◇ 意外性で動いた市場 = 市場を動かした主役はロシアと日本だった。まず「ロシアのエネルギー相がサウジアラビアに対して、OPECの臨時総会を2月に開いて原油の生産量を5%削減するよう提案した」というニュースが飛び込んだ。これで原油の国際価格が急反発。ニューヨーク市場の株価も大幅に上昇した。そして週末には、日銀がマイナス金利を導入。先週のダウ平均は373ドル、日経平均は560円の値上がりで終わっている。
この2つの出来事に共通していたのは、意外性という特徴。予期せぬニュースだったために、市場は大きく反応した。だが同時に、この2つの出来事は「必ずしも結果が見通せない」という不確実性も共有している。ロシアが本当にサウジに提案したのかどうか。サウジが受け入れるのかどうか。性格は全く異なるにしても、現時点では日銀によるマイナス金利が日本経済に与える影響も把握することは困難だ。
ロシア発のニュースを裏付けするような続報が入れば、原油も株価もさらに上がるだろう。マイナス金利が景気対策として有効だと考える人が増えれば、株式は買われる。逆の場合は、2つの出来事の意外性がしだいに薄れて行くことになる。その吟味は今週から始まり、結果は株価に反映されることになるだろう。
今週は1日に、1月の新車販売台数。3日に、1月の消費動向調査。5日に、12月の景気動向指数。アメリカでは1日に、1月のISM製造業景況指数。2日に、1月の新車販売台数。3日に、1月のISM非製造業景況指数。5日に、1月の雇用統計と12月の貿易統計。EUが2日に、12月の雇用統計。中国が1日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この2つの出来事に共通していたのは、意外性という特徴。予期せぬニュースだったために、市場は大きく反応した。だが同時に、この2つの出来事は「必ずしも結果が見通せない」という不確実性も共有している。ロシアが本当にサウジに提案したのかどうか。サウジが受け入れるのかどうか。性格は全く異なるにしても、現時点では日銀によるマイナス金利が日本経済に与える影響も把握することは困難だ。
ロシア発のニュースを裏付けするような続報が入れば、原油も株価もさらに上がるだろう。マイナス金利が景気対策として有効だと考える人が増えれば、株式は買われる。逆の場合は、2つの出来事の意外性がしだいに薄れて行くことになる。その吟味は今週から始まり、結果は株価に反映されることになるだろう。
今週は1日に、1月の新車販売台数。3日に、1月の消費動向調査。5日に、12月の景気動向指数。アメリカでは1日に、1月のISM製造業景況指数。2日に、1月の新車販売台数。3日に、1月のISM非製造業景況指数。5日に、1月の雇用統計と12月の貿易統計。EUが2日に、12月の雇用統計。中国が1日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
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◇ 黒田総裁の君子豹変 = 日銀は先週29日の金融政策決定会合で、日本としては初めてとなる「マイナス金利」政策の導入を決定した。銀行などの金融機関が日銀におカネを預けている当座預金に金利を付けず、逆に手数料を取るというのがその内容。こうすることで金融機関が日銀におカネを預けず、企業や個人におカネを貸し出すように仕向ける。結果的に、景気を刺激することが政策の目標だ。
政策決定会合では、黒田総裁がいきなりマイナス金利の導入案を持ち出したという。採決の結果、9人の委員のうち5人が賛成、4人が反対。つまり黒田総裁の賛成票がモノを言ったことになる。ところが黒田総裁は、これまで「マイナス金利は有効でない。副作用も多い」と明言していた。君子豹変したのか、それとも何らかの圧力があったのか。ナゾである。
市場関係者はこれまでの黒田総裁の言動から、日銀がマイナス金利政策を導入することはないと思い込んでいた。だから日銀の決定にはびっくり仰天。この意外性が円相場を大きく引き下げ、株価を大きく引き上げる結果につながっている。その意味では、黒田マジックがその意外性によって初期効果を挙げたと言うことはできるだろう。
いま金融機関は、日銀に250兆円ものおカネを預けている。しかし今回のマイナス金利政策は、これには適用されない。2月16日以降に預けられる新規分から適用される。すると金融機関の手許には、いくらのおカネが余ることになるのだろう。これがナゾ。また余ったおカネは、本当に企業や個人に貸し付けられるのだろうか。これもナゾだ。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +346.93円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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政策決定会合では、黒田総裁がいきなりマイナス金利の導入案を持ち出したという。採決の結果、9人の委員のうち5人が賛成、4人が反対。つまり黒田総裁の賛成票がモノを言ったことになる。ところが黒田総裁は、これまで「マイナス金利は有効でない。副作用も多い」と明言していた。君子豹変したのか、それとも何らかの圧力があったのか。ナゾである。
市場関係者はこれまでの黒田総裁の言動から、日銀がマイナス金利政策を導入することはないと思い込んでいた。だから日銀の決定にはびっくり仰天。この意外性が円相場を大きく引き下げ、株価を大きく引き上げる結果につながっている。その意味では、黒田マジックがその意外性によって初期効果を挙げたと言うことはできるだろう。
いま金融機関は、日銀に250兆円ものおカネを預けている。しかし今回のマイナス金利政策は、これには適用されない。2月16日以降に預けられる新規分から適用される。すると金融機関の手許には、いくらのおカネが余ることになるのだろう。これがナゾ。また余ったおカネは、本当に企業や個人に貸し付けられるのだろうか。これもナゾだ。
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≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 景気対策としての効果は疑問 = 日銀はこれまで金融機関から預かっている当座預金に、年0.1%の利息を支払っていた。それを2月16日以降の新規預金分については、逆に0.1%の手数料を取ることにした。金融機関は日銀に預けると、損をすることになる。このため金融機関が日銀を敬遠し、そのおカネを企業や個人に貸し出せば景気がよくなるだろう。--これがマイナス金利政策の考え方である。
だが優良企業は自己資金を十分に蓄えているから、おカネを借りてくれない。だから0.1%しか金利が付かなくても、日銀に預けてきたわけだ。日銀がダメだからといって、すぐに貸出先が見付かるとは思えない。無理をして経営の危ない会社に貸し込めば、不良債権が増えてしまう。こんな状況は、日銀がいちばんよく知っているはず。それなのに、マイナス金利政策を強行したのはナゼなのか。
また企業や個人に低金利の貸し出しを増やしすぎると、不動産バブルを惹き起こす危険がある。このことは過去の経験からも明らかだ。不動産バブルと銀行の不良債権。いつか来た道であり、日銀が最も警戒するはずの事態だろう。にもかかわらず、日銀はその方向をむしろ奨励しているようにも思われる。大きなナゾである。
日銀は景気の回復を図るため、政策金利をゼロにまで引き下げた。しかし、それでも足りないために金利をマイナスにまで下げたと説明している。だが政策金利は、日銀が金融機関に対しておカネを貸す場合の金利だ。したがって本来のマイナス金利は、貸出金にいくらか上乗せすることを意味する。今回の政策は全く性格を異にするのに、なぜ「マイナス金利」と名付けたのか。これもナゾだろう。
≪2日の日経平均 = 下げ -114.55円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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だが優良企業は自己資金を十分に蓄えているから、おカネを借りてくれない。だから0.1%しか金利が付かなくても、日銀に預けてきたわけだ。日銀がダメだからといって、すぐに貸出先が見付かるとは思えない。無理をして経営の危ない会社に貸し込めば、不良債権が増えてしまう。こんな状況は、日銀がいちばんよく知っているはず。それなのに、マイナス金利政策を強行したのはナゼなのか。
また企業や個人に低金利の貸し出しを増やしすぎると、不動産バブルを惹き起こす危険がある。このことは過去の経験からも明らかだ。不動産バブルと銀行の不良債権。いつか来た道であり、日銀が最も警戒するはずの事態だろう。にもかかわらず、日銀はその方向をむしろ奨励しているようにも思われる。大きなナゾである。
日銀は景気の回復を図るため、政策金利をゼロにまで引き下げた。しかし、それでも足りないために金利をマイナスにまで下げたと説明している。だが政策金利は、日銀が金融機関に対しておカネを貸す場合の金利だ。したがって本来のマイナス金利は、貸出金にいくらか上乗せすることを意味する。今回の政策は全く性格を異にするのに、なぜ「マイナス金利」と名付けたのか。これもナゾだろう。
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◇ 政府は「一進一退」と言うが = 企業の生産活動が長いこと停滞している。経済産業省の発表によると、昨年12月の鉱工業生産は前月の水準を1.4%下回った。生産の減少は2か月連続。15業種のうち11業種で生産が低下した。特に電子部品・デバイス、一般機械、輸送用機械工業の低下が目立っている。
出荷も前月比で1.7%減少した。この結果、在庫は0.4%増加しており、在庫率は前年比で3.1%上昇してしまった。ただ同時に発表した生産の予測調査では、1月が7.6%の増加、2月は4.1%の減少となっている。このため経産省は「生産は一進一退で推移している」という基調判断を変えなかった。
だが昨年の生産動向を月ごとにみると、上昇したのが5か月だったのに対して、低下したのは7か月。たしかに一進一退の形ではあるが、正確に言えば「一進一退しながら、緩やかに下降している」という状態だ。12月に減産した業種の前年比をみても、電子部品・デバイス工業は8.4%の減少、一般機械は7.1%の減少。また12月に増産した情報機械通信工業は、前年比でみると7.2%の減少だった。
予測調査によると、1月の生産は7.6%も増加する見通しだ。恐らくは11-12月に減少したことの反動だろう。しかし、この予測調査は最近あまり信頼できない。昨年の実績をみても、12か月のうち10か月は実際の成績が予測値を下回っている。日本経済のなかで製造工業の比重が少しずつ落ちていることは確かだが、それにしても気になる生産の動向である。
