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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
実体経済から遊離する 株価 
2019-03-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気や企業収益には目をつぶり = 政府は2月の月例経済報告で、生産についての基調判断を40か月ぶりに引き下げた。企業収益に関しても下方修正している。遅ればせながら、景気に対して“注意信号”を出したとみていい。じっさい、上場企業の3月期決算は3年ぶりに減益となる。にもかかわらず、株価は下がらない。日経平均は年初来1400円以上も上げている。

アメリカでは雇用の堅調が続く一方で、消費が伸び悩み始めた。FRBも景気動向を心配して、金融引き締めを停止した。それでもダウ平均は年初来3000ドルも上げている。中国経済の成長鈍化は止まらないし、ドイツはゼロ成長に落ち込んだ。しかし上海総合株価もDAXも、最近は持ち直している。株価と実体経済の関係が、かなり希薄になってきたようだ。

最近の市場では、たとえば米中貿易戦争の終結に期待して買いが入る。だがトランプ大統領が選挙向けに「大成功」と宣伝しても、貿易戦争が完全に終結することはない。さらなる関税引き上げ競争という、最悪の事態が回避されるだけである。その半面、世界経済の減速傾向はゆっくりしたテンポで進んでおり、あのリーマン・ショックのような爆発力はない。

先進各国の金融緩和政策で、世界の投機マネーは1京円に達したといわれる。この投機マネーは強烈なショックがあれば影を潜めるが、そうでなければ少しでも有利な投資先を求めて動き回る。現在は動きの緩やかな世界経済の減速には目をつぶり、不確かな政治の世界に手がかりを求めている状態なのだろう。こうした実体経済とのかい離は、一種のバブルと言える。バブルがもっと膨らめば、いずれは破裂することになる。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -171.35円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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地獄 >極楽 : 10日連休の功罪
2019-03-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最大の被害者は子どもたち = 4月27日から始まる10連休。政府はその悪影響をあまり考えることなく決めてしまったようだ。今週になって、あわてて対応策を発表。病院の受け入れ体制や家庭ごみの収拾日などを、周知徹底させるよう地方自治体に要請した。なかでも最大の問題は、幼稚園や保育所の運営だろう。政府は対応策のなかで、保育士を確保するために補助金を支給すると言っている。だが10日間だけカネを出して、資格のある保育士がどれだけ集まるのだろうか。

10日間も続けて休めるのは、国家公務員や大企業・製造業などの社員。これらの人たちが行楽に出かければ、小売りや宿泊・飲食業、運輸関係の従業員は、逆に休みがとれない。ところが小中学校、幼稚園は休みに。保育所も手いっぱいだ。サービス業に従事する親たちは、いったい子どもをどうしたらいいのだろう。

いま日本で働いている人は、およそ6600万人。このうち職場が10日連休となる人たちは、2000万人程度とみられている。あとの4600万人は、かえって忙しくなる。そこで商売繁盛と喜ぶ人もいるが、職場が休みになって給料が減ってしまう派遣やバイトの人も少なくない。そしてGDPは、結果として減少するという試算も出ている。

最大の被害者は、子どもたちかもしれない。親と旅行を楽しんだ子どもがいる一方で、放任される子どもも多いだろう。そこで連休を楽しんだ小学校・幼稚園の先生にお願い。連休が終わったあと、子どもたちに「楽しいことは何でしたか」と質問しないこと。もしかすると、一人で留守番させられた子どもがいるかもしれないから。

       ≪1日の日経平均 = 上げ +217.53円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】   


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今週のポイント
2019-03-04-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 材料なくても上がる株価 = 大きな出来事と言ったら、米朝首脳会談が物別れに終わったぐらいなもの。国際政治的には大問題だったが、もともと経済的な影響力は小さい。だから株価は動かなかった。そして株価を押し上げるような材料は、ほとんど見当たらない。むしろアメリカの10-12月期の成長率が2.6%に鈍化したり、イギリスの“合意なき”EU離脱が迫ってきたり。悪い方のニュースが目立つ。にもかかわらず、株価は堅調だ。

ダウ平均は先週5ドルの値下がり。9週間の連騰はこれで途切れたが、2万6000ドルの大台は維持している。一方、日経平均は先週177円の値上がり。3週連続の上昇で、2万1600円まで戻している。日米ともに企業の業績は、大幅な増益から減益に急降下。このためPER(株価収益率)が急速に上がってしまった。つまり日本株の割安感も、薄れつつあるわけだ。

日本株にとって援軍となっているのは、じりじりと下がる円相場だ。先週末の対ドル相場は112円近く、2か月ぶりの円安水準となった。世界経済に対する警戒感が薄れ、円を買う力が弱まったためと解説されているが、どうもピンとこない。市場では3月もこうした状況が続くという見方が強いようだが、はたしてどうだろうか。

今週は7日に、1月の景気動向指数。8日に、10-12月期のGDP改定値、1月の家計調査、2月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、2月のISM非製造業景況指数、12月の新築住宅販売。6日に、2月の貿易統計。8日に、2月の雇用統計、1月の住宅着工戸数。また中国が8日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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割れる 円相場の予想 : 3月
2019-03-05-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円安説と円高説が混在 = 円の対ドル相場がじりじりと下落、先週末時点では112円に接近した。年初に比べると4円ほどの円安。おかげで東京市場の株価も、ことしになってからは上昇傾向を続けている。特に円安がはっきり進み出したのは2月に入ってから。そのきっかけは1月末に、FRBが利上げの休止を表明したことだった。

