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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
大きかった 駆け込み需要
2019-11-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 心配な10月以降の反動減 = 消費増税前の駆け込み需要は、事前の予想を上回る大きさだった。経済産業省が30日発表した9月の商業動態統計によると、小売業の販売高は12兆5890億円。前年比で9.1%の増加だった。前回14年4月の引き上げ時には直前3月の増加率は11.0%だったから、それに近い駆け込み需要があったことになる。今回は軽減税率の導入などにより抑えられるとみられていたが、実際の伸び率は意外に高くなっていた。

業種別にみると、機械器具小売業が37.9%の増加と高い伸び。冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビ・パソコンなどが、大きく売り上げを伸ばしている。自動車小売業は16.9%の増加。医薬品・化粧品小売業も16.4%の販売増加だった。また業態別では、デパートが22.1%の増加。家電量販店は52.4%と大きく伸びた半面、駆け込むような商品が少ないコンビニは0.2%の減少となっている。

消費税率が5%から8%に引き上げられた前回14年には、駆け込み需要の反動減が長く続き、経済の低迷を長引かせた。政府はこれに懲りて、今回は消費の平準化を図る方策をいろいろと導入。このため今回は駆け込み需要も3-5%の増加にとどまるという見方が大勢を占めていた。にもかかわらず、こういう結果が出たことは驚きをもって迎えられている。

問題は10月以降の反動減だ。米中経済戦争の影響で、いま日本の輸出は大きく落ち込んでいる。そこへ消費の減退が加われば、景気は急激に下降しかねない。政府は台風・大雨の被害対策として2-3兆円の補正予算を組もうと考えているが、もっと本格的な景気対策が必要になるかもしれない。

       ≪31日の日経平均 = 上げ +83.92円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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予測不能! イギリスの行き着く先
2019-11-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 12月12日の総選挙は決まったが = イギリス下院は29日、総選挙を12月12日に実施する特別法案を賛成多数で可決した。ジョンソン首相が提出したこの法案に、最大野党の労働党が一転して賛成したためである。EU離脱の可否を巡る判断を再び国民に問う形となったが、最終的にどんな結果に落ち着くかは全く予測不能。いぜんとしてロンドンは、深い霧に包まれている。

これまで解散・総選挙に反対してきた労働党が、急に賛成に回った。これについて、労働党のコービン党首は「EUが離脱期限を1月31日まで延長したことによって、“合意なき離脱”が避けられる見通しになったため」と説明している。この言い方から判断すると、労働党は“合意ある離脱”なら賛成するようにも思われる。もしそうなら、総選挙での争点は離脱に対する可否ではなくなってしまうだろう。

その一方で労働党は「総選挙で勝ったら、再び国民投票で離脱の可否を問う」とも言っている。つまり総選挙の結果では「離脱か残留か」は決まらないことになる。片やジョンソン首相が率いる保守党の方は、総選挙で勝てば1月末までに断固として離脱する姿勢だ。ここでは「国民投票の結果を総選挙で再確認できるのか」が問題になりかねない。

いま保守党の議席は298で、過半数の325議席には達していない。選挙の結果でも過半数に届かなければ、他の党と連立を組まなければならないことになる。しかし「離脱賛成」を掲げる政党は、ほとんどない。さらに保守党のなかには“残留派”もいる半面、労働党のなかには“離脱派”もいる。選挙の結果どうなるかは、全く見通せない。

       ≪1日の日経平均 = 下げ -76.27円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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今週のポイント
2019-11-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 史上最高値の更新ねらうダウ = ダウ平均は先週389ドルの値上がり。週末の株価は、7月に付けた史上最高値まで12ドルの水準に接近した。SP500は新高値を更新している。FRBによる3度目の利下げと、米中首脳会談で部分合意が文書化されるという期待が株価を押し上げた。企業の業績が予想ほど悪くならないという見通しも、安心材料になっている。

日経平均は先週51円の値上がり。ニューヨーク市場の活況に引きずられて年初来高値を更新したが、利益確定売りも現われて押し戻された。アメリカの金利低下で為替がやや円高に振れ始めたことも、警戒要因となっている。10月は5.4%の上昇だったが、11月もこの調子が続くかどうか。

ダウ平均は今週、おそらく新高値を更新するだろう。だがFRBのパウエル議長は、予防的利下げの一旦停止を示唆したから、当面は金融緩和を買い材料にはできなくなる。よくみると、マクロ経済にもミクロ経済にも好材料は見当たらなくなっている。残るは米中経済戦争の鎮静のみ。すると市場の視点は、来月スペインで実現しそうなトランプ・習会談に集中することになるだろう。

今週は8日に、9月の毎月勤労統計、家計調査、景気動向指数。アメリカでは5日に、9月の貿易統計と10月のISM非製造業景況指数。8日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、10月の貿易統計。9日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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雇用情勢に 一条の影
2019-11-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 一時的な陰りなのか? = 総務省が1日発表した9月の労働力調査によると、完全失業率は2.4%で前月より0.2ポイント悪化した。正規に雇用された職員・従業員数は3481万人だったが、前年より9万人減少している。また厚生労働省が同じ日に発表した有効求人倍率は1.57倍で、相変わらず水準は高いが前月より0.02ポイント低下した。新規の求人数は前年比1.5%の減少、特に製造業の11%減が目立っている。

