1)バレルの誕生 = いま「原油価格が1バレル当たり100ドルをいつ超えるか」に大きな関心が集まっている。ところが原油の量をリットルで計っている日本人にとっては、バレルという単位はどうもピンとこない。正確に言うと、なんと1バレル=158.987294928リットルだから、ややこしい。
1859年(安政6年)、アメリカのペンシルベニア州でエドウィン・ドレークが初の機械掘りに成功した。その原油を運ぶのに50ガロン入りの木樽(barrel)を使ったために、バレルという単位が誕生した。ところが馬車で悪路を運んだために、いつも途中で8ガロンほどが飛散してしまう。このため1バレル=42ガロンということになった。
その原油。黒くて粘り気のある液体だということは、誰でも知っている。主成分は炭化水素の混合物。炭化水素のほかに、硫黄や酸素、窒素の化合物も混じっているが、その組成は産地によってみな違う。したがって比重も0.8から0.98まで、いろいろ。全部で30種類ぐらいに分類されるという。
不思議なことに、なにが原料なのかは判っていない。火山活動によってマグマが変化したという無機生成説。微生物や海藻、あるいは石炭から生じたという有機生成説。人類は紀元前から、地表に染み出してきた原油を使っていたらしい。
(続きは来週サタデー)
≪30日の日経平均 = 上げ +166.93円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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1859年(安政6年)、アメリカのペンシルベニア州でエドウィン・ドレークが初の機械掘りに成功した。その原油を運ぶのに50ガロン入りの木樽(barrel)を使ったために、バレルという単位が誕生した。ところが馬車で悪路を運んだために、いつも途中で8ガロンほどが飛散してしまう。このため1バレル=42ガロンということになった。
その原油。黒くて粘り気のある液体だということは、誰でも知っている。主成分は炭化水素の混合物。炭化水素のほかに、硫黄や酸素、窒素の化合物も混じっているが、その組成は産地によってみな違う。したがって比重も0.8から0.98まで、いろいろ。全部で30種類ぐらいに分類されるという。
不思議なことに、なにが原料なのかは判っていない。火山活動によってマグマが変化したという無機生成説。微生物や海藻、あるいは石炭から生じたという有機生成説。人類は紀元前から、地表に染み出してきた原油を使っていたらしい。
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第8章 円高・円安って、なんだろう? ①
大根は1本=100円、セーターは1枚=3500円、薄型テレビは1台=15万円というように、商品にはみんな値段が付いていますね。それでは、おカネには値段があるのでしょうか。えっ? 1000円札は千円、10000円札は1万円に決まっているじゃない。と思うかもしれませんが、実はおカネにも値段があるのです。
おカネの値段は、外国のおカネと比べたときにわかります。世界の国々はみんな自分の国のおカネ、通貨を持っていますね。たとえば日本は円、アメリカはドル、中国は元(げん)というふうに。もし大根が日本では100円、アメリカでは1ドルで買えたとしたら、100円=大根1本=1ドル。つまり1ドル=100円ということになりますね。
ところが大根の値段は上がったり、下がったりします。もし日本の大根が200円に値上がりし、アメリカは1ドルだとすると、1ドル=200円になってしまいます。この場合、前は100円玉1個で大根が買えたのに、こんどは100円玉2個が必要ですね。100円玉1個では、大根が半分しか買えません。つまり円というおカネの価値は、半分に減ってしまったことになります。
このように円の価値が減ることを円安、逆に増えることを円高と言います。もちろん、通貨の価値は大根だけで決まるわけではありませんよ。もっと複雑な理由で決まるのですが、みなさんは大根の話がわかればOK。そして1ドル=100円→200円のように、数字が大きくなると円安。逆に1ドル=100円→50円のように小さくなると円高。これだけは最初にキチンと覚えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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大根は1本=100円、セーターは1枚=3500円、薄型テレビは1台=15万円というように、商品にはみんな値段が付いていますね。それでは、おカネには値段があるのでしょうか。えっ? 1000円札は千円、10000円札は1万円に決まっているじゃない。と思うかもしれませんが、実はおカネにも値段があるのです。
おカネの値段は、外国のおカネと比べたときにわかります。世界の国々はみんな自分の国のおカネ、通貨を持っていますね。たとえば日本は円、アメリカはドル、中国は元(げん)というふうに。もし大根が日本では100円、アメリカでは1ドルで買えたとしたら、100円=大根1本=1ドル。つまり1ドル=100円ということになりますね。
ところが大根の値段は上がったり、下がったりします。もし日本の大根が200円に値上がりし、アメリカは1ドルだとすると、1ドル=200円になってしまいます。この場合、前は100円玉1個で大根が買えたのに、こんどは100円玉2個が必要ですね。100円玉1個では、大根が半分しか買えません。つまり円というおカネの価値は、半分に減ってしまったことになります。
このように円の価値が減ることを円安、逆に増えることを円高と言います。もちろん、通貨の価値は大根だけで決まるわけではありませんよ。もっと複雑な理由で決まるのですが、みなさんは大根の話がわかればOK。そして1ドル=100円→200円のように、数字が大きくなると円安。逆に1ドル=100円→50円のように小さくなると円高。これだけは最初にキチンと覚えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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インドネシアのバリ島で、きょう3日から国連の気象変動枠組み条約締結国会議が開かれる。この会議は、京都議定書が期限切れとなったあと2013年からの温暖化ガス削減についての基本的な方法論を議論する。すでに6月のハイリゲンダム・サミットでは、各国が2050年のガス排出量を半減することで合意した。バリ会議では、そこまでの中間点とも言える20年に向けての規制目標が中心議題になりそうだ。
具体的には、EU(ヨーロッパ連合)がガス排出量を90年比で20%削減するよう提案する見通し。また各国別の総量規制も強く要求すると予想される。これに対して、アメリカや日本は産業別に削減目標を作るよう主張する模様。会議では、どこまで妥協が成立するか。
先週、アメリカでは住宅関連の指標が発表されたが、その内容は予想通りよくない。7-9月の住宅価格指数は前年比4.5%下落。10月の新築販売は前年比23.5%減少、中古も20.7%の減少となった。ところがダウ平均は、1週間で628ドル上昇している。理由はサブプライム問題が多少は落ち着いてきたこともあるが、主として利下げ期待。つられて日経平均も791円上昇した。
悪い経済指標が出ると、利下げ期待から株価は上がる。むかしは考えられなかった筋書きが、このところ定着してしまった。たしかにFRB(連邦準備理事会)は、年内に政策金利を下げるだろう。だが利下げが確実になった時点で、株価は次を催促する形で値下がりする可能性が大きい。
≪3日の日経平均は? 予想= 上げ≫
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具体的には、EU(ヨーロッパ連合)がガス排出量を90年比で20%削減するよう提案する見通し。また各国別の総量規制も強く要求すると予想される。これに対して、アメリカや日本は産業別に削減目標を作るよう主張する模様。会議では、どこまで妥協が成立するか。
先週、アメリカでは住宅関連の指標が発表されたが、その内容は予想通りよくない。7-9月の住宅価格指数は前年比4.5%下落。10月の新築販売は前年比23.5%減少、中古も20.7%の減少となった。ところがダウ平均は、1週間で628ドル上昇している。理由はサブプライム問題が多少は落ち着いてきたこともあるが、主として利下げ期待。つられて日経平均も791円上昇した。
悪い経済指標が出ると、利下げ期待から株価は上がる。むかしは考えられなかった筋書きが、このところ定着してしまった。たしかにFRB(連邦準備理事会)は、年内に政策金利を下げるだろう。だが利下げが確実になった時点で、株価は次を催促する形で値下がりする可能性が大きい。
≪3日の日経平均は? 予想= 上げ≫
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11月14日のブログで「消費者物価指数は作成方法に重大な欠陥がある」と書いたら、ある匿名の方から批判のコメントを頂いた。いわく「消費者物価指数は物価の全般的な動向調査を目的とするもので、家計の負担度を計るものではない」「本指数はILO(国際労働機関)の基準にもとずいて作成されている・・・。文言から判断すると、お役人のように思われる。
その消費者物価指数が、ようやく10か月ぶりに上昇した。断っておくが、物価指数の上昇を歓迎しているわけではない。欠陥のある指数でさえも、やっと上昇を記録したか。という意味での“ようやく”である。
総務省の発表によると、10月の全国消費者物価指数は総合指数で前年同月比0.3%の上昇。変動の大きい生鮮食品を除いた指数は、前年比0.1%の上昇だった。ともに昨年12月以来の上昇である。また食料とエネルギーを除いた総合指数は、前年比0.3%の下落だった。この指数の下落は、昨年1月から連続している。
総合指数が上昇した原因は、原油高を反映したガソリン、灯油、電気代などの値上がり。エネルギー全体では1.8%上昇した。また生鮮食品を除いた食料は全体で0.3%の上昇だった。ところが薄型テレビやパソコンなどの教育娯楽用耐久財は、相変わらず大幅な値下がり。14.5%も下がって、全体の上昇幅を圧縮した。ここに指数作成の欠陥がある。
(続きは明日)
≪3日の日経平均 = 下げ -51.70円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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その消費者物価指数が、ようやく10か月ぶりに上昇した。断っておくが、物価指数の上昇を歓迎しているわけではない。欠陥のある指数でさえも、やっと上昇を記録したか。という意味での“ようやく”である。
総務省の発表によると、10月の全国消費者物価指数は総合指数で前年同月比0.3%の上昇。変動の大きい生鮮食品を除いた指数は、前年比0.1%の上昇だった。ともに昨年12月以来の上昇である。また食料とエネルギーを除いた総合指数は、前年比0.3%の下落だった。この指数の下落は、昨年1月から連続している。
総合指数が上昇した原因は、原油高を反映したガソリン、灯油、電気代などの値上がり。エネルギー全体では1.8%上昇した。また生鮮食品を除いた食料は全体で0.3%の上昇だった。ところが薄型テレビやパソコンなどの教育娯楽用耐久財は、相変わらず大幅な値下がり。14.5%も下がって、全体の上昇幅を圧縮した。ここに指数作成の欠陥がある。
