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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2008-09-01-Mon  CATEGORY: 政治・経済
きょうから9月。今週は1日に8月の新車販売、5日に4-6月期の法人企業統計。アメリカでも2日に8月の新車販売、5日に8月の雇用統計が出る程度。発表予定は少ないが、総合経済対策に必要な1兆8000億円を盛り込んだ補正予算の編成が始まる。

続いて定額減税の規模を決めて、来年度の税制改正と予算編成作業。その結果は、やはり建設国債の増発ということに落ち着きそうだ。そうなると小泉内閣以来の財政再建路線を放棄した、という批判が強まることは必至。そういうなかで解散風も本格的に吹き始めるから、福田首相は信念を持って国民に説明しなければならない。

先週ちょっと驚いたのは、アメリカの4-6月期GDPの改定値。実質の年率換算でプラス3.3%に跳ね上がった。速報値を1.4ポイントも上方修正している。所得税減税の効果で個人消費が1.7%増えたことに加えて、輸出が13.2%も伸びたことが原因。これでGDPからみる限り、アメリカの景気後退入りは当面なくなった。

ダウ平均はこの数字を歓迎して、発表のあった28日は213ドル上昇した。ところが29日は172ドル反落している。こうした株価の動きは、市場が7月以降の景気を相変わらず心配していることの反映だろう。今週のダウは、楽観と悲観のどちらに傾くのか。また兜町は総合経済政策をどう評価するのだろう。

    ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

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唐突な福田辞任、真相は何だ?
2008-09-02-Tue  CATEGORY: 政治・経済
福田首相が昨夜、全く唐突な形で辞任を表明した。安倍前首相の突然の退陣から、まだ1年も経っていない。1か月前に内閣を改造したばかり。臨時国会の召集を12日に控えているこの時期に、なぜなのか? テレビ中継の記者会見を聞いても、理由の説明は奥歯に物がはさまったようで、一向に釈然としなかった。

記者会見で、福田首相は辞任の理由をほとんど差しさわりの少ない野党のせいにしたように思われる。前の国会で民主党は重要法案の審議拒否、引き延ばしを図った。こんどの国会でもそういう事態になれば、国民に迷惑がかかる。だから総理大臣を代えて、事態を打開する――というのが、説明の趣旨だった。

しかし総理大臣が代われば、民主党が軟化するという可能性は皆無だろう。むしろ自分では国会が乗り切れないと判断するに至った理由は、自民党内あるいは公明党との関係にあるのではないだろうか。たとえば先週末に決定した定額減税をめぐる動きにも、そういう兆候が見え隠れしていたように思われる。

福田首相は前々から「赤字国債は出さない」「財政再建目標は堅持する」と言明してきた。ところが公明党に押し切られる形で、定額減税を実施することになってしまった。これでは自分の政治信念に反する。だが自民党の実力者と公明党が手を組んだために、抵抗ができない。そこで辞任。ことの真相を推理すれば、こんなことに。自民党の実力者、名前は書かないが・・・。

    ≪1日の日経平均 = 下げ -238.69円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ

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総合経済対策 : 3つの欠点 (上)
2008-09-03-Wed  CATEGORY: 政治・経済
①財源の不明瞭さ = 福田首相は突然に辞任したが、政府・与党が8月29日に決定した総合経済対策はそのまま臨時国会に上程される。そこで、この経済対策の欠点を探し出してみよう。この対策の事業規模は11兆7000億円。財政支出は2兆円、そのうちの1兆8000億円を今年度の補正予算に計上する方針だ。

ところが、この財源については全く不明瞭のまま。この経済対策の最大の欠点は、このように収支計算をはっきりさせないままに、総合対策を発表したことだろう。福田首相は「赤字国債は出さない」と明言。また「基礎的財政収支を11年度までに黒字化する財政再建目標を堅持する」とも述べていた。

しかし予備費や剰余金、税外収入などを目いっぱい集めても、1兆8000億円には遠く及ばない。残りの1兆円程度を、どうやって手当てするのか。そのうえ今年度中に、定額減税も実施することになった。それも含めて財源をどうするのか。この点を明確にしないから、国民の間には疑念が生じる。「財政再建路線の放棄」と言われるのが怖いために、いい加減なことを言っているのではないかと。

実はいちばん福田首相自身が、この点を納得できなかったのではないか。公明党に押し切られて定額減税を呑まされた時点で、これではインド洋の給油問題にしても消費者庁の創設にしても国会は通らないと覚悟したように思われる。辞任に至った大きな理由のひとつが、経済対策の欠点となって表れていたと推理したい。                              

     (続きは明日)

    ≪2日の日経平均 = 下げ -224.71円≫

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総合経済対策 : 3つの欠点 (中)
2008-09-04-Thu  CATEGORY: 政治・経済
②景気への説明不足 = 総合経済対策の内容は、高速道路料金の引き下げ、輸入小麦の売り渡し価格引き上げの圧縮、住宅ローン減税の延長、高齢者の医療保険料負担の軽減など、かなりキメ細かい。原油高・物価高への緊急対応策だから、こんなところが精一杯なのかもしれない。

ところが、これに対して野党やマスコミなどからは「バラマキだ」とか「選挙目当てだ」といった批判が出ている。だが物価高への対応策だから、結果としてバラマキ的になるのは当たり前。また選挙を意識しない政策などには、お目にかかったことがない。民主党の公約だって、選挙目当てではないのか。だからバラマキとか選挙目当ては、批判するに当たらない。

