◇ 60年を超える運転を可能に = 政府は28日の閣議で、原発の運転を60年を超えても可能にする改正法案の国会提出を決定した。現行は原子炉等規制法で「原則40年、最長60年」と決められているが、この条項を電気事業法に移管。さらに「安全審査や裁判所による停止命令で運転を停止した期間」を稼働日数から差し引く条項を加えることによって、実質的に60年以上の運転が可能になるようにする。
これに先立ち政府は2月10日の閣議で、電力の安定供給と脱炭素社会の両立を目指したGX実現に向けた重要方針を決定。そのなかで「原発を最大限活用する」と明記した。その具体的な内容は、①既存の原発について、60年を超える運転を認める。運転開始から30年経た時点から10年ごとに安全審査を行い、60年以降も運転できるようにする②次世代型の原発を、廃炉が決まった原発の敷地内で建て替えの形で建設する--というもの。これまで「原発の新増設は想定しない」と言い続けてきた方針を、完全にひっくり返す内容だった。
ウクライナ戦争によって燃料の輸入価格が高騰したことから、岸田首相は昨年「原発を最大限活用する」という方針を打ち出した。ことし1月の施政方針演説でも、そのことを強調している。これに力を得たのが、経産省の原発推進派。あれよあれよという間に、次世代型原発の推進にまで突っ走ってしまった。いかにも‟唐突”の感は否めない。
岸田首相はこの点を重視し、「まだ安全性に関する説明が不十分だ」という理由で、最終的な閣議決定を1週間延期。問題を電気事業法に移管することによって、責任を経産省に持たせることにした。次世代型原発の新設も削除したようだ。しかし野党ばかりか、与党内にもまだ批判的な空気が残っている。国民の支持も得られないかもしれない。岸田首相はこうした点を心配しているのだろう。だが、この問題の盲点はほかにもある。それは「木を見て森を見ていない」ことだ。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 上げ +21.60円≫
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これに先立ち政府は2月10日の閣議で、電力の安定供給と脱炭素社会の両立を目指したGX実現に向けた重要方針を決定。そのなかで「原発を最大限活用する」と明記した。その具体的な内容は、①既存の原発について、60年を超える運転を認める。運転開始から30年経た時点から10年ごとに安全審査を行い、60年以降も運転できるようにする②次世代型の原発を、廃炉が決まった原発の敷地内で建て替えの形で建設する--というもの。これまで「原発の新増設は想定しない」と言い続けてきた方針を、完全にひっくり返す内容だった。
ウクライナ戦争によって燃料の輸入価格が高騰したことから、岸田首相は昨年「原発を最大限活用する」という方針を打ち出した。ことし1月の施政方針演説でも、そのことを強調している。これに力を得たのが、経産省の原発推進派。あれよあれよという間に、次世代型原発の推進にまで突っ走ってしまった。いかにも‟唐突”の感は否めない。
岸田首相はこの点を重視し、「まだ安全性に関する説明が不十分だ」という理由で、最終的な閣議決定を1週間延期。問題を電気事業法に移管することによって、責任を経産省に持たせることにした。次世代型原発の新設も削除したようだ。しかし野党ばかりか、与党内にもまだ批判的な空気が残っている。国民の支持も得られないかもしれない。岸田首相はこうした点を心配しているのだろう。だが、この問題の盲点はほかにもある。それは「木を見て森を見ていない」ことだ。
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◇ エネルギー計画も作らない杜撰さ = いま日本は年間およそ1兆㌔㍗時の電力を生産し、消費している。その電力をどんなエネルギー源で生産するかを決めるのが、エネルギー計画の中核となる電源構成。21年度の実績は、再生可能エネルギー20.3%、原子力6.9%、火力72.9%となっている。このうち火力発電に使う原油・石炭・天然ガスなどの輸入価格が暴騰した。だから「原発を最大限活用する」という考え方は、必ずしも間違いではない。
だが太陽光や風力など再生エネルギーの活用も、きわめて重要だ。ところが今回の新・原発政策には、その視点が全くない。原発の新増設だけに、マトを絞ってしまった。これは明らかに経産省の跳ね上がりすぎ。このため唐突な感じは否めず、反対論を強める結果につながった。岸田首相も「これでは具合が悪いかな」と感じたのだろう。
福島原発の大事故によって、多くの日本人が原発アレルギーを持ったことは事実だろう。そんなところへ、突如という感じで「古い原発の60年を超す運転、次世代型原発の新設」という新政策を突き付けられた。心配や反対の声が上がるのは、むしろ当然かもしれない。ただ国民の多くは、必ずしも「原発、絶対反対」ではない。「無くて済むなら、それに越したことはない」と考える人が大半だろう。
原油・石炭・天然ガスの輸入量を減らすために、「まず再生可能エネルギーによる発電を増やす。政府は補助金を出して、太陽光や風力発電の普及を推進する。それでも不足する分は、原発に頼らざるをえない。だから古い原発の寿命を延ばし、次世代原発の新設にも取り組む。その結果、10年後の電源構成はこうなる」--こんな新エネルギー計画ならば、国民の多くは理解してくれるはずだ。岸田さん、森を見よう。
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だが太陽光や風力など再生エネルギーの活用も、きわめて重要だ。ところが今回の新・原発政策には、その視点が全くない。原発の新増設だけに、マトを絞ってしまった。これは明らかに経産省の跳ね上がりすぎ。このため唐突な感じは否めず、反対論を強める結果につながった。岸田首相も「これでは具合が悪いかな」と感じたのだろう。
福島原発の大事故によって、多くの日本人が原発アレルギーを持ったことは事実だろう。そんなところへ、突如という感じで「古い原発の60年を超す運転、次世代型原発の新設」という新政策を突き付けられた。心配や反対の声が上がるのは、むしろ当然かもしれない。ただ国民の多くは、必ずしも「原発、絶対反対」ではない。「無くて済むなら、それに越したことはない」と考える人が大半だろう。
原油・石炭・天然ガスの輸入量を減らすために、「まず再生可能エネルギーによる発電を増やす。政府は補助金を出して、太陽光や風力発電の普及を推進する。それでも不足する分は、原発に頼らざるをえない。だから古い原発の寿命を延ばし、次世代原発の新設にも取り組む。その結果、10年後の電源構成はこうなる」--こんな新エネルギー計画ならば、国民の多くは理解してくれるはずだ。岸田さん、森を見よう。
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◇ おカネだけでは止められない少子化 = 厚生労働省は28日、昨年の外国人を含む出生数が79万9728人に落ち込んだと発表した。統計を取り始めた1899年以来、初めて80万人を割っている。コロナの影響もあって前年比は5.1%の減少、21年の3.4%減少から加速した。岸田首相は「危機的な状況だと認識している」と述べ、政府は3月中に総合的な少子化対策をまとめる方針。
出生数の長期的な推移をみると、最大だったのは第1次ベビーブームと言われた1947-49年の年間269万6000人。次は第2次ベビーブームだった71-74年の年間209万2000人。そこからは急な下り坂を転げ落ち、少子化ガ急速に進んでいる。この間、たとえば保育サービスや児童手当などを合計した家族関係社会支出は、90年度の1兆6000億円から20年度の10兆8000億円へと大幅に膨らんだ。しかし少子化の勢いは少しも緩んでいない。
いま岸田内閣は、①経済支援の強化②子育てサービスの充実③仕事と育児の両立支援--を3本柱に、家族関係社会支出を倍増させると意気込んでいる。その財源を巡って、国会で論争が行われていることは周知の通りだ。しかし過去30年間の実績からみて、こうした財政支援で少子化が収束するとは考えられない。少子化はおカネだけで解決できる問題ではないからだ。
たとえば子ども1人当たり年間100万円を支給するとでも言えば、話は別。だが、そんなおカネは出しようがない。また働く人たちの実質収入が毎年3%ずつ増えると保証すれば、出生数は必ず増えるだろう。だが、そんな経済成長も望めるはずがない。おカネでダメなら、あとは若い人の結婚観や家族観が変わるのを待つしかない。しかし、それには時間がかかるし、変わる可能性があるかどうかも判らない。
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出生数の長期的な推移をみると、最大だったのは第1次ベビーブームと言われた1947-49年の年間269万6000人。次は第2次ベビーブームだった71-74年の年間209万2000人。そこからは急な下り坂を転げ落ち、少子化ガ急速に進んでいる。この間、たとえば保育サービスや児童手当などを合計した家族関係社会支出は、90年度の1兆6000億円から20年度の10兆8000億円へと大幅に膨らんだ。しかし少子化の勢いは少しも緩んでいない。
いま岸田内閣は、①経済支援の強化②子育てサービスの充実③仕事と育児の両立支援--を3本柱に、家族関係社会支出を倍増させると意気込んでいる。その財源を巡って、国会で論争が行われていることは周知の通りだ。しかし過去30年間の実績からみて、こうした財政支援で少子化が収束するとは考えられない。少子化はおカネだけで解決できる問題ではないからだ。
たとえば子ども1人当たり年間100万円を支給するとでも言えば、話は別。だが、そんなおカネは出しようがない。また働く人たちの実質収入が毎年3%ずつ増えると保証すれば、出生数は必ず増えるだろう。だが、そんな経済成長も望めるはずがない。おカネでダメなら、あとは若い人の結婚観や家族観が変わるのを待つしかない。しかし、それには時間がかかるし、変わる可能性があるかどうかも判らない。
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◇ 世界一の大富豪が‟日本消滅”を危惧 = 厚労省は22年の死亡者数も発表した。それによると、年間の死亡者は前年より8.9%増えて158万2033人。戦後では最多を記録した。コロナでは3万9000人が亡くなっている。昨年80万人を割り込んだ出生数から、この死亡者数を差し引いた数字が人口の自然減。昨年は78万2305人で過去最多。ほぼ山梨県と同じ人数が、1年間で減少した。