≪3日の日経平均 = 下げ -599.43円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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出荷も前月比で1.7%減少した。この結果、在庫は0.4%増加しており、在庫率は前年比で3.1%上昇してしまった。ただ同時に発表した生産の予測調査では、1月が7.6%の増加、2月は4.1%の減少となっている。このため経産省は「生産は一進一退で推移している」という基調判断を変えなかった。
だが昨年の生産動向を月ごとにみると、上昇したのが5か月だったのに対して、低下したのは7か月。たしかに一進一退の形ではあるが、正確に言えば「一進一退しながら、緩やかに下降している」という状態だ。12月に減産した業種の前年比をみても、電子部品・デバイス工業は8.4%の減少、一般機械は7.1%の減少。また12月に増産した情報機械通信工業は、前年比でみると7.2%の減少だった。
予測調査によると、1月の生産は7.6%も増加する見通しだ。恐らくは11-12月に減少したことの反動だろう。しかし、この予測調査は最近あまり信頼できない。昨年の実績をみても、12か月のうち10か月は実際の成績が予測値を下回っている。日本経済のなかで製造工業の比重が少しずつ落ちていることは確かだが、それにしても気になる生産の動向である。
≪3日の日経平均 = 下げ -599.43円≫
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◇ 農林水産物の輸出が7500億円に = 農林水産物と食品の輸出総額が、3年連続で過去最大を記録した。農水省の発表によると、15年の輸出額は7452億円。前年を21.8%上回った。和食ブームのおかげでアジア向けを中心に大きく伸び、3年連続で最大記録を更新した。政府は「20年に1兆円の輸出」を目標にしていたが、これを前倒ししたいと考えている。
輸出先をみると、第1位は香港。次いでアメリカ、台湾の順。アジア向けが全体の7割以上を占めている。また品目別では、ホタテ貝が591億円で断トツの1位。次いでサバ、ぶり、リンゴ、和牛と続いている。このうちリンゴと和牛、それに緑茶が初めて100億円を超えた。こうしたなかでコメの輸出額も56.4%と大きく伸びたが、金額はまだ22億円にとどまっている。
日本の農林水産物・食品の輸出は、12年までは5000億円前後にすぎなかった。それが13年からの和食ブームに乗って伸び始めたが、国連の統計によると輸出額は13年時点で世界の60位。15年の結果をみても、日本の輸出額は輸入額の13分の1という状況だ。今後も1兆円どころか、近い将来に3兆円ぐらいへの拡大が期待される。
最近の輸出の伸びは、和食ブームの浸透に負うところが大きい。しかし同時に、生産者の輸出に対する意識の高まりも見逃せない。こうした傾向を助長する政策的な支援も欠かせない。また和食ブームの拡大にもかかわらず、コメの輸出額が少ないのは何故か。検討する必要がありそうだ。外国人旅行客の誘致と食品の輸出。ことしの豆まきは「客は内、コメは外」--そんな時代が来ているのだ。
≪4日の日経平均 = 下げ -146.26円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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輸出先をみると、第1位は香港。次いでアメリカ、台湾の順。アジア向けが全体の7割以上を占めている。また品目別では、ホタテ貝が591億円で断トツの1位。次いでサバ、ぶり、リンゴ、和牛と続いている。このうちリンゴと和牛、それに緑茶が初めて100億円を超えた。こうしたなかでコメの輸出額も56.4%と大きく伸びたが、金額はまだ22億円にとどまっている。
日本の農林水産物・食品の輸出は、12年までは5000億円前後にすぎなかった。それが13年からの和食ブームに乗って伸び始めたが、国連の統計によると輸出額は13年時点で世界の60位。15年の結果をみても、日本の輸出額は輸入額の13分の1という状況だ。今後も1兆円どころか、近い将来に3兆円ぐらいへの拡大が期待される。
最近の輸出の伸びは、和食ブームの浸透に負うところが大きい。しかし同時に、生産者の輸出に対する意識の高まりも見逃せない。こうした傾向を助長する政策的な支援も欠かせない。また和食ブームの拡大にもかかわらず、コメの輸出額が少ないのは何故か。検討する必要がありそうだ。外国人旅行客の誘致と食品の輸出。ことしの豆まきは「客は内、コメは外」--そんな時代が来ているのだ。
≪4日の日経平均 = 下げ -146.26円≫
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◇ ヨーロッパでは定着 = 消費税と軽減税率、発祥の地はヨーロッパだ。いちばん早く導入したのはフランスで、1968年のこと。ドイツも同じ年に追随した。両国ともVAT(付加価値税)の実施に際して、軽減税率を併用している。VATというのは、日本の消費税と全く同じ税制。このVATは70年代前半にかけてヨーロッパ諸国に波及、現在では完全に定着している。
そのヨーロッパでも、最初はかなり混乱した。なにしろ大陸側の諸国は地続きだし、EU域内は人の行き来が自由である。だから隣同士の国でVATの税率が違ったり、軽減税率の適用範囲が異なると、いろいろ問題が起きてしまう。こうした問題を一つ一つ丁寧に解決し、今日の安定した状態にたどり着いているわけだ。
EUも混乱を解消するため、これまでにいくつもの指針を作成した。たとえば92年には、VATの標準税率は15%以上とすること。06年には、軽減税率を適用できる範囲として21項目を挙げている。こうした指針に基づいて、いまヨーロッパ各国はそれぞれに独自の税体系を確立したと言える。
日本は89年に3%の消費税を導入、軽減税率は来年4月に消費税を10%に引き上げる際に初めて併用する。その意味では、消費税・軽減税率の後発国だ。したがって先発国であるヨーロッパ諸国の経験と現在の状況は、日本にとって学ぶべき点が多い。その具体的な事例を、もう少し調べてみよう。
(続きは来週サタデー)
≪5日の日経平均 = 下げ -225.40円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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そのヨーロッパでも、最初はかなり混乱した。なにしろ大陸側の諸国は地続きだし、EU域内は人の行き来が自由である。だから隣同士の国でVATの税率が違ったり、軽減税率の適用範囲が異なると、いろいろ問題が起きてしまう。こうした問題を一つ一つ丁寧に解決し、今日の安定した状態にたどり着いているわけだ。
EUも混乱を解消するため、これまでにいくつもの指針を作成した。たとえば92年には、VATの標準税率は15%以上とすること。06年には、軽減税率を適用できる範囲として21項目を挙げている。こうした指針に基づいて、いまヨーロッパ各国はそれぞれに独自の税体系を確立したと言える。
日本は89年に3%の消費税を導入、軽減税率は来年4月に消費税を10%に引き上げる際に初めて併用する。その意味では、消費税・軽減税率の後発国だ。したがって先発国であるヨーロッパ諸国の経験と現在の状況は、日本にとって学ぶべき点が多い。その具体的な事例を、もう少し調べてみよう。
(続きは来週サタデー)
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【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第9章 財政って、なんだろう? ①
◇ 国の家計簿 = みなさんの家では、お母さんが家計簿(かけいぼ)をつけているでしょう。おカネがどこから、どれだけ入ってくるか。おカネを、どんなふうに、どれだけ使っているか。これを判りやすく表にまとめたものが家計簿です。おカネが入ってくることを収入、出て行くことを支出と言います。もし収入が支出よりも多ければ黒字。支出が収入より多ければ赤字。最初に収入、支出、黒字、赤字の意味を、しっかり覚えておいてください。
収入には、どんなものがあるでしょうか。お父さんが会社からもらう給料。お姉さんがバイトでかせいだおカネの一部。銀行預金の利子など・・・。支出は食料品や衣類を買う。電車やバスなどの交通費。電気やガスや水道料金。ガソリン代や子どもたちのおこづかい。税金も払います。それに住宅ローンの返済も・・・。
このように家庭でおカネが出入りする状態、あるいは会社の収入や支出の状態のことを財政(ざいせい)と言う場合もあります。しかし、ふつう財政と言うと、それは国や地方自治体のおカネの状態を指すことが多いのです。地方自治体というのは、たとえば、東京都や広島県、あるいは新宿区、仙台市といった地域のことで、これらの自治体もおカネの出し入れをしています。
この章では、国の財政について勉強しましょう。国の場合にも収入や支出があって、おカネが入ったり出たりしています。その結果として、国の財政も黒字になったり、赤字になったりするわけです。要するに、財政というのは国の家計簿だと考えてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ 国の家計簿 = みなさんの家では、お母さんが家計簿(かけいぼ)をつけているでしょう。おカネがどこから、どれだけ入ってくるか。おカネを、どんなふうに、どれだけ使っているか。これを判りやすく表にまとめたものが家計簿です。おカネが入ってくることを収入、出て行くことを支出と言います。もし収入が支出よりも多ければ黒字。支出が収入より多ければ赤字。最初に収入、支出、黒字、赤字の意味を、しっかり覚えておいてください。
収入には、どんなものがあるでしょうか。お父さんが会社からもらう給料。お姉さんがバイトでかせいだおカネの一部。銀行預金の利子など・・・。支出は食料品や衣類を買う。電車やバスなどの交通費。電気やガスや水道料金。ガソリン代や子どもたちのおこづかい。税金も払います。それに住宅ローンの返済も・・・。
このように家庭でおカネが出入りする状態、あるいは会社の収入や支出の状態のことを財政(ざいせい)と言う場合もあります。しかし、ふつう財政と言うと、それは国や地方自治体のおカネの状態を指すことが多いのです。地方自治体というのは、たとえば、東京都や広島県、あるいは新宿区、仙台市といった地域のことで、これらの自治体もおカネの出し入れをしています。
この章では、国の財政について勉強しましょう。国の場合にも収入や支出があって、おカネが入ったり出たりしています。その結果として、国の財政も黒字になったり、赤字になったりするわけです。要するに、財政というのは国の家計簿だと考えてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ マイナス金利の効果なし = 東京株式市場は、金利安と円高のダブル・パンチに見舞われた。まず日銀のマイナス金利政策で、長期金利が過去最低の0.020%にまで低落。収益の縮小を懸念された銀行や生保株が売り込まれた。続いてドル安・円高の急速な進行。これで輸出関連株が大きく下落した。日経平均は先週739円の値下がり。株価も円相場もマイナス金利以前の水準に戻ってしまった。
