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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
耐震ビルを 明示せよ : 防災の日
2018-09-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ どのビルに逃げ込めばいいのか = ことし6月、地震で学校のブロック塀が倒れ、通学中の小学生女児が亡くなった事件は、まだ記憶に新しい。この事件をきっかけに全国の自治体が通学路のブロック塀を調査、危ない箇所が撤去された。結構なことだが、なぜもっと早くに気付かなかったのだろう。人間は悲しい事件が起こらなければ、動き出さないのだろうか。

大地震が起これば、ブロック塀だけではなく、大きなビルも倒壊する。そのとき人々は、どのビルに逃げ込めばいいのだろう。古いビルでも耐震工事を済ませているかもしれない。新しそうに見えるビルでも、ガラスの窓が落下してくるかもしれない。一般の人には、どれが安全なビルなのか、見分けることは難しい。

きょうは防災の日。このブログでは、たびたびビルに“耐震マーク”を付けるよう提案してきた。通勤する人などはいつも同じ道を歩いているから、どのビルに耐震マークが付いているのか、ひとりでに覚えてしまうだろう。いざ地震というときには、そこへ逃げ込めばいい。危険を回避できる確率は大きくなるに違いない。

危ないビルにマークを付けるのには、抵抗もあるだろう。しかし安全マークなら、問題はないのではないか。こう主張しているのだが、国も自治体も動こうとはしない。またしても悲惨な事故が起きなければ、腰を上げようとはしないのだろうか。まず国土交通省に、みんなで要求しよう。

       ≪31日の日経平均 = 下げ -4.35円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-09-02-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪48≫ 二流国 = 地球はすっかり昔の姿を取り戻していた。10年前のあのどす黒い雲は、まったくない。2月の日本はまだ寒いが、青空の下で桜の芽が確実にふくらんできている。だが人々は、どうして上空のメタンガスが急に取り除かれたのか。だれも知らない。

ところが街を歩いてみると、どうにも活気がない。最大の理由は人口の減少だ。日本の総人口はすでに1億人を割り込んでいる。しかも4人に1人は75歳以上という超高齢社会。年金や医療費が増え続け、それを支えるために税金や保険料が加速度的に増加している。だから働く若い人の生活水準は、なかなか上がらない。

エネルギーの問題も、日本経済を苦しめていた。原発は10基ほどしか稼働できず、再生可能エネルギーの普及も進まない。結局は輸入に頼っているが、原油やLNG(液化天然ガス)の価格は新興国の需要増加で高騰。日本はエネルギーの輸入代金を通じて国内の購買力が海外に流出する構造から、いぜん抜け出せないでいる。

少子化が進んで、保育所や幼稚園、それに小学校から大学に至るまで定員割れ。リニア新幹線が東京と福岡を2時間あまりで結んでいるが、満員にはならない。だからリニアを、ほかに走らせる計画もない。GDP成長率はマイナスが続き、日本は過去に蓄積した海外の資産を売り食いしている状態だ。

残念ながら日本は、この10年ほどで二流国になってしまったようだ。しかし政府や国民の多くは、そんな現状を仕方がないと諦めているようにみえる。たしかに10年前は存亡の危機に瀕していたのだから、それに比べればマシだと考えているのかもしれない。国会も相変わらず揚げ足取りの議論に終始し、国民が活力を取り戻すような政策は思いつかない。

そんな観察をしながら、このとこと街を歩いては宝くじを買いあさっている。実は自衛隊から、退職金と慰労金という形で500万円を貰った。その半分を使って宝くじを買えというマーヤの指示に従っているのだが、これがなかなか大変だ。でも、おかげで銀座や新宿など繁華街の様子も、ばっちり知ることができた。

それにしても、いまマーヤはどこにいるのだろう。まだUFOにいるのか、それとも地上に降りてきているのか。手紙には「2か月経ったら、お会いしましょう」と書いてあった。そろそろ2か月になるが、まるで音沙汰なし。ほんとうに戻ってくるのだろうか。少々心配になり始めた。

                               (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-09-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株高の根源はアメリカの景気拡大 = ニューヨーク市場の株価は、上げ潮のまま9月入りした。先週はSP500指数が連日のように史上最高値を更新。ナスダック指数も初めて8000の大台に乗せた。ダウ平均は週間174ドルの値上がり。ことし2月に付けた最高値まで、あと650ドルに迫っている。先行きについても、市場は強気の見方を崩していない。

アメリカとメキシコがFTA(2国間貿易協定)締結で合意したことも買い材料になったが、ニューヨークの株高は基本的に国内の好調な経済動向に支えられている。特に個人消費が、この夏は堅調に推移した。雇用者数の増加と株高によるもので、それがまた株価を引き上げる形。いわゆる好循環が生まれているわけだ。

日経平均は先週263円の値上がり。ニューヨークの株高で安心感が強まった。またアメリカの景気拡大でドル高・円安傾向が続いたことも、大きく影響している。さらに東京市場の場合は、政府・与党が来年の参院選を控えて、財政支出の増大を考慮し始めたことも意識しているようだ。

今週は3日に、4-6月期の法人企業統計と8月の新車販売。7日に、7月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは3日に、8月の新車販売。4日に、8月のISM製造業景況指数。5日に、8月の貿易統計。6日に、8月のISM非製造業景況指数。7日に、8月の雇用統計が発表される。

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


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裏付けられた 企業業績の絶好調
2018-09-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 500兆円を超えた内部留保 = 財務省は3日、4-6月期の法人企業統計を発表した。それによると、金融・保険を除いた経常利益は前年比17.9%増の26兆4011億円。過去最高を記録した17年度の45兆4475億円の半分以上を、たった3か月間で稼ぎ出したことになる。製造業は27.5%、非製造業は12.4%の増益だった。この結果、金融・保険を含めた利益剰余金(内部留保)は、初めて500兆円台に載せている。

業種別にみると、増益率が高かったのは情報通信機械の360.0%増、石油・石炭の243.7%増、生産用機械の41.1%増など。これらの業種では、売上高利益率の改善が目立っている。一方、減益だったのは鉄鋼、建設、食料品など。米中間の貿易戦争、人手不足、異常な天候などが、減益の原因になったと考えられる。