日本の総人口は、2008年の1億2808万人がピークだった。それから減り始め、21年には1億2550万人となっている。この間、減少幅はしだいに拡大。また年齢構造的に、少子高齢化ガ進んだ。人口の自然減は、過去16年にわたって続いている。仮に現在の傾向が続いたとすると、日本の人口は200年後に1000万人を割り、3300年にはゼロになるという試算もある。まだ数字を弄んでいる段階だが、少子化の勢いは止めにくいことも確か。
テスラの創業者で世界一の富豪といわれるイーロン・マスク氏は、大の日本びいき。そのマスク氏がツイッターに「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。世界にとって、大きな損失となる」と書き込んで、話題となった。ちなみにマスク氏は最近ツイッターを買収、その資産は200億ドル(2兆6000億円)を超えるといわれる。また双子と三つ子を含む9人の子持ち。
国が豊かになると、出生率が低下する。たとえば中国も少子化で、人口が減り始めた。子育てに必要な資金不足も大きな原因には違いないが、若者の価値観が変化することも大きな要因に。したがって経済面からの支援も効果はあるが、それだけで少子化は止まらない。日本も移民政策の確立や生産・流通面での徹底したロボット化など、人口の縮小に対応した政策が必要になっている。
≪3日の日経平均 = 上げ +428.60円≫
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日本の総人口は、2008年の1億2808万人がピークだった。それから減り始め、21年には1億2550万人となっている。この間、減少幅はしだいに拡大。また年齢構造的に、少子高齢化ガ進んだ。人口の自然減は、過去16年にわたって続いている。仮に現在の傾向が続いたとすると、日本の人口は200年後に1000万人を割り、3300年にはゼロになるという試算もある。まだ数字を弄んでいる段階だが、少子化の勢いは止めにくいことも確か。
テスラの創業者で世界一の富豪といわれるイーロン・マスク氏は、大の日本びいき。そのマスク氏がツイッターに「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。世界にとって、大きな損失となる」と書き込んで、話題となった。ちなみにマスク氏は最近ツイッターを買収、その資産は200億ドル(2兆6000億円)を超えるといわれる。また双子と三つ子を含む9人の子持ち。
国が豊かになると、出生率が低下する。たとえば中国も少子化で、人口が減り始めた。子育てに必要な資金不足も大きな原因には違いないが、若者の価値観が変化することも大きな要因に。したがって経済面からの支援も効果はあるが、それだけで少子化は止まらない。日本も移民政策の確立や生産・流通面での徹底したロボット化など、人口の縮小に対応した政策が必要になっている。
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◇ 業績との乖離が進む株価 = ダウ平均は先週574ドルの値上がり。終り値は3万3000ドル台を回復した。前半はPCE(個人消費支出物価)の上昇が加速したり、イエレン財務長官が「インフレは一直線に鈍化しない」と発言。株価を押し下げた。しかし木金の2日間で730ドルも反発。目立った材料は出なかったが、長期金利が下落したことだけを頼りに上昇している。
日経平均は先週474円の値上がり。終り値は2万8000円に接近した。ニューヨーク市場に引っ張られたほか、中国人に対する水際対策の緩和で中国関連銘柄に買いが集中。相変わらず出遅れ株に対する買い気も強かった。10-12月期の法人企業統計で経常利益が8四半期ぶりに減少したが、市場はあまり注目していない。
ウオール街では「ことし後半には利下げ」という見方が全く消え、逆に「次回の利上げは0.5%になる」という観測が強まっている。と同時に「景気後退入りは免れない」との予測も広まってきた。そして実際、企業の業績は下向きに。にもかかわらず株価は上昇するので、業績と株価の乖離は開くばかり。こうした傾向は、いつまで続くのだろうか。
今週は8日に、2月の景気ウオッチャー調査。9日に、10-12月期のGDP改定値。10日に、1月の家計調査、2月の企業物価。アメリカでは8日に、1月の貿易統計。10日に、2月の雇用統計。また中国が7日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。
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日経平均は先週474円の値上がり。終り値は2万8000円に接近した。ニューヨーク市場に引っ張られたほか、中国人に対する水際対策の緩和で中国関連銘柄に買いが集中。相変わらず出遅れ株に対する買い気も強かった。10-12月期の法人企業統計で経常利益が8四半期ぶりに減少したが、市場はあまり注目していない。
ウオール街では「ことし後半には利下げ」という見方が全く消え、逆に「次回の利上げは0.5%になる」という観測が強まっている。と同時に「景気後退入りは免れない」との予測も広まってきた。そして実際、企業の業績は下向きに。にもかかわらず株価は上昇するので、業績と株価の乖離は開くばかり。こうした傾向は、いつまで続くのだろうか。
今週は8日に、2月の景気ウオッチャー調査。9日に、10-12月期のGDP改定値。10日に、1月の家計調査、2月の企業物価。アメリカでは8日に、1月の貿易統計。10日に、2月の雇用統計。また中国が7日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。
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◇ 金融バブルの残り火 = 先週末のダウ平均株価は3万3391ドル、年初に比べると244ドルの値上がりだった。同様に日経平均の終り値は2万7927円、年初来1832円の値上がりだった。ことしに入ってダウ平均は3万2500ドルと3万5000ドルの間を行ったり来たり。日経平均も2万5500円ー2万8000円のボックス圏から抜け出せなかった。それでも日米の株価は、ともに値下がりはしていない。
ところが企業の業績は、この間に大きく悪化している。アメリカでは物価上昇の勢いがなかなか収まらず、FRBの金融引き締めは長引く見込み。このため景気後退は避けられず、その影が企業の業績にも表れ始めた。ファクトセット社の集計によると、主要500社の1株当たり利益は22年の217ドルから、23年は190ドルに減少する見通し。
日本も似たような動き。コロナ規制の解除で経済の正常化ガ進むことは、唯一の明るさ。だが物価高で、個人消費や設備投資は委縮し始めている。欧米の景気が悪化し、中国の回復も緩やかになりそうだから、環境もこれから悪くなる。日経新聞が上場企業1153社の10-12月決算を集計したところ、純利益は前年比7.3%の減少となった。この3月期決算の見通しも、全産業で2.2%の増益と業績は急速に落ち込む。
業績が悪化する一方で株価が下がらなければ、PER(株価収益率)やPBR(株価総資産倍率)は悪化する。にもかかわらず株価が下落しないのは、まだ市場に豊富な資金が滞留しているからだと考えるしかない。FRBが金融緩和で市場に放出した資金量は、およそ9兆ドル。昨年6月から始めた量的引き締めで回収した資金は、まだ1兆ドルにも達していない。引き締めの効果が現われるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
≪6日の日経平均 = 上げ +310.31円≫
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日本も似たような動き。コロナ規制の解除で経済の正常化ガ進むことは、唯一の明るさ。だが物価高で、個人消費や設備投資は委縮し始めている。欧米の景気が悪化し、中国の回復も緩やかになりそうだから、環境もこれから悪くなる。日経新聞が上場企業1153社の10-12月決算を集計したところ、純利益は前年比7.3%の減少となった。この3月期決算の見通しも、全産業で2.2%の増益と業績は急速に落ち込む。
業績が悪化する一方で株価が下がらなければ、PER(株価収益率)やPBR(株価総資産倍率)は悪化する。にもかかわらず株価が下落しないのは、まだ市場に豊富な資金が滞留しているからだと考えるしかない。FRBが金融緩和で市場に放出した資金量は、およそ9兆ドル。昨年6月から始めた量的引き締めで回収した資金は、まだ1兆ドルにも達していない。引き締めの効果が現われるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
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◇ 米中のGDP逆転はなくなった = 中国では5日に北京で開幕した全国人民代表大会の冒頭、李克強首相が「23年の経済成長目標を5%前後とする」と発表した。22年は「5.5%前後」を目標に掲げたが、ゼロ・コロナ政策の影響で景気が低迷、3.0%の成長に終わった。このため23年は確実に達成できるよう、目標を引き下げたものと思われる。どうやら中国も高度成長の時期を過ぎて、‟中成長国”の仲間入りをしたらしい。
国家統計局が2月末に発表した国民1人当たりのGNI(国民総所得)は1万2608ドル。GNIというのはGDPに海外で得た利益を加算した統計。世界銀行は現在、1人1万3205ドル以上のGNIがある国を「高所得国」と定義しているが、もう少しのところで届かなかった。中国政府はことし5.0%の成長を達成することで、この「高所得国」の仲間入りを目指すことになる。
ただ‟中成長国”になったことで、アメリカのGDPに追い付くことは難しくなった。たとえば日本経済研究センターは20年時点の予測で「早ければ28年にも米中のGDPは逆転」と推計。21年には「33年に逆転」と先延ばしした。これを22年時点の予測では「逆転する可能性はなくなった」と修正している。時間の経過とともに、中国の予想される成長率が低下したために他ならない。
代わって台頭してきたのがインド。22年の成長率は、コロナやエネルギー・資源の高騰にもかかわらず6.7%の高さを維持した。ドル・ベースの名目GDPは3兆3800億ドル。かつての宗主国だったイギリスを上回り、世界第5位に浮上。日本の約8割にまで増大している。インドの高成長はなお続くとみられ、IMF(国際通貨基金)では、27年に日本のGDPを追い越すという予測を発表した。
(続きは明日)