アメリカの金利上昇が止まれば、本来なら円高の力が働くはず。それが円安を導いたのは、日米間の金利差が縮まることを心配した日銀が、国債の買い入れ量を増やして長期金利をマイナスに誘導したためだと思われる。さらにイギリスのEU離脱がこじれてユーロ相場が下落。ドルの対ユーロ相場が上昇したことにつられて、ドル高・円安になったようだ。

いま市場では、この状態が3月も持続するかどうかで見方が割れている。FRBと日銀の政策は変わらない。ユーロも弱いままだろう。しかも米中貿易戦争の緊張が和らぎ、アメリカの政府機関閉鎖も回避された。世界的にリスクが軽減されて、安全資産の円を買う必要が薄れた――というのが、円安持続説の根拠になっている。

一方の円高傾斜説は、過去の経験則を重視する。――3月期の決算に備えて、日本企業が海外で得た利益を円に換える。このため3月は円高になりやすい。現に16-18年の3月は、いずれも円高だった。加えて間もなく始まる日米貿易交渉。ここでアメリカ側は、日米間の金利差が縮小するのを阻止するために日銀が実行しているマイナス金利政策を、厳しく追及してくるのではないか。ここに注目している人も少なくはない。

       ≪4日の日経平均 = 上げ +219.35円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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食品の値上げラッシュ なぜ?
2019-03-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 色濃い消費税引き上げ対策 = 牛乳、ヨーグルト、生メン、カップ麺、食塩、ペットボトル飲料水、コーヒー、コカコーラ、カレー、冷凍食品・・・数え上げればキリがない。さらに大手の外食チェーン店まで。この3月から6月にかけて、まるでインフレ時代のように値上げが続く。表向きの理由は、原料費や人件費、それに運送費や電気代の上昇だ。だが値上げするメーカーや小売店には、消費増税に備えようという思惑も見え隠れする。

鳴り物入りで宣伝されたTPP(環太平洋経済連携協定)や、EUとの間で成立したFTA(自由貿易協定)が発効した矢先。輸入製品が安くなると聞かされていた消費者にとっては、何となく裏切られたという感じが強い。たしかに人件費や電気代の上昇は痛いだろうが、それにしても5-10%という大幅な値上げが目立つのは、行き過ぎではないだろうか。

新聞などの解説によると、ことし10月には消費税の引き上げが予定されている。その間際に値上げをすると、2%の増税分と重なって消費者の負担感がいっそう重くなってしまう。また増税を利用した“便乗値上げ”だと批判されるかもしれない。そこで早いところ値上げしてしまおうという判断になったのだそうだ。

だが多くのメーカーや小売店は、もう少し深い作戦を立てているようだ。いま商品の値段を5-10%と、やや大き目に値上げしておく。そして10月に消費税が上がったとき、増税分の2%を値引きして売り出す。消費者からみれば、増税なしの値段で買える。だから品物が売れる。メーカーや小売店は、こうしても採算がとれることになる。いやはや。

       ≪5日の日経平均 = 下げ -95.76円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


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習政権は 「背水の陣」を敷いた (上)
2019-03-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 6%成長を死守する構え = 中国の李克強首相が、全国人民代表大会で発表した19年の目標成長率は「6-6.5%」だった。18年の「6.5%前後」からの引き下げ幅を小さく見せるための工夫をしているが、上限の6.5%に意味はない。というのも実際の成長率は、昨年10-12月期に6.4%まで下がっているからだ。習政権の真意は、下限の6%を死守することにあるとみるべきだろう。

この6%成長を死守するために、中国政府は大々的な景気対策を打ち出した。李首相によると、まず企業に対する優遇措置。減税と社会保険料の負担軽減で、計2兆元(33兆円)を還元する。また地方特別債を2兆1500億元発行し、鉄道建設8000億元を中心にインフラ投資を促進する。同時に金融面からも預金準備率の引き下げなど、いっそうの緩和を図る方針だ。

習近平国家主席は、かねてから「20年のGDPを10年の2倍に拡大させる」と公約してきた。そのためには19年の成長率を6%以上にすることが、絶対条件となる。また仮に6%を割るようだと、失業率が急激に高まって国民の不満が爆発しかねない。このため財政・金融面から総力を挙げて、“6%の川”を渡って後退することがないよう万全の体制を構築したのだろう。

問題は、その効果である。上海市場の株価は、政策内容を評価して上昇した。また専門家のなかにも「これで中国経済は年央から回復に向かう」と楽観する人が出ている。その半面「いまの中国経済は病根が深く、こうした対策では治癒しない」とみる人も多い。たしかに背水の陣は敷いても、戦いに勝てないこともないではない。

                               (続きは明日)

       ≪6日の日経平均 = 下げ -129.47円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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習政権は 「背水の陣」を敷いた (下)
2019-03-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 実態はすでにマイナス成長? = 財政・金融面からの強力な景気対策にもかかわらず、中国経済の立ち直りには時間がかかるという見方も少なくない。というのも仔細に観察すると、厄介な問題を抱えていることが判るからだ。たとえば不動産バブルの問題。あるいは地方政府と国有企業の過剰債務。景気対策を推進するなかで、これらの問題への対処を誤ると、新たな大問題が発生しかねない。

