◇ 肝心なのは株価の上昇 = 政府はNISA(少額投資非課税制度)を改革する方針を固めた。NISAというのは、個人が上場株式や投資信託などから得る売却益や配当について、年間100万円までの投資範囲で非課税とする制度。非課税期間は5年で、最大500万円までに適用される。ことし1月にスタートした。
改革の主な点は、まず現在は年間100万円となっている非課税ワクの拡大。甘利経財相は200万円、麻生財務相は240万円を主張しているが、12か月で割りやすい240万円になる見込みが大きい。また現在20歳以上となっている対象年齢を18歳以上に引き下げる。これらの変更は、年末の税制改正に盛り込まれる見通し。
同時にイギリスの例にならって、子ども版NISAを16年に新設する。祖父母や両親が0歳-17歳の子ども名義で投資できるようにする。制度の内容は、大人版NISAと同じになる見込み。ただ贈与税の基礎控除との関係をどうするかについては、これから調整する。
金融庁の調査によると、NISAの投資総額は3月末で1兆円を突破した。政府はこの成績に気をよくして、制度の拡充を図ろうとしている。だが650万に達した口座のうち、9割は投資の経験者が占めた。これらの多くはNISA制度がなくても、投資していたのかもしれない。もしそうなら「貯蓄から投資へ」を目指した政府の思惑は、あまり効果を上げたとは言えないのではないか。NISA制度の改革は結構だが、株価が着実に上がらないと新しい資金の流入は限られたものになってしまうだろう。
≪31日の日経平均 = 下げ -25.46円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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改革の主な点は、まず現在は年間100万円となっている非課税ワクの拡大。甘利経財相は200万円、麻生財務相は240万円を主張しているが、12か月で割りやすい240万円になる見込みが大きい。また現在20歳以上となっている対象年齢を18歳以上に引き下げる。これらの変更は、年末の税制改正に盛り込まれる見通し。
同時にイギリスの例にならって、子ども版NISAを16年に新設する。祖父母や両親が0歳-17歳の子ども名義で投資できるようにする。制度の内容は、大人版NISAと同じになる見込み。ただ贈与税の基礎控除との関係をどうするかについては、これから調整する。
金融庁の調査によると、NISAの投資総額は3月末で1兆円を突破した。政府はこの成績に気をよくして、制度の拡充を図ろうとしている。だが650万に達した口座のうち、9割は投資の経験者が占めた。これらの多くはNISA制度がなくても、投資していたのかもしれない。もしそうなら「貯蓄から投資へ」を目指した政府の思惑は、あまり効果を上げたとは言えないのではないか。NISA制度の改革は結構だが、株価が着実に上がらないと新しい資金の流入は限られたものになってしまうだろう。
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◇ 高層ビルの大家さんになる = いまREITに、投資家の関心が集まっている。REITというのは1960年に、アメリカで開発された金融商品。Real Estate Investment Trust の頭文字をとったもので、直訳すれば「不動産投資信託」となる。この名の通り、REITは不動産だけを対象にした投資信託だ。
投資信託というのは、一般の投資家から集めたおカネをプロが運用、儲かった利益を投資家に分配する仕組みの金融商品。国内、海外の株式・債券など広範な対象に投資されている。ことしはNISA(少額投資非課税制度)が発足したことにも刺激され、商品の数も急増。現在は商品数が5000を超えた。REITも、そのなかに入る。
日本版REITは01年9月、2つの銘柄が上場されてスタートした。だから歴史はまだ浅い。一般の株式と同様にリーマン・ショックでは苦境も味わったが、現在では上場銘柄も46に増大した。発足当時の時価総額は2600億円だったが、最近は8兆円を超えている。
景気の回復で、いま大都市の土地や建物の価格は上昇傾向。20年の東京オリンピックを見据えて、首都圏ではビルやマンションの建設ラッシュ。そこで投資家もREITに注目し始めた。個人投資家にとっても、REITの購入は高層ビルや豪華マンションの大家さんになるという夢が叶えられる。
(続きは来週サタデー)
≪1日の日経平均 = 下げ -97.66円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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投資信託というのは、一般の投資家から集めたおカネをプロが運用、儲かった利益を投資家に分配する仕組みの金融商品。国内、海外の株式・債券など広範な対象に投資されている。ことしはNISA(少額投資非課税制度)が発足したことにも刺激され、商品の数も急増。現在は商品数が5000を超えた。REITも、そのなかに入る。
日本版REITは01年9月、2つの銘柄が上場されてスタートした。だから歴史はまだ浅い。一般の株式と同様にリーマン・ショックでは苦境も味わったが、現在では上場銘柄も46に増大した。発足当時の時価総額は2600億円だったが、最近は8兆円を超えている。
景気の回復で、いま大都市の土地や建物の価格は上昇傾向。20年の東京オリンピックを見据えて、首都圏ではビルやマンションの建設ラッシュ。そこで投資家もREITに注目し始めた。個人投資家にとっても、REITの購入は高層ビルや豪華マンションの大家さんになるという夢が叶えられる。
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第17章 国際収支って、なんだろう? ⑩
◇ 国際収支天井の時代 = いま日本は1兆3000億ドル近くの外貨準備を持っています。ですから外貨の不足を心配するようなことは、まったくありません。でも戦争直後の日本は工場や会社の多くが焼けてしまい、食べ物にもこと欠く時代でした。輸出などはとてもできる状態ではありません。このため外貨準備も、ほとんど持てませんでした。
たとえば戦争が終った4年後、1949年(昭和24年)末の外貨準備はたったの2億2600万ドルでした。それから輸出も少しずつ増えましたが、国際収支はずっと赤字ぎみ。アメリカの援助に頼ったり、IMF(国際通貨基金)から借金をしたり、苦しい時期が続いたのです。
国内の景気がよくなると、工業製品を作るための原料や材料、また食料の輸入が増えて、国際収支はすぐに赤字になってしまいます。すると外貨準備を減らさないために、景気を悪くするような引き締め政策をとらなければなりませんでした。つまり日本経済は、低い国際収支の天井(てんじょう)に何回も頭をぶつけていたのです。
国際収支の天井がなくなったのは、68年(昭和43年)のことでした。この間、64年には東京オリンピックが開かれるなど、日本経済は急速に復興しています。輸出も大幅に伸び始め、68年末の外貨準備高は29億ドルに達しました。終戦から68年までの23年間は、外貨準備の不足に悩まされた「国際収支天井の時代」だと言うことができるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 国際収支天井の時代 = いま日本は1兆3000億ドル近くの外貨準備を持っています。ですから外貨の不足を心配するようなことは、まったくありません。でも戦争直後の日本は工場や会社の多くが焼けてしまい、食べ物にもこと欠く時代でした。輸出などはとてもできる状態ではありません。このため外貨準備も、ほとんど持てませんでした。
たとえば戦争が終った4年後、1949年(昭和24年)末の外貨準備はたったの2億2600万ドルでした。それから輸出も少しずつ増えましたが、国際収支はずっと赤字ぎみ。アメリカの援助に頼ったり、IMF(国際通貨基金)から借金をしたり、苦しい時期が続いたのです。
国内の景気がよくなると、工業製品を作るための原料や材料、また食料の輸入が増えて、国際収支はすぐに赤字になってしまいます。すると外貨準備を減らさないために、景気を悪くするような引き締め政策をとらなければなりませんでした。つまり日本経済は、低い国際収支の天井(てんじょう)に何回も頭をぶつけていたのです。
国際収支の天井がなくなったのは、68年(昭和43年)のことでした。この間、64年には東京オリンピックが開かれるなど、日本経済は急速に復興しています。輸出も大幅に伸び始め、68年末の外貨準備高は29億ドルに達しました。終戦から68年までの23年間は、外貨準備の不足に悩まされた「国際収支天井の時代」だと言うことができるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 引導渡されたウォール街 = ダウ平均は先週467ドルの値下がり。1月下旬以来の大幅な下げで、株価は2か月半前の水準に逆戻りしてしまった。ウクライナを巡る米ロ関係の悪化やアルゼンチンの一部債務不履行なども売り材料になったが、主たる原因はいよいよFRBによる量的金融緩和の終了時期が近付いたこと。
FRBは30日のFOMC(公開市場委員会)で、国債などの買い入れ額を8月は250億ドルに縮小することを決めた。この調子だと量的緩和は予定通り10月に終了することを、最後通告された形である。政策金利の引き上げは来年になるとしても、アメリカ経済にとって量的緩和の終了は初めての経験。投資家は好調なGDPや雇用統計にも目をつぶって、ひとまずはリスク回避に動いたようだ。
日経平均は先週65円の値上がり。ダウが大幅安なのに、日経平均が上昇することは珍しい。業績見通しを上方修正する企業の多いことが、株価を支えている。また31日は、前日のダウが下げ、円相場が57銭も反騰したのに、日経平均は25円安に踏みとどまった。これも珍しい。東京市場でも、投資家の意識が変わってきたのだろうか。
今週は6日に、6月の景気動向指数。8日に、6月の国際収支と7月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは5日に、7月のISM非製造業景況指数。6日に、6月の貿易統計。また中国が5日に、HSBCサービス業PMI。8日に、7月の貿易統計。9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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FRBは30日のFOMC(公開市場委員会)で、国債などの買い入れ額を8月は250億ドルに縮小することを決めた。この調子だと量的緩和は予定通り10月に終了することを、最後通告された形である。政策金利の引き上げは来年になるとしても、アメリカ経済にとって量的緩和の終了は初めての経験。投資家は好調なGDPや雇用統計にも目をつぶって、ひとまずはリスク回避に動いたようだ。
日経平均は先週65円の値上がり。ダウが大幅安なのに、日経平均が上昇することは珍しい。業績見通しを上方修正する企業の多いことが、株価を支えている。また31日は、前日のダウが下げ、円相場が57銭も反騰したのに、日経平均は25円安に踏みとどまった。これも珍しい。東京市場でも、投資家の意識が変わってきたのだろうか。