(続きは明日)
≪3日の日経平均 = 下げ -51.70円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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消費者物価指数は、全国の小売店で売られている584品目の価格を調査して作成される。だから、たとえばマヨネーズやパンが値上がりしても、全体の指数はわずかしか上がらない。しかしテレビやパソコンの場合は金額が大きいから、その価格変動が全体の指数に与える影響は比較的に大きい。しかも商品の機能が向上すると、その分を値下がりと計算する。
だが値段は安くても、食料品などは毎日のように購入する。一方、テレビやパソコンを買うのは5年とか10年に1度だろう。こちらの値段が高いからといって、指数作成の際のウェートを大きくするのはいかがなものか。またテレビやパソコンの場合、激しい競争で値下げ幅が大きく、品質の向上も目立っている。
このため驚いたことに、テレビの価格指数はバブル崩壊前から一貫して下がっており、最近の指数は1985年当時のなんと5分の1になっている。こんなバカげた指数の作り方があるのだろうか。そのためにガソリンや食料品が上がっても、この10か月間にわたって全体の指数が上昇しなかった。
変動の激しい生鮮食品を除外した指数も必要だろう。食料とエネルギーをはずして見るのもいい。同様に、今後はテレビやパソコンなどの家庭用電子製品を除いた指数を作るべきではないか。最後にもう一点。10月の指数を見ると、国内の需給関係から生ずる物価はまだマイナス。原油などコストから生じる物価はプラス。その間で苦闘している中小企業の姿が浮かび上がってくる。
≪4日の日経平均 = 下げ -148.78円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だが値段は安くても、食料品などは毎日のように購入する。一方、テレビやパソコンを買うのは5年とか10年に1度だろう。こちらの値段が高いからといって、指数作成の際のウェートを大きくするのはいかがなものか。またテレビやパソコンの場合、激しい競争で値下げ幅が大きく、品質の向上も目立っている。
このため驚いたことに、テレビの価格指数はバブル崩壊前から一貫して下がっており、最近の指数は1985年当時のなんと5分の1になっている。こんなバカげた指数の作り方があるのだろうか。そのためにガソリンや食料品が上がっても、この10か月間にわたって全体の指数が上昇しなかった。
変動の激しい生鮮食品を除外した指数も必要だろう。食料とエネルギーをはずして見るのもいい。同様に、今後はテレビやパソコンなどの家庭用電子製品を除いた指数を作るべきではないか。最後にもう一点。10月の指数を見ると、国内の需給関係から生ずる物価はまだマイナス。原油などコストから生じる物価はプラス。その間で苦闘している中小企業の姿が浮かび上がってくる。
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≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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厚生労働省の推計によると、2030年の労働力人口は5584万人になる。現在より1070万人も減る見通しだ。少子化による人口の減少は、まず労働力の激減となって現れる。労働力の減少は、ほうっておけば必ず経済の縮小につながる。年平均でみても、毎年50万人近くが減少して行く計算。対策はあるのだろうか。
労働力人口というのは、15歳以上で働く能力と意思がある人の総計。いま職に就いている人と職を探している人の合計と言ってもいい。現在は6657万人。これが20年ちょっとの間に16%も少なくなってしまう。すでに企業は人集めに苦労し始めているが、今後は年を追うごとに求人難はますます強まりそうだ。
対策は5つに絞られる。まず高齢者の再雇用。特に経験のある退職者の活用は、企業としても大歓迎だろう。次に女性の活用。いま家事や子育てで仕事を辞めてしまった女性は350万人もいる。3番目は良質な外国人の導入。いま日本で正規に働いている外国人は20万人しかいない。
4番目はロボットなど、機械の生産性を高めること。最後はニートやフリーターと呼ばれる人たちに、ちゃんとした職場を与えることだ。しかし、これらの対策を講じても1000万人以上のギャップを埋めることは、そう簡単ではない。それに労働人口の減少は、最も中心的な消費者が減少してしまうことも意味している。
≪5日の日経平均 = 上げ +128.69円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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労働力人口というのは、15歳以上で働く能力と意思がある人の総計。いま職に就いている人と職を探している人の合計と言ってもいい。現在は6657万人。これが20年ちょっとの間に16%も少なくなってしまう。すでに企業は人集めに苦労し始めているが、今後は年を追うごとに求人難はますます強まりそうだ。
対策は5つに絞られる。まず高齢者の再雇用。特に経験のある退職者の活用は、企業としても大歓迎だろう。次に女性の活用。いま家事や子育てで仕事を辞めてしまった女性は350万人もいる。3番目は良質な外国人の導入。いま日本で正規に働いている外国人は20万人しかいない。
4番目はロボットなど、機械の生産性を高めること。最後はニートやフリーターと呼ばれる人たちに、ちゃんとした職場を与えることだ。しかし、これらの対策を講じても1000万人以上のギャップを埋めることは、そう簡単ではない。それに労働人口の減少は、最も中心的な消費者が減少してしまうことも意味している。
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≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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社会経済生産性本部が発表した07年版「国民の豊かさの国際比較」によると、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟30か国のうち7位だった。部門別にみると、環境では4位、健康では5位だったが、マクロ経済では22位と順位を落としている。全体の順位は05年が10位、06年は6位だった。
全体の1位はルクセンブルク、2位以下はノルウェー、スウェーデン、スイス、フィンランド、オーストリアと、いずれもヨーロッパの比較的小さな国が並んでいる。大国ではアメリカが12位、イギリス16位、フランス18位、ドイツ19位と、あまり振るわない。
56ある採点項目のうち、日本が1位となったのは平均寿命、人口当たり病院ベッド数、単位労働コストの低下率、GDP(国内総生産)デフレータ上昇率の4つ。最下位だったのは1人当たり国際観光収入、平均経済成長率、1人当たり政府累積債務の3つだった。
調査内容がやや経済に偏り過ぎていること。日本が1位だった単位労働コストの低下率やデフレータ上昇率は、低い方が“豊か”なのか疑問。犯罪率や自殺件数あるいは大気汚染といった生活面の項目が不足。率直に言って、いくつか問題のある調査ではある。まあ7位ならば「豊かさも中ぐらいなり、おらが国」と安心していないで、国民の豊かさの要素をもっと研究して欲しいものだ。
≪6日の日経平均 = 上げ +265.20円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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全体の1位はルクセンブルク、2位以下はノルウェー、スウェーデン、スイス、フィンランド、オーストリアと、いずれもヨーロッパの比較的小さな国が並んでいる。大国ではアメリカが12位、イギリス16位、フランス18位、ドイツ19位と、あまり振るわない。
56ある採点項目のうち、日本が1位となったのは平均寿命、人口当たり病院ベッド数、単位労働コストの低下率、GDP(国内総生産)デフレータ上昇率の4つ。最下位だったのは1人当たり国際観光収入、平均経済成長率、1人当たり政府累積債務の3つだった。
調査内容がやや経済に偏り過ぎていること。日本が1位だった単位労働コストの低下率やデフレータ上昇率は、低い方が“豊か”なのか疑問。犯罪率や自殺件数あるいは大気汚染といった生活面の項目が不足。率直に言って、いくつか問題のある調査ではある。まあ7位ならば「豊かさも中ぐらいなり、おらが国」と安心していないで、国民の豊かさの要素をもっと研究して欲しいものだ。
≪6日の日経平均 = 上げ +265.20円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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2)第1次石油ショック = 日本人が原油に深い関心を持つようになったのは、いわゆる石油ショックからである。第1次石油ショックは、1973年(昭和48年)10月に勃発した第4次中東戦争を契機に発生した。アラブの産油国がイスラエル寄りの先進国に報復するため、原油の減産と大幅な値上げを断行。初めて石油を“武器”として使ったのだった。
原油の価格は60年代まで、1バレル=2ドルを超えることがなかった。73年になっても3ドルほどだったが、数か月のうちに12ドルへと4倍に。しかも原油の埋蔵量は有限だから、この調子で採掘を続けると15-25年で枯渇するという専門家の話が大々的に伝えられた。
日本も大パニックに陥った。物価は急騰。トイレット・ペーパーがあっという間に店頭から姿を消したことは、いまでも語り草になっている。物価はまだ上がるという思惑から、買占めに加えて売り惜しみも横行。74年の消費者物価は25%、卸売物価にいたっては36%も上昇した。
それまでの日本経済は、66年から続いた高度成長を満喫。そこへ思ってもみなかった石油ショック。その落差が大きかっただけに、経済と社会は終戦直後以来の大混乱に陥った。そのときの状況は、福田元首相の「昭和元禄」と「狂乱物価」という造語によく表わされている。
≪7日の日経平均 = 上げ +82.29円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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原油の価格は60年代まで、1バレル=2ドルを超えることがなかった。73年になっても3ドルほどだったが、数か月のうちに12ドルへと4倍に。しかも原油の埋蔵量は有限だから、この調子で採掘を続けると15-25年で枯渇するという専門家の話が大々的に伝えられた。
日本も大パニックに陥った。物価は急騰。トイレット・ペーパーがあっという間に店頭から姿を消したことは、いまでも語り草になっている。物価はまだ上がるという思惑から、買占めに加えて売り惜しみも横行。74年の消費者物価は25%、卸売物価にいたっては36%も上昇した。
それまでの日本経済は、66年から続いた高度成長を満喫。そこへ思ってもみなかった石油ショック。その落差が大きかっただけに、経済と社会は終戦直後以来の大混乱に陥った。そのときの状況は、福田元首相の「昭和元禄」と「狂乱物価」という造語によく表わされている。