アメリカ労働省が発表した10月の雇用統計によると、最も注目される非農業雇用者の増加数は12万8000人だった。製造業の雇用者は3万6000人減っている。GMの長期ストによる影響が大きい。一方、保険・介護部門の雇用者は3万4200人増加している。これで雇用者の増加数は、1-10月間の平均で16万7000人となった。昨年の月間平均22万3000人に比べると、かなりペースは落ちてきている。

今回の景気上昇期にあっては、日米ともに雇用の堅調ぶりが大きな特徴となっている。その理由は①若者が力仕事を敬遠しがち②高齢化で医療・介護の仕事が急増③生産年齢人口の伸び悩みーーなど。このうち生産年齢人口の伸び悩みは、日本では少子化ガ原因。アメリカではベビーブーム時代に生まれた4200万人が、今後10年間に退職することが原因だ。

日米ともに、雇用の状態はまだまだ堅調。したがって、心配をするのは時期尚早だろう。だが雇用を堅調にしている3つの原因は、少しも変わっていない。それなのに雇用者数や求人倍率がやや緩んだのは、やはり景気が悪くなってきた兆しなのかもしれない。その意味では、今後の雇用動向には注意が必要だ。

       ≪5日の日経平均 = 上げ +401.22円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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カネ余り相場の 実態 (上)
2019-11-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株式・債券・原油・金がそろって値上がり = ニューヨーク市場では、いま歴史的にみても珍しい現象が起きている。株式と債券、それに原油と金の価格がそろって上昇。いずれも年初来2ケタの値上がりだ。こんなことは、かつてなかった。世の中にあり余ったおカネが、行き先を求めて4つの市場に流れ込んだ結果である。こうした異常な現象は、いつまで続くのだろうか。

株式市場をみると、ダウ平均はほぼ史上最高値の水準で推移している。年初からの上げ幅は4000ドル、率にして17%だ。SP500も新高値を更新した。債券や原油、金も大きく値上がりしている。過去の経験からすると、投機資金はこれらの市場を循環することが多い。たとえば株が下がると資金は株式市場から金市場に移り、金の価格が上昇した。ところが今回は、すべての市場にカネがとどまっている。だから、どこも下がらない。それだけ資金量が豊富な証拠だろう。

資金の最大の供給源は、各国中央銀行による金融の大幅な緩和である。BIS(国際決済銀行)の調べによると、アメリカ・ヨーロッパ・日本の国債発行残高は約37兆ドル。その多くを中央銀行が買い入れている。その結果、日米欧の中央銀行による資金供給量は、ことし7月末で11兆6000億ドル(約1300兆円)にのぼった。これらの資金の一部は金融機関に滞留、信用創造を通じて肥大している。

QUICKファクトセット社の推計によると、日米欧に中国を加えた主要企業が保有する手元資金は12兆ドル。これらの資金がすべて市場に出てくるわけではないが、一部は投機にも使われている。また企業の自社株買いが盛んだが、これも資金の大きな供給源になっている。ほかにも各国の年金ファンドや一般から資金を集めるヘッジファンドなど、資金の供給源は数え切れない。

                                  (続きは明日)

       ≪6日の日経平均 = 上げ +51.83円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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カネ余り相場の 実態 (下)
2019-11-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 怖ろしいのはバブル崩壊 = 「10月の雇用者増加数が12万人台にまで縮小」「7-9月期の企業業績は減益」「米中経済摩擦は長期化」ー-常識的には、いずれも株価の引き下げ要因だ。ところが株価は下がらない。市場は「雇用者増加数は予測より大きかった」「企業業績はすぐ回復する」「米中関係はこれ以上悪くならない」という理屈をつけて、買い材料に変えてしまう。売っても資金を回す先がないからだ。

アメリカと中国に加えて、EUまでが関税引き上げ競争に参入。世界の貿易量は縮小し、製造業が苦境に立たされている。そこで市場は貿易関連で悪いニュースが伝わると外需株を売り、内需株に乗り換える。貿易関連の状況が小康状態になると、また外需株を買い戻す。そうして株価は上昇するが、しだいに実体経済との乖離は広がらざるをえない。

世界各国の経済に、下向きの圧力が加わっていることは確かである。各国の経済指標をみても、暗い数値が増えてきた。IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)などの国際機関も、経済予測を次々と下方修正している。景気が悪くなると、金融機関は安全度の低い企業への貸し出しを増やしやすい。安全度の低い企業は、比較的高い金利の社債を出して資金を確保しようとする。

こうして金融バブルが進行する。だが景気の悪化に耐えられず安全度の低い企業が行き詰まると、バブルは崩壊する。金融機関が不良債権を処理し切れなくなると、金融不安が発生する。リーマン・ショックの再来だ。そのショックがいつ来るかは不明だし、必ず来るとも断定はできない。しかし最近の株価をみていると、バブルは不気味に成長していると思われる。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +26.50円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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女性の地位が低すぎる 日本
2019-11-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ アジアのなかでも最低ランク = 「日本は先進国のなかで最低」ー-昨年末、WEF(世界経済フォーラム)がこんな報告書を発表して話題になった。ジェンダー・ギャップ、つまり男女格差が最も著しいという指摘である。ところがマスターカード社が最近発表した同様の調査をみると、日本はアジア・太平洋地域14か国のうち12番目という結果だった。先進国どころか、新興国に比べても成績不良ということになる。