企業はこの豊富な資金を使って、設備投資を大きく増やし始めた。全産業の設備投資額は前年比10.8%の増加。これまで4%程度の増加だった水準から、2ケタ増に跳ね上がった。特に情報通信機械は66.1%も増やしている。この調査結果は4-6月期のGDP改定値に反映されるから、速報値で1.9%だったGDP成長率は、10日に発表される改定値では0.5ポイント以上かさ上げされるだろう。

人件費についても動意はみられる。全産業の役員を含めた総人件費は、合計44兆6900億円だった。これは前年比で3.8%の増加に当たる。昨年4-6月期の2.5%増に比べれば伸びているが、ことし1-3月期の4.1%よりは縮小した。季節性もあるので何とも言えないが、利益の割に人件費が増えていないことは確かだろう。

       ≪3日の日経平均 = 下げ -157.77円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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最長の 景気拡大期 / アメリカ
2018-09-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 盛り上がってきた個人消費 = アメリカの景気上昇に、弾みがつき始めた。4-6月期のGDP成長率は年率で4.2%。1-3月期の2.2%から、2倍近くに跳ね上がっている。GDPの7割を占める個人消費の回復が主因となった。その個人消費は7月も勢いを失わない。7月の小売り売上高は前月比で0.5%の増加。個人の消費支出は年率換算で3.8%の増加だった。

今回の経済拡大は、08年6月から始まっている。したがって、この9月まで続けば111か月間の景気上昇という計算になる。戦後の平均上昇期間は5年弱。しかも100か月を超えても、なお勢いを増してきている。ダウ平均株価は09年3月の底値6547ドルから、現在は2万6000ドルに飛び上がった。

長期の経済拡大を実現した原動力は、金融緩和政策とその後のトランプ大統領による積極財政。金融と財政がうまくバトンタッチされて、好況を長引かせた。この間、雇用者が増え続けて所得が増大し消費が拡大。株価の上昇も、消費の増加に貢献している。要するに“好循環”が成立しているわけだ。

先行きについての不安要素は2つ。1つはトランプ大統領が、中国に対する2000億ドルの制裁関税や自動車の輸入関税を発動した場合。アメリカ国内の物価が急上昇し、消費が抑制される可能性がある。もう1つは、減税の効果が薄れる来年半ば以降。これも消費に悪影響を及ぼす懸念がある。だが小売業界はそんなことにはお構いなし。ことしのクリスマス商戦を目指して、大張り切りだ。

       ≪4日の日経平均 = 下げ -10.48円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ
             

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タガがはずれる? 来年度予算 (上)
2018-09-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 消費税対策も計上する方針 = 財務省は8月末で各省庁が提出する概算要求を締め切り、19年度予算案の本格的な編成作業を開始した。概算要求では、社会福祉、教育、防災、防衛費などの増額要求が目白押し。総額は103兆円近くに達した模様。財務省はこれから査定で要求額をカットして100兆円未満に抑えたい意向だが、場合によっては100兆円を突破する可能性もある。

社会福祉費は高齢化の進展で、年金や医療費が確実に増えてしまう。いわば自然増であり、政府もすでに閣議で6000億円までの増額はやむをえないと認めている。また教育関係費は、教育費の無償化や教室のエアコン整備、ブロック塀の改修など。防災費は地震や台風の被害を軽減するためのインフラ工事。さらに防衛費は、国際緊張に備えた陸上イージスの導入など。財務省としても、なかなか切りにくい項目が並んでいる。

このほか閣議では、成長分野に対して重点的に配分する特別ワク4兆4000億円を、すでに了承している。AI(人工知能)やロボットの開発に向けられる予算で、18年度より4000億円増額した。こうした状況から判断すると、来年度予算案が100兆円を下回ることは至難の業。当初予算として初めて100兆円に載せる公算が大きい。

加えて安倍首相は、来年10月に予定する消費税の引き上げで景気が落ち込むことを防ぐための対策費も、19年度当初予算案に組み込む方針。通常なら本予算が成立したあと補正予算で処理するが、安倍首相は来年の参院選も考慮して、早めの対策に固執しているようだ。そうなれば、予算案の規模は100兆円どころではなくなる。

                            (続きは明日)

       ≪5日の日経平均 = 下げ -116.07円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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タガがはずれる? 来年度予算 (下)
2018-09-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 110兆円に近づく恐れ = 実は19年度予算案が100兆円を超えたとしても、そんなに驚くには当たらない。当初予算としては初めて100兆円を突破するが、補正予算を加えた現実の財政支出は、16年度にも100兆円を上回っているからだ。このとき補正予算を含めた支出は100兆8000億円。熊本地震の復旧費などを補正で追加したため、わずかながら100兆円を超えた。

しかし今回は「わずかながら」というわけにはいかないだろう。かつて安倍内閣は消費税を5%から8%に引き上げた際、5兆5000億円の景気対策費を計上した。だが効果はなく、景気は大幅に落ち込んだという苦い経験をしている。このため今回は10兆円規模の対策費が必要だという声が、自民党内では強まってきている。

仮にそうなれば、19年度予算案は110兆円に近づくかもしれない。財政再建は、さらに遠のいてしまうだろう。だから自民党内にも慎重論は少なくない。しかし財政再建の旗振り役となるべき財務省は、複雑な心境である。十分な対策費を確保しないと、安倍首相はまたまた消費税引き上げを延期するかもしれない。すると財務省の悲願は達成できなくなる。

これから年末にかけての編成作業で、財務省は103兆円にのぼる各省庁の概算要求をどこまで切り込めるか。また消費税対策として自動車や住宅に対する減税措置、あるいは低所得層に対する現金給付などの政策手段をどこまで認めるか。それによって来年度予算案の規模が決まる。だが参院選を前にして、財政のタガが抜ける危険性は大きい。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -92.89円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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サマータイム 狂騒曲
2018-09-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 目的意識が混乱している = 安倍首相は政府・自民党に対して「サマータイム導入の是非」について検討するよう指示した。サマータイムは夏の一定期間、時刻を1-2時間早める制度。朝は涼しいうちから世の中が動き出し、夕方は明るいうちに家族の団欒など自由な時間が増える。ヨーロッパや北アメリカでは、導入している国が多い。だが今回のサマータイム論議は、最初から「何のために実施するのか」で混乱が生じているようだ。

きっかけは2020年東京オリンピックに予想される猛暑対策。オリンピック大会組織委員会が、政府に提案したことから始まった。たしかに最近のような酷暑になれば、マラソンを走る選手はもちろん、応援する人たちも熱中症にならないかと心配になる。しかしオリンピックとサマータイムは無関係ではないのか。必要と思われる競技の開始時間を、繰り上げれば済むことだからだ。