今週は6日に、6月の景気動向指数。8日に、6月の国際収支と7月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは5日に、7月のISM非製造業景況指数。6日に、6月の貿易統計。また中国が5日に、HSBCサービス業PMI。8日に、7月の貿易統計。9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 最後通告と受け取った市場 = FRB(連邦準備理事会)は先週30日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、量的金融緩和の縮小を予定通り継続することを決定した。具体的には国債などの買い入れを、8月は250億ドルに減らす。この決定のあと、イエレン議長は記者会見で「量的緩和は10月に終了する見込み。そのあとの政策金利引き上げは、長期失業者やパートタイマーの動向、さらには一般的な賃金水準の状況までよく見て時期を決める」と説明した。
FRBの緩和政策縮小は、これまで非農業雇用者の増加数を重視して決定されてきた。しかし量的緩和が終わったあとに続く政策金利の引き上げは「雇用者数だけではなく長期失業者や賃金の動向までじっくり見て決めますよ。だから慌ててやるようなことはしません」というのがイエレン議長の真意だったことは明らかだ。
イエレン議長は、市場に無用の動揺を与えないように配慮したのだろう。だが市場は、この発言をFRBの最後通告と受け取ったようだ。長期失業者や賃金の動向までみて、利上げへの用意周到な環境づくりをする決意の表明と読み取ったわけである。この日、ダウ平均株価は317ドル下落した。
あくる1日、労働省が7月の雇用統計を発表した。非農業雇用者の増加数は20万9000人。これで雇用者の増加数は6か月連続で20万人を超えている。FRBの緩和政策縮小が正当であることを裏づけした形。これら雇用者の平均時給は24ドル45セントで、前年より2.0%増加している。この発表をうけて、ダウ平均は70ドルの続落となった。
≪4日の日経平均 = 下げ -48.61円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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FRBの緩和政策縮小は、これまで非農業雇用者の増加数を重視して決定されてきた。しかし量的緩和が終わったあとに続く政策金利の引き上げは「雇用者数だけではなく長期失業者や賃金の動向までじっくり見て決めますよ。だから慌ててやるようなことはしません」というのがイエレン議長の真意だったことは明らかだ。
イエレン議長は、市場に無用の動揺を与えないように配慮したのだろう。だが市場は、この発言をFRBの最後通告と受け取ったようだ。長期失業者や賃金の動向までみて、利上げへの用意周到な環境づくりをする決意の表明と読み取ったわけである。この日、ダウ平均株価は317ドル下落した。
あくる1日、労働省が7月の雇用統計を発表した。非農業雇用者の増加数は20万9000人。これで雇用者の増加数は6か月連続で20万人を超えている。FRBの緩和政策縮小が正当であることを裏づけした形。これら雇用者の平均時給は24ドル45セントで、前年より2.0%増加している。この発表をうけて、ダウ平均は70ドルの続落となった。
≪4日の日経平均 = 下げ -48.61円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 女性は2年連続で世界一 = 日本人の寿命がまた延びた。厚生労働省が発表した13年の平均寿命は女性が86.61歳、男性が80.21歳で、いずれも過去最高を更新した。女性は12年に続いて世界第1位、男性は5位から4位にランクを上げた。男性の平均寿命が80歳を超えたのは初めてである。
12年に比べると、女性の平均寿命は0.20歳、男性は0.27歳延びた。主な原因は医療技術の向上で、特に心臓と脳血管障害による死亡率の低下が貢献している。また国際的な比較でみると、女性の第2位は香港。次いでスペイン、フランスと続く。男性は世界一が香港で、平均寿命は80.87歳。2位はアイスランド、3位はスイスだった。
平均寿命というのは、0歳の赤ん坊が統計的にいくつまで生きられるかを示す数値。たとえば今回明らかになった13年の男性80.21歳という平均寿命は、昨年生まれた男の赤ちゃんの平均的な寿命を指している。だから時系列的な変化や国際的な比較をするのには適しているが、ある個人が「平均寿命まであと10年だ」とか「平均寿命を過ぎちゃった」などと言うのはあまり意味がない。
では個人が、あとどのくらい生きられるのか。これを示す数値が平均余命。この平均余命も、厚労省が発表している。たとえば20歳の女性は66.94年、つまり平均的に86.94歳まで生きる予測。また50歳の男性は31.92年だから、予測値は81.92歳ということになる。平均寿命の伸長に伴って、この平均余命も延びている。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 下げ -154.19円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ ≫
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12年に比べると、女性の平均寿命は0.20歳、男性は0.27歳延びた。主な原因は医療技術の向上で、特に心臓と脳血管障害による死亡率の低下が貢献している。また国際的な比較でみると、女性の第2位は香港。次いでスペイン、フランスと続く。男性は世界一が香港で、平均寿命は80.87歳。2位はアイスランド、3位はスイスだった。
平均寿命というのは、0歳の赤ん坊が統計的にいくつまで生きられるかを示す数値。たとえば今回明らかになった13年の男性80.21歳という平均寿命は、昨年生まれた男の赤ちゃんの平均的な寿命を指している。だから時系列的な変化や国際的な比較をするのには適しているが、ある個人が「平均寿命まであと10年だ」とか「平均寿命を過ぎちゃった」などと言うのはあまり意味がない。
では個人が、あとどのくらい生きられるのか。これを示す数値が平均余命。この平均余命も、厚労省が発表している。たとえば20歳の女性は66.94年、つまり平均的に86.94歳まで生きる予測。また50歳の男性は31.92年だから、予測値は81.92歳ということになる。平均寿命の伸長に伴って、この平均余命も延びている。
(続きは明日)
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≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ ≫
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◇ 70歳以上を「高齢者」に = いまから50年ほど前、1965年(昭和40年)の平均余命を調べてみると、65歳の男性は11.88年だった。これに対して13年の場合、65歳の男性は19.08年で、50年前より7年以上も延びている。また13年の場合、70歳の男性は平均余命が15.28年で、50年前の65歳より3年以上も長くなっている。
これが現在の“高齢化”の実態である。仮に65歳で定年を迎えると、残りの19年を年金で暮らさなければならない。この結果、年金の支給額が急増し、制度の維持が困難になってきている。平均余命からみる限り、いまの70歳は50年前の65歳より若いとさえ言えるだろう。この際、思い切って「高齢者」の定義を70歳以上に変更すべきではないだろうか。
人口の減少によって、長期的な人手不足が心配されている。しかし定年が70歳に延長され、生産年齢人口が15-69歳となれば、40年時点で潜在的な働き手を900万人増やすことができる。これらの人々が元気で働けば、医療費の伸びも抑制されるだろう。年金を貰う側から保険料を納める側に回れば、年金財政も格段に改善することが期待される。
70歳定年制は、一夜にして導入できるものではない。段階的な計画と周到な準備が必要である。たとえば週4日・一日6時間労働といった新しい制度も考えるべきだろう。政府・与党は一日も早く、この“日本人若返り”政策の断行を、内外に向けて宣言すべきだ。アベノミックス“第5の矢”にもなるのではないか。
≪6日の日経平均 = 下げ -160.52円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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これが現在の“高齢化”の実態である。仮に65歳で定年を迎えると、残りの19年を年金で暮らさなければならない。この結果、年金の支給額が急増し、制度の維持が困難になってきている。平均余命からみる限り、いまの70歳は50年前の65歳より若いとさえ言えるだろう。この際、思い切って「高齢者」の定義を70歳以上に変更すべきではないだろうか。
人口の減少によって、長期的な人手不足が心配されている。しかし定年が70歳に延長され、生産年齢人口が15-69歳となれば、40年時点で潜在的な働き手を900万人増やすことができる。これらの人々が元気で働けば、医療費の伸びも抑制されるだろう。年金を貰う側から保険料を納める側に回れば、年金財政も格段に改善することが期待される。
70歳定年制は、一夜にして導入できるものではない。段階的な計画と周到な準備が必要である。たとえば週4日・一日6時間労働といった新しい制度も考えるべきだろう。政府・与党は一日も早く、この“日本人若返り”政策の断行を、内外に向けて宣言すべきだ。アベノミックス“第5の矢”にもなるのではないか。
≪6日の日経平均 = 下げ -160.52円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ GDPはマイナス7.2%へ = 消費増税に伴う駆け込み需要の反動減は、予想以上に大きい。こんな予測が出て、関係者の注目を引いている。読売新聞によると、民間調査機関10社が予測した4-6月期のGDP成長率は、平均で年率マイナス7.2%になった。1か月前の予測はマイナス4.9%だったから、最近になって厳しい見方が急速に増えたことになる。
予測が大幅に下方修正された最大の原因は、個人消費の低迷。総務省が発表した6月の家計調査では、2人以上世帯の実質消費支出」が前年比3.0%の減少だった。住宅や自動車の購入を除いても、支出は3.7%減少している。これは勤労者世帯の実収入が前年比で6.6%も減少したためだ。大企業を中心に賃上げやボーナスの増額はあったが、全体としては増税を含む物価上昇に食われてしまったことを示している。
増税前の駆け込み需要で、1-3月期のGDP成長率は6.7%に跳ね上がった。それが4-6月期にマイナス7.2%に落ち込むとすれば、その落差は14%にも達する。この温度差が経済に与える影響は、決して小さくない。さらに4-6月期に深く沈み込むと、次の7-9月期にプラス成長に戻れる確率は低くなってしまうだろう。
安倍首相は年末までに、来年10月に予定される消費税の再引き上げを決断しなければならない。その時点で最も参考にされるのが、7-9月期のGDP速報だ。もしマイナス成長の域を脱していなかったら、10%消費税にゴー・サインを出せるかどうか疑わしい。そういう意味で、今回の民間調査機関による予測に関心が集まっているわけだ。内閣府の速報は13日に発表される。