大都市のマンションを中心にした不動産投機は、以前からバブルの様相を濃くしていた。中国政府は昨年春から不動産融資をきびしく規制、今回もその規制を緩めていない。ところが景気の悪化とともに、最近は住宅価格が急落。1月の住宅販売高は前年比で3割も落ち込んだ。しかし規制を緩めると、バブルが復活する。だが、このままだと建設業を中心に失業者が増えてしまう。

国有企業の累積債務は、昨年末時点で40兆元を超えたとみられている。また地方政府の債務は18兆元と発表されているが、実際はもっと多いようだ。GDPに対する比率は160%に達したという試算もある。さらに今回のインフラ投資増額で、これらの債務がいっそう膨れ上がることは確実。どこかで債務不履行が発生すると、連鎖的に金融不安が顕在化する危険をはらんでいる。

日経新聞によると、中国人民大学の向松祚教授は、昨年末の講演で「重要な機関が18年の成長率を1.67%かマイナスと試算した」と語ったという。自分の考えではなく、“重要な機関”の試算だと言っているが、よく当局から叱られなかったものだと思う。それとも当局の方が、こういう形で「マイナス成長もありうる」ことを教え込もうとしているのだろうか。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -140.80円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ


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下剋上の戦国時代に : 情報メディアの闘い
2019-03-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ネットに食われるテレビや新聞 = 世はまさに情報時代。膨大な数の情報が、テレビや新聞、それにSNSと総称されるインターネット関連メディアを通じて流れている。こうしたなかで、メディア同士の競争は熾烈さを増すばかり。食うか食われるかの戦いを展開しているが、形勢は後発のネット・メディアがきわめて優勢だ。新聞や雑誌などの活字メディアはもちろん、テレビもネットに攻め立てられて防戦一方である。

電通の集計によると、昨年の総広告費は6兆5300億円だった。前年比では2.2%しか増えていない。各メディアが、この広告費を取り合ったことになる。その結果、首位はまだテレビが死守。獲得した広告費は1兆9123億円だったが、前年比では1.8%減少している。一方、ネット・メディアは1兆7589億円で、16.5%も増加した。この調子で行くと、ことしはネットがテレビに追いつきそうだ。新聞は4784億円、前年比7.1%の減少で、これもネットに食われた。

出版物という視点でみても、ネットの進出が著しい。出版科学研究所の調査によると、昨年の雑誌と書籍の総売上高は1兆2921億円で、前年比6.7%の減少だった。この実績はピークだった1996年の半分以下に落ちている。特に若い人の活字離れが急速に進んでいるという。その一方、いわゆる電子出版物の売上高は2479億円で、11.9%も伸びている。

こうしたネット・メディアの快進撃は、スマホの普及に支えられている。総務省の調査によると、17年のスマホの世帯普及率は75.1%に達した。特に20-30歳代では90%を超えている。ある意味では、そろそろ飽和状態に。したがってネット・メディアの勢いも、ことしあたりから弱まる可能性がないではない。そうなると、こちらも必死になるだろうから、情報メディアの闘いはさらに激化することになる。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -430.45円≫

       【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   


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今週のポイント
2019-03-11-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 潮目が変わった株式市場 = 世界中の株価が急落した。ダウ平均は5日間の続落で、先週は576ドルの値下がり。日経平均も577円の下落。ドイツやフランス、上海の株価も大きく値を下げている。原因は各国で、実体経済の悪化が報じられたこと。アメリカでは住宅販売の不振、雇用者増加数の激減。日本では景気動向指数の低迷、中国では目標成長率の引き下げ。EUでは景気予測の下方修正など。悪いデータが一斉に出現した。

世界の株価は、先々週まで予想以上の強さを示していた。ダウ平均は昨年10-12月間に下落した分の8割を取り戻し、日経平均も半分まで戻している。日経新聞の調査だと、世界36市場のうち16市場が半値戻しに成功していた。だから先週の急落は、その反動だという見方もないではない。

仮に今週の株価が大きく反発すれば、そういう見方が広がるだろう。だが株式市場は、ここへきて実体経済の悪さに気が付いたとみる方が自然。とすれば、株価の調整は長引くと覚悟しておいた方がいい。その調整の長さと深さを知るためには、各国が発表する経済指標を重視して行くしかない。

今週は12日に、1-3月期の法人企業景気予測調査。13日に、2月の企業物価と1月の機械受注、第3次産業活動指数。アメリカでは11日に、1月の小売り売上高。12日に、2月の消費者物価。13日に、2月の生産者物価。14日に、1月の新築住宅販売。15日に、2月の工業生産と3月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、2月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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びっくり! アメリカの雇用統計
2019-03-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 異常に減少した雇用者増加数 = アメリカ労働省が発表した2月の雇用統計をみて、多くの関係者が仰天した。最も注目される非農業雇用者の増加数が、わずか2万人にとどまったからである。1月は31万人も増加していたのに、なぜこれほど減少したのか。なにしろ景気の力強さを象徴する指標とみられてきただけに、そのショックは大きかった。