この調査は①事業を経営しているか②管理職の割合③労働力参加率④高等教育への入学率⑤正規社員率ーーの5項目について、男性を100とした女性の数値を算出している。対象となった国・地域は、オーストラリア・中国・香港・インド・インドネシア・日本・マレーシア・ニュージーランド・フィリピン・韓国・インド・台湾・タイ・ベトナム。

この5項目中、日本は②管理職では15.0で最低。③労働力参加率と⑤正規社員率では7番目。④高等教育への入学率と①事業経営は12番目という結果だった。このため総合点では64.8という成績で、14か国中12番目。第1位はオーストラリアで83.3。タイやフィリピンも日本より上で、日本より悪かったのは韓国とインドだけだった。

政府は85年に男女機会均等法を成立させ、その後も数多くの対策を講じてきた。しかし結果が付いてこないのは、なぜだろう。産休や育休、保育所の問題など、いろいろ議論されているが、どうも政策目標が目先の人手不足解消に向き過ぎているように思われる。もっと女性自身が「男性に伍して働きたい」と思うようになる政策が、求められるのではないか。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +61.55円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】  


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今週のポイント
2019-11-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ トランプ頼りの株価上昇 = ダウ平均は先週334ドルの値上がり。3週間の連騰で、史上最高値を更新した。7-9月期の企業業績は、わずかながら減益に。それでも株価は続伸した。このため市場内では「バブルの様相が強まった」という声も出始めたが、それでも「年内は上がる」とみる投資家は少なくない。その根拠は、米中交渉の進展と財政面からの景気対策への期待。要するにトランプ頼りというわけだ。

1株利益が大幅に減り、今後の見通しも引き下げたキャタピラー社。その株価が大幅に上がって、市場関係者を驚かした。米中交渉の進展に賭けた結果だろう。だがトランプ大統領や政府高官から出てくる情報は、楽観と悲観の繰り返し。実際に進展するかどうかは、まだ確認できない。そこで市場は、大統領選挙前の景気対策にも期待するようになった。

日経平均は先週541円の値上がり。こちらは5週間の連騰で、年初来高値を切り上げている。企業業績は2期連続の減益となるが、お構いなし。ニューヨークの活況に追随している。アメリカの短期金利が上昇して、円相場が下落したことも買い材料となった。今週も上昇するかどうかは、ニューヨーク次第。そのニューヨークは、米中交渉次第という構図だろう。

今週は11日に、9月の国際収支と機械受注、10月の景気ウオッチャー調査。13日に、10月の企業物価。14日に、7-9月期のGDP速報。アメリカでは13日に、10月の消費者物価。14日に、10月の生産者物価。15日に、10月の小売り売上高と工業生産。またイギリスが11日に、7-9月期のGDP速報。ドイツが14日に、7-9月期のGDP速報。中国が14日に、10月の工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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権謀術数の渦 : 米中経済交渉 (上)
2019-11-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府部内から異なる発言が続出 = 「交渉は順調に進んでいる」と言うそばから「合意などしていない」という発言。それも新聞やネットの憶測ではなく、米中両国の当事者から出てくるのだから驚いてしまう。内部の意見が割れているのだろうか。いや、両国が相手の出方を窺うために、いろいろ秘術を尽くしている感じも濃厚だ。そして決着はどうなるのだろうか。真相はまだ藪のなかである。

11月1日時点では、明るさが広がっていた。アメリカのクドローNEC(国家経済会議)委員長が「農業・金融。為替の分野で、協議はほぼ完了した」と発言。中国商務省も「中核的な関心事で共通認識に達した」と応じている。トランプ大統領も記者会見で「協議は順調に進んでいる」と説明した。

ところが7日になると、情勢は一変する。中国商務省が「追加関税の段階的な撤廃で一致した」と発表すると、ホワイトハウス報道官はこれを容認するコメント。しかしナバロ大統領補佐官は、その直後に「関税を一部でも撤廃する合意はない」と強く否定した。トランプ大統領も「撤廃には同意していない」と反論している。

これまでの交渉で、農業・金融・為替の問題と知財・技術移転・補助金の問題を切り離す。まず第1段階は、農業などだけで部分合意する。ここまでは煮詰まったように見受けられる。ただ中国側が関税の段階的な撤廃を条件としているのに対し、アメリカ側は難色を示しているようだ。しかしアメリカも中国も、実はもっと深い意図をもって駆け引きに明け暮れているように思われる。

                               (続きは明日)

       ≪11日の日経平均 = 下げ -60.03円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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権謀術数の渦 : 米中経済交渉 (下)
2019-11-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ カギは1年後の大統領選挙 = 農業・金融・為替の分野に限った第1段階の部分合意は、もともと今月16-17日にチリで予定されたAPECの会場で、トランプ・習の両首脳が文書に署名するはずだった。ところが治安上の理由でAPEC会議が流れたため、両首脳はどこかに会談の場所を設定しなければならない。トランプ大統領は習主席をアイオワ州に招き、農民層の票固めに利用したかった。中国側は利用されることを嫌って、この提案を拒否。まだ会場選びは終わっていない。

株式市場がバブル色を強めたため、米中交渉について「進展」のニュースを流せば株価は上がる。「不調」のニュースを出しても、株価が大きく下がることはない。1年後の大統領選挙を考えると、こういう状況で「第1段階で合意」するのがいいか、それとも来年に持ち越した方が得策か。トランプ氏としては、考えどころだろう。一方、中国側も「大統領選挙が近づくほどトランプ氏が焦り出すこと」は承知の上だ。