≪7日の日経平均 = 上げ +71.38円≫
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国家統計局が2月末に発表した国民1人当たりのGNI(国民総所得)は1万2608ドル。GNIというのはGDPに海外で得た利益を加算した統計。世界銀行は現在、1人1万3205ドル以上のGNIがある国を「高所得国」と定義しているが、もう少しのところで届かなかった。中国政府はことし5.0%の成長を達成することで、この「高所得国」の仲間入りを目指すことになる。
ただ‟中成長国”になったことで、アメリカのGDPに追い付くことは難しくなった。たとえば日本経済研究センターは20年時点の予測で「早ければ28年にも米中のGDPは逆転」と推計。21年には「33年に逆転」と先延ばしした。これを22年時点の予測では「逆転する可能性はなくなった」と修正している。時間の経過とともに、中国の予想される成長率が低下したために他ならない。
代わって台頭してきたのがインド。22年の成長率は、コロナやエネルギー・資源の高騰にもかかわらず6.7%の高さを維持した。ドル・ベースの名目GDPは3兆3800億ドル。かつての宗主国だったイギリスを上回り、世界第5位に浮上。日本の約8割にまで増大している。インドの高成長はなお続くとみられ、IMF(国際通貨基金)では、27年に日本のGDPを追い越すという予測を発表した。
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◇ ドイツとインドに抜かれ世界第5位に転落? = 主要国の22年のGDP統計が出揃った。ベスト5を並べてみると、①アメリカ 25兆3468億ドル②中国 19兆9116億ドル③日本 4兆9121億ドル④ドイツ 4兆2565億ドル⑤インド 3兆5347億ドル--となる。これをマラソンに例えると、トップのアメリカは順調な走り。ドイツとインドが猛烈に追い上げ。そして中国は遅れ気味、日本は顔が上がって苦しそう。と言ったところ。
ここからも判るように、日本とドイツの差はわずか6500億ドルほど。驚くべきことは、2002年時点では日本のGDPがドイツの2倍以上もあったという事実だ。その後の20年間、ドイツはGDPを2倍に拡大。一方、日本はGDPを1%しか増やせなかった。多数の専門家が「ことし中に逆転するだろう」と観測している。またIMFは「インドが27年には日本を追い越す」と予測しているから、そうなれば日本は世界第5位に転落することになる。
個人の豊かさを示す1人当たりGDPでみると、日本の状態はもっとずっと悪い。内閣府の集計によると、21年の1人当たりGDPは3万9803ドル。OECD(経済協力開発機構)に加盟している38か国中で20番目だった。韓国の1人当たりGDPはほぼ日本と並んだとみられ、ことし中には追い越されそう。またOECDには加盟していない台湾にも抜かれることは確実だ。
こんな状況では、とても‟経済大国”などとは言えないだろう。どうして、こんなことになってしまったのか。生産性の向上に失敗した企業経営者のせいなのか。それともおカネを貯め込んで使わない消費者のせいなのか。あるいは政策を間違えた政府・日銀のせいなのか。だれ1人として、こんなことは考えていないようだ。
≪8日の日経平均 = 上げ +135.03円≫
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ここからも判るように、日本とドイツの差はわずか6500億ドルほど。驚くべきことは、2002年時点では日本のGDPがドイツの2倍以上もあったという事実だ。その後の20年間、ドイツはGDPを2倍に拡大。一方、日本はGDPを1%しか増やせなかった。多数の専門家が「ことし中に逆転するだろう」と観測している。またIMFは「インドが27年には日本を追い越す」と予測しているから、そうなれば日本は世界第5位に転落することになる。
個人の豊かさを示す1人当たりGDPでみると、日本の状態はもっとずっと悪い。内閣府の集計によると、21年の1人当たりGDPは3万9803ドル。OECD(経済協力開発機構)に加盟している38か国中で20番目だった。韓国の1人当たりGDPはほぼ日本と並んだとみられ、ことし中には追い越されそう。またOECDには加盟していない台湾にも抜かれることは確実だ。
こんな状況では、とても‟経済大国”などとは言えないだろう。どうして、こんなことになってしまったのか。生産性の向上に失敗した企業経営者のせいなのか。それともおカネを貯め込んで使わない消費者のせいなのか。あるいは政策を間違えた政府・日銀のせいなのか。だれ1人として、こんなことは考えていないようだ。
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◇ 1月の実質賃金は記録的な減少 = 実質賃金の減少率が、歴史的な水準にまで拡大した。厚生労働省が発表した1月の毎月勤労統計によると、1人当たりの現金給与総額は27万6857円で前年比0.8%の増加だった。しかし物価が5.1%も上昇したため、実質賃金は4.1%の減少となった。この減少率は14年5月と09年12月に、ほぼ並ぶ。14年は消費税の引き上げ、09年はリーマン・ショックの直後だった。
現金給与総額というのは名目賃金、つまり手取りの収入だ。しかし物価の高騰で、実際に買えるモノの数量は4%ほど減ってしまったわけである。さらに22年の統計をみても給与総額は2.0%増加しているが、やはり物価の上昇には追い付かず実質賃金は1.0%目減りした。それだけ日本人の生活水準は下がったとも言える。
政府はこうした状況を是正しようと、経済界に賃上げの実施を強く要請している。このため大企業のなかには、5%程度の賃上げを決めたところも出始めた。しかし中小企業の多くは1-2%程度の賃上げがやっと、賃上げできない企業が大半だ。したがって、働く人全部の賃金水準が物価上昇分を超えることは、どう考えても不可能に近い。
とすれば実質賃金をプラスにするためには、物価の上昇を抑えるしかない。そこで政府は電気・ガス料金や小麦の価格を引き下げるために、補助金を支出している。それも効果なしとは言わないが、いつまで続けられるのか。その一方で日銀は相変わらずゼロ金利に固執、円安が進んで輸入物価は再び上昇気味。政府には確固とした物価対策が、全く見受けられない。
≪9日の日経平均 = 上げ +178.96円≫
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現金給与総額というのは名目賃金、つまり手取りの収入だ。しかし物価の高騰で、実際に買えるモノの数量は4%ほど減ってしまったわけである。さらに22年の統計をみても給与総額は2.0%増加しているが、やはり物価の上昇には追い付かず実質賃金は1.0%目減りした。それだけ日本人の生活水準は下がったとも言える。
政府はこうした状況を是正しようと、経済界に賃上げの実施を強く要請している。このため大企業のなかには、5%程度の賃上げを決めたところも出始めた。しかし中小企業の多くは1-2%程度の賃上げがやっと、賃上げできない企業が大半だ。したがって、働く人全部の賃金水準が物価上昇分を超えることは、どう考えても不可能に近い。
とすれば実質賃金をプラスにするためには、物価の上昇を抑えるしかない。そこで政府は電気・ガス料金や小麦の価格を引き下げるために、補助金を支出している。それも効果なしとは言わないが、いつまで続けられるのか。その一方で日銀は相変わらずゼロ金利に固執、円安が進んで輸入物価は再び上昇気味。政府には確固とした物価対策が、全く見受けられない。
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◇ パンデミックは終息の可能性も? = 世界の感染者は累計6億7688万人、この1週間で79万人増加した。この週間増加数は過去最少。死亡者は680万4503人で、週間6233人の増加だった。増加数は8週連続で縮小している。最近のピークだった1月上旬に比べると、ほぼ3分の1になった。この数字からみる限り、コロナのパンデミック(世界的大流行)は確実に終息へと向かっている。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計112万3299人。この1週間で2451人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが22万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・ロシア・ドイツが微増したほかは、みな減少した。イギリスは22万人台に乗せている。
日本の感染者は累計3332万6123人、この1週間で6万7553人増加した。前週より1万1662人少なく、増加数は8週連続で縮小した。死亡者は7万3068人、週間389人の増加だった。この増加数は最近のピークだった1月上旬に比べると、2割以下となっている。行動規制やマスク着用をほぼ解除したにもかかわらず、コロナの勢いは急速に衰えた。
世界でも日本でも、コロナは終息しつつあるように思われる。より強力なワクチンが開発されたわけでもなく、各国はむしろ経済の正常化を目指して規制を解除した。過去の経験からすると、コロナはピークを過ぎると自然に鎮静化する。ただ新しい変異種が生まれると勢いを取り戻してきた。今回はまだ変異種の発生はない。このまま行けばコロナの消滅も--と考えるのは、甘すぎるだろうか。
≪10日の日経平均 = 下げ -479.18円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカは累計112万3299人。この1週間で2451人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが22万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・ロシア・ドイツが微増したほかは、みな減少した。イギリスは22万人台に乗せている。
日本の感染者は累計3332万6123人、この1週間で6万7553人増加した。前週より1万1662人少なく、増加数は8週連続で縮小した。死亡者は7万3068人、週間389人の増加だった。この増加数は最近のピークだった1月上旬に比べると、2割以下となっている。行動規制やマスク着用をほぼ解除したにもかかわらず、コロナの勢いは急速に衰えた。
世界でも日本でも、コロナは終息しつつあるように思われる。より強力なワクチンが開発されたわけでもなく、各国はむしろ経済の正常化を目指して規制を解除した。過去の経験からすると、コロナはピークを過ぎると自然に鎮静化する。ただ新しい変異種が生まれると勢いを取り戻してきた。今回はまだ変異種の発生はない。このまま行けばコロナの消滅も--と考えるのは、甘すぎるだろうか。
