◇ “沈み行く船”と嘆く首相 = ギリシャ経済が破綻に瀕した状態で、もがき苦しんでいる。赤字財政を放置してきた結果、国の借金である国債を償還できない事態に陥ってしまった。IMF(国際通貨基金)やドイツ、フランスから融資を受けて、なんとか乗り切ろうとしているが、まだ見通しは暗い。この影響で先週27日のニューヨーク株価が急落、28日には東京市場も大幅安となった。
ギリシャ国債は、その多くをヨーロッパ諸国の銀行が引き受けている。仮にその償還ができなくなると、これらの銀行は多額の損失を蒙ることになる。一昨年秋にアメリカで発生したリーマン・ブラザーズの破綻とその後の世界的な金融危機。その再発が懸念されるわけだ。またEU(ヨーロッパ連合)の結束にもヒビが入り、共通通貨ユーロの信用も下落する。問題はギリシャ一国に止まらない。
IMFなどからの支援を受けるためには、ギリシャ自身が厳しい財政再建計画を立てなければならない。しかし厳しい緊縮政策は、国民に耐乏生活を強いることになる。このためギリシャ国内では、緊縮反対のデモやストが頻発し始めた。パパンドレウ首相が「沈み行く船を引き継いでしまった」と嘆く気持ちも、判らないではない。
財政赤字という点では、日本もヒケをとらない。日本の場合は、まだ国債も順調に償還されている。だからギリシャのように経済が破綻に瀕した状態ではない。しかし現状は、確実に破綻の淵に向かって流されている。今回はギリシャの危機を勉強しながら、日本の将来についても考えてみよう。
(続きは来週サタデー)
≪30日の日経平均 = 上げ +132.61円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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ギリシャ国債は、その多くをヨーロッパ諸国の銀行が引き受けている。仮にその償還ができなくなると、これらの銀行は多額の損失を蒙ることになる。一昨年秋にアメリカで発生したリーマン・ブラザーズの破綻とその後の世界的な金融危機。その再発が懸念されるわけだ。またEU(ヨーロッパ連合)の結束にもヒビが入り、共通通貨ユーロの信用も下落する。問題はギリシャ一国に止まらない。
IMFなどからの支援を受けるためには、ギリシャ自身が厳しい財政再建計画を立てなければならない。しかし厳しい緊縮政策は、国民に耐乏生活を強いることになる。このためギリシャ国内では、緊縮反対のデモやストが頻発し始めた。パパンドレウ首相が「沈み行く船を引き継いでしまった」と嘆く気持ちも、判らないではない。
財政赤字という点では、日本もヒケをとらない。日本の場合は、まだ国債も順調に償還されている。だからギリシャのように経済が破綻に瀕した状態ではない。しかし現状は、確実に破綻の淵に向かって流されている。今回はギリシャの危機を勉強しながら、日本の将来についても考えてみよう。
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第18章 消費税って、なんだろう? ⑤
いま国連に加盟している国は192か国。さて、このうち消費税を取り入れている国は何か国あるでしょうか。答えは145か国。それぞれ「小売り税」とか「付加価値税」とか名前はいろいろですが、世界ではこんなに多くの国々がいわゆる消費税を導入しているのです。税率が最も高いのはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの北ヨーロッパ3か国。税率は25%ですから、日本の5倍になります。
みなさんは100円のノートを買うと、5円の消費税を払いますね。これら3国の人たちは、100円のノートを買うと消費税を25円も払わなければなりません。でも北ヨーロッパ3国の人たちは「税金が高い」と、あまり文句は言わないのです。なぜかというと、これらの国では病気になったときの治療費や年金、あるいは失業したときの生活費補助など、国による福祉がとても充実しているからです。
たとえばスウェーデンでは、大学を含めて教育費はほとんど無料。ノルウェーでは育児休暇が54週間、しかも給料の80%を支給。デンマークでは失業しても、給料の80%分が4年間にわたって保証されるといったぐあいです。手厚い福祉には、おカネがかかりますね。だから消費税が高くても仕方がない。これが北ヨーロッパ3国の人たちの基本的な考え方なのです。
このような考え方を「高福祉・高負担」と呼んでいます。つまり国民は高い税金を負担しますが、その代わりに国は福祉の面で予算をたくさん使って国民の面倒をよくみるというわけです。ほかのヨーロッパ諸国も消費税の税率は20%前後ですから、ヨーロッパの国々は全体として「高福祉・高負担」型だと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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いま国連に加盟している国は192か国。さて、このうち消費税を取り入れている国は何か国あるでしょうか。答えは145か国。それぞれ「小売り税」とか「付加価値税」とか名前はいろいろですが、世界ではこんなに多くの国々がいわゆる消費税を導入しているのです。税率が最も高いのはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの北ヨーロッパ3か国。税率は25%ですから、日本の5倍になります。
みなさんは100円のノートを買うと、5円の消費税を払いますね。これら3国の人たちは、100円のノートを買うと消費税を25円も払わなければなりません。でも北ヨーロッパ3国の人たちは「税金が高い」と、あまり文句は言わないのです。なぜかというと、これらの国では病気になったときの治療費や年金、あるいは失業したときの生活費補助など、国による福祉がとても充実しているからです。
たとえばスウェーデンでは、大学を含めて教育費はほとんど無料。ノルウェーでは育児休暇が54週間、しかも給料の80%を支給。デンマークでは失業しても、給料の80%分が4年間にわたって保証されるといったぐあいです。手厚い福祉には、おカネがかかりますね。だから消費税が高くても仕方がない。これが北ヨーロッパ3国の人たちの基本的な考え方なのです。
このような考え方を「高福祉・高負担」と呼んでいます。つまり国民は高い税金を負担しますが、その代わりに国は福祉の面で予算をたくさん使って国民の面倒をよくみるというわけです。ほかのヨーロッパ諸国も消費税の税率は20%前後ですから、ヨーロッパの国々は全体として「高福祉・高負担」型だと言えるでしょう。
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◇ 22か月ぶりに増加した給与 = 重要な一連の経済指標が、連休の直前に発表された。鉱工業生産、労働力調査、家計調査、それに雇用統計--いずれも3月の実績である。これら4つの経済指標から、いまの景気動向がどんな状態にあるのかを推理してみよう。
経済産業省の発表によると、生産の水準は前月を0.3%上回った。05年を100とする生産指数は94にまで回復している。特に輸出が伸びた電気機械は6.1%増、輸送用機械も1.8%の増加となった。予測値をみると、4月は3.7%増、5月は0.3%減となっている。生産は4-6月期も順調に回復するとみてよさそうだ。
厚生労働省の発表によると、現金給与総額は1人当たり平均で27万5637円。前年に比べて0.8%増加した。給与総額が増加したのは、なんと22か月ぶりのこと。所定内給与は0.2%の減少だったが、残業代などの所定外給与が11.7%増加した。製造業の所定外労働時間は、前年比で56.1%も増えている。
生産の増加で、製造業の設備稼働率が90%以上にまで上昇した。IT関連、精密機械、自動車部品、鉄鋼などの業種では100%近くにまで上がっている。設備の稼働率を上げるためには、それだけ多くの人手が必要だ。そこで残業が増える。3月の生産と給与の指標は、こうした状況をはっきり示すものだ。景気の回復がここまできたことは、明瞭に確認できる。
(続きは明日)
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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経済産業省の発表によると、生産の水準は前月を0.3%上回った。05年を100とする生産指数は94にまで回復している。特に輸出が伸びた電気機械は6.1%増、輸送用機械も1.8%の増加となった。予測値をみると、4月は3.7%増、5月は0.3%減となっている。生産は4-6月期も順調に回復するとみてよさそうだ。
厚生労働省の発表によると、現金給与総額は1人当たり平均で27万5637円。前年に比べて0.8%増加した。給与総額が増加したのは、なんと22か月ぶりのこと。所定内給与は0.2%の減少だったが、残業代などの所定外給与が11.7%増加した。製造業の所定外労働時間は、前年比で56.1%も増えている。
生産の増加で、製造業の設備稼働率が90%以上にまで上昇した。IT関連、精密機械、自動車部品、鉄鋼などの業種では100%近くにまで上がっている。設備の稼働率を上げるためには、それだけ多くの人手が必要だ。そこで残業が増える。3月の生産と給与の指標は、こうした状況をはっきり示すものだ。景気の回復がここまできたことは、明瞭に確認できる。
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◇ カギは就業者の増加 = 総務省の発表によると、家計の実質消費支出は2人以上世帯で前年比4.4%の増加だった。内訳けをみると、家具・家事用品が16.1%、交通・通信が13.2%と大きく伸びている。その大半は薄型テレビと自動車だ。つまり消費支出の増加は、減税や補助金など政府の支援策によるところが大きい。
テレビについては、4月からエコポイントの対象品目が絞り込まれた。その分だけ、消費は落ちるだろう。また給与総額が22か月ぶりに増加したといっても、その実態は残業料の増加だ。消費を押し上げる力はない。したがって4月以降の個人消費は、増加するとしても伸び率は鈍化する公算が大きい。消費の持続的な増加は、まだ保証できる段階にはない。
総務省の発表によると、失業率は前月より0.1ポイント悪化して5.0%になった。景気が回復してくると、職を求める人が増えて失業率は上昇することがある。だが3月の場合は、そうした理由からではない。なぜなら失業者数が前年比で15万人増え、その一方で就業者数が35万人も減っているからだ。稼働率が上昇し、残業が増加しても、全体の雇用情勢にはまだ好転の兆しが現れてこない。
