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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
想像を絶する 不況 / アメリカ
2020-05-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 4-6月期のGDPは4割も縮小する = アメリカ商務省が29日発表した1-3月期のGDP成長率は、年率換算でマイナス4.8%だった。新型コロナ肺炎がアメリカで猛威を振るい出したのは、3月も下旬になってから。にもかかわらず、1-3月期のGDPは大きく落ち込んだ。4月以降は、その影響がまるまる現われてくる。議会予算局は、4-6月期の成長率が年率マイナス39.6%になるという試算を発表した。

外出禁止や店舗の営業休止で、1-3月期の個人消費は7.6%減少。企業の設備投資も8.6%減った。この傾向が4-6月期には何倍にも拡大すると、予算局はみているわけだ。同時に雇用情勢も急激に悪化する。予算局は3月に4.4%だった完全失業率が、4-6月期は14%に跳ね上がると試算した。途方もない大不況が、思わぬ形でやってきたと言える。

ただ、こうした成長率の数字はすべて年率換算。この調子が1年間続くと、こうなるという意味だ。したがって秋以降に景気が上昇すれば、20年を通した成長率はずっと改善された数字になる。中国は1-3月期の成長率をマイナス6.8%と発表したが、これは前年同期との比較。アメリカや日本と同様に前期比を年率換算すれば、マイナス34%程度になるはずだ。

さて、日本の成長率はどうなるだろう。内閣府は5月18日に1-3月期のGDP速報を発表する予定だ。これから民間の予測が次々と公表されるが、おそらく年率換算で10%台のマイナス成長となるのではないか。そして4-6月期はさらに悪化すると覚悟しなければならない。それにしても、そうした状況のなかで株価だけが急騰しているのは、どうも異常な感じがする。

       ≪30日の日経平均 = 上げ +422.50円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (8)
2020-05-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ベトナム戦死者を超えたアメリカ = 日本時間1日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は6万1005人で、あのベトナム戦争による戦死者の数を超えた。次いでイタリア、イギリス、スペイン、フランスの順で、いずれも2万人台。あとはベルギー、ドイツ、イラン、ブラジル、オランダと続いているが、これらの国はまだ1万人には達していない。

前週からの増加数でみると、アメリカが1万4220人の増加。続いてイギリスの2597人が多い。注目すべき点は、大半の国での増加数が前週より減ったこと。例外はイギリスとブラジルで、この2国では増加数が増えている。このためアメリカをはじめ増加数が減った各国では、行動規制を徐々に緩和する動きが出始めた。しかしイギリスでは、その動きがない。

日本の死亡者数は469人だった。前週に比べると128人増加している。前週は137人の増加だったから、増加数はやや減っている。しかし、この程度では緊急事態宣言を続けざるをえない。韓国の死亡者数は247人で、前週比7人の増加。中国は4633人で、わずか1人の増加となっている。

アメリカやイタリア、スペインやフランスなども、外出制限や店舗の休業規制を段階的に緩和し始めた。各国ともにその内容はさまざまだが、今後“ぶり返し”が起きないかが最大の心配事に。それとブラジルにみられるように、中南米やアジア、アフリカの新興国では流行が広がらないのか。注目して行く必要がある。

       ≪1日の日経平均 = 下げ -574.34円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   


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投資マネー と 生活マネー (上)
2020-05-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大不況下の株高 = コロナ不況にもかかわらず、世界の株価は高騰している。4月中の値動きをみると、ダウ平均は2400ドル、率にして11%の上昇。日経平均は1277円、6.75%の上昇だった。ヨーロッパ主要国の株価も大幅に上げている。アメリカをはじめ各国で、外出禁止や店舗の閉鎖などの規制が段階的に緩和されることを好感したためだ。

だが実体経済の状態は最悪。アメリカのGDP成長率は1-3月期にマイナス4.8%、議会予算局は4-6月期にマイナス40%という恐ろしい予測を公表した。日本の成長率も、民間の事前予測では1-3月期がマイナス5.2%、4-6月期はマイナス21.7%に落ち込む見通し。当然ながら企業の業績も悪く、通信・半導体・医療などを除けば、大半が減益か赤字決算に苦しんでいる。

にもかかわらず株価が上昇するのは、潤沢な投資マネーのおかげだ。FRBも日銀もコロナ不況対策として、無制限の通貨供給政策をとり始めた。資金はいくらでも供給される。コロナ・ウイルスが終息して経済が再稼働すれば、株価は上がる。それに乗り遅れないようにと、投資家はいまから買い始めていると言えるだろう。

一方、目を転じると、各国政府は生活マネーの供給にも懸命だ。特に店舗の閉鎖で収入が途絶えたパートやバイトは、その日の生活費にも困窮している。このため安倍政権は、国民1人当たりに一律10万円を支給することになった。だが本当に困窮している国民は、何人いるのだろう。おそらく大半の国民は貯蓄を増やすだけ。しかも、そのうちの多くが投資マネーに転用されると考えられる。