大きな問題は、トランプ大統領が12月15日にスマホなど1600億ドルの中国製品に15%の追加関税をかけると宣言していること。中国側は部分合意の条件にその撤廃ないし延期を要求しているが、アメリカ側はまだ応じていない。このため話がこじれてきたようだが、アメリカも中国も合意を急いでいるようには思われない。むしろ相手側が疲れるのを、待っているようにさえ感じられる。

トランプ大統領は「不調」と言っておいて周囲を心配させ、突然「成功」と発言して株価を急騰させた。また反対に「合意」を急にひっくり返すこともある。その場合、頭にあるのは常に大統領選挙だ。どちらが選挙にとって有利なのかで決めている。中国側もそれを十分に心得ていて、口には出さないが「宿敵トランプ氏の落選」を念じて行動しているように思われる。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +188.17円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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見当つかない 増税後の反動減
2019-11-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 高額の家電と化粧品は急減か = 消費増税前の駆け込み需要が大きければ、それだけ増税後の消費は減退する。その程度が大きければ大きいほど、景気は強く足を引っ張られる。このため政府も企業経営者もその程度を知りたいと計測しているが、どうも答えがはっきり出てこない。というのも分野によって動きが異なり、楽観的な見方と悲観的な見方が交錯しているからだ。また増税の前後に襲来した台風の影響も、計測を狂わす要因になっている。

内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査によると、景気の現状判断指数は前月より10ポイントも急降下して36.7となった。前回の消費増税があった14年4月の38.4を下回っている。特に家計関連の判断指数は、前月より12.7ポイントも下がっている。この結果からみる限り、10月の反動減は決して小さくはない。しかし台風の影響を除外すると、どうなるかは不明だという。

それより少し前に総務省が発表した9月の家計調査によると、世帯平均の消費支出は30万0609円。前年を9.5%上回った。前回の増税時14年3月の7.2%よりも大きい伸び率である。ただ駆け込みによる消費支出増は、日用品などでは前回より少なく、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品、あるいは高額の化粧品などに偏っていた。

こうした動向を受けて、日用品・雑貨業界では「影響は前回より小さい」とみる関係者が多い。これに対して家電や化粧品業界では「むしろ前回より大きいのでは」と判断している。結局、全体としてみると「前回より影響は小さい。しかし事前に予想されたよりは大きい」ということになりそうだ。政府による早めの景気対策が望まれる。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -200.14円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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補正予算は 防災に限るべし
2019-11-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 本予算との区別を明確に = 安倍首相は先週8日の閣議で「新しい経済対策の策定と19年度補正予算の作成」を指示した。経済対策は世界経済が下降局面に入ったことを踏まえて、オリンピック後の景気下支えまでを念頭に置いた政策。また補正予算は、台風などの災害復旧とインフラの強化に使われる。関係省庁が12月上旬までに、内容を詰めることになっている。

世界経済には、冷たい風が吹き始めた。元凶となっている米中経済戦争が終息するまでには、相当な時間がかかりそうだ。中国やヨーロッパの景気も下向いている。そんな環境のなかで、日本も消費増税の影響、オリンピック需要の反動を乗り切らなければならない。そこで新しい経済対策を策定することは、必要不可欠だ。

台風など自然災害の被害も大きかった。その復興補助としては、すでに19年度予算の予備費から1300億円を捻出した。しかしダムや堤防など、インフラの補強も緊急の課題となっている。そのために補正予算を組むことも、やむを得ない。ただ補正予算の組み方には問題がある。本来ならば本予算に計上すべき支出を、補正予算に紛れ込ませる傾向が強まっているからだ。

たとえば18年度の第2次補正予算は、総額2兆7000億円。このうち3000億円は農業補助、2000億円は中小企業支援、その他にも4600億円が使われている。防災には1兆円しか充てられていない。これは政府が、本予算の規模をできるだけ増やさないための方策だと考えられる。しかし、そんな姑息な手段を続けていると、補正予算に対する世間の風当たりも強まるだろう。補正は防災関係に限ってもらいたい。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -178.32円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ


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増税のおかげで プラス成長
2019-11-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 10-12月期はマイナス成長に = 内閣府は14日、7-9月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率でプラス0.2%。4-6月期の1.3%から大きく減退した。数字の上では4四半期連続のプラス成長となったが、この間の成長率はわずか0.35%に過ぎない。ほとんどゼロ成長だったと言っていい。しかも成長率がプラスになったのは、消費増税前の駆け込み需要があったおかげだ。

需要項目別にみると、GDPの6割を占める個人消費は年率でプラス1.4%。前期のプラス2.3%から大きく後退した。駆け込み需要があった割には、伸び率が小さくなっている。企業の設備投資は、前期のプラス2.8%からプラス3.5%に増加した。しかし輸出が前期のプラス2.0%からマイナス2.6%へと大幅に減少、全体の足を引っ張った。

米中経済戦争の影響などで、世界経済が変調している。このため輸出が大幅に減少、GDPのマイナス要因となった。これを内需が埋め合わせる形となったが、個人消費が伸び悩んでしまった。もし増税前の駆け込み需要がなかったら、7-9月期の成長率はマイナスになっていた可能性が大きい。