このような状況のなかで、4月の生産が予測通り4%近くも増加したら・・・。設備の稼働率は93%前後に上昇し、残業の増加では追いつかなくなってくる。設備投資にも動意が表われるだろう。人手も不足する。だが派遣や臨時の雇用は受け入れにくくなった。その時点で、企業がどの程度まで社員を増やそうと決断するのか。その結果は、就業者数の増加となって現れる。景気回復の次のポイントは、就業者数の変化である。
≪6日の日経平均 = 下げ -361.71円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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テレビについては、4月からエコポイントの対象品目が絞り込まれた。その分だけ、消費は落ちるだろう。また給与総額が22か月ぶりに増加したといっても、その実態は残業料の増加だ。消費を押し上げる力はない。したがって4月以降の個人消費は、増加するとしても伸び率は鈍化する公算が大きい。消費の持続的な増加は、まだ保証できる段階にはない。
総務省の発表によると、失業率は前月より0.1ポイント悪化して5.0%になった。景気が回復してくると、職を求める人が増えて失業率は上昇することがある。だが3月の場合は、そうした理由からではない。なぜなら失業者数が前年比で15万人増え、その一方で就業者数が35万人も減っているからだ。稼働率が上昇し、残業が増加しても、全体の雇用情勢にはまだ好転の兆しが現れてこない。
このような状況のなかで、4月の生産が予測通り4%近くも増加したら・・・。設備の稼働率は93%前後に上昇し、残業の増加では追いつかなくなってくる。設備投資にも動意が表われるだろう。人手も不足する。だが派遣や臨時の雇用は受け入れにくくなった。その時点で、企業がどの程度まで社員を増やそうと決断するのか。その結果は、就業者数の増加となって現れる。景気回復の次のポイントは、就業者数の変化である。
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◇ 早くも第2幕へ = EU(ヨーロッパ連合)とIMF(国際通貨基金)は2日、ギリシャに対する資金支援策を決定した。日本は連休のさなかだったが、ヨーロッパも日曜日。いかに事態が切迫しているかを物語る。支援の内容は、10-12年の3年間にEUとIMFが総額1100億ユーロ(約13兆7000億円)を協調融資するというもの。
共通通貨ユーロが誕生した99年以来、EUが加盟国を資金的に援助するのは初めて。またIMFから融資を受けるのも初めてのことである。当面は10年分として、450億ユーロ(約5兆6000億円)が融資される。このうち300億ユーロはギリシャをのぞくユーロ圏15か国が、残り150億ユーロはIMFが負担することになった。ユーロ圏のなかではドイツが84億ユーロ、フランスが63億ユーロ、イタリアが55億ユーロを分担する。
一方、ギリシャ政府も2日の閣議で厳しい財政緊縮政策の実施を決めた。まず目標は、今後3年間で財政赤字を300億ユーロ削減。財政赤字の対GDP比率を、09年の13.6%から14年には2.6%まで引き下げる。そのための具体策として、年金支給額の引き下げ、公務員の削減と賞与の停止、付加価値税を21%から23%へ引き上げ、高級不動産・ガソリン・酒・タバコ課税の引き上げ・・・。
だが国民の反発はきわめて強い。官民合同のゼネストが実施され、アテネの町は「IMF、出てゆけ」のプラカードで埋め尽くされた。協調融資と緊縮政策の決定で第1幕は終了したが、早くも第2幕が始まっている。ポルトガルやスペインも同様の危機に陥るのではないかという疑念が拡大。先週の株価は世界的に急落した。このギリシャ悲劇は、いったい何幕まで続くのだろうか。
(続きは来週サタデー)
≪7日の日経平均 = 下げ -331.10円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝0敗】
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共通通貨ユーロが誕生した99年以来、EUが加盟国を資金的に援助するのは初めて。またIMFから融資を受けるのも初めてのことである。当面は10年分として、450億ユーロ(約5兆6000億円)が融資される。このうち300億ユーロはギリシャをのぞくユーロ圏15か国が、残り150億ユーロはIMFが負担することになった。ユーロ圏のなかではドイツが84億ユーロ、フランスが63億ユーロ、イタリアが55億ユーロを分担する。
一方、ギリシャ政府も2日の閣議で厳しい財政緊縮政策の実施を決めた。まず目標は、今後3年間で財政赤字を300億ユーロ削減。財政赤字の対GDP比率を、09年の13.6%から14年には2.6%まで引き下げる。そのための具体策として、年金支給額の引き下げ、公務員の削減と賞与の停止、付加価値税を21%から23%へ引き上げ、高級不動産・ガソリン・酒・タバコ課税の引き上げ・・・。
だが国民の反発はきわめて強い。官民合同のゼネストが実施され、アテネの町は「IMF、出てゆけ」のプラカードで埋め尽くされた。協調融資と緊縮政策の決定で第1幕は終了したが、早くも第2幕が始まっている。ポルトガルやスペインも同様の危機に陥るのではないかという疑念が拡大。先週の株価は世界的に急落した。このギリシャ悲劇は、いったい何幕まで続くのだろうか。
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第18章 消費税って、なんだろう? ⑥
前回はヨーロッパ諸国に多い「高福祉・高負担」型の消費税について説明しました。税率は北ヨーロッパ3国が25%、その他の諸国も20%前後と高いのが特徴でしたね。このヨーロッパ諸国に比べると、アジア諸国の税率は一般的に低くなっています。それでも中国は17%、インドは12.5%、お隣りの韓国は10%の消費税です。
日本や台湾やマレーシアの税率は5%で、世界のなかでもいちばん低い水準です。日本をはじめアジア諸国では、ヨーロッパに比べると「高福祉・高負担」の考え方がそれほど強くないと言ってもいいでしょう。むしろ財政の赤字を少なくする目的で、消費税が導入されたように考えられます。
アメリカやカナダでは、また違った形で消費税が実施されています。カナダの税率は日本と同じ5%で低いのですが、各州がそれぞれに税率の違う消費税を上乗せしています。たとえばオンタリオ州では8%の地方消費税が上乗せされるので、ここの消費税は13%ということになりますね。
アメリカでは、国の消費税がありません。ところが地方の州や郡や市が、それぞれに消費税を設けています。たとえばニューヨーク市の税率は8.375%となっています。アメリカやカナダでは「高福祉・高負担」という考え方が弱いうえに、地方自治体の権限が強いためにこんな形になっているのでしょう。
(続きは来週日曜日)
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前回はヨーロッパ諸国に多い「高福祉・高負担」型の消費税について説明しました。税率は北ヨーロッパ3国が25%、その他の諸国も20%前後と高いのが特徴でしたね。このヨーロッパ諸国に比べると、アジア諸国の税率は一般的に低くなっています。それでも中国は17%、インドは12.5%、お隣りの韓国は10%の消費税です。
日本や台湾やマレーシアの税率は5%で、世界のなかでもいちばん低い水準です。日本をはじめアジア諸国では、ヨーロッパに比べると「高福祉・高負担」の考え方がそれほど強くないと言ってもいいでしょう。むしろ財政の赤字を少なくする目的で、消費税が導入されたように考えられます。
アメリカやカナダでは、また違った形で消費税が実施されています。カナダの税率は日本と同じ5%で低いのですが、各州がそれぞれに税率の違う消費税を上乗せしています。たとえばオンタリオ州では8%の地方消費税が上乗せされるので、ここの消費税は13%ということになりますね。
アメリカでは、国の消費税がありません。ところが地方の州や郡や市が、それぞれに消費税を設けています。たとえばニューヨーク市の税率は8.375%となっています。アメリカやカナダでは「高福祉・高負担」という考え方が弱いうえに、地方自治体の権限が強いためにこんな形になっているのでしょう。
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ギリシャ発の信用不安。その第2波が襲ってきて、先週は世界的に株価が急落した。ダウ平均は週間628ドルの値下がり。特に6日は一時的に998ドル安と、過去最大の下げ幅を記録した。金融機関による誤発注が原因だとも言われたが、真相はまだ不明。このコンピュ-タ-時代に、原因が判らないというのも不思議な話である。
日経平均も、2日しかなかった営業日の間に693円の下落。終り値は2か月前の水準に戻ってしまった。ギリシャ問題は、第1波が①ECを中心とする支援策の構築②ギリシャの緊縮財政計画。第2波が③ポルトガル、スペインなどへの波及④これに対する全世界的な対応--に分けられるだろう。
このうち第1波については、ギリシャが本当に緊縮政策を遂行できるかに疑問は残るものの、ほぼ完了したとみていい。そして先週からは第2波に入ったが、ここでは日米欧の主要国がIMF(国際通貨基金)を軸に有効な対策を素早く打ち出せるかどうかが勝負。今週前半にも発表できないと、株価はまだ下がりそうだ。今週のポイントである。
経済イベントは、12日に3月の景気動向指数。13日に、4月の景気ウォッチャー調査。そして14日は決算発表の集中日。アメリカでは14日に、4月の小売り売上高と工業生産とミシガン大学による5月の消費者信頼感指数。また中国が10日に4月の貿易収支。11日には、4月の鉱工業生産、生産者物価、消費者物価、固定資産投資を発表する。ほかにEUでは、12日に1-3月期のGDP速報。14日にはギリシャが11年以降の財政再建計画を公表する。
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均も、2日しかなかった営業日の間に693円の下落。終り値は2か月前の水準に戻ってしまった。ギリシャ問題は、第1波が①ECを中心とする支援策の構築②ギリシャの緊縮財政計画。第2波が③ポルトガル、スペインなどへの波及④これに対する全世界的な対応--に分けられるだろう。
このうち第1波については、ギリシャが本当に緊縮政策を遂行できるかに疑問は残るものの、ほぼ完了したとみていい。そして先週からは第2波に入ったが、ここでは日米欧の主要国がIMF(国際通貨基金)を軸に有効な対策を素早く打ち出せるかどうかが勝負。今週前半にも発表できないと、株価はまだ下がりそうだ。今週のポイントである。