                                (続きは明後日)


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投資マネー と 生活マネー (下)
2020-05-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ カネに変わりはないけれど = 投資マネーは赤、生活マネーは青というように、色でも着いていれば判りやすい。だが実際には、どちらも同じおカネだ。しかし、その性格は全く違う。一方は食料や飲料の購入にすぐ使われ、もう一方は貯蓄や投資に回される。それなのに、政府は「エイやっ」とばかりに10万円をばらまいたので、その意図や目標がきわめて曖昧になってしまった。

たしかに投資マネーと生活マネーを、明確に2分することは難しい。たとえば株式投資で儲けた人がそのカネで消費財を買えば、その瞬間から投資マネーは生活マネーに切り替わる。だからおカネに、赤い色や青い色を着けるわけにはいかない。しかし頭のなかで色付けをしてみれば、次のように考えることもできるだろう。

まず赤色マネーの世界。投資マネーの総額は計測できないが、天文学的な大きさになることは確かだ。これに対して株式や原油・金など、あるいは不動産といった投資対象は限られている。このため赤色マネーの世界では、通貨が過剰でインフレに。一方、青色マネーの世界は、製品にしてもサービスにしても競争が激しく供給過剰。だからデフレになる。

日銀をはじめ各国の中央銀行は、無制限におカネを供給し始めた。その一部は中小企業の資金繰りを助け、個人の金利負担も軽減する。しかし大部分は、赤色マネーの世界に流れているのではないか。特に日銀のETF(上場投資信託)買い入れなどは、その典型だろう。それが資本主義の世界と言ってしまえばそれまでだが、何とも違和感が付きまとう。巣ごもり中の皆さんは、どうだろう。

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ
               

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安倍首相 最大のピンチ
2020-05-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 14日の緊急事態解除が難問 = 安倍首相は4日、緊急事態宣言の期間を31日まで延長すると発表した。コロナ感染の現状からみて、やむをえない延長だと考えられる。ただ経済の痛みはそれだけ激しくなるわけで、国民のストレスも強くなって行く。当初は「1か月の延長」と言っていたのを「31日まで」としたのも、緊急事態の期間を少しでも短く感じさせるための戦術だったのだろう。そして「14日には解除できるかどうかを検討する」と約束せざるをえなかった。

ところで明治維新以来の日本で、いまほど自治体の首長が脚光を浴びている時代はない。毎日のようにテレビに映り、その一挙手一投足に国民の注目が集まっている。今回も安倍首相が緊急事態宣言の延長を発表するやいなや、小池東京都知事が中小企業に対する追加支援を打ち出し、吉村大阪府知事は解除に関する大阪モデルを発表した。

安倍首相が専門家会議の意見を聞くなどして同様の政策を表明すると、どうしても知事のアト追いの印象を免れない。これまでの経過からみても、国民の間では「安倍首相の決断はすべて遅い」といった評価が定着しつつある。当然ながら安倍首相は、この点を最も気にしているはずだ。

14日には、解除の程度や方策について決めなければならない。ここでまた知事たちに先を越されると、安倍首相の“遅さ”は決定的なものになってしまうだろう。自民党内からも、批判の声が噴出する公算もある。と言って、知事の先を行くために大胆な解除策を打ち出し、コロナ感染の再発につながれば、これは命取り。安倍首相にとっては、どうにも難しい局面になってきたようだ。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +55.42円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (9)
2020-05-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ イギリスは最悪期、ブラジルは要注意 = 日本時間8日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は7万3435人で、ついに7万人を超えた。次いでイギリスが3万0150人で、3万人台に載せている。続いてイタリア、スペイン、フランスの順で、いずれも2万人台。そのあとはブラジルで、8588人となっている。日本は603人と人数は少ないが、増勢は止まっていない。

前週と比較した増加数は、アメリカが1万2430人。イギリスが4053人だった。ただ、この両国を含めた多くの国で、増加数は前週よりも縮小している。2週続けて縮小した国も少なくない。そうしたなかで増加数が増えたのは、ブラジルと日本。ブラジルは3075人の増加。日本は前週の128人に対して、134人の増加だった。

人口100万人当たりの死亡者数では、いぜんとしてベルギーが732人でトップ。続いてスペインの554人、イタリアの490人などとなっている。全体として最悪期にあるとみられるイギリスが、間もなくこのグループに追いつきそうだ。ブラジルはまだ41人だが、急速に増加しそうで要注意国と言えるだろう。日本は4.75人で、前週より1.06人増加した。

こうした状況のなかで、ほとんどの国が何らかの形で行動規制の解除に向けて動き出した。各国の感染状態や規制解除の方法は、みなまちまち。したがって一概には言えないが、すべてがコロナの抑え込みと経済再開の両立に成功するとは思えない。今後の推移を慎重に見守る必要がある。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +504.32円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】  