≪7日の日経平均 = 上げ +72.58円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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予測が大幅に下方修正された最大の原因は、個人消費の低迷。総務省が発表した6月の家計調査では、2人以上世帯の実質消費支出」が前年比3.0%の減少だった。住宅や自動車の購入を除いても、支出は3.7%減少している。これは勤労者世帯の実収入が前年比で6.6%も減少したためだ。大企業を中心に賃上げやボーナスの増額はあったが、全体としては増税を含む物価上昇に食われてしまったことを示している。
増税前の駆け込み需要で、1-3月期のGDP成長率は6.7%に跳ね上がった。それが4-6月期にマイナス7.2%に落ち込むとすれば、その落差は14%にも達する。この温度差が経済に与える影響は、決して小さくない。さらに4-6月期に深く沈み込むと、次の7-9月期にプラス成長に戻れる確率は低くなってしまうだろう。
安倍首相は年末までに、来年10月に予定される消費税の再引き上げを決断しなければならない。その時点で最も参考にされるのが、7-9月期のGDP速報だ。もしマイナス成長の域を脱していなかったら、10%消費税にゴー・サインを出せるかどうか疑わしい。そういう意味で、今回の民間調査機関による予測に関心が集まっているわけだ。内閣府の速報は13日に発表される。
≪7日の日経平均 = 上げ +72.58円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ REIT指数は年初来高値 = 上場されているREITは現在46銘柄。その全体の値動きを示すのが、東証REIT指数だ。各銘柄の時価総額を加重平均して、東証が毎日算出している。一般の株価の動きをみるのに使われている日経平均株価のようなものと考えればいい。その東証REIT指数が、このところ年初来高値の状態を維持している。
指数は03年3月=100。発足当初から順調に上昇し、07年5月には2612の過去最高値を記録した。そのころは不動産バブルが囁かれた時代である。しかしリーマン・ショックにより急落、08年10月には704まで低落した。その後は景気回復とともに反発に転じ、13年3月には1700台を回復している。
そこからはやや調整したが、ことし6月に1500を超え、現在は1600台に乗せて推移している。ごく最近は、日経平均が大幅安となったにもかかわらず、REIT指数は上昇した日も少なくない。今後の見通しについて、専門家の間では年末までに1700に達するだろうという見方が多いようだ。
REIT指数が上昇している背景には、景気回復による不動産業界の需給改善がある。たとえば大都市圏のオフィスやマンションの空室率が低下、賃料も上昇傾向にあること。分配金利回りが高いことに惹かれて、外国人投資家や地方銀行が投資を増やしていること。さらにNISA(少額投資非課税制度)を利用した資金の流入も、REIT市場に活況をもたらす一因となっているようだ。
(続きは来週サタデー)
≪8日の日経平均 = 下げ -454.00円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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指数は03年3月=100。発足当初から順調に上昇し、07年5月には2612の過去最高値を記録した。そのころは不動産バブルが囁かれた時代である。しかしリーマン・ショックにより急落、08年10月には704まで低落した。その後は景気回復とともに反発に転じ、13年3月には1700台を回復している。
そこからはやや調整したが、ことし6月に1500を超え、現在は1600台に乗せて推移している。ごく最近は、日経平均が大幅安となったにもかかわらず、REIT指数は上昇した日も少なくない。今後の見通しについて、専門家の間では年末までに1700に達するだろうという見方が多いようだ。
REIT指数が上昇している背景には、景気回復による不動産業界の需給改善がある。たとえば大都市圏のオフィスやマンションの空室率が低下、賃料も上昇傾向にあること。分配金利回りが高いことに惹かれて、外国人投資家や地方銀行が投資を増やしていること。さらにNISA(少額投資非課税制度)を利用した資金の流入も、REIT市場に活況をもたらす一因となっているようだ。
(続きは来週サタデー)
≪8日の日経平均 = 下げ -454.00円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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第17章 国際収支って、なんだろう? ⑪
◇ 1948年に黒字転換 = いまから46年前の1968年(昭和43年)は、川端康成が日本人初のノーベル文学賞を受賞。セ・リーグでは王貞治が初の首位打者、長島茂雄が打点王を獲得した年でした。日本の国際収支にとっても、この年は記念すべき年となりました。なぜなら日本の国際収支は、この年から大幅な黒字を積み重ねることになったからです。
その前の年、1967年度の国際収支は5億ドルの赤字でした。それが68年度は16億ドルの黒字になり、それから日本の国際収支は黒字基調を続けています。外貨準備も68年末には29億ドルしかありませんでしたが、70年末には252億ドルに増えています。
日本は国際収支の赤字や外貨準備の大きさを心配しなくても済むようになったのです。その結果、経済は急速に拡大しました。世界の奇跡(きせき)と言われた日本の高度成長が実現できたのもこのためです。原動力になったのは、輸出の急増でした。日本製の商品の品質がとてもよくなったために、アメリカをはじめ世界中への輸出が大幅に拡大したのです。
その後、日本の国際収支は何回か大きな嵐(あらし)に会っています。最初は円の為替(かわせ)相場が切り上げられたとき。次は原油の値段が大幅に上がった石油ショック。そして最近では、リーマン・ショックで世界中が不況に陥ったときだと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 1948年に黒字転換 = いまから46年前の1968年(昭和43年)は、川端康成が日本人初のノーベル文学賞を受賞。セ・リーグでは王貞治が初の首位打者、長島茂雄が打点王を獲得した年でした。日本の国際収支にとっても、この年は記念すべき年となりました。なぜなら日本の国際収支は、この年から大幅な黒字を積み重ねることになったからです。
その前の年、1967年度の国際収支は5億ドルの赤字でした。それが68年度は16億ドルの黒字になり、それから日本の国際収支は黒字基調を続けています。外貨準備も68年末には29億ドルしかありませんでしたが、70年末には252億ドルに増えています。
日本は国際収支の赤字や外貨準備の大きさを心配しなくても済むようになったのです。その結果、経済は急速に拡大しました。世界の奇跡(きせき)と言われた日本の高度成長が実現できたのもこのためです。原動力になったのは、輸出の急増でした。日本製の商品の品質がとてもよくなったために、アメリカをはじめ世界中への輸出が大幅に拡大したのです。
その後、日本の国際収支は何回か大きな嵐(あらし)に会っています。最初は円の為替(かわせ)相場が切り上げられたとき。次は原油の値段が大幅に上がった石油ショック。そして最近では、リーマン・ショックで世界中が不況に陥ったときだと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 13日を待つ東京市場 = ウクライナ情勢を巡る米ロ間の緊張、それに米軍機によるイラク空爆が重なって、市場を取り巻く国際環境は一気に悪化した。それでもニューヨーク市場では下値に買いが入って、ダウ平均は先週61ドルの値上がり。しかし終り値は年初に比べると、23ドル安い水準に落ち込んでいる。
株価の動きからみる限り、国際情勢の悪化はニューヨークより東京の方に大きく作用した。日経平均は先週745円の値下がり。週間の下げ幅としては、4月上旬以来の大きさ。終り値は年初に比べると1500円も低い。国際緊張で安全資産と目される円と日本国債が買われ、円高が進行したことも株価の下落を大きくした。
アメリカ企業の業績は悪くないし、新車の売れ行きも絶好調。ISM非製造業景況感は急上昇した。この実体経済の強さが、株価の下値抵抗力を生んでいる。日本企業の業績も決して悪くはない。しかし東京市場の下値抵抗力はあまり強くない。消費増税後の需要減少に対する警戒感が、頭から離れないようだ。今週13日に4-6月期のGDP速報が発表されれば、一種のアク抜きになるだろう。また1-6月期の経常収支が赤字に転落したことも、市場の空気を暗くした。
今週は11日に、6月の第3次産業活動指数と7月の消費動向調査。12日に、7月の企業物価。13日に、4-6月期のGDP速報。14日に、6月の機械受注。アメリカでは13日に、7月の小売り売上高。15日に、7月の工業生産と生産者物価、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが14日に、4-6月期のGDP速報を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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株価の動きからみる限り、国際情勢の悪化はニューヨークより東京の方に大きく作用した。日経平均は先週745円の値下がり。週間の下げ幅としては、4月上旬以来の大きさ。終り値は年初に比べると1500円も低い。国際緊張で安全資産と目される円と日本国債が買われ、円高が進行したことも株価の下落を大きくした。
アメリカ企業の業績は悪くないし、新車の売れ行きも絶好調。ISM非製造業景況感は急上昇した。この実体経済の強さが、株価の下値抵抗力を生んでいる。日本企業の業績も決して悪くはない。しかし東京市場の下値抵抗力はあまり強くない。消費増税後の需要減少に対する警戒感が、頭から離れないようだ。今週13日に4-6月期のGDP速報が発表されれば、一種のアク抜きになるだろう。また1-6月期の経常収支が赤字に転落したことも、市場の空気を暗くした。
今週は11日に、6月の第3次産業活動指数と7月の消費動向調査。12日に、7月の企業物価。13日に、4-6月期のGDP速報。14日に、6月の機械受注。アメリカでは13日に、7月の小売り売上高。15日に、7月の工業生産と生産者物価、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが14日に、4-6月期のGDP速報を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 経常収支も赤字に転落 = 財務省が発表した1-6月期の国際収支速報によると、貿易・サービス収支に所得収支を加えた経常収支は5075億円の赤字だった。昨年同期は3兆3131億円の黒字だったから、収支は異常なほど悪化したことになる。1-6月期に赤字を出したのは、第2次石油ショック時の1981年以来。当時は赤字に対する緊張感に包まれたが、いまは警戒感もなぜかそう大きくはない。
経常収支が赤字に陥った原因は、貿易収支の急激な悪化にある。1-6月期の貿易収支は6兆1124億円の赤字。昨年同期に比べると、赤字幅は2兆8273億円も拡大した。これにサービス収支を加えた貿易・サービス収支は、7兆6904億円の赤字となっている。所得収支は7兆1829億円の黒字だったが、貿易・サービス収支の赤字を補い切れなかった。