経済イベントは、12日に3月の景気動向指数。13日に、4月の景気ウォッチャー調査。そして14日は決算発表の集中日。アメリカでは14日に、4月の小売り売上高と工業生産とミシガン大学による5月の消費者信頼感指数。また中国が10日に4月の貿易収支。11日には、4月の鉱工業生産、生産者物価、消費者物価、固定資産投資を発表する。ほかにEUでは、12日に1-3月期のGDP速報。14日にはギリシャが11年以降の財政再建計画を公表する。
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 歯切れのいい主張 = 読売新聞は先週7日の朝刊で「経済再生へ政策転換を」と題する緊急提言を大々的に発表した。①マニフェスト不況を断ち切れ②コンクリートも人も大事だ③雇用こそ安心の原点④内需と外需の二兎を追え⑤技術で国際競争を勝ち抜け--の5項目を柱とするこの提言は正しい方角に目を向けており、全面的に賛成である。
マニフェスト不況に関しては「民主党は、選挙至上主義から、有権者受けする政策に走っている。効果が疑わしい子ども手当などに巨額の資金を使うのではなく、より有効な事業に振り向けるべきだ」と明快に断定した。これまでにも多くのマスコミや評論家が子ども手当てについては疑問を投げかけているが、これほどはっきりした反対論は初めてではないか。
またコンクリートか人かの問題では「コンクリートから人への空疎なスローガンにこだわって、公共事業を罪悪視した」と決め付けている。公共事業についてはその内容が重要だが、民主党が目の仇にして切り刻んだ結果、景気の回復を遅らせ、地方の疲弊を増幅したことは確かだろう。
子ども手当てへの反対論は「子どもを大切にしないのか」と言い返されかねない。公共事業の擁護論は「古い自民党の思想だ」と切り捨てられる。だから中途半端な言い方で終ってしまうことが多い。商業新聞の読売がそのしがらみを断ち切って明白な主張を打ち出した勇気には、敬意を表したい。
(続きは明日)
≪10日の日経平均 = 上げ +166.11円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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マニフェスト不況に関しては「民主党は、選挙至上主義から、有権者受けする政策に走っている。効果が疑わしい子ども手当などに巨額の資金を使うのではなく、より有効な事業に振り向けるべきだ」と明快に断定した。これまでにも多くのマスコミや評論家が子ども手当てについては疑問を投げかけているが、これほどはっきりした反対論は初めてではないか。
またコンクリートか人かの問題では「コンクリートから人への空疎なスローガンにこだわって、公共事業を罪悪視した」と決め付けている。公共事業についてはその内容が重要だが、民主党が目の仇にして切り刻んだ結果、景気の回復を遅らせ、地方の疲弊を増幅したことは確かだろう。
子ども手当てへの反対論は「子どもを大切にしないのか」と言い返されかねない。公共事業の擁護論は「古い自民党の思想だ」と切り捨てられる。だから中途半端な言い方で終ってしまうことが多い。商業新聞の読売がそのしがらみを断ち切って明白な主張を打ち出した勇気には、敬意を表したい。
(続きは明日)
≪10日の日経平均 = 上げ +166.11円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 弱点はやはり財源 = 読売新聞の提言は、正しい方角を向いている。公共事業は学校の耐震化など、必要なインフラ整備を急げという指摘も的を射ている。消費税をまず10%に引き上げ、早急に財政再建目標を明示せよという主張もいい。だた提言の全体を読んで、気になるのはやはり財政の収支バランスだ。
提言では財源を捻出する手段として、子ども手当てや農家への戸別所得補償などのバラマキ政策を止める。それに消費税の10%への引き上げ、さらに無利子非課税国債の発行などをあげている。その一方では日本経済の活性化を目指して、法人税の実効税率を20%台に下げる。インフラ整備の投資を行なう。保育所や医療・介護の充実。さらに最低保障年金の創設もうたっている。これらの収支計算が判然としない。
この点に関連して、読売は医療経済研究機構が試算した財政支出の経済効果を紹介している。たとえば医療に1億円を投入すると、生産誘発効果は4億3612万円で雇用も10.9人増加する。公共事業も4億1544万円と9.7人を誘発するという。したがって、こうした分野への財政支出は有効であり、赤字要因にもならないと説明しているように読み取れる。
だが、この数字は理解できない。ケインズの乗数理論からしても、この試算は現実ばなれしていないだろうか。たとえば民主党政府は公共事業費を切り込んだが、それでも10年度予算では5兆8000億円が計上されている。その生産誘発効果は24兆円という計算に。もしそうなら、10兆円ほどの予算を組めば、50兆円近いといわれる需給ギャップも難なく解消してしまうのだが。
≪11日の日経平均 = 下げ -119.60円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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提言では財源を捻出する手段として、子ども手当てや農家への戸別所得補償などのバラマキ政策を止める。それに消費税の10%への引き上げ、さらに無利子非課税国債の発行などをあげている。その一方では日本経済の活性化を目指して、法人税の実効税率を20%台に下げる。インフラ整備の投資を行なう。保育所や医療・介護の充実。さらに最低保障年金の創設もうたっている。これらの収支計算が判然としない。
この点に関連して、読売は医療経済研究機構が試算した財政支出の経済効果を紹介している。たとえば医療に1億円を投入すると、生産誘発効果は4億3612万円で雇用も10.9人増加する。公共事業も4億1544万円と9.7人を誘発するという。したがって、こうした分野への財政支出は有効であり、赤字要因にもならないと説明しているように読み取れる。
だが、この数字は理解できない。ケインズの乗数理論からしても、この試算は現実ばなれしていないだろうか。たとえば民主党政府は公共事業費を切り込んだが、それでも10年度予算では5兆8000億円が計上されている。その生産誘発効果は24兆円という計算に。もしそうなら、10兆円ほどの予算を組めば、50兆円近いといわれる需給ギャップも難なく解消してしまうのだが。
≪11日の日経平均 = 下げ -119.60円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 史上最高値を更新 = 金相場がまた史上最高値を更新した。ニューヨーク商品市場の金先物相場は12日、取り引き時間外だったが、一時1トロイオンス=1249ドル20セントに達した。金の先物相場は昨年9月に1000ドルの大台を突破、12月には1200ドル台に乗せた。その後は高値圏でのもみ合いが続いていたが、ここへきて再び騰勢を強めている。
今回の騰勢は、ギリシャの財政不安が発端になっている。EU(ヨーロッパ連合)とIMF(国際通貨基金)はギリシャに対して1100億ユーロ(約13兆円)の協調融資を行なうほか、スペインやポルトガルなどのユーロ加盟国へ危機が拡大することに備えて7500億ユーロ(約89兆円)の緊急融資枠を設定することになった。しかし不安はまだ尾を引いている。
これだけの防御体制を整えれば、ギリシャなどの財政破綻は避けられる見込みが大きくなった。ところがドイツやフランスなどのEU加盟国がその資金を負担するわけだから、各国の財政事情はそれだけ悪化する危険性をはらんでいる。このために共通通貨であるユーロに対する信認が低下した。ドルや株式にも安定感はない。そこで投機資金は、リスクの少ない金へ流れるしかなくなった。
金は実需も堅調である。宝飾品のほか、工業用の需要も回復。さらに02年に誕生したETF(上場投資信託)が急速に残高を伸ばしている。こうした下支えのうえに投機マネーが乗っかる形。利食いが出て反落する場面もあるだろうが、ヨーロッパの財政不安が落ち着くまでは上昇基調を続けるのではないだろうか。
≪12日の日経平均 = 下げ -17.07円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今回の騰勢は、ギリシャの財政不安が発端になっている。EU(ヨーロッパ連合)とIMF(国際通貨基金)はギリシャに対して1100億ユーロ(約13兆円)の協調融資を行なうほか、スペインやポルトガルなどのユーロ加盟国へ危機が拡大することに備えて7500億ユーロ(約89兆円)の緊急融資枠を設定することになった。しかし不安はまだ尾を引いている。
これだけの防御体制を整えれば、ギリシャなどの財政破綻は避けられる見込みが大きくなった。ところがドイツやフランスなどのEU加盟国がその資金を負担するわけだから、各国の財政事情はそれだけ悪化する危険性をはらんでいる。このために共通通貨であるユーロに対する信認が低下した。ドルや株式にも安定感はない。そこで投機資金は、リスクの少ない金へ流れるしかなくなった。
金は実需も堅調である。宝飾品のほか、工業用の需要も回復。さらに02年に誕生したETF(上場投資信託)が急速に残高を伸ばしている。こうした下支えのうえに投機マネーが乗っかる形。利食いが出て反落する場面もあるだろうが、ヨーロッパの財政不安が落ち着くまでは上昇基調を続けるのではないだろうか。
≪12日の日経平均 = 下げ -17.07円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 1250万人も減った = 総務省の推計によると、4月1日現在で15歳未満の子どもの人数は1694万人。1年前に比べて19万人減少した。減少は29年間続いており、総人口に占める割合は13.3%にまで低下している。このうち男の子は868万人、女の子は826万人で、男の方がずっと多い。
都道府県別の状況を昨年10月1日現在の確定値でみると、総人口に占める割合が最も高かったのは沖縄県で17.7%。次いで滋賀県が15.0%、愛知県が14.6%となっている。いちばん割合が低かったのは秋田県で11.2%。次いで東京都が11.9%、北海道が12.0%となっている。
総人口に占める子どもの割合は、1950年(昭和25年)には3分の1を超えていた。その後は60年に約4分の1となり、97年には65歳以上の人口割合を下回っている。50年当時の人数は2943万人だったから、その後の60年間で子どもの数は1250万人も減ってしまった。
国連の統計でみても、総人口に占める子どもの割合は、世界でも日本がいちばん低い。日本に次いで低いのはドイツで13.6%。あとロシアは14.7%、韓国は16.8%、中国は18.5%。アメリカは意外に高くて20.0%、インドは35.3%。いちばん高いエチオピアは45.0%などとなっている。日本の少子化は、数字からみても非常に厳しい。