ドル安・円高の進行は、アメリカ経済の先行き不安が増大したためである。製造業に続いて、非製造業の景況感も悪化し始めた。1月の非農業雇用者数は15万1000人の増加にとどまり、予想を大きく下回っている。この不安感から、先週のダウ平均は261ドルの値下がりとなった。その半面でFRBの再利上げは遠のいたという見方が強まり、ドル安につながっている。
市場は悪材料に取り囲まれた、という感じが濃い。この環境を打破できるのは、イエレンFRB議長の言動と原油価格の反発だろう。OPECが何らかの方針変更を示唆すれば、状況は一気に好転する。あとは下げすぎた株価に対する押し目買い。今週の市場に、そうした兆候が現われるかどうか。辛抱強く見守るしかない。
今週は8日に、12月の国際収支と毎月勤労統計、1月の景気ウォッチャー調査。10日に、1月の企業物価。アメリカでは12日に、1月の小売り売上高、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。またEUが12日に、10-12月期のGDP速報を発表する。
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ドル安・円高の進行は、アメリカ経済の先行き不安が増大したためである。製造業に続いて、非製造業の景況感も悪化し始めた。1月の非農業雇用者数は15万1000人の増加にとどまり、予想を大きく下回っている。この不安感から、先週のダウ平均は261ドルの値下がりとなった。その半面でFRBの再利上げは遠のいたという見方が強まり、ドル安につながっている。
市場は悪材料に取り囲まれた、という感じが濃い。この環境を打破できるのは、イエレンFRB議長の言動と原油価格の反発だろう。OPECが何らかの方針変更を示唆すれば、状況は一気に好転する。あとは下げすぎた株価に対する押し目買い。今週の市場に、そうした兆候が現われるかどうか。辛抱強く見守るしかない。
今週は8日に、12月の国際収支と毎月勤労統計、1月の景気ウォッチャー調査。10日に、1月の企業物価。アメリカでは12日に、1月の小売り売上高、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。またEUが12日に、10-12月期のGDP速報を発表する。
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 効果は1週間で消滅 = 黒田日銀総裁が自信満々で打ち出した「マイナス金利」政策は、散々な結果で終わった。発表の直後こそ、円の対ドル相場が121円に下落、日経平均株価も1万8000円に接近した。だが1週間後、円は116円台にまで急騰、株価は1万7000円を割り込んでいる。最初はその意外性に驚いた市場だったが、すぐにその正体を見破ったようだ。そして残ったのは、長期金利がゼロ近辺に下落するという副作用だけである。
日銀はこれまで、金融機関の当座預金に0.1%の金利を付与していた。これを2月16日以降の新規預金には利子を付けず、逆に0.1%の手数料を徴収するというのがマイナス金利政策。こうすることで、金融機関のおカネが企業や個人向け貸付けに回ることを期待した。しかし金融機関としてみれば、いまどき優良な貸付け先など、おいそれとは見つからない。
そこで金融機関は国債の買い入れに殺到。国債の相場が急上昇した。国債の流通価格が上がれば、利回りは下がる。その結果、10年物国債の利回りでみた長期金利は0.020%とゼロすれすれにまで下落してしまった。ところが折あしくアメリカでは景気の先行きに対する不安が増大、ドルが売られた。このため日本の金利が低下したにもかかわらず、円相場は上昇するという事態を招くことになった。
株式市場では、金利の下落で収益の悪化が見込まれる銀行・生保株が売られた。さらに円高で輸出関連株が下落。こうして日経平均は先週700円以上も値下がりした。日銀がマイナス金利政策に託した願望は、円安水準の維持、株価の上昇、そして金融機関による企業と個人向けの貸し出し増加の3点だった。それがすべて空振りに終わったと言える。
(続きは明日)
≪8日の日経平均 = 上げ +184.71円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日銀はこれまで、金融機関の当座預金に0.1%の金利を付与していた。これを2月16日以降の新規預金には利子を付けず、逆に0.1%の手数料を徴収するというのがマイナス金利政策。こうすることで、金融機関のおカネが企業や個人向け貸付けに回ることを期待した。しかし金融機関としてみれば、いまどき優良な貸付け先など、おいそれとは見つからない。
そこで金融機関は国債の買い入れに殺到。国債の相場が急上昇した。国債の流通価格が上がれば、利回りは下がる。その結果、10年物国債の利回りでみた長期金利は0.020%とゼロすれすれにまで下落してしまった。ところが折あしくアメリカでは景気の先行きに対する不安が増大、ドルが売られた。このため日本の金利が低下したにもかかわらず、円相場は上昇するという事態を招くことになった。
株式市場では、金利の下落で収益の悪化が見込まれる銀行・生保株が売られた。さらに円高で輸出関連株が下落。こうして日経平均は先週700円以上も値下がりした。日銀がマイナス金利政策に託した願望は、円安水準の維持、株価の上昇、そして金融機関による企業と個人向けの貸し出し増加の3点だった。それがすべて空振りに終わったと言える。
(続きは明日)
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≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 副作用だけが残った = 金融機関が国債を買い漁った結果、長期金利は1週間で0.020%まで低下した。この先なお買い続けると、値段が上がって額面を超える。そこで買った人は確実に損をするわけだ。だが多くの金融機関が「日銀に預ければ0.1%の手数料を取られる。だから0.1%以下の損なら国債を買ってもいい」と考えたのだろう。このため長期金利は今週、とうとうマイナスの領域にまで下がってしまった。
このような金利の低下は、早くも各方面に影響を与えている。財務省は個人向け国債の発行を停止、民間でも国債で運用する投資信託の募集を取り止めた。金融機関は、預金金利と住宅ローン金利を相次いで引き下げている。普通預金の金利を0.001%にまで下げた銀行も出てきた。年金生活者にとっては辛い話である。また生命保険会社は、保険料の引き上げを検討し始めた。
住宅ローン金利の引き下げは消費者にプラスだと、新聞などは解説している。たしかに史上最低の金利だから、借り時には違いない。しかしマイナス金利政策の影響で下がる幅は、ごく僅かだ。これで一般の利用者が急増するとは思えない。投機目的の不動産購入者か、相続税対策に関する借入れに利用されるのではないか。
黒田総裁は最近の講演で「追加緩和の手段に限りはない」と強弁した。しかし国債の購入をさらに増やせば、金融市場が大混乱に陥る。ETF(上場投資信託)ばかりを買うわけにはいかない。と言ってマイナス金利を拡大すれば、その弊害だけが膨張する。残る手段は、為替の介入ぐらいしかないのではないか。いまや日銀の金融政策は完全に行き詰まった、と考える方が正しいと思う。
≪9日の日経平均 = 下げ -918.86円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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このような金利の低下は、早くも各方面に影響を与えている。財務省は個人向け国債の発行を停止、民間でも国債で運用する投資信託の募集を取り止めた。金融機関は、預金金利と住宅ローン金利を相次いで引き下げている。普通預金の金利を0.001%にまで下げた銀行も出てきた。年金生活者にとっては辛い話である。また生命保険会社は、保険料の引き上げを検討し始めた。
住宅ローン金利の引き下げは消費者にプラスだと、新聞などは解説している。たしかに史上最低の金利だから、借り時には違いない。しかしマイナス金利政策の影響で下がる幅は、ごく僅かだ。これで一般の利用者が急増するとは思えない。投機目的の不動産購入者か、相続税対策に関する借入れに利用されるのではないか。
黒田総裁は最近の講演で「追加緩和の手段に限りはない」と強弁した。しかし国債の購入をさらに増やせば、金融市場が大混乱に陥る。ETF(上場投資信託)ばかりを買うわけにはいかない。と言ってマイナス金利を拡大すれば、その弊害だけが膨張する。残る手段は、為替の介入ぐらいしかないのではないか。いまや日銀の金融政策は完全に行き詰まった、と考える方が正しいと思う。
≪9日の日経平均 = 下げ -918.86円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 未知の世界に突入した恐怖感 = 長期金利が史上はじめて、マイナスの領域に突入した。10年物国債の流通利回りは9日、一時マイナス0.035%にまで低下している。日銀がマイナス金利政策を導入したことで、金融機関が額面を超えた値段で国債を買いあさった結果だ。黒田日銀総裁は「マイナス金利政策をさらに進めることも辞さない」と強調しているので、市中金利はまだ下がる可能性がある。
長期金利の低下は預金・貸出金利の低下につながり、金融機関の収益を強く圧迫する。その結果、貸出し余力も縮小し、日銀が目指した企業や個人への融資増どころではなくなってしまった。さらに収益が圧迫されると、金融機関は振り込みなど各種の手数料を値上げせざるを得なくなる。そして、その先に待っているのが、預金に対しての手数料。つまり企業や個人は預金しても利子が付くどころか手数料を徴収されることになる。
ヨーロッパではECB(ヨーロッパ中央銀行)のほか、スウェーデンやデンマーク、スイスなど数か国の中央銀行がすでにマイナス金利政策を実施している。このうちスイスなどでは、預金もマイナス金利。だが預金が減る現象はみられない。利用者は預金を資産の安全な保管先とみなし、手数料は保管料だと納得しているそうだ。これらの国々は社会保障が完備しているからだろう。だが日本の場合は、どうだろう。
日本の預金に手数料が必要になったとき、人々は預金を引き出すだろうか。自宅に現金を貯め込むだろうか。世界に冠たる個人の金融資産は、大移動するだろうか。金融機関には地殻変動が生じるだろうか。とにかく未知の領域だから、どんなことが起きるのか見当の付けようもない。その恐怖感から、日経平均は1万5000円に接近中だ。
≪10日の日経平均 = 下げ -372.05円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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長期金利の低下は預金・貸出金利の低下につながり、金融機関の収益を強く圧迫する。その結果、貸出し余力も縮小し、日銀が目指した企業や個人への融資増どころではなくなってしまった。さらに収益が圧迫されると、金融機関は振り込みなど各種の手数料を値上げせざるを得なくなる。そして、その先に待っているのが、預金に対しての手数料。つまり企業や個人は預金しても利子が付くどころか手数料を徴収されることになる。
