◇ FRBの政策発表でアク抜け・出直し = ニューヨーク市場の株価は先週、ウクライナ情勢を巡って乱高下した。特にロシア軍の侵攻が始まった24日、ダウ平均は一時859ドルも下落したが、あと急速に戻して92ドル高で引けている。一週間の動きをみても、1000ドル近く下げたあと1000ドル近く上げて、結局は20ドルの下落にとどまった。こうした株価の反発力をみて「株価は底入れしたのではないか」と考える投資家も少なくないようだ。
東京市場では、こんな数字が話題になっている。--過去の有事の際の日経平均の下落率をみると「1991年の湾岸戦争では4.6%、2001年の同時多発テロでは6.3%」にとどまっている。要するに「銃声は買い」の格言もある通り、地域的な有事の際は大暴落しない。だから今回もそろそろ底入れするのではないか、という期待である。
だが今回は、少し様相を異にしている。たしかにロシア軍のウクライナ侵攻に関する限りは、底入れしたのかもしれない。しかし市場にとっては、FRBによる金融引き締め政策という大問題が控えている。ウクライナ情勢が、FRBの判断にどんな影響を及ぼすのか。特にロシアからのLNG(液化天然ガス)供給が途絶えるのかどうか。それによって、原油の国際価格がさらに高騰するのか。
エネルギー価格の上昇が一段と進めば、FRBは引き締めを急ぐだろう。最近もサンフランシスコ連銀総裁は「0.5%の引き上げもありうる」と発言。ウィーラーFRB理事は「量的引き締めは7月から実施することに賛成」と述べている。そしてFRBの最終的な決定は、16日にパウエル議長が明らかにする。その結果がどうであれ、その時点を通過すれば市場は新しい環境に即して出直しを計れることになるだろう。二番底はその前後になる公算が大きい。
≪28日の日経平均 = 上げ +50.32円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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東京市場では、こんな数字が話題になっている。--過去の有事の際の日経平均の下落率をみると「1991年の湾岸戦争では4.6%、2001年の同時多発テロでは6.3%」にとどまっている。要するに「銃声は買い」の格言もある通り、地域的な有事の際は大暴落しない。だから今回もそろそろ底入れするのではないか、という期待である。
だが今回は、少し様相を異にしている。たしかにロシア軍のウクライナ侵攻に関する限りは、底入れしたのかもしれない。しかし市場にとっては、FRBによる金融引き締め政策という大問題が控えている。ウクライナ情勢が、FRBの判断にどんな影響を及ぼすのか。特にロシアからのLNG(液化天然ガス)供給が途絶えるのかどうか。それによって、原油の国際価格がさらに高騰するのか。
エネルギー価格の上昇が一段と進めば、FRBは引き締めを急ぐだろう。最近もサンフランシスコ連銀総裁は「0.5%の引き上げもありうる」と発言。ウィーラーFRB理事は「量的引き締めは7月から実施することに賛成」と述べている。そしてFRBの最終的な決定は、16日にパウエル議長が明らかにする。その結果がどうであれ、その時点を通過すれば市場は新しい環境に即して出直しを計れることになるだろう。二番底はその前後になる公算が大きい。
≪28日の日経平均 = 上げ +50.32円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ SWIFT排除でロシア産LNGが止まる = 電力大手5社と都市ガス大手4社は先週、4月の料金引き上げを発表した。たとえば東京電力の場合、標準家庭の月額料金は3月より115円引き上げられて8359円となる。電気料金の引き上げは8か月連続。またガス料金も月額63-88円の値上げとなる。賃金が上がらないなか家計のヤリクリはますます苦しくなり、企業のコストも増大する。
いまから10年前の2012年4月、東京電力の料金は標準家庭で月額6918円だった。この10年間で1441円も上昇したことになる。年間にすると1万7000円以上の出費増加。こうしたエネルギー支出が家計や企業に与えた負担増は、きわめて大きいと言える。値上げの主たる原因は、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が上昇したこと。輸入価格の上昇分は、およそ3か月後に料金の値上げに反映される。
ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、20年4月に一時1バレル=マイナス5ドルに落ち込んだ。在庫が過剰になり、貯蔵タンクが満杯になったためである。そこからは値上がり傾向が続き、ことし1月には83ドルまで上昇した。産油国が生産を絞ったこと、先進国や中国の景気が回復し、需要が増えたこと。アメリカのシェール生産が投資不足で伸び悩んだことも、価格上昇に拍車をかける形となった。
そこへロシア軍のウクライナ侵攻が発生、WTI相場は今週109ドルにまで上昇した。さらにアメリカやEUはロシアに対する制裁として、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの大銀行を排除することになった。SWIFTというのは1973年に発足した組織。世界200を超える国・地域の1万1000にのぼる金融機関が参加。国際的な送金や決済をコンピューターで処理している。ロシアの銀行が排除されればロシアは代金が受け取りにくくなり、原油やLNGの輸出が出来なくなる可能性が大きい。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +317.90円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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いまから10年前の2012年4月、東京電力の料金は標準家庭で月額6918円だった。この10年間で1441円も上昇したことになる。年間にすると1万7000円以上の出費増加。こうしたエネルギー支出が家計や企業に与えた負担増は、きわめて大きいと言える。値上げの主たる原因は、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が上昇したこと。輸入価格の上昇分は、およそ3か月後に料金の値上げに反映される。
ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、20年4月に一時1バレル=マイナス5ドルに落ち込んだ。在庫が過剰になり、貯蔵タンクが満杯になったためである。そこからは値上がり傾向が続き、ことし1月には83ドルまで上昇した。産油国が生産を絞ったこと、先進国や中国の景気が回復し、需要が増えたこと。アメリカのシェール生産が投資不足で伸び悩んだことも、価格上昇に拍車をかける形となった。