この議論に便乗する形で、飲食業などからは推進論が出されている。夕方の売り上げ増加が見込めるからだろう。また省エネに貢献するという意見もる。一部のエコノミストは「経済成長率が1%近く上昇する」と、賛成論を展開している。なかには「通勤電車が空く」という主張もあるが、これは間違いだろう。みんなが早く家を出れば、込み具合に変わりはないはず。とにかく「何のために実施するのか」をきちんと集約してほしいものだ。

反対論も少なくない。長年にわたって実施してきたEUでは、いま健康被害が問題になり、廃止する方向で議論が進められている。また最大のネックは、あらゆるコンピューター・システムの改修。膨大な人手とコストがかかる。交通システムの改修に不備があれば、人命にもかかわりかねない。一つの方法は、すべてを企業に任せること。企業は可能な部署を早番と遅番に分ける。政府はこれを奨励する政策をとればいい。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -180.88円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-09-09-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪49≫ 再会 = 2062年3月1日の夜10時すぎ、ぼくは駅から家へ向かって歩いていた。まだ肌寒いが、おぼろ月夜。街なかを抜け小さな公園に差しかかったとき、後ろからハイヒールの足音が迫ってきた。直感的にマーヤではないかと思ったが、振り返るわけにもいかない。

追い付いてきた女性が、低い声で囁いた。「ただいま」
ああ、やっぱりマーヤだ。幸い人通りもなかったので、二人はそのまま抱き合った。

マーヤは薄いベージュ色のツーピースを着て、中型の鞄を手にしていた。どこからみても、30代の主婦が旅行から帰ってきたように見える。声もロボット特有の機械音が消えて、おっとりした奥様風の調子になっている。

その晩は、明け方まで寝られなかった。私たちが乗ってきた宇宙船は、マーヤを乗せたまま音もなくUFOに吸い上げられた。マーヤはそのままUFOにとどまり、ずっとダーストン国と連絡を取り合っていたのだという。そして、あの秘密の物質ダーストニウムも、UFOにはもう届いているそうだ。

こちらは宝くじを買ったら、なんと10億円が当たった話をした。何か細工をしたのかい? と聞いても、マーヤは「うふふ」と笑うだけだった。

お互いの報告が済んだとき、マーヤが鞄から一通の書類を取り出した。見るとマーヤの戸籍謄本である。市役所に結婚届を出すためだという。どうやって手に入れたのか疑問に思ったが、追及はしなかった。

その戸籍謄本には『二階堂 摩耶』と書いてあった。そう、ぼくの名前は二階堂純一だ。ここでマーヤは思いがけないことを、白状した。
「ダーストン語で、二階堂というのは“大ウソつき”という意味です。だから私が貴方の名前を知ったとき、これはまずいと直感しました。そこで貴方がよく口にした“ぼく”という言い方を名前にしてしまいました。ダーストン語では“豊か”という意味で、あの国では誰もが貴方の名前は“ぼく”だと思っているんです」

へえっ、そうだったのか。でもその機転のおかげで、ぼくは歓迎されたのかもしれない。マーヤ、ありがとう。
いまの日本では奇跡的に生還した宇宙飛行士として、ぼくの名前は全国に知れ渡っている。しかし宇宙での5年間は、記憶喪失したまま。やっぱり、ぼくは大ウソつきなのかもしれない。

                              (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-09-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 霧のなかの花火2発 = ニューヨーク市場では先週、アマゾンの時価総額が1兆ドル(110兆円)に到達した。アップルに続く快挙である。なにしろトヨタの5倍というのだから凄い。だが大輪の花火が2発も打ち上がったにもかかわらず、市場は霧に包まれていた。霧の発生源は、トランプ政権が近く中国製品に対する2000億ドル分の関税引き上げを発動する見込みが強まったこと。ダウ平均は先週48ドルの値下がり。

東京市場でも、米中貿易戦争の激化が警戒された。さらに加えて2つの悪材料が。1つは台風と地震の自然災害。もう1つはトランプ大統領が、日本との貿易交渉について厳しい発言を繰り返したこと。災害で営業活動に支障が出そうな企業や自動車などの銘柄に、外国人投資家からの売り注文が目立っている。日経平均は先週558円の値下がり。

自然災害は急ピッチの復旧が進んでいるから、その影響はしだいに薄れる。だから東京の株価は、反発の機会を探ることになるだろう。しかし中国に対する追加の制裁関税は、先週までに公聴会が終わった。したがってトランプ大統領が急いで発動するとすれば、今週の可能性が大きい。霧は晴れず、反発には限界がありそうだ。

今週は10日に、4-6月期のGDP改定値、7月の国際収支、8月の景気ウォッチャー調査。11日に、7月の第3次産業活動指数。12日に、7-9月期の法人企業景気予測調査。13日に、8月の企業物価と7月の機械受注。アメリカでは12日に、8月の生産者物価。13日に、8月の消費者物価。14日に、8月の小売り売上高、工業生産、9月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、8月の消費者物価と生産者物価。14日に、8月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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米中貿易は 全面戦争へ (上)
2018-09-11-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ すべての中国製品に25%関税を上乗せ? = トランプ大統領は先週7日、記者団に対して「中国製品2670億ドル(30兆円)に25%の関税を上乗せする用意がある」と言明した。アメリカは7月に340億ドル、8月に160億ドルの中国製品に対して25%の関税を上乗せ。中国もこれに対抗して、アメリカ製品に同等の報復関税をかけている。さらにトランプ大統領は近く、中国製品2000億ドルに対する追加関税を発動する構え。これに第4弾の2670億ドルが追加されると、25%関税の対象額は合計5170億ドルに。中国からの輸入総額を上回る計算だ。

現状では、第1弾の340億ドルと第2弾の160億ドルが発動されただけ。しかし、その影響は貿易統計の面にじわっと表われてきた。アメリカ側の統計によると、7月の対中輸出は前年比8,2%の減少。乗用車は36%、大豆は16.2%減った。一方、中国側の統計では、8月の対米輸入は2.7%の増加。7月の11%増から大幅に縮小している。

第3弾の2000億ドル分については、先週6日に公聴会が終了したところ。その取りまとめが終わりしだい、トランプ大統領がゴー・サインを出す公算が大きい。対象となる品目も第1弾と第2弾では産業用の素材が中心だったが、第3弾では食品や日用品が多く含まれている。それだけ消費者物価への上昇圧力も強まるわけだ、