もうひとつ、バラマキ批判の根底には、もっと財政支出を増やして景気対策をやるべきだという意見もある。これに対して、総合経済対策では「マクロ経済上の大幅な需給ギャップが生じていないなかで、有効需要創出を主目的とした財政出動は行なわない」と、たった一行で片付けてしまった。

その見解が正しいかどうかは別として、政府はつい先ごろの月例経済報告のなかで「日本経済の景気後退入り」を認めたばかり。国民はみな景気の先行きを心配している。この際は、景気後退に入ったけれども景気対策は講じない理由を、もっと丁寧に説明する必要があっただろう。後継内閣が、この点をどう説明するのか。じっくり見てみたい。

                                 (続きは明日)

    ≪3日の日経平均 = 上げ +80.12円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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総合経済対策 : 3つの欠点 (下)
2008-09-05-Fri  CATEGORY: 政治・経済
③戦略性の欠如 = 突如として発生した原油や食料の価格高騰。それに対処するための方策だから、いわゆる対症療法になるのはやむをえない。と言ってしまえば、それまでだ。だが原油や食料の高騰に対するもっと根本的な政策手段についても、少なくとも考え方は出すべきだったろう。

たしかに経済対策のなかには、省エネ投資促進のための減税や太陽光発電設備の導入支援といった項目も顔を出している。しかし、これらも対症療法的な感じが強く、バラマキ的な印象は免れない。国民はもっと長期的な構造改革につながる、戦略を期待していた。ここが欠落したために、小泉内閣以来の構造改革路線は終わったという印象を強めることになっている。

たとえばの例だが、いま日本のエネルギー自給率は原子力を含めても18%しかない。これを2020年までに25%に引き上げる戦略。そのための具体的な計画を今年度中に策定するといった宣言。また郵政の民営化、社会保険庁の改革に続く次の行政改革の目標。こうした明確なビジョンを一緒に表明すれば、バラマキの印象も薄れたのではないだろうか。

インド洋の油補給といい、年金記録の不備是正といい、福田内閣は“跡始末”に追われたことは事実である。物価高対策も、まさに跡始末だろう。しかし後継内閣は、もっと前向きに日本をこう変えるのだという戦略を出してもらいたい。それがないと、だれがやっても次の総選挙で自民党の勝利はむずかしくなるだろう。

    ≪4日の日経平均 = 下げ -131.93円≫

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑥
2008-09-06-Sat  CATEGORY: 政治・経済
6)ゼロ成長の意味 = 高度成長の時代、日本の成長率は言うまでもなくプラスの連続だった。その世界に誇った成長率が、初めてマイナスを記録したのは1974年(昭和49年)のことである。第1次石油ショックの影響で、1.4%のマイナス成長となった。

その後は低成長時代に入ったが、それでも若干のプラスは維持してきた。しかしバブルの崩壊に伴い、成長率はゼロ近辺に落ち込む。暦年でみた実質ベースで、98年はマイナス2.0%、99年もマイナス0.1%となっている。また01年は0.2%、03年は0.3%といずれもプラスではあったものの、ほとんどゼロ成長の状態だった。

ゼロ成長は、経済規模が全く拡大しないことを意味する。仮に企業の売上げや利益もゼロ成長だとすると、どこかの企業が業績を伸ばせば、どこかの企業がその分だけ業績を落すことになる。文字通り“食うか食われるか”の世界になるわけだ。このように成長率が下がると、競争は激化する。

言うまでもなく、マイナス成長はもっと大変。経済規模が縮小するために、経済の各部門に悪い影響が出てくる。赤字や倒産する企業が増え、個人の所得も圧迫されがちだ。税収も伸びないから、国や地方自治体の財政も悪化する。一国の経済が成熟すると成長率の低下は避けられないが、ゼロ成長やマイナス成長はなんとしても回避すべきである。

                                (続きは来週サタデー)

    ≪5日の日経平均 = 下げ -345.43円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-09-07-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑩

インフレというのは、物価が上昇し続ける経済状態のことを言うのでしたね。では反対に物価が下がり続ける状態のことは、なんと言うのでしょう。答えはデフレ。インフレはInflation(インフレーション=ふくらむこと)を短くした言葉ですが、デフレはDeflation(デフレーション=しぼむこと)を略した言葉です。

インフレを起こす原因は、主として需要が供給を上回る場合。それに原料や材料の価格が上昇する場合の2つでした。デフレの原因は、その逆だと考えてください。つまり需要が供給を下回るか、原材料の価格が下落する場合です。

物価が下がれば、同じ額のおカネでモノが余計に買えますね。だから人びとの生活にはプラスになるはずなのですが、じっさいには違います。需要が供給を下回る経済状態は、景気が悪いということにほかなりません。物価は下がっても、会社がつぶれたり、失業者が増えてしまうのです。これでは大変です。

ですからデフレもインフレと同じように、起こさない方がいいのです。また原材料の価格が下がれば、不況にはならないで物価だけが下がるかもしれません。でも、いまの現実の世界では、一時的に原材料の価格が下落することはあっても、長い間下がり続けることはなさそうです。