そこへロシア軍のウクライナ侵攻が発生、WTI相場は今週109ドルにまで上昇した。さらにアメリカやEUはロシアに対する制裁として、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの大銀行を排除することになった。SWIFTというのは1973年に発足した組織。世界200を超える国・地域の1万1000にのぼる金融機関が参加。国際的な送金や決済をコンピューターで処理している。ロシアの銀行が排除されればロシアは代金が受け取りにくくなり、原油やLNGの輸出が出来なくなる可能性が大きい。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +317.90円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 原油150ドル説も飛び交う = ロシアはエネルギー大国である。原油は世界生産量の約1割、LNG(液化天然ガス)は2割弱を産出する。その輸出額は20年で3800億ドルにのぼった。EUはLNG需要の3分の1をロシアに依存、日本もLNG輸入の8.8%はロシア産だ。SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアを排除したため、その決済が非常に難しくなり、ロシア産エネルギーの輸出が止まってしまう危険性が大きい。
こうした心配から、ヨーロッパではロシア軍がウクライナ侵攻を開始した24日、LNGの価格が4割も急騰した。戦争が長引けば、原油相場も急騰することは避けられない。ニューヨーク市場のWTI先物相場は08年夏、供給不足のなかでイスラエル・イランの緊張をきっかけに、1バレル=147ドルの史上最高値を付けた。今回もそこまで上がるという観測が出ており、ムーディー社は150ドルという予測を発表した。
貿易統計でみると、日本は昨年、原油・LNG・石炭などの鉱物性燃料の輸入に17兆円の代金を支払った。ことしは20兆円を超えるに違いない。それだけ日本の消費者や企業は、購買力を流出させたことになる。仮に輸入量を5兆円減らせれば、その多くを消費や設備投資あるいは賃金に使えるはず。経済成長率はそれだけ伸びる。
そのためには、原発や再生可能エネルギーの拡大が必要だ。しかし歴代政府は、原発に触れる勇気がなかった。再生可能エネルギーは強制買い取り価格をいじくり回し、結局は発育不全の状態にしてしまった。成長率が伸びない大きな原因の一つが、ここにあることを政府が認識していない。ガソリン高騰に対する補助金などの対症療法だけでなく、将来を見据えたエネルギー政策の確立が肝要なのである。
≪2日の日経平均 = 下げ -451.69円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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こうした心配から、ヨーロッパではロシア軍がウクライナ侵攻を開始した24日、LNGの価格が4割も急騰した。戦争が長引けば、原油相場も急騰することは避けられない。ニューヨーク市場のWTI先物相場は08年夏、供給不足のなかでイスラエル・イランの緊張をきっかけに、1バレル=147ドルの史上最高値を付けた。今回もそこまで上がるという観測が出ており、ムーディー社は150ドルという予測を発表した。
貿易統計でみると、日本は昨年、原油・LNG・石炭などの鉱物性燃料の輸入に17兆円の代金を支払った。ことしは20兆円を超えるに違いない。それだけ日本の消費者や企業は、購買力を流出させたことになる。仮に輸入量を5兆円減らせれば、その多くを消費や設備投資あるいは賃金に使えるはず。経済成長率はそれだけ伸びる。
そのためには、原発や再生可能エネルギーの拡大が必要だ。しかし歴代政府は、原発に触れる勇気がなかった。再生可能エネルギーは強制買い取り価格をいじくり回し、結局は発育不全の状態にしてしまった。成長率が伸びない大きな原因の一つが、ここにあることを政府が認識していない。ガソリン高騰に対する補助金などの対症療法だけでなく、将来を見据えたエネルギー政策の確立が肝要なのである。
≪2日の日経平均 = 下げ -451.69円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 少子化対策を急ぐ気はあるのか = 厚生労働省は25日、昨年の人口動態統計を発表した。それによると、出生数は84万2897人で前年を3.4%下回った。6年連続で戦後最少を更新している。この6年間をとってみても、赤ん坊の数は16万3000人ほど少なくなった。少子化ガ止まらない。厚労省はコロナの影響で、結婚や妊娠が減少したと解説している。
コロナの影響があることは否定できないが、少子化はコロナ前から着実に進行している。その原因は若い人の所得が伸びないからなのか。住居費や教育費が高すぎるからなのか。あるいは核家族化が進んだためなのか。一般に国が豊かになると、出生数が減るとも言われる。しかしフランスやドイツ、イギリスなどは、日本より出生率が高い。適切な対策を講じて、出生率の押し上げに成功したからである。
少子化ガ進むと、人口が減って行く。すると労働力が不足し、消費需要も減退する。負担する若者の数が減るから、社会保障制度も維持できなくなるだろう。日本の将来を考えれば、由々しき問題である。そこで岸田政権も、新しく「子ども家庭庁」を創設して、この大問題と取り組むことにした。すでに少子化担当大臣も誕生している。
子どもに関する問題は、これまで文部科学省、厚生労働省、内閣府、警察庁の4省庁が分割して担当してきた。それを一元化し、適切な政策を早く打ち出すことが、子ども家庭庁の役割である。ところが、その発足は来年4月の予定だという。小さな役所を一つ作るのに、なんでそんなに時間がかかるのか。岸田さんは選挙対策で子ども家庭庁を作るだけ。ほんとに少子化対策を急ぐ気持ちはあるのだろうか。
≪3日の日経平均 = 上げ +184.24円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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コロナの影響があることは否定できないが、少子化はコロナ前から着実に進行している。その原因は若い人の所得が伸びないからなのか。住居費や教育費が高すぎるからなのか。あるいは核家族化が進んだためなのか。一般に国が豊かになると、出生数が減るとも言われる。しかしフランスやドイツ、イギリスなどは、日本より出生率が高い。適切な対策を講じて、出生率の押し上げに成功したからである。
少子化ガ進むと、人口が減って行く。すると労働力が不足し、消費需要も減退する。負担する若者の数が減るから、社会保障制度も維持できなくなるだろう。日本の将来を考えれば、由々しき問題である。そこで岸田政権も、新しく「子ども家庭庁」を創設して、この大問題と取り組むことにした。すでに少子化担当大臣も誕生している。
子どもに関する問題は、これまで文部科学省、厚生労働省、内閣府、警察庁の4省庁が分割して担当してきた。それを一元化し、適切な政策を早く打ち出すことが、子ども家庭庁の役割である。ところが、その発足は来年4月の予定だという。小さな役所を一つ作るのに、なんでそんなに時間がかかるのか。岸田さんは選挙対策で子ども家庭庁を作るだけ。ほんとに少子化対策を急ぐ気持ちはあるのだろうか。
≪3日の日経平均 = 上げ +184.24円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 死亡者が全く増えない中国の不思議 = 世界の感染者は累計4億4017万人、この1週間で1045万人増加した。増加数は前週より151万人減り、ことし最少。死亡者は597万2607人、1週間で5万4942人増加した。前週より1200人減っており、死亡者の縮小は1月中旬から続いている。全体としてコロナの勢いは少しずつ収まっているが、そのテンポはきわめて遅い。パンデミックが終了しつつあるとは、まだ言えないだろう。