早ければ、第3弾は今週にも発動される可能性がある。発動されれば中国も対抗するだろう。ただ中国は、すべてのアメリカ製品に報復関税をかけても1300億ドル分にしかならない。そこでハリウッド映画の上映禁止、アメリカ向け団体旅行の停止、アメリカ製品の不買運動などの手段に訴えるのではないかという見方も広がっている。先週の株式市場は、こうした動きを警戒して軟調になった。

                                (続きは明日)
 
       ≪10日の日経平均 = 上げ +66.03円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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米中貿易は 全面戦争へ (下)
2018-09-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 資本主義と社会主義の覇権争い = トランプ大統領が中国に対する関税引き上げの第3弾、第4弾を発動すると、これはもう全面戦争の状態になる。米中両国の経済が打撃を受けるだけではなく、日本企業などの経営にも大きな影響が及ぶだろう。たとえば中国で生産しアメリカへ輸出している企業は、生産拠点の移動を考える必要に迫られる。逆に中国での生産を増やし、アメリカ製品が撤退したあとの市場を獲得しようと考える企業も出てくるだろう。

米中両国はこうした事態に陥るのを避けようと、一時は次官級による協議も行った。しかし話し合いは進展せず、交渉は立ち消えになったようだ。アメリカ側の要求のうち、中国側が最も受け入れ難たかったのは、おそらく「製造2025」の抜本的な修正だったろう。これは中国政府が、25年までに10大製造業の高度化を達成するための政策だ。

欧米諸国や日本でも、この種の計画は造られる。しかし中国の場合は、政府が財政支援を含めて全面的に関与する形。アメリカはこれが不公平だと指摘して、修正を強く求めている。だが中国政府としては、共産党の最重要政策となっているから口出しされたくない。その根底には、社会主義なのだから政府が産業政策に関与するのは当たり前だという考え方が存在する。

ここまでくると、資本主義と社会主義の対立という構図が鮮明になってくる。さらに問題は、貿易や経済にとどまらないかもしれない。2つの大国の太平洋やインド洋、アフリカにおける覇権争いにまで発展する危険性もないではない。米中貿易戦争は、こうした恐ろしさを含んでいる。だから怖い。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +291.60円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ



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スウェーデンよ お前もか
2018-09-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 移民反対の極右が第3党に = スウェーデンでは9日、総選挙が実施された。ロベーン首相の率いる社会民主労働党は12議席を減らしたが、かろうじて第1党を維持。野党の穏健党も14議席を失った。こうしたなかで議席を13伸ばして第3党となったのは、移民反対を掲げた極右の民主党。スウェーデン国内ではどんな連立内閣が誕生するかに関心が集まっているが、EU域内では移民反対の勢力伸長に警戒を強めている。

北欧スウェーデンといえば、高福祉・高負担で有名な国。税金は高いが、教育や医療はほぼ無償だ。国民は長い間この高福祉に満足し、世界でも政治的な不満が最も少ない国だと考えられてきた。ところが15年には16万3000人の難民が流入。国内の治安が急速に悪化した。ことしになってからも、銃撃事件や放火が相次いでいる。

こうした状況のなかで台頭したのが、ネオナチの流れを汲む極右の民主党。選挙戦ではほとんど「移民排斥」だけを訴えて、得票を伸ばしている。現在のところ、社会民主労働党にしても穏健党にしても、この極右政党と連立を組む気は全くない。したがってネオナチの幹部が入閣する可能性はないが、議会での発言力は確実に増大する。

ヨーロッパではこのところ、選挙のたびに「移民反対の政党」が票を伸ばしている。ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、ハンガリーなどが、その好例だ。EU委員会は基本的な政策として「難民受け入れ」を掲げている。したがって「移民反対」の政党は、必然的に「反EU」にならざるをえない。EUの悩みは、スウェーデンの選挙でまた一段と深くなった。

       ≪12日の日経平均 = 下げ -60.08円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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パワハラに近い ふるさと納税の規制
2018-09-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 法律改正まで持ち出すとは = 野田総務相は11日の記者会見で「過度な返礼品で多額の寄付を集めている自治体を、ふるさと納税制度の対象から外す」方針を明らかにした。返礼品については、これまで2度にわたって通達を出し、①価格を寄付額の3割以下にする②地元の産品を使う――ことを要請したが、まだ守らない自治体が少なくない。このため地方税法を改正し、守らない自治体は仕組みから排除するのだという。

総務省の調査によると、この通達を守らない自治体は9月1日時点で380、全体の21.3%にのぼった。自治体にはそれなりの理屈があるから、抵抗しているのだろう。しかし制度から外されては元も子もないから、自治体側は従わざるをえない。それにしても総務省のやり方は大人げない。何度言っても判らないなら、ぶん殴るよという感じだ。

自治体側だって、1万円の寄付に1万2000円の返礼品を出すはずはない。仮に5000円の商品を贈っても、知名度が上がって旅行者が増えるなど、それなりのメリットがあったに違いない。それよりも都市部の自治体では税収が減り、総務省はそれに配慮したのではないだろうか。

たとえば、こんな案はどうだろう。総務省の通達に従う自治体をAグループ、従わない自治体をBグループに分ける。このうちAグループに寄付をする場合は、現状通り寄付額から2000円を引いた額が所得税・住民税から控除される。ただBグループの場合は、差し引く金額を5000円にする。またBグループについては、返礼金の半分に当たる金額を地方交付税の交付から差し引く。これなら段ビラを振りかざすことなく、都市の自治体にも国にもメリットが生じる。

       ≪13日の日経平均 = 上げ +216.71円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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あの“リーマン”から 満10年
2018-09-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ショックの再来はある? ない? = アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破たんしたのが、ちょうど10年前のきょう9月15日。あっという間に金融不安は全世界に広がり、各国は同時不況に苦しむことになった。いわゆる“リーマン・ショック”である。あれから10年たった現在、世界経済は完全にショックから立ち直ったように見受けられる。しかし専門家の間では「ショックはもうない」という見方がある半面、「ショックの再来には注意」という見解も強まってきているようだ。

10年前の金融不安は、アメリカの住宅バブルが崩壊したことで惹き起こされた。リスクの高い住宅証券が高値で売り出され、住宅価格が急落したために証券価格が暴落。銀行も個人も多額の負債を抱え込んで、身動きがとれなくなった。各国の政府・中央銀行が財政・金融面から思い切った景気刺激策をとり、やっとショックを克服したことは周知の通り。