                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-09-08-Mon  CATEGORY: 政治・経済
自民党総裁選の告示が10日。ここからは完全に政治の季節に入る。経済は舞台の裏側に回るが、その状況は少しずつ悪化の方向へ進みそうだ。8日の8月・景気ウオッチャ―調査、10日の8月・企業物価と7月・景気動向指数、11日の7月・機械受注。あまり、いい結果は期待できそうにない。

12日には、4-6月期のGDP改定値が発表になる。速報値では、年率換算の成長率が実質でマイナス2.4%だった。こんどの改定値では、このマイナス幅がさらに拡大しそう。仮にその下方修正が予想以上に大幅となれば、景気の先行きに対する悲観的な見方が一気に強まる心配もないではない。

アメリカでは、11日に7月の貿易収支。12日には8月の生産者物価と小売り売上高が発表になる。このうち特に注目されるのは貿易収支。というのも実体経済の悪化にもかかわらず、4-6月期のGDP成長率が3.3%にまで回復したのは、輸出の増大に負うところが大きかったからである。

もし7月の輸出が鈍化の傾向をみせれば、アメリカ経済の不振が新興国の経済にも悪影響を及ぼし、それがアメリカ自身の輸出減退につながる悪循環の始まりと考えられる。こうなると、いわゆるデカップリング論も説得力を失ってしまう。日米ともに、政治は空白状態。世界同時不況の影は、ますます濃くなって行く。

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

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5か月連続の低下 : 街角景況調査
2008-09-09-Tue  CATEGORY: 政治・経済
内閣府が発表した景気ウォッチャー調査によると、8月の現状判断DI は前月より1.0ポイント下がって28.3となった。景気ウォッチャー調査というのは、景気の動きに敏感な町なかの人たちを対象にした調査。たとえばデパートやコンビニの店員、商店街の代表、タクシー運転手など2050人の感触を毎月末に聞いている。

調査の内容は、3か月前に比べた現在の景況感と先行きの判断。いわば街角の景気世論調査だ。全国を11の地域に分けて、家計と企業と雇用についての感触を調べている。8月の現状判断では、家計部門の感触が前月より1.8ポイント低下した。日用品の値上がりと大雨の影響があったと、内閣府では分析している。

企業部門は前月比0.4ポイント、雇用部門は1.9ポイントそれぞれ回復した。原油価格に頭打ちの感じが出たことが大きい。雇用関係では「悪くなっている」という回答が減った。地域別にみると、九州、四国、東海、北関東のDI 低下が目立っている。

ただ先行き判断DI は、全国11の地域ですべて上昇した。全国平均では前月比1.2ポイントの上昇。特に北陸の4.5ポイント上昇が大きかった。内閣府では、ガソリン価格の低下による影響への期待感があるのではないかとみている。

    ≪8日の日経平均 = 上げ +412.23円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ

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総選挙で、消費税に決着を! (上)
2008-09-10-Wed  CATEGORY: 政治・経済
こんどの総選挙では、消費税の問題にぜひ決着を付けるべきだ。民主党は以前から「消費税は引き上げない」と明言している。これに対して、自民党の総裁選挙に名乗りを挙げた候補者のなかでは、与謝野氏だけが「引き上げは必要」の考え方を鮮明にした。あとの候補者は、まだ姿勢を明らかにしていない。

いま日本は国造りのビジョンを失ってしまい、将来への道程がきわめて不透明になっている。このことが国民の自信をなくし、外国からの信頼を薄める結果を招いていることは疑いない。このビジョンの喪失には、消費税の問題が大きく関わっているように思われる。

消費税を引き上げずに、福祉制度を将来にわたって維持できるのかどうか。また財政問題を改善できるのかどうか。反対に消費税を引き上げたら、福祉制度の将来に心配はなくなるのか。財政再建は進むのか。そして国民は、その負担に耐えられるのか。97年に橋本内閣が消費税を5%に引き上げ、翌年の参院選で自民党が惨敗して以来、この大問題は“机上の空論”になってしまった感がある。

消費税を上げたら、将来の数字はこうなる。上げなかったら、こうなる。いろいろな試算や推計が馬に食わせるほど出ているが、肝心の道筋が見えないから現実味に乏しい。そういうなかで大半の国民は、日本という国がどういう方角に進もうとしているのかを把握できずにいる。いまの政治の最大の欠点だと言えるだろう。

                                  (続きは明日)

    ≪9日の日経平均 = 下げ -223.81円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ

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総選挙で、消費税に決着を! (下)
2008-09-11-Thu  CATEGORY: 政治・経済
たしかに政治家にとって、消費税問題はタブーかもしれない。古くは大平首相、中曽根首相も消費税ではつまずき、導入を断念した。3%の消費税を実現した竹下首相は、そこから明らかに下り坂。5%に引き上げた橋本首相も、結局は退陣を余儀なくされている。

だが政治家が逃げ回っているうちに、少子・高齢化がどんどん進んで、年金・医療制度は急速に劣化してしまった。もう逃げている余裕はない。ここで決着を付けなければ、日本の福祉制度は破局を迎えるだろう。そうなると、日本という国自体の命運も危うくなる。

民主党は「引き上げなし」を決めている。自民党の候補者で「引き上げない」と公約した人が当選すれば、与野党で「その場合の戦略」を徹底的に追求したらいい。自民党の候補者で「引き上げる」と宣言した人が当選すれば、消費税引き上げの是非は総選挙で有権者が決めることになる。