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今週のポイント
2020-05-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大不況下での半値戻し = ダウ平均は先週608ドルの値上がり。終り値で2万4000ドルを回復した。2月の史上最高値から3月の安値まで1万ドル以上も急落したが、その53%を取り戻している。一方、日経平均も先週は2日間の営業日で560円の値上がり。こちらも2万円台を回復した。2月の高値からの下落分を52%取り返している。

驚いたのは、週末8日のニューヨーク市場の動きである。この日の朝発表された4月の雇用統計は、目を疑うほどの惨状だった。非農業雇用者数は前月比で2050万人もの減少。失業率は14.7%と、前月より10.3ポイントも上昇した。リーマン・ショックや金融危機どころではなく、1930年代の大恐慌にも匹敵する凄まじさだ。にもかかわらず、ダウ平均はこの日455ドルも上昇した。

専門家はテレビで「雇用情勢の悪化は予想されていたので、市場は織り込み済みだった」と解説していたが、とうてい納得できない。アメリカでは各州でコロナ規制の解除が始まり、経済の正常かが進むと期待されている。その動きに乗り遅れまいとする投資家の買いが株価を押し上げているのだろうが、ある意味では壮大なバブルとしか言いようがない。今週もそんなムードが継続するのだろうか。

今週は12日に、3月の景気動向指数。13日に、4月の景気ウオッチャー調査。15日に、4月の企業物価。アメリカでは12日に、4月の消費者物価。13日に、4月の生産者物価。15日に、4月の小売り売上高と工業生産。5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が12日に、4月の消費者物価と生産者物価。15日に、4月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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家計調査にみる 消費行動の大変化
2020-05-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ゲーム機は2.6倍増、航空運賃は85%減 = 総務省が発表した4月の家計調査によると、2人以上世帯の実質消費支出は平均29万2214円で前年より6.0%減少した。新型コロナによる外出規制を反映したもので、消費増税の反動が出た15年3月以来の大幅な減少となっている。さらに“巣ごもり”の影響で、消費が大きく伸びた品目と大きく減った品目が対照的に浮かび上がった。

その内容を大分類でみると、最も減少したのは被服・履物で前年比26.1%の減少。次いで教養娯楽費が20.6%減、教育費が17.4%減などとなっている。外出を控えたり、学校が休みになったためだろう。前年より支出が増えたのは、住居費、光熱・水道費、それに保険医療費の3項目だけだった。

小分類でみると、最も減少したのが遊園地入場・乗り物代で86.8%の減少。次いで航空運賃が84.7%、パック旅行が83.2%、映画・演劇等入場料が69.6%、鉄道運賃65.2%、宿泊料55.4%などと、軒並み減少した。マスクをしたせいか、口紅の購入も減っている。その一方、増加したのはゲーム機が2.6倍、ゲーム・ソフトが2.5倍。食品ではパスタが44.4%、即席めんが30.6%の増加。トイレット・ペーパーは26.4%の増加だった。

いま外出規制や店舗の休業が、徐々にではあるが解除されようとしている。そんな状態のなかで、こうした消費行動はどう変化してゆくのだろう。外出が増えれば、被服・履物の消費は回復するのだろうか。ゲーム機は一巡すれば伸びは止まりそうだが、ソフトは増え続けるのか。その予測を間違えないことが、今後の会社経営や株式投資にも役立つと思う。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +211.57円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“大恐慌”と どこが違うのか (上)
2020-05-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 不況の長さはずっと短い? = 新型コロナ・ウイルスが経済に与えた打撃は予想以上に大きく、世界経済はいま不況の底に沈んでいる。打撃の強さは金融危機やリーマン・ショックをはるかに超え、90年も前の世界大恐慌に匹敵するという見方が広がっている。たしかに不況の深さは大恐慌に近いかもしれない。しかし不況が続く長さは、コロナ不況の方がずっと短いと言えそうだ。

世界大恐慌は1929年、ニューヨーク株式取引所から始まった。10月24日の大暴落をきっかけに、株価が急落。これが引き金となって、不況の波は世界に広がった。しかも不況は長期にわたって続き、1933年にルーズベルト大統領が大々的な景気対策を打ち出すまで、多くの人々が暗黒の日々を暮らすことになった。

1929-33年の間に、ダウ平均株価は9割も下落した。アメリカのGDPは3割も減少、失業率は最悪の時点で25%に達している。これに対して今回、株価は2月の高値から3月の安値までが37%の下落。しかも現在までに、その半分を取り戻している。ただアメリカのGDP成長率は、4-6月期にマイナス40%に落ち込む見通し。失業率は4月の時点で14.7%、大恐慌が始まった当時の水準に上昇した。

しかしアメリカをはじめ先進諸国は、すでに段階的な経済再開への移行を模索している。このため最悪期は4-6月期で、その後は景気の回復が見込めるようになった。大恐慌のときには不況の最悪期が4年も続いたが、今回はずっと早く立ち直るだろうと期待されている。ただV字型の急回復は難しく、ゆっくりしたペースでの正常化になるという見方が強い。