ヨーロッパではECB(ヨーロッパ中央銀行)のほか、スウェーデンやデンマーク、スイスなど数か国の中央銀行がすでにマイナス金利政策を実施している。このうちスイスなどでは、預金もマイナス金利。だが預金が減る現象はみられない。利用者は預金を資産の安全な保管先とみなし、手数料は保管料だと納得しているそうだ。これらの国々は社会保障が完備しているからだろう。だが日本の場合は、どうだろう。
日本の預金に手数料が必要になったとき、人々は預金を引き出すだろうか。自宅に現金を貯め込むだろうか。世界に冠たる個人の金融資産は、大移動するだろうか。金融機関には地殻変動が生じるだろうか。とにかく未知の領域だから、どんなことが起きるのか見当の付けようもない。その恐怖感から、日経平均は1万5000円に接近中だ。
≪10日の日経平均 = 下げ -372.05円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 軽減税率の恩恵が少ないわけ = 軽減税率に関する世論調査をみると「食品の税率が上がらなくてよかった」という回答が多かった。と同時に「軽減税率のありがたみが感じられない」という回答も目立ったように思われる。たしかにスーパーで3000円の食料品を買い込んだ主婦にとっては、300円になるはずの消費税が240円で済むだけのこと。60円だけ得をしたと感じる半面、すこし物足りない気もするに違いない。
ヨーロッパ諸国がVAT(付加価値税=消費税)を導入したとき、その税率は10%前後だった。その後の増税で、現在は20%前後の税率が多い。しかし大半の国は軽減税率を当初のままに据え置いており、その税率はほとんどが1ケタ。なかにはゼロの国もある。たとえばフランスのVAT標準税率は20%だが、食料品の大半には5.5%の軽減税率が適用されている。
ドイツの場合はVATが19%で、食料品の軽減税率は7%。さらにイギリスにいたっては20%のVATに対して、食料品には税金をかけていない。たとえばドイツの主婦がスーパーで3000円の食料品を買ったとすると、軽減税率による負担の軽減額は360円にもなる。イギリスの場合は600円だ。これなら軽減税率の“ありがたみ”を十分に感じ取ることができるだろう。
要するに日本の場合は、消費税率に対する軽減税率の割合が高すぎる。だから負担感はあまり減少しない。仮に将来、消費税を再引き上げするとしたら、むしろ軽減税率は引き下げるくらいの設計をする方が望ましい。ヨーロッパの事例からは、まずこんなことを学び取ることができる。
(続きは来週サタデー)
≪12日の日経平均 = 下げ -760.78円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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ヨーロッパ諸国がVAT(付加価値税=消費税)を導入したとき、その税率は10%前後だった。その後の増税で、現在は20%前後の税率が多い。しかし大半の国は軽減税率を当初のままに据え置いており、その税率はほとんどが1ケタ。なかにはゼロの国もある。たとえばフランスのVAT標準税率は20%だが、食料品の大半には5.5%の軽減税率が適用されている。
ドイツの場合はVATが19%で、食料品の軽減税率は7%。さらにイギリスにいたっては20%のVATに対して、食料品には税金をかけていない。たとえばドイツの主婦がスーパーで3000円の食料品を買ったとすると、軽減税率による負担の軽減額は360円にもなる。イギリスの場合は600円だ。これなら軽減税率の“ありがたみ”を十分に感じ取ることができるだろう。
要するに日本の場合は、消費税率に対する軽減税率の割合が高すぎる。だから負担感はあまり減少しない。仮に将来、消費税を再引き上げするとしたら、むしろ軽減税率は引き下げるくらいの設計をする方が望ましい。ヨーロッパの事例からは、まずこんなことを学び取ることができる。
(続きは来週サタデー)
≪12日の日経平均 = 下げ -760.78円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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第9章 財政って、なんだろう? ②
◇ 国の収入は税金と国債 = おカネが入ってくることを、収入と言うのでしたね。では国の収入には、どんなものがあるでしょうか。いろいろありますが、主なものは税金(ぜいきん)と国債(こくさい)です。たとえば最近の例でみると、国の財政収入に占める税金の割合はおよそ57%、国債の割合は38%となっています。
税金にもいろいろな種類があります。働いている人が払っている所得(しょとく)税、会社が払う法人(ほうじん)税など、おカネをかせいだ人や会社が直接払う税金を直接税と呼んでいます。もう一つは間接(かんせつ)税と言って、品物を買った人が支払う税金です。間接税には、消費(しょうひ)税やガソリン税などがあります。
みなさんは、まだ所得税は払っていないでしょう。でも食べ物やゲーム機を買うときには、消費税を払っています。みんなが自分で貯めたお小遣いで買ったとしたら、あなたたちも税金を払ったことになりますね。ですから、その税金が何に使われるのか、しっかり勉強する必要があるのです。
国債は国の借用証(しゃくようしょう)だと考えていいでしょう。借用証というのは、おカネを借りたとき貸した人に差し出す文書です。いくら借りました。いつまでに返します。金利をいくら付けますという内容が書いてあります。国債を売ることによって、国は国債を買った人からおカネを借りることになるわけです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 国の収入は税金と国債 = おカネが入ってくることを、収入と言うのでしたね。では国の収入には、どんなものがあるでしょうか。いろいろありますが、主なものは税金(ぜいきん)と国債(こくさい)です。たとえば最近の例でみると、国の財政収入に占める税金の割合はおよそ57%、国債の割合は38%となっています。
税金にもいろいろな種類があります。働いている人が払っている所得(しょとく)税、会社が払う法人(ほうじん)税など、おカネをかせいだ人や会社が直接払う税金を直接税と呼んでいます。もう一つは間接(かんせつ)税と言って、品物を買った人が支払う税金です。間接税には、消費(しょうひ)税やガソリン税などがあります。
みなさんは、まだ所得税は払っていないでしょう。でも食べ物やゲーム機を買うときには、消費税を払っています。みんなが自分で貯めたお小遣いで買ったとしたら、あなたたちも税金を払ったことになりますね。ですから、その税金が何に使われるのか、しっかり勉強する必要があるのです。
国債は国の借用証(しゃくようしょう)だと考えていいでしょう。借用証というのは、おカネを借りたとき貸した人に差し出す文書です。いくら借りました。いつまでに返します。金利をいくら付けますという内容が書いてあります。国債を売ることによって、国は国債を買った人からおカネを借りることになるわけです。
(続きは来週日曜日)
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◇ リーマン以来の大幅な円高・株安 = 日経平均は先週1867円の大幅な値下がり。1年4か月ぶりに1万5000円を割り込んだ。主たる原因は、円相場が大きく円高に振れたこと。対ドル相場は、この10日間で10円も上がって110円台を付けている。円相場が10日間で10円上昇し、株価が一週間で1800円以上も下げたのは、ともにリーマン・ショック直後の08年10月以来のことである。
円相場を急騰させた最大の原因は、イエレンFRB議長の議会での証言。「金融市場の動揺がアメリカ経済に悪影響を与えるかもしれない」「経済が下振れすれば、利上げペースも減速するのが適当だ」と述べた。彼女の真意は後半の部分にあったのかもしれないが、市場は前半を重視。アメリカ経済の先行き不安感からドルが急落、円が上昇した。
ただドル安は、いまのアメリカ経済にとっては大きなプラス要因。また原油価格に持ち直しの気運も出て、ダウ平均は先週231ドルの値下がりにとどまった。しかしアメリカの景気は、明らかに勢いをなくしている。今後の動きには要注意だ。それにしても日本をはじめ主要国の政府・中央銀行は、だんまりを決め込んでいる。財政も金融も、打つ手がなくなったのだろうか。市場はこの点も心配し始めた。
今週は15日に、10-12月期のGDP速報、12月の第3次産業活動指数。17日に、12月の機械受注と1月の訪日外国人客数。18日に、1月の貿易統計。19日に、12月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、NAHB住宅価格。17日に、1月の工業生産、生産者物価、住宅着工。18日に、1月のカンファレンス・ボード景気先行指数。19日に、1月の消費者物価。また中国が15日に、1月の貿易統計。18日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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円相場を急騰させた最大の原因は、イエレンFRB議長の議会での証言。「金融市場の動揺がアメリカ経済に悪影響を与えるかもしれない」「経済が下振れすれば、利上げペースも減速するのが適当だ」と述べた。彼女の真意は後半の部分にあったのかもしれないが、市場は前半を重視。アメリカ経済の先行き不安感からドルが急落、円が上昇した。
ただドル安は、いまのアメリカ経済にとっては大きなプラス要因。また原油価格に持ち直しの気運も出て、ダウ平均は先週231ドルの値下がりにとどまった。しかしアメリカの景気は、明らかに勢いをなくしている。今後の動きには要注意だ。それにしても日本をはじめ主要国の政府・中央銀行は、だんまりを決め込んでいる。財政も金融も、打つ手がなくなったのだろうか。市場はこの点も心配し始めた。
今週は15日に、10-12月期のGDP速報、12月の第3次産業活動指数。17日に、12月の機械受注と1月の訪日外国人客数。18日に、1月の貿易統計。19日に、12月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、NAHB住宅価格。17日に、1月の工業生産、生産者物価、住宅着工。18日に、1月のカンファレンス・ボード景気先行指数。19日に、1月の消費者物価。また中国が15日に、1月の貿易統計。18日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 成長戦略の再構築が必要 = 主要国のなかで、日本だけがマイナス成長に陥っていた。内閣府の発表によると、昨年10-12月期の実質GDP成長率は年率でマイナス1.4%だった。前7-9月期のプラス1.3%から大きく減速している。内容をみると、成長に貢献したのは設備投資の5.7%増だけ。個人消費は3.5%減、公共投資も10.3%減で、この2項目が成長の足を強く引っ張った。