麻生氏は「景気がよくなったら考える」と言っているが、これはずるい。もちろん景気が悪いときに増税するバカはない。だが消費税引き上げ法案に「実施は景気が回復期に入ったとき」と明記して、次の通常国会には法案を出すぐらいの公約はすべきだろう。

    ≪10日の日経平均 = 下げ -54.02円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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欧州経済 : 年内はゼロ成長に
2008-09-12-Fri  CATEGORY: 政治・経済
ヨーロッパ委員会が発表した経済予測によると、ユーロ圏15か国の08年の実質成長率は1.3%になる見込み。4月時点の予測を0.4ポイント下方修正した。四半期ごとの予測では、7-9月期が0%、10-12月期が0.1%となっており、年内はほぼゼロ成長になる。このため11日の東京市場では、ユーロの対円相場が2円以上も急落した。

ユーロ圏の成長率はことし1-3月期に前期比プラス0.7%のあと、4-6月期にはマイナス0.2%と99年の通貨統合以来はじめてのマイナス成長を記録した。景気の低迷は、金融の混乱や資源価格の高騰、それに一部の国での住宅不振が原因。

EU(ヨーロッパ連合)27か国の実質成長率も、08年は1.4%に減速する見通し。国別でみると、主要国のなかではスペインが年後半はマイナス成長の見込み。ドイツやフランス、イタリアなども、ほぼゼロ成長になるとみている。また非ユーロ圏のイギリスも、マイナス成長に陥ると予測している。

その一方で、ユーロ圏の08年の消費者物価は3.6%に上昇すると予測。4月の予測を0.5ポイント上方修正した。ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、これまでインフレを警戒して早めに金利を引き上げてきたが、明らかな成長鈍化を前にしてこれ以上の利上げはムリ。といって利下げもできない金縛り状態に置かれている。

    ≪11日の日経平均 = 下げ -244.13円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑦
2008-09-13-Sat  CATEGORY: 政治・経済
7)複利計算のマジック = 問題「100万円を銀行の定期預金にした。金利が年5%だとすれば、3年後にはいくらになっているか」--「115万円」と答える人がいるかもしれないが、これは間違い。100万円を1年間預けると、利子が付いて105万円。2年目はそれに5%の利子が付いて、110万2500円。3年目はまたそれに5%の利子が付いて、115万7625円になる。

これが複利計算だ。金利が高いほど、また期間が長いほど、元利合計は急激に大きくなる。経済成長の結果を考えるときも、この複利計算のマジックが働くことに注意。たとえば毎年1%ずつ成長すると、10年後のGDPは約10.5%増えるにすぎない。ところが仮に毎年10%ずつ成長すると、10年後には約2.6倍に増大する。

再び金利に戻って、こんどは元利合計が2倍になる期間を計算してみよう。金利が年1%の場合は、元利合計が2倍になるのに約70年かかる。金利が5%だと、ぐっと短くなって約14年。金利が10%だと、7年3か月で2倍になってしまう。これが複利計算のマジックだ。

ここ10年間ほど、日本の実質成長率は年平均で2%前後。これだと2倍になるのに35年もかかってしまう。これに対して成長いちじるしい中国は、年平均が10%以上。2倍になるのに7年しか要しない。この例からも判るように、成長率の大きさは持続する期間が長くなると、結果には格段の相違が生じることになる。

                                 (続きは来週サタデー)

    ≪12日の日経平均 = 上げ +112.26円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-09-14-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑪

いま世界中の国に、インフレの波が押し寄せています。原油や食料の国際的な価格が大幅に上昇したためで、先進国だけではなく新興国や途上国も物価が上がって困っています。日本でも、ガソリンや食パンなどが値上がりしていることは知っているでしょう。

それでは主な国々の物価がどのくらい上がっているのかを、7月の消費者物価でみてみましょう。消費者物価というのは、人びとが生活に必要なモノやサービスの物価です。まず日本は昨年の7月に比べて、2.3%の上昇でした。先進国ではアメリカが5.6%、イギリスが5.0%で、かなり大幅な上昇を記録しています。

そのほかドイツが3.3%、フランスが3.6%、イタリアは4.0%の値上がりでした。新興国では、中国が6.3%、韓国が5.9%の上昇になっています。いずれもまだ激しいインフレと言うほどではありませんが、人びとの生活はその分だけ苦しくなっているわけで、各国の政府はなんとか物価を下げる方法はないかと頭をひねっている最中です。

こんどは各国の物価上昇について、その勢いを調べてみましょう。たとえば日本の消費者物価は、半年前の1月には前年に比べて0.7%しか上がっていませんでした。つまり、この半年の間に物価の上昇率は1.6ポイント拡大したことになります。同様にアメリカは1.3ポイント、ドイツは0.5ポイントの拡大でした。こうしてみると、日本の上昇率は各国に比べて低いけれども、最近の上昇スピードは高い方だと言うことができます。

                               (続きは来週日曜日)

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敬 老 の 日
2008-09-15-Mon  CATEGORY: 政治・経済
      Economy33 on holiday.