問題は10-12月期が、どうなるかだ。米中間の対立が完全に解消する見込みはまずないから、輸出の低迷はまだ続くだろう。その一方で個人消費は、駆け込み需要の反動で減退する可能性が強い。したがって、マイナス成長に落ち込むことは避けられそうにない。その落ち込みの程度が、どのくらいになるのか。まだ測定は困難である。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +161.77円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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今週のポイント
2019-11-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2万8000ドルを達成したダウ平均 = 環境の悪さにもめげず、株価は上昇した。ダウ平均は先週324ドルの値上がり。4週間の連騰で、終り値はとうとう2万8000ドルに乗せた。米中交渉は進展せず、主要企業の業績も下向き始めた。FRBは利上げも利下げもしない姿勢。好材料には乏しいが、カネ余りのせいで登りつめてきたと言えるだろう。ただ、ここまでくると警戒感も強まってくる。

ニューヨーク市場では先週、珍しい現象が起きた。ダウ平均の12日の終り値が、前日の終り値と1セントも変わらなかったのである。だが印象的だったのは、その日にトランプ大統領が「米中交渉の合意は近い」と講演したこと。にもかかわらず、株価は全く動かなかった。株価を上げようとするトランプ・マジックも、神通力を失ってきた感じがする。

日経平均は先週89円の値下がり。先々週まで5週間の連騰だっただけに、さすがに一服した。9月期の決算発表も終わりに近づき、業績の下方修正が目立っている。ここまでは外国人投資家が日本株の割安感に惹かれて買ってきたが、東証1部のPER(株価収益率)も15倍を超えてきた。上げ基調を維持するためには、何か新しい材料が必要だろう。

今週は20日に、10月の貿易統計と訪日外国人客数。21日に、9月の全産業活動指数。22日に、10月の消費者物価。アメリカでは18日に、11月のNAHB住宅市場指数。19日に、10月の住宅着工戸数。21日に、10月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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鉄鋼・電機・非鉄が 大幅減益
2019-11-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 製造業の純利益は31%減少 = 上場企業の4-9月期決算発表がほぼ終了した。日経新聞が1712社の決算を集計したところ、純利益の合計は16兆6940億円で前年比14%の減少だった。売上高は1%増加したが、人件費の高騰などで利益率が低下したと考えられる。内訳をみると、製造業は31%の減益。非製造業は5.5%の増益だった。

製造業のなかでも減益幅が大きかったのは、鉄鋼の66%、電機の54%、非鉄の32%など。自動車・同部品は16%の減益となっている。減益の主たる理由は、中国経済が不調に陥ったこと。輸出も現地生産も伸び悩んだ。その一方で、非製造業のうち小売業は17%の増益を確保した。だが、ここには消費増税前の駆け込み需要が含まれている。建設業は12%、サービス業は8%の増益だった。

重要なのは10-3月期の動向。20年3月期の通期予想をみると、全産業では7%の減益に。製造業は19%の減益、非製造業は0.2%の増益となっている。しかし米中経済戦争の完全な決着には長い時間がかかりそうだし、世界経済の見通しも暗さを増している。この程度の利益縮小で済むかどうかは、きわめて疑わしい。

特に製造業の不振は設備投資の縮小につながりやすく、下請け企業の経営にも圧力がかかる。非製造業も駆け込み需要の反動に見舞われるだろう。企業の業績悪化は予想以上に厳しく、長引くかもしれない。政府はいま景気対策の作成にとりかかっているが、この辺の実情をまず的確に把握してもらいたいものだ。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +113.44円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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景気低迷で 税収も不足
2019-11-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 赤字国債の増発は必至 = 財務省の集計によると、4-9月期の国税収入は16兆7000億円だった。この金額は、前年の実績を4.6%下回っている。内訳をみると、所得税が6.3%、法人税が9.1%、消費税が3.8%の減少。いずれも景気の低迷を反映したもので、特に法人税収が1割近くも減少したのは企業業績が悪化した結果である。貿易の縮小で、関税収入も8.1%減った。

ふつう上半期の税収は、年度全体の約3割に過ぎない。したがって勝負はこれからということになるが、下半期に景気が急上昇する見込みは全くない。消費税の引き上げは寄与するが、軽減税率を実施したこともあって10-3月期の増加分は1兆3000億円にとどまるものと試算されている。法人税や所得税は、さらに減少幅が大きくなる可能性が強い。

19年度の当初予算では、一般会計の税収を62兆5000億円と見積もっている。しかし、この調子では2兆円に近い税収不足が発生しそうだ。場合によっては、18年度の実績60兆4000億円を割り込む事態になるかもしれない。その一方で、政府はいま台風などによる災害復旧と将来の防災に向けたインフラ強化の予算を組もうとしている。その規模は、おそらく10兆円前後に達するだろう。

すると必然的に財源が足りなくなる。このところ発行額を減らし続けてきた赤字国債だが、来年度は増発が避けられそうにない。その赤字国債の一部を19年度の補正予算に組み込んでしまおうという構想もあるようだが、これは全く蛇道と言うべきだろう。堂々と20年度の本予算に計上してもらいたい。また、その前に政府はいぜんとして固執している「景気は緩やかに回復中」という公式見解を引っ込めるべきだろう。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -124.11円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