≪13日の日経平均 = 上げ +226.52円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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都道府県別の状況を昨年10月1日現在の確定値でみると、総人口に占める割合が最も高かったのは沖縄県で17.7%。次いで滋賀県が15.0%、愛知県が14.6%となっている。いちばん割合が低かったのは秋田県で11.2%。次いで東京都が11.9%、北海道が12.0%となっている。
総人口に占める子どもの割合は、1950年(昭和25年)には3分の1を超えていた。その後は60年に約4分の1となり、97年には65歳以上の人口割合を下回っている。50年当時の人数は2943万人だったから、その後の60年間で子どもの数は1250万人も減ってしまった。
国連の統計でみても、総人口に占める子どもの割合は、世界でも日本がいちばん低い。日本に次いで低いのはドイツで13.6%。あとロシアは14.7%、韓国は16.8%、中国は18.5%。アメリカは意外に高くて20.0%、インドは35.3%。いちばん高いエチオピアは45.0%などとなっている。日本の少子化は、数字からみても非常に厳しい。
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≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 7500億ユーロの支援基金 = ギリシャの悲劇は先週、EU(ヨーロッパ連合)とIMF(国際通貨基金)が総額1100億ユーロ(約13兆7000億円)の協調融資を決定。ギリシャ政府も厳しい緊縮政策の実施を決めたことで、第1幕を終了した。ところが財政不安は、スペインやポルトガルにも拡大するのではないかという懸念が増大。早くも第2幕が始まってしまった。
この懸念を押さえ込むため、EUは素早く行動した。ユーロ圏は7日に緊急首脳会議を開き、総額7500億ユーロ(約89兆円)にのぼる支援基金の創設を決めた。EUが5000億ユーロ、IMFが2500億ユーロを拠出する。ユーロ圏の国が財政危機に陥った場合に備える安全網を整備したわけで、もちろん当面はスペインとポルトガルを意識した対策だ。
そのスペインとポルトガルも、財政再建に向けた緊縮政策を発表した。スペインは付加価値税の引き上げ、公務員の削減、年金の給付開始を65歳から67歳へ引き上げるなど。これにより3年間で赤字を500億ユーロ削減する。またポルトガルも公務員を7万3000人削減、増税、超高速鉄道の着工延期などを打ち出した。
第2幕はここで終了したが、ドラマはまだ完結しない。その証拠には、世界中の株価が乱高下している。そして続く第3幕のテーマは、どうやら共通通貨ユーロそのものの信認になりそうだ。支援によってユーロ圏諸国の財政負担が増大することへの不安。それは通貨への不安に直結する。円に対しても、1ユーロ=116円にまで下落。これが東京の株価を引き下げている。
(続きは来週サタデー)
≪14日の日経平均 = 下げ -158.04円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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この懸念を押さえ込むため、EUは素早く行動した。ユーロ圏は7日に緊急首脳会議を開き、総額7500億ユーロ(約89兆円)にのぼる支援基金の創設を決めた。EUが5000億ユーロ、IMFが2500億ユーロを拠出する。ユーロ圏の国が財政危機に陥った場合に備える安全網を整備したわけで、もちろん当面はスペインとポルトガルを意識した対策だ。
そのスペインとポルトガルも、財政再建に向けた緊縮政策を発表した。スペインは付加価値税の引き上げ、公務員の削減、年金の給付開始を65歳から67歳へ引き上げるなど。これにより3年間で赤字を500億ユーロ削減する。またポルトガルも公務員を7万3000人削減、増税、超高速鉄道の着工延期などを打ち出した。
第2幕はここで終了したが、ドラマはまだ完結しない。その証拠には、世界中の株価が乱高下している。そして続く第3幕のテーマは、どうやら共通通貨ユーロそのものの信認になりそうだ。支援によってユーロ圏諸国の財政負担が増大することへの不安。それは通貨への不安に直結する。円に対しても、1ユーロ=116円にまで下落。これが東京の株価を引き下げている。
(続きは来週サタデー)
≪14日の日経平均 = 下げ -158.04円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第18章 消費税って、なんだろう? ⑦
みなさんが納める消費税は、1年間でどのくらいの金額になるのでしょう。10年度(ことし4月-来年3月)の予算で調べてみると、消費税の収入見積りは9兆6000億円。ずいぶん大きな金額ですね。いろいろな税金のなかで収入見積りがいちばん大きいのは、サラリーマンや自分で商売をしている人が納める所得税で、金額は12兆6000億円です。消費税はそれに次いで2番目に大きな税金になっています。
10年度予算では、税金全体の収入を37兆4000億円と見込んでいます。ですから消費税は、その4分の1にも当たります。会社が納める法人税やガソリンにかかる税金よりも、その金額は多いわけです。また10年度予算では、子ども手当てと高校の授業料をタダにする政策が決まりました。そのために必要なおカネは2兆1000億円です。これとの比較でも、消費税の大きさは判るでしょう。
もう1つ、政府にとっては都合のいいことがあります。というのは所得税や法人税、あるいはガソリン税や酒税などの税金は、景気が悪くなると税収がぐっと減ってしまいます。消費税も景気が悪くなると減りますが、その減り方はそんなに大きくありません。ですから安定した税収を期待できるのです。
いま消費税の税率は5%でしたね。ですから割り算をすると、税率1%について税金の収入はだいたい2兆円弱ということになります。これから消費税を引き上げるかどうかの議論が盛んになりそうですが、そのとき何%の引き上げを考えるのかはとても重要です。5%の引き上げなら10兆円、8%なら16兆円近い税収の増加になると覚えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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みなさんが納める消費税は、1年間でどのくらいの金額になるのでしょう。10年度(ことし4月-来年3月)の予算で調べてみると、消費税の収入見積りは9兆6000億円。ずいぶん大きな金額ですね。いろいろな税金のなかで収入見積りがいちばん大きいのは、サラリーマンや自分で商売をしている人が納める所得税で、金額は12兆6000億円です。消費税はそれに次いで2番目に大きな税金になっています。
10年度予算では、税金全体の収入を37兆4000億円と見込んでいます。ですから消費税は、その4分の1にも当たります。会社が納める法人税やガソリンにかかる税金よりも、その金額は多いわけです。また10年度予算では、子ども手当てと高校の授業料をタダにする政策が決まりました。そのために必要なおカネは2兆1000億円です。これとの比較でも、消費税の大きさは判るでしょう。
もう1つ、政府にとっては都合のいいことがあります。というのは所得税や法人税、あるいはガソリン税や酒税などの税金は、景気が悪くなると税収がぐっと減ってしまいます。消費税も景気が悪くなると減りますが、その減り方はそんなに大きくありません。ですから安定した税収を期待できるのです。
いま消費税の税率は5%でしたね。ですから割り算をすると、税率1%について税金の収入はだいたい2兆円弱ということになります。これから消費税を引き上げるかどうかの議論が盛んになりそうですが、そのとき何%の引き上げを考えるのかはとても重要です。5%の引き上げなら10兆円、8%なら16兆円近い税収の増加になると覚えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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実体経済の回復とユーロをめぐる不安。株価はこの2つの力に押されたり引かれたりして、振幅を拡大している。それでも先週はダウ平均が240ドル、日経平均も98円の値上がりとなった。じっさい日米ともに景気回復の進行を示す経済指標が次々と発表されている。特に3月期の企業収益は、予想を上回る好決算も多かった。
だがギリシャに端を発したヨーロッパの財政危機は、共通通貨ユーロの信認にかかわる問題にまで発展してきた。EUはギリシャへの協調融資を決め、さらに将来の不安に備える緊急基金まで創設したが、ユーロの下落は止まらない。今週はユーロの対ドル、対円相場が下げ止まるかどうか。ここが最大のポイントになるだろう。そのギリシャは19日に、87億ユーロの国債を償還する。
もう1つ、中国が4回目の預金準備率引き上げに踏み切る公算も強まっている。こちらの方はそれで中国の景気がどうにかなるという話ではないが、市場が警戒感を強めていることは確かのようだ。したがって今週の日経平均は、国内でよほどの好材料が出ない限り、上値は抑えられそうだ。
アメリカでは18日に、4月の生産者物価と住宅着工件数。19日には、4月の消費者物価。20日には、コンファレンスボードによる4月の景気先行指数。国内では17日に、4月の企業物価と3月の機械受注。18日には、3月の第3次産業活動指数。そして20日には、1-3月期のGDP速報が発表になる。かなり高い数字が出ると予想されるが、ユーロ不安が続けば埋没してしまうかもしれない。
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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だがギリシャに端を発したヨーロッパの財政危機は、共通通貨ユーロの信認にかかわる問題にまで発展してきた。EUはギリシャへの協調融資を決め、さらに将来の不安に備える緊急基金まで創設したが、ユーロの下落は止まらない。今週はユーロの対ドル、対円相場が下げ止まるかどうか。ここが最大のポイントになるだろう。そのギリシャは19日に、87億ユーロの国債を償還する。
もう1つ、中国が4回目の預金準備率引き上げに踏み切る公算も強まっている。こちらの方はそれで中国の景気がどうにかなるという話ではないが、市場が警戒感を強めていることは確かのようだ。したがって今週の日経平均は、国内でよほどの好材料が出ない限り、上値は抑えられそうだ。