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◇ 2度の衝撃で大幅安 = ダウ平均は先週1481ドルの値下がり。ことし最大の下落で、終り値は3万2000ドルを割り込んだ。週初と週末に大きなショックに見舞われたことが原因。最初は7日、パウエルFRB議長が議会で「利上げペースを加速する用意がある」と発言したこと。あとは10日に、SVBフィナンシャル・グループが巨額の損失を発表。さらにシリコン・バレー銀行が倒産したというニュースだった。
日経平均は先週217円の値上がり。ニューヨーク市場の軟調にもかかわらず、週の前半は連騰した。木曜日には、半年ぶりの高値を付けている。コロナによる行動規制の解除、インバウンドへの期待、それに円安の進行が、日本株の独歩高を演出した。金曜日には大きく反落したが、それでも2万8000円台は死守している。
FRBは来週21-22日のFOMC(公開市場委員会)で、利上げを決定する。上げ幅が0.5%に拡大されるかどうかが、最大の関心事。今週14日に発表される2月の消費者物価が、市場では注目のマト。さらにシリコン・バレー銀行の倒産が、連鎖を惹き起こすかどうか。いずれにしてもリスクは強まるに違いない。東京市場はそうしたニューヨークを眺めながら、独歩高の余熱を保持できるか。抵抗力が試される。
今週は13日に、1-3月期の法人企業景気予測調査。15日に、2月の訪日外国人客数。16日に、2月の貿易統計、1月の機械受注。17日に、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、2月の消費者物価。15日に、2月の小売り売上高、生産者物価。16日に、2月の住宅着工戸数。17日に、2月の工業生産、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が15日に、2月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は先週217円の値上がり。ニューヨーク市場の軟調にもかかわらず、週の前半は連騰した。木曜日には、半年ぶりの高値を付けている。コロナによる行動規制の解除、インバウンドへの期待、それに円安の進行が、日本株の独歩高を演出した。金曜日には大きく反落したが、それでも2万8000円台は死守している。
FRBは来週21-22日のFOMC(公開市場委員会)で、利上げを決定する。上げ幅が0.5%に拡大されるかどうかが、最大の関心事。今週14日に発表される2月の消費者物価が、市場では注目のマト。さらにシリコン・バレー銀行の倒産が、連鎖を惹き起こすかどうか。いずれにしてもリスクは強まるに違いない。東京市場はそうしたニューヨークを眺めながら、独歩高の余熱を保持できるか。抵抗力が試される。
今週は13日に、1-3月期の法人企業景気予測調査。15日に、2月の訪日外国人客数。16日に、2月の貿易統計、1月の機械受注。17日に、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、2月の消費者物価。15日に、2月の小売り売上高、生産者物価。16日に、2月の住宅着工戸数。17日に、2月の工業生産、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が15日に、2月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。
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◇ 金融政策が行き詰まる恐れ = ついに金融機関の倒産が発生した。経営が行き詰まったのは、カリフォルニア州のシリコン・バレー銀行。総資産は約28兆円で、全米16位の規模。保有している国債などの値下がりで巨大な損失を被り、取り付け騒ぎにあって10日に倒産した。FRBの利上げで国債など債券の価格が急落、それが引き金となったのだから、金融引き締め政策の大きな副作用が出たことに間違いはない。
それより少し前の7日、パウエルFRB議長は議会で重大な発言をしていた。その内容は「インフレ圧力が想定を上回っているので、利上げペースを加速する用意がある」というもの。これで次回の利上げは0.5%になるという見方が強まり、株価は大幅に下落した。ただパウエル議長はイラ立ちを隠して「これから発表されるデータしだいだが」という条件を付けることも忘れはしなかった。
そこで10日発表の2月の雇用統計に、関係者の注目が集中した。ところが非農業雇用者は31万1000人の増加で予想を上回ったが、平均時給の伸びは前月比0.2%増に鈍化。景気の方向を示すデータにはならなかった。このため現在は、きょう14日に発表される2月の消費者物価に大きな関心が寄せられている。
もし物価の伸びが明確に鈍化していれば、銀行の倒産もあって、FRBは利上げのペースを加速する必要はない。だが仮に物価上昇の勢いが衰えなかったとしたら、FRBは0.5%の利上げに踏み切るべきなのか。そうした場合、さらなる銀行の倒産を誘発する危険はないのか。でも利上げを0.25%にとどめれば、インフレは収まらないかもしれない。こうして金融政策は袋小路に入り、行き詰まる危険性が高まってきた。パウエル議長がイラ立つのも、無理はない。
≪13日の日経平均 = 下げ -311.01円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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それより少し前の7日、パウエルFRB議長は議会で重大な発言をしていた。その内容は「インフレ圧力が想定を上回っているので、利上げペースを加速する用意がある」というもの。これで次回の利上げは0.5%になるという見方が強まり、株価は大幅に下落した。ただパウエル議長はイラ立ちを隠して「これから発表されるデータしだいだが」という条件を付けることも忘れはしなかった。
そこで10日発表の2月の雇用統計に、関係者の注目が集中した。ところが非農業雇用者は31万1000人の増加で予想を上回ったが、平均時給の伸びは前月比0.2%増に鈍化。景気の方向を示すデータにはならなかった。このため現在は、きょう14日に発表される2月の消費者物価に大きな関心が寄せられている。
もし物価の伸びが明確に鈍化していれば、銀行の倒産もあって、FRBは利上げのペースを加速する必要はない。だが仮に物価上昇の勢いが衰えなかったとしたら、FRBは0.5%の利上げに踏み切るべきなのか。そうした場合、さらなる銀行の倒産を誘発する危険はないのか。でも利上げを0.25%にとどめれば、インフレは収まらないかもしれない。こうして金融政策は袋小路に入り、行き詰まる危険性が高まってきた。パウエル議長がイラ立つのも、無理はない。
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◇ 先行き見通しは期待と不安が混在 = 内閣府と財務省は13日、1-3月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はマイナス3.0で、3四半期ぶりにマイナスを記録。このうち世界経済の停滞を懸念した製造業はマイナス10.5、コロナ規制の解除を好感した非製造業はプラス0.6となっている。中小企業はマイナス17.4だった。
法人企業景気予測調査は、内閣府と財務省が約1万1000社を対象に共同で実施している。3か月前と比べて「景況感が上昇した」と回答した企業の割合から「下降した」と回答した企業の割合を差し引いた数値が景況判断指数。今回の調査で「上昇した」と回答した業種は、製造業では自動車、同部品、生産機械など。非製造業ではサービス、建設などだった。
景況判断の先行き見通しについては、大企業が4-6月期はプラス0.7、7-9月期はプラス5.2と急回復。製造業はマイナス0.7→プラス6.0、非製造業はプラス1.4→プラス4.8へ。また中小企業もマイナス3.1→マイナス1.2と、マイナスではあるものの改善する見通し。アメリカや中国の景気回復、あるいは国内での経済正常化に期待する形となっている。
ただ経常利益の予測をみると、企業の見通しはやや慎重だ。全産業の22年度の見通しは3.5%の増益だが、23年度は1.2%の減益となる。この調査では、その理由までは聞いていない。しかしウクライナ戦争の行く方など不透明な環境が続き、特にエネルギーや資源の価格動向には不安も多い。このため企業の先行き見通しには、期待と不安が混在しているのではないだろうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -610.92円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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法人企業景気予測調査は、内閣府と財務省が約1万1000社を対象に共同で実施している。3か月前と比べて「景況感が上昇した」と回答した企業の割合から「下降した」と回答した企業の割合を差し引いた数値が景況判断指数。今回の調査で「上昇した」と回答した業種は、製造業では自動車、同部品、生産機械など。非製造業ではサービス、建設などだった。
景況判断の先行き見通しについては、大企業が4-6月期はプラス0.7、7-9月期はプラス5.2と急回復。製造業はマイナス0.7→プラス6.0、非製造業はプラス1.4→プラス4.8へ。また中小企業もマイナス3.1→マイナス1.2と、マイナスではあるものの改善する見通し。アメリカや中国の景気回復、あるいは国内での経済正常化に期待する形となっている。
ただ経常利益の予測をみると、企業の見通しはやや慎重だ。全産業の22年度の見通しは3.5%の増益だが、23年度は1.2%の減益となる。この調査では、その理由までは聞いていない。しかしウクライナ戦争の行く方など不透明な環境が続き、特にエネルギーや資源の価格動向には不安も多い。このため企業の先行き見通しには、期待と不安が混在しているのではないだろうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -610.92円≫