国別の死亡者数をみると、アメリカが累計95万4519人で週間1万2610人の増加。少しずつだが、増加数は縮小している。次いでブラジルが65万人台、インドが51万人台、ロシアが34万人台、メキシコが31万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアが15万人台、インドネシアとフランスが14万人台、イランが13万人台となっている。このうち死亡者数が前週より拡大したのはロシア、イタリア、フランスだった。
注目されるのは、コロナに関する全ての規制を撤廃したイギリス。この1週間の死亡者は729人で、前週より221人減少した。この調子が続くのかどうか。また不思議なのは、オリンピックも開催している中国。死亡者数は昨年1月以来、全く増えていない。この間、感染者数は2万1200人も増えている。徹底的なゼロ・コロナ政策をとっている中国だが、それにしても死亡者が1人も出ないとは。信じられない気もする。
日本の感染者は累計522万1432人、この1週間で46万0928人増加した。ただ増加数は3週連続で縮小した。死亡者は2万4402人、週間1608人の増加。前週より74人多く、増加数は8週連続で拡大している。政府は東京、大阪など18都道府県の「まん延防止措置」を延長、その一方で外国人の入国規制を緩和した。キメ細かい対策と言えばかっこいいが、どうにも方向性が判りにくい。
≪4日の日経平均 = 下げ -591.80円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカが累計95万4519人で週間1万2610人の増加。少しずつだが、増加数は縮小している。次いでブラジルが65万人台、インドが51万人台、ロシアが34万人台、メキシコが31万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアが15万人台、インドネシアとフランスが14万人台、イランが13万人台となっている。このうち死亡者数が前週より拡大したのはロシア、イタリア、フランスだった。
注目されるのは、コロナに関する全ての規制を撤廃したイギリス。この1週間の死亡者は729人で、前週より221人減少した。この調子が続くのかどうか。また不思議なのは、オリンピックも開催している中国。死亡者数は昨年1月以来、全く増えていない。この間、感染者数は2万1200人も増えている。徹底的なゼロ・コロナ政策をとっている中国だが、それにしても死亡者が1人も出ないとは。信じられない気もする。
日本の感染者は累計522万1432人、この1週間で46万0928人増加した。ただ増加数は3週連続で縮小した。死亡者は2万4402人、週間1608人の増加。前週より74人多く、増加数は8週連続で拡大している。政府は東京、大阪など18都道府県の「まん延防止措置」を延長、その一方で外国人の入国規制を緩和した。キメ細かい対策と言えばかっこいいが、どうにも方向性が判りにくい。
≪4日の日経平均 = 下げ -591.80円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ 停戦交渉に期待する市場 = ダウ平均は先週444ドルの値下がり。パウエルFRB議長が「3月は0.25%の利上げにとどめる」と明言したことから、2日は600ドル近く上昇した。しかし、あとはウクライナ情勢のさらなる緊迫化で下落。結局4週間連続の値下がりとなった。この間の下げ幅は1475ドル、終り値は3万3600ドルにまで落ち込んでいる。2月の雇用情勢が堅調だったことも、株価には響かなかった。
日経平均は先週491円の値下がり。週の3日は上げたが、あと2日の下げの方がきつかった。特に4日はヨーロッパ最大の原発が砲撃されたニュースで、600円近く下げている。これで3週連続の下落、この間の下げ幅は1711円。終り値は2万6000円を割り込んだ。株価が下がると安値拾いの買い物も出るが、ウクライナ情勢が悪化しているため模様眺めの投資家が増えているようだ。
パウエル議長の発言で、金融引き締め政策に対する警戒感は当面なくなった。しかしウクライナ情勢は緊迫の度を増しており、その経済的な悪影響も明らかになってきた。このためニューヨーク市場では、アメリカ経済の先行きに対する心配も広がり始めている。すべてはウクライナの状況しだい。市場としては、ロシアとウクライナの停戦交渉に期待するしかなくなっている。
今週は8日に、1月の毎月勤労統計、景気動向指数、2月の景気ウオッチャー調査。9日に、10-12月期のGDP改定値。10日に、2月の企業物価。11日に、1月の家計調査、1-3月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは8日に、1月の貿易統計。10日に、2月の消費者物価。11日に、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお9日は、韓国の大統領選挙。
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週491円の値下がり。週の3日は上げたが、あと2日の下げの方がきつかった。特に4日はヨーロッパ最大の原発が砲撃されたニュースで、600円近く下げている。これで3週連続の下落、この間の下げ幅は1711円。終り値は2万6000円を割り込んだ。株価が下がると安値拾いの買い物も出るが、ウクライナ情勢が悪化しているため模様眺めの投資家が増えているようだ。
パウエル議長の発言で、金融引き締め政策に対する警戒感は当面なくなった。しかしウクライナ情勢は緊迫の度を増しており、その経済的な悪影響も明らかになってきた。このためニューヨーク市場では、アメリカ経済の先行きに対する心配も広がり始めている。すべてはウクライナの状況しだい。市場としては、ロシアとウクライナの停戦交渉に期待するしかなくなっている。
今週は8日に、1月の毎月勤労統計、景気動向指数、2月の景気ウオッチャー調査。9日に、10-12月期のGDP改定値。10日に、2月の企業物価。11日に、1月の家計調査、1-3月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは8日に、1月の貿易統計。10日に、2月の消費者物価。11日に、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお9日は、韓国の大統領選挙。
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 45兆円の減税で5.5%成長を死守へ = 中国では5日、全国人民代表大会が開幕した。まず李克強首相が、施政方針演説に当たる政府活動報告を発表。そのなかで「22年の実質経済成長率は5.5%程度を目標にする」方針を明らかにした。21年は「6%以上」としていたから、ことしは目標を引き下げたことになる。李首相はその理由として、いま中国は「需要の縮小、供給網の目詰まり、経済先行きへの期待の後退」という3つの圧力に曝されていると説明した。
この成長率を達成するため、政府は2兆5000億元(約45兆円)の減税を実施する。地方のインフラ債券も3兆6500億元を発行する。金融政策は緩和の方向を目指す。こうして5.5%の成長率はなんとしても達成するというのが、政府の強い姿勢であると強調した。というのも経済の拡大を維持し、秋に予定される共産党大会で習近平体制の続投を実現しなければならないからだ。