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秘かに 量的金融緩和を終了 : 日銀 (上)
2019-11-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国債とETFの買い入れを激減 = 日銀の発表によると、11月10日時点での国債保有額は486兆2000億円、ETF(上場投資信託)の保有額は27兆9200億円だった。これを10月10日時点の保有額と比べてみると、なんと国債は3兆9000億円、ETFは4300億円しか増えていない。要するにこの1か月間、日銀は市場からの国債とETFの買取りを大幅に減らしていた。量的金融緩和政策を秘かに終了していたことになる。

量的金融緩和というのは、中央銀行が市場から国債や株式などを買い入れる政策。買い入れ代金がそっくり市場に放出され、それだけ金融が緩和される。以前から存在した政策だが、13年4月に黒田総裁が買い入れ量を劇的に増やし“異次元緩和”と称された。現在は国債については年80兆円、ETFについては年6兆円を買い入れ目標としている。

昨年末時点で、日本の国債発行残高は1111兆円にのぼった。この時点での日銀の保有額は、この発行残高の43%に達している。このため市場で流通する国債が品薄となり、価格も高値に張り付いたまま。金利はゼロかマイナスとなって、金融機関は国債の売買では利ザヤが稼げない。政府の財政規律も緩みっぱなしだ。

一方、国内ETFの純資産総額は9月末で約40兆円。日銀はその約7割を保有している。東証1部上場企業の時価総額は約600兆円だから、日銀はETFという形でその約5%を保有していることになる。しかも売ることがない大株主だから、市場の自由な価格形成に大きな障害となっていることは明らかだ。日銀自身も将来の値下がりに備えて、準備金を積み立てなければならなくなっている。

                             (続きは明日)

       ≪20日の日経平均 = 下げ -144.08円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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秘かに 量的金融緩和を終了 : 日銀 (下)
2019-11-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ すべてはアベノミックスのために? = 日銀が市場から買い入れる国債の量を縮小すると、金利は上がりやすくなる。すると為替市場では、円が買われる。日銀としてはそれが怖いから、大きな声で国債買い入れの減額を吹聴はできない。幸いなことに、最近は外国人投資家が日本国債の購入を増やしている。それを頼みに、日銀はこっそりと買い入れ額を減らしているのが現状だ。

ETF(上場投資信託)についてみると、日銀は11月19日まで27日間にわたって完全に購入を停止した。株価が上昇基調にあるので、購入を止めたのかもしれない。しかし午前中に株価が大きく下げても買い出動しなかったのは、やや奇異にみえる。ETF全体の7割を保有し、株式市場への副作用が目立ち始めたから止めたのかもしれない。

日銀の意図するところは、別にあるような気もする。世界経済は、いま明らかに下り坂。日本経済も消費増税の影響で、10-12月期はマイナス成長を避けられそうにない。オリンピック需要の欠落もあるので、安倍首相は新たな景気対策の作成を、関係各省庁に指示したところだ。災害復旧の補正予算を含めると、財政支出の拡大規模は10兆円を下らないだろう。

そこに金融緩和が加われば、第2次アベノミックスの形が構築できる。日銀はこれに備えて、国債やETFの買い入れを減額しているのではないか。たとえば80兆円を予定していた国債の購入を40兆円に減らしておけば、その分を来年に持ち越すことができる。ETFも4兆円に縮小しておけば、2兆円を繰り越すことが出来るわけだ。そうして第2次アベノミックスで再び景気の浮揚を図るのはいいが、柳の下に2匹目のどじょうがいるかどうか。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -109.99円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 =下げ


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異常な 輸出の八方塞がり : 10月
2019-11-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 製造業の傷は予想以上に深い = 財務省が20日発表した10月の貿易統計によると、輸出は6兆5800億円で前年比9.2%の減少。輸入は6兆5600億円で14.3%の減少だった。この結果、貿易収支は173億円の黒字となっている。輸出額は11か月連続の減少で、減少率は3年ぶりの大きさだった。新聞各紙は「4か月ぶりに黒字転換」などと報じているが、内容を精査すると輸出を巡る状況はきわめて深刻なことが判る。

というのも輸出先をみると、ほぼすべての地域に対する輸出額が減少したこと。まずアジア向けの輸出は3兆5000億円で、前年比11.2%の減少。このうち中国向けは10.3%、韓国向けは23.1%の減少だった。このほか台湾を除いて、アジア各国向けの輸出は軒並み減少している。またアメリカ向けは11.4%、中南米向けは5.4%、さらにEU向けも6.3%減少した。

米中経済戦争の影響で、中国経済は減速中。また日韓関係は最悪の状態に陥っている。したがって中国向けと韓国向けの輸出が減退するのは、当然かもしれない。しかしアメリカや東南アジア諸国、あるいはEU向けの輸出までが一斉に減少したのは、一種の異常事態と言えるのではないか。そこには世界同時不況の影も見えてくる。

ことし4-9月期、上場企業のうち製造業の純利益は31%も減少した。業界では10-3月期にはやや改善すると期待しているが、輸出がこんな状況だと改善は難しい。製造業の傷は、いま想定されている程度より深くなるのかもしれない。製造業が長期にわたって低迷すれば、やがて非製造業にも影が忍び寄る。今後の輸出動向には、細心の注意を払う必要がありそうだ。