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◇ FRBは金利を上げられるのか? = アメリカでは中堅の銀行が相次いで倒産、金融不安の影が色濃くなった。まず10日に倒産したのはカリフォルニア州のシリコン・バレー銀行。保有資産の総額は28兆円ほどで、全米16番目の規模。次いでニューヨーク州のシグネチャー銀行が12日に倒産。こちらの総資産は約15兆円、全米29位だった。財務省とFRBは直ちに「すべての預金を保護する」と発表、いまのところ金融危機とか信用不安といった雰囲気は出ていない。
FRBによる金融引き締めで金利が上昇、保有する国債などの価格が大幅に下落した。これが両行に共通する倒産の原因である。つまり引き締め政策の副作用が、初めて発生したと言っていい。ただ金融当局による素早い対応で、直接的な連鎖倒産の発生は避けられそう。しかし同じような原因で、いくつかの銀行が行き詰まる可能性は残っている。
さらに恐ろしいのは、金融不安が低格付けの債券に飛び火すること。そうなれば金融当局にも火消しは難しくなり、事態はリーマン・ショックと似てくる。その可能性は、決して小さくはない。そんな状況でFRBは来週21-22日にFOMC(公開市場委員会)を開くが、はたして政策金利を引き上げることができるのかどうか。
日本経済への影響も、すでに大きく現われている。安全資産として円と日本国債が買われ、円相場が上昇し金利は下落した。また日銀が3か月ぶりにETF(上場投資信託)を購入したが、株価は大きく下落している。この先FRBが利上げを見送るとすれば、アメリカではインフレの長期化が懸念されるだろう。その影響も、日本経済にはまた違った風圧となって及んでくる。
≪15日の日経平均 = 上げ +7.44円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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FRBによる金融引き締めで金利が上昇、保有する国債などの価格が大幅に下落した。これが両行に共通する倒産の原因である。つまり引き締め政策の副作用が、初めて発生したと言っていい。ただ金融当局による素早い対応で、直接的な連鎖倒産の発生は避けられそう。しかし同じような原因で、いくつかの銀行が行き詰まる可能性は残っている。
さらに恐ろしいのは、金融不安が低格付けの債券に飛び火すること。そうなれば金融当局にも火消しは難しくなり、事態はリーマン・ショックと似てくる。その可能性は、決して小さくはない。そんな状況でFRBは来週21-22日にFOMC(公開市場委員会)を開くが、はたして政策金利を引き上げることができるのかどうか。
日本経済への影響も、すでに大きく現われている。安全資産として円と日本国債が買われ、円相場が上昇し金利は下落した。また日銀が3か月ぶりにETF(上場投資信託)を購入したが、株価は大きく下落している。この先FRBが利上げを見送るとすれば、アメリカではインフレの長期化が懸念されるだろう。その影響も、日本経済にはまた違った風圧となって及んでくる。
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◇ 雨は止んだが雲はまだ厚い = 中国統計局は15日、ことし1-2月の主要な経済統計を発表した。それによると、小売り売上高は前年比3.5%の増加。昨年10-12月のマイナスからプラスに改善した。ゼロ・コロナ政策を終了、移動制限のない春節(旧正月)を迎えたことが大きい。飲食業の売り上げは9.2%も増加した。しかし耐久消費財の売れ行きは不振で、自動車は9.4%の減少にとどまっている。
鉱工業生産は前年比2.4%の増加。昨年12月の1.3%増から、やや拡大した。ただ22年の3.6%増には及ばず、自動車は14.0%の減少だった。また固定資産投資額は前年比5.5%の増加で、22年の5.1%増を上回った。うちインフラ投資は9.0%も増加したが、不動産投資は5.7%の減少で、いぜんとして不況が続いている。
経済の正常化で、全体としては回復傾向に。だが移動規制が解除された割には、勢いが鈍い。「雨は止んだけれども雲は厚く、この先どんどん天気が良くなるかは見通せない」と言ったところ。新しい首相に任命されたばかりの李強氏も記者会見で「成長率5%という目標を達成するのは容易ではない」と述べている。新首相が最初の会見で、こんな弱音を吐くのも珍しい。
というのも現在の中国経済は、実に多くの問題を抱え込んでいるからだ。たとえば構造的な不況に陥った不動産業、地方政府の財政悪化・財源難、都市部と地方の格差拡大、若年層の高失業率。そして少子高齢化の進展と人口の減少、年金制度の破たん・・・。数え上げればキリがない。この難局をどうやって切り抜けるのか。新内閣の手腕が問われている。
≪16日の日経平均 = 下げ -218.87円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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鉱工業生産は前年比2.4%の増加。昨年12月の1.3%増から、やや拡大した。ただ22年の3.6%増には及ばず、自動車は14.0%の減少だった。また固定資産投資額は前年比5.5%の増加で、22年の5.1%増を上回った。うちインフラ投資は9.0%も増加したが、不動産投資は5.7%の減少で、いぜんとして不況が続いている。
経済の正常化で、全体としては回復傾向に。だが移動規制が解除された割には、勢いが鈍い。「雨は止んだけれども雲は厚く、この先どんどん天気が良くなるかは見通せない」と言ったところ。新しい首相に任命されたばかりの李強氏も記者会見で「成長率5%という目標を達成するのは容易ではない」と述べている。新首相が最初の会見で、こんな弱音を吐くのも珍しい。
というのも現在の中国経済は、実に多くの問題を抱え込んでいるからだ。たとえば構造的な不況に陥った不動産業、地方政府の財政悪化・財源難、都市部と地方の格差拡大、若年層の高失業率。そして少子高齢化の進展と人口の減少、年金制度の破たん・・・。数え上げればキリがない。この難局をどうやって切り抜けるのか。新内閣の手腕が問われている。
≪16日の日経平均 = 下げ -218.87円≫
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◇ 人手不足でサービス低下の恐れ = 観光局の発表によると、ことし2月の訪日外国人客数は147万5300人だった。コロナ前の19年2月に比べると56.6%にまで回復している。1月の水準とほぼ同じだが、日数が少なかった分だけ増加したと考えていい。3月は中国人に対する水際対策も解除されたので、150万人を超えることは確実だろう。この調子なら、23年は2000万人に達するという予測も出ている。
いちばん多かったのは韓国人で56万8000人、19年2月比では79%まで回復した。次いで台湾、アメリカの順。東南アジアの4か国は実数は少ないものの、そろってコロナ前の水準を上回った。なかでもベトナムからの旅行客は5万5800人で、19年2月の実績を41.7%上回っている。フィリピン、インドネシア、シンガポールもコロナ前を超えた。
大きく出遅れているのは中国。旅行客数は3万6200人にとどまり、19年2月比ではわずか5%にすぎない。これは中国が日本向けの団体旅行を規制、日本側もこの2月まで中国からの入国者に水際対策を実施していたため。この両方の規制が解除されたため、3月は中国からの旅行客が目立って増える可能性が大きい。
政府も関連業界も、ことしの外国人客数がV字型に回復することを期待している。だが重大な問題が1つ。それは受け入れる業界の深刻な人手不足だ。各種の調査をみても、飲食物の調理、接客、給仕の分野では、求人倍率がものすごく高い。この点はコロナ前と様変わりな状態となっている。V字型の回復はいいが、「コロナ後の日本の‟おもてなし”は悪くなった」と言われたら一大事だ。インバウンドはゆっくり回復し、長続きするのが何よりだろう。
≪17日の日経平均 = 上げ +323.18円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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いちばん多かったのは韓国人で56万8000人、19年2月比では79%まで回復した。次いで台湾、アメリカの順。東南アジアの4か国は実数は少ないものの、そろってコロナ前の水準を上回った。なかでもベトナムからの旅行客は5万5800人で、19年2月の実績を41.7%上回っている。フィリピン、インドネシア、シンガポールもコロナ前を超えた。
大きく出遅れているのは中国。旅行客数は3万6200人にとどまり、19年2月比ではわずか5%にすぎない。これは中国が日本向けの団体旅行を規制、日本側もこの2月まで中国からの入国者に水際対策を実施していたため。この両方の規制が解除されたため、3月は中国からの旅行客が目立って増える可能性が大きい。
政府も関連業界も、ことしの外国人客数がV字型に回復することを期待している。だが重大な問題が1つ。それは受け入れる業界の深刻な人手不足だ。各種の調査をみても、飲食物の調理、接客、給仕の分野では、求人倍率がものすごく高い。この点はコロナ前と様変わりな状態となっている。V字型の回復はいいが、「コロナ後の日本の‟おもてなし”は悪くなった」と言われたら一大事だ。インバウンドはゆっくり回復し、長続きするのが何よりだろう。
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◇ 消えない金融不安への警戒感 = ダウ平均は先週48ドルの値下がり。上下動を繰り返した挙句、結局は小幅の下落となった。終り値は3万2000ドルを割っている。中堅銀行の経営行き詰まりが3行に拡大、さらにヨーロッパのクレディ・スイス銀行にまで飛び火した。スイス中央銀行が7兆円を融資して、懸命の消火に当たっている。しかし世界の株式市場では、先行き不安感が消えていない。ただ、その割にはダウ平均の下げ幅は小さかった。
日経平均は先週810円の値下がり。前週ニューヨーク市場が大幅に下げたにもかかわらず、日経平均は上昇した。その分が1週遅れの値下がりとなっている。外国人投資家の売りが目立ったが、その主因はやはり欧米の金融不安。加えて円高の進行で、日本株の割安感が薄れたようだ。全体として、東京市場の下値抵抗力は弱まっている。