実は17年9月にも、雇用者の増加数が1万8000人に落ち込んだことがある。このときはハリケーンの影響だった。今回も中西部を襲った大寒波の影響を指摘する声もあるが、その被害の大きさは比較にならない。さらに心配な点がある。統計をよくみると、建設業の雇用者が3万1000人減ったほか、小売業と製造業の雇用者もほとんど増えなかった。

最近のアメリカ経済を点検すると、まず住宅関連の不振。次いで製造業と小売業の伸び悩み傾向が目につく。たとえばローン金利の上昇で、住宅投資は1年以上にわたって前年割れ。製造業の景況感は2年3か月ぶりの低水準に。小売り業界は、ことしの見通しを昨年より大幅に引き下げている。もし、こうした実体経済の悪化傾向が雇用面にも現われ始めたとすれば、景気後退の危険性が強まることになるだろう。

その答えは、おそらく1か月後に発表される雇用統計に示される。仮に3月の雇用者増加数が20万人に達すれば、2月の急減は一過性のものだと片づけられる。仮に15万人を割り込むようだと、景気後退色が一気に広まりかねない。世界経済をずっと牽引してきたアメリカ経済は、いま重大な分岐点にさしかかっている。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +99.53円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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やっぱり! 日本の景気動向指数
2019-03-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ すでに景気後退入りの公算 = 内閣府が発表した1月の景気動向指数(15年=100)で、景気の現状を表す一致指数が3か月連続のマイナスとなった。このため内閣府は、景気の基調判断をこれまでの「足踏み」から「下方への局面変化」に改めている。平たく言えば、この表現は「もしかすると、景気はすでに後退局面に入っているかもしれない」という意味。にもかかわらず一般の受け取り方は「さあ、大変」ではなく、「やっぱり、そうか」だった。

政府は2月の月例経済報告で「緩やかな景気の回復が続いている」と、楽観的な見方を示したばかり。アベノミックスと一緒に始まった今回の景気上昇が、戦後最長になったようだとも宣伝した。ところが仮に景気が昨年末から後退していたとなれば、戦後最長の記録は達成できないことになる。

そこで新聞やテレビは「新記録の景気回復か、それとも後退入りか」と、面白おかしく騒ぎ立てている。だが「どちらでも、そんなに変わりはない」というのが、一般庶民の正直な感覚だろう。もともと戦後最長の景気回復と言われても、好況感に乏しかったからである。しかし景気の後退がどんどん進行すると、そんなことを言ってもいられない。

1か月後に発表される2月の景気動向指数がマイナスになれば、日本経済の後退局面入りはほぼ確定する。輸出や生産の動向から判断すると、残念ながらその公算は大きい。そんななかで政府がいつまでも“戦後最長”にこだわっていると、また手遅れになる恐れがある。そうなって、国民に「やっぱり」と言わせないでもらいたい。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +378.60円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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さっぱり! イギリスのEU離脱
2019-03-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 延期か国民投票 = とうとうイギリスのEU離脱日まで、あと2週間になってしまった。ところが相変わらず、秩序ある離脱に必要な協定が策定できない。メイ首相がEU 側と合意した協定案を、イギリス議会がすべて否決してしまうからだ。もし今月29日までに協定を結べないと、イギリスは何の取り決めもないままに離脱せざるをえない。そうなればイギリスや大陸側の諸国はもちろん、全世界が未曽有の混乱に巻き込まれる。

イギリスは16年6月の国民投票で、EUから離脱することを決めた。だが離脱の具体的な方法までは考えていなかったことが、問題の発端に。たとえばイギリス領の北アイルランドが、独立国のアイルランドと国境を接している。アイルランドはEU加盟国なので、イギリスがEUから離脱すれば、この国境に税関を設置して人やモノの移動をチェックしなければならない。

しかし、それは歴史的にも現実的にも全く不可能。このことを国民投票のときには、誰も気づかなかった。だが税関を置けなければ、EUを離脱できない。そういう意味で、イギリスは脱出方法がない落とし穴に落ち込んでしまったと言えるだろう。だからメイ首相がいろいろ修正案を出しても、議会の賛成を得られない。

せっぱ詰まったイギリス政府は、いま離脱日を2か月ほど延期する方向で動いているようだ。しかし延期したところで、問題の本質は何も変わらない。かつて7つの海を制し、世界をリードした大英帝国。いまEU離脱という歴史的な命題を抱えて、もがき苦しんでいるようにみえる。再び国民投票に訴えれば、離脱反対派が勝つ公算が大きい。日本から眺めていると、最近のイギリスはさっぱり判らない国になった。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -213.45円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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はっきり! 半導体の需要急減
2019-03-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界経済のマイナス要因に = 半導体の需要が急速に落ち込んでいる。主要メーカーで構成するWSTS(世界半導体市場統計)によると、18年の世界需要は4779億ドル(52兆円)で前年比16%の増加だった。17年の22%増には及ばなかったが、まだ水準は高い。ところが、ことし1月になると需要は前年比5.7%減に急落した。半導体の需要は大きく波打つ傾向があり、業界では昨年秋ごろから下降局面に入ったという見方が強い。

半導体の需要はスマホ用が4割、データ・センターのサーバー用と自動車・パソコン用が3割ずつを占めている。このうちサーバー用はアップルやグーグルなどの大手が過剰投資、その反動が表れた。またスマホは飽和状態に近づいたうえ、高価格製品の売れ行きが伸び悩み。特に中国市場での売れ行きが落ち込んだ。