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第8章 円高・円安って、なんだろう? ②
お店で売られる大根など商品の値段は、需要と供給の力によって決まります。たとえば需要が大きくなったり、供給が小さくなると、値段は上がるのでした。このことは、第4章の「物価って、なんだろう」で、もう勉強しましたね。おカネの値段も、まったく同じように需要と供給の関係で決まります。
まずドルに対する需要について考えてみましょう。たとえば、あなたが家族と一緒にアメリカへ旅行するとき。アメリカではホテル代もタクシー代も、ドルで払わなければいけません。そこで出発する前に、お父さんが銀行へ行ってドルを買いました。これがドルに対する需要になるのです。
また、いろいろな会社がアメリカから商品を輸入するときにも、その代金はドルで支払わなければなりません。ですから、その会社は銀行からドルを買います。これがドルに対する需要となるわけです。このほかアメリカの株式や債券、あるいは土地や住宅などの不動産を買う場合にもドルが必要になります。あなたのお兄さんがアメリカに留学していると、その費用はドルで送らなければなりません。
このようなドルを買いたいという需要は、銀行を通じて東京の外国為替市場に集められます。その一方で、ドルを売りたいという供給側の注文も外国為替市場に集まってきます。その結果、需要が大きければドルは値上がりし、少なければ値下がりすることになります。ではドルの供給には、どんな場合があるのでしょうか。需要の反対ですから、来週までに考えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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お店で売られる大根など商品の値段は、需要と供給の力によって決まります。たとえば需要が大きくなったり、供給が小さくなると、値段は上がるのでした。このことは、第4章の「物価って、なんだろう」で、もう勉強しましたね。おカネの値段も、まったく同じように需要と供給の関係で決まります。
まずドルに対する需要について考えてみましょう。たとえば、あなたが家族と一緒にアメリカへ旅行するとき。アメリカではホテル代もタクシー代も、ドルで払わなければいけません。そこで出発する前に、お父さんが銀行へ行ってドルを買いました。これがドルに対する需要になるのです。
また、いろいろな会社がアメリカから商品を輸入するときにも、その代金はドルで支払わなければなりません。ですから、その会社は銀行からドルを買います。これがドルに対する需要となるわけです。このほかアメリカの株式や債券、あるいは土地や住宅などの不動産を買う場合にもドルが必要になります。あなたのお兄さんがアメリカに留学していると、その費用はドルで送らなければなりません。
このようなドルを買いたいという需要は、銀行を通じて東京の外国為替市場に集められます。その一方で、ドルを売りたいという供給側の注文も外国為替市場に集まってきます。その結果、需要が大きければドルは値上がりし、少なければ値下がりすることになります。ではドルの供給には、どんな場合があるのでしょうか。需要の反対ですから、来週までに考えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は11日、公開市場委員会を開く。この会合で、政策金利の引き下げを決定することは確実。ただ引き下げ幅が0.25%なのか0.5%なのかは、まだ判らない。アメリカの利下げは、9月と10月に続いて3回目。下げ幅が0.25%だと、ウォール街あたりでは失望感の方が前面に出るかもしれない。
FRBとしては、原油の高騰で物価も上昇気味なので、上げ幅は0.25%に抑えたいところだろう。しかし0.25%だと、ただちに次の引き下げを催促するムードが湧き起こる。といって0.5%にすると、サブプライム問題の影響はそんなに大きいのかという一種のショックが生じかねない。むずかしい政策判断である。
国内では、日銀が14日に12月分の企業短期経済観測調査を発表する。企業の景況感を示すDI(判断指数)は、大企業・製造業が6月も9月もプラス23だった。民間調査機関による事前予測の平均はプラス21。原油高、アメリカの景気下降に加えて、建築基準法の改正で大きく落ち込んだ住宅建築。DIがこの程度の低下にとどまるのか、要注意点である。
このほか10日には10月の機械受注、12日には11月の企業物価、企業倒産。アメリカでは11日に10月の卸売り販売、13日に11月の小売り販売、卸売物価。14日には11月の消費者物価、鉱工業生産などが発表される。
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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FRBとしては、原油の高騰で物価も上昇気味なので、上げ幅は0.25%に抑えたいところだろう。しかし0.25%だと、ただちに次の引き下げを催促するムードが湧き起こる。といって0.5%にすると、サブプライム問題の影響はそんなに大きいのかという一種のショックが生じかねない。むずかしい政策判断である。
国内では、日銀が14日に12月分の企業短期経済観測調査を発表する。企業の景況感を示すDI(判断指数)は、大企業・製造業が6月も9月もプラス23だった。民間調査機関による事前予測の平均はプラス21。原油高、アメリカの景気下降に加えて、建築基準法の改正で大きく落ち込んだ住宅建築。DIがこの程度の低下にとどまるのか、要注意点である。
このほか10日には10月の機械受注、12日には11月の企業物価、企業倒産。アメリカでは11日に10月の卸売り販売、13日に11月の小売り販売、卸売物価。14日には11月の消費者物価、鉱工業生産などが発表される。
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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10月の機械受注額が回復した。内閣府の発表によると、10月の機械受注は総額が2兆8150億円。前月比では18.7%の大幅増加となった。民間設備投資の先行指標である「船舶と電力を除く民需」は、金額が1兆0803億円。前月比は12.7%の増加だった。この結果、10-12月期は、総額が前期比5.1%、「船舶・電力を除く民需」が3.1%の増加となる見通し。
企業の設備投資を予測するために注目されている「船舶・電力を除く民需」は、8月も9月も振るわず先行きが心配されていた。その反動もあったが、10月は予想を上回る回復ぶり。ことしの1-6月期は前期比マイナスだったが、これで7-12月期はプラスになる公算がきわめて大きくなった。
機械受注は、おおむね6-9か月後に企業の設備投資額となって現れる。したがって現在やや勢いを弱めている設備投資は、来年度に入るころから盛り返すだろうと予想できるわけだ。景気の先行きにとっては、心強い兆候だと言っていい。
ただ問題がないわけではない。企業の設備投資は5割以上が機械類だが、ほかに土地や建物もある。こちらの方が建築基準法改正の影響を受け続けると、全体としての設備投資額はそれほど伸びないだろう。またアメリカの景気下降で、アジアやヨーロッパ諸国の景気が変調すると、日本の企業も設備投資を繰り延べるかもしれない。今後はそのあたりの動きを、よく見て行く必要があるだろう。
≪10日の日経平均 = 下げ -31.98円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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企業の設備投資を予測するために注目されている「船舶・電力を除く民需」は、8月も9月も振るわず先行きが心配されていた。その反動もあったが、10月は予想を上回る回復ぶり。ことしの1-6月期は前期比マイナスだったが、これで7-12月期はプラスになる公算がきわめて大きくなった。
機械受注は、おおむね6-9か月後に企業の設備投資額となって現れる。したがって現在やや勢いを弱めている設備投資は、来年度に入るころから盛り返すだろうと予想できるわけだ。景気の先行きにとっては、心強い兆候だと言っていい。
ただ問題がないわけではない。企業の設備投資は5割以上が機械類だが、ほかに土地や建物もある。こちらの方が建築基準法改正の影響を受け続けると、全体としての設備投資額はそれほど伸びないだろう。またアメリカの景気下降で、アジアやヨーロッパ諸国の景気が変調すると、日本の企業も設備投資を繰り延べるかもしれない。今後はそのあたりの動きを、よく見て行く必要があるだろう。
≪10日の日経平均 = 下げ -31.98円≫
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経済団体連合会といえば、財界の総本山。大企業経営者の守護神でもある。その経団連が、来春は賃上げの支持に回るという。これまで「人件費はなるべく低く抑えて利益をあげろ」と経営者に檄を飛ばしてきた経団連が、どうして賃上げの擁護に変身するのだろうか。
まず大企業の業績が好調なこと。来年3月期の上場企業の決算は、6期連続の増益になることが確実だ。しかも人手不足。初任給を引き上げないと、人材の確保がむずかしくなってきた。初任給を上げれば、社員全体の給与体系も上げざるをえない。さらに賃上げの原資としては、団塊世代の大量退職による人件費の縮小分がある。
そうした状況は組合側も十二分に承知しているから、来春の賃上げには力を入れる。たとえば鉄鋼や造船・重機の組合でつくる基幹労連は、すでに2年分で1人当たり3000円の賃上げ要求を決めた。電機連合や自動車総連も強気の姿勢で臨む方針だ。
経団連が賃上げ支持に転換するウラには、もう1つ景気動向という理由がある。アメリカの景気は明らかな下降局面入り。日本の輸出には黄信号が灯り始め、あとは個人消費が頼みの綱である。そこで消費拡大のためには、できるだけの賃上げが必要という理屈だ。しかし7-9月の経常利益は5年ぶりの減少を記録。個々の経営者にとっては、頭の痛いところ。経団連の方針転換は1年遅かったという感じが強い。
≪11日の日経平均 = 上げ +120.33円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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まず大企業の業績が好調なこと。来年3月期の上場企業の決算は、6期連続の増益になることが確実だ。しかも人手不足。初任給を引き上げないと、人材の確保がむずかしくなってきた。初任給を上げれば、社員全体の給与体系も上げざるをえない。さらに賃上げの原資としては、団塊世代の大量退職による人件費の縮小分がある。
そうした状況は組合側も十二分に承知しているから、来春の賃上げには力を入れる。たとえば鉄鋼や造船・重機の組合でつくる基幹労連は、すでに2年分で1人当たり3000円の賃上げ要求を決めた。電機連合や自動車総連も強気の姿勢で臨む方針だ。
経団連が賃上げ支持に転換するウラには、もう1つ景気動向という理由がある。アメリカの景気は明らかな下降局面入り。日本の輸出には黄信号が灯り始め、あとは個人消費が頼みの綱である。そこで消費拡大のためには、できるだけの賃上げが必要という理屈だ。しかし7-9月の経常利益は5年ぶりの減少を記録。個々の経営者にとっては、頭の痛いところ。経団連の方針転換は1年遅かったという感じが強い。