貿易収支が大赤字になった最大の原因は、火力発電用の燃料輸入が急増したこと。通関ベースの貿易統計によると、1-6月期のLNG(液化天然ガス)輸入額は前年比11.6%の増加、原油・粗油も5.1%の増加だった。ともに数量ではほとんど伸びていないが、円安の影響で輸入額は8.8%の増加となっている。1-6月期の輸入額は全体で14.7%増加した。
貿易赤字のもう1つの原因は、輸出の伸び悩みである。1-6月期の輸出額は全体で8.1%の増加。特に6月だけをみると、伸び率は4.4%にとどまっている。円安が進行したにもかかわらず、輸出が振るわない。1-6月期の円相場は対ドルで前年比7.1%の円安だったが、その影響は輸入額を増やしただけ。輸出にはほとんど貢献しなかった。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +352.15円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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経常収支が赤字に陥った原因は、貿易収支の急激な悪化にある。1-6月期の貿易収支は6兆1124億円の赤字。昨年同期に比べると、赤字幅は2兆8273億円も拡大した。これにサービス収支を加えた貿易・サービス収支は、7兆6904億円の赤字となっている。所得収支は7兆1829億円の黒字だったが、貿易・サービス収支の赤字を補い切れなかった。
貿易収支が大赤字になった最大の原因は、火力発電用の燃料輸入が急増したこと。通関ベースの貿易統計によると、1-6月期のLNG(液化天然ガス)輸入額は前年比11.6%の増加、原油・粗油も5.1%の増加だった。ともに数量ではほとんど伸びていないが、円安の影響で輸入額は8.8%の増加となっている。1-6月期の輸入額は全体で14.7%増加した。
貿易赤字のもう1つの原因は、輸出の伸び悩みである。1-6月期の輸出額は全体で8.1%の増加。特に6月だけをみると、伸び率は4.4%にとどまっている。円安が進行したにもかかわらず、輸出が振るわない。1-6月期の円相場は対ドルで前年比7.1%の円安だったが、その影響は輸入額を増やしただけ。輸出にはほとんど貢献しなかった。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +352.15円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 円安でも伸びない輸出 = 経常収支の赤字は今後も続くのだろうか。赤字の主たる原因になっている輸入には、減少する気配がない。原発が何基か稼働しなければ、火力依存の状態は変わりそうにないからである。エネルギーの国際価格は、中東情勢の影響もあって高止まりが続くだろう。さらに円安が進めば、日本の輸入額はもっと膨れる。
一方、輸出不振の原因はいくつもある。かつての花形だった電機の凋落。1-6月期の輸出額は5兆9000億円で、10年前に比べると1兆円減少した。その半面、この間の輸入額は2兆円増加している。この結果、電機に限った1-6月期の貿易収支は10年前の黒字3兆5000億円が、ことしは4000億円の黒字に収縮してしまった。
よく指摘される原因の1つに、生産拠点の海外シフトがある。一例を挙げれば、自動車の生産台数。ことし1-3月期の国内生産台数は266万4000台だった。ところが海外での生産台数は431万7000台。最近は部品工場の海外進出も目立ってきた。だから日本からの輸出が減り、それだけ円安の恩恵も小さくなる。
ほかにも企業のコスト面からみて、国際的に比較しても圧倒的に高いハードルが2つある。1つは法人税率。もう1つは電力料金だ。この2つのハードルが、日本企業の国際競争力を確実に蝕んでいる。政府・日銀は「今後は円安が進んで、輸出は回復する」と言っているが、1-6月期の実績からみても実現性は疑わしい。もっと現実を直視して、輸入を抑え輸出を伸ばす施策を真剣に考えるべきではないか。
≪12日の日経平均 = 上げ +30.79円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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一方、輸出不振の原因はいくつもある。かつての花形だった電機の凋落。1-6月期の輸出額は5兆9000億円で、10年前に比べると1兆円減少した。その半面、この間の輸入額は2兆円増加している。この結果、電機に限った1-6月期の貿易収支は10年前の黒字3兆5000億円が、ことしは4000億円の黒字に収縮してしまった。
よく指摘される原因の1つに、生産拠点の海外シフトがある。一例を挙げれば、自動車の生産台数。ことし1-3月期の国内生産台数は266万4000台だった。ところが海外での生産台数は431万7000台。最近は部品工場の海外進出も目立ってきた。だから日本からの輸出が減り、それだけ円安の恩恵も小さくなる。
ほかにも企業のコスト面からみて、国際的に比較しても圧倒的に高いハードルが2つある。1つは法人税率。もう1つは電力料金だ。この2つのハードルが、日本企業の国際競争力を確実に蝕んでいる。政府・日銀は「今後は円安が進んで、輸出は回復する」と言っているが、1-6月期の実績からみても実現性は疑わしい。もっと現実を直視して、輸入を抑え輸出を伸ばす施策を真剣に考えるべきではないか。
≪12日の日経平均 = 上げ +30.79円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 家計支出は年率19.2%減 = 内閣府は13日、4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率換算でマイナス6.8%。個人消費や住宅投資、それに企業の設備投資も大きく減少した。消費増税に伴う駆け込み需要の反動によるもので、事前の予測値とほぼ同じ。このため株式市場も、この結果を冷静に受け止めている。
内訳をみると、注目された個人消費は年率19.2%の減少。四半期としては過去最大の減少幅で、自動車やパソコン、日用品などが大きく落ち込んだ。住宅投資は35.3%の減少、企業の設備投資支出も9.7%の減少だった。こうした結果について、甘利経済再生相は「景気は緩やかな回復傾向が続いており、駆け込み需要の反動減は和らぎつつある」とコメントしている。
だが駆け込み需要の反動減は一過性のものであり、その影響が和らぐのは当然のことである。問題は7月以降の景気が、どんなスピードで回復するかだろう。GDPでみると、駆け込み需要で1-3月期の成長率はプラス6.7%に上昇した。それが反動で4-6月期にはマイナス6.8%まで下降したわけである。特に個人消費は、9.4%増から19.2%減に急降下した。
甘利大臣の言う通り、景気の回復基調は続いている。政府部内には、7-9月期のGDP成長率はプラスに戻るという見方も少なくない。だが1-3月期と4-6月期の落差が大きすぎるから、その実現はムリだろう。もし7-9月期の成長率がマイナスの領域を抜け出せなかったら、それでも安倍首相は来年10月の消費税再引き上げにゴー・サインを出せるのだろうか。
≪13日の日経平均 = 上げ +52.32円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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内訳をみると、注目された個人消費は年率19.2%の減少。四半期としては過去最大の減少幅で、自動車やパソコン、日用品などが大きく落ち込んだ。住宅投資は35.3%の減少、企業の設備投資支出も9.7%の減少だった。こうした結果について、甘利経済再生相は「景気は緩やかな回復傾向が続いており、駆け込み需要の反動減は和らぎつつある」とコメントしている。
だが駆け込み需要の反動減は一過性のものであり、その影響が和らぐのは当然のことである。問題は7月以降の景気が、どんなスピードで回復するかだろう。GDPでみると、駆け込み需要で1-3月期の成長率はプラス6.7%に上昇した。それが反動で4-6月期にはマイナス6.8%まで下降したわけである。特に個人消費は、9.4%増から19.2%減に急降下した。
甘利大臣の言う通り、景気の回復基調は続いている。政府部内には、7-9月期のGDP成長率はプラスに戻るという見方も少なくない。だが1-3月期と4-6月期の落差が大きすぎるから、その実現はムリだろう。もし7-9月期の成長率がマイナスの領域を抜け出せなかったら、それでも安倍首相は来年10月の消費税再引き上げにゴー・サインを出せるのだろうか。
≪13日の日経平均 = 上げ +52.32円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景気の反転は緩やか? = 日銀の集計によると、7月の国内企業物価は前年比4.3%の上昇だった。ただ消費増税の影響を除いてみると、上昇率は1.5%にとどまると日銀は試算している。6月の上昇率は4.6%。消費税の影響を除くと1.7%だったから、7月は上昇率がやや鈍化したことになる。
国内企業物価というのは、企業間で取引される商品の価格を出荷段階で捉えたもの。日銀が土地や建物と中古品を除く1286品目について調べている。いわゆる卸売り物価と同じで、景気がよくなると企業間の取り引きが増えて、価格は上昇する傾向が強い。
7月の動きを商品別にみると、石油・石炭製品が11.9%の値上がり。電力・都市ガス・水道が9.4%、非鉄金属も6.9%上昇した。前年比で値下がりしたのは電子製品・デバイスだけ。ただし、こうした商品別の価格について、日銀は消費税の影響を除いた数値を発表していない。
消費増税の影響で、4-6月期の実質成長率はマイナス6.8%に落ち込んだ。そのあと7月から、景気は回復に向かうと期待されている。その観点からすると、7月の企業物価が上昇率を鈍らせたことは、あまりいい兆候とは言えない。景気は回復に向かうが、その勢いは弱いことを示唆しているように思われる。
≪14日の日経平均 = 上げ +100.94円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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国内企業物価というのは、企業間で取引される商品の価格を出荷段階で捉えたもの。日銀が土地や建物と中古品を除く1286品目について調べている。いわゆる卸売り物価と同じで、景気がよくなると企業間の取り引きが増えて、価格は上昇する傾向が強い。
7月の動きを商品別にみると、石油・石炭製品が11.9%の値上がり。電力・都市ガス・水道が9.4%、非鉄金属も6.9%上昇した。前年比で値下がりしたのは電子製品・デバイスだけ。ただし、こうした商品別の価格について、日銀は消費税の影響を除いた数値を発表していない。
消費増税の影響で、4-6月期の実質成長率はマイナス6.8%に落ち込んだ。そのあと7月から、景気は回復に向かうと期待されている。その観点からすると、7月の企業物価が上昇率を鈍らせたことは、あまりいい兆候とは言えない。景気は回復に向かうが、その勢いは弱いことを示唆しているように思われる。