きょうは「敬老の日」--1947年(昭和22年)に、兵庫県のある村が「としよりの日」を設けて敬老会を開いたのが始まり。1966年(昭和41年)に、国民の祝日「敬老の日」になった。趣旨は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」こと。

最近は高齢化で老人が急増し、年寄りの希少価値が薄れてきたようにも感じられる。それどころか、財政悪化の主たる犯人のように見られがちだ。「敬老の日」を制定した最初の原点に立ち返ることが必要だろう。なにしろ「敬老の日」は、外国にはない祝日なのだから。

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今週のポイント
2008-09-16-Tue  CATEGORY: 政治・経済
米大手証券リーマン・ブラザースの経営破たんという緊迫した情勢のなかで、今週は金融関係の大きなイベントが集中している。15日からはフロリダで、第1回「グローバル金融リーダーシップ会議」が開催。また米CFTC(商品先物取引委員会)が議会に、投資銀行や年金基金の国際商品取り引きに関する規制案を報告する予定。

16日は、日銀の政策決定会合。アメリカではFOMC(公開市場委員会)と、上院銀行委員会での住宅公社問題に関するポールソン財務長官の証言。またFTC(連邦取引委員会)が石油業者による相場操縦の規制案を公表する。

白川日銀総裁は17日に記者会見するほか、18日には全国証券大会であいさつ。この日はECB(ヨーロッパ中央銀行)とスイス中央銀行の理事会も開かれる。アメリカでの投資規制や住宅公社問題についての進展は、影響力も大きそうなので注目のマトに。

だが日米欧の中央銀行首脳による発言は、不況とインフレの間で身動きがとれない状況をどう表現するかのコンテストになりそうだ。そのニュアンスから次は利下げか利上げかを読み取るのは、かなりむずかしいだろう。

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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最大の問題は、ドル安の進行
2008-09-17-Wed  CATEGORY: 政治・経済
リーマン・ブラザーズの経営破綻で、世界の金融市場が大きく動揺している。なにしろアメリカの証券業界4番目の規模。日本を含む世界30か国に事業展開。グループの従業員数は2万9000人。負債総額は6130億ドル(約63兆7500億円)という大物。アメリカ史上最大の倒産となった。

影響はまず株式市場に波及。15日のダウ平均は504ドルの急落。16日の日経平均は605円の下げ。ヨーロッパでもアジアでも、株価は大幅に値下がりした。各国の政府、中央銀行は対策に大わらわ。資金供給の拡大に全力をあげている。日銀も2兆5000億円を短期市場に供給した。

だが不安は収まりそうにない。アメリカでは保険最大手のAIGが資金難に陥り、株価も暴落している。ほかにも連鎖倒産が発生しないか、各国の金融市場は戦々兢々だ。日本でも、各金融機関の損失洗い出しが始まった。このリーマン倒産の影響は、まだまだ尾を引きそうだ。

もちろんアメリカの実体経済に与える打撃は、きわめて大きい。景気はさらに冷え込み、日本経済への悪影響もこれからじわじわと出てくるに違いない。しかし、もっと大きな問題はドルがどこまで売り込まれるかだろう。もしドル安の進行を阻止できなければ、世界経済は大混乱に陥る危険がある。主要国による為替の協調介入は、不可避の情勢である。

    ≪16日の日経平均 = 下げ -605.04円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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歯がゆい 総裁候補への質問
2008-09-18-Thu  CATEGORY: 政治・経済
自民党総裁候補の5人が、連日そろってテレビ討論会に出演している。司会者や質問者の側も、各候補にいろいろタマを投げかけるが、明確な答えを引き出せないことが多い。もちろん各候補の具体的な政策論も少しずつ形になってきて結構だが、視聴者としてはどうも歯がゆい感じだけが残ってしまう。

景気や税制あるいは国際貢献の問題など、各候補に同じ質問を順次ぶつける方式が多い。それも悪いとは言わないが、どうも質問に迫力がない。回答の相違点を見付けては、その差を追求する形式が多い。だが候補者もさるもの、巧みに相違点をカモフラージュしてしまう。

たとえば麻生氏は「景気対策として財政を出動させる」「その結果、11年に財政の基礎的な収支をバランスさせることにはこだわらない」と明言した。あとの4人に、この麻生氏の政策姿勢に賛成するのかどうか、徹底的に聞いてほしい。たとえば石破氏の「インド洋での石油補給は、衆院での再可決をしてでも継続」についても同様だ。

だれが総裁→総理になっても、あとの4人は党役員に就いたり、入閣する公算が大きい。だから、この際はある人の考え方に賛成かどうかを、はっきり聞いておくべきだろう。特に麻生氏は最右翼。麻生氏の発言内容を中心に4人の賛否を問う番組を、どこかのテレビ局で企画したら面白いのでは。

    ≪17日の日経平均 = 上げ +140.07円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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マイナス成長 と 総裁候補の政見
2008-09-19-Fri  CATEGORY: 政治・経済
内閣府の発表によると、4-6月期のGDP(国内総生産)改定値は実質の年率換算でマイナス3.0%となった。速報値よりも、マイナス幅が0.6ポイント拡大している。これは輸出と設備投資の減少幅が、速報値よりも大きくなったため。名目成長率も3.3%のマイナスだった。

年率3.0%のマイナス成長は、IT バブルが崩壊した01年7-9月期以来の大きさ。1-3月期のプラス2.8%成長から、かなり急角度で下降したことになる。このような数字を見ると、自民党総裁候補のなかで「まず財政を出動させて、景気対策をやる」と主張する麻生氏の政見には、説得力があるようにも思われる。