中国の実質成長率は、コロナの影響で20年は2.2%に低下。その反動もあって21年は8.1%に上昇した。そのあと22年が目標通り5.5%になるとしても、かつての2ケタ成長とはほど遠い。たとえば昨年10-12月期の成長率は年率4.0%に落ちている。少子高齢化の進展などもあって、中国は完全に‟中成長国”に変貌したと言えるだろう。
しかも、ことしの目標である5.5%成長の達成も、決して容易ではない。世界が原油や資源高で苦しむなかで大規模な景気対策を講じれば、インフレになる可能性は増大する。また習主席が公約している‟共同富裕”を推進すれば、景気にとってはマイナスになりやすい。こうした問題を抱えながら、いかに目標を達成するか。習政権の腕の見せ所だが、至難の道であることは確かなようだ。
≪7日の日経平均 = 下げ -764.06円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この成長率を達成するため、政府は2兆5000億元(約45兆円)の減税を実施する。地方のインフラ債券も3兆6500億元を発行する。金融政策は緩和の方向を目指す。こうして5.5%の成長率はなんとしても達成するというのが、政府の強い姿勢であると強調した。というのも経済の拡大を維持し、秋に予定される共産党大会で習近平体制の続投を実現しなければならないからだ。
中国の実質成長率は、コロナの影響で20年は2.2%に低下。その反動もあって21年は8.1%に上昇した。そのあと22年が目標通り5.5%になるとしても、かつての2ケタ成長とはほど遠い。たとえば昨年10-12月期の成長率は年率4.0%に落ちている。少子高齢化の進展などもあって、中国は完全に‟中成長国”に変貌したと言えるだろう。
しかも、ことしの目標である5.5%成長の達成も、決して容易ではない。世界が原油や資源高で苦しむなかで大規模な景気対策を講じれば、インフレになる可能性は増大する。また習主席が公約している‟共同富裕”を推進すれば、景気にとってはマイナスになりやすい。こうした問題を抱えながら、いかに目標を達成するか。習政権の腕の見せ所だが、至難の道であることは確かなようだ。
≪7日の日経平均 = 下げ -764.06円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ コロナの2年間で2348円の減少 = 厚生労働省は8日、ことし1月の毎月勤労統計を発表した。それによると、1人当たりの現金給与総額は27万4172円で、前年を0.9%上回った。このうち一般労働者は35万6357円で1.2%の増加、パートタイム労働者は9万5945円で1.0%の増加だった。昨年1月はコロナ第3波の真っ最中だったから、それに比べればやや改善したことになる。ただ改善の程度は、きわめて小さい。
ちょうど2年前の20年1月、コロナの影響はまだ全く現われていない。そこで、ことし1月と20年1月の数字を比べてみると――。当時の現金給与総額は27万6520円だったから、この2年間で給与は2348円減ったことになる。このうち一般労働者は4093円、パート労働者は1094円の減少だった。給与はまだコロナ前の水準には戻っていない。
給与総額が増加しない大きな原因の1つは、団塊の世代が定年に達して労働者の平均年齢が下がったからかもしれない。もちろんコロナ不況の影響もあった。たとえば1月の総労働時間は平均128.9時間で、2年前より2.4時間少なかった。特に鉱業・砕石業、建設業、飲食サービス業、教育・学習支援業の労働時間が、大幅に短くなっている。
このほか、ことし1月のパート比率は31.54%で、2年前より0.33ポイント低下した。またパートの平均時給は、最低賃金が引き上げられたこともあって1243円に上昇。2年前より45円上がっている。時給が上がっているのに比率が下がったのは、やはりコロナ不況によるものだろう。コロナの影響は「やはり大きい」と考えるべきなのか、それとも「この程度で済んでいる」と考えるべきなのか。
≪8日の日経平均 = 下げ -430.46円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ちょうど2年前の20年1月、コロナの影響はまだ全く現われていない。そこで、ことし1月と20年1月の数字を比べてみると――。当時の現金給与総額は27万6520円だったから、この2年間で給与は2348円減ったことになる。このうち一般労働者は4093円、パート労働者は1094円の減少だった。給与はまだコロナ前の水準には戻っていない。
給与総額が増加しない大きな原因の1つは、団塊の世代が定年に達して労働者の平均年齢が下がったからかもしれない。もちろんコロナ不況の影響もあった。たとえば1月の総労働時間は平均128.9時間で、2年前より2.4時間少なかった。特に鉱業・砕石業、建設業、飲食サービス業、教育・学習支援業の労働時間が、大幅に短くなっている。
このほか、ことし1月のパート比率は31.54%で、2年前より0.33ポイント低下した。またパートの平均時給は、最低賃金が引き上げられたこともあって1243円に上昇。2年前より45円上がっている。時給が上がっているのに比率が下がったのは、やはりコロナ不況によるものだろう。コロナの影響は「やはり大きい」と考えるべきなのか、それとも「この程度で済んでいる」と考えるべきなのか。
≪8日の日経平均 = 下げ -430.46円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 逃げ回っている与野党の議員たち = EUの執行機関であるヨーロッパ委員会は「EUの基本政策を遂行するために、原発と天然ガスは適格である」と決定した。ウクライナ戦争でエネルギー事情が窮迫したため、というわけではない。ロシアの侵攻より前、2月2日の決定である。EUは30年までに温室効果ガスを90年比で55%以上削減する方針だが、この目標を達成するためには原発と天然ガスは欠かせないと判定したわけである。
そこへロシア軍のウクライナ侵攻。原発の再利用に関する議論が、一気に高まった。もともとEUではフランス、フィンランドなどが原子力の推進派。フランスのマクロン大統領は、さっそく「原発14基を新設する」と発表した。一方、ドイツやスペインなどは原発には反対、天然ガスの推進派だった。ところがロシア産のガスに頼れなくなったため、たとえば原発は絶対反対だったドイツの緑の党までが、原発の再利用を考えてもいいと言い出している。
原油やLNG(液化天然ガス)の価格高騰で、このようにEUでは原発論争が盛り上がっている。ところが日本では、政府も与野党議員も何も言わない。たとえば「原油の国際価格が80ドルを超えた状態では、特例として原発の再稼働を増やす」などの提案は出てこないのか。もちろん地元の承諾が必要だが、いまは非常事態。こんな議論があってもいい。
放射性廃棄物の最終処理が出来ない。だから原発はダメというなら、それでもいい。その場合は再生可能エネルギーに頼るしか方法がない。したがって政府は太陽光や風力発電の普及に、全力を傾けるべきである。たとえば年間10兆円ぐらいの予算を数年にわたって組む。そんな議論もあっていい。しかし与野党の議員は、選挙を恐れて何も言わない。そうして日本は世界に後れをとり、ダメな国になって行く。
≪9日の日経平均 = 下げ -73.42円≫
