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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
薄明りも見える 不確実性の時代 
2022-01-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 22年度の成長率は3-4%に上がる? = ことしは、どんな年になるのだろうか。政府が策定した経済見通しによると、22年度の実質成長率は3.2%。2010年度以来の高い伸びになる。この結果、22年度の実質GDPは556兆8000億円で過去最大になる見込み。コロナ収束後の消費回復と超大型の財政支出が、その原動力。個人消費は4.0%、企業の設備投資は5.1%伸びると予測した。

民間の予測も、政府と大きくは変わらない。日経が37人のエコノミストに聞いたところ、22年度の成長率見通しの平均値は3.03%だった。また三菱総研は3.1%、大和総研は4.0%と予測した。2011年度からの10年間、日本の実質成長率は年平均0.4%にも達しなかった。したがって仮に3-4%の成長が実現すれば、景気は久しぶりに明るくなるだろう。

興味深いのは、政府の経済対策に対する評価の違い。政府は一律10万円の給付だけで、22年度の成長率を3.6%押し上げると試算している。ところが日経センターは財政効果を1.79%、三菱総研は0.5%分しかみていない。おそらく給付金が貯蓄に回る割合を、民間は高いと判断したのだろう。にもかかわらず民間の成長率見通しが高いのは、コロナの収束に期待をかけているためのようだ。

ただコロナの状態がどうなるかは、現状では予測不能だ。このため民間はすべて「コロナ情勢が悪化すれば、見通しは下方修正される」という但し書きを付けている。ほかにも金利の動向、米中関係、異常気象、脱炭素とエネルギー問題など、予測は難しい。しかし3-4%成長という目標も出現した。薄明りの見える不確定時代と言えるだろう。



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世紀の対決 : 引き締め政策 vs 株価
2022-01-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 恐ろしいのはFRBの資産売却 = 金融緩和・財政出動・経済再開の三拍子が揃って、世界の株価はこれまで大幅高を演じてきた。だが、ここへきてインフレ傾向が強まり、各国の中央銀行は引き締め姿勢に転じつつある。ことしの株価にとっては、金融引き締めが最大の‟難敵”となるに違いない。その象徴はアメリカ、FRB vs ダウ平均株価の熾烈な対決が展開されることになりそうだ。

すでにFRBは金融緩和政策の縮小を開始、ことし3月までには終了する予定だ。もちろん物価や雇用の動向に大きな変化を生じれば、この予定は前後に変更されることがある。しかし現在の経済動向からみると、緩和政策は3月に終了される公算が大きい。その後は早ければ4月から、政策金利の引き上げもありうると観測されている。

いまのところ市場は、こうした状況を冷静に受け止めている。なにしろニューヨーク市場には、膨大な資金が集積されているから心強い。たとえば、いつでも市場に投入される待機資金であるMMFの残高は4兆6360億ドル(530兆円)にのぼる。縮小されるといっても、3月までは資金が放出される。その後も利上げは小幅、しかもゆくりしたペースで行われるだろう。

だがFRBは、いつから資産の売却を始めるのだろうか。この点について、FRBはこれまで全く触れていない。仮に毎月500億ドルの国債を売り戻せば、市中のおカネはそれだけ減少する。特に不明瞭なのは、それが市場に与える心理的な影響だ。ことしの株式市場は、かつて経験したことがない金融当局との‟対決”に身構えなければならない。

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ



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不可解な RCEP報道の解説
2022-01-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本のメリットが最大でいいのか? =日本・中国・韓国とASEAN(東南アジア諸国連合)が参加するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定が、元日に発効した。国と国とが互いに関税を軽減・撤廃して貿易量を増やそうとするのが、いわゆるFTA(自由貿易協定)。このFTAを15か国がいっぺんに結んだのが、RCEPだ。同様の多国間協定としては日本やオーストラリアを中軸とするTPP(環太平洋経済連携協定)もあるが、RCEPの方が規模は大きい。

なにしろ15か国の総人口は、およそ23億人。GDPの総合計は約26兆ドルで、いずれも世界全体の3分の1を占める。関税は即時に撤廃される品目と段階的に軽減される品目に分かれるが、工業製品の関税は91%の品目が即時撤廃あるいは段階的に軽減される。たとえば中国の輸入関税は現在8%だけの無関税品目が86%に拡大。韓国の無関税品目も19%から92%に拡大される見込み。

新聞各紙は、このような記事を大々的に掲載した。だが不可解なのは、その解説記事。各紙とも「日本が最も大きな利益を享受する」と説明している。おそらくは外務省や経済産業省のレクチャーを、そのまま伝えたのだろう。その裏付けとして、UNCTAD(国連貿易開発会議)の試算を掲載した新聞もあった。その内容は「この協定で域内貿易額は420億ドル増加し、日本の輸出額は19年比で5.5%増える」というもの。

たしかに日本の輸出先としては中国が最大、韓国は第3位だ。しかし日本と中国、韓国との関係はいま必ずしも良好とは言えない。その中国や韓国が「日本が最大のメリットを受ける」協定を、よく承認したものだと思う。東南アジア諸国にしても、日本有利の協定に反発しなかったのだろうか。もしかすると、裏で無償援助などの取り引きがあったのでは、と勘ぐってしまう。余計な心配なら、いいんだが・・・。