       ≪22日の日経平均 = 上げ +74.30円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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今週のポイント
2019-11-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ “香港”に怯える株式市場 = ダウ平均は先週129ドルの値下がり。強気と弱気が交錯するなかで、5週間ぶりに反落した。売り材料になったのは、香港。と言っても、デモで損害を被った香港経済を心配したわけではない。アメリカ議会が、香港の民主主義を支援する「香港人権法案」を可決。中国が猛反発したことから、米中経済協議が不調に終わることを警戒した。

日経平均は190円の値下がり。2週間連続の下げとなった。材料不足のなかで、高値警戒の売り物と出遅れ株を物色する買い物が交錯した。市場では年末ラリーに期待する声も強い半面、天井も近いという予想も増えている。政府が作成中の補正予算と来年度予算の規模についての関心が高まるに違いない。

アメリカ議会が可決した「香港人権法案」は、トランプ大統領が署名すると成立する。したがって今週はトランプ大統領が署名すると、株価には大きな下げ圧力が加わるだろう。しかし署名しない公算もあり、その場合は米中交渉の新たな進展に焦点が向けられる。また12月15日に迫った中国に対する追加の関税引き上げをどうするのか。市場はまたまたトランプ大統領に揺さぶられそうだ。

今週は26日に、10月の企業向けサービス価格。28日に、10月の商業動態統計。29日に、10月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。アメリカでは26日に、9月のFHFA住宅価格、10月の新築住宅販売、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、7-9月期のGDP改定値、10月の中古住宅販売。また中国が30日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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強気と弱気 均衡する株価
2019-11-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年末ラリーは実現するのか?  = 日経平均株価は11月に入ってから2万3000円台に乗せたまま、小動きで推移している。12日に2万3520円の高値を付けたあとは、先週末の2万3113円までやや下がり気味だ。市場では上げすぎの銘柄が売られ、出遅れの銘柄が買われる傾向が強い。全体としては、強気と弱気が拮抗している。

まずアメリカ経済の拡大が持続する。日本国内では、消費増税後の反動減が予想より小さい。年末商戦が活況を呈し、政府の景気対策にも期待が持てる。ー-強気派の心中である。さらに過去7年間の実績をみると、10-12月期は昨年を除く6年間で日経平均が1000円以上の値上がりだった。これも強気派の支えになっている。

その一方、世界経済は確実に減速している。米中経済戦争によって貿易量が縮小。日本の輸出も大幅に減少中だ。このため製造業を中心に、企業の収益が悪化。株価と実体経済の乖離が拡大した。欧米に比べて日本株は出遅れていたが、最近の日経平均PER(株価収益率)は16倍に近づいている。--弱気派の心中である。さらに政府の景気対策も、財源難でそれほど期待は出来ない。

当面の関心事は、米中間の経済交渉だ。ここでも強気派は早期の進展に期待をかけるが、弱気派は決着には長い時間を要すると予想する。またアメリカ議会が「香港人権法案」を可決した問題。トランプ大統領が署名するか拒否権を行使するかについても、見方は分かれる。強気派が勝つのか、弱気派が勝つのか。いまはその分岐点。12月に入れば、その見通しも固まってくるだろう。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +179.93円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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落日の 太陽光発電 (上)
2019-11-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 失政で電気料金が9200円アップ = 経済産業省は、太陽光発電の大規模事業者に対するFIT(強制買い取り制度)を終了し、新しい制度に切り替える方針を固めた。改正法案を通常国会に提出、21年度からの実施を目指す。FITの実施で、電気料金が大幅に上昇したことを反省した措置。しかし新しい制度で太陽光発電が順調に拡大するかどうかは、きわめて疑問。なお小規模事業者・家庭については、従来通りのFITが適用される。

FITは太陽光発電の普及を促進するため、経産省が12年に導入した。太陽光で発電した電力を、大手電力会社に強制的に買い取らせる制度。ただ普及を急ぐあまり、その時点で買い取り価格を1㌔㍗時=40円という破格の高値に設定したことが大失敗だった。電力会社は、買い取り費用をそのまま電気料金に上乗せできる。このため電気料金が高騰。たとえば標準家庭のことしの電気代には、年間9204円が上乗せされている。

新しい制度では基準価格を競争入札させ、価格の低い順に認可する。電力価格がこの基準価格を下回った場合、国がその差額を補償する仕組みだ。だが新制度のもとで参入する事業者は、発電した電力を自力で売らなければならなくなった。この程度の補償措置で、太陽光発電事業に参入する業者が現われるか。きわめて疑問だ。

経産省はFIT導入当時の買い入れ価格を40円に設定、しかも20年契約にしてしまった。だから今後10年間は制度が切り替わっても、消費者はなお高い料金を負担し続けなければならない。その当時に参入した事業者は、適正と考えられる価格の5倍も高い収入を20年間も得ることができる。これに対して新制度のもとに参入する業者は、自分で努力しても7-8円でしか売れないと予想されている。消費者の負担に加えて、この大不公平。行政の大失敗と言わねばならない。

                             (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +80.51円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ
 

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落日の 太陽光発電 (中)
2019-11-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 家庭では採算がとれない? = 小規模事業者・家庭に対しては、従来通りのFIT(強制買い取り制度)が継続される。ところが大規模事業者の場合は契約期間が20年なのに、小規模・家庭の契約期間は10年と設定されていた。このため小規模・家庭の太陽光発電は、ことしから順次FITが適用されなくなってしまう。たとえば10年前から1㌔㍗時=42円で電力会社が買い取ってくれた家庭は、今後7-8円でしか売れなくなる見通しだ。しかも主客が転倒し、今後は価格設定権も電力会社に握られる。