アメリカでは18日に、4月の生産者物価と住宅着工件数。19日には、4月の消費者物価。20日には、コンファレンスボードによる4月の景気先行指数。国内では17日に、4月の企業物価と3月の機械受注。18日には、3月の第3次産業活動指数。そして20日には、1-3月期のGDP速報が発表になる。かなり高い数字が出ると予想されるが、ユーロ不安が続けば埋没してしまうかもしれない。
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 売れた薄型テレビ = 家電エコポイント制度が導入されてから、ちょうど1年が経過した。結果は薄型テレビの独走。この1年間で、販売台数は前年比で72%も伸びている。ただ店頭価格が下がり続けたため、金額では42%の増加だった。同じくエコポイント制度の対象に指定された冷蔵庫は台数で6%の増加、エアコンは5%の減少とあまり振るわなかった。
景気対策の一環として昨年5月にスタートしたこの制度は、薄型テレビに関する限りは予想以上の効果をあげた。量販店の収益は軒並み改善したし、電機メーカーの業績にも貢献した。日本総研の試算によると、薄型テレビの販売増加だけで09年のGDPを0.4%押し上げたという。ただ問題点もいくつか見えてきた。
政府は制度の終了による反動減を恐れて、当初はことし3月までとしていたこの制度を12月まで延長した。その代わりに4月からは、対象となるテレビの機種をかなり絞り込んでいる。その結果、4月以降の販売台数は前年比43%程度の増加に落ち込んできた。これから年末まで、どのくらいの売れ行きを維持できるのだろうか。
いずれにしても消費者がエコポイントに釣られて、テレビを前倒しで購入したことは確か。その分がいずれは反動減となって表われる。需要が趨勢的に鈍化して行くなかで、年末になったら制度の再延長が必要になるかもしれない。そうなると、この制度は麻薬と同じ。もっと強い薬を求める声が高まる可能性もある。
≪17日の日経平均 = 下げ -226.75円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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景気対策の一環として昨年5月にスタートしたこの制度は、薄型テレビに関する限りは予想以上の効果をあげた。量販店の収益は軒並み改善したし、電機メーカーの業績にも貢献した。日本総研の試算によると、薄型テレビの販売増加だけで09年のGDPを0.4%押し上げたという。ただ問題点もいくつか見えてきた。
政府は制度の終了による反動減を恐れて、当初はことし3月までとしていたこの制度を12月まで延長した。その代わりに4月からは、対象となるテレビの機種をかなり絞り込んでいる。その結果、4月以降の販売台数は前年比43%程度の増加に落ち込んできた。これから年末まで、どのくらいの売れ行きを維持できるのだろうか。
いずれにしても消費者がエコポイントに釣られて、テレビを前倒しで購入したことは確か。その分がいずれは反動減となって表われる。需要が趨勢的に鈍化して行くなかで、年末になったら制度の再延長が必要になるかもしれない。そうなると、この制度は麻薬と同じ。もっと強い薬を求める声が高まる可能性もある。
≪17日の日経平均 = 下げ -226.75円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 6%台の予想も = 内閣府はあす20日、ことし1-3月期のGDP速報を発表する。輸出の回復が続き、個人消費も上向いたことから、前期比の実質成長率が年率で5%台に乗ることはほぼ確実。昨年10-12月期の成長率は3.8%だったから、上昇のテンポはかなり速くなる。2四半期にわたるプラス成長も、2年ぶりのことだ。
民間の研究機関やエコノミストの事前予測も、5%前後のものが多い。経済企画協会が42人に聞いた結果は、予測値の平均が4.73%だった。また読売新聞がまとめた調査機関7社の平均は5.8%となっている。このうちの4社は6%台の成長をを予測、いちばん高いものは6.5%だった。
すでに発表されている欧米の1-3月期の数字をみると、アメリカは3.3%で前期の5.6%よりも成長率が鈍っている。またユーロ圏の16か国は年率0.8%とまだ低空飛行。ドイツが前期比で0.2%、フランスも0.1%で冴えなかった。ともに個人消費の減退が響いている。
そうしたなかで、日本だけが成長率を高めている。その主たる原因は、中国に続いてアメリカの景気も回復してきたこと。その間にはさまれて、輸出が順調に回復しているためだ。ただ問題は4-6月期以降も、この調子が続くかどうか。中国の金融引き締め基調、それにユーロ安の進行。加えて国内の政治情勢が不安定さを増してきたので、あまり楽観はできない感じが強まってきた。
≪18日の日経平均 = 上げ +6.88円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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民間の研究機関やエコノミストの事前予測も、5%前後のものが多い。経済企画協会が42人に聞いた結果は、予測値の平均が4.73%だった。また読売新聞がまとめた調査機関7社の平均は5.8%となっている。このうちの4社は6%台の成長をを予測、いちばん高いものは6.5%だった。
すでに発表されている欧米の1-3月期の数字をみると、アメリカは3.3%で前期の5.6%よりも成長率が鈍っている。またユーロ圏の16か国は年率0.8%とまだ低空飛行。ドイツが前期比で0.2%、フランスも0.1%で冴えなかった。ともに個人消費の減退が響いている。
そうしたなかで、日本だけが成長率を高めている。その主たる原因は、中国に続いてアメリカの景気も回復してきたこと。その間にはさまれて、輸出が順調に回復しているためだ。ただ問題は4-6月期以降も、この調子が続くかどうか。中国の金融引き締め基調、それにユーロ安の進行。加えて国内の政治情勢が不安定さを増してきたので、あまり楽観はできない感じが強まってきた。
≪18日の日経平均 = 上げ +6.88円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 世界で第3位に = 太陽光発電協会の集計によると、09年度の総出荷量は発電能力ベースで166万8500キロワットだった。前年度に比べると49%の増加。このうち国内向けは62万3100キロワットで前年度の2.6倍。輸出は104万5400キロワットで18%の増加だった。国内出荷量を国際比較でみると、08年度は世界で第6位だったが、09年度はドイツ、イタリアに次ぐ第3位に上昇している。
特に住宅用の設備は54万3700キロワット、前年の2.8倍と急増した。これは1月から補助金制度が再開されたことに加えて、11月からは電力会社が買い取り単価を引き上げた効果が大きい。過去の設置分を含めると、これで約50万世帯が発電設備を保有。その発電能力は190万キロワットを超えたと推定される。これは平均的な原子力発電所の2基分に匹敵する。
日本の太陽光発電は05年度には30万キロワットに達し、世界一だった。ところが94年から実施されていた補助金制度が06年度から廃止。このため普及が伸び悩み、世界のランキングも第6位にまで後退した。それがやっと第3位にまで浮上してきたわけである。いま考えると、補助金の廃止は大きな“失政”だった。
太陽光発電の将来性に目を付け、世界のメーカーが開発競争にしのぎを削っている。発電効率の向上とコスト・ダウンに成功することが、生き残りの至上命題だ。政府は20年に2800万キロワットの発電を目指しているが、どうも戦略的な視点に欠けているような気がする。太陽光発電で世界を制覇しようという意気込みが、政治家や役所からは伝わってこない。
≪19日の日経平均 = 下げ -55.80円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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特に住宅用の設備は54万3700キロワット、前年の2.8倍と急増した。これは1月から補助金制度が再開されたことに加えて、11月からは電力会社が買い取り単価を引き上げた効果が大きい。過去の設置分を含めると、これで約50万世帯が発電設備を保有。その発電能力は190万キロワットを超えたと推定される。これは平均的な原子力発電所の2基分に匹敵する。
日本の太陽光発電は05年度には30万キロワットに達し、世界一だった。ところが94年から実施されていた補助金制度が06年度から廃止。このため普及が伸び悩み、世界のランキングも第6位にまで後退した。それがやっと第3位にまで浮上してきたわけである。いま考えると、補助金の廃止は大きな“失政”だった。
太陽光発電の将来性に目を付け、世界のメーカーが開発競争にしのぎを削っている。発電効率の向上とコスト・ダウンに成功することが、生き残りの至上命題だ。政府は20年に2800万キロワットの発電を目指しているが、どうも戦略的な視点に欠けているような気がする。太陽光発電で世界を制覇しようという意気込みが、政治家や役所からは伝わってこない。
≪19日の日経平均 = 下げ -55.80円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 個人消費の伸びは半減 = 内閣府が20日発表した1-3月期の実質成長率は、前期比の年率で4.9%だった。5%台には乗らなかったものの、前期の4.2%を上回っている。昨年7-9月期の実績が0.1%のプラスに改定されたため、これで4四半期連続のプラス成長ということになった。
年率換算でみると、内需は2.3%の増加。個人消費や企業の設備投資に加えて、マイナスを続けてきた住宅建設がプラスに転じたことが大きい。輸出も30.5%伸びた。全体の成長に対する寄与度は、内需が0.6ポイント、外需が0.7ポイントでバランスもいい。GDPデフレータは0.01%ながら、5四半期ぶりにプラスに。この結果、名目成長率も4.9%で実質値と同じになった。
こうしてみると、1-3月期の成績は近年では珍しいぐらいのいい形。だが、その内容をもう少しよく点検すると、心配な点が見えてくる。たとえば個人消費は1.3%の増加だったが、この伸び率は前期の2.8%から半減している。設備投資も前期の5.1%増から4.2%に鈍化した。輸出と住宅がその分を補った恰好になっている。
特に消費は、エコカーに対する減税や補助金、あるいは家電エコポイント制度に助けられた。4月以降その政策効果が薄れると、伸び率はさらに鈍るかもしれない。その根底には、やはり家計所得の伸び悩みと就業者が増えないという大きな問題が隠れている。政府は一時的な5%成長に安堵することなく、賃金と雇用の問題に全力をあげて取り組むべきだろう。