10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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そこへロシア軍のウクライナ侵攻。原発の再利用に関する議論が、一気に高まった。もともとEUではフランス、フィンランドなどが原子力の推進派。フランスのマクロン大統領は、さっそく「原発14基を新設する」と発表した。一方、ドイツやスペインなどは原発には反対、天然ガスの推進派だった。ところがロシア産のガスに頼れなくなったため、たとえば原発は絶対反対だったドイツの緑の党までが、原発の再利用を考えてもいいと言い出している。
原油やLNG(液化天然ガス)の価格高騰で、このようにEUでは原発論争が盛り上がっている。ところが日本では、政府も与野党議員も何も言わない。たとえば「原油の国際価格が80ドルを超えた状態では、特例として原発の再稼働を増やす」などの提案は出てこないのか。もちろん地元の承諾が必要だが、いまは非常事態。こんな議論があってもいい。
放射性廃棄物の最終処理が出来ない。だから原発はダメというなら、それでもいい。その場合は再生可能エネルギーに頼るしか方法がない。したがって政府は太陽光や風力発電の普及に、全力を傾けるべきである。たとえば年間10兆円ぐらいの予算を数年にわたって組む。そんな議論もあっていい。しかし与野党の議員は、選挙を恐れて何も言わない。そうして日本は世界に後れをとり、ダメな国になって行く。
≪9日の日経平均 = 下げ -73.42円≫
10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 黙り込んだ日本銀行 = 日銀は10日、2月の企業物価を発表した。それによると、前年比の物価水準は9.3%の上昇。1月の8.9%から、さらに上昇幅を広げている。この上昇幅は石油ショックの後遺症が残っていた1980年以来の大きさ。これで12か月連続で前年比プラスを記録した。原油や資源の高騰に加え、円安が輸入物価を上昇させている。ウクライナ情勢が悪化したため、3月はさらに上昇幅が拡大しそうだ。
品目別にみると、最も上昇したのは木材・木製品で前年比58.0%の上昇。次いで石油・石炭製品が34.2%、非鉄が24.9%、鉄鋼が24.5%の上昇だった。また電力・ガス・水道は27.5%の上昇となっている。円安が進んだために、輸入物価は全体として34.0%の上昇。品目では、石油・石炭・天然ガスが84.8%も値上がりした。
企業物価というのは、企業間で取引されるモノの価格。ここからモノは小売り段階へと流れるから、消費者物価もしだいに上昇する。ただ1月の消費者物価は、まだ前年比0.2%の上昇にとどまっている。これはコロナ不況の影響で、価格の転嫁が遅れているためだ。しかし時間がたてば小売り段階でも物価が上昇、インフレ傾向が強まって行くことは避けられない。
日銀は依然として「物価が2%上昇するまでは、現在の超金融緩和政策を続ける」と言い続けている。これは「景気が回復して物価が2%程度は上昇するまで」という意味だ。ところが企業物価の動向から判断すると、消費者物価はそう遠くないうちに2%上昇するかもしれない。そうなったら、日銀はどうするのか。緩和政策を続ければ、インフレは進行するだろう。と言って金融を引き締めれば、景気が悪くなる。この点について、日銀はダンマリを決め込んでいる。
≪10日の日経平均 = 上げ +972.87円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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品目別にみると、最も上昇したのは木材・木製品で前年比58.0%の上昇。次いで石油・石炭製品が34.2%、非鉄が24.9%、鉄鋼が24.5%の上昇だった。また電力・ガス・水道は27.5%の上昇となっている。円安が進んだために、輸入物価は全体として34.0%の上昇。品目では、石油・石炭・天然ガスが84.8%も値上がりした。
企業物価というのは、企業間で取引されるモノの価格。ここからモノは小売り段階へと流れるから、消費者物価もしだいに上昇する。ただ1月の消費者物価は、まだ前年比0.2%の上昇にとどまっている。これはコロナ不況の影響で、価格の転嫁が遅れているためだ。しかし時間がたてば小売り段階でも物価が上昇、インフレ傾向が強まって行くことは避けられない。
日銀は依然として「物価が2%上昇するまでは、現在の超金融緩和政策を続ける」と言い続けている。これは「景気が回復して物価が2%程度は上昇するまで」という意味だ。ところが企業物価の動向から判断すると、消費者物価はそう遠くないうちに2%上昇するかもしれない。そうなったら、日銀はどうするのか。緩和政策を続ければ、インフレは進行するだろう。と言って金融を引き締めれば、景気が悪くなる。この点について、日銀はダンマリを決め込んでいる。
≪10日の日経平均 = 上げ +972.87円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 世界の死亡者は600万人を超す = 世界の感染者は累計4億5164万人、この1週間で1147万人増加した。この増加数は、前週より100万人ほど拡大している。死亡者は602万2223人で、とうとう600万人台に乗せてしまった。ただ増加数は前週より5000人縮小、4週連続で減少している。コロナの増勢は止まっているようだが、いぜん高水準で終息の兆しは見えない。
国別の状況をみると、アメリカの死亡者数は累計96万3819人。この1週間で9300人増加した。週間の増加数が1万人を割ったのは、1月上旬以来のこと。ニューヨーク市などで、規制の解除が進められている。次いでブラジルの死亡者数は65万人台、インドが51万人台、ロシアが35万人台、メキシコが32万人台。あとはイギリスが16万人台、イタリアとインドネシアが15万人台、フランスが14万人台、イランが13万人台となっている。
心配なのは、お隣り韓国の状況。感染者は累計554万人だが、この1週間で185万人も増えている。大統領選挙があったせいなのか。また新種の変異株が出たためなのか。その辺の情報はまだない。死亡者は累計9646人、1週間で1252人増えている。世界の感染者、死亡者の増勢が高止まりしているなかで、異常なことは確かだ。
日本の感染者は累計561万8617人、この1週間で39万7185人増加した。この増加数は前週より6万3743人少なく、4週連続で縮小している。死亡者は2万5722人、週間1320人の増加だった。前週より288人減少している。死亡者数の減少は1月上旬以来9週間ぶり。年度末、就職・入学のシーズンを迎えて、この調子が続くのかどうか心配だが、やや明るさは出てきた。
≪11日の日経平均 = 下げ -527.62円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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国別の状況をみると、アメリカの死亡者数は累計96万3819人。この1週間で9300人増加した。週間の増加数が1万人を割ったのは、1月上旬以来のこと。ニューヨーク市などで、規制の解除が進められている。次いでブラジルの死亡者数は65万人台、インドが51万人台、ロシアが35万人台、メキシコが32万人台。あとはイギリスが16万人台、イタリアとインドネシアが15万人台、フランスが14万人台、イランが13万人台となっている。