だが仮に3%のマイナス成長が1年も続くとすれば、GDPの落ち込み額は15兆円にも達してしまう。それだけの金額を財政で埋められるかには、特大の疑問符が付くだろう。減税などの効果でマイナス3%がマイナス2%に止まったというのでは、国民も納得しにくい。

年率3%がずっと続くわけではない。今後は景気もやや持ち直して、08年度を通じての成長率はプラス1%ぐらいになるという見方も強い。それなら放っておいても構わない、という考え方もあるだろう。それよりは小池氏の言うように「改革路線を進めて、将来の成長率を高めることに全力をあげる」方が正しい政策? マイナス成長に対する5氏の意見を聞いてみたいものだ。

    ≪18日の日経平均 = 下げ -260.49円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑧
2008-09-20-Sat  CATEGORY: 政治・経済
8)日本は第2位 = GDPは、一国の経済規模を計る物差し。この物差しで計った各国の経済規模は、どうなっているのだろう。OECD(経済協力開発機構)が加盟30か国のGDPを一覧表にしている。06年の名目GDPを米ドルに換算したものだ。

これによると、第1位はやはりアメリカで、GDPは断トツの13兆1329億ドル。第2位は日本で、4兆3755億ドルだった。あと10位までは、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ、スペイン、韓国、メキシコの順。加盟国中でいちばん経済規模が小さいのはアイスランド。GDPは163億ドルとなっている。

OECDに加盟していないアジア諸国をみると、中国が2兆7740億ドル。OECDの一覧表に当てはめると、ドイツとイギリスの間に位置して第4位となる。他のアジア諸国はぐっと小さく、インドネシアが3650億ドル。タイ、香港、マレーシア、シンガポール、フィリピンの順となっている。

成長のスピードが速いのは、なんと言っても中国。06年までの3年間に、GDPの額は68%も増大した。この間、アメリカは20%、日本は10%の増加。仮にこの調子の経済拡大が09年まで続いたとすると、中国と日本のGDPはほとんど肩を並べることになる。

                                (続きは来週サタデー)

    ≪19日の日経平均 = 上げ +431.56円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-09-21-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑫

インフレの原因はいろいろありますが、だいたい需要の大きすぎとコスト上昇の2つに分けられます。どちらが原因でも、インフレはいったん進み始めると抑えるのが大変。でも、どちらかというとコストの上昇でひき起こされるインフレの方がやっかいでしょう。

いま世界の国々は、物価の上昇傾向に悩まされています。昨年から原油や食料の国際価格が急上昇したことによるものですから、原因は明らかにコストの上昇。しかし、その背景には中国やインドなど新興国の需要増大もあるので、どうすればインフレの進行を止められるのか。各国の政府は頭をひねっているところです。

これまでインフレが起きたとき、各国は財政や金融を引き締める対策をとってきました。引き締め政策をとると、需要が抑えられて物価を下げる力が働くからです。ところが今回は、そうも行きません。というのも、いま主要国の景気はあまりよくないからです。

景気がよくないときに引き締め政策をとると、景気はもっと悪くなってしまいます。むしろ景気のためには、財政や金融をゆるめる政策をとりたいくらいなのです。でも、そうすると物価はもっと上がってしまう。これが、各国の政府や中央銀行のえらい人たちが頭を痛めている理由。もう、わかりましたね。

                              (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-09-22-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週も国内は政治、アメリカは金融不安のニュースで埋まるだろう。国内政治の日程は、22日に自民党総裁の選出。24日に召集される臨時国会で首班指名、ただちに組閣。その直後に問題となるのは、冒頭解散か補正予算成立後の解散かだ。本命の麻生氏は、補正後解散を主張している。

補正予算の規模は1兆8000億円。原油や食料の急騰によって苦境に追い込まれた業界救済策が中心だ。だが、このところ国際市況はかなり反落している。その半面でリーマン・ブラザーズの経営破綻など、アメリカの金融市場は極度の緊張状態に陥った。日本の実体経済にも、これから悪影響が及んでくることは避けられない。

このため対処療法的な補正予算は、すでに霞んでしまった感じさえある。この際は冒頭解散し、金融不安の影響も織り込んだ景気対策を、できるだけ早い時点で成立させる方策も考慮すべきではないだろうか。

先週の株価は、日米ともに大きく乱高下した。不安が高まると急落し、アメリカ政府・連銀が安定策を打ち出すと急反発。たしかにアメリカは、不良債権の買い取りから金融株の空売り禁止まで、政策を総動員させている。しかし肝心の住宅市場には、まだ底が見えない。今週の株価は乱高下の振幅を縮めながら、上向くのだろうか。

    ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

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秋 分 の 日
2008-09-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
Economy33 on holiday.