≪20日の日経平均 = 下げ -156.53円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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年率換算でみると、内需は2.3%の増加。個人消費や企業の設備投資に加えて、マイナスを続けてきた住宅建設がプラスに転じたことが大きい。輸出も30.5%伸びた。全体の成長に対する寄与度は、内需が0.6ポイント、外需が0.7ポイントでバランスもいい。GDPデフレータは0.01%ながら、5四半期ぶりにプラスに。この結果、名目成長率も4.9%で実質値と同じになった。
こうしてみると、1-3月期の成績は近年では珍しいぐらいのいい形。だが、その内容をもう少しよく点検すると、心配な点が見えてくる。たとえば個人消費は1.3%の増加だったが、この伸び率は前期の2.8%から半減している。設備投資も前期の5.1%増から4.2%に鈍化した。輸出と住宅がその分を補った恰好になっている。
特に消費は、エコカーに対する減税や補助金、あるいは家電エコポイント制度に助けられた。4月以降その政策効果が薄れると、伸び率はさらに鈍るかもしれない。その根底には、やはり家計所得の伸び悩みと就業者が増えないという大きな問題が隠れている。政府は一時的な5%成長に安堵することなく、賃金と雇用の問題に全力をあげて取り組むべきだろう。
≪20日の日経平均 = 下げ -156.53円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 神話とオリンピックの国 = ギリシャは南東ヨーロッパ、バルカン半島の南端に位置する小国だ。地中海文明発祥の地であり、紀元前の古代ギリシャは民主主義の原点としても知られる。神話とオリーブの国、オリンピックを生み出した国でもある。1981年、EUの前身であるEC(ヨーロッパ共同体)に加盟した。
そのギリシャが昨年末から、突如として経済危機に襲われた。昨年の総選挙でカラマンリス氏が率いる新民主主義党が敗れ、代わってパパンドレウ氏の全ギリシャ社会主義運動が政権に復帰。この過程で、前政権が財政赤字の実態を隠蔽して過少に公表していたという前代未聞の事件が明らかになった。ここからギリシャに対するデフォルト(債務不履行)懸念が、一気に燃え上がることになる。
面積は13万2000平方㌔、日本の3分の1強。人口は1120万人だから、日本の10分の1以下。GDPは3500億ドル前後で、日本の8%程度。したがって、ごく大ざっぱに理解するためには、日本の1割弱と考えればいい。たとえばEUとIMFが3年間に融資する1100億ユーロは、日本円で13兆7000億円。だから日本に当てはめれば、だいたい150兆円程度ということになる。
同様の考え方で行くと、ギリシャ政府が決めた3年間の財政赤字削減額は、日本に当てはめると40兆円にもなる。これは相当な緊縮政策だということが判るだろう。ギリシャがこれだけの緊縮政策を本当に実行できるのか。EUとIMFから200億ユーロの第1回融資を受け、19日には85億ユーロの国債を無事に償還したにもかかわらず、ギリシャ問題が冷却されない理由の1つがここにある。
(続きは来週サタデー)
≪21日の日経平均 = 下げ -245.77円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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そのギリシャが昨年末から、突如として経済危機に襲われた。昨年の総選挙でカラマンリス氏が率いる新民主主義党が敗れ、代わってパパンドレウ氏の全ギリシャ社会主義運動が政権に復帰。この過程で、前政権が財政赤字の実態を隠蔽して過少に公表していたという前代未聞の事件が明らかになった。ここからギリシャに対するデフォルト(債務不履行)懸念が、一気に燃え上がることになる。
面積は13万2000平方㌔、日本の3分の1強。人口は1120万人だから、日本の10分の1以下。GDPは3500億ドル前後で、日本の8%程度。したがって、ごく大ざっぱに理解するためには、日本の1割弱と考えればいい。たとえばEUとIMFが3年間に融資する1100億ユーロは、日本円で13兆7000億円。だから日本に当てはめれば、だいたい150兆円程度ということになる。
同様の考え方で行くと、ギリシャ政府が決めた3年間の財政赤字削減額は、日本に当てはめると40兆円にもなる。これは相当な緊縮政策だということが判るだろう。ギリシャがこれだけの緊縮政策を本当に実行できるのか。EUとIMFから200億ユーロの第1回融資を受け、19日には85億ユーロの国債を無事に償還したにもかかわらず、ギリシャ問題が冷却されない理由の1つがここにある。
(続きは来週サタデー)
≪21日の日経平均 = 下げ -245.77円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第18章 消費税って、なんだろう? ⑧
消費税の引き上げについては、賛成する人もいますが、反対する人もいます。賛成する人の理由もいろいろ、反対する人の理由もいろいろです。今回は、まず賛成する人の主な理由について説明してみましょう。みなさんも、自分の考え方をまとめてみてください。
いちばん強いのは、財政を建て直すために必要だという議論でしょう。いま日本の財政状態は最悪です。このまま行くと、来年3月末の国債発行残高は637兆円に達する見込み。さらにその他の借金までを含めると、来年3月末の国の借金総額は973兆円にふくれ上がります。国民1人当たりにすると763万円ですから、とても大きな金額ですね。
いまギリシャという国が借金を返せなくなって、大騒ぎをしています。日本も財政の赤字を国債の発行で埋め続けていると、そう遠くないうちにギリシャと同じ状態に陥るかもしれません。そうなってからでは大変です。ですから消費税を引き上げて、国債の発行を減らすようにしなければならない。これが賛成論の主な理由です。
消費税の税収は、福祉関係だけに使うべきだという議論もあります。年金や医療、介護など福祉の水準を維持するための財源ならば、消費税の引き上げも国民に納得してもらえるだろうという考え方。また予算のムダな支出を徹底的に抑えてからなら、上げてもいいという主張。さらに景気がよくなったら引き上げるという考え方。賛成論にも、いろいろあるのです。
(続きは来週日曜日)
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消費税の引き上げについては、賛成する人もいますが、反対する人もいます。賛成する人の理由もいろいろ、反対する人の理由もいろいろです。今回は、まず賛成する人の主な理由について説明してみましょう。みなさんも、自分の考え方をまとめてみてください。
いちばん強いのは、財政を建て直すために必要だという議論でしょう。いま日本の財政状態は最悪です。このまま行くと、来年3月末の国債発行残高は637兆円に達する見込み。さらにその他の借金までを含めると、来年3月末の国の借金総額は973兆円にふくれ上がります。国民1人当たりにすると763万円ですから、とても大きな金額ですね。
いまギリシャという国が借金を返せなくなって、大騒ぎをしています。日本も財政の赤字を国債の発行で埋め続けていると、そう遠くないうちにギリシャと同じ状態に陥るかもしれません。そうなってからでは大変です。ですから消費税を引き上げて、国債の発行を減らすようにしなければならない。これが賛成論の主な理由です。
消費税の税収は、福祉関係だけに使うべきだという議論もあります。年金や医療、介護など福祉の水準を維持するための財源ならば、消費税の引き上げも国民に納得してもらえるだろうという考え方。また予算のムダな支出を徹底的に抑えてからなら、上げてもいいという主張。さらに景気がよくなったら引き上げるという考え方。賛成論にも、いろいろあるのです。
(続きは来週日曜日)
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ヨーロッパ風邪に感染して、株式市場はダウンしてしまった。日経平均は週間678円の大幅な値下がり。あっさりと1万円の大台を割り込んだ。特に最終日の21日は、日経平均を構成する225銘柄のうち値上がりしたのは8銘柄だけという惨状。ダウ平均も週間427ドルの下落で、一時は1万ドルを割り込む場面もあった。
日米ともに景気の回復が進行していることは、各種の経済指標で確認されている。企業の業績も予想以上に上向いてきた。だが先週に関する限り、景気回復とヨーロッパ発の金融不安との綱引きは、圧倒的に不安の方が強かったようだ。今週もこの力関係が継続するかどうか。
この点で注目されるのは、ダウ平均が1万ドルを割り込んだ時点から急反発したこと。ニューヨーク市場は1万ドルが強力な下値抵抗線になるかもしれない。ただ東京市場の場合は、円の対ドル、対ユーロ相場が大きな影響力を持っている。ニューヨークが立ち直って、円相場が下がる気配を見せるかどうか。
今週は24日に、3月の全産業活動指数。26日に、4月の企業向けサービス価格。27日に、4月の貿易統計。28日には、4月の家計調査と労働力調査、消費者物価が発表になる。アメリカでは24日に、4月の中古住宅販売。25日に、3月の住宅価格とコンファレンスボードによる5月の消費者信頼感指数。26日には、4月の新築住宅販売が発表される。
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日米ともに景気の回復が進行していることは、各種の経済指標で確認されている。企業の業績も予想以上に上向いてきた。だが先週に関する限り、景気回復とヨーロッパ発の金融不安との綱引きは、圧倒的に不安の方が強かったようだ。今週もこの力関係が継続するかどうか。
この点で注目されるのは、ダウ平均が1万ドルを割り込んだ時点から急反発したこと。ニューヨーク市場は1万ドルが強力な下値抵抗線になるかもしれない。ただ東京市場の場合は、円の対ドル、対ユーロ相場が大きな影響力を持っている。ニューヨークが立ち直って、円相場が下がる気配を見せるかどうか。
今週は24日に、3月の全産業活動指数。26日に、4月の企業向けサービス価格。27日に、4月の貿易統計。28日には、4月の家計調査と労働力調査、消費者物価が発表になる。アメリカでは24日に、4月の中古住宅販売。25日に、3月の住宅価格とコンファレンスボードによる5月の消費者信頼感指数。26日には、4月の新築住宅販売が発表される。
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 民主党の票は減るだけ? = 政府は6月に予定していた高速道路の新料金体系の実施を完全にあきらめた。新体系は現行の割り引き制度を廃止、車種別に一律の上限料金を設定する内容。利用者にとっては実質的な値上げで、年間1兆4000億円のカネが浮く。政府はこれを財源に、道路工事を推進しようとしていた。