        ≪4日の日経平均 = 上げ +510.08円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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2000兆円の 光と影 : 個人の金融資産
2022-01-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 貧富の格差は広がるばかり = 日銀の集計によると、個人の金融資産は昨年9月末で1999兆8311億円になった。前年より5.3%増え、過去最大を更新した。金融資産は1990年に1000兆円を超えたから、30年間で2倍になった計算。株価上昇の影響が最も大きく、円安によるドル資産の評価高も貢献した。アメリカの個人金融資産114兆ドル(1京2900兆円)には遠く及ばないが、それでも世界第2位の大金持ちとなっている。

資産の内容をみると、現金・預金が相変わらず多く、総額は1072兆円。前年より3.7%の増加だった。このうち現金の保有額は102兆円、預金は969兆円となっている。コロナ禍による消費の抑制も、現金・預金の保有額を増やしたと考えられる。株式の保有時価総額は218兆円で、前年より28.6%の増加。投資信託も90兆円で、24.0%増加した。

家計部門が豊かさを増していることは、喜ぶべきだろう。しかし、その影の部分もしだいに濃くなってきた。影というのは、貧富の差である。大量の株式を購入した人は、株価の上昇で大いに儲かった。この人たちの所得増が、金融資産の総額を押し上げている。だがその一方で、株を買う余裕のない人も少なくない。20年の家計調査によると、貯蓄が300万円未満の家庭は全体の25%を超えている。

個人の預金は1000兆円に近い。その多くは高齢者による預金で、老後の生活のために蓄えている。だから消費には回らない。もし、この預金に年1%の利子が付いたらどうだろう。年間10兆円の利子収入があれば、その半分ぐらいは消費に回るのではないか。日銀の超金融緩和政策は株価を押し上げ、一部の金持ちの資産を増大した。その一方で多くの人々の金利収入を奪ってきたと言えるだろう。

        ≪5日の日経平均 = 上げ +30.37円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ



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中国式企業倒産の 不思議
2022-01-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 生殺しになった恒大グループ = 香港の金融取引所は3日から4日にかけて、経営難に陥っている中国の最大手不動産企業・恒大グループの株式売買を一時停止した。理由は明らかにしていないが、昨年末に期限が来ていた2億5000万ドルあまり(約290億円)の債券利子を支払わなかったことと関係があるとみられている。またネット上では「地方政府が恒大グループの解散を指示した」というニュースも流れた。

恒大グループは巨額の債券を発行、その資金で土地や不動産を開発。短期間のうちに巨大企業に成長した。しかし中国政府が昨年夏、金融機関に対して不動産融資の抑制を指示したことから経営難に。負債総額は2兆元近くに達している。保有する関連企業や土地・不動産を切り売りすることで、元建て債券に対する利子だけは支払ってきた。しかしドル建て債券の利子は支払わないことも多く、格付け会社からは「部分的デフォルト」と認定されている。

すでに中国地産集団などの関連企業、それに下請け会社など数社が倒産した。恒大グループの株価は、昨年89%も下落した。にもかかわらず恒大グループという企業は存続し、株式も売買されている。そして市場にも、動揺は全く見られない。欧米や日本では、ありえない光景である。なぜなのか。

恒大グループを経営難に陥れたのは政府であり、その後の処理も政府が陰で糸を引いている――中国では、こう信じられている。不動産バブルに警鐘を鳴らすため、政府は「恒大を見せしめ」にした。しかし大事件に発展すれば、政府に火の粉がかかる。だから大火事にはならないよう、政府がちゃんとコントロールする。投資家はこう確信して、動揺することはない。まことに不思議な国である。

        ≪6日の日経平均 = 下げ -844.29円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ



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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (94)
2022-01-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ オミクロンなら都市封鎖はせず = 感染は異常に速いが、重症化率は低い。オミクロン変異ウイルスの特徴が、数字のうえにも顕著に表れてきた。世界の感染者は2億9786万人、この1週間で1328万人増加した。この増加数は過去最大。しかし死亡者は546万5502人で、4万3096人の増加にとどまっている。この増加数は、前週よりやや少ない。こうしたオミクロン株の特徴をみて、各国の政府は都市封鎖などの極端な行動規制を避けている。

アメリカの新規感染者は1日で100万人、フランスは32万人、イギリスは25万人、イタリアは18万人を超えた。いずれも過去最大の拡大ぶりである。死亡者の増加数も、この1週間ではアメリカが9000人、フランスが1400人、イギリスが1200人、イタリアが1100人を上回った。決して少ない数ではないが、感染者の増加数に比べれば勢いは弱い。このため各国はワクチン接種を急ぎ、規制は最低限度にとどめている。特にイギリスは、水際対策まで緩和した。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計83万2148人。次いでブラジルが61万人台、インドが48万人台、ロシアが30万人台、メキシコが29万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。このうち死亡者数が前週より拡大したのは、イギリス・イタリア・フランスだった。

日本でもオミクロン株の感染が広がり、コロナ第6波の到来が確実となった。感染者は累計174万3790人、この1週間で1万0729人増加した。前週の4倍以上となっている。死亡者は1万8397人で、増加数はわずかに6人。政府は沖縄・山口・広島の3県に「まん延防止等重点措置」を適用した。しかしオミクロンは、まだまだ拡大するだろう。そのとき政府は「緊急事態宣言」にまで踏み切るのかどうか。岸田首相は正念場を迎えている。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -9.31円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】     