この結果、15年の成長率はわずか0.4%にとどまっている。14年はゼロ成長だったから、この2年間の成長率は平均0.2%という低さ。ほとんど成長しなかったと言ってもいい。政府は15年度の目標を1.2%成長としているが、これを達成するためには1-3月期に8.9%成長しなければならない。全く無理なことも明白になってしまった。
海外に目を転じると、アメリカの10-12月期の成長率は同じく年率でプラス0.7%。前7-9月期のプラス2.0%から、かなり鈍化した。それでも15年の成長率は14年と同じプラス2.4%を維持している。またEUの10-12月期の成長率はプラス1.1%。7-9月期のプラス1.2%とほぼ横ばいだった。15年ではプラス1.5%成長となっている。
このように主要国のなかでは、日本だけがマイナス成長。EU域内では、あのギリシャの成長率がマイナス1.4%で、ちょうど日本と同じだった。こうしてみると何かおかしい。安倍内閣の成長戦略とは何だったのだろう。この際は成長戦略の作成に携わった人を総入れ替えし、新しい戦略の構築を一からやり直すことが必要ではないか。
≪15日の日経平均 = 上げ +1069.97円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この結果、15年の成長率はわずか0.4%にとどまっている。14年はゼロ成長だったから、この2年間の成長率は平均0.2%という低さ。ほとんど成長しなかったと言ってもいい。政府は15年度の目標を1.2%成長としているが、これを達成するためには1-3月期に8.9%成長しなければならない。全く無理なことも明白になってしまった。
海外に目を転じると、アメリカの10-12月期の成長率は同じく年率でプラス0.7%。前7-9月期のプラス2.0%から、かなり鈍化した。それでも15年の成長率は14年と同じプラス2.4%を維持している。またEUの10-12月期の成長率はプラス1.1%。7-9月期のプラス1.2%とほぼ横ばいだった。15年ではプラス1.5%成長となっている。
このように主要国のなかでは、日本だけがマイナス成長。EU域内では、あのギリシャの成長率がマイナス1.4%で、ちょうど日本と同じだった。こうしてみると何かおかしい。安倍内閣の成長戦略とは何だったのだろう。この際は成長戦略の作成に携わった人を総入れ替えし、新しい戦略の構築を一からやり直すことが必要ではないか。
≪15日の日経平均 = 上げ +1069.97円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 輸入額は15か月連続で減少 = 中国税関総署が15日発表した1月の貿易統計によると、輸出は1774億ドルで前年比11.2%の減少。また輸入は1141億ドルで18.8%の大幅な減少となった。輸出の減少は7か月、輸入の減少は15か月も続いている。この結果、貿易総額も11か月連続で減少。前年より14.3%少ない2916億ドルにとどまった。
輸出を相手国別にみると、日本向けは10.4%の減少。最大の貿易相手であるEU向けは14.1%、アメリカ向けも14.5%と大きく減っている。その原因には相手国側の景況が悪化したことも考えられるが、元安がかなり進んだにもかかわらず輸出が停滞した背景には、輸出競争力の低下があると指摘する専門家も多い。だとすると、中国の輸出が回復するのには時間がかかりそうだ。
輸入の減退には、原油や鉄鉱石など原材料の価格低下が大きく影響している。また国内の製造工業が不振に陥っていることの反映でもあることは明らかだ。その半面、個人消費は高水準を維持している。たとえば春節中の小売り売上高は前年比11.2%増を記録した。このように現在の中国経済は、製造業の不振を非製造業がなんとか補っている状態と言えるだろう。
生産設備の過剰で製造工業は窮地に立ち、人件費の高騰から輸出競争力も低下した。それを政府が財政支出で補おうとすると、過剰設備の廃棄が進まなくなる。だから政府も大々的な景気対策は講じられない。そこに中国経済の最大のジレンマがある。昨年10-12月期の成長率は6.8%にまで鈍化した。ことし1-3月期は6.5%を割り込むかもしれない。たまりかねた政府が、何らかの新対策を打ち出すのだろうか。
≪16日の日経平均 = 上げ +31.85円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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輸出を相手国別にみると、日本向けは10.4%の減少。最大の貿易相手であるEU向けは14.1%、アメリカ向けも14.5%と大きく減っている。その原因には相手国側の景況が悪化したことも考えられるが、元安がかなり進んだにもかかわらず輸出が停滞した背景には、輸出競争力の低下があると指摘する専門家も多い。だとすると、中国の輸出が回復するのには時間がかかりそうだ。
輸入の減退には、原油や鉄鉱石など原材料の価格低下が大きく影響している。また国内の製造工業が不振に陥っていることの反映でもあることは明らかだ。その半面、個人消費は高水準を維持している。たとえば春節中の小売り売上高は前年比11.2%増を記録した。このように現在の中国経済は、製造業の不振を非製造業がなんとか補っている状態と言えるだろう。
生産設備の過剰で製造工業は窮地に立ち、人件費の高騰から輸出競争力も低下した。それを政府が財政支出で補おうとすると、過剰設備の廃棄が進まなくなる。だから政府も大々的な景気対策は講じられない。そこに中国経済の最大のジレンマがある。昨年10-12月期の成長率は6.8%にまで鈍化した。ことし1-3月期は6.5%を割り込むかもしれない。たまりかねた政府が、何らかの新対策を打ち出すのだろうか。
≪16日の日経平均 = 上げ +31.85円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 年間2000万人を超す勢い = 観光局の発表によると、1月に日本を訪れた外国人旅行客は185万1800人だった。前年同月に比べて52%も増加している。月間の旅行客数としては、昨年2月に次ぐ記録。特に中国人の増加が際立っており、昨年の2.1倍に当たる47万5000人が来日した。ただし中国人の“爆買い”は収まる傾向にあるという。
国別にみると、第1位は韓国人で51万4900人。初めて50万人を超えた。中国人は第2位。そのあと台湾、香港、アメリカという順。円安や航空路線の拡大、クルーズ船の増加などが、客数の増大に寄与している。たとえば中国人を乗せたクルーズ船の来航は、昨年1月の4隻5000人に対して、ことしは26隻7万6450人に急増している。
政府は20年までに、外国人旅行客を2000万人に増やす計画を樹てている。この1月の勢いが続けば、その目標はことし中に達成できそうだ。しかし円高傾向や中国をはじめアジア諸国の景気動向など、必ずしも楽観はできないのかもしれない。もう1つ、中国人の“爆買い”に収まる傾向が出てきたことも見逃せない。店頭では高級ブランド品や家電よりも、化粧品や菓子類などの消耗品を買い込む姿が多く見られるようになったという。
中国人客にリピーターが多くなったのか、客筋が大金持ちから中堅層に変わったのか。あるいは長引く中国経済の不振を反映するものなのか。その辺のところは、まだ明かではない。だが迎え入れる側としては、いっそうキメ細かい接客方法の開発に努力するべき時期に入ったと考えた方が賢明だろう。
≪17日の日経平均 = 下げ -218.07円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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国別にみると、第1位は韓国人で51万4900人。初めて50万人を超えた。中国人は第2位。そのあと台湾、香港、アメリカという順。円安や航空路線の拡大、クルーズ船の増加などが、客数の増大に寄与している。たとえば中国人を乗せたクルーズ船の来航は、昨年1月の4隻5000人に対して、ことしは26隻7万6450人に急増している。
政府は20年までに、外国人旅行客を2000万人に増やす計画を樹てている。この1月の勢いが続けば、その目標はことし中に達成できそうだ。しかし円高傾向や中国をはじめアジア諸国の景気動向など、必ずしも楽観はできないのかもしれない。もう1つ、中国人の“爆買い”に収まる傾向が出てきたことも見逃せない。店頭では高級ブランド品や家電よりも、化粧品や菓子類などの消耗品を買い込む姿が多く見られるようになったという。
中国人客にリピーターが多くなったのか、客筋が大金持ちから中堅層に変わったのか。あるいは長引く中国経済の不振を反映するものなのか。その辺のところは、まだ明かではない。だが迎え入れる側としては、いっそうキメ細かい接客方法の開発に努力するべき時期に入ったと考えた方が賢明だろう。
≪17日の日経平均 = 下げ -218.07円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 不安の性質は全く異なる = 東京市場は予想外の大嵐に翻弄されている。前回、暴風雨に見舞われたのは08年、リーマン・ショックのときだった。当時と今回とでは、どこが違うのだろう。まず円の対ドル相場は08年10月中に8円上昇した。今回は2月に入ってからの10日間に10円上昇している。また日経平均は08年10月中に2680円下げたが、今回は2月に入ってから18日までに1321円値下がりした。
どちらも、かなりの風速であることに違いはない。しかし嵐の性質は全く違う。リーマン・ショックはアメリカの住宅バブルが崩壊し、銀行の不良債権が一気に膨張して、金融危機を惹き起こした。これに対して現在の混乱は、中国経済に対する不安と原油価格の急激な下落が主たる原因になっている。
ともに原因は比較的はっきりしている。そしてリーマン危機は、時間がかかったけれども不良債権を一つ一つ潰して行くことで解決した。だが今回は中国政府の対応しだいで、他国は口出しができない。原油についても、OPEC(石油輸出国機構)しだいという状態だ。事態を少しずつでも改善して行く手段が、第三者には見当たらない。
リーマン時には金融危機の浸透で、各国の経済そのものが揺らいでしまった。しかし今回は日米欧の経済ファンダメンタルズは、まだそれほど傷んでいない。この点は大きな相違点だ。その半面、当時は各国が財政・金融政策を動かせる余裕があった。だが現状は、各国ともに余裕がない。
≪18日の日経平均 = 上げ +360.44円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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どちらも、かなりの風速であることに違いはない。しかし嵐の性質は全く違う。リーマン・ショックはアメリカの住宅バブルが崩壊し、銀行の不良債権が一気に膨張して、金融危機を惹き起こした。これに対して現在の混乱は、中国経済に対する不安と原油価格の急激な下落が主たる原因になっている。