当時と比べると、世界経済は格段に強さを増した。先進国の企業は史上最大の利益をあげ続け、株価も大幅に上昇している。金融機関の経営に対する規制も整備された。だから“リーマン”の二の舞はもうない、という見方が広まっている。しかし、その一方で「金融恐慌は忘れたころにやってくる」と、警鐘を鳴らす専門家も少なくない。

ショックの芽は、アメリカや中国の不動産バブル、あるいは資金流出に苦しむトルコなど。どこに潜んでいるのかは判然としない。だが世界の債務総額は250兆ドルと、リーマン当時より4割増加した。その債務の一部が焦げ付けば、第2の“リーマン”が起こる危険性はある。しかも各国の政府や中央銀行は、当時に比べるとショックを和らげるための手段を失った。「火事が起きる危険は小さくとも、もし起これば消せない」不安を指摘する声は、無視できないだろう。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +273.35円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  


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2018-09-16-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪50≫ マヤ工業 = マーヤが帰ってきたとたん、ぼくは急に忙しくなった。市役所に結婚届を出し、宝くじを買うため都内にもたびたび出かけた。そして会社の設立と工場の建設。会社名は前々から「マヤ工業」に決めていた。

リニア新幹線に近い山梨県の土地は、予想外に安い値段で手に入れることが出来た。不況と人口減少が、地価を下落させていたのだろう。この土地に、全長80メートルほどの細長い工場を2棟建てた。設計図は細部に至るまでマーヤの記憶から取り出されて印刷されている。だから、この点であれこれ気を遣うことはなかった。

工場が3か月ほどで完成すると、こんどは機械の搬入が始まる。小型の電気炉や金属加工用の特殊な機械など。富士山がよく見える秋空のもとで、いよいよ商品の生産が始まった。生産工程はすべて自動化されているから、従業員は1人もいない。

手前の工場で製造されたのは、長さ50メートルの鉄道用レール。向こう側の工場では、特殊ガラスの板が何枚も生産された。それを工場と工場の間に造ったコンクリートの床の上に運んで並べる。レールの両側に、ガラス板がきちんと敷き詰められた。長さ50メートル、幅3メートルの新しい路床である。

紅葉の山肌を眺めながら、ぼくとマーヤは近くにあるリニア新幹線の車両基地を訪ねていた。所長さんは、JRリニア新幹線会社の専務である。企画書を見せて説明すると、全く半信半疑の様子。それでも技術者を連れて、新製品を見にきてくれることになった。

所長さんが眉に唾をつけたのも、当然だったろう。企画書には「リニアの運転に関わる消費電力を20%減少。東京―福岡間を新しい路床に取り換えれば、JRリニアが使う電力の2倍以上を太陽光で発電できる。余った電力は売電が可能」などと書き連ねてあったのだ。

JRリニア会社は、不況による利用客の減少と、原油価格の上昇による電力料金の高騰で、苦しい経営状態に置かれていた。そのため藁をもつかむ思いで、わがマヤ社の新製品に飛びついたのだろう。さっそく、専務が技術者たちを引き連れて何度もやってきた。その結果、新しい路床の驚くべき性能が明らかになると、こんどは東京から副社長までがお出ましになった。

ひやひやしたのは、こうした人たちとの会合で、マーヤが瞬間的に回答してしまうこと。複雑な数字でも計算でも、間髪を入れずに答えてしまう。

夜になって「マーヤ、もう少し人間的になってくれないと危ないよ」と、頼み込んだものである。

                             (続きは来週日曜日)        

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今週のポイント
2018-09-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 警戒しながら買い進む = あまりいい表現とは言い難いが、ウォール街には「死んだ猫でも落とせば跳ねる」という諺があるそうだ。株式相場はもう死に体だが、何かの拍子に上げることもあるという意味だ。たしかに米中貿易戦争、FRBの金利引き上げ、悲鳴を上げる新興国経済。それにSNSの規制に動く議会など、市場にとって警戒すべきタネは尽きない。そんななかでダウ平均は先週238ドル値上がりした。

猫を跳ね上がらせたのは、いくつかの「かもしれない」だ。米中貿易問題で、閣僚級の折衝が再開されるかもしれない。FRBが利上げ打ち止めの方向を打つ出すかもしれない。トルコが利上げし、通貨不安が和らぐかもしれない。これらを材料に、ダウ平均は史上最高値にあと650ドルまで上昇した。だが市場で新高値の更新を確信する人は少ない。

日経平均は先週788円の大幅高となった。ニューヨーク市場から安心感も貰ったが、何よりも円安の進行が大きかった。週末は1ドル=112円まで下落している。だが東京市場も、貿易戦争や日米間の貿易協議、通貨不安がアジアへも広がってきたこと、微妙な中国経済の動向、それに半導体の需給悪化などの問題を抱えている。年末株高論も根強いが、ウォール街の諺は東京にも当てはまると考える人も少なくない。

今週は19日に、8月の貿易統計と訪日外国人客数。21日に、8月の消費者物価と7月の全産業活動指数。アメリカでは19日に、8月の住宅着工戸数。20日に、8月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。なお20日は自民党の総裁選挙。

       ≪18日の日経平均は? 予想 =  下げ


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アジアに伝染した 通貨不安 (上)
2018-09-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ インドネシア、フィリピンなどが苦境に = アメリカの長期金利が3%を超えると、新興国からの資金流出が一気に激しさを増した。アメリカの株式や債券が、安全に利回りを稼げる投資対象になったからである。資金が流出すると、その国の通貨は下落する。通貨が下落すると、輸入物価が上昇してインフレになりやすい。また対外債務の実質的な負担が増大する。そこで政府は金利を上げて通貨の下落を防ごうとするが、国内の景気は悪くなってしまう。

各国通貨の対ドル相場を年初比でみると、アルゼンチン・ペソが50%の下落で最も大きい。政策金利は60%に引き上げられ、IMF(国際通貨基金)にも2度目の支援を申し込んだ。次いでトルコ・リラが40%の下落。先週になってやっと金利を24%に上げ、現在は小康状態。あとブラジルや南アフリカ、それにロシアの通貨も大きく売られている。ロシアも先週、金利を7.5%に引き上げた。