                              (続きは明日)

       ≪12日の日経平均 = 下げ -24.18円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ
          

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“大恐慌”と どこが違うのか (下)
2020-05-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナ対策を誤ると大恐慌並みに = 世界大恐慌は、株価の大暴落がその発火点となった。今回は言うまでもなく、コロナ・ウイルスの蔓延を防ぐための厳しい外出規制で、経済活動が抑圧されたことが原因。この異常事態に対する警戒感から、株価は下落した。したがって異常事態から脱出できる気配が現われると、株価は反発する。

当時と現在の違いでいちばん大きいのは、各国の政府・中央銀行が不況を克服するための財政・金融政策を手中にしたことだろう。大恐慌の場合は景気対策の手段が確立されておらず、株価の大暴落に際してFRBは金利を引き上げたほどである。現在は政府が財政支出を拡大、中央銀行は無制限の金融緩和に踏み切ったところが多い。

もちろん、各国の経済規模やその水準も当時とは比べ物にならないほど強固になっている。また企業の規模や体質も、強靭になった。個人の資産や生活水準も同じである。要するに不況に対する抵抗力は、格段に強まっているわけだ。それでも90年前の大不況は軍部の台頭を招き、戦争につながった。その教訓は、決して忘れるべきではない。

いま唯一の懸念は、新型コロナ・ウイルスの終息が予想以上に手間取ることである。たとえば経済活動の再開につれて、第2波・第3波の感染が広がる。また先進国の状態が正常化しても、新興国での蔓延が収まらない。こういう状況に陥ると、今回の不況も1930年代の大恐慌に近づいてしまうかもしれない。油断は禁物である。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -99.43円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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TV局の困惑 “密”の収録が出来ない!
2020-05-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 再放送・再編集でどこまでもつか = “3密”からの回避で、テレビ局が弱り果てている。ニュース番組などもキャスターが異常に離れて座り、出演者はリモート中継で窓ワクのなかから喋る。もっともニュース番組は見た目よりも内容が大事だから、これでいいかもしれない。しかし大勢の観客を入れる番組は、収録ができない。音楽やバラエティー番組など、多くが制作中止に追い込まれた。

たとえばNHKの「のど自慢」も収録ストップ。テレビ東京の「鑑定団」もダウン。過去に放送した番組を再編集して、なんとか急場をしのいでいる。旅番組なども、海外へは行けない。国内でも大勢のスタッフが移動することは、かなり難しくなった。なかには観客なしの歌番組も現われたが、どうも盛り上がりには欠けるようだ。

スポーツ番組は、サッカーにしても野球にしても、試合そのものが無くなってしまった。仕方なく過去の名勝負・名場面を映しているが、緊迫感は生まれない。アニメ番組なら関係ないと思っていたら、制作現場が3密のために「サザエさん」の新作が出来なくなったと聞いて驚いた。

ただ再放送・再編集番組が多くなると、制作費はそうとうに安くなる。また外出規制でステイ・ホームなら、テレビの視聴率は上がるはずだ。テレビ局の経営にとっては、大きなプラス材料である。だが再放送も、やがてはネタが尽きてくる。こういう状態にあってもチエを出して新機軸を切り拓いたテレビ局が、コロナ後にはのし上がることになるだろう。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -352.27円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (10)
2020-05-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 規制緩和の結果は2-4週後に = 日本時間15日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は8万4144人、ついに8万人を超えた。この調子だと、間もなく10万人に達するだろう。続いてイギリス、イタリアが3万人台。スペインとフランスが2万人台。そしてブラジルが1万人を超えてきた。中国は4633人、韓国は260人、日本は726人となっている。

前週からの増加数をみると、アメリカは1万0709人の増加。ただアメリカを含めて各国の増加数は、前週よりも縮小した。そのなかでブラジルだけは増加数が拡大、前週比で4688人の増加となっている。このほかロシアや南アフリカ、インドなどでは感染者が急増する兆しをみせており、コロナ・ウイルスとの主戦場は先進国から新興国に移る公算が大きい。

人口100万人当たりの死亡者数では、ベルギーが774人でいぜんトップ。それだけ3-4月のコロナ被害が大きかったことを示している。あとはスペイン、イタリア、イギリスの順。人口の多いアメリカは257人で、全体の7位だった。中国は3.25人で前週と変わらず。韓国は5.07人、日本は5.72人で、初めて韓国を上回った。

こうした状況のなかで、多くの国が規制の解除に動き出した。各国の罹災状況と解除の方法はまちまちだから、一概にその結果を予測することは出来ない。だが成功する国と失敗する国に、大きく2分されるのではないか。その結果は、おそらく2-4週後の死亡者数に表われることになるだろう。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +122.69円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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今週のポイント
2020-05-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
経済再開と経済崩壊の間で = 株式市場は、経済再開に対する期待と実体経済の崩壊に対する不安の間で揺れ動いている。先週のニューヨーク市場では不安の方がやや勝り、ダウ平均株価は週間646ドルの値下がりとなった。投資家が、株価水準と実体経済の乖離を意識した結果だと言ってもいい。その半面、経済再開の動きに乗り遅れまいとする投資家の心理はいぜんとして強い。