家庭の太陽光発電で、ことし中に契約切れとなるのは53万件。23年まででは165万件。すべてが契約切れになると700万㌔㍗、原発7基分にのぼる発電設備が、約束された売り先を失うことになる。こんな状況のなかで、新規に発電パネルを設置する家庭があるのだろうか。いまの経産省の方針が法制化されると、家庭の太陽光発電は全滅してしまう危険がある。

ことし日本は、台風や大雨で大きな被害を受けた。山肌の狭い土地や家屋の屋根に設置した発電パネルも、吹き飛ばされたりしている。ところが発電能力が50㌔㍗以下の小規模事業者には、被害を報告する義務がない。このため経産省は、被害の状況を知ることが出来ず、対策も講じられない。これもFITを導入した当時、小規模発電の普及を急ぐあまりに経産省がそれまでの「発電能力20㌔㍗以下」だった報告義務を50㌔㍗に引き上げた結果だ。

経産省はFITを導入した12年当時、あまりにも普及の促進ばかりを重視した。その結果、電気料金が上がり過ぎると、こんどは料金の値上がり抑制ばかりを考えている。これでは大規模事業者も小規模・家庭も、太陽光発電を増やす意欲を失ってしまうのではないか。そして、その根底には、責任官庁である経産省がエネルギー計画を作成できずにいるという重大な欠陥が隠れている。

                             (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 上げ +64.45円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

           
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落日の 太陽光発電 (下)
2019-11-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ エネルギー計画を作れない悲劇 = 日本のエネルギー自給率は、わずか8%にすぎない。だからエネルギーの確保は、死活の問題だ。そのエネルギーを、どのようにして確保するかの長期目標を掲げるのが「エネルギー基本計画」である。政府は14年に第4次計画を策定。ここで30年には、電力生産に必要なエネルギーを「再生可能エネルギー22-24%、原子力20-22%、石炭・石油・LNGなどの火力56%」の比率にしようと決めた。

その比率を17年時点でみると、再生エネルギーは16%、原子力は3%となっており、残りはすべて火力。だれが考えても、30年の目標達成は不可能だ。にもかかわらず政府は昨年、この計画をそのまま踏襲して第5次計画を決定した。原子力や再生エネルギーが伸び悩み、新しい数値を策定できなかったからである。つまり現在の日本は、実行不能なエネルギー目標を掲げているわけだ。

そんなとき経産省は、再生エネの中核である太陽光発電に大打撃を与えかねない制度変更を打ち出すことになった。この新制度の強行で、もし再エネの伸びが止まってしまったら。原子力はアテにならないから、結局は火力を大幅に増やすしかない。すると温暖化ガスの放出も激増する。そして日本のエネルギー計画は崩壊する。

この際はチエを出して、再エネの育成を続けるべきだ。たとえば家庭が蓄電池を購入するとき、思い切って5割以上の補助金を出す。売れ行きが伸びれば、メーカーもいっそうの品質向上に努めるだろう。家庭用蓄電池が普及すれば一定の地域内で蓄電池同士を結び付け、EV(電気自動車)用の給電所を造る。こうすれば太陽光発電量も増加して行く。経産省がしっかりしないと、日本はやがてエネルギー不足で沈没する。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -28.63円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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「余計なお世話だ IMFおばさん」
2019-11-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 女性専務理事の増税提言が物議 = 来日中のゲオルギエバIMF(国際通貨基金)専務理事が、記者会見で消費税のさらなる増税を提言。各方面で物議をかもしている。この10月に就任したばかりのゲオルギエバ女史はブルガリア出身。日本の社会保障財源を確保するため、消費税を「30年までに15%、50年までに20%」とすべきだと、具体的な数字を挙げている。この提言には批判や非難が殺到。ツイッターには「10%に引き上げたばかりなのに無神経」「内政干渉だ」「余計なお世話だ、IMFおばさん」などの書き込みが続々。

IMFは1945年に設立された国際機関。各国通貨や国際金融システムの安定を目的としており、日本も戦後の復興期には何度も緊急融資を受けている。現在は189か国が加盟。東京にはアジア・太平洋事務所を置いている。しかし、その規模は小さく、日本はじめアジア各国の経済状況を詳しく調査・分析しているとは思えない。その専務理事が何を根拠に、増税を提言したのだろうか。

IMFはまた日本経済の将来予測も行っており、成長率については「19年が0.8%、20年が0.5%」という予測を公表している。こうした予測はいったい誰がやっているのだろう。疑問に思って調べてみた。その結果、予測や提言をまとめているのはワシントンのIMF本部。そこへは日本の財務省から、50人を超える職員が出向している。

予測や提言を作成したのは、これら出向職員だろう。だから基になる統計データは、財務省から出ているとみて間違いないようだ。そう言えばゲオルギエバ専務理事の発言は、ほぼ財務省の考え方に沿っている。ただ財務省としては、増税したばかりのいま次なる増税を口にしたら袋叩きにされかねない。そこで言いたいことを、IMFおばさんに言ってもらったというのが真相のようだ。

       ≪29日の日経平均 = 下げ -115.23円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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