米調査会社IDCの集計によると、18年の中国のスマホ販売台数は3億9770万台。前年比では10.5%も減少した。ことしの見通しも明るくはない。半導体は需要が減ると、すぐに価格が下がってしまう。たとえば最近のフラッシュ・メモリー価格は、1年前より4割以上も下落している。このため主要メーカーの業績も悪化した。

そんななかで注目されるのは、中国ファーウェイ社の健闘。中国市場で昨年、アップルが20%も販売台数を減らしたのに対して、ファーウェイは15.5%伸ばしている。アップルが高価格製品を投入したのに、ファーウェイは低価格品で勝負したことも大きな理由の一つ。だが米中貿易戦争が、中国人の“愛国心”をかき立てたことも影響したに違いない。モノがコンピューターの素材だけに、はっきりと割り切れる。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -3.22円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ
     

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無茶苦茶な 道交法改正案
2019-03-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自動運転に“ながら運転”を認める = 自動運転車なら「運転中にスマホでメールのやりとりをしても構わない」という内容の道路交通法改正案が、先週の閣議で決定された。飲酒や睡眠はダメだが、テレビで野球中継を見るのはOKだという。なんという無責任な法律を作るのだろう。安全性を度外視した政府の姿勢には、全く腹が立って仕方がない。

この“ながら運転”許可は「緊急時に手動運転に代われること」が前提だという。しかし“ながら運転”中に、緊急時をいち早く察知することは困難ではないのか。メールに熱中している運転者が、緊急事態を感知することはまず不可能だろう。だから、この法律は内容的に矛盾していると言わざるをえない。

事故の責任は、いったい誰がとるのか。事故を起こしたとき、運転者はメールを打っていた。この行為は合法なので、無罪と認定されるのか。交通事故は一瞬の判断の遅れが、命取りとなる。その一瞬の遅れを生むことになる“ながら運転”の解禁。どう考えても、法律の意図が呑み込めない。

自動運転が最も進んでいるアメリカでも、試験走行中の事故の多さが大問題になっている。ニューヨーク市では、いまだに公道での試験走行を認めていないそうだ。ましてや、道路が狭い日本で。こんな悪法を作った国土交通省のお役人もさることながら、閣議で何も議論しなかった大臣たちの知能程度が疑われる。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +163.83円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  


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今週のポイント
2019-03-18-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 雨にも負けず、戻す株価 = あまり良くない環境のなかで、株価が戻している。アメリカではメキシコ国境のカベ建設を巡って、トランプ大統領と議会の関係が最悪の状態に。ボーイング機の墜落事故。それに雇用者の増加数が激減した。またイギリスのEU離脱も最終局面で、まだ目鼻がつかない。中国は目標成長率を引き下げ、日本の景気動向指数も3か月連続で低下した。にもかかわらず、株価は上昇している。

ダウ平均は先週399ドルの値上がり。日経平均も425円の上昇だった。これでダウ平均は年初来2522ドルを戻し、日経平均も1436円の値上がりとなっている。昨年10-12月期の急落に対する反発とみている人も多いようだが、それだけでは説明がつかない。最近の市場では、過去の経験則が薄れつつあるように思われる。

あと10日で、イギリスはEU離脱の予定日を迎える。どうやら離脱は延期される公算だが、問題の本質は何も解決されない。アメリカでは大統領と議会の対立が激化し、政府の債務上限引き上げが難しくなりそう。日本では年度末を控えて、金融機関などの保有株売りが警戒されている。そんな問題に直面しながら、株価は今週も戻し基調を続けて行くのだろうか。

今週は18日に、2月の貿易統計。19日に、2月の訪日外国人客数。22日に、2月の消費者物価。アメリカでは18日に、3月のNAHB住宅市場指数。21日に、2月のカンファレンス・ボード景気先行指数。22日に、2月の中古住宅販売戸数が発表される。なお21日に統一地方選挙スタート。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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安心できない 輸出の動向
2019-03-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2月の貿易統計にみる問題点 = 財務省は18日、2月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は6兆3800億円で前年比1.2%の減少。輸入は6兆0500億円で6.7%の減少だった。この結果、貿易収支は3300億円の黒字となっている。輸出の減少は3か月連続だが、1月の8.4%減少に比べると減り方がかなり縮小した。特に中国向けの輸出は3か月ぶりに5.5%の増加となっている。この発表をみて、株式市場には安心感も流れたようだ。

だが発表の内容を点検すると、いくつかの問題点が見付かる。まず輸出品目のなかで86%も伸びたのが、大きく変動する船舶。自動車や鉄鋼、電子部品などの主力商品は大幅に落ち込んでいる。自動車は5.6%、鉄鋼は13.8%、電子部品は10.7%の減少だった。この傾向は、決して好ましいものではない。

また中国向けの輸出は5.5%増加した。しかし1月には17.4%も減少しているから、その反動という側面が大きい。しかも自動車の輸出は伸びたが、鉄鋼やコンピューター類、電子部品はいぜん減少している。中国の加工・組み立て型産業が、息を吹き返した様子は見受けられない。