≪14日の日経平均 = 上げ +100.94円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 多種多様な商品 = REITは投資家から集めた資金で不動産を購入、その不動産を運用して得た利益を投資家に分配金として還元する投資信託である。だが、ひとくちに不動産と言っても、その種類は数多い。たとえばオフィスビル、マンション、ホテル、大型商業施設、物流施設などなど。
いま東京証券取引所には46銘柄のREITが上場されているが、これらのREITはみな投資対象が違う。たとえばオフィスビルだけに投資するもの。マンションだけ、ホテルだけのものも多い。またマンションとホテルだけとか、どんな分野にも投資するREITもある。さらに国内の物件だけ、海外の物件だけとか、内外の物件に投資するものなど、種類は多種多様に分かれる。
そのうえ、たとえばホテルだけに投資するREITでも、あるものはA・B・Cのホテルに、あるものはX・Y・Zのホテルに投資するといった具合に、投資先が異なっている。ホテルだけを対象にしたREITでも、投資先が違えば利益も違ってくる。すると分配金の大きさにも差が出てくることになる。
一般に景気がいいときには、不動産の運用利益も増えるだろう。しかし時と場合によって、オフィスビルとマンションの運用利益は違ってくる。また同じマンションでも、具体的な投資物件によって差が生じることは当然だ。したがってREITに投資するときには、そのREITの投資範囲と具体的な投資物件を知ることから始めなければなrない。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +3.77円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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いま東京証券取引所には46銘柄のREITが上場されているが、これらのREITはみな投資対象が違う。たとえばオフィスビルだけに投資するもの。マンションだけ、ホテルだけのものも多い。またマンションとホテルだけとか、どんな分野にも投資するREITもある。さらに国内の物件だけ、海外の物件だけとか、内外の物件に投資するものなど、種類は多種多様に分かれる。
そのうえ、たとえばホテルだけに投資するREITでも、あるものはA・B・Cのホテルに、あるものはX・Y・Zのホテルに投資するといった具合に、投資先が異なっている。ホテルだけを対象にしたREITでも、投資先が違えば利益も違ってくる。すると分配金の大きさにも差が出てくることになる。
一般に景気がいいときには、不動産の運用利益も増えるだろう。しかし時と場合によって、オフィスビルとマンションの運用利益は違ってくる。また同じマンションでも、具体的な投資物件によって差が生じることは当然だ。したがってREITに投資するときには、そのREITの投資範囲と具体的な投資物件を知ることから始めなければなrない。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +3.77円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第17章 国際収支って、なんだろう? ⑫
◇ 嵐を乗り切った日本 = 最初の大嵐は1971年(昭和46年)にやってきました。それまで世界の通貨制度は固定相場制(こていそうばせい)と言って、アメリカのドルと一定の比率で結ばれていました。日本の円も1ドル=360円だったのです。ところがアメリカは国際収支に大赤字を出して、この制度が続けられなくなってしまいました。このため71年以降、世界は変動相場制(へんどうそうばせい)の時代に入ります。
その結果、円の相場は大幅に上がりました。05年4月には1ドル=79円75銭まで上昇しています。現在は100円ぐらいですね。円の相場が上がると輸出がしにくくなりますから、国際収支には大変なマイナス。でも日本はこうした円高の嵐を、なんとか乗り越えました。
次の大嵐は73年に起きた石油ショックでした。原油を大量に輸入している日本は、輸入代金の急激な増加に苦しみます。たとえば72年の原油輸入額は39億ドルでしたが、74年にはこれが189億ドルにはね上がっています。国中が省エネ努力をしたこともあって、日本はこの嵐もなんとかやり過ごしました。
3番目の嵐は、08年の夏から始まった世界的な大不況です。日本の輸出相手国がみな不況に落ち込んだため、日本の輸出は大幅に減少。このため、09年1月の経常収支は1700億円の赤字となっています。この世界不況も最近はようやく終わって、日本の国際収支は黒字に戻ってきました。ところが、こんどは・・・。
(続きは来週日曜日)
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◇ 嵐を乗り切った日本 = 最初の大嵐は1971年(昭和46年)にやってきました。それまで世界の通貨制度は固定相場制(こていそうばせい)と言って、アメリカのドルと一定の比率で結ばれていました。日本の円も1ドル=360円だったのです。ところがアメリカは国際収支に大赤字を出して、この制度が続けられなくなってしまいました。このため71年以降、世界は変動相場制(へんどうそうばせい)の時代に入ります。
その結果、円の相場は大幅に上がりました。05年4月には1ドル=79円75銭まで上昇しています。現在は100円ぐらいですね。円の相場が上がると輸出がしにくくなりますから、国際収支には大変なマイナス。でも日本はこうした円高の嵐を、なんとか乗り越えました。
次の大嵐は73年に起きた石油ショックでした。原油を大量に輸入している日本は、輸入代金の急激な増加に苦しみます。たとえば72年の原油輸入額は39億ドルでしたが、74年にはこれが189億ドルにはね上がっています。国中が省エネ努力をしたこともあって、日本はこの嵐もなんとかやり過ごしました。
3番目の嵐は、08年の夏から始まった世界的な大不況です。日本の輸出相手国がみな不況に落ち込んだため、日本の輸出は大幅に減少。このため、09年1月の経常収支は1700億円の赤字となっています。この世界不況も最近はようやく終わって、日本の国際収支は黒字に戻ってきました。ところが、こんどは・・・。
(続きは来週日曜日)
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◇ 薄商いのなか5日連騰 = 株式市場は夏休みの真っただ中。にもかかわらず日経平均は、週間540円値上がりした。先々週末に大きく値下がりしたため、月曜日は大幅に反騰。その後も下値拾いが続いて5日間の連騰となった。ただ商いはきわめて薄い。
たとえば金曜日は東証1部の売買代金が1兆4000億円で、平常の7割ほど。一日の値幅も51円にとどまった。これは株価を大きく動かす海外の大型ファンドが夏休みで参入せず、主として国内の個人投資家が下値で買いを入れたためだと考えられる。この結果、買い物は業績のいい企業に集中する傾向が強まった。
ダウ平均も週間109ドル値上がりした。こちらも夏休みで薄商いなのは同じ。ウクライナやイラクなどの国際情勢と、アメリカ企業の好調な業績の間に挟まれての相場形成となった。ただ木曜日にはユーロ圏の成長率がゼロに陥ったというニュースが発表されて、ヨーロッパ諸国の株価が下落した。今週は日米の株価にも、この影響が出るかもしれない。
今週は20日に、7月の貿易統計と6月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、8月のNAHB住宅市場指数。19日に、7月の消費者物価と住宅着工戸数。21日に、7月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が21日に、8月のHSBC製造業PMIを発表する。
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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たとえば金曜日は東証1部の売買代金が1兆4000億円で、平常の7割ほど。一日の値幅も51円にとどまった。これは株価を大きく動かす海外の大型ファンドが夏休みで参入せず、主として国内の個人投資家が下値で買いを入れたためだと考えられる。この結果、買い物は業績のいい企業に集中する傾向が強まった。
ダウ平均も週間109ドル値上がりした。こちらも夏休みで薄商いなのは同じ。ウクライナやイラクなどの国際情勢と、アメリカ企業の好調な業績の間に挟まれての相場形成となった。ただ木曜日にはユーロ圏の成長率がゼロに陥ったというニュースが発表されて、ヨーロッパ諸国の株価が下落した。今週は日米の株価にも、この影響が出るかもしれない。
今週は20日に、7月の貿易統計と6月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、8月のNAHB住宅市場指数。19日に、7月の消費者物価と住宅着工戸数。21日に、7月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が21日に、8月のHSBC製造業PMIを発表する。
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 対ロシア経済制裁が響く = EU統計局が発表した4-6月期のGDP速報によると、ユーロ圏18か国の実質成長率はゼロ。EU加盟28か国の成長率は前期比0.2%だった。1-3月期はそれぞれ0.2%、0.3%だったので、わずかながら成長は鈍化したことになる。そんななかで衝撃的なのは、ヨーロッパの優等生と言われたドイツの成長率がマイナス0.2%に落ち込んだことだ。
ドイツのGDPはユーロ圏の約3割を占める。リーマン・ショックの影響で09年の成長率はマイナス5%に低下したが、その後は順調に回復。南ヨーロッパの金融危機に際しても支援の先頭に立って、常にヨーロッパ経済をリードしてきた。ことし1-3月期の成長率も前期比0.7%だったが、そこから大きく後退した。
後退の原因は、輸出が大幅に減少したこと。特にウクライナ情勢を巡って経済制裁が実施されたロシア向けの輸出減退が響いている。4-5月の対ロシア輸出は、前年比17.2%の減少。たとえばフォルクスワーゲンの対ロ輸出は、1-6月期に8.5%縮小した。こうした輸出の減退で、4-6月期の工業生産も1.5%低下している。
ドイツ以外のGDP成長率をみると、イタリアがマイナス0.2%。2四半期連続のマイナス成長で、景気後退入りと宣告された。またフランスは2四半期連続でゼロ成長。ユーロ圏内の失業率はまだ2ケタ、6月も11.2%だった。スペインの若年失業率は、なんと53.5%にのぼっている。こうした状態で、牽引車のドイツがマイナス成長に陥った。ヨーロッパ経済は大丈夫なのだろうか。
(続きは明日)
≪18日の日経平均 = 上げ +4.26円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ドイツのGDPはユーロ圏の約3割を占める。リーマン・ショックの影響で09年の成長率はマイナス5%に低下したが、その後は順調に回復。南ヨーロッパの金融危機に際しても支援の先頭に立って、常にヨーロッパ経済をリードしてきた。ことし1-3月期の成長率も前期比0.7%だったが、そこから大きく後退した。