驚いたのは、クレディ・スイス銀行が経営破たんしたにもかかわらず、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が0.5%の利上げを強行したこと。インフレ抑制の姿勢を鮮明にした。そこで最大の注目点は、FRBが今週22日に発表する政策金利。予想通り0.25%の引き上げを決定するか、それとも利上げを見送るか。利上げすれば金融不安を拡大してしまう危険もあるが、しなければ「FRBが金融不安を懸念している」と受け取られかねない。
今週は24日に、2月の消費者物価。アメリカでは21日に、2月の中古住宅販売が発表される。なお22日には、パウエルFRB議長が記者会見で金融政策に関する決定事項を公表する。
≪20日の日経平均 = 下げ -388.12円≫
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日経平均は先週810円の値下がり。前週ニューヨーク市場が大幅に下げたにもかかわらず、日経平均は上昇した。その分が1週遅れの値下がりとなっている。外国人投資家の売りが目立ったが、その主因はやはり欧米の金融不安。加えて円高の進行で、日本株の割安感が薄れたようだ。全体として、東京市場の下値抵抗力は弱まっている。
驚いたのは、クレディ・スイス銀行が経営破たんしたにもかかわらず、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が0.5%の利上げを強行したこと。インフレ抑制の姿勢を鮮明にした。そこで最大の注目点は、FRBが今週22日に発表する政策金利。予想通り0.25%の引き上げを決定するか、それとも利上げを見送るか。利上げすれば金融不安を拡大してしまう危険もあるが、しなければ「FRBが金融不安を懸念している」と受け取られかねない。
今週は24日に、2月の消費者物価。アメリカでは21日に、2月の中古住宅販売が発表される。なお22日には、パウエルFRB議長が記者会見で金融政策に関する決定事項を公表する。
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◇ 金融不安の除去かインフレの抑制か = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は16日、政策金利の0.5%引き上げを決断した。アメリカで発生した金融不安がヨーロッパにも飛び火、クレディ・スイス銀行が経営破たんしたあくる日のことだ。スイスはECBの管轄下ではないが、ドイツのINGグループやイタリアのウニクレディトなども預金の流出に見舞われている最中だった。それでも断固として利上げに踏み切ったECBは、金融不安の除去よりもインフレ抑制を選んだわけである。
金利が上昇すると銀行が保有する債券の価格が下がり、評価損が発生する。この損失が大きいと、預金者が銀行経営に不信を抱き預金を引き出す。だから政策金利の引き上げは、金融不安に油を注いでしまう危険がある。したがってECBも、利上げを決断するまでには大いに迷ったはず。その結果の決断だが、将来「あれは間違いだった」と烙印を押される可能性もなくはない。
アメリカでも状況は同じ。シリコン・バレー銀行に次いで、シグネチャー銀行が倒産。さらにウエスタン・アライアンス銀行とファースト・リパブリック銀行が、預金の取り付け騒ぎに見舞われた。これに対して財務省とFRBは、まずシリコン・バレーとシグネチャーの2行については「預金の全額保証」を明示したうえで倒産させ、あとの2行は大手銀行の融資で救済する措置をとった。これで当面は落ち着きを取り戻したが、ニューヨーク市場の銀行株は時価総額を60兆円も失っている。
そんな状況下で、FRBは21-22日のFOMC(公開市場委員会)で金融政策を決定する。0.5%の利上げや利下げは論外だとして、選択肢は0.25%の利上げか現状維持しかない。だが利上げをすれば、金融不安が再燃する不安も十分にある。現状維持だと「FRBは金融不安の再燃を恐れている」と受け取られる危険がある。いまパウエル議長は、深刻に悩んでいることだろう。
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金利が上昇すると銀行が保有する債券の価格が下がり、評価損が発生する。この損失が大きいと、預金者が銀行経営に不信を抱き預金を引き出す。だから政策金利の引き上げは、金融不安に油を注いでしまう危険がある。したがってECBも、利上げを決断するまでには大いに迷ったはず。その結果の決断だが、将来「あれは間違いだった」と烙印を押される可能性もなくはない。
アメリカでも状況は同じ。シリコン・バレー銀行に次いで、シグネチャー銀行が倒産。さらにウエスタン・アライアンス銀行とファースト・リパブリック銀行が、預金の取り付け騒ぎに見舞われた。これに対して財務省とFRBは、まずシリコン・バレーとシグネチャーの2行については「預金の全額保証」を明示したうえで倒産させ、あとの2行は大手銀行の融資で救済する措置をとった。これで当面は落ち着きを取り戻したが、ニューヨーク市場の銀行株は時価総額を60兆円も失っている。
そんな状況下で、FRBは21-22日のFOMC(公開市場委員会)で金融政策を決定する。0.5%の利上げや利下げは論外だとして、選択肢は0.25%の利上げか現状維持しかない。だが利上げをすれば、金融不安が再燃する不安も十分にある。現状維持だと「FRBは金融不安の再燃を恐れている」と受け取られる危険がある。いまパウエル議長は、深刻に悩んでいることだろう。
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◇ 財源なしで議論が進む不思議 = 岸田首相は先週17日夜の記者会見で、少子化対策の具体案を発表した。そのなかで最も力を入れて説明したのが、育児休暇中の所得補償。現行の給付率67%を80%に引き上げ、社会保険料を免除することで実質100%の給付率にするという。また児童手当の拡充、高等教育費の負担軽減、住居支援。さらに幼児保育の強化、所得が106万円・130万円になると保険料や税金の負担で収入が減ってしまう制度の改善にまで言及した。
自民党内でも、具体案の作成作業が進んでいる。特に活発に議論されているのは、児童手当の問題。現在は中学生までとなっている支給対象を18歳にまで延長。現行は月1万ー1万5000円の支給額を「第1子は1万5000円、第2子は3万円、第3子以上は6万円」に増額する方向だ。ただ1200万円までとしている現在の所得制限を撤廃するかどうかは、決着がついていない。
年間の出生数が80万人を割り込むなど、日本の少子化は加速している。岸田首相も会見で「このまま推移すると経済が縮小し、社会保障制度や地域社会の維持が難しくなる」と述べ、「これから6-7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラスト・チャンスだ」と力説した。このことは正論であり、誰も反対はできないだろう。
しかし、きわめて重大な問題が1つ。それは岸田首相も自民党も、財源については全く触れていないことだ。おそらく議論されている具体策のすべてを実現するには、少なく見積もっても年間10兆円以上の財源が必要だと考えられる。だが不思議なことに、財源についての議論は聞こえてこない。いったい財源抜きの議論に意味はあるのだろうか。真偽のほどは不明だが、政府・自民党内では「選挙の前には財源の話をするな」というお触れが出ているという噂さえ流れている。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 上げ +520.94円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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自民党内でも、具体案の作成作業が進んでいる。特に活発に議論されているのは、児童手当の問題。現在は中学生までとなっている支給対象を18歳にまで延長。現行は月1万ー1万5000円の支給額を「第1子は1万5000円、第2子は3万円、第3子以上は6万円」に増額する方向だ。ただ1200万円までとしている現在の所得制限を撤廃するかどうかは、決着がついていない。
年間の出生数が80万人を割り込むなど、日本の少子化は加速している。岸田首相も会見で「このまま推移すると経済が縮小し、社会保障制度や地域社会の維持が難しくなる」と述べ、「これから6-7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラスト・チャンスだ」と力説した。このことは正論であり、誰も反対はできないだろう。
しかし、きわめて重大な問題が1つ。それは岸田首相も自民党も、財源については全く触れていないことだ。おそらく議論されている具体策のすべてを実現するには、少なく見積もっても年間10兆円以上の財源が必要だと考えられる。だが不思議なことに、財源についての議論は聞こえてこない。いったい財源抜きの議論に意味はあるのだろうか。真偽のほどは不明だが、政府・自民党内では「選挙の前には財源の話をするな」というお触れが出ているという噂さえ流れている。
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◇ 増税ラッシュはお断わり = 政府は物価対策でも、新たな施策を積み上げることになった。その中核は地方創生臨時交付金に1兆2000億円を追加、自治体が物価対策を充実できるようにする。LPガスに対する補助金や、低所得世帯へ一律3万円、子ども1人に5万円の支給など。この費用は22年度の予備費から2兆円を支出する。予備費を使い残さないようにするためだ。さらに自民党内では、出産費用や小中学校の給食を無償化する案も検討されている。
この4月には、統一地方選挙と衆参両院の補欠選挙が実施される。少子化対策や物価対策の拡充は、有権者にとっても心地いい話。これをお土産にすれば、与党の候補者は票を集めやすい。だから、そのあめ玉をいま大量生産しているのではないか。もちろん政治家が有権者の求める施策を実施することに、なんら問題はない。ただし財源の問題に触れないことは、大問題だ。
政府が財政支出を増やす場合、その財源を賄う方法は3つある。①他の項目で支出を削減する②国債を発行する③増税する--の3つだ。このうち支出の削減は出来そうもないし、やる気もなさそうだ。また国債はこの3月末で、発行残高が確実に1000兆円を突破する。GDP比も先進国では最悪だから、そんなに多くは頼れない。
すると残るは、増税や社会保険料の引き上げ。所得税や法人税、消費税や酒税の増税。それに医療費や介護費の引き上げが目標になるだろう。ある自民党の幹部は「財源は異次元の方法で見つける」と言ったそうだが、そんなものは見つかるわけがない。そして当分は選挙もないので、結局は増税へ。そんな結末は、願い下げにしたいものだ。