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今週のポイント
2022-01-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ FRBショックでいったん下げる = ダウ平均は先週107ドルの値下がり。年末年始の消費が堅調だったことから、景気や企業業績の先行きが明るくなり、週初は株高となった。4日には3万6800ドルまで上昇、新高値を更新している。しかし5日になって、FRBが「引き締めのテンポを加速する」姿勢であることが判明し、反落に転じた。特に保有資産を売却する‟量的引き締め”が早まるという観測が、市場にショックを与えている。

日経平均は先週313円の値下がり。こちらも4日の大発会には500円以上も上げ、4年ぶりに明るいスタートを切っている。円安が進行しても、輸出関連銘柄が物色されただけで悪材料にはならなかった。しかし6日には、ニューヨーク市場の反落が響いて844円も下落している。オミクロン株の異常な急拡大も不安材料となった。

ニューヨーク市場では「超金融緩和相場の終わり」という見方と「巨額の投資資金があるから大丈夫」という考え方が交錯しているようだ。今週はどちらの力が勝るかによって、株価の方向が決まるだろう。ただ2つの考え方が競合して、株価の振動は大きくなるかもしれない。注意点は物価の動向。また東京市場は、オミクロン株に対する警戒感が強まる可能性が大きい。

今週は11日に、11月の景気動向指数。12日に、12月の景気ウオッチャー調査。14日に、12月の企業物価。アメリカでは12日に、12月の消費者物価。13日に、12月の生産者物価。14日に、12月の小売り売上高と工業生産、1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が12日に、12月の消費者物価と生産者物価。14日に、12月の貿易統計を発表する。

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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FRB の 引き締め行程表 (上)
2022-01-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最速なら資産の売却は4月にも = FRBは先週、12月に開いたFOMC(公開市場委員会)の議事要旨を公開した。これで明らかになったのは「従来の想定より速いペースで利上げする可能性」「利上げ開始直後に量的な引き締めも」というFRBの姿勢だった。市場はすでに「速いペースでの利上げ」は織り込んでいたが、「量的な引き締め」については虚を突かれた形。株価は大きく下落し、金利は急騰した。

金融引き締めに関するFRBの行程表は、大別して3つの政策から成っている。その第1は「量的緩和の縮小」だ。これまで市場から国債と住宅ローン証券を毎月1200億ドルずつ買い入れてきたのを、しだいに縮小する。第2は「政策金利の引き上げ」で、現在のゼロ金利から脱却する。第3が「量的引き締め」で、これまでに買い取った国債や住宅ローン証券を市場で売却。その分だけ資金がFRBに吸収されることになる。

問題はこうした3つの政策を、いつ実行するかである。FRBはこれまで「量的緩和の縮小は3月に終了し、利上げは4月にも行うかもしれない」と表明してきた。それが想定より速いペースで利上げするとなれば、3月の実施が視野に入ってくる。すると量的な引き締めは、早ければ4月にも開始される可能性が出てきたわけだ。市場に衝撃が走ったのは、このためである。

FRBが行程表の実施スピードを上げようとしている裏には、物価と雇用の動向がある。アメリカの消費者物価は11月に6.8%と39年ぶりの上昇率を記録した。(12月の統計はきょう12日に発表される)。その一方で、12月の失業率は3.9%にまで低下した。金融引き締めを急いでもいい条件が整ったと考えられる。こうして金融環境は一変したが、市場はどう対応しようとしているのだろうか。

                           (続きは明日)

        ≪11日の日経平均 = 下げ -256.08円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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FRB の 引き締め行程表 (下)
2022-01-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 潮目が変わったことは確かだが・・・ = 国債と住宅ローン証券を毎月1200億ドルずつ買い続けてきたため、FRBの保有資産は8兆7000億ドル(約1000兆円)に膨れ上がった。量的引き締めではこれを市中に売り戻すわけだが、いったい毎月どのくらいの規模で売るのだろう。規模が大きければ、金融は一気に引き締まりかねない。だから市場としては、小幅な政策金利の引き上げよりも、こちらの方が気にかかる。ただ現時点では、その規模を推測するための手がかりは全くない。

市場では「超金融緩和相場は終わった」という見方も強まっている。しかし、その一方では「まだ株価が上昇する余地はある」という強気論も衰えてはいない。なにしろチャンスがあれば買い出動に向かうMMF資金だけでも、4兆6360億ドル(530兆円)を上回る。このおカネはFRBが緩和政策で放出した資金を、市場が貯め込んだものと言ってもいい。

真実は強気と弱気の中間にあるのだろう。ただし潮目が変わったことは確かだから、銘柄の選別はより強まるだろう。たとえば、これまで買われすぎたIT銘柄などは売られるから、今後はPER(株価利益率)が重視されるに違いない。そして買われるのはインフレに強い銘柄、あるいは景気に左右されにくい銘柄だということになりそうだ。

日本への影響はどうだろう。まずは円安の進行。FRBの議事録公表でアメリカの長期金利は1.8%と2年ぶりの高さに上昇、円の対ドル相場は116円台まで下落した。またニューヨーク市場で銘柄選別が厳しくなると、日本株の出遅れ感が強まるかもしれない。もう1つ、アメリカの金融引き締めが新興国に与える影響も無視できない。それが日本経済に跳ね返る危険性にも、目を光らせる必要があると思う。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +543.18円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ



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中途半端な 東証の市場改革
2022-01-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 看板を塗り替えただけに終わりそう = 東京証券取引所は4月4日に、市場の再編成を実施する。現在は1部・2部・マザース・ジャスダックの4市場制だが、これをプライム・スタンダード・グロースの3市場制に変更する。このうちプライム市場は国際的に活躍する大企業、スタンダードは主として国内で活動する企業、グロースは成長が見込まれる新興企業が中心。こうして3市場の特色をはっきりさせ、内外の投資家を呼び込むことが目的だ。

その前提として東証は11日、全上場企業3777社の移行先を公表した。それによると、プライム市場には1841社が上場。東証1部の約85%が移行する。またスタンダードは1部の344社を含む1477社、グロースはマザースとジャスダックから459社が移行することになった。だが、この発表をみて「なんだ、これは」と感じた人は少なくなかったに違いない。

まずプライムの企業数が多すぎる。これでは現行の1部市場とあまり変わらない。もっと条件を厳格にして、たとえば1000社ぐらいに絞らなければ、プライムの価値が上がらないのではないか。またスタンダード市場の性格も、全く曖昧なものとなってしまった。国内で活躍する企業の市場なのか、それともプライムに入れない企業の行き先なのか。

本来は優秀なグローバル企業が集まるプライム市場と、国内で活躍する優良企業が上場するスタンダード市場が併存し、その両市場への参入を狙う企業が上場する第三の市場があってしかるべきだった。しかし、それでは現行の4市場制と形が同じになってしまう。そこで無理して3市場制に固執した結果、再編成の基本的な意義が不明瞭になってしまった。残念である。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -276.53円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (95)
2022-01-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ オミクロン変異株の大逆襲 = 世界の感染者数はついに3億人を突破、累計で3億1539万人に達した。この1週間で1753万人も増えている。この増加数は新記録。死亡者は551万0327人で、週間4万4825人の増加だった。この増加数は前週より1729人増えている。感染者はほとんどの国で増加しており、死亡者も久しぶりに拡大した。WHO(世界保健機構)では「今後6-8週間のうちに、ヨーロッパの人口の過半数が感染する」と警告している。

アメリカの感染者は累計6320万人、1日で140万人以上が感染した。入院者も1日で14万6000人を超え、1か月前の2.4倍に。死亡者は84万4562人、この1週間で1万2414人も増えた。国別の死亡者はブラジルが62万人台、インドが48万人台、ロシアがメキシコを抜いて31万人台に跳ね上がった。ブラジルやインドのほか、イギリス・フランス・イタリアなどヨーロッパ各国でも死亡者の増加数は拡大している。

感染者数に占める死亡者数の割合をみると、昨年7月は2.4%だった。それが最近は0.8%に低下している。オミクロンは「感染力が強いけれども重症化率は低い」と言われるゆえんだ。そこで多くの国は経済の正常化を重視し、都市封鎖などの強力な規制は避けている。ところが大量の感染者で医療や交通などの要員が隔離され、この面から経済活動が阻害され始めた。また感染者が多くなれば、比率は低くても重症者や死亡者の実数は増えると言う現実に直面している。

日本の感染者は累計181万1616人。この1週間で6万7826人も増加した。死亡者は1万8414人で17人の増加だった。政府は沖縄・山口・広島の3県に「まん延防止措置」を発令したが、姿勢はまだ経済重視の方向。しかし日本もやがて世界各国と同じ問題に直面する。オミクロン変異株の大逆襲を甘くみていると、万事が手遅れになりかねない。早め早めの決断が必要だろう。

        ≪14日の日経平均 = 下げ -364.85円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     


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今週のポイント
2022-01-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ストンとは落ちない粘着相場 = ダウ平均は先週320ドルの値下がり。終り値は3万6000ドルを割り込んだ。市場を取り巻く環境は決してよくない。オミクロンが全米で猛威を振るい、FRBは金融引き締めの方向に舵を切った。12月の小売り売上高と工業生産は、ともに予想を下回った。だから普通なら、株価はもっと下落してもおかしくない。しかし少し下がると個人の買いが入るので、株価はドスンとは下がらなくなっている。

日経平均は先週354円の値下がり。日本ではオミクロンが、これから本格的に拡散する見通し。企業物価が高止まりしているなかで、景気の先行きは暗くなってきた。したがって東京市場の環境も明るくはないが、それでもニューヨーク同様、株価はあまり大きく下がらない。不可解なのは日銀が14日、3か月ぶりのETF買いに出動したこと。株価がもっと大きく下げると誤認したのだろうか。

ニューヨーク市場も東京市場も、取り巻く環境がすぐに変わる兆候はない。頼みの綱は企業業績の好転だが、その見通しも明るくはない。したがって株価の下落傾向は、まだ続きそうだ。ただダウ平均も日経平均も、ことしに入ってから2週続けて下げている。今週あたりは反発するかもしれない。いずれにしても、オミクロンの動向がカギを握っている。