後退の原因は、輸出が大幅に減少したこと。特にウクライナ情勢を巡って経済制裁が実施されたロシア向けの輸出減退が響いている。4-5月の対ロシア輸出は、前年比17.2%の減少。たとえばフォルクスワーゲンの対ロ輸出は、1-6月期に8.5%縮小した。こうした輸出の減退で、4-6月期の工業生産も1.5%低下している。
ドイツ以外のGDP成長率をみると、イタリアがマイナス0.2%。2四半期連続のマイナス成長で、景気後退入りと宣告された。またフランスは2四半期連続でゼロ成長。ユーロ圏内の失業率はまだ2ケタ、6月も11.2%だった。スペインの若年失業率は、なんと53.5%にのぼっている。こうした状態で、牽引車のドイツがマイナス成長に陥った。ヨーロッパ経済は大丈夫なのだろうか。
(続きは明日)
≪18日の日経平均 = 上げ +4.26円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 量的金融緩和の公算 = 失業問題を改善するためにも、EUにとって成長率の引き上げは不可欠である。しかしギリシャに端を発した信用不安の教訓もあって、各国は財政支出を安易には増やせない。そこでECB(ヨーロッパ中央銀行)は6月、政策金利をゼロに近づけると同時に、金融機関からの預り金に手数料を取る異例のマイナス金利政策を導入した。
だがロシアとの経済摩擦が発生したとしても、4-6月期の成長率は鈍化してしまった。この結果は、ECBの金融政策が不十分なことを意味している。したがってECBは、金融の量的緩和政策に進まざるをえないだろう。日本やアメリカの中央銀行がすでに実施している、市場から国債を購入することで流動性をバラ撒くやり方だ。
ところがユーロ圏の場合は、18か国がそれぞれに国債を発行している。ECBがどの国の国債を、どれだけ買い入れるかは政治的にも技術的にも、なかなか難しい。これまではドイツが量的緩和政策には強く反対しており、ECBもその導入を検討することさえできなかった。
そのドイツがゼロ成長に陥った。ロシアに対する経済制裁も、いまのところ解除の見通しはない。したがってECBとしても、最後の手段である量的緩和政策に踏み切らざるをえないのではないだろうか。量的緩和の出口に近づいたアメリカ、真っ最中の日本、入り口に立つヨーロッパ。次の金融政策地図が見えてきた。
≪19日の日経平均 = 上げ +127.19円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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だがロシアとの経済摩擦が発生したとしても、4-6月期の成長率は鈍化してしまった。この結果は、ECBの金融政策が不十分なことを意味している。したがってECBは、金融の量的緩和政策に進まざるをえないだろう。日本やアメリカの中央銀行がすでに実施している、市場から国債を購入することで流動性をバラ撒くやり方だ。
ところがユーロ圏の場合は、18か国がそれぞれに国債を発行している。ECBがどの国の国債を、どれだけ買い入れるかは政治的にも技術的にも、なかなか難しい。これまではドイツが量的緩和政策には強く反対しており、ECBもその導入を検討することさえできなかった。
そのドイツがゼロ成長に陥った。ロシアに対する経済制裁も、いまのところ解除の見通しはない。したがってECBとしても、最後の手段である量的緩和政策に踏み切らざるをえないのではないだろうか。量的緩和の出口に近づいたアメリカ、真っ最中の日本、入り口に立つヨーロッパ。次の金融政策地図が見えてきた。
≪19日の日経平均 = 上げ +127.19円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 心配な経常収支の赤字化 = 財務省は20日、7月の貿易統計を発表した。それによると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字だった。これで貿易赤字は25か月連続。日本は完全に貿易赤字国になってしまった。貿易収支に所得収支を加えた経常収支も、赤字基調に陥る危険性を否定できない。
7月の輸出額は6兆1900億円。前年に比べて3.9%増加した。地域別にみると、中国向けは2.6%増、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けは3.7%増だった。またEU向けは10.2%伸びたが、最大の輸出相手国であるアメリカ向けは2.1%増と振るわなかった。商品別では、金属加工機械が35.7%増。自動車は8.1%増だった。
輸入額は7兆1500億円。前年比2.3%増加した。相変わらず火力発電用の燃料輸入が多く、鉱物性燃料は2兆3500億円。前年比7.0%の増加だった。このうちLNG(液化天然ガス)は7.4%増加している。このほか鉄鋼が20.6%の増加、金属製品も11.0%増加した。
貿易収支はモノのやりとり。これに旅行費用などのサービス収支と、利子や配当などを計上した所得収支を加えた合計が経常収支。海外との最終的な収支が、ここに集約される。半年ごとの結果でみると、この経常収支は昨年7-12月期に初めて788億円の赤字を記録した。続いて本年1-6月期も5075億円の赤字。仮に7-12月期も赤字になれば、日本は経常収支でも赤字国に転落する。7月の貿易収支をみると、とても楽観はできない。
≪20日の日経平均 = 上げ +4.66円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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7月の輸出額は6兆1900億円。前年に比べて3.9%増加した。地域別にみると、中国向けは2.6%増、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けは3.7%増だった。またEU向けは10.2%伸びたが、最大の輸出相手国であるアメリカ向けは2.1%増と振るわなかった。商品別では、金属加工機械が35.7%増。自動車は8.1%増だった。
輸入額は7兆1500億円。前年比2.3%増加した。相変わらず火力発電用の燃料輸入が多く、鉱物性燃料は2兆3500億円。前年比7.0%の増加だった。このうちLNG(液化天然ガス)は7.4%増加している。このほか鉄鋼が20.6%の増加、金属製品も11.0%増加した。
貿易収支はモノのやりとり。これに旅行費用などのサービス収支と、利子や配当などを計上した所得収支を加えた合計が経常収支。海外との最終的な収支が、ここに集約される。半年ごとの結果でみると、この経常収支は昨年7-12月期に初めて788億円の赤字を記録した。続いて本年1-6月期も5075億円の赤字。仮に7-12月期も赤字になれば、日本は経常収支でも赤字国に転落する。7月の貿易収支をみると、とても楽観はできない。
≪20日の日経平均 = 上げ +4.66円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 小売り業は22%の減益 = 消費増税の影響が、企業の決算にくっきり現われた。日経新聞が上場企業の4-6月期決算を集計した結果によると、連結経常利益は前年比2%の増加だった。製造業は9%の増益だったが、非製造業は7%の減益と振るわない。特に小売り業は、需要の反動減に直撃されて22%の減益となっている。
製造業では、自動車・同部品が11.8%、電機が30.5%の増益となるなど、機械類の利益が大きく伸びた。非製造業では、建設業が20.1%、ガスが55.9%の増益だったが、あとは軒並み減益を記録している。こうした業績の明暗は、海外で利益を上げられたかどうかによるところが大きい。内需だけに依存する業界は、円安による原材料の高騰や人手不足にも悪影響を受けた。
もう1つ、大企業と中堅企業との差も鮮明になった。日経新聞によると、四半期の売上高が1000億円以上の大企業は4%の増益。それ未満の中堅企業は7%の減益となっている。この差も、主たる原因は海外で稼げたかどうか。人手不足や輸入原材料の高騰も、中堅企業には減益の材料になった。
消費税が引き上げられたことを考えれば、全産業ベースで増益を維持したことは健闘の部類に入るだろう。今後は増税の影響が薄れるにつれて、増益率が拡大することも期待できる。だが問題は、その拡大のスピードである。具体的には、製造業の利益率がもう少し上昇するかどうか。非製造業の利益率がいつプラスに転じるか。この展望について、経営者の見通しは概して慎重だと、日経新聞は報じている。
≪21日の日経平均 = 上げ +131.75円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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製造業では、自動車・同部品が11.8%、電機が30.5%の増益となるなど、機械類の利益が大きく伸びた。非製造業では、建設業が20.1%、ガスが55.9%の増益だったが、あとは軒並み減益を記録している。こうした業績の明暗は、海外で利益を上げられたかどうかによるところが大きい。内需だけに依存する業界は、円安による原材料の高騰や人手不足にも悪影響を受けた。
もう1つ、大企業と中堅企業との差も鮮明になった。日経新聞によると、四半期の売上高が1000億円以上の大企業は4%の増益。それ未満の中堅企業は7%の減益となっている。この差も、主たる原因は海外で稼げたかどうか。人手不足や輸入原材料の高騰も、中堅企業には減益の材料になった。
消費税が引き上げられたことを考えれば、全産業ベースで増益を維持したことは健闘の部類に入るだろう。今後は増税の影響が薄れるにつれて、増益率が拡大することも期待できる。だが問題は、その拡大のスピードである。具体的には、製造業の利益率がもう少し上昇するかどうか。非製造業の利益率がいつプラスに転じるか。この展望について、経営者の見通しは概して慎重だと、日経新聞は報じている。
≪21日の日経平均 = 上げ +131.75円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 分配金利回りで勝負 = お客から集めた資金で不動産を買い、その賃料などで得た利益を分配金という形で投資家に還元するのがREIT。投資した銘柄の時価に対する分配金の割合が、REITの分配金利回りだ。一般の株式を買った場合の配当利回りと同じである。だがREITの分配金利回りは、経済状況にもよるが、株式の配当利回りよりずっと高い。
たとえば最近の分配金利回りは、平均で3.5%前後。東証1部に上場している株式の平均配当率は1.6%程度だ。このようにREITの分配金利回りが高いのにはワケがある。というのはREITの場合、利益の90%以上を分配金として支出すれば、その運営会社の法人税が免除される税法上の特例があるからだ。
このためREITのすべてが、実際には利益の100%を分配金に充てている。結果として分配金利回りが高くなれば、新しい投資家が参入してくる。新しい物件を購入するときには、増資と社債の発行と借入れで資金を調達。社業を拡張して行く。この循環は分配金利回りが高いほど有利に進むわけであり、REIT運用会社は結局のところ分配金利回りの大きさで競争し合っていると言えるだろう。