≪23日の日経平均 = 下げ -47.00円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この4月には、統一地方選挙と衆参両院の補欠選挙が実施される。少子化対策や物価対策の拡充は、有権者にとっても心地いい話。これをお土産にすれば、与党の候補者は票を集めやすい。だから、そのあめ玉をいま大量生産しているのではないか。もちろん政治家が有権者の求める施策を実施することに、なんら問題はない。ただし財源の問題に触れないことは、大問題だ。
政府が財政支出を増やす場合、その財源を賄う方法は3つある。①他の項目で支出を削減する②国債を発行する③増税する--の3つだ。このうち支出の削減は出来そうもないし、やる気もなさそうだ。また国債はこの3月末で、発行残高が確実に1000兆円を突破する。GDP比も先進国では最悪だから、そんなに多くは頼れない。
すると残るは、増税や社会保険料の引き上げ。所得税や法人税、消費税や酒税の増税。それに医療費や介護費の引き上げが目標になるだろう。ある自民党の幹部は「財源は異次元の方法で見つける」と言ったそうだが、そんなものは見つかるわけがない。そして当分は選挙もないので、結局は増税へ。そんな結末は、願い下げにしたいものだ。
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◇ 断トツに低い日本の人口比・死亡率 = 世界の感染者は累計6億7860万人、この1週間で76万人増加した。この増加数は前週より20万人少ない。死亡者は681万8258人で、週間5950人の増加だった。この増加数は過去最少。パンデミック(世界的流行)の勢いは徐々にではあるが、確実に衰えている。新しい変異株も発見されていない。ただ発表を止めてしまった中国で、感染者が拡大しているという情報もあり要注意だ。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計115万2582人。この1週間で2065人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが39万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが18万人台、ドイツが17万人台、フランスとインドネシアが16万人台となっている。大きく増加した国はないが、ドイツが17万人台に乗せた。
日本の感染者は累計3341万5336人、この1週間で6万0380人増加した。この増加数は前週より3万人多いが、集計上の問題が影響したようだ。死亡者は7万3645人で、週間241人の増加だった。増加数は10週連続で縮小している。コロナ規制がほぼ解除され、行楽シーズンで人出も予想以上に多い。にもかかわらずコロナは順調に終息へ向かっている。
人口当たりの死亡率をみると、①アメリカ 0.35%②イギリス 0.31%③ロシア 0.27%④ドイツ 0.20%--などとなっている。これに対して日本は0.07%で、断トツに低い。まだ季節性インフルエンザに比べると高いが、あと2か月ほど改善傾向が持続すれば、コロナ終息宣言も見えてくるだろう。もう少しだ、頑張ろう。
≪24日の日経平均 = 下げ -34.36円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカは累計115万2582人。この1週間で2065人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが39万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが18万人台、ドイツが17万人台、フランスとインドネシアが16万人台となっている。大きく増加した国はないが、ドイツが17万人台に乗せた。
日本の感染者は累計3341万5336人、この1週間で6万0380人増加した。この増加数は前週より3万人多いが、集計上の問題が影響したようだ。死亡者は7万3645人で、週間241人の増加だった。増加数は10週連続で縮小している。コロナ規制がほぼ解除され、行楽シーズンで人出も予想以上に多い。にもかかわらずコロナは順調に終息へ向かっている。
人口当たりの死亡率をみると、①アメリカ 0.35%②イギリス 0.31%③ロシア 0.27%④ドイツ 0.20%--などとなっている。これに対して日本は0.07%で、断トツに低い。まだ季節性インフルエンザに比べると高いが、あと2か月ほど改善傾向が持続すれば、コロナ終息宣言も見えてくるだろう。もう少しだ、頑張ろう。
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◇ FRBに敬意を表したNY市場 = ダウ平均は先週376ドルの値上がり。FRBが政策金利の0.25%引き上げを決めた22日だけは530ドルと大きく下げたが、あとは上昇。FRBに敬意を表した形となった。前半は政策金利の据え置きを期待、後半は利上げの終了が近づいたという読みから買われている。ただ金融不安は終息していないという見方も根強く、債券市場にも資金が流入して金利が大きく下落した。
日経平均は先週51円の値上がり。22日は金融不安が一段落したという安心感から大幅に上げたが、あとは下落。ニューヨークとは全く反対の動きとなった。金融不安の持続を警戒する海外投資家は売りに回ったが、国内投資家の押し目買い意欲は衰えていない。金融不安に対する警戒感も、海外投資家ほど強くはないようだ。
アメリカでは経営破たんに陥った中堅銀行に対する緊急対策が奏功、国内投資家はこれを評価している。しかしクレディ・スイス銀行の破たんは、ヨーロッパ各国の金融機関にまだ影響が及びそう。海外投資家はこちらを重視しているようだ。したがって、今週はヨーロッパの金融市場に注目が集まるだろう。また東京市場では、円高の進み具合に注意が必要だ。
今週は27日に、2月の企業向けサービス価格。31日に、2月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは28日に、1月のFHFA住宅価格指数、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、2月の中古住宅販売。30日に、10-12月期のGDP確報値。また中国が31日に、3月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は先週51円の値上がり。22日は金融不安が一段落したという安心感から大幅に上げたが、あとは下落。ニューヨークとは全く反対の動きとなった。金融不安の持続を警戒する海外投資家は売りに回ったが、国内投資家の押し目買い意欲は衰えていない。金融不安に対する警戒感も、海外投資家ほど強くはないようだ。
アメリカでは経営破たんに陥った中堅銀行に対する緊急対策が奏功、国内投資家はこれを評価している。しかしクレディ・スイス銀行の破たんは、ヨーロッパ各国の金融機関にまだ影響が及びそう。海外投資家はこちらを重視しているようだ。したがって、今週はヨーロッパの金融市場に注目が集まるだろう。また東京市場では、円高の進み具合に注意が必要だ。
今週は27日に、2月の企業向けサービス価格。31日に、2月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは28日に、1月のFHFA住宅価格指数、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、2月の中古住宅販売。30日に、10-12月期のGDP確報値。また中国が31日に、3月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
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◇ 利上げの一方で量的緩和 = FRBは先週22日、政策金利の0.25%引き上げを決定。これで政策金利は5.0%、15年半ぶりの高さに上昇した。金融不安よりもインフレ抑制を優先する姿勢を鮮明にしたことになる。声明文では前回の「継続的な引き上げが適切」という一文が削除されたことから株価は上昇したが、あとの記者会見でパウエル議長が「年内の利下げはない」と言明したため、結局は530ドルの大幅な値下がりに終わった。
ところが23-24日、株価は反発した。FRBが23年末の見通しで「政策金利は5.1%程度」という数値を維持したことが改めて評価された。これなら年内の利上げはあと1回、引き締めの終了は近いと想定できるからだ。さらに市場は、FRBが金融機関に対して実施する貸し出しについても注目した。この貸し出しワクは従来からのものと、設立されたばかりの緊急融資ワクの2つがある。
緊急融資ワクは金融不安に対処するため、シリコン・バレー銀行が破たんした直後に新設。経営が苦しくなった金融機関に破格の条件で融資する制度。FRBによると、融資残高は22日時点で536億ドル(約7兆円)にのぼった。また従来からの貸し出しワクでは、1102億ドル(約14兆3000億円)が融資されている。
もちろん、これらの融資は金融機関の倒産を防ぐためのものであって、景気対策とは関係がない。しかしFRBから資金が市中の金融機関に流れるという点では、量的金融緩和と全く変わらない。FRBは昨年6月から市場で国債などを売却する量的引き締めを実施してきたが、その半分に近い資金を放出した形。いわばFRBは、利上げと量的緩和の二刀流を使い始めたことになる。ここから、どんな影響が生じるのだろうか。
(続きは明日)
≪27日の日経平均 = 上げ +91.62円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが23-24日、株価は反発した。FRBが23年末の見通しで「政策金利は5.1%程度」という数値を維持したことが改めて評価された。これなら年内の利上げはあと1回、引き締めの終了は近いと想定できるからだ。さらに市場は、FRBが金融機関に対して実施する貸し出しについても注目した。この貸し出しワクは従来からのものと、設立されたばかりの緊急融資ワクの2つがある。
緊急融資ワクは金融不安に対処するため、シリコン・バレー銀行が破たんした直後に新設。経営が苦しくなった金融機関に破格の条件で融資する制度。FRBによると、融資残高は22日時点で536億ドル(約7兆円)にのぼった。また従来からの貸し出しワクでは、1102億ドル(約14兆3000億円)が融資されている。