ともに原因は比較的はっきりしている。そしてリーマン危機は、時間がかかったけれども不良債権を一つ一つ潰して行くことで解決した。だが今回は中国政府の対応しだいで、他国は口出しができない。原油についても、OPEC(石油輸出国機構)しだいという状態だ。事態を少しずつでも改善して行く手段が、第三者には見当たらない。
リーマン時には金融危機の浸透で、各国の経済そのものが揺らいでしまった。しかし今回は日米欧の経済ファンダメンタルズは、まだそれほど傷んでいない。この点は大きな相違点だ。その半面、当時は各国が財政・金融政策を動かせる余裕があった。だが現状は、各国ともに余裕がない。
≪18日の日経平均 = 上げ +360.44円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 細かい線引きにびっくり = フランスのVAT(付加価値税=消費税)標準税率は20%。軽減税率は新聞・書籍・劇場入場料などが2.1%、パンなどが5.5%、サラダなどが10%というように3段階に分かれている。さらに同じパンでもふつうのクロワッサンは5.5%だが、チーズ入りだと10%に。またバターは軽減税率だが、マーガリンは標準税率というぐあい。
ドイツの標準税率は19%だが、食料品の大半には7%の軽減税率が適用される。しかし外食には適用されない。このためハンバーガーを持ちかえれば税率は7%だが、店内で食べると19%のVATがかかる。ところが実際にお客が払う料金は7%の税率で、持ち帰る場合と全く同じだ。これはハンバーグ店が、差額の税金を負担しているからだという。
このようにヨーロッパ各国が軽減税率を適用する範囲、つまり線引きはきわめてキメ細かい。しかも国によって、線引きは千差万別。水道や医薬品の税率をゼロにしている国も少なくない。アイルランドは標準税率が27%でEUのなかでも最も高いが、子どもの服や靴は無税となっている。
これはアイルランドが、子育てを重視していることの象徴。フランスがバターに軽減税率を適用しているのは、国内の酪農家を保護することが目的だ。各国の政策目標が、線引きにも表れていると言えるだろう。こうしたヨーロッパ諸国の事例とは対照的に、日本の線引きはバッサリと「酒類と外食を除く食品」に決められた。何よりも“判りやすさ”を重要視したためである。
(続きは来週サタデー)
≪19日の日経平均 = 下げ -229.63円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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ドイツの標準税率は19%だが、食料品の大半には7%の軽減税率が適用される。しかし外食には適用されない。このためハンバーガーを持ちかえれば税率は7%だが、店内で食べると19%のVATがかかる。ところが実際にお客が払う料金は7%の税率で、持ち帰る場合と全く同じだ。これはハンバーグ店が、差額の税金を負担しているからだという。
このようにヨーロッパ各国が軽減税率を適用する範囲、つまり線引きはきわめてキメ細かい。しかも国によって、線引きは千差万別。水道や医薬品の税率をゼロにしている国も少なくない。アイルランドは標準税率が27%でEUのなかでも最も高いが、子どもの服や靴は無税となっている。
これはアイルランドが、子育てを重視していることの象徴。フランスがバターに軽減税率を適用しているのは、国内の酪農家を保護することが目的だ。各国の政策目標が、線引きにも表れていると言えるだろう。こうしたヨーロッパ諸国の事例とは対照的に、日本の線引きはバッサリと「酒類と外食を除く食品」に決められた。何よりも“判りやすさ”を重要視したためである。
(続きは来週サタデー)
≪19日の日経平均 = 下げ -229.63円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第9章 財政って、なんだろう? ③
◇ 財政支出の内容 = 国は税金や国債で集めたおカネを使って、いろいろな仕事をします。ですから財政の支出も数多くに分けられます。ここでは大きく6つに分けてみましょう。おカネの多い順にならべてみると、社会保障費(しゃかいほしょうひ)、国債費、地方交付税(ちほうこうふぜい)、公共事業費(こうきょうじぎょうひ)、文教・科学振興費(ぶんきょう・かがくしんこうひ)、防衛費(ぼうえいひ)となります。
むずかしい言葉が並んでしまいましたが、感じはわかるでしょう。社会保障費はお年寄りが受け取る年金や健康保険、生活が苦しい人を助ける福祉(ふくし)などに使うおカネ。国債費は国債を買ってくれた人に支払う金利。地方交付税は都道府県や市町村などの地方自治体に分けてあげるおカネ。
公共事業費は道路や高波を防ぐための堤防(ていぼう)などを造る費用。みなさんと直接関係があるのは、文教・科学振興費。学校や科学の研究に使われます。最後の防衛費は、国を守るための費用ですね。国はこういうところにおカネを使って、いろいろな仕事をしているのです。
いま国会で審議中の16年度予算案で財政支出全体に占める割合をみると、社会保障費は33%、国債費が24%。地方交付税は16%、公共事業は6%ぐらい。文教・科学振興費は5.5%、防衛費が5%となっています。あとでもっと説明しますが、国債の金利を支払うための国債費がとても多いことに注目しておいてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ 財政支出の内容 = 国は税金や国債で集めたおカネを使って、いろいろな仕事をします。ですから財政の支出も数多くに分けられます。ここでは大きく6つに分けてみましょう。おカネの多い順にならべてみると、社会保障費(しゃかいほしょうひ)、国債費、地方交付税(ちほうこうふぜい)、公共事業費(こうきょうじぎょうひ)、文教・科学振興費(ぶんきょう・かがくしんこうひ)、防衛費(ぼうえいひ)となります。
むずかしい言葉が並んでしまいましたが、感じはわかるでしょう。社会保障費はお年寄りが受け取る年金や健康保険、生活が苦しい人を助ける福祉(ふくし)などに使うおカネ。国債費は国債を買ってくれた人に支払う金利。地方交付税は都道府県や市町村などの地方自治体に分けてあげるおカネ。
公共事業費は道路や高波を防ぐための堤防(ていぼう)などを造る費用。みなさんと直接関係があるのは、文教・科学振興費。学校や科学の研究に使われます。最後の防衛費は、国を守るための費用ですね。国はこういうところにおカネを使って、いろいろな仕事をしているのです。
いま国会で審議中の16年度予算案で財政支出全体に占める割合をみると、社会保障費は33%、国債費が24%。地方交付税は16%、公共事業は6%ぐらい。文教・科学振興費は5.5%、防衛費が5%となっています。あとでもっと説明しますが、国債の金利を支払うための国債費がとても多いことに注目しておいてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ 下値は確認できた = 日経平均は先週15日、1000円を超える大幅な上昇を記録した。その後は一進一退となったが、この上昇が利いて週間では1015円の値上がり。株価の大幅な反発は日経平均が1万5000円を割り込んだことから、下値拾いの買いが集中したためだ。したがって、この1万5000円が当面の下値になったと考えていい。その半面、1万6000円を超えると売られるというのが現在の状況だ。
東証第1部のPBR(株価純資産倍率)は現在1.09倍。全銘柄の半分以上が1倍を下回っている。だから株価が1万5000円まで下落すると、割安感が一挙に増大するわけだ。しかし株価が1万6000円に上昇すると、その先さらに株価を押し上げる材料が見当たらない。そこで不安感の方が大きくなり、売られてしまう。
ダウ平均は先週418ドルの値上がり。こちらも1万6000ドルを中心に、行ったり来たりしている。ただニューヨーク市場の場合は、原油価格との相関性がしだいに強まってきた。この意味では、サウジアラビアとロシアなどの産油国による生産調整の話し合いが、どんな結果になるのか。G20(主要20か国)会議などより、注視しておく必要があるだろう。
今週は24日に、1月の企業向けサービス価格。26日に、1月の消費者物価。アメリカでは23日に、12月のSPケースシラー住宅価格、1月の中古住宅販売、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。24日に、1月の新築住宅販売。25日に、12月のFHFA住宅価格。26日に、10-12月期のGDP改定値が発表される。なお26-27日には、G20財務相・中央銀行総裁会議が上海で開かれる。
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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東証第1部のPBR(株価純資産倍率)は現在1.09倍。全銘柄の半分以上が1倍を下回っている。だから株価が1万5000円まで下落すると、割安感が一挙に増大するわけだ。しかし株価が1万6000円に上昇すると、その先さらに株価を押し上げる材料が見当たらない。そこで不安感の方が大きくなり、売られてしまう。
ダウ平均は先週418ドルの値上がり。こちらも1万6000ドルを中心に、行ったり来たりしている。ただニューヨーク市場の場合は、原油価格との相関性がしだいに強まってきた。この意味では、サウジアラビアとロシアなどの産油国による生産調整の話し合いが、どんな結果になるのか。G20(主要20か国)会議などより、注視しておく必要があるだろう。
今週は24日に、1月の企業向けサービス価格。26日に、1月の消費者物価。アメリカでは23日に、12月のSPケースシラー住宅価格、1月の中古住宅販売、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。24日に、1月の新築住宅販売。25日に、12月のFHFA住宅価格。26日に、10-12月期のGDP改定値が発表される。なお26-27日には、G20財務相・中央銀行総裁会議が上海で開かれる。
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 動きは出始めたけれど = 産油国の間で、原油の生産調整に向けた動きが出始めた。サウジアラビア、ロシア、ベネズエラ、カタールの石油相が秘密裏に会談。4か国は「生産量を1月の水準で固定する」ことで一致した。このニュースが伝わった先週16日、原油の国際価格は急騰。一時は26ドル台にまで下げていたニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)は30ドル台を回復。ダウ平均株価も大きく上昇した。
この4か国による合意には「他の主要な産油国も同調すること」が条件になっていた。そこで最も注目されたのが、経済制裁を解除されて原油の増産を意図していたイランの出方である。ところが大方の予想に反して、そのイランは「4か国の合意を支持する」との態度を表明した。これでまた産油国による生産調整への期待は、いっそう高まったようにも見受けられる。