≪11日の日経平均 = 上げ +120.33円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ニューヨーク市場の株価は、このところ全く変則的な動きを繰り返している。芳しくない景気指標が発表されると、株価は上昇。景気対策が打ち出されると、株価は下がる。ひと昔前には、およそ考えられなかった株価変動のパターンである。もちろん、経済学の教科書にも、こんなパターンの説明はない。
アメリカ経済の状況は、明らかに悪い方へ向かっている。サブプライム問題の影響は予想よりもずっと大きく、住宅販売は新築も中古も記録的な落ち込みをみせた。自動車の売れ行きや個人消費の伸びも鈍くなっている。政府も経済見通しを下方修正した。先週はこうした指標が次々と明らかになったが、そうしたなかでダウ工業株平均は257ドル上昇した。
今週にはいって、ダウ平均は10日も100ドルを超える値上がりとなった。そして11日は、FRB(連邦準備理事会)が昼すぎに金利の引き下げを発表すると急落。結局、この日は294ドルも安くなっている。FRBは景気の下降を食い止めるために、政策金利のFF(フェデラル・ファンド)レートと公定歩合の0.25%引き下げを決めたのだった。
FFレートや公定歩合の引き下げが、一般企業や金融機関の経営にとってプラスになることは言うまでもない。それは業績の向上→株価の上昇につながるというのが、従来の常識だった。しかし最近は先週の事例に限らず、どうも従来の常識とは違う論理が働いている場合が多いように感じられる。
(続きはあした)
≪12日の日経平均 = 下げ -112.46円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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アメリカ経済の状況は、明らかに悪い方へ向かっている。サブプライム問題の影響は予想よりもずっと大きく、住宅販売は新築も中古も記録的な落ち込みをみせた。自動車の売れ行きや個人消費の伸びも鈍くなっている。政府も経済見通しを下方修正した。先週はこうした指標が次々と明らかになったが、そうしたなかでダウ工業株平均は257ドル上昇した。
今週にはいって、ダウ平均は10日も100ドルを超える値上がりとなった。そして11日は、FRB(連邦準備理事会)が昼すぎに金利の引き下げを発表すると急落。結局、この日は294ドルも安くなっている。FRBは景気の下降を食い止めるために、政策金利のFF(フェデラル・ファンド)レートと公定歩合の0.25%引き下げを決めたのだった。
FFレートや公定歩合の引き下げが、一般企業や金融機関の経営にとってプラスになることは言うまでもない。それは業績の向上→株価の上昇につながるというのが、従来の常識だった。しかし最近は先週の事例に限らず、どうも従来の常識とは違う論理が働いている場合が多いように感じられる。
(続きはあした)
≪12日の日経平均 = 下げ -112.46円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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FRBが11日の公開市場委員会で利下げを決めることは、事前に予想されていた。ただ引き下げ幅については、0.25%説と0.5%説とが交錯。原油の高騰でインフレ圧力も強まっていることから、FRBは結局0.25%の引き下げを選択したものとみられる。ウォール街はこの決定に失望、売りが膨らんだと伝えられた。
ウォール街はなぜ失望したのだろう。0.25%程度の金利引き下げでは景気の後退を防げない、という理屈ならまだ理解できる。だが多くの投資家の本心は、どうも違うところにあるようだ。投資家の多くは、景気や企業業績といった実体経済の動向もさることながら、むしろ最大の関心事は金利の大幅な低下にあるように見受けられる。
景気にとって芳しくない指標が出れば、FRBは金利を下がるだろう。だから株式は買い。金利の引き下げが予想より小幅に止まった。だから売り。このパターンが定着してしまったようだ。おそらく、このパターンは投機資金によって作り出されているのではないだろうか。金利が下がれば、投機資金の調達コストが安くなる。すると市場には、もっと多くのカネが流入するだろう。多くの投資家が、それを期待しているのではないか。
だが本当に景気が悪くなって企業の業績が落ち込めば、株価は下がらざるをえない。したがって、いまのきわめて変則的な株価変動はどこかで修正を余儀なくされる。それが、いつ、どういう形で現れるのか。日本の株価はニューヨークの相場と、それに連動した円相場の影響を強く受けるだけに、いまからよく研究しておく必要がある。
≪13日の日経平均 = 下げ -395.74円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ウォール街はなぜ失望したのだろう。0.25%程度の金利引き下げでは景気の後退を防げない、という理屈ならまだ理解できる。だが多くの投資家の本心は、どうも違うところにあるようだ。投資家の多くは、景気や企業業績といった実体経済の動向もさることながら、むしろ最大の関心事は金利の大幅な低下にあるように見受けられる。
景気にとって芳しくない指標が出れば、FRBは金利を下がるだろう。だから株式は買い。金利の引き下げが予想より小幅に止まった。だから売り。このパターンが定着してしまったようだ。おそらく、このパターンは投機資金によって作り出されているのではないだろうか。金利が下がれば、投機資金の調達コストが安くなる。すると市場には、もっと多くのカネが流入するだろう。多くの投資家が、それを期待しているのではないか。
だが本当に景気が悪くなって企業の業績が落ち込めば、株価は下がらざるをえない。したがって、いまのきわめて変則的な株価変動はどこかで修正を余儀なくされる。それが、いつ、どういう形で現れるのか。日本の株価はニューヨークの相場と、それに連動した円相場の影響を強く受けるだけに、いまからよく研究しておく必要がある。
≪13日の日経平均 = 下げ -395.74円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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3)第2次石油ショック = 2度目の石油ショックは、1979年(昭和54年)2月のイラン革命が引き金となった。さらに翌80年のイラン・イラク戦争で、中東の情勢は、ますます緊迫する。この間、原油価格は2倍強の上昇となり、1バレル=30ドルに達した。第1次ショックの直前に比べると、ちょうど10倍の水準である。
ところが第1次ショックのときとは違って、日本の国内は意外に冷静だった。卸売物価こそ24%上がったが、消費者物価は1ケタの上昇にとどまっている。これには、いくつかの理由が考えられる。まず消費者の“学習効果”。第1次ショックの際の買占め行為を反省、きわめて賢明に対応した。企業側も反省し、売り惜しみ的な行動はあまり見られなかった。
第1次ショックで発生したインフレを抑えるために、金融政策が引き締め気味に運用されていたことも幸いした。さらに石油の備蓄、省エネ、代替エネルギーの開発、製造業を中心としたエネルギー効率の向上など、一連の原油高騰対策が着々と進められていたことも大きい。
原油の有限説も下火になった。原油の価格が上昇すると、採掘コストが高くても採算のとれる油田が開発される。たしかに超長期的にみれば原油は有限だが、近い将来に原油の枯渇はなさそうだという事実に、多くの人が気付いたのだった。2度にわたった石油ショックは大事件に違いはなかったが、日本はそれを逆手にとってエネルギー効率を大幅に改善することができたと言えるだろう。
(続きは来週サタデー)
≪14日の日経平均 = 下げ -22.01円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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ところが第1次ショックのときとは違って、日本の国内は意外に冷静だった。卸売物価こそ24%上がったが、消費者物価は1ケタの上昇にとどまっている。これには、いくつかの理由が考えられる。まず消費者の“学習効果”。第1次ショックの際の買占め行為を反省、きわめて賢明に対応した。企業側も反省し、売り惜しみ的な行動はあまり見られなかった。
第1次ショックで発生したインフレを抑えるために、金融政策が引き締め気味に運用されていたことも幸いした。さらに石油の備蓄、省エネ、代替エネルギーの開発、製造業を中心としたエネルギー効率の向上など、一連の原油高騰対策が着々と進められていたことも大きい。
原油の有限説も下火になった。原油の価格が上昇すると、採掘コストが高くても採算のとれる油田が開発される。たしかに超長期的にみれば原油は有限だが、近い将来に原油の枯渇はなさそうだという事実に、多くの人が気付いたのだった。2度にわたった石油ショックは大事件に違いはなかったが、日本はそれを逆手にとってエネルギー効率を大幅に改善することができたと言えるだろう。
(続きは来週サタデー)
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【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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第8章 円高・円安って、なんだろう? ③
東京外国為替市場に、ドルはどんな形で供給されるのでしょうか。いちばん大きいのは、輸出の代金です。たくさんの会社が製品を外国に輸出していますが、たとえばアメリカ向けの輸出代金はドルで支払われます。ドルは日本の国内では使えません。そこで代金を受け取った会社は、そのドルを銀行に持って行って円に替えてもらいます。銀行はそのドルを為替市場で売るわけです。
アメリカ人が旅行で日本にやってくると、ドルを円に替えて使います。そのほか、ふだんドルを使って生活している人が日本の土地や建物、あるいは株式や債券を買う場合には、やはりドルを円に替えなければなりません。このようにして銀行に集まったドルが、外国為替市場で売りに出されるのです。つまりドルの供給になります。
これまではドルについてばかり説明してきましたが、ほかの外国通貨でも同じことです。ヨーロッパ大陸の13か国はユーロ。イギリスはポンド。中国は元。みんな名前はちがいますが、外国為替市場ではドルと同じように売買されているのです。ドルが大根なら、ユーロはじゃがいも。ポンドはトマトというふうに考えたらいいんです。元は何にしましょうか。
野菜の値段は、大根1本=100円、トマト1個=83円というように書きますね。外国のおカネの値段も同じ。だから1ドル=110円25銭、1ユーロ=162円71銭となるのです。こう考えれば、むずかしくないでしょう。円高とか円安という言い方は、ドルについてだけでなく、すべての外国通貨に対して使われます。ですからドルに対しては円高、ユーロに対しては円安ということもよくあります。
(続きは来週日曜日)