13年の場合、業界全体で増資は1兆1000億円、社債の発行は1000億円を超えた。しかし経済環境が悪化すると、これらの資金調達は縮小する。また利益率の高い物件の購入も困難になる。するとREITに投資する人も減って、REITの相場も下落してしまう。投資家の側からみれば、分配金利回りと相場の両方をよく見る必要があるというわけだ。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 下げ -47.01円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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たとえば最近の分配金利回りは、平均で3.5%前後。東証1部に上場している株式の平均配当率は1.6%程度だ。このようにREITの分配金利回りが高いのにはワケがある。というのはREITの場合、利益の90%以上を分配金として支出すれば、その運営会社の法人税が免除される税法上の特例があるからだ。
このためREITのすべてが、実際には利益の100%を分配金に充てている。結果として分配金利回りが高くなれば、新しい投資家が参入してくる。新しい物件を購入するときには、増資と社債の発行と借入れで資金を調達。社業を拡張して行く。この循環は分配金利回りが高いほど有利に進むわけであり、REIT運用会社は結局のところ分配金利回りの大きさで競争し合っていると言えるだろう。
13年の場合、業界全体で増資は1兆1000億円、社債の発行は1000億円を超えた。しかし経済環境が悪化すると、これらの資金調達は縮小する。また利益率の高い物件の購入も困難になる。するとREITに投資する人も減って、REITの相場も下落してしまう。投資家の側からみれば、分配金利回りと相場の両方をよく見る必要があるというわけだ。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 下げ -47.01円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第17章 国際収支って、なんだろう? ⑬
◇ 原発停止で大赤字 = こんどの大嵐は、08年3月の東日本大震災が発生源になりました。福島第1原発が事故を起こして原発の安全性に疑問が生じたため、すべての原発が運転を停止したのです。震災の前は全国で54基の原発が動いており、必要な電力の約3割を供給していました。
原発停止による電力の不足分を補うため、電力各社は火力による発電を増強しました。この結果、火力発電で燃やす石炭や重油、あるいはLNG(液化天然ガス)などの燃料輸入が急速に増大。貿易収支が赤字になってしまったのです。たとえば07年度の貿易収支は10兆2000億円もの黒字を出していました。
それが13年度になると、13兆8000億円の赤字です。この間、輸出も減ったのですが、輸入が14兆円も増えました。その大部分が火力発電用の燃料です。一例をあげると、LNGの輸入額はこの間に3兆5000億円から7兆3000億円に。2倍以上も増えています。
原発が動かない。その分を火力発電で補う。この状態はまだ続きそうで、貿易の大幅な赤字はなくなりそうにありません。いちばん新しい7月の貿易統計をみても、収支は9640億円の赤字でした。LNGの輸入額は前年同月に比べて7.4%増加しています。これで貿易収支の赤字は25か月連続。日本は貿易赤字国になってしまったと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 原発停止で大赤字 = こんどの大嵐は、08年3月の東日本大震災が発生源になりました。福島第1原発が事故を起こして原発の安全性に疑問が生じたため、すべての原発が運転を停止したのです。震災の前は全国で54基の原発が動いており、必要な電力の約3割を供給していました。
原発停止による電力の不足分を補うため、電力各社は火力による発電を増強しました。この結果、火力発電で燃やす石炭や重油、あるいはLNG(液化天然ガス)などの燃料輸入が急速に増大。貿易収支が赤字になってしまったのです。たとえば07年度の貿易収支は10兆2000億円もの黒字を出していました。
それが13年度になると、13兆8000億円の赤字です。この間、輸出も減ったのですが、輸入が14兆円も増えました。その大部分が火力発電用の燃料です。一例をあげると、LNGの輸入額はこの間に3兆5000億円から7兆3000億円に。2倍以上も増えています。
原発が動かない。その分を火力発電で補う。この状態はまだ続きそうで、貿易の大幅な赤字はなくなりそうにありません。いちばん新しい7月の貿易統計をみても、収支は9640億円の赤字でした。LNGの輸入額は前年同月に比べて7.4%増加しています。これで貿易収支の赤字は25か月連続。日本は貿易赤字国になってしまったと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 東証2部は年初来高値 = 夏休みも終わりに近づき、株式市場は元気を取り戻しつつある。日経平均は先週221円の値上がり。最終日にはやや反落したが、先々週から9日間の連騰を記録した。この間の上げ幅は808円。だが昨年末比では、まだ750円安い。ところが東証第2部の株価は先週、年初来高値を更新している。
第2部には、内需関連の銘柄が多い。これが第1部よりも買われた原因だろう。消費増税後の個人消費が予想以上に堅調なことから、内需株に関心が集まることは理解できる。先週は日経平均の構成銘柄でも、内需関連が物色された。そして注目すべき現象は、円安が進んだにもかかわらず輸出関連の主力株が買われなかったことだ。
ダウ平均は先週338ドルの値上がり。木曜日には1か月ぶりに1万7000ドル台を回復している。SP500は史上最高値を更新。ナスダック指数は14年5か月ぶりの高値を付けた。ウォール街でも、小型株に人気が集まっているようだ。注目されたイエレンFRB議長の講演も、アメリカ経済の明るい先行きを示唆したものとして好感された。
今週は26日に、7月の企業向けサービス価格。29日に、7月の鉱工業生産、労働力調査、家計調査、消費者物価、商業販売統計。アメリカでは25日に、7月の新築住宅販売。26日に、6月のFHFA住宅価格と8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、4-6月期のGDP改定値と7月の中古住宅販売が発表される。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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第2部には、内需関連の銘柄が多い。これが第1部よりも買われた原因だろう。消費増税後の個人消費が予想以上に堅調なことから、内需株に関心が集まることは理解できる。先週は日経平均の構成銘柄でも、内需関連が物色された。そして注目すべき現象は、円安が進んだにもかかわらず輸出関連の主力株が買われなかったことだ。
ダウ平均は先週338ドルの値上がり。木曜日には1か月ぶりに1万7000ドル台を回復している。SP500は史上最高値を更新。ナスダック指数は14年5か月ぶりの高値を付けた。ウォール街でも、小型株に人気が集まっているようだ。注目されたイエレンFRB議長の講演も、アメリカ経済の明るい先行きを示唆したものとして好感された。
今週は26日に、7月の企業向けサービス価格。29日に、7月の鉱工業生産、労働力調査、家計調査、消費者物価、商業販売統計。アメリカでは25日に、7月の新築住宅販売。26日に、6月のFHFA住宅価格と8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、4-6月期のGDP改定値と7月の中古住宅販売が発表される。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 思惑だけが駆け巡る = イエレンFRB議長は先週22日、ワイオーミング州ジャクソンホールで講演した。利上げの時期を示唆するかもしれないというので全世界の注目を集めたが、講演の内容は全く常識的。にもかかわらず市場では「利上げは予想より早まる」「いや、遅くなる」など、受け取り方はいろいろ。思惑だけが駆け巡る形となった。。
イエレン議長はまず「量的緩和政策を10月で終了する方針」を重ねて強調した。これで10月の量的緩和終了は確定したと考えていいだろう。アメリカ経済については「リーマン・ショック後の停滞から著しく改善した」と判断。ただ「長期失業者やパートタイマーが多い現状では、労働市場の回復は完全とは言えない」と述べている。
肝心の金利引き上げについては「労働市場の回復や物価上昇が予想を上回れば、利上げは早くなる」「しかし経済が満足できない状態なら、利上げはゆっくりになる」と説明した。まことに常識的、ごもっともと言うしかない。ところが、こんな明確な発言にもかかわらず、市場関係者の反応はさまざまだった。
結局、株式市場では見方が交錯して株価は動かず。しかし為替市場ではドルが買われ、円安が進行した。東京外国為替市場では、アメリカの金利上昇で今後は円安傾向が強まるという見方が優勢になったようである。ところが円相場は7か月ぶりの安値になったが、株式市場では輸出関連株が買われなかった。たとえば20日の市場で、トヨタはむしろ下落している。この矛盾したようにみえる傾向は、今後も続くのだろうか。
≪25日の日経平均 = 上げ +74.06円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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イエレン議長はまず「量的緩和政策を10月で終了する方針」を重ねて強調した。これで10月の量的緩和終了は確定したと考えていいだろう。アメリカ経済については「リーマン・ショック後の停滞から著しく改善した」と判断。ただ「長期失業者やパートタイマーが多い現状では、労働市場の回復は完全とは言えない」と述べている。
肝心の金利引き上げについては「労働市場の回復や物価上昇が予想を上回れば、利上げは早くなる」「しかし経済が満足できない状態なら、利上げはゆっくりになる」と説明した。まことに常識的、ごもっともと言うしかない。ところが、こんな明確な発言にもかかわらず、市場関係者の反応はさまざまだった。
結局、株式市場では見方が交錯して株価は動かず。しかし為替市場ではドルが買われ、円安が進行した。東京外国為替市場では、アメリカの金利上昇で今後は円安傾向が強まるという見方が優勢になったようである。ところが円相場は7か月ぶりの安値になったが、株式市場では輸出関連株が買われなかった。たとえば20日の市場で、トヨタはむしろ下落している。この矛盾したようにみえる傾向は、今後も続くのだろうか。
≪25日の日経平均 = 上げ +74.06円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 人手不足で遅れる審査 = 原子力規制委員会は先週19日の会合で、川内原発(鹿児島県)の審査書案をやっとまとめあげた。このため22日の会合では、次に集中審査する原発を決める議論に入っている。川内原発については、これから地元の同意を取り付ける作業に入るので、年内に再稼働できるのかどうか見通しは不明だ。
原子力規制委員会が川内原発を最優先で審査すると決めたのは、ことし3月13日。その時点で規制委員会は、この夏にも再稼働が可能になると予想していた。ところが九州電力との間で意思疎通がうまく行かなかったこともあり、審査は延々と長引いた。その最大の理由が、委員会の人手不足だというから驚いてしまう。