だが状況をよく観察してみると、期待は幻に近いことが判る。まずサウジアラビアやロシアの1月の産油量は、過去最高の水準に達している。したがって「1月の水準で固定」できたとしても、全体の産油量は全く減らない。またイランは「4か国の合意を支持」したが、自国も「1月の産油量で固定する」とは言っていない。4か国の合意は結構だから、勝手におやりくださいというのが真意だろう。
では、なぜ4か国は合意したのだろう。特にOPEC(石油輸出国機構)の盟主であるサウジアラビアは、これまで強硬に減産に反対してきた。それが産油量を固定することに賛成したのは、イランの増産を阻止するための牽制球だったのかもしれない。しかし、その背景にある基本的な理由は、産油国がみな原油安の長期化による経済的な苦痛に耐えきれなくなってきたことに求められる。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 上げ +143.88円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この4か国による合意には「他の主要な産油国も同調すること」が条件になっていた。そこで最も注目されたのが、経済制裁を解除されて原油の増産を意図していたイランの出方である。ところが大方の予想に反して、そのイランは「4か国の合意を支持する」との態度を表明した。これでまた産油国による生産調整への期待は、いっそう高まったようにも見受けられる。
だが状況をよく観察してみると、期待は幻に近いことが判る。まずサウジアラビアやロシアの1月の産油量は、過去最高の水準に達している。したがって「1月の水準で固定」できたとしても、全体の産油量は全く減らない。またイランは「4か国の合意を支持」したが、自国も「1月の産油量で固定する」とは言っていない。4か国の合意は結構だから、勝手におやりくださいというのが真意だろう。
では、なぜ4か国は合意したのだろう。特にOPEC(石油輸出国機構)の盟主であるサウジアラビアは、これまで強硬に減産に反対してきた。それが産油量を固定することに賛成したのは、イランの増産を阻止するための牽制球だったのかもしれない。しかし、その背景にある基本的な理由は、産油国がみな原油安の長期化による経済的な苦痛に耐えきれなくなってきたことに求められる。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 上げ +143.88円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 敵対関係にある当事国 = 原油価格が暴落したため、産油国の収入は激減している。最も大きな打撃を受けたのは南米のベネズエラ。外貨収入の減少で、昨年の成長率はマイナス10%に。為替を40%切り下げたことで、ことしのインフレ率は700%にのぼる見通しだ。ロシアも昨年は3.7%のマイナス成長。原油の輸出価格が82ドル以上でないと、財政収支は均衡しないという。いちばん裕福なサウジアラビアでさえも、大量の国債発行を余儀なくされた。
したがって、どの産油国も原油価格の上昇を望んでいることは間違いない。そのためには互いに一致協力して、原油の生産量を減らすことが必要だ。ところが主要な産油国は、いま外交的に厳しく対立している。たとえばOPECの中軸国であるサウジアラビアとイランはともにイスラム国だが、サウジにはスンニ派、イランにはシーア派の教徒が多く、もともと犬猿の仲。サウジがシーア派の指導者を処刑したことで、いま両国は国交を断絶している。
またシリアの内戦を巡っては、サウジは反アサド政権。イランとロシアは、アサド政権を支援する構図が出来上がっている。実際に爆撃し合っているのだから、戦闘状態にあると言ってもおかしくない。こうした関係にある国同士が、原油生産については手を結べるのか。相互の信頼関係がなければ、協定を結ぶことは困難だろう。
こうみてくると、今回の4か国合意が生産調整の第1歩となる可能性は無きに等しい。だが生産調整が実現する可能性は必ずしもゼロではない。各国の外貨収入がさらに減少し経済的な困窮が極限に達すれば、みな真剣に原油の減産方式を考えることになるだろう。ベネズエラを除けば、そこまでの痛みはまだない。ロシアは3500億ドル、サウジアラビアは6000億ドルの外貨準備を保有しているのだから。
(続きは明日)
≪23日の日経平均 = 下げ -59.00円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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したがって、どの産油国も原油価格の上昇を望んでいることは間違いない。そのためには互いに一致協力して、原油の生産量を減らすことが必要だ。ところが主要な産油国は、いま外交的に厳しく対立している。たとえばOPECの中軸国であるサウジアラビアとイランはともにイスラム国だが、サウジにはスンニ派、イランにはシーア派の教徒が多く、もともと犬猿の仲。サウジがシーア派の指導者を処刑したことで、いま両国は国交を断絶している。
またシリアの内戦を巡っては、サウジは反アサド政権。イランとロシアは、アサド政権を支援する構図が出来上がっている。実際に爆撃し合っているのだから、戦闘状態にあると言ってもおかしくない。こうした関係にある国同士が、原油生産については手を結べるのか。相互の信頼関係がなければ、協定を結ぶことは困難だろう。
こうみてくると、今回の4か国合意が生産調整の第1歩となる可能性は無きに等しい。だが生産調整が実現する可能性は必ずしもゼロではない。各国の外貨収入がさらに減少し経済的な困窮が極限に達すれば、みな真剣に原油の減産方式を考えることになるだろう。ベネズエラを除けば、そこまでの痛みはまだない。ロシアは3500億ドル、サウジアラビアは6000億ドルの外貨準備を保有しているのだから。
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≪23日の日経平均 = 下げ -59.00円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 景気と株価を抑える重石に = 原油安でベネズエラに続いて大きな痛手を蒙りそうなのは、ブラジルとナイジェリア。サウジアラビアやロシアが悲鳴を挙げるまでには、まだ時間がかかりそうだ。もっとも仮に国際価格が20ドルにまで落ち込めば、意外に早く「背に腹は代えられない」となるかもしれない。またアメリカのシェールが予想以上に大きく減産することになれば、価格は40ドル以上に上昇するだろう。
いまの世界経済にとって、原油安は大きな重石になっている。産油国の投資ファンドが引き揚げ、株価は頭を抑えられる。新興国からも資金が流出し、経済不安を惹き起こしている。鉄や非鉄などの資源も一緒に値下がりするので、新興国の輸出は減退。先進国のエネルギー産業も赤字に追い込まれた。いまや原油価格の低迷は、世界経済の成長を抑制し、株価の回復を阻害する最大の重石になったと言えるだろう。
原油に対する需要が大幅に伸びることは、現状では全く期待できない。そして供給が減るためには、産油国による生産調整あるいはアメリカの多くのシェール企業が採算割れで操業を停止することが条件になってくる。IEA(国際エネルギー機関)は22日に発表した報告書のなかで「原油は16年も日量110万バレルの供給過剰が続く」「17年も膨大な在庫があるため、価格は上昇しにくい」と予測した。
この予測を受けて、一部には「アメリカのシェール生産が激減する」という見方も強まった。このためWTI価格は急反発、ダウ平均も上昇している。だがイランなどが増産すれば、シェールが少々減産しても埋まってしまう。OPECが本気で生産調整に動かなければ、原油価格の本格的な回復は難しい。原油の重石は、なかなか取れそうにない。
≪24日の日経平均 = 下げ -136.26円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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いまの世界経済にとって、原油安は大きな重石になっている。産油国の投資ファンドが引き揚げ、株価は頭を抑えられる。新興国からも資金が流出し、経済不安を惹き起こしている。鉄や非鉄などの資源も一緒に値下がりするので、新興国の輸出は減退。先進国のエネルギー産業も赤字に追い込まれた。いまや原油価格の低迷は、世界経済の成長を抑制し、株価の回復を阻害する最大の重石になったと言えるだろう。
原油に対する需要が大幅に伸びることは、現状では全く期待できない。そして供給が減るためには、産油国による生産調整あるいはアメリカの多くのシェール企業が採算割れで操業を停止することが条件になってくる。IEA(国際エネルギー機関)は22日に発表した報告書のなかで「原油は16年も日量110万バレルの供給過剰が続く」「17年も膨大な在庫があるため、価格は上昇しにくい」と予測した。
この予測を受けて、一部には「アメリカのシェール生産が激減する」という見方も強まった。このためWTI価格は急反発、ダウ平均も上昇している。だがイランなどが増産すれば、シェールが少々減産しても埋まってしまう。OPECが本気で生産調整に動かなければ、原油価格の本格的な回復は難しい。原油の重石は、なかなか取れそうにない。
≪24日の日経平均 = 下げ -136.26円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 実効性なければマイナス効果も = ①新興国からの資金流出②経済の構造改革③原油価格④為替変動⑤金融政策⑥財政政策――G20(主要20か国)の財務相・中央銀行総裁会議が26-27日の両日、上海で開かれる。そこでは何が議題になるのか。新聞各紙が予想した議題を並べてみると、こんなに沢山ある。いまの世界経済が直面する問題の羅列と言ってもいいほどだ。
だがG20は先進国に新興国を加えた組織。中国やロシア、インドやサウジアラビアまで加わっている。この会議で、何か実効性のある決定を打ち出せるのだろうか。たとえば新興国からの資金流出は、新興国の側が外貨の持ち出しや対外投資を規制しなければ抑えられない。しかし、そんなことをすれば将来にわたって投資資金から敬遠されてしまう。
経済の構造改革は中国を念頭に置いた議題だが、中国が国内の状況をすべて曝け出すことはありえない。金融政策はアメリカの利上げが焦点になるが、FRBは「無理な利上げはしない」と体をかわすだろう。為替変動では「過度の変動は好ましくない」程度の表現では合意できるだろうが、変動の度合いについては決められない。まして原油価格についてはサウジの言い分を聞くぐらいで、各国とも発言のしようがない。
もっとも原油市場に群がる投機資金の規制にまで話が及べば、そのインパクトは大きいに違いない。しかし、その可能性は小さいようだ。結果として20か国の財務相・中央銀行総裁はよく勉強しただけ。現在の世界的な経済不安を軽減できるような対策は何も打ち出せなかったとなると、逆にマイナス効果の方が大きいかもしれない。