FRBのパウエル議長は先週13日の講演で、コロナ不況に対しては「政策手段を最大限に活用する」と強調。と同時に「経済には長期的なダメージが残る可能性がある」と警告した。4月の失業率が14.7%と戦後最悪の水準に上昇したことを念頭に置いた発言だったが、市場はこの後段の部分に注目して大幅に下げている。微妙な市場心理を映し出した場面だった。

日経平均は先週142円の値下がり。こちらも同様に揺れ動いた。円高が進行したときには、経済再開への期待で株高。実際に規制が緩和された時点では、企業収益の悪化が重視されて下げている。今週は18日に1-3月期のGDP速報が発表されるが、市場は織り込み済みと無視するのかどうか。

今週は18日に、1-3月期のGDP速報値。20日に、4月の訪日外国人客数、3月の機械受注。21日に、4月の貿易統計。22日に、4月の消費者物価。アメリカでは18日に、5月のNAHB住宅市場指数。19日に、4月の住宅着工戸数。21日に、4月の中古住宅販売、カンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。なお21日は、東京など8都道府県の緊急事態宣言解除の可否判断。また22日には、中国が全国人民代表大会を開幕する。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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いつの間にか 「第2波は来る」に (上)
2020-05-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ トンネルを抜けたらまたトンネル = 安倍首相は先週14日、愛知・福岡など39県に対する緊急事態宣言の解除を発表した。これにより外出規制や店舗の休業などをどこまで緩めるかは各県知事の判断に任されることになるが、いずれにしても日本経済の正常化に向けて一歩を踏み出したことは間違いない。政府は残りの東京・大阪・北海道・神奈川・埼玉・千葉・京都・兵庫の8都道府県についても、今週21日に判断を下す方針。

緊急事態宣言は4月7日、東京・大阪など7都府県を対象に発令された。これにより各自治体の知事が、法的な根拠に基づいて外出自粛や店舗の休業を強く要請できるようになった。ところが新型コロナ・ウイルスの蔓延が収まらなかったため、ゴールデン・ウィークを前にした4月16日、対象を全国に拡大している。

外出規制や店舗の休業が長引けば、経済は委縮する。失業や倒産が増えて、国民の不満も増大する。幸いコロナ感染の勢いもピークを過ぎたとみられたため、政府も経済再開に一歩を踏み出した。コロナ対策と経済復活との微妙なバランス。いま世界中の国が、このサジ加減に苦慮している。こうしたなかで、今回の緊急事態解除は、専門家の間でも庶民の間でも「まあ妥当だ」という評価を受けた。

しかし、何となく引っかかる点が1つある。それは政府が「コロナの第2波」を“予期”しているように思われることだ。4月7日に緊急事態宣言を発令したとき、安倍首相はいっさい「第2波」には触れていない。ただ「暗いトンネルから抜け出すために」と説明しただけだ。ところが解除を発表した5月14日の会見では「2度目の宣言もありうる」と、第2波の可能性を示唆している。多くの国民にとって「トンネルを抜けると、またトンネルがあるかもしれない」というのは想定外だったのではないか。

                           (続きは明日)

       ≪18日の日経平均 = 上げ +96.26円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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いつの間にか 「第2波は来る」に (下)
2020-05-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ どんな波形を想定しているのか = もちろん「コロナに対する警戒が緩み過ぎると、感染が再発する。だから気を緩めないで」という意味で“第2波”という言葉が使われたのかもしれない。しかし政府は緊急事態宣言の再発令に関する基準を作成したり、その場合の政策費を第2次補正予算に組み込もうとしている。早手回しの準備ならいいが、どうも“第2波”の襲来を予期しているように思われてならない。

その場合、政府はどんな感染の波形が来ると想定しているのだろうか。第2波の山が第1波より高くなるのは論外だとしても、第1波の半分ならいいのか。3分の1ならいいのか。さらに山はだんだん低くなるにしても、第3波や第4波もありうるのか。実際の想定は難しいだろうが、第2波が来る可能性が大きいのなら、それを公表しておいた方がいい。

国民の多くは、緊急事態宣言が一部解除されたことで「これからは事態が徐々に改善する」と感じている。そんな状態で第2波がやってくれば、ショックは大きい。また第2波の可能性を強調しておいた方が、コロナに対する警戒心も強まるに違いない。医療関係者も、次に備えて計画を立てやすくなるだろう。