こうした新興国の“通貨不安病”は、9月に入るとアジア地域にも伝染し始めた。インドネシア・ルピアは1998年以来、またフィリピン・ペソも05年以来の安値に落ち込んでいる。インド・ルピーは年初来11%の下落となった。ただ今回の“通貨不安病”を診断してみると、2つの大きな特徴を発見できる。

アジア諸国は10年前にも“通貨不安病”に感染した。だが当時に比べると各国の経済は抵抗力を増しており、たとえばタイやマレーシア、シンガポールなどはほとんど動揺していない。これが特徴の1つ。もう1つはアメリカの金利高がきっかけとなったことは確かだが、それ以上に中国経済の成長鈍化が強く影響していること。その意味では米中貿易戦争の行くえが、アジア諸国の将来を左右すると言えるだろう。

                             (続きは明日)

      ≪18日の日経平均 = 上げ +325.87円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ
             

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アジアに伝染した 通貨不安 (下)
2018-09-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中国への依存度を高めた東南アジア = ASEAN(東南アジア諸国連合)の発表によると、17年の加盟国による対中貿易額は4368億ドル(49兆円)だった。前年比で19%伸びており、10年前に比べると2.2倍に拡大している。輸出は25%増加したが、なかでもベトナムは60%の伸び。携帯電話部品は8.8倍も増えている。マレーシアやフィリピンからの電子部品輸出も大幅に増大した。

このように東南アジア諸国の多くが、いまや中国の部品生産工場になっている。このことが各国経済の基盤強化に貢献したことは確かだが、同時に中国経済の動向に左右される度合いも大きくなった。中国の国内需要が鈍化すれば、直ちに輸出は抑制される。また米中貿易戦争で、東南アジアの部品⇒中国での組み立て⇒アメリカへの輸出という道も閉ざされかねない。

その中国経済は、いま鈍化の傾向にある。1-8月間の固定資産投資額は前年比5.3%増加にまで縮小した。これは過去最低の伸び率である。その一方で小売り売上高は9%程度の伸び率を維持しているから、GDPが急減することは免れている。しかし成長率が低下しつつあることは否定できない。政府は景気対策を講じているが、効果が出るまでには時間がかかる。

アルゼンチンやブラジル、南アフリカなどの通貨不安は、アメリカの高金利によって惹き起こされた。しかし東南アジアの場合は、それに加えて中国の影が色濃く覆いかぶさる。そんなときトランプ大統領は、中国に対する制裁関税の第3弾を発表した。東南アジアにとっては、極端に悪いニュースだろう。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +251.98円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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9月は減少か : 外国人客数
2018-09-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最速で2000万人超えたが = 観光局は19日、8月に訪日した外国人観光客数は257万8000人だったと発表した。この結果、1-8月間の累計は2130万9000人にのぼっている。累計が2000万人に達したのは8月15日。昨年は9月15日だったので、ちょうど1か月早い。ただ大阪北部地震や西日本の豪雨の影響で、前年比の伸び率は4.1%と大きく低下している。

1-8月間の訪日客数を地域別にみると、1位は中国の580万人。2位は韓国の522万人、3位は台湾の336万人だった。続いて香港、アメリカ、タイの順となっている。前年比の伸びが大きかったのはベトナム、フィリピン、イタリア、スペイン、ロシアなど。この5か国はいずれも増加率が20%を超えた。

心配なのは、伸び率が大きく低下したこと。1-6月間は15.6%増加していたが、7月は5.5%、8月は4.1%に鈍化した。地震や台風の影響によるものとみられている。地震や台風の被害は9月になっても発生しており、専門家の間では「9月の訪日客は前年比で減少するかもしれない」という見方が出始めている。仮にそうなら、年間3000万人の目標達成も難しくなる。

地震や台風などの自然災害時には、外国人旅行客への対応策が不備だったことが判明した。避難情報が伝わりにくく、また伝わったとしても避難所が用意されていない。これでは外国人も、安心して日本の旅行を楽しめない。オリンピックもあることだし、政府や自治体は早急に体制を作る必要があるのでは。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +2.41円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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高齢者は お金持ちなのか?
2018-09-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 平均貯蓄額は高いけれど = 総務省は15日、現時点での人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2642万人で前年より27万人減少している。このうち65歳以上の高齢者は3557万人で44万人増えた。また70歳以上は2618万人。前年より100万人増えて、総人口に占める割合が初めて20%を超えた。70歳以上の人口が急増したのは、いわゆる団塊の世代が70歳に達し始めたからである。

65歳以上で17年に就業していた人は807万人で、過去最大となっている。その一方、介護を受けていた人は197万人。ただし介護を受けた人のうちの25%は、何らかの職業に就いていた。部門別にみると、卸・小売業が最も多く125万人。次いで農林業の99万人などとなっている。

雇用形態は、全体の74.4%がパートやアルバイトを含む非正規雇用。ただ過半数の人が「都合のいい時間に働きたい」と考えており、非正規雇用に対する不満は少ない。また65歳以上の就業を国際的に比較すると、日本の就業率は23%で断トツに高い。2位はアメリカの18.6%、3位はカナダの13.6%だった。

高齢者世帯の貯蓄額は、平均すると2386万円。年金収入を計算に入れると、これなら老後の資金はなんとかなりそうだ。しかし一部の大金持ちの影響で、平均値は上昇してしまう。このため貯蓄額の多い方から少ない方まで一列に並べ、その中央値をみると1560万円に減少する。これだと老後の資金繰りはちょっと心配だ。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +195.00円≫

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2018-09-23-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪51≫ 無償供与 = 机の向こう側にずらりと並んだJRリニア社の重役たちは、びっくり仰天。しばらくは開いた口が塞がらなかった。真ん中に座っていた副社長が「それでいいのですか」と、何度も何度も念を押した。

JR側の技術者がマヤ社製の新しい路床を入念にテストした結果、その優れた性能が完全に確認された。このためJRリニア社は、新製品の購入を決定。その最終的な契約交渉の席で、ぼくとマーヤが「ダーストニウムと製造技術はタダで差し上げますから、製品はそちらでお造りください」と言ったときのことだ。JR側は、おそらく10億円単位の交渉になると考えていたに違いない。

ただし『他の企業から購入の希望があったときは、できるだけ安い値段で売れるようにする』という条件だけは付けておいた。

JR側の対応はリニア並みに速かった。さっそく広島県のサッカー場ほどもある広大な敷地に、巨大な製造工場を建設した。リニア新幹線は東京―福岡間を2時間半で結んでいたが、東京―大阪間438キロの75%はトンネルで発電効率が悪い。そこで大阪―福岡間550キロの大改修工事から始めることにしたらしい。