心配なのは、お隣り韓国の状況。感染者は累計554万人だが、この1週間で185万人も増えている。大統領選挙があったせいなのか。また新種の変異株が出たためなのか。その辺の情報はまだない。死亡者は累計9646人、1週間で1252人増えている。世界の感染者、死亡者の増勢が高止まりしているなかで、異常なことは確かだ。
日本の感染者は累計561万8617人、この1週間で39万7185人増加した。この増加数は前週より6万3743人少なく、4週連続で縮小している。死亡者は2万5722人、週間1320人の増加だった。前週より288人減少している。死亡者数の減少は1月上旬以来9週間ぶり。年度末、就職・入学のシーズンを迎えて、この調子が続くのかどうか心配だが、やや明るさは出てきた。
≪11日の日経平均 = 下げ -527.62円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ 目線を下げる個人投資家 = ダウ平均は先週671ドルの値下がり。アラブ首長国連合が石油の増産を主張すると伝えられた9日は650ドル上げたが、あとの営業日ははすべて下落した。これで5週間の続落となり、この間の下げ幅は2146ドルになっている。終り値は3万3000ドルを割り込んだ。ウクライナの戦況は、あまり影響していない。
日経平均は先週823円の値下がり。ダウ平均と同様、10日だけ大幅に上げ、あとは下げた。これで4週連続の下落、この間の下げ幅は2533円となっている。週央には20年11月以来1年4か月ぶりの安値を記録したが、終り値では2万5000円台をなんとか死守した。しかし円安もじわりと進行しており、市場の先行き見通しは必ずしも明るくない。
株価を動かす主たる要因は、原油価格になっている。「原油高→インフレ→景気後退」という方程式が、市場に染みついた。このため長期投資家は模様眺めを余儀なくされている。一方、個人投資家は活発に下値を拾うが、その目線はだんだん下がってきたようだ。今週は16日にFRBが利上げを発表するが、株価にはあまり影響しないだろう。それよりもキエフが陥落したとき、市場はどんな反応をみせるのか。
今週は16日に、2月の貿易統計。17日に、1月の機械受注。18日に、2月の消費者物価、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは15日に、2月の生産者物価。16日に、2月の小売り売上高、3月のNAHB住宅市場指数。17日に、2月の工業生産、住宅着工戸数。18日に、2月の中古住宅販売。また中国が15日に、2月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお16日に、パウエルFRB議長が政策金利の引き上げを発表する予定。
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週823円の値下がり。ダウ平均と同様、10日だけ大幅に上げ、あとは下げた。これで4週連続の下落、この間の下げ幅は2533円となっている。週央には20年11月以来1年4か月ぶりの安値を記録したが、終り値では2万5000円台をなんとか死守した。しかし円安もじわりと進行しており、市場の先行き見通しは必ずしも明るくない。
株価を動かす主たる要因は、原油価格になっている。「原油高→インフレ→景気後退」という方程式が、市場に染みついた。このため長期投資家は模様眺めを余儀なくされている。一方、個人投資家は活発に下値を拾うが、その目線はだんだん下がってきたようだ。今週は16日にFRBが利上げを発表するが、株価にはあまり影響しないだろう。それよりもキエフが陥落したとき、市場はどんな反応をみせるのか。
今週は16日に、2月の貿易統計。17日に、1月の機械受注。18日に、2月の消費者物価、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは15日に、2月の生産者物価。16日に、2月の小売り売上高、3月のNAHB住宅市場指数。17日に、2月の工業生産、住宅着工戸数。18日に、2月の中古住宅販売。また中国が15日に、2月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお16日に、パウエルFRB議長が政策金利の引き上げを発表する予定。
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 消えた‟有事の円買い” = 円相場がじりじりと下落している。昨日は1ドル=118円台にまで値下がり、2017年1月以来5年2か月ぶりの安値水準を記録した。過去1年間をとってみても、円の対ドル相場は9円ほど下落している。円安の主たる原因は、日米の金利差。アメリカはいま利上げの直前、対して日本はゼロ金利を死守。おカネは金利の高い方へ流れ、その過程で円が売られ、ドルが買われる。
日本人の頭には「円安はプラス」の考え方が、染みついている。円安になれば、輸出製品の価格を引き下げられるから数量を拡大できる。利益を円に換えれば、金額が増える。だから株式市場でも「円安は買い」が常識だった。しかし現在は多くの企業が海外に進出、状況は大きく変わった。日銀の試算によると「00年代の後半には、円が10%下落すると輸出が3%伸びた。それが17年以降は、ほとんど伸びなくなった」という。
その半面、円安は輸入物価を上昇させてしまう。日本はエネルギーや資源、食糧などを大量に輸入しているから、これはきつい。いまウクライナ戦争の影響で、主要な物資の国際価格が急上昇。そこへ円安の効果が加わって、負担が急激に重くなった。その負担は、企業や家計が「物価高に耐える」という形で引き受けている。
国際緊張が高まると、おカネは安全資産に流れる。日米の国債やドル・円などの通貨、あるいは金などが、その対象だ。ところが今回のウクライナ戦争に際しては、日本円が買われない。これまでの「有事の際の円高」という現象が、はじめて表われなかった。したがって、円安が止まらない。これは、きわめて重大な変化である。なぜなのか?
(続きは明日)
≪14日の日経平均 = 上げ +145.07円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日本人の頭には「円安はプラス」の考え方が、染みついている。円安になれば、輸出製品の価格を引き下げられるから数量を拡大できる。利益を円に換えれば、金額が増える。だから株式市場でも「円安は買い」が常識だった。しかし現在は多くの企業が海外に進出、状況は大きく変わった。日銀の試算によると「00年代の後半には、円が10%下落すると輸出が3%伸びた。それが17年以降は、ほとんど伸びなくなった」という。
その半面、円安は輸入物価を上昇させてしまう。日本はエネルギーや資源、食糧などを大量に輸入しているから、これはきつい。いまウクライナ戦争の影響で、主要な物資の国際価格が急上昇。そこへ円安の効果が加わって、負担が急激に重くなった。その負担は、企業や家計が「物価高に耐える」という形で引き受けている。
国際緊張が高まると、おカネは安全資産に流れる。日米の国債やドル・円などの通貨、あるいは金などが、その対象だ。ところが今回のウクライナ戦争に際しては、日本円が買われない。これまでの「有事の際の円高」という現象が、はじめて表われなかった。したがって、円安が止まらない。これは、きわめて重大な変化である。なぜなのか?