アメリカやヨーロッパの主要国は、いま競ってコロナ規制の解除に動いている。経済再生が最優先事項になったためだが、その根底には大きなリスク、つまり第2波の発生は避けられないという考え方がある。国民の多くも理解しているようだ。安倍内閣も「いつの間にか、第2波」でなく、コロナとの「長い戦い」の本当の意味を国民に知ってもらった方がいい。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +299.72円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気後退は まだ序の口 ; 1-3月期GDP
2020-05-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 4-6月期は未曽有の大不況に = 内閣府は18日、ことし1-3月期のGDP速報値を発表した。それによると、年率換算した実質成長率はマイナス3.4%だった。前期に続いてのマイナス成長で、欧米流に言えば「景気後退入りが確認」されたことになる。ただマイナスの幅は、消費増税の影響をフルに受けた前期のマイナス7.3%よりは小さかった。

GDPを構成する主要項目をみると、いずれも年率換算で個人消費はマイナス2.8%、企業の設備投資はマイナス2.1%、住宅投資はマイナス16.9%。輸出はマイナス21.8%と、大きく減少した。1-3月の段階では、コロナ対策としての外出自粛や店舗の休業要請などは行われていない。ただ中国では都市封鎖も実施されたから、輸出が激減した。

安倍首相が最初に緊急事態宣言を発令したのは、4月7日だった。人々が外出を自粛し、多くの工場や店舗が休業した。このため消費や生産が急減、経済活動は一気に縮小している。またアメリカをはじめ世界各国がコロナ規制に乗り出したため、日本の輸出環境はいっそう悪化した。こうして4-6月期は、歴史的な景気後退期に入っている。

民間調査機関の予測を平均してみると、4-6月期の実質成長率は年率マイナス21%になるという。単純に計算すると、100兆円以上の価値が失われることになる。もっとも、これは年率計算。しかし4-6月期だけでも、25兆円以上の富が消失してしまう。その後7-9月期には回復に向かうと予想されているが、V字回復は望めないというのが専門家の一致した見方だ。平時への道のりは遠い。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +161.70円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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コロナが憎い トランプ大統領
2020-05-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大統領選挙まで薄氷の半年間 = トランプ大統領は先週、放送記者のインタビューに答える形で「中国と完全に断交することは可能かどうか、思案している」と発言した。トランプ氏の暴言癖は周知のとおりだが、この発言には驚いた人が多い。なぜ、こんな物騒な発言が飛び出したのか。原因はコロナ・ウイルスと半年後に近づいた大統領選挙にあるようだ。

アメリカでは今週までに全国50州のすべてが、何らかの形でコロナ規制を緩和した。このままでは、経済が崩壊してしまうと心配されたからである。トランプ大統領は早くから各州に対して経済活動の再開を要請していたが、それは景気の回復が遅れれば遅れるほど、11月の大統領選挙では不利に働くと考えられるためだ。しかし現状では、景気が早期に回復する保証はない。

逆にコロナ・ウイルスの感染が、再発する危険性もかなり大きい。もし第2波が予想より大きくなれば、大統領の責任が追及され、これも票の喪失につながりかねない。要するに、どちらに転んでも選挙は苦しくなる。その元凶はコロナ・ウイルスだ。そのウイルスを世界にまき散らしたのは、中国に違いない。その中国寄りのWHO(世界保健機構)も同罪だ。

これがトランプ氏の心情だろう。さらにアメリカ国民の多くが、中国のウイルス情報隠しを批判している。この際は中国に強く当たった方が、有権者の共感を得やすい。こんな計算も働いたに違いない。ウイルスがこのまま終息に向かい、景気はV字型に回復。中国はアメリカの農産物を大量に買う。トランプ氏は頭のなかでこんな道筋を描いているのだろうが、その道は狭く険しそうだ。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -42.84円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (11)
2020-05-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 人種によって抵抗力に差? = 日本時間22日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は9万3439人。断トツに多く、おそらく来週には10万人を突破するだろう。続いてイギリスとイタリアが3万人台。フランスとスペインが2万人台。あとはブラジルが1万8859人へと急増した。ブラジルも来週は2万人を超えるものと思われる。

前週からの増加数をみると、アメリカが9295人。ただ週間の増加数は、やや縮小した。イギリスやフランスなどヨーロッパ主要国の増加数も、すべて縮小している。しかしブラジルだけは5583人の増加で、死亡者数はむしろ拡大した。このほかロシア・インド・インドネシアの死亡者数が、増える傾向にある。

こうした動向を背景に、アメリカやヨーロッパ主要国は一斉に外出制限などの規制緩和に乗り出した。国や地域によって緩和の方法や程度が違うので一概には言えないが、どこの国や自治体も「第2波は必ずやってくる」と覚悟しているように見受けられる。すでにアメリカのフロリダ州などでは、感染者も死亡者も増えてきた。次の注目点は、第2波の波の高さになってくるだろう。

中国の死亡者は1人、韓国は4人、日本は86人だった。欧米諸国に比べると、極端に少ない。この欄では以前、ウイルスが変異して毒性を強めたのではないかと推測した。この推測は、学者の研究によって実証されつつある。ところが、こんどは「人種によって抵抗力に差があるのでは」という研究が始まったという。新型コロナ・ウイルスというのは、実に不可解なヤツである。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -164.15円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】     