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東京外国為替市場に、ドルはどんな形で供給されるのでしょうか。いちばん大きいのは、輸出の代金です。たくさんの会社が製品を外国に輸出していますが、たとえばアメリカ向けの輸出代金はドルで支払われます。ドルは日本の国内では使えません。そこで代金を受け取った会社は、そのドルを銀行に持って行って円に替えてもらいます。銀行はそのドルを為替市場で売るわけです。
アメリカ人が旅行で日本にやってくると、ドルを円に替えて使います。そのほか、ふだんドルを使って生活している人が日本の土地や建物、あるいは株式や債券を買う場合には、やはりドルを円に替えなければなりません。このようにして銀行に集まったドルが、外国為替市場で売りに出されるのです。つまりドルの供給になります。
これまではドルについてばかり説明してきましたが、ほかの外国通貨でも同じことです。ヨーロッパ大陸の13か国はユーロ。イギリスはポンド。中国は元。みんな名前はちがいますが、外国為替市場ではドルと同じように売買されているのです。ドルが大根なら、ユーロはじゃがいも。ポンドはトマトというふうに考えたらいいんです。元は何にしましょうか。
野菜の値段は、大根1本=100円、トマト1個=83円というように書きますね。外国のおカネの値段も同じ。だから1ドル=110円25銭、1ユーロ=162円71銭となるのです。こう考えれば、むずかしくないでしょう。円高とか円安という言い方は、ドルについてだけでなく、すべての外国通貨に対して使われます。ですからドルに対しては円高、ユーロに対しては円安ということもよくあります。
(続きは来週日曜日)
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焦点はやはりアメリカ経済の動向。18日には、11月の住宅着工件数と建設許可件数。また21日には、11月の個人消費が発表される。残念ながら、これらの結果はアメリカの景気下降を再確認することになる公算が大きい。特に個人消費が予想よりも鈍化すると、その感じはいっそう強くなるだろう。
今週はクリスマス・セールも終盤戦。だが全体的に、売れ行きはあまり伸びていない模様だ。ガソリンの値上がりやサブプライム問題の影響で、消費者の購買意欲にも水がかけられている。ことし1年間で見ても、新車の売れ行きは前年比3%減、テレビも4%減になりそうだという。
その一方で、先週は物価の上昇も目立ってきた。11月の卸売物価は前月比で3.2%の上昇。3か月連続の上昇で、上げ幅は34年ぶりの大幅なものとなった。消費者物価も11月は前月比で0.8%の上昇。こちらも3か月連続、2年2か月ぶりの高い上昇率を記録した。
景気の下降が指標で確認される半面、物価もインフレ気味。FRB(連邦準備理事会)の金融政策も、袋小路に入ってしまったようだ。株式市場もこれまでのように、単純に利下げを期待して買い上げるわけにはいかなくなるだろう。その辺の雰囲気を判断するためにも、個人消費の数値はきわめて重要な材料になる。
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週はクリスマス・セールも終盤戦。だが全体的に、売れ行きはあまり伸びていない模様だ。ガソリンの値上がりやサブプライム問題の影響で、消費者の購買意欲にも水がかけられている。ことし1年間で見ても、新車の売れ行きは前年比3%減、テレビも4%減になりそうだという。
その一方で、先週は物価の上昇も目立ってきた。11月の卸売物価は前月比で3.2%の上昇。3か月連続の上昇で、上げ幅は34年ぶりの大幅なものとなった。消費者物価も11月は前月比で0.8%の上昇。こちらも3か月連続、2年2か月ぶりの高い上昇率を記録した。
景気の下降が指標で確認される半面、物価もインフレ気味。FRB(連邦準備理事会)の金融政策も、袋小路に入ってしまったようだ。株式市場もこれまでのように、単純に利下げを期待して買い上げるわけにはいかなくなるだろう。その辺の雰囲気を判断するためにも、個人消費の数値はきわめて重要な材料になる。
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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景気が下り坂に入ったことを示す経済指標が、次々と発表になった。まず財務省が集計した7-9月期の法人企業統計。全体の経常利益は前年比0.7%の減少だった。減少幅は小さいが、4-6月期の12.0%増加からみると急激な落ち込み方である。特に製造業の3.6%減少と、資本金1億円ー10億円の中堅企業の16.9%減少が目立っている。
次に内閣府が調査した11月の消費者態度指数。前月より3.0ポイント低下して39.8となったが、これは4年ぶりの低い水準。内閣府も基調判断を「このところ悪化」と引き下げた。この判断に“悪化”という表現を使ったのは、03年3月以来4年8か月ぶりのことである。消費者の態度が悪化したのは、主としてガソリンや食品の値上がりによるもの。
さらに日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査。企業の景況感を表わすDI (業況判断指数)は、ほぼすべての部門で悪化した。大企業・製造業のDI はプラス19で、3か月前に比べると4ポイントの悪化。3か月後の予想も、さらに4ポイント悪化するとみている。特に中小企業・非製造業のDI はマイナス12。3か月後にはマイナス17になると予想している。
これだけの経済指標が揃えば、景気の後退は明白と言えるだろう。原因はアメリカ経済の不調、生活必需品の価格上昇、それに建築基準法改正の副作用だと考えていい。今後どこまで下り坂を落ちるかは、アメリカ向け以外の輸出しだい。たとえば、ヨーロッパや中国をはじめとするアジア諸国向けの輸出動向で決まるだろう。
≪17日の日経平均 = 下げ -264.72円≫
≪18日の日経平均は? 予想= 下げ≫
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次に内閣府が調査した11月の消費者態度指数。前月より3.0ポイント低下して39.8となったが、これは4年ぶりの低い水準。内閣府も基調判断を「このところ悪化」と引き下げた。この判断に“悪化”という表現を使ったのは、03年3月以来4年8か月ぶりのことである。消費者の態度が悪化したのは、主としてガソリンや食品の値上がりによるもの。
さらに日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査。企業の景況感を表わすDI (業況判断指数)は、ほぼすべての部門で悪化した。大企業・製造業のDI はプラス19で、3か月前に比べると4ポイントの悪化。3か月後の予想も、さらに4ポイント悪化するとみている。特に中小企業・非製造業のDI はマイナス12。3か月後にはマイナス17になると予想している。
これだけの経済指標が揃えば、景気の後退は明白と言えるだろう。原因はアメリカ経済の不調、生活必需品の価格上昇、それに建築基準法改正の副作用だと考えていい。今後どこまで下り坂を落ちるかは、アメリカ向け以外の輸出しだい。たとえば、ヨーロッパや中国をはじめとするアジア諸国向けの輸出動向で決まるだろう。
≪17日の日経平均 = 下げ -264.72円≫
≪18日の日経平均は? 予想= 下げ≫
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自民・公明の与党税制協議会は13日、来年度の税制改正大綱を了承した。政治的に処理がむずかしい消費税や法人税の抜本改革は先送り。都市と地方の税収格差、中小企業や住宅関連の優遇税制など、選挙を意識した改正が目立っている。政府はこの大綱をもとに、来年度の税制改正法案を1月の通常国会に提出する予定。だが困ったことに、今回は最終的な着地点がほとんど見えてこない。
通常ならば、この段階で描かれた税制改正はそのまま成立する。しかし今回は“ねじれ国会”で、参議院でどうなるかが判らない。たとえば都市と地方の税収格差を是正するため、大綱では法人事業税のうち2兆6000億円分を国税とし、人口と従業員数に応じて地方に再配分する方針を明記した。しかし民主党は一括交付金制度の導入を主張している。
道路特定財源について、与党の大綱は暫定税率の10年間延長を決めた。しかし民主党は暫定税率の廃止と一般財源化を打ち出している。また証券優遇税制では、株式譲渡損益と配当の通算制度については与党も民主党も一致。しかし株式譲渡益は500万円、配当は100万円を限度に現行の優遇税制を2年間延長する与党案に対して、民主党は譲渡益を09年から20%課税にするよう要求している。
このほか与党が所得税の控除見直しを見送ったのに対して、民主党は扶養控除や配偶者控除の廃止を提案といったぐあい。さらに住宅関連や設備の減価償却など、個人の生活や企業の経営に密接なつながりを持つ税制改正も数多い。これらが結果的にどうなるか見通しがつかないと、経済全体に悪い影響が出るだろう。最悪の場合、予算が成立しても税制改正が国会を通らずに執行ができない可能性もないわけではない。
≪18日の日経平均 = 下げ -41.93円≫
≪19日の日経平均は? 予想= 上げ≫
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通常ならば、この段階で描かれた税制改正はそのまま成立する。しかし今回は“ねじれ国会”で、参議院でどうなるかが判らない。たとえば都市と地方の税収格差を是正するため、大綱では法人事業税のうち2兆6000億円分を国税とし、人口と従業員数に応じて地方に再配分する方針を明記した。しかし民主党は一括交付金制度の導入を主張している。
道路特定財源について、与党の大綱は暫定税率の10年間延長を決めた。しかし民主党は暫定税率の廃止と一般財源化を打ち出している。また証券優遇税制では、株式譲渡損益と配当の通算制度については与党も民主党も一致。しかし株式譲渡益は500万円、配当は100万円を限度に現行の優遇税制を2年間延長する与党案に対して、民主党は譲渡益を09年から20%課税にするよう要求している。
このほか与党が所得税の控除見直しを見送ったのに対して、民主党は扶養控除や配偶者控除の廃止を提案といったぐあい。さらに住宅関連や設備の減価償却など、個人の生活や企業の経営に密接なつながりを持つ税制改正も数多い。これらが結果的にどうなるか見通しがつかないと、経済全体に悪い影響が出るだろう。最悪の場合、予算が成立しても税制改正が国会を通らずに執行ができない可能性もないわけではない。
≪18日の日経平均 = 下げ -41.93円≫
≪19日の日経平均は? 予想= 上げ≫
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あさって22日から、銀行による保険商品の窓口販売がすべて自由化される。すでに銀行が窓口で国債や投資信託を売っていることは、ご存知の通り。加えて保険の全商品が、銀行の売り場に取り揃えられる。かつて預金・貸出しは銀行、株式・債券は証券会社、生命保険・損害保険は保険会社が扱っていた。こうした専門店制度が姿を消し、金融デパート時代がやってきたと言えるだろう。
デパート化への歩みは、1998年施行の金融システム改革法から始まった。その年に投信の窓販がスタート。保険についても01年4月以来、銀行はいくつかの商品を売れるようになった。だが政府の規制撤廃方針に対して、ごく最近まで強く抵抗してきた保険業界。それが一転して、全面解禁に賛成したのには理由がある。