輸出の減少は昨年12月から続いており、このため生産も縮小。景気動向指数が低下して、すでに景気は後退期に入ったのではないかと心配されている。仮に3月の輸出も減少し生産が落ちれば、この心配は一気に現実性を増すことになるだろう。この意味では3月の貿易統計が、どんな内容になるか。しっかり見極めたい。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +133.65円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“ねじ切れ議会”に変貌 : アメリカ
2019-03-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 秋には国債の利払いも不可能に? = アメリカでは昨年秋の中間選挙で、野党の民主党が下院の過半数を獲得した。この結果、上院は与党の共和党が多数を制しているものの、下院は民主党が主導権を握る。この状態を人呼んで“ねじれ議会”と言う。トランプ大統領としては、きわめて勝手の悪い政治体制になったわけだ。と思っていたら、こんどは上院の与党議員までが造反。“ねじれ”どころではなく、言うなれば“ねじ切れ議会”が出現してしまった。

コトの発端は、あのメキシコ国境のカベ建設。トランプ大統領が要求したカベ建設予算を、下院が認めなかった。するとトランプ大統領は非常事態宣言を発動、大統領の権限で予算を流用しようとした。これには下院が反発、非常事態宣言を無効にする決議案を可決。先週14日には上院でも採決が行われた。上院は言うまでもなく、共和党が過半数を握っている。

ところが驚いたことに、上院もこの決議案を可決した。共和党議員のうち12名が、トランプ大統領に対して公然と造反したからである。大統領は直ちに拒否権を使って、この決議を無効にした。トランプ大統領の非常事態宣言については、カリフォルニアなど16州が憲法違反だと裁判所に訴えており、問題は司法の手に委ねられる。

しかし、この造反によって、大統領と上下両院との関係は決裂状態に陥ったとみられている。このため3月2日に期限がきた政府債務の上限についても、議会が引き上げに動く可能性はなくなった。財務省が4000億ドル程度の資金を掻き集めているので、秋ごろまでは何とかなりそうだ。だが秋になっても上限の引き上げが実現しないと、トランプ政権は国債の発行も利払いも出来なくなってしまう。それまでに“ねじ切り議会”の解消に成功するかどうか。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -17.65円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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金・銀・銅メダルの素材 集まる (上)
2019-03-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小型家電のリサイクル順調 = 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、小型家電の収集を3月末で終了することになった。大会で授与する金・銀・銅メダルの素材を廃棄された小型家電から抽出することを決め、17年春から収集キャンペーンを展開してきたが、目標の達成が確実になったためだ。最近にない嬉しいニュースだが、同時に“都市鉱山”の重要性を改めて考えさせるきっかけともなっている。

東京オリンピックで授与されるメダルは、総数で約5000個。その製造に必要な金属は、金が30.3㌔㌘、銀が4100㌔㌘、銅が2700㌔㌘。銀の必要量が圧倒的に多いのは、比重の問題もあるが、金メダルの本体も銀で作るため。つまり金メダルは、銀メダルに金のメッキを施したものである。金はメッキに使われるだけなので、必要量が少ない。

都市鉱山というのは、廃棄される家電に含まれる金属の量が非常に多く、まるで鉱山のようだというので名付けられた。日本は家電の普及率が高く、廃棄される数量も多いため世界一の都市鉱山だと言われている。もちろん、一個一個に含まれる金属の量はきわめて少ない。たとえば携帯電話では1個当たり金が0.057㌘、銀が0.26グラム。ノート・パソコンでは金が0.3㌘、銀が0.84㌘といったところ。

しかし廃棄家電の数が多ければ、抽出できる金属の量もバカにならない。今回の収集キャンペーンでは、総計4万8000トンの家電が集められた。金、銀、銅だけでなく、鉄やプラチナ、さらにニッケルやパラジウムなどの希少金属も回収されている。これらの貴重な資源は、もし回収されなければ地中に埋められていただろう。

                             (続きは明日)

       ≪20日の日経平均 = 上げ +42.07円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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金・銀・銅メダルの素材 集まる (下)
2019-03-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 都市鉱山の開発をどう続けるか = 日本の都市鉱山は、世界最大だと言われる。その推定値は金が6800トン、銀が6万トン、銅が3800万トン。これだけあれば、世界全体の3年分の需要を満たせるというから相当な量だ。本物の鉱山の埋蔵量と比べても、金は16%、銀は22%に匹敵する。しかも本物の鉱山と違って、都市鉱山は年が経つにつれて埋蔵量が増えて行くのだから凄い。

廃棄家電から貴金属や重金属を取り出す技術も、急速に進歩している。だが不要になった家電が大量に集められなければ、金属は取り出せない。いま最もネックになっているのが、この回収問題である。たとえばオリンピックのメダル用に集められた家電は、総計4万8000トンだった。ところが日本で廃棄される家電の総量は、年間65万トンにのぼると推計されている。

つまりメダル製造のためのキャンペーンを展開しても、推定廃棄量の10分の1も集まらなかったことになる。仮に廃棄家電をすべて回収できたとすると、28万トンの金属が抽出され、その価格は844億円になるという試算もあるくらいだ。オリンピック用の収集キャンペーンが終了すると、廃棄家電の回収は下火になってしまうのではないか。