≪25日の日経平均 = 上げ +224.55円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だがG20は先進国に新興国を加えた組織。中国やロシア、インドやサウジアラビアまで加わっている。この会議で、何か実効性のある決定を打ち出せるのだろうか。たとえば新興国からの資金流出は、新興国の側が外貨の持ち出しや対外投資を規制しなければ抑えられない。しかし、そんなことをすれば将来にわたって投資資金から敬遠されてしまう。
経済の構造改革は中国を念頭に置いた議題だが、中国が国内の状況をすべて曝け出すことはありえない。金融政策はアメリカの利上げが焦点になるが、FRBは「無理な利上げはしない」と体をかわすだろう。為替変動では「過度の変動は好ましくない」程度の表現では合意できるだろうが、変動の度合いについては決められない。まして原油価格についてはサウジの言い分を聞くぐらいで、各国とも発言のしようがない。
もっとも原油市場に群がる投機資金の規制にまで話が及べば、そのインパクトは大きいに違いない。しかし、その可能性は小さいようだ。結果として20か国の財務相・中央銀行総裁はよく勉強しただけ。現在の世界的な経済不安を軽減できるような対策は何も打ち出せなかったとなると、逆にマイナス効果の方が大きいかもしれない。
≪25日の日経平均 = 上げ +224.55円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 益税が大きすぎる日本 = 買い物をした人が消費税を払っても納税されず、合法的に事業者の利益になってしまう。これが益税と呼ばれる奇妙な制度だ。年間売り上げが1000万円以下の小規模事業者は、納税額がゼロに。また5000万円以下の中規模事業者は簡易課税制度を選択すると、納税額がかなり軽減される。益税の総額は6000億円にのぼると推定され、来年4月に消費税が10%に引き上げられると、その総額はさらに拡大する。
ヨーロッパ諸国にも、益税がないことはない。だが無税となる小規模事業者の年間売り上げ限度は日本より低く、たとえばドイツの場合は238万円以下だ。また簡易課税制度を利用できる中規模事業者も、たとえばイギリスでは2775万円以下。しかも、この方式を利用すると納税の手続きは簡単になるが、納税額は必ずしも安くならないように設計されている。したがってヨーロッパ諸国では、益税が問題になったことはない。
益税や脱税が皆無に近いのは、インボイス(税額票)制度が完全に普及しているからだ。インボイスというのは、個々の商品ごとに値段と税率、税額を記録した請求書あるいは領収書のこと。店員がレジに個々の商品を打ち込むと、自動的にインボイスが作成される仕組みになっている。これで脱税はもちろん、益税も生まれにくくなった。
日本は1989年に消費税を導入したとき、インボイスを義務付けなかった。その結果、いまOECD(経済協力開発機構)加盟33か国中、インボイス制度がない国は日本だけ。政府は21年4月に、インボイス制度の完全実施を予定しているが、その時点でも小規模事業者に対する免税制度は残される見込みだ。
≪26日の日経平均 = 上げ +48.07円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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ヨーロッパ諸国にも、益税がないことはない。だが無税となる小規模事業者の年間売り上げ限度は日本より低く、たとえばドイツの場合は238万円以下だ。また簡易課税制度を利用できる中規模事業者も、たとえばイギリスでは2775万円以下。しかも、この方式を利用すると納税の手続きは簡単になるが、納税額は必ずしも安くならないように設計されている。したがってヨーロッパ諸国では、益税が問題になったことはない。
益税や脱税が皆無に近いのは、インボイス(税額票)制度が完全に普及しているからだ。インボイスというのは、個々の商品ごとに値段と税率、税額を記録した請求書あるいは領収書のこと。店員がレジに個々の商品を打ち込むと、自動的にインボイスが作成される仕組みになっている。これで脱税はもちろん、益税も生まれにくくなった。
日本は1989年に消費税を導入したとき、インボイスを義務付けなかった。その結果、いまOECD(経済協力開発機構)加盟33か国中、インボイス制度がない国は日本だけ。政府は21年4月に、インボイス制度の完全実施を予定しているが、その時点でも小規模事業者に対する免税制度は残される見込みだ。
≪26日の日経平均 = 上げ +48.07円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第9章 財政って、なんだろう? ④
◇ 民間ではできない仕事 = 国はたくさんのおカネを使って、どんな仕事をしているのでしょうか。みなさんも、いくつか考えてみてください。たとえば外国と話し合って、いろいろなことを決める。国を守る。悪い人を捕まえる警察(けいさつ)。大きな道路や公園を造って、管理する。大きな川や港の整備。年金や健康保険。教育、衛生、福祉。科学や芸術を伸ばす方策・・・。
要するに、個人や民間の会社ではできないこと。しかし国民がよい生活をしていくためには、どうしても必要な仕事を国がやっているわけです。そのためのおカネを税金や国債で集め、仕事をすることでおカネを払います。こうした活動を通じて、たとえばお金持ちから集めた税金で貧しい人を助けたり、車を運転する人のおカネで道路を造ったりすることもできるのです。
このような国の収入と支出は、1年ごとに作られる予算で決められます。1年というと、ふつうは1月から12月までですが、予算の場合は毎年4月1日からあくる年の3月31日。この1年間を予算年度あるいは会計年度と呼んでいます。みなさんも「〇〇年度」という言葉を聞いたことがあるでしょう。たとえば現在は、2015年度あるいは平成27年度です。
予算を作る役所は、財務省です。財務省はほかの役所から、どんな仕事をやりたいかのかを聞いて、年末までには次の年度の予算案を作ります。これを基に政府が最終的な予算案を決定し、あくる年の国会に提出。国会はいろいろ議論して、3月末までに承認。そして4月からは、新しい予算が実行に移されるという段取りがふつうの形です。
(続きは来週日曜日)
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◇ 民間ではできない仕事 = 国はたくさんのおカネを使って、どんな仕事をしているのでしょうか。みなさんも、いくつか考えてみてください。たとえば外国と話し合って、いろいろなことを決める。国を守る。悪い人を捕まえる警察(けいさつ)。大きな道路や公園を造って、管理する。大きな川や港の整備。年金や健康保険。教育、衛生、福祉。科学や芸術を伸ばす方策・・・。
要するに、個人や民間の会社ではできないこと。しかし国民がよい生活をしていくためには、どうしても必要な仕事を国がやっているわけです。そのためのおカネを税金や国債で集め、仕事をすることでおカネを払います。こうした活動を通じて、たとえばお金持ちから集めた税金で貧しい人を助けたり、車を運転する人のおカネで道路を造ったりすることもできるのです。
このような国の収入と支出は、1年ごとに作られる予算で決められます。1年というと、ふつうは1月から12月までですが、予算の場合は毎年4月1日からあくる年の3月31日。この1年間を予算年度あるいは会計年度と呼んでいます。みなさんも「〇〇年度」という言葉を聞いたことがあるでしょう。たとえば現在は、2015年度あるいは平成27年度です。
予算を作る役所は、財務省です。財務省はほかの役所から、どんな仕事をやりたいかのかを聞いて、年末までには次の年度の予算案を作ります。これを基に政府が最終的な予算案を決定し、あくる年の国会に提出。国会はいろいろ議論して、3月末までに承認。そして4月からは、新しい予算が実行に移されるという段取りがふつうの形です。
(続きは来週日曜日)
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◇ 強まった原油価格との相関度 = ダウ平均株価は先週248ドルの値上がり。前週に続いて上昇し、終り値は1万6600ドルまで回復した。最大の材料は原油価格の反発。2月初めに26ドル台に下落したWTI(テキサス産軽質油)は、先週末に32ドル78セントまで戻している。この間の株価の動きをみると、完全に連動しているとは言えないが、原油価格との相関性が非常に高くなっている。
原油価格が反発したのは、サウジアラビアやロシアが原油生産量の凍結を提案したためではない。この提案はイランの増産を牽制することが目的で、市場はその効果を全く評価していない。その半面、アメリカの大手シェール会社が赤字に転落したことが判明。このニュースが原油価格を押し上げた。しかし原油価格がさらに上昇すれば、シェール会社は息を吹き返す。そんな矛盾も孕んでいる。
日経平均は先週221円の値上がり。こちらも2週連続の上昇で、終り値は1万6000円を上回った。円高傾向が小休止したことで、下値を拾う動きが活発になっている。だが今後の円相場の動向は予測できない。それに円高の影響がこれから企業の業績面に現われてくる。今週はG20会議の評価から、市場は動き出す。
今週は29日に、1月の鉱工業生産と商業動態統計。1日に、1月の労働力調査、家計調査、2月の新車販売台数、10-12月期の法人企業統計。4日に、1月の毎月勤労統計。アメリカでは29日に、1月の中古住宅販売。1日に、2月の新車販売台数とISM製造業景況指数。4日に、2月の雇用統計と1月の貿易統計。また中国が1日に、2月の製造業と非製造業のPMI。EUが1日に、1月の雇用統計を発表する。
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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原油価格が反発したのは、サウジアラビアやロシアが原油生産量の凍結を提案したためではない。この提案はイランの増産を牽制することが目的で、市場はその効果を全く評価していない。その半面、アメリカの大手シェール会社が赤字に転落したことが判明。このニュースが原油価格を押し上げた。しかし原油価格がさらに上昇すれば、シェール会社は息を吹き返す。そんな矛盾も孕んでいる。
日経平均は先週221円の値上がり。こちらも2週連続の上昇で、終り値は1万6000円を上回った。円高傾向が小休止したことで、下値を拾う動きが活発になっている。だが今後の円相場の動向は予測できない。それに円高の影響がこれから企業の業績面に現われてくる。今週はG20会議の評価から、市場は動き出す。
今週は29日に、1月の鉱工業生産と商業動態統計。1日に、1月の労働力調査、家計調査、2月の新車販売台数、10-12月期の法人企業統計。4日に、1月の毎月勤労統計。アメリカでは29日に、1月の中古住宅販売。1日に、2月の新車販売台数とISM製造業景況指数。4日に、2月の雇用統計と1月の貿易統計。また中国が1日に、2月の製造業と非製造業のPMI。EUが1日に、1月の雇用統計を発表する。
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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