(続きは明日)
≪14日の日経平均 = 上げ +145.07円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 三流国への道? = 円相場の下落は、米ドルに対してだけではない。BIS(国際決済銀行)が2月に発表した各国通貨の実質実効レートによると、日本円の実効レートは50年ぶりの低水準に落ち込んだ。実効レートというのは、貿易相手国の通貨に対する相場を加重平均した数値。つまり最近の日本円は、かなり多くの通貨に対して下落していることを示している。その原因は、どこにあるのか。
最大の原因は、日本の貿易収支が大赤字を続けていること。財務省が発表した1月の貿易統計をみると、赤字は2兆2000億円。原油などの急騰で、鉱物性燃料の輸入額が前年比83%も増えたことが響いている。貿易収支の赤字は昨年8月から続いており、この6か月間の赤字総額は5兆1000億円に達した。もちろん日本は十分な外貨準備を保有しているから、支払いに困るようなことはない。
だが巨額の貿易赤字は、国内の購買力がそれだけ海外に流出したことを意味する。しかもエネルギーや資源の値上がりは、今後も続きそうだ。すると日本の景気は、なかなか上向かないだろう。要するに「日本はエネルギー危機に最も弱い国」だと、世界中の人が感じ始めた。だから有事でも、日本円は買われなくなった。
そんな日本なのに、肝要なエネルギー対策を確立できない。さらに政府の政策には対症療法的なものが多く、将来を見据えた成長戦略に乏しい。したがって、日本はしだいに国力を落として行く--世界的なインフレとウクライナ戦争のなかで、日本円の相場が下落する。そのことは、ある種の警告だと捉えた方がいい。
≪15日の日経平均 = 上げ +38.63円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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最大の原因は、日本の貿易収支が大赤字を続けていること。財務省が発表した1月の貿易統計をみると、赤字は2兆2000億円。原油などの急騰で、鉱物性燃料の輸入額が前年比83%も増えたことが響いている。貿易収支の赤字は昨年8月から続いており、この6か月間の赤字総額は5兆1000億円に達した。もちろん日本は十分な外貨準備を保有しているから、支払いに困るようなことはない。
だが巨額の貿易赤字は、国内の購買力がそれだけ海外に流出したことを意味する。しかもエネルギーや資源の値上がりは、今後も続きそうだ。すると日本の景気は、なかなか上向かないだろう。要するに「日本はエネルギー危機に最も弱い国」だと、世界中の人が感じ始めた。だから有事でも、日本円は買われなくなった。
そんな日本なのに、肝要なエネルギー対策を確立できない。さらに政府の政策には対症療法的なものが多く、将来を見据えた成長戦略に乏しい。したがって、日本はしだいに国力を落として行く--世界的なインフレとウクライナ戦争のなかで、日本円の相場が下落する。そのことは、ある種の警告だと捉えた方がいい。
≪15日の日経平均 = 上げ +38.63円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 「こんなハズでは」の連続 = プーチン大統領は、思惑ハズレの連続で苦しんでいるようだ。ウクライナへの侵攻を決断したときは、アメリカやEU諸国がこんなに結束するとは夢にも考えなかったのではないか。まずアメリカは国内の分断で、指導力を発揮できない。EUもイギリスの離脱、ドイツの政権交代などで、一枚岩にはなれない。そう判断したのだが、アメリカとEUは予想外に結束した。特にドイツがロシア産LNG(液化天然ガス)の輸送管を凍結するとは、考えられなかった。
結果的にアメリカ・EU・日本などによる経済制裁網が早期に組み上がったことも、想定外だったに違いない。ルーブル相場が急落し、物価が急騰し始めた。早くも国民の生活は苦しくなってきている。放っておけば、反戦や厭戦の機運が広がりかねない。それが反プーチン運動にまで発展したら、一大事だ。こんなことになるハズではなかった。
それもウクライナ軍の抵抗力を見誤ったことから始まる。当初は1週間もあれば、十分にウクライナを征服できると計算した。ところがキエフはまだ陥落しない。ぐずぐずしているうちに、世界の大半がウクライナ支持に回ってしまった。こんなに時間がかかるのは、大きな誤算。ロシア軍の弱さも、大きな誤算だった。
唯一、思惑が当たったこともある。それは‟核による脅し”。アメリカやNATO(北大西洋条約機構)は核戦争になることを恐れて、ウクライナ上空に飛行禁止空域を設定することや、戦闘機の供給を断念した。ここまでは予想通りだったが、結果的に「ロシアは核兵器を使いかねない国」という印象を、世界中に与えてしまったことは誤算だろう。。
≪16日の日経平均 = 上げ +415.53円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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結果的にアメリカ・EU・日本などによる経済制裁網が早期に組み上がったことも、想定外だったに違いない。ルーブル相場が急落し、物価が急騰し始めた。早くも国民の生活は苦しくなってきている。放っておけば、反戦や厭戦の機運が広がりかねない。それが反プーチン運動にまで発展したら、一大事だ。こんなことになるハズではなかった。
それもウクライナ軍の抵抗力を見誤ったことから始まる。当初は1週間もあれば、十分にウクライナを征服できると計算した。ところがキエフはまだ陥落しない。ぐずぐずしているうちに、世界の大半がウクライナ支持に回ってしまった。こんなに時間がかかるのは、大きな誤算。ロシア軍の弱さも、大きな誤算だった。
唯一、思惑が当たったこともある。それは‟核による脅し”。アメリカやNATO(北大西洋条約機構)は核戦争になることを恐れて、ウクライナ上空に飛行禁止空域を設定することや、戦闘機の供給を断念した。ここまでは予想通りだったが、結果的に「ロシアは核兵器を使いかねない国」という印象を、世界中に与えてしまったことは誤算だろう。。
≪16日の日経平均 = 上げ +415.53円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ FRBが0.25%の利上げを発表 = アメリカの中央銀行であるFRBは16日のFOMC(公開市場委員会)で、政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。これにより2年前から続いたゼロ金利は終了、超・金融緩和時代は幕を閉じた。同時にFRBは「ことし中に7回の利上げが予想されること。金融の量的な引き締めは次回の会合で決定する方向であること」を明らかにしている。
FOMCというのは、FRBの政策決定会合。ことしはあと5、6、7、9、11、12月に開催される予定。したがって、すべての会合で0.25%ずつ利上げを決定すると、年末の政策金利は1.75%になる計算だ。また量的引き締めは5月の会合で決定されることになる。ただ国債や住宅ローン債券をどんな規模で売り戻すかは未定だ。その規模が大きくなれば、市中からの資金の引き揚げが加速する。
ニューヨーク市場では16日、ダウ平均が519ドルも値上がりした。朝方からウクライナの停戦交渉が進展しそうなこと、原油価格が急落したことなどを材料に買われたが、FRBが午後2時に利上げを発表すると、株価は横ばいとなった。つまり市場は利上げの発表に対して、上げも下げもしなかったことになる。
市場が判断に苦しんだのは、まず今回の引き締めでインフレを阻止できるのかという疑問。また利上げで、景気の回復が中断してしまわないかという疑問。さらに量的引き締めの規模が不明なこと。投資家はこうした点を解明できなかったと言えるだろう。東京市場では17日、日経平均が大幅高となった。ニューヨークに追随した形だが、やや乗り過ぎの感じもなくはない。