ところが民主党の小沢幹事長から「待った」がかかった。マニフェストで無料化を約束したのに、実質値上げでは選挙民に説明がつかないという理由からだ。たしかにスジは通っている。近距離ドライバーやトラック業者などは、喜んでいるに違いない。だが道路関係者や鉄道、フェリーなどの業界には「だまされた」という感情が残ってしまった。
小沢幹事長は選挙にとっては、道路関係者などの気持ちより一般の有権者の反応が大事だと考えたにちがいない。参院選にすべてを賭けている幹事長の考え方としては、判らないこともない。だが本当に正しい分析だったのだろうか。というのも、値上げの撤回で喜ぶ人の多くは「当たり前」だと思うのではないか。民主党は“悪いこと”を持ち出しておいて、それを撤回しただけだ。とすれば、このグループの民主党支持票が大きく伸びるとは思えない。
反対に目の前に“ご馳走”を出されて撤回されたグループは、民主党批判に回る公算が大きいのではないか。この点は沖縄の基地問題に対する鳩山内閣の迷走ぶりと、かなり似ている。普天間問題が辺野古埋め立ての原案に戻ったとき、これを高く評価する有権者はいないだろう。特に「県外」のご馳走を見せられた住民は、民主党に対する不信を募らせるだけだ。ご馳走を出しては引っ込めるやり方が、民主党の票を減らしている。
≪24日の日経平均 = 下げ -26.14円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが民主党の小沢幹事長から「待った」がかかった。マニフェストで無料化を約束したのに、実質値上げでは選挙民に説明がつかないという理由からだ。たしかにスジは通っている。近距離ドライバーやトラック業者などは、喜んでいるに違いない。だが道路関係者や鉄道、フェリーなどの業界には「だまされた」という感情が残ってしまった。
小沢幹事長は選挙にとっては、道路関係者などの気持ちより一般の有権者の反応が大事だと考えたにちがいない。参院選にすべてを賭けている幹事長の考え方としては、判らないこともない。だが本当に正しい分析だったのだろうか。というのも、値上げの撤回で喜ぶ人の多くは「当たり前」だと思うのではないか。民主党は“悪いこと”を持ち出しておいて、それを撤回しただけだ。とすれば、このグループの民主党支持票が大きく伸びるとは思えない。
反対に目の前に“ご馳走”を出されて撤回されたグループは、民主党批判に回る公算が大きいのではないか。この点は沖縄の基地問題に対する鳩山内閣の迷走ぶりと、かなり似ている。普天間問題が辺野古埋め立ての原案に戻ったとき、これを高く評価する有権者はいないだろう。特に「県外」のご馳走を見せられた住民は、民主党に対する不信を募らせるだけだ。ご馳走を出しては引っ込めるやり方が、民主党の票を減らしている。
≪24日の日経平均 = 下げ -26.14円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 拡散した財政不安 = 世界中で株価が急落している。先週はダウ平均が427ドル、日経平均も678円の大幅安となった。日経新聞の推計によると、この1か月間で世界の時価総額は7兆ドル(約630兆円)も減少した。将来に対する不安から、投資家がリスク資産を圧縮したためである。
もともとはギリシャの財政破綻にあった。それがスペインやポルトガルといった周辺国にも広がるのではないかという懸念を生み、さらにEU(ヨーロッパ連合)の問題にまで発展した。EUはIMF(国際通貨基金)と協力してギリシャに1100億ユーロ(約12兆5000億円)を融資。さらに不安が周辺国に及んだ場合に備えて、総額7500億ユーロ(約85兆円)にのぼる支援基金の創設を決めた。
これらの支援措置は、ドイツやフランスを中核とするユーロ圏の加盟国にとっては財政負担が増加することを意味する。このため、こんどはユーロ圏全体の財政にまで不安が広がってしまった。その結果は、当然ながら共通通貨であるユーロへの不安となって表われる。ユーロの対ドル相場は、1ユーロ=1.21ドルと4年ぶりの水準にまで値下がりした。
最初はギリシャの財政に対する不安。それがギリシャ国債を大量に保有するヨーロッパの銀行を意識した金融不安に。それがEU全体の財政不安。そしてユーロに対する通貨不安にまで拡散してしまった。さらに加えて財政不安が広がったことで、景気に対する不安も増している。財政面からの景気刺激策は打ち出せなくなったという観測が強まったためである。
(続きは明日)
≪25日の日経平均 = 下げ -298.51円≫
≪26日の日経平均は? 予想= 上げ≫
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もともとはギリシャの財政破綻にあった。それがスペインやポルトガルといった周辺国にも広がるのではないかという懸念を生み、さらにEU(ヨーロッパ連合)の問題にまで発展した。EUはIMF(国際通貨基金)と協力してギリシャに1100億ユーロ(約12兆5000億円)を融資。さらに不安が周辺国に及んだ場合に備えて、総額7500億ユーロ(約85兆円)にのぼる支援基金の創設を決めた。
これらの支援措置は、ドイツやフランスを中核とするユーロ圏の加盟国にとっては財政負担が増加することを意味する。このため、こんどはユーロ圏全体の財政にまで不安が広がってしまった。その結果は、当然ながら共通通貨であるユーロへの不安となって表われる。ユーロの対ドル相場は、1ユーロ=1.21ドルと4年ぶりの水準にまで値下がりした。
最初はギリシャの財政に対する不安。それがギリシャ国債を大量に保有するヨーロッパの銀行を意識した金融不安に。それがEU全体の財政不安。そしてユーロに対する通貨不安にまで拡散してしまった。さらに加えて財政不安が広がったことで、景気に対する不安も増している。財政面からの景気刺激策は打ち出せなくなったという観測が強まったためである。
(続きは明日)
≪25日の日経平均 = 下げ -298.51円≫
≪26日の日経平均は? 予想= 上げ≫
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◇ 財政出動は困難の見方 = ユーロ加盟国は財政の負担が増大したため、今後は財政面から景気浮揚策を講じることは難しくなったという見方が強まった。ここから、こんどはEUの景気に対する不安が高まっている。いま世界経済はリーマン・ショックから立ち直る道を歩んでいるが、EUの回復ぶりは明らかに遅れている。
たとえば1-3月期のGDP成長率を比較しても、アメリカは年率3.2%、日本は4.9%だった。これに対して、ユーロ圏16か国は0.8%の成長に止まった。ユーロ諸国としては、もう一段の財政支出を期待したいところだが、そうは行かなくなったわけである。
投資家も困難な局面に陥った。さらに財政が悪化すれば、国債は償還リスクが増大し、金融危機の危険度も増す。かといって各国が緊縮財政に傾けば、景気は悪化するだろう。だから債券も株式も国際商品も、敬遠せざるをえない。市場は財政を重視すれば景気が危うく、景気を重視すれば財政が危うくなるという、身動きのとれないワナにはまってしまったようだ。
なお悪いことに、景気の回復で先行した中国やブラジルなどの新興国は、経済の過熱を心配して引き締め政策に傾斜し始めた。さらにアメリカやユーロ圏諸国では、金融規制を強化する動きが出ており、その行き先も見定めねばならない。ドイツでは、国債の空売り禁止という荒療治まで飛び出している状況だ。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 上げ +62.77円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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たとえば1-3月期のGDP成長率を比較しても、アメリカは年率3.2%、日本は4.9%だった。これに対して、ユーロ圏16か国は0.8%の成長に止まった。ユーロ諸国としては、もう一段の財政支出を期待したいところだが、そうは行かなくなったわけである。
投資家も困難な局面に陥った。さらに財政が悪化すれば、国債は償還リスクが増大し、金融危機の危険度も増す。かといって各国が緊縮財政に傾けば、景気は悪化するだろう。だから債券も株式も国際商品も、敬遠せざるをえない。市場は財政を重視すれば景気が危うく、景気を重視すれば財政が危うくなるという、身動きのとれないワナにはまってしまったようだ。
なお悪いことに、景気の回復で先行した中国やブラジルなどの新興国は、経済の過熱を心配して引き締め政策に傾斜し始めた。さらにアメリカやユーロ圏諸国では、金融規制を強化する動きが出ており、その行き先も見定めねばならない。ドイツでは、国債の空売り禁止という荒療治まで飛び出している状況だ。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 上げ +62.77円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 投機マネーの反攻 = 市場は“財政と景気のワナ”から抜け出そうとする。特に1兆4000億ドルの資金量を有する投機マネーは、早々と反攻に転じようとするだろう。反攻の糸口は、あるいはスペインやポルトガル国債の格付け引き下げになるかもしれない。そのときは攻撃の対象がユーロに絞られ、EU対投機マネーの総力戦になる可能性さえありうるだろう。
仮にそうなれば、いわゆる“国家対市場”の対決に発展する。前例もある。1992年9月、投機筋がポンドを売り浴びせた。イングランド銀行は金利を10%から一気に15%に引き上げるなどして対抗したが、結果は1か月でポンド相場が15%も急落。投機筋の完勝に終った。今回はユーロ売りに、突破口を見出そうとするかもしれない。
ユーロ相場の下落がユーロ圏諸国の輸出競争力を押し上げ、景気の回復に貢献するかもしれない。そのときは自然な形でワナが解消し、一般投資家にも安心感が戻るだろう。このようにワナの解消は、何がきっかけで起るか予測できない。重要なことは、金融・財政・為替・景気に対する不安が高まるなかで、実際の景気回復基調が持ちこたえられるかどうかである。持ちこたえられないと、調整は長期化せざるをえない。
日本の場合も、世界経済の大きな流れと無縁というわけにはいかない。すでにユーロ相場の下落は輸出産業を中心に大きな影響を及ぼし始めている。また世界が財政規律に重点を置き始めているなかで、日本はもっと予算や国債の問題について慎重になる必要があるだろう。来年度の予算や国債の規模を今年度以下に、という程度の姿勢では危ないという気がする。
