、それが出来なくてはステージにも立てない…そんな世知辛い時代になりつつあるようです。
「SNSの文章はまずいから見ない」村上春樹にそう言われたSNS世代からの反論@President2021/3/16より

表現者がSNSと強く結びついてしか、自身の表現活動が成り立たせられなくなるという状況は、とりわけ若い表現者たちの「自主規制」を加速する流れにもつながっていくだろう。
「炎上」が起きてしまった際のリスクは、ダイレクトに自分自身へのダメージへと変換されてしまう。SNSの社会への影響力はますます高まっており、多くの人からの非難やバッシングを浴びてしまったときのインパクトは計り知れないものとなりつつある。~中略~
SNSは多様な意見や価値観を包摂し肯定する自由を旨とする場であると考えられがちだが、現実的にはそうではない。その実、社会的・政治的・道徳的・人権的にただしいと認められたもの以外に対しては、きわめて厳しい視線が向けられる。SNSは不寛容で排他的な空間であり、全員で遠慮なく石を投げられる「不届き者」をつねに求めている。
個人的な意見にしても、表現者のアウトプットにしても、大勢の人から「ただしくない」と判断されるものには、容赦ないソーシャル・スクラムが向けられる。激しいバッシングのなかで人格や社会的名誉が破壊される。今日それは「キャンセル・カルチャー」と呼ばれ、社会問題にもなっている。結果としてSNSが社会と強く結びつく時代には、だれもが穏当で当たり障りのない「ただしい」ことしか言わなくなっていく。


そして更に言えば、そんなSNSの顔の見えない世論と向かい合い、品行方正な表現者だらけになった社会は一種のディストピアでしかないのではないでしょうか?


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例えば「おれ前の列の赤い服の女がいいな」なんて合いの手のある曲や「女呼んで揉んで抱いていい気持ち」なんて歌詞のある曲を歌ったバンドの曲はカバーであっても一切で流せませんとなったら私の様な1990年代に青春を過ごした人間にとっては寂しい事になるでしょうし、もしかしたらその子供世代にとっても寂しい事になるかもしれません。
セクハラ気味の歌詞を歌うアーティストだけが名曲を歌うわけではないのは確かですが、そんなアーティストにもきちんとチャンスが与えられる懐の深さがより芳醇な音楽や文化を生み出す事だけは確かです。

何だか変な方向にずれてしまいましたがPONTAさんの旅立った先に私が行ったときに素晴らしいセッションが見られるのを楽しみにしつつ、今この場所の音楽や文化が芳醇なものになるために何かしらできることはやっていこうと思います。

なんだか変な締めになりましたがこの辺で失礼します。

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