オリンピック用の収集キャンペーンでは、自治体や学校、家電販売店などが回収用の箱を置いたり、ポスターを張るなど積極的に協力した。その組織を消滅させてしまうのは、もったいない。たとえば家電回収の目的を「病院や学校の完全耐震化」に切り替えて、収集活動を続けたらどうか。その音頭取りは、政府がやるしかない。

       ≪22日の日経平均 = 上げ +18.42円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】   


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今週のポイント
2019-03-25-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上を向けない株式市場 = FRBが「ことしは利上げしない。資産の縮小も9月で停止する」と発表した。本来ならば、株価にとっては大きな好材料のはず。だがニューヨーク市場の株価は下落した。金融当局がアメリカの景気動向に不安を持ち始めたことに、懸念を感じたからに他ならない。ダウ平均は先週347ドルの値下がり。市場では「急に高値が重くなった」という声が広がっている。

日経平均は先週176円の値上がり。海外投資家による出遅れ株の物色が目立ったが、平均株価は小動きに終始した。FRBの発表でアメリカの長期金利が低下。このため円相場が1円50銭ほど上昇したが、東京市場の株価にはあまり響いていない。ただ今週も円高の動きが続くようだと、輸出銘柄を中心に売られる展開になるだろう。

イギリスのEU離脱は、3月29日から4月12日へ延期された。ただEU側は、これを“最終通告”と位置づけている。危機は2週間先に延びたが、全く安心はできない。今週は市場もこの延期に評価を下すことになるが、買い材料にはなりそうにない。東京市場の場合は、年度末も迎える。やはり上値は重そうにみえる。

今週は25日に、1月の全産業活動指数。26日に、2月の企業向けサービス価格。29日に、2月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは26日に、2月の住宅着工戸数、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1月の貿易統計。28日に、10-12月期のGDP確定値、2月の中古住宅販売。29日に、2月の新築住宅販売が発表される。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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裏目に出た FRBの利上げ停止
2019-03-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 市場に景気不安を意識づける = アメリカの中央銀行であるFRBは先週20日、突如として「ことしは利上げしない。資産の縮小も9月には停止する」と発表した。FRBは15年末から政策金利を徐々に引き上げ、国債などを市場に売り戻して量的引き締めも進めてきた。その政策をすべて中止するのは、ヨーロッパ経済の悪化など景気の先行きに心配な状況が生じてきたため。市場では金融政策が中立的な段階を飛び越えて、一気に“景気警戒モード”に入ったと受け止めている。

この発表の直後からアメリカの10年もの国債利回りは下げ始め、22日のニューヨーク市場では2.41%と1年3か月ぶりの水準にまで低下した。ヨーロッパ諸国や日本の国債も買われ、22日の東京市場では10年もの国債の利回りがマイナス0.80%にまで下がっている。ドイツの長期金利も、一時はマイナスに陥った。そして各国の市場で、株価は下落した。

金利が下がれば、金融機関の利ザヤは縮小する。このため銀行株が、軒並み下落した。さらに市場には「FRBはかなり景気の先行きを心配している」という観測が流れ、株価の下落を加速した。FRBとしては「引き締め政策をストップすれば、株価は上昇する」と考えたのだろうが、結果は裏目に出た。

長期金利が下落し、短期金利を下回る逆転現象が11年半ぶりに起こったことも、市場の空気を暗くした。過去の経験則からみると、この逆転現象のあとには必ず景気後退がやってくるというから、投資家も考え込んでしまうだろう。そこで安全な国債に逃避すれば、長期金利はさらに下がる。円相場は上がるという構図になる。こんな状況から市場が抜け出すには、時間がかかりそうだ。

       ≪25日の日経平均 = 下げ -650.23円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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追い詰められた イギリス (上)
2019-03-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUが最後通告を突きつける = EUは先週21日に開いた首脳会議で、イギリスの離脱問題に関する態度を決定。イギリス政府に通告した。その内容は、①イギリス議会が3月29日までに離脱協定案を承認すれば、離脱の期限を5月22日まで延長する②もし議会が承認しなければ、4月12日までに合意なき離脱か、離脱の期限を長期的に延長するかを選んでほしい――というもの。要するに最後通告であり、とうとうイギリスは全くの瀬戸際に追い詰められた。

まずはイギリス議会が、離脱予定日の3月29日までに離脱協定案を承認した場合。混乱を避けるために離脱日を先送りし、イギリスは5月22日にEUから正式に脱退することになる。ここで言う離脱協定案というのは、メイ首相とEU首脳が合意したもの。その中核は「アイルランド国境管理の問題が解決されるまで、現状を維持する」という内容だ。

これだと国境問題が片付くまで、イギリスはEUから離脱できない。このため反対意見が強く、議会はこれまで2度にわたってこの協定案を否決している。したがってメイ首相が今週中に協定案を提出しても、議会の承認を得ることは難しいという見方が強い。それ以前に、バーコウ下院議長は「同じ協定案を3度も審議することは許されない」と言明しているし、議会内部ではメイ首相の辞任を求める動きも出てきている。

次に議会が今週中に協定案を承認しないと、どうなるか。EUは5月23日から欧州議会を開く予定で、このことが問題を複雑にしている。もしイギリスがEUに残留すれば、この欧州議会に議員を送り込まなければならない。EU首脳は、その決断を4月12日までにしろとイギリスに迫ったわけだ。欧州議会に不参加なら、イギリスの脱退は合意がないまま4月12日。参加するなら、離脱の長期的な延長を認めることになる。