≪27日の日経平均 = 上げ +117.06円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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仮にそうなれば、いわゆる“国家対市場”の対決に発展する。前例もある。1992年9月、投機筋がポンドを売り浴びせた。イングランド銀行は金利を10%から一気に15%に引き上げるなどして対抗したが、結果は1か月でポンド相場が15%も急落。投機筋の完勝に終った。今回はユーロ売りに、突破口を見出そうとするかもしれない。
ユーロ相場の下落がユーロ圏諸国の輸出競争力を押し上げ、景気の回復に貢献するかもしれない。そのときは自然な形でワナが解消し、一般投資家にも安心感が戻るだろう。このようにワナの解消は、何がきっかけで起るか予測できない。重要なことは、金融・財政・為替・景気に対する不安が高まるなかで、実際の景気回復基調が持ちこたえられるかどうかである。持ちこたえられないと、調整は長期化せざるをえない。
日本の場合も、世界経済の大きな流れと無縁というわけにはいかない。すでにユーロ相場の下落は輸出産業を中心に大きな影響を及ぼし始めている。また世界が財政規律に重点を置き始めているなかで、日本はもっと予算や国債の問題について慎重になる必要があるだろう。来年度の予算や国債の規模を今年度以下に、という程度の姿勢では危ないという気がする。
≪27日の日経平均 = 上げ +117.06円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ “大きな政府”の見本 = ギリシャの財政赤字は、どうして積み上がったのだろう。一言でいえば、1980年からの歴代政府が有権者の評判を気にして、財政支出のバラマキを続けたからに他ならない。その結果、授業料は大学院まで無料、医療費は格安、年金は保険料が安いのに給付は高い水準となった。
要するに“大きな政府”である。北欧諸国のように福祉水準は高くなった。しかし税金は安い“高福祉・低負担”が定着してしまった。大きな政府だから、公務員の数も多い。働いている人の4人に1人は公務員だ。しかもスト権を持っており、今回のデモやストでも中核を担う存在となっている。空軍までがストに入ったというから、びっくりだ。
援助を受けたギリシャが緊縮政策を余儀なくされることは、やむをえない。だが緊急融資を実施した側のユーロ諸国までが、財政を引き締めなければならなくなった。不況対策として財政支出を増大してきたところへ、こんどはギリシャに対する支援や緊急基金の創設で支出を追加することになったからである。
その結果、ユーロ諸国はもう景気対策を継続できないのではないか。すると景気の回復傾向は続かないのではないか。こうした不安が急に頭をもたげ、ユーロ相場が急落した。ヨーロッパの景気不安、ユーロの下落は、アメリカや日本、中国などの輸出に悪い影響を与える。このため株式相場も急落した。ギリシャ悲劇の第3幕は、このように世界的な広がりを持って進行している。
(続きは来週サタデー)
≪28日の日経平均 = 上げ +123.26円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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要するに“大きな政府”である。北欧諸国のように福祉水準は高くなった。しかし税金は安い“高福祉・低負担”が定着してしまった。大きな政府だから、公務員の数も多い。働いている人の4人に1人は公務員だ。しかもスト権を持っており、今回のデモやストでも中核を担う存在となっている。空軍までがストに入ったというから、びっくりだ。
援助を受けたギリシャが緊縮政策を余儀なくされることは、やむをえない。だが緊急融資を実施した側のユーロ諸国までが、財政を引き締めなければならなくなった。不況対策として財政支出を増大してきたところへ、こんどはギリシャに対する支援や緊急基金の創設で支出を追加することになったからである。
その結果、ユーロ諸国はもう景気対策を継続できないのではないか。すると景気の回復傾向は続かないのではないか。こうした不安が急に頭をもたげ、ユーロ相場が急落した。ヨーロッパの景気不安、ユーロの下落は、アメリカや日本、中国などの輸出に悪い影響を与える。このため株式相場も急落した。ギリシャ悲劇の第3幕は、このように世界的な広がりを持って進行している。
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【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第18章 消費税って、なんだろう? ⑨
いま消費税の税率は5%ですから、100円のノートを買えば5円の消費税が付くということになりますね。もし税率が10%になると、税金は10円になります。まあ5円ぐらい税金が増えてもいいやと思うかもしれませんが、200万円の自動車を買う場合には、税金は10万円も上がってしまいます。だれでも税金は安い方がいいと思うでしょう。
消費税の引き上げに反対する人たちは、まず国民の負担が増加して生活が苦しくなる点を重視します。また金持ちと貧乏人が同じ負担なのは、不公平だとも言っています。たとえばスーパーで食料品を5000円ぶん買うと、消費税250円も払わなければなりません。お金持ちならば大したことはないけれども、貧乏人には大きな負担になるというわけです。
ヨーロッパ諸国では一般に消費税の税率が高いことは、すでに勉強しました。税率が高くなると、この不公平の問題はいっそう大きくなりますね。そこで、これらの国々では、生活に必要な食料品などは税率を低くするとか、消費税を全くかけないといった工夫をしています。日本も消費税を引き上げるときには、このような例外品目を定める必要があるでしょう。
景気に対する悪影響を心配して、消費税の引き上げに反対する人もいます。仮に消費税を5%引き上げると、物価はその途端に5%上がってしまいます。物価が上昇すると、人びとはサイフのひもを締めるでしょう。それだけモノの売れ行きが落ち、景気が悪くなると考えられるのです。
(続きは来週日曜日)
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いま消費税の税率は5%ですから、100円のノートを買えば5円の消費税が付くということになりますね。もし税率が10%になると、税金は10円になります。まあ5円ぐらい税金が増えてもいいやと思うかもしれませんが、200万円の自動車を買う場合には、税金は10万円も上がってしまいます。だれでも税金は安い方がいいと思うでしょう。
消費税の引き上げに反対する人たちは、まず国民の負担が増加して生活が苦しくなる点を重視します。また金持ちと貧乏人が同じ負担なのは、不公平だとも言っています。たとえばスーパーで食料品を5000円ぶん買うと、消費税250円も払わなければなりません。お金持ちならば大したことはないけれども、貧乏人には大きな負担になるというわけです。
ヨーロッパ諸国では一般に消費税の税率が高いことは、すでに勉強しました。税率が高くなると、この不公平の問題はいっそう大きくなりますね。そこで、これらの国々では、生活に必要な食料品などは税率を低くするとか、消費税を全くかけないといった工夫をしています。日本も消費税を引き上げるときには、このような例外品目を定める必要があるでしょう。
景気に対する悪影響を心配して、消費税の引き上げに反対する人もいます。仮に消費税を5%引き上げると、物価はその途端に5%上がってしまいます。物価が上昇すると、人びとはサイフのひもを締めるでしょう。それだけモノの売れ行きが落ち、景気が悪くなると考えられるのです。
(続きは来週日曜日)
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ユーロ不安と景気回復の綱引き。株式市場では先週も、この図式が継続した。ダウ平均は週間57ドルの下げ。一時は1万ドルの大台を割り込んだが、すぐに戻している。日経平均は22円の値下がり。まだユーロ不安の方がやや優勢だが、先々週に比べれば日米ともに下げ幅はぐっと縮小した。
ダウ平均が1万ドルを割ったのは、中国がユーロ債券の保有政策を見直すと報道されたため。中国政府がすぐに否定したので、株価は急反発した。また週末の下げは、調査会社フィッチがスペイン国債の格付けを引き下げたためである。そのたびにユーロ相場が上下し、日経平均も揺さぶられた。結局、ユーロの対円相場は5月中に10%以上も下落。これが東京市場では値下がりの主因となった。
今週は31日に、4月の鉱工業生産と住宅着工。1日には、5月の新車販売。3日には、5月の法人企業統計が発表になる。いずれも景気回復の進行を裏付ける結果になると予想され、ユーロ関係で悪いニュースが飛び込んでこなければ、株価にとっては支援材料になるはずだ。アメリカでは2日に、5月の新車販売。4日には5月の雇用統計が発表される。
このほか31日には、ギリシャが国債4億ユーロを償還する。すでに協調融資を受け取っているから、問題はないだろう。また1日には、オーストラリアの金融政策委員会が開かれる。3か月連続で金利を引き上げたので注目されるが、今回はパスしそうだ。4日には韓国のプサンで、G20の財務相・中央銀行会議が開かれる。何か新しい金融規制措置が表面化するかもしれない。
≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ダウ平均が1万ドルを割ったのは、中国がユーロ債券の保有政策を見直すと報道されたため。中国政府がすぐに否定したので、株価は急反発した。また週末の下げは、調査会社フィッチがスペイン国債の格付けを引き下げたためである。そのたびにユーロ相場が上下し、日経平均も揺さぶられた。結局、ユーロの対円相場は5月中に10%以上も下落。これが東京市場では値下がりの主因となった。
今週は31日に、4月の鉱工業生産と住宅着工。1日には、5月の新車販売。3日には、5月の法人企業統計が発表になる。いずれも景気回復の進行を裏付ける結果になると予想され、ユーロ関係で悪いニュースが飛び込んでこなければ、株価にとっては支援材料になるはずだ。アメリカでは2日に、5月の新車販売。4日には5月の雇用統計が発表される。
このほか31日には、ギリシャが国債4億ユーロを償還する。すでに協調融資を受け取っているから、問題はないだろう。また1日には、オーストラリアの金融政策委員会が開かれる。3か月連続で金利を引き上げたので注目されるが、今回はパスしそうだ。4日には韓国のプサンで、G20の財務相・中央銀行会議が開かれる。何か新しい金融規制措置が表面化するかもしれない。
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