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今週のポイント
2020-05-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ナスダックは高値を更新できるのか = 景気の急降下をよそに、株式市場は相変わらず上を向いている。ダウ平均は先週780ドルの値上がり。4月末の水準に戻った。アメリカ経済の活動再開やワクチン開発などに対しては大きく反応。失業者や倒産の増大、あるいは米中関係の緊迫化にはあまり驚かない。一種のカネ余り相場が続いている。

日経平均も先週は351円の値上がり。このところ2万円ー2万0600円のボックス圏での上下が続いている。こちらも戦後最大の不況には目をつぶり、ニューヨークの市況や経済再開のニュースで上げた。しかし外国人投資家は先週まで14週連続で売り越している。その累計は8兆円にも達した。これを埋めたのは、日銀の買い入れと個人の出遅れ物色買いである。

ニューヨーク市場では、ナスダックの勢いがいい。3月下旬の安値6861から、先週は9325まで上げている。アップルやアマゾンなどコロナ肺炎による影響がないIT銘柄が、上げを主導した。ただ、さすがに高値警戒感も強まっている。2月に付けた史上最高値9817を抜けるかどうか。それによってダウ平均の方向も決まりそうだ。

今週は26日に、4月の企業向けサービス価格、3月の全産業活動指数。29日に、4月の労働力調査、商業動態統計、鉱工業生産、住宅着工戸数、5月の消費動向調査。アメリカでは26日に、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数、4月の新築住宅販売。28日に、1-3月期のGDP改定値、4月の中古住宅販売が発表される。

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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好調ナスダックの 秘密
2020-05-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ITの巨大企業がそろって上場 = アメリカでは大恐慌並みの失業者が出ているのに、株価は下がらない。とりわけ元気なのがナスダック市場だ。先週末の株価指数は9325ポイント。あと410ポイント上昇すれば、2月に作った史上最高値を更新する。どうして、こんなに強いのか。その原因を探ってみた。

ナスダック市場は1971年に、ベンチャー向けの株式市場として設立された。そのときの指数を100としているから、現在は93倍にも上昇しているわけだ。約3000社が上場しているが、その大半はIT企業。なかでも数社は巨大企業に成長した。たとえば頭文字をとってGAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。この4社の時価総額は、合計するとイギリスのGDPを上回っている。

IT企業の多くは、今回のコロナ騒ぎの被害を受けていない。逆に遠隔通信や通信販売の増加が、経営的には追い風となっているところが多い。このため株価は上がり、ナスダック指数を押し上げた。一方、コロナ蔓延で減益となった企業も少なくない。それだけ投資対象が減ったわけで、その分の資金がIT関連に集中したことも見逃せない。

しかし市場には、高値警戒感も出始めている。なにしろナスダック全体のPER(株価収益率)は、先週末で41.68倍にも達しているからだ。このカベを突き破って、指数が史上最高値を更新できるかどうか。市場はいま最大の関心を寄せている。ナスダックが新天地を切り拓けば、ダウ平均も勢いづく。そうなれば日経平均も、引っ張り上げられるだろう。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +353.49円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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みんなで借りれば 怖くない!? (上)
2020-05-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 麻生財務相と黒田日銀総裁の“密約” = 政府は緊急事態宣言が全面的に解除されたのを機に、追加のコロナ対策を盛り込んだ20年度第2次補正予算案を編成、国会に提出する。店舗の休業などでバイト先を失った学生への生活支援、中小企業への家賃補助、雇用調整給付金の増額などが中心。財政支出の規模は30兆円前後になるとみられている。

コロナ対策のための第1次補正予算は、すでに成立している。全国民への10万円給付を中心に、財政支出の総額は25兆6914億円だった。第2次補正予算と合計すれば、20年度の補正予算額はなんと55兆円。本予算の5割を超える。さらに第3次補正の可能性も小さくはない。政府はこれらの財源を、すべて国債の新規発行で賄う方針。

麻生財務相と黒田日銀総裁が22日、都内で会談した。そのあと発表された共同談話では「コロナ感染の拡大に対応するため、政府と日銀は一体となって取り組む」姿勢を強調している。だが、そんなことは当たり前で、いまさら強調する意味はない。ここでは政府が新たに発行する55兆円もの国債を、どうやって日銀が引き受けるか。その方法論を確認したに違いない。

新規国債をすべて市場で売り出せば、国債価格は暴落し、長期金利が高騰する危険がある。と言って国債の大半を日銀が直接引き受ければ、どういう弊害があるのか。日銀はすでに495兆円の国債を、市場から買い入れ保有している。このうえ55兆円を一挙に買い増せば、市場は混乱するかもしれない。財務相と総裁は、直接引き受けの方向で話し合ったのではないか。