                              (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +451.28円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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追い詰められた イギリス (下)
2019-03-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 消えた大英帝国の面影 = イギリス議会が今週29日までに、メイ首相の離脱協定案を承認する可能性もゼロではない。その場合、イギリスは5月22日にEUを正式離脱することになる。だが、その公算はきわめて小さい。すると、こんどは欧州議会に参加するかどうかを、4月12日までに決めなければならない。そこで不参加となれば、4月12日に“合意なき離脱”となる。また参加と決めれば、離脱は長期的に延期される。

“合意なき離脱”について、イギリス議会は「反対」の動議をすでに可決している。このため残された道は「長期的な延期」しかないという見方が強まっている。しかし長期的な延期は、実際問題としては“残留”に等しい。だから、それに対する反発も決して小さくはない。すべての道が塞がれたときには、再び国民投票するしかないだろう。だがメイ首相は、国民投票の再現に反対し続けている。

イギリスのEU離脱は、EUの移民拡大政策に対する反発から始まった。しかし、その根底に「大陸側の指揮・命令には従いたくない」というイギリス人の感情が作用したことも確かだろう。要するに「イギリスはドイツやフランスの下であってはならない」という歴史的あるいは民族的な自尊心の発露である。その半面、EU内にとどまり経済的な恩恵は享受したいと考える人も多い。

この2つの矛盾する思考が、イギリスを混迷に陥れた。いまのイギリスは対EUの姿勢で、国民が完全に分断されてしまっている。だから“合意ある離脱”でも“合意なき離脱”でも、あるいは“長期的な離脱延期”でも再度の国民投票でも、国民の半数は不満を持つことになる。第2次大戦中のイギリスをまとめたウィンストン・チャーチルのような人物が出現しないと、イギリスという国家は威信を回復できないのではないか。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -49.66円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ


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鬼が出るか蛇が出るか : 日銀短観
2019-03-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 業況判断の下がり方に注目 = 日銀が来週1日に発表する3月の企業短期経済観測調査に、いま大きな関心が集まっている。中国経済の減速で、日本の輸出や生産に陰りが見えてきた。したがって、製造業の業況判断が悪化することは避けられそうにない。だが、その悪化の程度が大きいと、景気の先行きに対する警戒感が一気に膨れ上がる可能性がある。どんな数字が出ると、危ないのだろうか。

短観では全国1万社の企業に対して「業況が良くなったか、悪くなったか」を、3か月ごとに聞いている。ここで「良くなった」という答えの比率から「悪くなった」という答えの比率を差し引いた数字が、業況判断指数だ。昨年12月の調査では、大企業・製造業の判断指数は、プラス19。大企業・非製造業の指数は、プラス24だった。

多くの民間調査機関が、3月調査の結果を予測している。最も多いのが、大企業・製造業の判断指数は5ポイント悪化するという予測。なかには9ポイントの悪化を予測したものもあった。大企業・非製造業については3ポイント程度の悪化が中心的な予測となっている。非製造業の場合は人手不足のほか、製造業の悪化に影響されるという見方が強い。

したがって、大企業・製造業の判断指数が5ポイント以下の悪化にとどまれば「織り込み済み」という受け取り方になるかもしれない。しかし悪化の幅が6ポイントを超えるようだと、心理的な悪影響は大きくなりそうだ。当面の株価に下げ要因となるほか、長期的な観点からも「政府の景気回復は続いているという判断は、おかしいのでは」といった疑念が強まる。こんな状態で「消費増税は可能なのか」という議論も熱を帯びるに違いない。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -344.97円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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アポ電詐欺の多発は 日銀のせい??
2019-03-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 個人は93兆円の現金を保有 = 日銀の集計によると、昨年末時点で個人が所有する金融資産は1830兆円だった。1年前に比べると1.3%減少している。これは株価の下落を反映したもので、年間を通じて減少したのは10年ぶり。たとえば株式の保有額は175兆円で、前年比15.3%の減少。投資信託は67兆円で12.4%減少している。

個人は相変わらず預金と現金が大好きだ。預金・現金の保有額は984兆円で、過去最大。前年より1.6%増えている。そのうち現金の保有額は93兆円、前年より2.1%増加した。特に現金の伸び率がいちじるしい。アベノミックスが始まった12年末と比較してみると、実に27%も増大した。理由は明快。銀行に預金しても、利子がほとんど付かないからである。

ゼロ金利政策のために、現在はメガバンクに1000万円を預金しても、年間の利子は税引きでたったの796円にしかならない。それなら自宅の金庫に眠らせておいた方がいい。そう考える人が多いのではないか。そして、それがアポ電詐欺に狙われる。仮に1年定期預金の金利が3%だとすると、年間の利息収入は税抜きで24万円近くになる。これならアポ電詐欺のターゲットは大幅に減るのではないか。

金利を引き上げて、預金金利を3%にしてみよう。その結果、個人の利子収入が増えれば、消費支出も活発になるだろう。高齢者にとっても、生活設計がぐんと楽になるはずだ。困るのはローンを借りている個人や中小企業だが、それは減税などの方策で補えばいい。財務省も国債の利子負担は増えるが、消費の増加で景気がよくなれば税収が増えるだろう。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +172.05円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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