原発の安全審査に関して、規制委員会は早くから10原発17基の申請を受け付けている。ところが、これも人手不足のために同時進行の形で審査を進められなかった。今回も川内原発に関する審査書案がまとまったので、次の審査対象を決める作業に入っている。
次の審査対象には、中国電力の島根原発(島根県)や東北電力の女川原発(宮城県)などの名前が挙がっている。なかでも最有力視されているのが、関西電力の高浜原発(福井県)だ。しかし、この調子だと再稼働できるのは、早くても来年夏になるだろう。政府や与党はなぜ規制委員会の人員を増やそうとしないのだろうか。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -92.03円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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原子力規制委員会が川内原発を最優先で審査すると決めたのは、ことし3月13日。その時点で規制委員会は、この夏にも再稼働が可能になると予想していた。ところが九州電力との間で意思疎通がうまく行かなかったこともあり、審査は延々と長引いた。その最大の理由が、委員会の人手不足だというから驚いてしまう。
原発の安全審査に関して、規制委員会は早くから10原発17基の申請を受け付けている。ところが、これも人手不足のために同時進行の形で審査を進められなかった。今回も川内原発に関する審査書案がまとまったので、次の審査対象を決める作業に入っている。
次の審査対象には、中国電力の島根原発(島根県)や東北電力の女川原発(宮城県)などの名前が挙がっている。なかでも最有力視されているのが、関西電力の高浜原発(福井県)だ。しかし、この調子だと再稼働できるのは、早くても来年夏になるだろう。政府や与党はなぜ規制委員会の人員を増やそうとしないのだろうか。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -92.03円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ エネルギー計画がない国 = 経済の発展や国民生活の安定に欠かすことができないエネルギー。そのエネルギーを中長期にわたって、どのように確保するのか。その指針がエネルギー計画である。政府は3年ごとに計画を見直すことにしており、有識者で構成する総合資源エネルギー調査会が基本的な考え方をまとめることになっている。
その調査会の基本政策分科会が、先週19日に開かれた。ところが結果は「議論のしようがない」ということで散会。通常なら「たとえば3年後のエネルギー構成は、原油XX%、LMGXX%、原子力XX%、再生可能エネルギーXX%という比率が望ましい」というような方向を示すはず。しかし原発の将来が全く不明だから、議論のしようがないというわけだ。
大震災後の日本には、国のエネルギー計画がない。このため電力各社が必要に迫られて、火力発電ばかりを増強。その燃料輸入が急膨張して貿易収支の大赤字を招いている。国連のCOP21 (気候変動枠組み条約)は各国に対して来年3月までにCO2削減目標の提出を求めているが、エネルギー計画を作れない日本はCO2削減目標も作成は不可能だ。
このような悲劇的な状態にもかかわらず、自民党は事態を静観したまま。世論調査によれば、原発の再稼働には賛成より反対の意見が多い。来年4月の地方統一選挙をにらんで、この際は“触らぬ神に祟りなし”の姿勢を決め込んでいる。最高責任者である安倍首相も「原子力規制委員会が安全と認めた原発は再稼働する方針」だと言うばかり。委員会の人員増強にも触れたがらない。その間にも、日本の富が大量に海外に流出しているのに。
≪27日の日経平均 = 上げ +13.60円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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その調査会の基本政策分科会が、先週19日に開かれた。ところが結果は「議論のしようがない」ということで散会。通常なら「たとえば3年後のエネルギー構成は、原油XX%、LMGXX%、原子力XX%、再生可能エネルギーXX%という比率が望ましい」というような方向を示すはず。しかし原発の将来が全く不明だから、議論のしようがないというわけだ。
大震災後の日本には、国のエネルギー計画がない。このため電力各社が必要に迫られて、火力発電ばかりを増強。その燃料輸入が急膨張して貿易収支の大赤字を招いている。国連のCOP21 (気候変動枠組み条約)は各国に対して来年3月までにCO2削減目標の提出を求めているが、エネルギー計画を作れない日本はCO2削減目標も作成は不可能だ。
このような悲劇的な状態にもかかわらず、自民党は事態を静観したまま。世論調査によれば、原発の再稼働には賛成より反対の意見が多い。来年4月の地方統一選挙をにらんで、この際は“触らぬ神に祟りなし”の姿勢を決め込んでいる。最高責任者である安倍首相も「原子力規制委員会が安全と認めた原発は再稼働する方針」だと言うばかり。委員会の人員増強にも触れたがらない。その間にも、日本の富が大量に海外に流出しているのに。
≪27日の日経平均 = 上げ +13.60円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 9月から地下経済を算入 = EU(ヨーロッパ連合)は9月1日から、GDP統計に地下経済を算入することになった。具体的には、売春や違法薬物や盗品の売買など。これによって加盟各国のGDPは多かれ少なかれ拡大し、EU統計局は加盟国全体のGDPが2.4%増加すると試算している。
目的は、加盟国間のGDP統計を公平化するため。これまでスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、オーストリアでは地下経済をGDPに取り込んできた。またドイツやオーストリア、ギリシャでは売春が合法化され、オランダでは大麻が違法でないため、GDPに算入されてきた。これらの国とそうでない国との差異をなくすというわけである。
したがって今回の措置によるGDPの増加幅は、国によってまちまち。たとえばイタリアは地下経済がGDPの17%もあると言われ、成長率が2%程度上がる見込み。またイギリスも売春と麻薬を含めるだけで、GDPは年間167億ドル拡大すると試算されている。
いまEUは、経済の停滞と高い失業率に悩んでいる。地下経済をGDP統計に算入したからといって、景気がよくなるわけではない。しかし心理的な効果はあるのかもしれない。だが、どうもよく理解できないのは、違法な地下経済をどうやって数値化できるのか。日本も将来に備えて、研究しておく必要があるのかも。
≪28日の日経平均 = 下げ -74.96円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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目的は、加盟国間のGDP統計を公平化するため。これまでスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、オーストリアでは地下経済をGDPに取り込んできた。またドイツやオーストリア、ギリシャでは売春が合法化され、オランダでは大麻が違法でないため、GDPに算入されてきた。これらの国とそうでない国との差異をなくすというわけである。
したがって今回の措置によるGDPの増加幅は、国によってまちまち。たとえばイタリアは地下経済がGDPの17%もあると言われ、成長率が2%程度上がる見込み。またイギリスも売春と麻薬を含めるだけで、GDPは年間167億ドル拡大すると試算されている。
いまEUは、経済の停滞と高い失業率に悩んでいる。地下経済をGDP統計に算入したからといって、景気がよくなるわけではない。しかし心理的な効果はあるのかもしれない。だが、どうもよく理解できないのは、違法な地下経済をどうやって数値化できるのか。日本も将来に備えて、研究しておく必要があるのかも。
≪28日の日経平均 = 下げ -74.96円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ いつでも市場で売買 = REITは1960年にアメリカで生まれ、いまでは各国に普及した。ただ、その制度は国によって異なっている。日本はJ-REIT(日本版不動産投信)の本体として、役員が数人しかいないペーパー・カンパニーを設立。この投資法人が、外部の資産運用会社に業務を委託する形をとっている。
これらの運用会社が個別のREITを立ち上げて上場し、一般から出資を募っている。このため市場ではリアルタイムで価格が決まり、投資家はいつでも売買することが可能だ。これら個別REITの大半は6か月ごとに決算。したがって分配金も年2回のところが多い。
いま上場されている46銘柄を分類してみると、まず大きくは集中型と統合型に分けられる。集中型というのは、たとえばオフィスビルだけに投資するタイプ。オフィスビルのほかにマンションや商業施設、物流施設など、特定の物件に投資する。最近では、老人ホームや病院に投資するREITも現われている。
これに対して統合型は、オフィスビルと商業施設の両方といったように、いろいろな物件に投資するタイプ。銘柄数からみれば集中型の方が多いが、どちらが有望かは一概には言えない。いずれにしてもREITに投資する場合は、その会社が具体的にどんな物件を保有しているのか。きっちりと調べ上げる必要がある。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 下げ -35.27円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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これらの運用会社が個別のREITを立ち上げて上場し、一般から出資を募っている。このため市場ではリアルタイムで価格が決まり、投資家はいつでも売買することが可能だ。これら個別REITの大半は6か月ごとに決算。したがって分配金も年2回のところが多い。
いま上場されている46銘柄を分類してみると、まず大きくは集中型と統合型に分けられる。集中型というのは、たとえばオフィスビルだけに投資するタイプ。オフィスビルのほかにマンションや商業施設、物流施設など、特定の物件に投資する。最近では、老人ホームや病院に投資するREITも現われている。
これに対して統合型は、オフィスビルと商業施設の両方といったように、いろいろな物件に投資するタイプ。銘柄数からみれば集中型の方が多いが、どちらが有望かは一概には言えない。いずれにしてもREITに投資する場合は、その会社が具体的にどんな物件を保有しているのか。きっちりと調べ上げる必要がある。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 下げ -35.27円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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