天文学的には、太陽が秋分点を通過する日。この日、太陽は赤道の上空にある。祝日に制定されたのは1948年。その趣旨は「祖先をうやまい、亡くなった人をしのぶこと」にある。したがって、天文学とは関係なく、彼岸の中日という理由で選ばれた。

一般に「昼と夜の長さが同じ日」だと信じられているが、これは間違い。日本では平均して、昼の方がまだ14分ほど長い。じっさいに昼夜の時間が等しくなるのは、27日ごろだという。いずれにしても、秋は深まって行く。

    ≪22日の日経平均 = 上げ +169.73円≫

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麻生新内閣 : 経済政策への注文 (上)
2008-09-24-Wed  CATEGORY: 政治・経済
きょう24日、麻生新内閣が誕生する。経済政策の最優先事項は、当面の景気対策。麻生氏は自民党総裁選挙のキャンペーンを通じて「いまの景気は全治3年」と分析、まず景気の回復に全力を挙げる決意を何度も表明した。このため衆議院を解散する前に、補正予算の成立を図る方針だ。

この補正予算は、エネルギー価格の急上昇で苦境に陥った業界の救済策が中心。事業規模1兆8000億円、その財源として建設国債を4000億円増発するという内容。民主党も頭からの審議拒否は避ける見込みで、一部の修正はあっても早期に成立する公算が大きい。

だが、この補正予算はあくまでも対症療法的なものであって、とても本格的な景気対策とは言えない。4-6月期の名目GDP(国内総生産)は年率3.3%の急激な減少となった。さらに9月に入ってからは、リーマン・ブラザーズの倒産をきっかけに、アメリカの金融不安がかつてないほど増大している。この影響は、これから日本経済にも影を落としてくるに違いない。

年率3.3%のGDP減少は、実額にすると5兆3000億円に達する。仮に7-9月期以降の成長率がゼロだったとしても、08年度を通しての成長率をマイナスにしないためには、5兆円以上の新しい需要創出が必要になる計算だ。したがって海外の景気動向にもよるが、本格的な景気対策には5-10兆円規模の財政支出が必要だろう。その財源を、どこに求めるのか。

                                 (続きは明日)

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ

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麻生新内閣 : 経済政策への注文 (下)
2008-09-25-Thu  CATEGORY: 政治・経済
新内閣は補正予算を通して解散。総選挙で国民の審判を受けることになる。だが麻生自民党はこの総選挙で民主党に勝つことを“天命”としているわけだから、いまから日本経済の将来ビジョンを明らかにする必要がある。この点についての麻生氏の考え方は、総裁選キャンペーンのなかでは必ずしも明白にはなっていない。

まず社会保障の将来像をどう描くのか。また成長力が衰えてしまった日本経済の再活性化に向けて、どんな手段を講じて行くのか。細部の構築はこれからの問題だとしても、こうした将来へ向けての大きな道筋は明確に示してほしい。「景気が回復してから考える」では、総選挙にも勝つことはおぼつかない。

当面の景気対策、日本的な福祉制度の再構築、それに経済の将来ビジョン。これらに必要な財源の問題からも逃げてはいけない。民主党・小沢氏の「220兆円ある全体予算の1割を節約で搾り出す」構想に対して、麻生氏は「そんなことは、できっこない」と批判した。それなら財源はどこに求めるのか。すべてを国債の増発で賄うというのでは、国民は納得しないだろう。自らの構想をはっきりさせなければならない。

麻生新総理は、29日に所信表明演説をする予定。この演説のなかで、これらの問題についての姿勢をきちんと打ち出せるかどうか。それができないと、有権者の心は22兆円のカネをひねり出せると豪語する剛腕党首の方へと流れるかもしれない。

    ≪24日の日経平均 = 上げ +24.44円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

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底が見えない アメリカの住宅不況
2008-09-26-Fri  CATEGORY: 政治・経済
アメリカの金融危機は、きわめて深刻な状態に陥っている。政府は75兆円の公的資金を投入するための金融安定化法案を提出したが、議会との調整が難航。ブッシュ大統領は24日、緊急のテレビ演説で「金融システムの重要な部分が危機に瀕している」と述べて、同法案の早期成立を訴えた。

サブプライム問題に端を発したアメリカの金融不安は、1年以上たったいまも鎮静する兆しがない。9月15日には大手証券リーマン・ブラザーズが倒産。地方銀行の経営破綻も2ケタを数えている。4-6月期に商業銀行と貯蓄金融機関が計上した貸倒引当金は、500億ドルを上回って過去最大となった。

金融危機の根本的な原因は、住宅市場の崩壊にある。市場価格が下落するにつれて、金融機関の不良債権がふくらんで行く。したがって住宅市場の回復がなければ、金融危機の終息は期待できない。ところが、その住宅不況には、まだ底入れの気配が見えない。

住宅公社監督局の発表によると、7月の住宅価格は前月比0.6%の下落。前年比では5.3%の下落となっている。特にカリフォルニア州などの太平洋岸では、前年比17.7%も値下がりしている。商務省の集計によると、8月の住宅着工件数は前年比33.1%の減少。新築住宅販売件数も34.5%の減少。価格の低下にもかかわらず、住宅需要が回復する見込みはまだない。

    ≪25日の日経平均 = 下げ -108.50円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- GDP と 経済成長 ⑨
2008-09-27-Sat  CATEGORY: 政治・経済
9)1人当たりでは18位 = GDPは人間が経済活動をした結果として生まれた付加価値の集積だから、基本的には人口の多い国の方が大きくなりやすい。そこでGDPを人口で割ってみれば、国民1人当たりの付加価値が算出される。この1人当たりGDPの方が、国民の経済力や生活水準を表わしていると言えるだろう。