もちろん、これらの融資は金融機関の倒産を防ぐためのものであって、景気対策とは関係がない。しかしFRBから資金が市中の金融機関に流れるという点では、量的金融緩和と全く変わらない。FRBは昨年6月から市場で国債などを売却する量的引き締めを実施してきたが、その半分に近い資金を放出した形。いわばFRBは、利上げと量的緩和の二刀流を使い始めたことになる。ここから、どんな影響が生じるのだろうか。
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◇ 景気後退の可能性が強まる = 政策金利が5%にまで上昇したことで、景気に対する抑制効果はかなり大きくなったと考えられる。さらに金融不安が解消されず、金融機関の貸し出し態度も厳しくなるに違いない。その結果、アメリカ経済が景気後退に陥る可能性は、いちだんと大きくなった。たとえばバンク・オブ・アメリカが機関投資家を対象に実施した調査では「スタグフレーションに突入する」とみる回答が88%にものぼった。
金融不安も、なかなか解消しない。FRBによると、金融機関全体の債券含み損は6200億ドル(約80兆円)に達した。また中小銀行からの預金流出額は15日までの1週間で1200億ドル(約15兆円)に及んでいる。この流出額はリーマン・ショック時の2倍というから大変だ。これらの中小銀行はFRBから多額の融資を受けて預金の支払いに応じているが、引き出された預金の多くは大銀行や金などの安全資産に移し替えられている。つまり消費や設備投資には、ほとんど回っていない。
ヨーロッパに飛び火した金融不安も、まだくすぶっている。クレディ・スイス銀行の問題はUBS銀行による買収で決着したが、総額160億スイス・フラン(約2兆3000億円)の劣後債は紙くずになってしまった。このためヨーロッパ中の銀行が発行した劣後債が売られ、平均利回りは10%近くに上昇。さらに銀行株は一斉に大幅下落した。この先6月には多くの劣後債が償還期限を迎えるため、‟6月危機”も心配さrれている。
景気後退と金融不安の同時進行。資金は一斉に安全資産へ避難し始めた。信用度の高い債券や金、株式でも景気敏感銘柄は敬遠されハイテク株が買われる。また安全資産の1つが日本の国債。国債の価格が上昇、金利は下落した。円の需要が増えて、円相場は上昇気味となっている。世界経済はしばらくの間、混迷の海を泳がなければならない。
≪28日の日経平均 = 上げ +41.38円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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金融不安も、なかなか解消しない。FRBによると、金融機関全体の債券含み損は6200億ドル(約80兆円)に達した。また中小銀行からの預金流出額は15日までの1週間で1200億ドル(約15兆円)に及んでいる。この流出額はリーマン・ショック時の2倍というから大変だ。これらの中小銀行はFRBから多額の融資を受けて預金の支払いに応じているが、引き出された預金の多くは大銀行や金などの安全資産に移し替えられている。つまり消費や設備投資には、ほとんど回っていない。
ヨーロッパに飛び火した金融不安も、まだくすぶっている。クレディ・スイス銀行の問題はUBS銀行による買収で決着したが、総額160億スイス・フラン(約2兆3000億円)の劣後債は紙くずになってしまった。このためヨーロッパ中の銀行が発行した劣後債が売られ、平均利回りは10%近くに上昇。さらに銀行株は一斉に大幅下落した。この先6月には多くの劣後債が償還期限を迎えるため、‟6月危機”も心配さrれている。
景気後退と金融不安の同時進行。資金は一斉に安全資産へ避難し始めた。信用度の高い債券や金、株式でも景気敏感銘柄は敬遠されハイテク株が買われる。また安全資産の1つが日本の国債。国債の価格が上昇、金利は下落した。円の需要が増えて、円相場は上昇気味となっている。世界経済はしばらくの間、混迷の海を泳がなければならない。
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◇ 補助金は持続不可能性 = 総務省が発表した2月の消費者物価は、生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.1%の上昇だった。この上昇率は1月の4.2%から大きく縮小しており、インフレの鈍化を歓迎する論評も少なくない。ただ、これは政府が2月徴収分から実施した電気・都市ガス代の補助金による効果。むしろ生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数は3.5%の上昇で、1月の3.2%より上げ幅を拡大している。
政府の補助金は電気と都市ガス事業者に支給され、その分だけ料金が下げられる仕組み。標準世帯で毎月3700円の引き下げが見込める計算。期間は2月徴収分から10月徴収分まで。予算総額は約6兆円。政府はほかにもがガソリンや小麦にも補助金を出して、価格を下げている。いまや補助金満開の感すらあるが、その財源は税金と国債だ。
この物価高の世の中で、少しでも電気やガス代が安くなることは喜ばしい。しかし大問題なのは、政府が補助金にばかり頼っていて、物価高を抑えるための構造的な改革を怠っていることだ。たとえば原子力や再生可能エネルギーによる発電を増やして、原油や石炭の輸入を少しでも減らそうと努力しないのはなぜだろう。補助金は永久に出し続けることは出来ない。
消費者物価が発表されたのと同じ日、経済産業省は再生エネルギーの賦課金を3円45銭から1円49銭に引き下げると発表した。これは再生エネルギーの普及を図るため、電気料金に賦課金を上乗せ徴収している制度。これを引き下げることで、家庭の電気代は月820円安くなるという。だが、それだけ再生エネルギーの普及は阻害される。ここでも目先のことしか見ない政府の姿勢が、はっきりと表れた。
≪29日の日経平均 = 上げ +365.53円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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政府の補助金は電気と都市ガス事業者に支給され、その分だけ料金が下げられる仕組み。標準世帯で毎月3700円の引き下げが見込める計算。期間は2月徴収分から10月徴収分まで。予算総額は約6兆円。政府はほかにもがガソリンや小麦にも補助金を出して、価格を下げている。いまや補助金満開の感すらあるが、その財源は税金と国債だ。
この物価高の世の中で、少しでも電気やガス代が安くなることは喜ばしい。しかし大問題なのは、政府が補助金にばかり頼っていて、物価高を抑えるための構造的な改革を怠っていることだ。たとえば原子力や再生可能エネルギーによる発電を増やして、原油や石炭の輸入を少しでも減らそうと努力しないのはなぜだろう。補助金は永久に出し続けることは出来ない。
消費者物価が発表されたのと同じ日、経済産業省は再生エネルギーの賦課金を3円45銭から1円49銭に引き下げると発表した。これは再生エネルギーの普及を図るため、電気料金に賦課金を上乗せ徴収している制度。これを引き下げることで、家庭の電気代は月820円安くなるという。だが、それだけ再生エネルギーの普及は阻害される。ここでも目先のことしか見ない政府の姿勢が、はっきりと表れた。
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◇ 財政状態は悪化するばかり = 一般会計の総額が114兆3812億円。この巨大な23年度予算案が28日、国会を通過し成立した。22年度の当初予算と比べて6兆7849億円の増加。11年連続で過去最大を更新した。税や税外収入ではとても賄い切れず、今回もまた国債を35兆6000億円発行して資金を調達することになった。この結果、日本の財政状態はいっそう悪化する。
少子高齢化の進行で自然に増加する社会保障費は36兆8000億円。また国債費も25兆2000億円に増加した。新規の政策としては、国際緊張の高まりを映して防衛費が6兆7000億円へと急増。少子化対策と物価対策にも多額の予算が計上された。たとえば少子化対策には3兆1412億円、物価対策には2兆2226億円(財源は22年度予算の予備費)の経費を見込んでいる。
コロナの沈静化で、主要国の社会・経済活動はほぼ正常化した。これに伴い各国はコロナ対策を打ち切ることにより、財政赤字の縮小に動き出している。アメリカやイギリスなど、すでに赤字の縮小を公約した国も多い。ところが日本はまだコロナ対策を引きずっており、そこに物価対策が上乗せされた。だから財政状態は改善しない。
国債の発行残高は1000兆円を突破した。しかし日銀がその52%を買い取っているから、国債は品薄になり価格は下がらない。このため財政節度が失われ、財政再建の意欲も盛り上がらない。専門家のなかには「タガが外れた」と嘆く人もいる。いったい日銀は、どこまで国債を買い進めるつもりなのか。こんな状態を、いつまで続けられるのか。心配だ。
≪30日の日経平均 = 下げ -100.85円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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少子高齢化の進行で自然に増加する社会保障費は36兆8000億円。また国債費も25兆2000億円に増加した。新規の政策としては、国際緊張の高まりを映して防衛費が6兆7000億円へと急増。少子化対策と物価対策にも多額の予算が計上された。たとえば少子化対策には3兆1412億円、物価対策には2兆2226億円(財源は22年度予算の予備費)の経費を見込んでいる。
コロナの沈静化で、主要国の社会・経済活動はほぼ正常化した。これに伴い各国はコロナ対策を打ち切ることにより、財政赤字の縮小に動き出している。アメリカやイギリスなど、すでに赤字の縮小を公約した国も多い。ところが日本はまだコロナ対策を引きずっており、そこに物価対策が上乗せされた。だから財政状態は改善しない。
国債の発行残高は1000兆円を突破した。しかし日銀がその52%を買い取っているから、国債は品薄になり価格は下がらない。このため財政節度が失われ、財政再建の意欲も盛り上がらない。専門家のなかには「タガが外れた」と嘆く人もいる。いったい日銀は、どこまで国債を買い進めるつもりなのか。こんな状態を、いつまで続けられるのか。心配だ。
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