試算によると、大阪―福岡間の工事が完成すると、JRリニア社はその太陽光発電ですべての消費電力を賄える。そのあと東京―大阪間を改良すれば、その分は売電に回せることになるはずだ。

この計画が公表されると、世間は大騒ぎになった。新聞やテレビは「JRリニア社が起死回生の賭け」と解説。また「新技術の中核は、奇跡の生還を果たしたあの宇宙飛行士が発明したものらしい」とか「宇宙人から教わった技術ではないか」など、連日のように大見出しの記事が飛びかった。

だが、ぼく自身はマスコミの取材を完全に拒否し続けた。下手に対応すると、ダーストン星の秘密が漏れる心配があったからである。その代り、マヤ工業の試験的な工場は一般に開放した。このため山梨県の工場には見学者が絶えず、専属の案内人を3人も雇ったほどである。

やがて高速道路会社や鉄道。さらには空港などからも、マヤ式の太陽光発電装置を買いたいという申し込みが殺到した。これを受けてJRリニアは山梨工場の建設を前倒し。これらの需要にも応じることとなった。

そして海外からも引き合いが来る。JRリニア社はぼくたちとの契約に従って、アメリカや中国、ヨーロッパや中東にも子会社を設立する計画を建て始めた。

マーヤが帰ってきてから、わずか3年半。2065年秋のことである。

                            (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-09-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 予期せぬ株価の大幅高 = 日米の株価は先週、大幅に上昇した。ダウ平均は週間589ドルの値上がり。終り値は2万6740ドルに達し、史上最高値を8か月ぶりに更新した。日経平均も775円の急上昇。6日間の連騰で、この間の上げ幅は1200円を超えている。市場を取り巻く環境を考慮すると、株価がこんなに高騰するとは誰も予想しなかったのではないだろうか。

トランプ大統領は先週初め、中国に対する第3弾の制裁関税を発表した。これでダウ平均は下げたが、日経平均は上昇。ここから日米の株価はともに急騰している。第3弾の内容は、2000億ドル分の輸入品に10%の関税を上乗せするというもの。市場は25%の上乗せを予想していたので、これよりは規制が緩やか。そこでリスクが減ったのだ、と解釈されている。だが何となく釈然としない。

日経平均の場合は、それに円安の進行が加わった。円の対ドル相場は、先週を通じて約50銭の下落だった。今週もこうした市場の楽観が持続するのかどうか。24日にはニューヨークで、日米の閣僚級による貿易協議が始まる。そして26日には、安倍首相とトランプ大統領の首脳会談。楽観論が一気に吹き飛ぶ可能性もなくはない。

今週は25日に、8月の企業向けサービス価格。28日に、8月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数と9月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは25日に、9月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、8月の新築住宅販売。27日に、4-6月期のGDP確定値、8月の中古住宅販売が発表される。

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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貿易戦争を度外視した 株式市場 (上)
2018-09-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 本格的な覇権争いの様相 = トランプ大統領が中国に対する制裁関税の第3弾を打ち出した。中国製品2000億ドル分を対象に、10%の関税を上乗せするという内容。第1弾と第2弾では合計500億ドル分の輸入品に25%の関税を上乗せしているから、これで対象となる商品の総額は2500億ドルに。中国からの輸入品の約半分に、高関税がかけられることになった。中国側も直ちに、アメリカからの輸入品600億ドル分に10%の関税を追加すると応酬している。

さらにトランプ大統領は「第4弾として、2670億ドル分に25%の関税を上乗せする用意がある」とも言明した。仮にそうなると、中国から輸入する全製品に高関税が課せられることになる。中国側も対抗措置として、企業の対米投資やアメリカ向け団体旅行の規制、ハリウッド映画の上映禁止、アメリカ製品の不買運動なども検討中と伝えられる。2大経済大国による覇権争いの様相が、ますます濃くなってきた。

すでに影響が広がっている。アメリカでは鉄鋼製品の値上がりで機械類の価格が上昇、たとえば掘削機が値上がりしたためシェール産業の採算が悪化した。また生活用品でも、冷蔵庫や洗濯機の値段が2割も上がっているという。一方、中国では輸出の抑制で景気の鈍化が心配され、上海市場の株価は3年10か月ぶりの安値に沈んだ。

海外の企業も右往左往し始めた。中国に加工・組み立て工場を持ち、そこからアメリカに輸出している海外企業は数多い。日本企業を含めて、これらの企業は生産拠点をどこに移そうかと大わらわである。世界中の経済調査機関もその影響を重視、来年以降の景気見通しを下方修正している。こんな情勢にもかかわらず、株式市場だけは米中貿易戦争の影響を全く無視。ダウは新高値を更新、日経平均も連騰で大幅に上昇した。なぜなのか。

                             (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 上げ +70.33円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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貿易戦争を度外視した 株式市場 (下)
2018-09-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最後の列車に乗り遅れるな = 米中貿易戦争の進展は、米中両国だけではなく、中国への依存度が高い東南アジア諸国の経済にも悪影響を及ぼし始めた。OECD(経済協力開発機構)などの国際機関も、来年の経済予測を次々と下方修正している。にもかかわらず、株価は急上昇。ダウ平均は史上最高値を更新、日経平均は6日間で1200円を超す勢いで急騰した。

ニューヨーク市場では、その説明として順調な国内景気の拡大が挙げられている。たしかにアメリカの雇用や企業業績の数字は、相変わらず絶好調だ。そのうえトランプ大統領が発表した第3弾は、追加の関税率が25%でなく10%にとどまった。このためリスクを感じなかった、という解説が行き渡っている。しかし「だから小幅に上げた」というなら判るが、第3弾を全く無視した解釈としては、どうもすんなりとは呑み込めない。

バンクオブアメリカ・メリルリンチの調査では「来年の世界経済は鈍化」とみる機関投資家が大幅に増えた。また報告書では「偉大な強気相場は終わった」とも述べている。だがウォール街は動揺しなかった。なぜか。おそらくは手元資金を持て余したファンドが、貿易戦争による大きな影響が出るのはもう少し先。その前にひと稼ぎしようと資金を投入、それに乗り遅れるなと他の投資家も追随したのだろう。だとすれば、大相場の終焉は近い。