最大の理由は、業績不振。大手生保12社の合計でみると、今年度上半期は減収減益だった。また生保全38社の新規契約高は、4-8月で前年比18%減となっている。保険金の不払い問題も影響したが、長期的にみると不振の原因は人手不足。いわゆる“保険のオバちゃん”は一世を風靡したが、いまは人がいない。金融商品取引法の施行もあって、教育にも手間がかかる。
その一方で、早くから銀行に任せた投信は売上げが急増。いまや販売高の半分が、銀行経由になっている。とにかく銀行の強みは、店舗の多いこと。しかも駅前など立地条件がいい。そこで保険業界も頭を切り替え、いまはどの銀行と提携するかの研究に余念がない。銀行の方でも、売れそうな商品を持っている保険会社はどこかを見極めようとしている。
(続きはあした)
≪19日の日経平均 = 下げ -177.35円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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デパート化への歩みは、1998年施行の金融システム改革法から始まった。その年に投信の窓販がスタート。保険についても01年4月以来、銀行はいくつかの商品を売れるようになった。だが政府の規制撤廃方針に対して、ごく最近まで強く抵抗してきた保険業界。それが一転して、全面解禁に賛成したのには理由がある。
最大の理由は、業績不振。大手生保12社の合計でみると、今年度上半期は減収減益だった。また生保全38社の新規契約高は、4-8月で前年比18%減となっている。保険金の不払い問題も影響したが、長期的にみると不振の原因は人手不足。いわゆる“保険のオバちゃん”は一世を風靡したが、いまは人がいない。金融商品取引法の施行もあって、教育にも手間がかかる。
その一方で、早くから銀行に任せた投信は売上げが急増。いまや販売高の半分が、銀行経由になっている。とにかく銀行の強みは、店舗の多いこと。しかも駅前など立地条件がいい。そこで保険業界も頭を切り替え、いまはどの銀行と提携するかの研究に余念がない。銀行の方でも、売れそうな商品を持っている保険会社はどこかを見極めようとしている。
(続きはあした)
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≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今回の規制撤廃で、銀行は死亡保障などの生命保険、自動車保険などの損害保険、さらに医療保険など第三分野保険の全商品を取り扱えるようになる。銀行の窓口で、こうした保険について尋ねたり加入できれば、消費者にとって便利なことは間違いない。おカネを下ろして、よそに振り込む手続きも不要になる。銀行にとっても、利益の源泉になるだろう。お客との接点が広がることも、大きなメリットになる。
だが、問題がないわけではない。最大の問題は、やはり人手不足。これまで扱ったことのない保険商品を売るためには、なによりも商品知識に習熟することが求められる。銀行の預貸金業務に比べれば、保険は商品の種類も多く、その内容も複雑だ。しかも金融商品取引法の施行で、お客に対する説明が不十分だと法律違反として罰せられる。
したがって制度的には可能になったが、銀行が全支店で保険の全商品を売るようなことは、とてもできない。最初は限られた支店で、限られた商品だけを扱うことになるだろう。消費者が好みの商品を見つけ出すためには、やはり何軒かのデパートを回ってみる必要がありそうだ。
金融デパートは近く、さらに変貌する。政府は09年をメドに、銀行業と証券業の間にある壁をほとんどなくす方針。具体的には、同じグループ内の銀行と証券会社が法人顧客の情報を共有したり、互いに役員や職員が兼務することも可能にする予定だ。こうして銀行を中核に証券と保険が結びつく形は、なにやら昔の財閥に似てくるような気もするのだが。
≪20日の日経平均 = 上げ +1.09円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だが、問題がないわけではない。最大の問題は、やはり人手不足。これまで扱ったことのない保険商品を売るためには、なによりも商品知識に習熟することが求められる。銀行の預貸金業務に比べれば、保険は商品の種類も多く、その内容も複雑だ。しかも金融商品取引法の施行で、お客に対する説明が不十分だと法律違反として罰せられる。
したがって制度的には可能になったが、銀行が全支店で保険の全商品を売るようなことは、とてもできない。最初は限られた支店で、限られた商品だけを扱うことになるだろう。消費者が好みの商品を見つけ出すためには、やはり何軒かのデパートを回ってみる必要がありそうだ。
金融デパートは近く、さらに変貌する。政府は09年をメドに、銀行業と証券業の間にある壁をほとんどなくす方針。具体的には、同じグループ内の銀行と証券会社が法人顧客の情報を共有したり、互いに役員や職員が兼務することも可能にする予定だ。こうして銀行を中核に証券と保険が結びつく形は、なにやら昔の財閥に似てくるような気もするのだが。
≪20日の日経平均 = 上げ +1.09円≫
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4)第3次? 石油ショック = いま原油価格が、信じられないほど高騰していることは、ご存知の通り。11月にはニューヨーク市場で、なんと1バレル=99ドル台の史上最高値を付けた。このためガソリンはもちろん、ビールや食料品、クリーニング代に至るまで値上げラッシュが続いている。まだ誰も名付けないが、原油価格の高騰が経済に打撃を与えているという点からすれば、第3次石油ショックと命名してもいい。
第2次ショックのあと、原油価格はかなり下落した。中東情勢の落ち着きに加えて、価格の上昇に刺激されて産油国が増産したからである。たとえば1986年には15ドル台に戻っている。その後は少しずつ上昇して、03年の平均価格は31ドルに。それが06年5月からは、急激な上昇トレンドに乗った。07年8月には70ドル台。そして現在は、いつ100ドルに到達してもおかしくない状況になっている。
今回の価格急騰には、3つの原因が考えられる。まず主要先進国の景気回復。次いで中国など新興国の需要増大。3つ目は世界的なカネ余りによる投機。このうち中国の原油需要は毎年20%も伸びており、03年には日本を抜いてアメリカに次ぐ世界第2位の消費国となっている。
ただ専門家によると、世界の需給から見た原油の適正価格は50ドル程度。それ以上の価格上昇は、投機による釣り上げだという。巨大な投機資金は、原油だけでなく株式や金、非鉄金属、食料品にも向けられており、それが原油市場に集まったときに原油価格が急騰する。かつての第1次、第2次石油ショックは、戦争が引き金だった。今回は性格が全く違う。だから、第3次ショックと言わないのかもしれない。
(続きは来週サタデー)
≪21日の日経平均 = 上げ +225.40円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第2次ショックのあと、原油価格はかなり下落した。中東情勢の落ち着きに加えて、価格の上昇に刺激されて産油国が増産したからである。たとえば1986年には15ドル台に戻っている。その後は少しずつ上昇して、03年の平均価格は31ドルに。それが06年5月からは、急激な上昇トレンドに乗った。07年8月には70ドル台。そして現在は、いつ100ドルに到達してもおかしくない状況になっている。
今回の価格急騰には、3つの原因が考えられる。まず主要先進国の景気回復。次いで中国など新興国の需要増大。3つ目は世界的なカネ余りによる投機。このうち中国の原油需要は毎年20%も伸びており、03年には日本を抜いてアメリカに次ぐ世界第2位の消費国となっている。
ただ専門家によると、世界の需給から見た原油の適正価格は50ドル程度。それ以上の価格上昇は、投機による釣り上げだという。巨大な投機資金は、原油だけでなく株式や金、非鉄金属、食料品にも向けられており、それが原油市場に集まったときに原油価格が急騰する。かつての第1次、第2次石油ショックは、戦争が引き金だった。今回は性格が全く違う。だから、第3次ショックと言わないのかもしれない。
(続きは来週サタデー)
≪21日の日経平均 = 上げ +225.40円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第8章 円高・円安って、なんだろう? ④
円高というのは、外国の通貨、たとえばドルに対する円の価値が上がることです。1ドル=200円だったものが1ドル=100円になれば、2倍の円高。200円で大根が1本しか買えなかったのが、2本買えることになるわけですね。日本人はみんな円を持っていますから、円高になって円の価値が上がれば、それだけ得をすることになります。
たとえば1ドル=200円のとき、みなさんがアメリカへ旅行すれば2万円のおカネが100ドルにしか替えられません。しかし1ドル=100円だと、2万円が200ドルに交換できるのです。円高になると、輸入品も安く買えます。アメリカで100ドルする品物を輸入する場合、2万円でなく1万円払えばいいことになる。ずいぶん得ですね。
日本はエネルギーや工業の原料や材料、さらに食料もたくさん輸入しています。ですから円高になると、これらの輸入品の価格が安くなって得をします。原油や食料品も安く手に入るため、国内の物価も下がりやすいのです。このように説明してくると、円高は日本にとって大歓迎と言えそうですが、実はそうとも限りません。
日本はたくさんの工業製品を作って、輸出をしていますね。たとえば100万円の自動車をアメリカに輸出したとしましょう。1ドル=200円のときは、この自動車をアメリカで5000ドルで売ればいいことになります。しかし1ドル=100円の円高になると、どうでしょう。1万ドルで売らなければ、100万円の収入になりません。それだけ輸出が、しにくくなるのです。
(続きは来週日曜日)
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円高というのは、外国の通貨、たとえばドルに対する円の価値が上がることです。1ドル=200円だったものが1ドル=100円になれば、2倍の円高。200円で大根が1本しか買えなかったのが、2本買えることになるわけですね。日本人はみんな円を持っていますから、円高になって円の価値が上がれば、それだけ得をすることになります。
たとえば1ドル=200円のとき、みなさんがアメリカへ旅行すれば2万円のおカネが100ドルにしか替えられません。しかし1ドル=100円だと、2万円が200ドルに交換できるのです。円高になると、輸入品も安く買えます。アメリカで100ドルする品物を輸入する場合、2万円でなく1万円払えばいいことになる。ずいぶん得ですね。
日本はエネルギーや工業の原料や材料、さらに食料もたくさん輸入しています。ですから円高になると、これらの輸入品の価格が安くなって得をします。原油や食料品も安く手に入るため、国内の物価も下がりやすいのです。このように説明してくると、円高は日本にとって大歓迎と言えそうですが、実はそうとも限りません。
日本はたくさんの工業製品を作って、輸出をしていますね。たとえば100万円の自動車をアメリカに輸出したとしましょう。1ドル=200円のときは、この自動車をアメリカで5000ドルで売ればいいことになります。しかし1ドル=100円の円高になると、どうでしょう。1万ドルで売らなければ、100万円の収入になりません。それだけ輸出が、しにくくなるのです。