今週は17日に、11月の機械受注と第3次産業活動指数。20日に、12月の貿易統計。21日に、12月の消費者物価。アメリカでは18日に、1月のNAHB住宅市場指数。19日に、12月の住宅着工戸数。20日に、12月の中古住宅販売。また中国が17日に、10-12月期のGDP速報、12月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお17日に、岸田首相が初の施政方針演説。

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ



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小売り高の急減が暗影 / 中国
2022-01-18-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 10-12月期のGDPは4%増に減速 = 中国統計局は17日、昨年10-12月期のGDP速報を発表した。それによると、前年同期比の実質成長率は4.0%だった。前7-9月期の4.9%から減速している。コロナ対策としての外出規制、それに不動産バブルを抑制するための融資規制。この2つの規制が影響した。この結果、21年の成長率は8.1%となっている。

同時に発表された主要な経済統計をみると、12月の鉱工業生産は前年比4.3%の増加。11月の3.8%増加を上回っている。電力不足が解消した結果だと思われる。小売り売上高は1.7%の増加にとどまり、11月の3.9%増加を下回った。伸び率は20年8月以来の低さ。また固定資産投資額は4.9%の増加で、1-11月の5.2%増加からやや鈍化した。インフラ投資が低調だったほか、不動産投資の急減が響いている。

21年の不動産投資額は、前年比で4.4%の増加だった。不動産バブルで一時は2ケタの投資増が続いたが、急減している。また不動産販売額は1.9%の増加、新築着工は床面積で11.4%も減少した。政府は昨年夏からバブルの抑制に乗り出し、金融機関に対して融資の抑制などを指示している。その効果が表われてきたと言えるだろう。

不動産投資の鎮静化は政府の思惑どおりだが、小売り高の沈滞は想定外だったのでは。コロナ抑制のために実施された厳しい外出規制が影響したことは確かだが、原因はそれだけなのかどうか。消費の停滞が長引けば、GDP成長率はさらに減速してしまう。小売り売上高の動向が、習政権にとっても重大な関心事になってきたようだ。

        ≪17日の日経平均= 上げ +209.24円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ



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HOW TO がない 施政方針演説
2022-01-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 方法論を見せない岸田流経済政策 = 岸田首相は17日、国会で初の施政方針演説を行なった。最初に取り上げたテーマは「新型コロナ対応」。時間をたっぷりとって、ここでは具体策についても説明した。たとえば「3回目ワクチン接種の前倒し」では、「追加確保した1800万人分のワクチンを活用し、高齢者の接種を6か月間隔で行う・・・」などと判りやすく述べている。

ところが次のテーマ「新しい資本主義」に入ると、具体策はほとんど消え去った。「市場に任せればいいという新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害」を是正するのが「新しい資本主義」だと解説。弊害の例として格差や貧困の拡大、中長期的な投資の不足などを列挙している。だが、その是正策については示していない。唯一、デジタル田園都市国家構想を挙げたが、どの地域で実施するのかさえ言及しなかった。

また経済安全保障の問題では「半導体関連の設備投資、AI、量子、バイオ・・・などの分野に対する研究開発投資を後押しする」と述べたが、具体策はなし。減税をするのか補助金を出すのか。財源のことも考えずに、甘い言葉だけを並べた感じは否めない。さらに賃上げや人への投資にも触れたが、これも方法論はお預け。賃上げした企業への法人減税は、なぜか姿を消してしまった。

「気候変動問題への対応」でも、調子は変わらない。「官民が炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像を共有」と述べたが、その全体像はまだ示せない。「その道筋をクリーン・エネルギー戦略として取りまとめる」と逃げてしまった。詳細な計画はともかくとして、おおよその要点だけでも明示できなければ、施政方針とは言えないのではないか。聞き上手の岸田さんは、意外に‟聞かせ下手”なのかもしれない。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -76.27円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ



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「まん延防止」の 重大な抜け穴
2022-01-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小学生は居酒屋へ行かない = オミクロン型変異ウイルスの急拡大に対応するため、政府は19日「まん延防止等重点措置」を東京都など13都県に発令した。すでに発令中の沖縄県などを加えると、これで16都県で「まん延防止」対策が実施されることになる。これを受けて各都県では、主として飲食店の営業時間短縮や酒類の提供禁止などの具体的な対策を実行する。しかし、こうした措置が大きな効果を挙げるかどうかは、きわめて疑問だ。

たしかに昨年のデルタ株は、飲食店で多くのクラスターを発生させた。これに対して、ことしのオミクロン株は家庭内クラスターを多く発生させている。さらに昨年はゼロに近かった10歳台、10歳未満の感染者が、ことしは大幅に増加した。こうしたことから判断すると、小学生や幼稚園児が学校や幼稚園で感染を拡大し、家庭にウイルスを持ち帰っているのではないかと考えられる。

病院関係者によると、こうした小学生や幼稚園児の症状はきわめて軽い。せいぜい風邪を引いた程度で家族も気づきにくいから、実際の感染者数は数字以上に多いだろうという。それなのに「まん延防止」では、飲食店にばかり注意を向ける。だが小学生や幼稚園児は飲食店に行かないし、酒とも関係がない。

学校や幼稚園を休みにすると、社会的な大問題が生じる。子どもの面倒をみるために、保護者が仕事に出かけられなくなるという問題だ。このため小学生や幼稚園児の感染対策は、きわめて難しい。このことが判っているため、政府もマスコミもあえて問題の指摘を控えているようにも思われる。しかし、だからといって黙っていていいのだろうか。問題を明示し、衆知を集めるべきだろう。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -790.02円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ



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≪コロナ蔓延 = 世界大戦≫ の実相
2022-01-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大半の国で寿命が縮んだ! = コロナ・ウイルスの蔓延で、人類の寿命が短くなってしまった。たとえばアメリカ。CDC(疾病対策センター)の発表によると、20年の平均寿命は77.0歳で、前年より1.8年も低下した。この低下幅は第2次大戦中1943年のマイナス2.9年以来の大きさ。女性の平均寿命は79.9歳で1.5年の低下、男性は74.2歳で2.1年の低下だった。CDCでは「コロナによる死亡率は女性より男性の方が高かった」と説明している。

寿命が縮んだのは、アメリカだけではない。英オクスフォード大学はヨーロッパ27か国について、20年の平均寿命を前年と比較した。その結果、前年より平均寿命が延びたのはフィンランド・デンマーク・ノルウェーの北欧3か国だけ。あとの24か国では、すべて平均寿命が縮まった。特にスペインとイタリアの平均寿命は、戦後最大の低下を記録している。

アメリカのコロナによる死亡者は、累計84万1200人に達した。これは第2次世界大戦中のアメリカ人戦死者40万5000人の2倍を超えている。全世界でみても、大戦による死者の合計は912万人。これに対して、コロナによる死亡者は551万人となっている。戦争は6年続いたのに比べて、コロナ禍は2年。コロナは戦争より厳しいとさえ言えるかもしれない。

日本は寿命が縮まなかった数少ない国の一つ。厚生労働省の発表によると、20年の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳。いずれも前年より延びて記録を更新している。日本の場合、コロナによる死亡者の累計は1万8400人。欧米諸国と比べれば極端に少ない。したがって21年についても、平均寿命は低下しなかったと推定できる。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +305.70円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ



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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (96)
2022-01-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ イギリスはピークを過ぎた? = 世界の感染者は累計3億3793万人、この1週間で2254万人増加した。この増加数は前週より500万人も多い。異常な増勢である。死亡者は556万5540人で、週間5万5213人の増加だった。この増加数は昨年9月下旬以来の大きさ。感染者の増加ぶりに比べれば増勢は鈍いが、それでも確実に増えてきた。アメリカ・インド・メキシコのほか、イギリス・フランス・イタリアでも死亡者の数は拡大している。

死亡者の数を国別にみると、アメリカは累計85万7778人。この1週間で1万3216人も増えている。あとブラジルが62万人台、インドが48万人台、ロシアが31万人台、メキシコが30万人台。さらにイギリスが15万人台、インドネシアとイタリアが14万人台、イランが13万人台、フランスが12万人台と続く。

こうしたなかで注目されるのは、イギリスのジョンソン首相が「オミクロンの感染はピークを過ぎた」と公式に宣言したこと。マスクの着用義務など、ほとんどの規制を撤廃した。たしかにイギリスでは新規感染者数が、今月4日の22万人から18日には9万4000人へと急減した。重症化率の低いオミクロン株をインフルエンザ並みの疾病とみなし、経済再生を優先させた政策とみられている。

日本の感染者は累計202万5855人、この1週間で21万4239人増加した。増加数は前週の3倍以上にのぼり、もちろん新記録。死亡者は1万8469人で、週間55人の増加だった。政府は東京都などに「まん延防止等重点措置」を発令したが、その一方で感染者の拡大で医療や交通などが機能マヒに陥ることを心配し、イギリス的な政策への移行を考え始めているようだ。日本のオミクロンは、いつピークを迎えるのだろうか。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -250.67円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2022-01-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株価はただいま調整中 = ダウ平均は先週1646ドルの値下がり。1週間の下げ幅としては、20年10月下旬以来の大きさだった。インフレの進行でFRBが金融引き締めを前倒しするのではないか、という警戒感が一挙に燃え広がった。またオミクロン株の拡散で、医療・交通・消防などの人手が不足する心配も、市場の空気を暗くしている。そして基本的には、超金融緩和相場の見直し、株価の調整が始まったとみていい。

日経平均は先週602円の値下がり。ニューヨークの暗雲が、東京にも波及した。加えて日本ではオミクロン株が、異常なスピードで拡散。東京・大阪をはじめ多くの地域に「まん延防止等重点措置」が発令された。これによって経済活動がまたまた阻害され、景気や企業業績の見通しも悪化が避けられない。株式市場を取り巻く環境は、あまり芳しくない。

ダウ平均は年初の史上最高値から2500ドルほど下落した。ハイテク企業の多いナスダックは金利の上昇に敏感で、すでに最高値から10%以上も下げている。こうしたことから判断しても、ダウの調整はまだ続くのではないか。そして注目点は、今週25-26日に開くFRBの政策決定会合。パウエル議長が26日の記者会見で、どんな説明をするか。

今週は26日に、12月の企業サービス物価。アメリカでは25日に、11月のFHFA住宅価格、1月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、12月の新築住宅販売。27日に、10-12月期のGDP速報、12月の中古住宅販売。また中国が30日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ



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「2月に0.5%利上げ」説も : NY市場
2022-01-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 息を呑んで見守る26日のパウエル会見 = 「FRBは金融引き締めをさらに前倒しするようだ」--ニューヨーク市場では、こんな見方が一気に広がった。原油の国際価格が高止まりし、オミクロン株の拡散で人手が不足。物価は下がりそうにない。だからFRBは引き締めを急ぐ。なかには「量的緩和は2月で打ち切り。同時に政策金利の引き上げに踏み切る。上げ幅も0.5%」という観測さえ飛び始めた。

アメリカの消費者物価は、昨年初めには1.4%しか上昇していない。それが11月には6.8%、12月は7.0%と31年ぶりの高い上昇率を記録した。エネルギー価格の高騰と人手不足による人件費の上昇が物価を押し上げており、いまのところ物価が下がる兆候はない。バイデン大統領も中間選挙を控えて、インフレには強い警戒感を抱いている。FRBも「なぜ、あのとき手をこまぬいていたのか」と批判されたくはないだろう。

FRBは当初「量的緩和の縮小は6月に終了」と考えていた。ゆっくりと縮小するため、これを‟テーパリング(しだいに消える)”と呼んでいた。しかし、ことしになると「終了は3月」に前倒し。いまは、それを「2月で止める」方向に傾いてきたわけだ。テーパリングどころではなく、国債などの買い入れを一気に止めて、同時に利上げ。さらに国債などの売り戻しも始めるかもしれない。

すでに長期金利は1.9%まで上昇。利回りが極めて低いハイテク銘柄を中心に、株は売られている。仮に「さらなる引き締めの前倒しが実行されれば、株価はいっそうの調整を余儀なくされる。はたしてFRBの決断は? その結果は、26日午後に予定されるパウエルFRB議長の記者会見で明らかになる。ウオール街はいま、息を殺してその会見を待っている。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +66.11円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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原油価格は 100ドルへ!? (上)
2022-01-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 値下がり要因は景気の悪化だけ = 原油の国際価格が高止まりしている。ニューヨーク商品取引所のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は先週1バレル=86ドル、7年3か月ぶりの高値を付けた。専門家の予想は「まだ値上がりする」でほぼ一致、市場では「100ドルまで行っても不思議ではない」という声が強まっている。なかでもJPモルガン証券は「125ドルの可能性がある」と予測した。

WTI先物相場は20年4月、1バレル=16ドルまで低下していた。そこからはほぼ一本調子に上昇、最近の高値は世界的なインフレ傾向の源泉となっている。このためアメリカではFRBが金融政策を引き締めに転換、日本でも電気料金やガソリン価格の高騰を招いている。さらに原油価格が上昇すれば、各国の経済に与える悪影響は計り知れない。

原油価格を押し上げている原因は、供給の不足。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国が、価格を維持するために増産を規制していることが大きい。しかもナイジェリア・アンゴラ・カザフスタン・リビアなどでは、政情不安や設備の老朽化で生産量が落ちている。またアメリカでは脱炭素に向かって、シェール油田開発が規制された。結果として世界の原油在庫量が減少、価格が高騰した。

原油の供給が大幅に増える見込みは小さい。その一方、需要はコロナ禍にもかかわらず各国が経済再生を重視する政策に傾いているため、増加する傾向にある。専門家が「まだ値上がりする」と予想するのは、このためだ。仮にアメリアなどの金融引き締め政策によって世界の景気が後退すれば、原油の需要は落ちる。価格が下がるのは、こうした場合に限られると考える人が少なくない。

                          (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 下げ -457.03円≫

        ≪26日の日経平均は? = 下げ



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原油価格は 100ドルへ!? (下)
2022-01-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は‟無策の国”である = 原油価格の高騰が日本経済に及ぼす影響は、きわめて大きい。たとえば昨年12月の電気料金は、前年比で13.4%も上昇した。実に40年9か月ぶりの大幅な上昇率である。企業のコストは増大し、家計の負担は重くなった。またガソリンの店頭価格も、今週1リットル=170円を超えた。13年ぶりの高値である。政府は元売り業者に1リットル=3円50銭の補助金を出して、小売価格の上昇を抑えることになった。

財務省が発表した貿易統計によると、21年の原油やLNG(液化天然ガス)など鉱物性燃料の輸入額は17兆円にのぼった。価格の高止まりが続けば、年間の輸入代金は20兆円を上回るだろう。日本の企業や家計は電気やガソリンの支払いを通じて、これだけの負担をしていることになる。もちろん、これをゼロにすることは出来ない。しかし仮に4分の1を減らすことが出来れば、企業や家計の負担は年間5兆円も減ることになる。

日本は1973年、あの強烈な石油ショックに見舞われた。その後の歴代政府は原油などの輸入先分散に努力してきたが、価格の高騰に対しては効果がない。その一方で、原油などの輸入依存度を減らす努力は怠ってきたと言えるだろう。現在も脱炭素に迫られているが、政府はそのための具体的なエネルギー計画を作成できずにいる。

まず原発に対する明確な評価を下せない。もし原発がダメなら再生可能エネルギーを育成するしかないが、その方針も中途半端だ。太陽光や風力発電に、年間5兆円の補助金を出したらどうだろう。数年でモトが取れるのではないか。そのとき企業や家計の負担が大きくは減らなくとも、巨額の購買力が海外に流出する事態は防げるから、景気にはプラスの効果があるはずだ。チンケな3円50銭のガソリン補助金しか出せない日本は‟無策の国”である。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -120.01円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ



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ついに 人口減少へ! / 中国
2022-01-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 少子高齢化も急速に進行中 = 中国の人口が、ことしから減少し始めることが確実となった。国家統計局の発表によると、昨年末の総人口は14億1260万人。前年比では48万人しか増加しなかった。ほとんど増勢が止まっており、ことし前半からは減少局面に入る可能性がきわめて大きい。世界最大の人口を誇る中国もついにピークを超え、数年後にはインドに抜かれる見通しだ。

人口増加が止まった最大の原因は、少子化の急速な進行。統計局によると、21年の出生数は1062万人で前年を138万人下回った。1949年の建国以来、最も少ない出生数だとみられている。中国政府は15年に‟一人っ子政策”を停止、昨年は3人までの出産を解禁。育児休暇制度の拡充など、出産奨励策を講じてきた。しかし教育費など子育て費用の高騰もあって、効果は挙がっていない。

その一方、中国でも高齢化ガ進んでいる。65歳以上の人口は、昨年2億0056万人に。全人口に占める割合は14.2%、前年より0.7ポイント上昇した。ちなみに日本の高齢化率は28.7%だから、中国の比率はまだ日本の半分ほど。しかし伸び率は日本よりずっと大きいから、10年もたたないうちに日本と肩を並べることになりそうだ。

人口が減少局面に入り、少子高齢化ガ進むと、中国もいま日本が経験している問題を抱えることになる。たとえば年金や医療の問題。日本は厳しい状況に直面しているが、中国の場合は社会福祉や医療の整備が日本より遅れている。また基本的には、労働力人口も減少へ向かう。全体として潜在成長力が低下するわけだ。こうした重大な環境変化の下で、習政権はこれからどんな経済目標を樹立するのだろうか。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -841.03円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

         
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (97)
2022-01-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本のピークは2月半ば?? = 世界の感染者は累計3億6252万人、この1週間で2460万人増加した。前週より200万人多く、もちろん過去最大。死亡者は562万6879人で、週間6万1339人増加した。前週より約6000人拡大、昨年9月以来の多さとなっている。こうしたなかでアメリカ・南アフリカ・イギリスでは感染者の増勢に歯止めがかかり、専門家の間で注目されている。ただ死亡者の増勢は衰えていない。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計87万6066人。前週より1万8288人増えた。続いてブラジルが62万人台、インドが49万人台、ロシアが32万人台、メキシコが30万人台。さらにイギリスが15万人台、イタリアとインドネシアが14万人台、イランとフランスが13万人台となっている。アメリカ・ブラジル・メキシコ・インドのほか、イギリス・フランス・イタリアなどのヨーロッパ諸国でも増勢は強まった。

注目されるのは、アメリカ・イギリス・南アフリカで、感染者の増加に頭打ちの傾向が見えてきたこと。たとえばアメリカの感染者は累計7291万人で、この1週間の増加数は434万人。前週の536万人を下回った。イギリスの増加数も65万人で、前週から横ばいになっている。こうした国では感染者が急増し始めてから、27-30日を経過している。このため「約1か月でピークに達するのではないか」という推測も強まった。

日本の感染者は累計243万8155人。1週間で41万2300人も増加した。前週のほぼ2倍である。死亡者は1万8650人で、181人の増加。昨年10月中旬以来の多さとなった。東京など34都道府県に「まん延防止措置」が発令されている。米英の例からみると、「日本のピークは2月半ば」という説も飛び始めた。しかしフランスでは感染者の急増が続いており、また日本では3回目のワクチン接種が遅れていることを考えると、まだピークの見極めは尚早だろう。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +547.04円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】    


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今週のポイント
2022-01-31-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウは底値が見えた = ダウ平均は先週460ドルの値上がり。ことし初めての上昇となった。FRBの金融引き締め前倒し、ウクライナ情勢の緊迫化などで売られたが、大きく巻き戻した。特に24日は一時1100ドルも下落したが、あと反発して99ドルの上昇で終わっている。続いて25日も800ドル下げたあと、ほぼ値を取り戻して終わった。こうした動きからみて、ダウ平均の下値抵抗線は3万3000ドルだったことが判明したと言えるだろう。

日経平均は先週805円の値下がり。ことしはまだ上昇した週がない。4週間の合計では2074円の下落、終り値は2万7000円を割り込んだ。株価は20年11月の水準に逆戻りしている。特にFRBの発表が伝わった27日には800円を超す値下がりとなったが、ニューヨークと違って反発はしなかった。オミクロンの異常な感染拡大も、市場の空気を暗くした。

特に大きな悪材料が出ない限り、ダウ平均が3万3000ドルを下回ることはなさそうだ。むしろ今後は上下動を繰り返しながら、値を切り上げて行くのではないか。一方、日経平均の方は見通しを立てにくい。オミクロンと原油の先行きが判然としないからだ。この2つの不安材料が長引いて企業業績の見通しが暗くなると、株価は再上昇の手がかりを見失うことになりかねない。

今週は31日に、12月の鉱工業生産、商業動態統計、1月の消費動向調査。1日に、12月の労働力調査、1月の新車販売。アメリカでは1日に、ISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。4日に、1月の雇用統計。また31日に、EUが10-12月期のGDP速報を発表する。

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ


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