東京市場の場合も同じだが、こちらでは円相場という要因も加わってくる。貿易戦争でアメリカの物価が上がれば、FRBの利上げテンポが速くなる。アメリカの貿易赤字は縮小する。原油価格の高騰で、日本の貿易収支は悪化する。これらはみな、円安の進行要因になるだろう。さらに日本の株価には割安感がある。当面のポイントは、ニューヨーク株がどこまで上がるかと日米貿易協議の結果ということになる。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +93.53円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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厳しいぞ! 日米貿易協議 (上)
2018-09-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 切り札は自動車の数量規制 = 安倍首相とトランプ大統領の会談で、貿易問題については3つの原則が決まったと伝えられる。①日本側は物品についての貿易協議に応じる②日本の農畜産物輸入については、TPP(環太平洋経済連携協定)で決めた内容以上には譲歩しない③協議の継続中、アメリカは自動車の輸入制限をしない――の3点である。なにやら日本側の言い分が、すべて通ったような感じもする。

だが真相は全く異なるのだろう。もし、この3原則通りなら、もう交渉など必要ない。首脳会談後の共同声明で「細目の詰めは残っているが、日米の貿易交渉は決着した」と書けたはずだ。特に「協議の継続中は、自動車の輸入規制は行わない」という一項は、きわめて危険。アメリカ側は、いつでも「協議を打ち切るぞ」と脅しをかけられるからだ。

アメリカ側は「日本車の輸入に数量規制を設ける」という切り札を、そんなにあっさり捨てるはずがない。財務省の貿易統計によると、17年度の対米貿易黒字は6兆8000億円。自動車の輸出台数は178万台、金額にして4兆6000億円だった。一方、アメ車の輸入は2万1300台、金額は1032億円にとどまっている。トランプ大統領は、この不均衡を何とかしろと怒鳴っているわけだ。

たとえば現在2.5%の関税で輸入している日本車の台数を150万台までとし、それ以上の輸入には25%の関税をかける。交渉で日本側の対応が不満足ならば、こうした要求が出てくる可能性は十分にありうるだろう。これを避けるために、日本側は農畜産物、防衛装備品、LNG(液化天然ガス)の輸入を増やすしかない。だが、どこまで増やせばアメリカ側を納得させられるのだろうか。

                            (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 下げ -237.05円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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厳しいぞ! 日米貿易協議 (下)
2018-09-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 肉を買って車を売ることに? = トランプ大統領は牛肉や米などの農畜産物についても、輸入増加を迫っている。中間選挙では、自動車と並んで農村地帯でも票を獲得したいからだ。この農畜産物について、日本はTPPで決めた水準までしか自由化できないと主張している。その内容は、現在38.5%の牛肉に対する関税を27.5%とし、16年後には9%まで下げる。米は5万トンに限り、無関税で輸入するというもの。

だが、こうした措置に防衛装備品やLNGの購入増加を加えても、その総額は1兆円程度にしかならない。アメリカの対日赤字は7兆円だから、トランプ大統領はとうてい満足しないだろう。結局、日本側は農畜産物の輸入をさらに自由化する代わりに、自動車に対する数量規制を止めるよう頼み込むしかないのではないか。

かつて沖縄が返還されたとき、日本は繊維製品の対米輸出を自主規制した。この交渉は当時「糸を売って縄を買った」と皮肉られたものである。その伝で言えば、今回は「肉を売って車を買う」ことになる。だが実際はアメリカに自動車を売って、アメリカから牛肉を買うことになるから、ややこしい。

農畜産物の輸入をTPPの水準より拡大すると、すでに協定を結んだTPP相手国とアメリカとの間で不公平が生じる。また国内の農家に対して、安倍首相は「TPPの水準は守る」と何度も約束してきた。前者はTPP加盟国に、アメリカ並みの自由化を認めるしかないだろう。後者は補正予算で、補助金の増額を計る。あんまり褒められる話ではないが。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +323.30円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   


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2018-09-30-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪52≫ 救世主 = 地球は人間が自ら生み出した氷河期を抜け出し、かつての春夏秋冬を取り戻していた。しかし人々を取り巻く政治的・経済的な環境は、暗くて重苦しかった。アメリカと中国が覇権を競い合い、国連は機能を停止した状態。核兵器のおかげで軍事衝突こそ免れているが、2つの大国は重要な資源の獲得に血道を上げている。

その結果、金属や食料などの価格が高騰。企業も個人も、物価高に悩まされている。特に原油の国際価格は1バレル=250ドルにまで上昇した。買い漁りに加えて、原油そのものの埋蔵量が底をついてきたためである。エネルギーを輸入に依存する日本は、とりわけ苦しい立場に置かれていた。

2065年、日本の人口は8800万人にまで減少していた。経済はずっとマイナス成長とインフレの継続。原発は周辺住民の反対で建設できず、再生エネルギーは高コストで普及しない。結局は原油頼りだが、人々は電気やガス、それにガソリンの節約を強制される生活を続けていた。国会では、相変わらず不毛の議論ばかり。多くの国民は「もう不満を言っても仕方がない」と、諦めムードが支配的になっていた。

ぼくとマーヤの画期的な太陽光発電装置が世に出たのは、こんなときである。JRリニア新幹線会社は業績が劇的に改善し、世間を驚かせた。全国の高速道路会社や在来型の新幹線会社から、マヤ路床の注文が殺到。JRリニア社は、工場の拡張工事に追われていた。

新型の路床が普及したことの経済的な効果は、想像を絶するほど大きかった。日本の電力消費量は2067年に1億5000万キロ・ワット時に達していたが、その8割を国内の太陽光発電で賄うことが出来るようになった。貿易収支は急速に改善し、電気料金も上がらなくなった。このため企業は輸出競争力を回復、個人も安心して消費を増やせるようになった。

ぼくもマーヤも忙しく働いていた。日本経済が日に日に立ち直り、人々の笑顔が増えて行く。それが何よりの励みになった。でもマーヤはこのところ、少し太ったように見えてならない。率直に聞いてみると・・・
「中年太りですよ。私はもう人間なんですから」と言って、ケラケラと笑った。

だが数日後、ダーストン星からUFO経由で悲報が届いた。あのウラノス博士が亡くなったという。考えてみれば、いろいろ教えてもらい、地球の救世主となるような仕事も頂いた。満月を眺めながら、マーヤと一緒に泣いたあの夜のことは忘れられない。

                             (続きは来週日曜日)


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