(続きは来週日曜日)
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ことしも年末。今週28日は大納会だ。年初の大発会、日経平均は1万7322円で始まった。いまは1万5200円がらみだから、ことしの株価はどうしても値下がりになる。1年前のいまごろ、亥年は上げるという予測も大々的に紹介されていたが、結果的にははずれてしまった。
来年は子年。ねずみは繁昌を意味するという。じっさい、戦後の実績では十二支のなかでも、子年の株価が最高の値上がり率になっている。こんどは、その経験律が当たるかどうか。いまのところ、環境的にはかなり厳しい。サブプライム問題と原油高、それに建築基準法改正の副作用は、年が明けても当分は続きそうな気配である。
27日には11月の住宅着工、建設工事受注。28日には11月の労働力調査、家計調査、消費者物価、鉱工業生産が発表になる。またアメリカでは、27日に消費者信頼感指数、28日には11月の新築住宅販売件数が公表される。しかし残念ながら、これらの経済指標から来年に明るさを感じとれるような内容は出てこないだろう。
少なくとも来年前半は、日米ともに景気は下向き。後半に期待するしかないようだ。前半の景気下降が浅ければ、後半の回復が早めにくる。日本の場合は、中国をはじめとするアジア諸国とヨーロッパ向けの輸出がどうなるかで、それが決まる。もし後半の回復が早めに見えてくれば、ねずみはそれを先取りする形で春先から騒ぎ出すかもしれない。
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来年は子年。ねずみは繁昌を意味するという。じっさい、戦後の実績では十二支のなかでも、子年の株価が最高の値上がり率になっている。こんどは、その経験律が当たるかどうか。いまのところ、環境的にはかなり厳しい。サブプライム問題と原油高、それに建築基準法改正の副作用は、年が明けても当分は続きそうな気配である。
27日には11月の住宅着工、建設工事受注。28日には11月の労働力調査、家計調査、消費者物価、鉱工業生産が発表になる。またアメリカでは、27日に消費者信頼感指数、28日には11月の新築住宅販売件数が公表される。しかし残念ながら、これらの経済指標から来年に明るさを感じとれるような内容は出てこないだろう。
少なくとも来年前半は、日米ともに景気は下向き。後半に期待するしかないようだ。前半の景気下降が浅ければ、後半の回復が早めにくる。日本の場合は、中国をはじめとするアジア諸国とヨーロッパ向けの輸出がどうなるかで、それが決まる。もし後半の回復が早めに見えてくれば、ねずみはそれを先取りする形で春先から騒ぎ出すかもしれない。
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ごく最近、政府の公式な発表文書を読んで、唖然としたことが2度あった。その1つは、内閣府が発表した12月の月例経済報告。たとえば、日本経済の今後の見通しについては「回復が続くと期待される」と記述している。このこと自体には、なにも問題はない。だが新聞各紙の解説を読んで、びっくりした。
先月の月例報告では、今後の見通しを「回復が続くと見込まれる」と書いていた。それが「期待される」に変わったのは、回復の見通しがやや弱まったことを示しているのだという。これは完全に国語の問題だが「見込まれる」と「期待される」では、意味がどう違うのだろう。たとえば、北京オリンピックで入賞が「見込まれる」と「期待される」では、実現性の度合いが違うのだろうか。
この月例報告の最重要部分は、景気に対する政府の基調判断である。12月の基調判断は「一部に弱さがみられるものの、回復している」というものだった。ところが9月の基調判断は「このところ一部に弱さがみられるものの、回復している」だった。解説によると「このところ」を削除したことで、景気全体の弱さがはっきりしたことを表現しているのだという。こんなバカげた日本語の使い方があるのだろうか。
月例経済報告というのは、政府がその時点での経済状態をどう認識しているかを表明する唯一の公式文書である。毎月、閣議にかけて決定される。その文書が、日本語をいい加減に使っていいものか。総理大臣以下、もっと責任を持って月例報告の内容を吟味していただきたい。閣僚はみな勉強不足だと言われても、反論できないのではないか。
(その2 は あした)
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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先月の月例報告では、今後の見通しを「回復が続くと見込まれる」と書いていた。それが「期待される」に変わったのは、回復の見通しがやや弱まったことを示しているのだという。これは完全に国語の問題だが「見込まれる」と「期待される」では、意味がどう違うのだろう。たとえば、北京オリンピックで入賞が「見込まれる」と「期待される」では、実現性の度合いが違うのだろうか。
この月例報告の最重要部分は、景気に対する政府の基調判断である。12月の基調判断は「一部に弱さがみられるものの、回復している」というものだった。ところが9月の基調判断は「このところ一部に弱さがみられるものの、回復している」だった。解説によると「このところ」を削除したことで、景気全体の弱さがはっきりしたことを表現しているのだという。こんなバカげた日本語の使い方があるのだろうか。
月例経済報告というのは、政府がその時点での経済状態をどう認識しているかを表明する唯一の公式文書である。毎月、閣議にかけて決定される。その文書が、日本語をいい加減に使っていいものか。総理大臣以下、もっと責任を持って月例報告の内容を吟味していただきたい。閣僚はみな勉強不足だと言われても、反論できないのではないか。
(その2 は あした)
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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特に経済閣僚が、不勉強なことを示す事例。それは政府が発表した「08年度の政府経済見通し」に関する考え方に現れている。この見通しによると、来年度の経済成長率は、実質値が2.0%、名目値が2.1%になるという。同時に明らかにされた07年度の成長率は、実質値が1.3%、名目値が0.8%となる見込み。したがって、来年度は実質、名目ともに今年度を上回る形となっている。
成長率が上がるのは、いま建築基準法の改正で大きく落ち込んでいる住宅投資が回復して、9%増加する。これに伴って設備投資も3.3%増加。内需主導型の成長が見込めるという説明だ。この点について新聞などは、見方が甘すぎるとコメントしている。しかし「政府経済見通し」は、予算編成のための土台作り。この程度の成長を見込まないと、予算が編成できなかったのだろう。
この見通しが実現すれば、10年間続いた名目値と実質値の逆転は解消する。それはその通りだろう。しかし、それで日本経済がデフレ状態から脱出できるという説明は全く理解できない。なぜ名目成長率が上がるかというと、それは原油価格の高騰などで消費者物価が0.3%上昇するからだという。
たしかにデフレというのは、物価が長期にわたって下落する状態を言う。その大きな原因は需要不足であり、経済は不況になりやすい。この10年間、日本経済はそういう状態に陥っていた。だから早くデフレから脱出したいわけである。それが原油の値上がりで物価が上がり、名目成長率が上昇したらデフレから脱却できるという考え方は、どうみても間違っている。臨時閣議で署名した経済閣僚は、反省してもらいたい。
≪25日の日経平均 = 上げ +295.59円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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成長率が上がるのは、いま建築基準法の改正で大きく落ち込んでいる住宅投資が回復して、9%増加する。これに伴って設備投資も3.3%増加。内需主導型の成長が見込めるという説明だ。この点について新聞などは、見方が甘すぎるとコメントしている。しかし「政府経済見通し」は、予算編成のための土台作り。この程度の成長を見込まないと、予算が編成できなかったのだろう。
この見通しが実現すれば、10年間続いた名目値と実質値の逆転は解消する。それはその通りだろう。しかし、それで日本経済がデフレ状態から脱出できるという説明は全く理解できない。なぜ名目成長率が上がるかというと、それは原油価格の高騰などで消費者物価が0.3%上昇するからだという。
たしかにデフレというのは、物価が長期にわたって下落する状態を言う。その大きな原因は需要不足であり、経済は不況になりやすい。この10年間、日本経済はそういう状態に陥っていた。だから早くデフレから脱出したいわけである。それが原油の値上がりで物価が上がり、名目成長率が上昇したらデフレから脱却できるという考え方は、どうみても間違っている。臨時閣議で署名した経済閣僚は、反省してもらいたい。
≪25日の日経平均 = 上げ +295.59円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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内閣府と財務省が共同で調査した10-12月期の法人企業景気予測調査。最も重要な結果は、大企業の景況判断BSI が0.5にまで落ち込んだことだ。BSI というのは、3か月前と比べて景況が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を差し引いた数値。3か月前の6.2からかなり低下した。0.5という数字は「上昇」と「下降」が、ほぼ半々になったことを示している。
この景況判断BSI で注意を引く内容は、中小企業の判断が改善傾向をみせていること。中小企業は前回調査のマイナス22.3から、今回はマイナス18.7に。また来年4-6月期の見通しもマイナス13.3と、悪いながらも徐々にマイナス幅が縮小する形となっている。これは予想外の朗報だが、発表ではその理由について全く触れていない。
注目されるのは、企業の利益配分スタンスについての調査結果だ。07年度中の利益配分スタンスは、大企業では①設備投資②内部留保③株主への還元--の順。中堅企業は①内部留保②設備投資③従業員への還元。中小企業は①内部留保②従業員への還元③設備投資--となっている。
この結果は、おそらく人手不足の度合いを反映したものに違いない。中小企業は給与水準を上げないと、とても人材が集まらない。一方、大企業はまだ余裕があるのでは。経団連は個人消費の出遅れを心配して賃上げを支持したが、来年度についてはどうなるのか。この利益配分スタンスでも、08年度の見通しを調べてもらいたかった。
≪26日の日経平均 = 上げ +100.95円≫
≪27日の日経平均は? 予想= 下げ≫
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この景況判断BSI で注意を引く内容は、中小企業の判断が改善傾向をみせていること。中小企業は前回調査のマイナス22.3から、今回はマイナス18.7に。また来年4-6月期の見通しもマイナス13.3と、悪いながらも徐々にマイナス幅が縮小する形となっている。これは予想外の朗報だが、発表ではその理由について全く触れていない。