OECDの集計によると、米ドルに換算した06年の1人当たりGDPで第1位はルクセンブルク。金額は8万9840ドルだった。続いてノルウェー、アイスランド、アイルランド、スイスの順。アメリカは第7位、イギリスは第11位、フランスは第16位。日本はドイツの次で、第18位だった。金額は3万4252ドル。

問題はこのところ、日本の順位が急速に下がっていることだ。たとえば03年には第9位だったが、わずか3年の間にイギリス、カナダ、フランス、ドイツなど9か国に追い抜かれてしまった。OECDに加盟している30か国のなかで、1人当たりGDPがほとんど伸びていないのは日本だけである。

為替相場の影響をなくして見るために、円表示の1人当たりGDPを出してみると、結果はもっと悪い。06年の金額は398万3000円だが、この金額は97年の408万9000円を下回っている。この統計からみる限り、最近の10年間は国民の生活水準が全く向上していないと言える。

                             (続きは来週サタデー)

    ≪26日の日経平均 =下げ -113.37円≫

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-09-28-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 インフレって、なんだろう? ⑬

いま世界の国々を悩ませているインフレは、不況と同居しています。むかしは景気が良すぎて需要が大きくなりすぎ、物価が上昇しました。だから需要を抑えるために、引き締め政策をとればよかったのですが、いまはそう行きません。

このようにインフレと不況が一緒になっている経済状態を、スタグフレーションと言います。英語のStagnation(停滞)とInflation(インフレ)を混ぜ合わせて作った言葉です。政策的には、インフレを退治しようと思うと、不況がひどくなってしまう。不況を直そうと思うと、インフレが進んでしまう。ほんとに、やっかいですね。

でも政府としては、なにもしないわけにはいきません。たとえば昨年の後半あたりから、アメリカとイギリスは景気を良くするための政策をとってきました。インフレよりも不況の方が心配だと考えたためです。金利を引き下げたり、アメリカでは減税も実施しました。そうしたなかで、日本だけはどちらの政策もとっていません。

ところがEU(ヨーロッパ連合)や中国は、まったく反対に金利を引き上げるなどの引き締め政策を続けてきたのです。もちろん、これらの国々は景気よりもインフレの方が心配だったからですね。しかし、ごく最近になると、アメリカやイギリスは景気対策を止め、EUや中国は引き締め政策をストップしています。みんな景気かインフレかで、迷い始めたと言えるでしょう。

                             (インフレって は終わり)

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今週のポイント
2008-09-29-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週も焦点は、アメリカ金融危機の行くえ。先週は金融安定化法案をめぐって政府と議会の調整がもたつく間に、こんどは貯蓄金融機関の最大手ワシントン・ミューチュアルが資金難に陥った。JPモルガン・チェース銀行が直ちに買収して一大事には至らなかったが、これで金融安定化法の成立もかえって早まるのではないか。

アメリカでは今週30日に、9月の自動車販売台数が発表になる。8月の新車販売は前年比15.5%の減少。10か月連続しての前年割れとなった。特にビッグスリーは20-34%減という猛烈な販売不振。ガソリン高騰による大型車離れに加えて、住宅を担保にした新車購入が激減している。

金融不安で、銀行の貸し渋りも目立っている。そんななかでビッグスリーの資金繰りも苦しくなっているようだ。9月の自動車販売が不振を続けるようだと、金融だけではなく、アメリカ経済を主導してきた自動車産業にも経営不安の火が灯ることになるのでは。要注意だと思う。

国内では30日に経済指標の発表が集中。8月の鉱工業生産、雇用統計、家計調査、住宅着工、建設工事受注。1日は日銀の9月短観。こちらの方も、あまり良い内容は期待できない。政治面では、29日に麻生首相の所信表明演説。各党代表質問ののち、補正予算を通してから解散の見通しは変わっていない。

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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「全治3年」後に、どうなるのか?
2008-09-30-Tue  CATEGORY: 政治・経済
麻生新首相の所信表明をテレビ視聴した。全体として新鮮な感じはしたが、経済問題では大きな疑問点が残ってしまった。新首相は日本経済の再生を①景気対策②財政再建③改革による成長――の3段階に分け、これらにメドを付けるのに3年、つまり「全治3年」の持論を展開した。

第1段階の景気対策については、緊急総合対策と年度内に定額減税を実施すると断言。ここで言う緊急対策は、政府が29日に国会に提出した補正予算のことだろう。この補正予算は1兆8000億円ほど。もともとガソリン価格の急騰で苦境に陥った中小企業や漁業者を救済するための対症療法だ。定額減税を含めても、景気浮揚効果は成長率を1%引き上げる力もない。

「まずは景気対策」と言うわりに、景気浮揚策の具体的な内容がない。まさか今回の補正予算と定額減税で、景気が立ち直ると考えているわけではないだろう。そんな程度の景気後退なら、全治3年もかかるはずがない。問題はもっと深刻だが、その現状認識については全く触れなかった。だから逆に言うと「全治3年」で、何がどこまで治るのかがよくわからない。

もう1つは、3段階の考え方。景気が回復したら、財政再建を考えるという。では3段階目の改革はそのあとになるのか。そんな悠長なことで、経済は再活性化できるのか。今後の国会討論で、この辺の考え方はもう少し明らかになるのかもしれないが、所信表明演説を聞く限りでは、このあたりが麻生首相のウイークポイントかもしれないという気がした。

    ≪29日の日経平均 = 下げ -149.55円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ

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