                            (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +529.52円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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みんなで借りれば 怖くない!? (中)
2020-05-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 受け入れられなかった経済理論 = ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のフリードマン教授が、1960年代に提唱した「ヘリコプター・マネー」学説。政府が発行する国債を中央銀行が引き受ければ、ヘリコプターからおカネをバラまくように、いくらでも景気対策を拡大できるという理論だ。この学説は2016年になって、アメリカを中心に大々的な議論を呼んだ。また昨年は同じような趣旨のMMT(現代金融理論)が、アメリカ議会で検討されている。

いずれも政府の財政赤字が積み上がり、景気対策の原資にもコト欠くようになったことから議論された。しかし結果は惨憺たるもの。多くの有識者は「非現実的な理論だ」と、一蹴した。たとえば昨年のアメリカ議会では、パウエルFRB議長も「この理論は誤りだ」と明確に証言している。こうして、これらの学説は葬り去られたかのようにみえた。

ところがコロナ不況に見舞われた現在、アメリカも日本もヨーロッパ主要国も、みな撃墜されたはずのヘリコプターに乗っている。中央銀行が政府の国債を買い入れ、そのカネで景気対策を実施する。あの財政規律にやかましかったドイツのメルケル首相でさえも、いまや同乗者になった。コロナ不況を克服するためには、ほかに手段がなかったからである。

こうして現在までにアメリカは6兆ドル(約660兆円)、ドイツは7600億ユーロ(約88兆円)、日本も約40兆円のコロナ対策費を捻出した。支出は今後さらに増える見込みだ。こうした膨大な財政支出について、いま批判の声を挙げる人はいない。仕方がないと考えるしかないのだろう。しかし結果的に、重大な副作用はないのだろうか。

                             (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 上げ +148.06円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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みんなで借りれば 怖くない!? (下)
2020-05-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 安全性が確認できれば不況はなくなる? = かつてヘリコプター・マネー理論やMMTは、有識者からその弊害を指摘されて敗退した。指摘された弊害は、大別すると3つ。まずコントロール不能のインフレを巻き起こす危険。次に国債価格の急落を招き、長期金利が急騰する危険。そして国家に対する信任が低下し、通貨が暴落する危険である。だから新しい理論は「誤りだ」と断定された。

たしかに従来の経済学では、通貨の供給が増えれば物価は上昇することが常識だった。だがMMTを信奉するアメリカの経済学者はこう言った――「日本では日銀が国債を購入して大量の通貨を供給しているが、デフレだ」と。しかし「なぜ、そうなのか」は、まだ解明されていない。したがって、こういう政策を長く続けてもインフレにならないという保証もない。

国債を大量に発行すれば、価格は下がる。しかし中央銀行が買い取ってしまえば、価格はむしろ上昇する。この点も、日本が実証した。為替相場の下落は、一国だけが国債を大量発行すれば起こるだろう。だが主要国が一斉に大量の国債を発行すれば、起こりにくいのではないか。つまり「みんなで借りれば怖くない」わけだ。

もし政府が国債を大量に発行しても、中央銀行が直接引き受けてしまえば弊害はない。このことが証明されれば、世界は大変わりするだろう。政府はいくらでも景気対策を打ち出せるから、景気後退や不況はなくなる。コロナはそれを検証する機会を与えてくれたのかもしれない。いま医療関係者は文字通り懸命の努力を続けている。経済学者はポカンとしていていいのだろうか。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +497.08円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (12)
2020-05-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 危ないのはブラジルとアメリカ = 日本時間29日午前0時の集計。アメリカの死亡者数が、ついに10万人を超えた。この3か月間で亡くなった人の数だから、驚くべき事態である。続いてイギリス、イタリアが3万人台。フランス、スペインが2万人台。そこへブラジルが急増して、2万5000人の死亡者を出している。あとはベルギー、ドイツ、イラン、カナダの順。

この1週間の増加数は、アメリカが7030人でまだ多い。それでもブラジル以外は、増加数が前週よりも縮小している。100万人当たりの死亡者数をみると、アメリカは307人、ブラジルは122人と上昇してきた。対照的にアジア各国の比率は極端に小さく、たとえば中国は3.25人、韓国は5.2人、日本は7.05人となっている。

全体的にみて、イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国のコロナ禍はピークを超えたように思われる。代わって最悪期に入ったのがブラジル。まだまだ死亡者は増大しそうだ。これから冬を迎える南半球だけに、近隣のアルゼンチンなどに感染が拡大しないか心配される。

アメリカは意外に早く、第2波の襲来に見舞われそうだ。感染者は170万人を超え、まだ1週間に15万人近く増加している。にもかかわらず、全米50州がすべて行動規制の解除に踏み出した。その結果、半数以上の26州で感染者数が増加し始めた。この第2波が第1波程度の大きさになると、アメリカはまた同じ悲劇を繰り返すことになる。とても危ない。

       ≪29日の日経平均 = 下げ -38.42円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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