注目されるのは、企業の利益配分スタンスについての調査結果だ。07年度中の利益配分スタンスは、大企業では①設備投資②内部留保③株主への還元--の順。中堅企業は①内部留保②設備投資③従業員への還元。中小企業は①内部留保②従業員への還元③設備投資--となっている。
この結果は、おそらく人手不足の度合いを反映したものに違いない。中小企業は給与水準を上げないと、とても人材が集まらない。一方、大企業はまだ余裕があるのでは。経団連は個人消費の出遅れを心配して賃上げを支持したが、来年度についてはどうなるのか。この利益配分スタンスでも、08年度の見通しを調べてもらいたかった。
≪26日の日経平均 = 上げ +100.95円≫
≪27日の日経平均は? 予想= 下げ≫
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民主党は25日、08年度の税制改革大綱を発表した。これで来年度の税制をめぐる与野党間の具体的な対立点が、やっとはっきりした。所得税の控除、地方の格差是正、消費税についての基本的な考え方など、対立点はいくつもある。しかし個人や企業にとって差し当たり影響が大きいのは、道路特定財源と証券税制の行くえだろう。
まず道路特定財源。自民・公明の与党は、暫定税率を今後10年間は維持。道路事業の余剰分を一般財源に組み入れる方針を決めた。すでに08年度の予算案には、一般財源として1927億円を計上している。これに対して、民主党は暫定税率は廃止し、すべてを一般財源化する案。全く考え方が正反対だ。
証券税制について、与党は09年から譲渡益・配当ともに20%の税率に戻す。ただし500万円以下の譲渡益と100万円以下の配当は10年末まで10%という2段階方式。一方の民主党は譲渡益は09年から20%にするが、配当の税率はは10%のままにする案。こちらは考え方が正反対というわけではないが、国会審議では意外に揉めそうな気がする。
道路にしても証券にしても、与野党案のどちらにも利点はある。結局は、世論がどちらに軍配を上げるかで決まるのかもしれない。ということは、2大政党制の長所が実際に発揮されることになる。ただ審議が長引いて3月末までに決着しないとなると、石油の値段が下がったり上がったり。株式の税率も上がったり下がったりしかねない。そうなると、これは2大政党制の短所が露呈することになる。
≪27日の日経平均 = 下げ -88.85円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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まず道路特定財源。自民・公明の与党は、暫定税率を今後10年間は維持。道路事業の余剰分を一般財源に組み入れる方針を決めた。すでに08年度の予算案には、一般財源として1927億円を計上している。これに対して、民主党は暫定税率は廃止し、すべてを一般財源化する案。全く考え方が正反対だ。
証券税制について、与党は09年から譲渡益・配当ともに20%の税率に戻す。ただし500万円以下の譲渡益と100万円以下の配当は10年末まで10%という2段階方式。一方の民主党は譲渡益は09年から20%にするが、配当の税率はは10%のままにする案。こちらは考え方が正反対というわけではないが、国会審議では意外に揉めそうな気がする。
道路にしても証券にしても、与野党案のどちらにも利点はある。結局は、世論がどちらに軍配を上げるかで決まるのかもしれない。ということは、2大政党制の長所が実際に発揮されることになる。ただ審議が長引いて3月末までに決着しないとなると、石油の値段が下がったり上がったり。株式の税率も上がったり下がったりしかねない。そうなると、これは2大政党制の短所が露呈することになる。
≪27日の日経平均 = 下げ -88.85円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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5) OPECの変貌 = 石油の話には、必ずと言っていいほどOPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries = 石油輸出国機構)が登場する。このOPECが一躍、その名を世界に知られるようになったのは、1973年に第4次中東戦争が勃発したときだった。そのときOPECは原油価格を約4倍に値上げし、第1次石油ショックを惹き起こした。
だがOPECの歴史は、もっと古い。設立は1960年。当時、産油国の油田を完全に支配していたメジャーズ(国際石油資本)が一方的に原油価格を値下げしたことに抗議するため、産油国が結束を固めることを目的に設立した組織である。このときの参加国はサウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、ベネズエラの5か国。原油価格改定の際に事前協議を要求する程度の力しか持っていなかった。
ところが2度にわたった石油ショックを経て、OPECは強大な価格決定権を有するようになった。インドネシアやアラブ首長国連邦なども参加し、現在は13か国が加盟している。オーストリアのウィーンに本部を置き、80年代には世界の石油事情をにらみながら加盟国の産油量を調節するまでに力を増大した。しかし21世紀に入ったころから、その力には翳りも見え始めている。
翳りの理由は、OPECに加盟していないロシアやメキシコなどの産油量が拡大していること。代替エネルギーの普及など。そして最も大きい理由は、OPECのなかでの貧富の差が拡大したことだろう。特に大きな収入を手にしたサウジやアラブ首長国連邦、クウェートなどの諸国は、先進国の優良会社や商品市場などに巨額の投資をし始めた。このため石油を“武器”に、先進国の経済を攻撃する戦略は使いにくくなってきたようだ。
(続きは来週サタデー)
≪28日の日経平均 = 下げ -256.91円≫
≪28日大納会の終り値 = 1万5307円78銭≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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だがOPECの歴史は、もっと古い。設立は1960年。当時、産油国の油田を完全に支配していたメジャーズ(国際石油資本)が一方的に原油価格を値下げしたことに抗議するため、産油国が結束を固めることを目的に設立した組織である。このときの参加国はサウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、ベネズエラの5か国。原油価格改定の際に事前協議を要求する程度の力しか持っていなかった。
ところが2度にわたった石油ショックを経て、OPECは強大な価格決定権を有するようになった。インドネシアやアラブ首長国連邦なども参加し、現在は13か国が加盟している。オーストリアのウィーンに本部を置き、80年代には世界の石油事情をにらみながら加盟国の産油量を調節するまでに力を増大した。しかし21世紀に入ったころから、その力には翳りも見え始めている。
翳りの理由は、OPECに加盟していないロシアやメキシコなどの産油量が拡大していること。代替エネルギーの普及など。そして最も大きい理由は、OPECのなかでの貧富の差が拡大したことだろう。特に大きな収入を手にしたサウジやアラブ首長国連邦、クウェートなどの諸国は、先進国の優良会社や商品市場などに巨額の投資をし始めた。このため石油を“武器”に、先進国の経済を攻撃する戦略は使いにくくなってきたようだ。
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≪28日大納会の終り値 = 1万5307円78銭≫
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第8章 円高・円安って、なんだろう? ⑤
円安は、円高の正反対だと考えてください。先週の円高についての説明を思い出して、その反対のことを考えればいいのです。つまり円安というのは、外国の通貨、たとえばドルに対する円の価値が下がること。1ドル=100円だったものが1ドル=200円になれば、50%の円安ということになります。ですから円を持っている人は、それだけ損をするわけです。
みなさんがアメリカへ旅行するときも、円高の反対になります。1ドル=100円のときには、2万円が200ドルに交換できました。しかし1ドル=200円の円安になると、100ドルにしかなりません。輸入代金も高くなります。アメリカで100ドルの品物を輸入する場合、1万円で買えたものが2万円になってしまうのです。このため円安になると、国内の物価も上昇しやすいと言えるでしょう。
ところが輸出の場合は、円安の方が得をします。たとえば100万円の自動車をアメリカに輸出したとき、1ドル=100円ならば1万ドルで売らなくてはいけません。しかし1ドル=200円になると、5000ドルで売ればいいことになります。1万ドルだったものを5000ドルで売ればいいのですから、この自動車は飛ぶように売れるでしょうね。
仮に8000ドルで売っても、よく売れるでしょう。8000ドルで売れば、輸出代金が160万円になることは判りますね。じっさい1年間で円が1円安くなると、トヨタ自動車の利益は年間で350億円、ソニーの利益は60億円ふえるといわれています。結局、円の交換レートは輸出にも輸入にも大きな損が出ない程度の水準にあって、急激に変化しないことが望ましいと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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円安は、円高の正反対だと考えてください。先週の円高についての説明を思い出して、その反対のことを考えればいいのです。つまり円安というのは、外国の通貨、たとえばドルに対する円の価値が下がること。1ドル=100円だったものが1ドル=200円になれば、50%の円安ということになります。ですから円を持っている人は、それだけ損をするわけです。
みなさんがアメリカへ旅行するときも、円高の反対になります。1ドル=100円のときには、2万円が200ドルに交換できました。しかし1ドル=200円の円安になると、100ドルにしかなりません。輸入代金も高くなります。アメリカで100ドルの品物を輸入する場合、1万円で買えたものが2万円になってしまうのです。このため円安になると、国内の物価も上昇しやすいと言えるでしょう。
ところが輸出の場合は、円安の方が得をします。たとえば100万円の自動車をアメリカに輸出したとき、1ドル=100円ならば1万ドルで売らなくてはいけません。しかし1ドル=200円になると、5000ドルで売ればいいことになります。1万ドルだったものを5000ドルで売ればいいのですから、この自動車は飛ぶように売れるでしょうね。
仮に8000ドルで売っても、よく売れるでしょう。8000ドルで売れば、輸出代金が160万円になることは判りますね。じっさい1年間で円が1円安くなると、トヨタ自動車の利益は年間で350億円、ソニーの利益は60億円ふえるといわれています。結局、円の交換レートは輸出にも輸入にも大きな損が出ない程度の水準にあって、急激に変化しないことが望ましいと言えるでしょう。
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