≪17日の日経平均 = 上げ +890.88円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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FOMCというのは、FRBの政策決定会合。ことしはあと5、6、7、9、11、12月に開催される予定。したがって、すべての会合で0.25%ずつ利上げを決定すると、年末の政策金利は1.75%になる計算だ。また量的引き締めは5月の会合で決定されることになる。ただ国債や住宅ローン債券をどんな規模で売り戻すかは未定だ。その規模が大きくなれば、市中からの資金の引き揚げが加速する。
ニューヨーク市場では16日、ダウ平均が519ドルも値上がりした。朝方からウクライナの停戦交渉が進展しそうなこと、原油価格が急落したことなどを材料に買われたが、FRBが午後2時に利上げを発表すると、株価は横ばいとなった。つまり市場は利上げの発表に対して、上げも下げもしなかったことになる。
市場が判断に苦しんだのは、まず今回の引き締めでインフレを阻止できるのかという疑問。また利上げで、景気の回復が中断してしまわないかという疑問。さらに量的引き締めの規模が不明なこと。投資家はこうした点を解明できなかったと言えるだろう。東京市場では17日、日経平均が大幅高となった。ニューヨークに追随した形だが、やや乗り過ぎの感じもなくはない。
≪17日の日経平均 = 上げ +890.88円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 世界最悪になった韓国の感染状況 = 世界の感染者は累計4億6391万人、この1週間で1227万人増加した。死亡者は605万8304人で、増加数は3万6081人。感染者は前週より80万2000人増えたが、死亡者は1万3535人減った。コロナはいぜん高水準のまま推移している。ただアメリカやヨーロッパ諸国では、感染者の増加が目に見えて縮小。その一方、中国や香港、韓国では急激に拡大した。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計96万8343人。この1週間で4524人増加した。この増加数は、前週のほぼ半分に減っている。次いでブラジルが65万人台、インドが51万人台、ロシアが35万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアとインドネシアが15万人台、フランスが14万人台、イランが13万人台となっている。特筆すべきは、死亡者が多いこれら10か国がそろって増加数を縮小させたこと。初めての記録である。
中国では1日の感染者数が3400人に達し新記録。深圳市や長春市は都市封鎖された。また韓国では1日の感染者が40万人を突破、死亡者も1日平均230人に。世界で最悪の状態に陥っている。大統領選挙の影響と考えられているが、詳細な分析は行われていない。こうした状況にもかかわらず、韓国政府は規制を緩和する方向に動いている。
日本の感染者は累計597万5415人。この1週間で35万6798人増加した。この増加数は、前週より4万人以上少ない。また死亡者は2万6799人で、週間1077人増加した。この増加数は、前週より243人少ない。全体として改善の方向に進んでおり、政府は「まん延防止措置」の全面解除を決めた。しかしピークから1か月後の感染減少は4割程度。第5波の9割減少に比べると、改善の足取りはきわめて重い。
≪18日の日経平均 = 上げ +174.54円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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国別の死亡者数をみると、アメリカは累計96万8343人。この1週間で4524人増加した。この増加数は、前週のほぼ半分に減っている。次いでブラジルが65万人台、インドが51万人台、ロシアが35万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアとインドネシアが15万人台、フランスが14万人台、イランが13万人台となっている。特筆すべきは、死亡者が多いこれら10か国がそろって増加数を縮小させたこと。初めての記録である。
中国では1日の感染者数が3400人に達し新記録。深圳市や長春市は都市封鎖された。また韓国では1日の感染者が40万人を突破、死亡者も1日平均230人に。世界で最悪の状態に陥っている。大統領選挙の影響と考えられているが、詳細な分析は行われていない。こうした状況にもかかわらず、韓国政府は規制を緩和する方向に動いている。
日本の感染者は累計597万5415人。この1週間で35万6798人増加した。この増加数は、前週より4万人以上少ない。また死亡者は2万6799人で、週間1077人増加した。この増加数は、前週より243人少ない。全体として改善の方向に進んでおり、政府は「まん延防止措置」の全面解除を決めた。しかしピークから1か月後の感染減少は4割程度。第5波の9割減少に比べると、改善の足取りはきわめて重い。
≪18日の日経平均 = 上げ +174.54円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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◇ 株価は大底をつけた可能性も = ダウ平均は先週1811ドルの大幅な値上がり。5営業日すべてで上昇したが、これは昨年5月上旬以来のこと。週間の上げ幅は20年11月以来の大きさだった。ロシアが停戦の意向を示したこと、原油価格の下落、FRBの利上げが0.25%にとどまったこと、アメリカ国内でコロナ感染者の増加が急減したこと。こうした買い材料が、相次いで出現したためである。
日経平均も先週は1665円の大幅な値上がり。こちらも5営業日すべてで上昇した。これは昨年9月以来のこと。週間の上げ幅は20年6月以来の大きさだった。終り値は2万6800円台に戻している。ニューヨーク市場の急反発に引きずられたうえ、政府が「まん延防止措置」を全面解除することも好感した。ただ東京市場の場合は、円安の進行が気になっている。
ウクライナ停戦の見通し、原油価格、コロナの先行きなど、まだまだ不確定要素が多すぎる。したがって今週以降、株価がV字型の回復をみせる可能性はなさそうだ。むしろ再び乱高下を繰り返すだろう。しかしダウ平均は3万3000ドル、日経平均は2万6000円が下値抵抗線になったようだ。あとから振り返ると、先々週が株価の大底だったという可能性もないではない。
今週は24日に、2月のデパート売上高。25日に、2月の企業向けサービス価格、3月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、2月の新築住宅販売。24日に、10-12月期の経常収支が発表される。
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均も先週は1665円の大幅な値上がり。こちらも5営業日すべてで上昇した。これは昨年9月以来のこと。週間の上げ幅は20年6月以来の大きさだった。終り値は2万6800円台に戻している。ニューヨーク市場の急反発に引きずられたうえ、政府が「まん延防止措置」を全面解除することも好感した。ただ東京市場の場合は、円安の進行が気になっている。
ウクライナ停戦の見通し、原油価格、コロナの先行きなど、まだまだ不確定要素が多すぎる。したがって今週以降、株価がV字型の回復をみせる可能性はなさそうだ。むしろ再び乱高下を繰り返すだろう。しかしダウ平均は3万3000ドル、日経平均は2万6000円が下値抵抗線になったようだ。あとから振り返ると、先々週が株価の大底だったという可能性もないではない。
今週は24日に、2月のデパート売上高。25日に、2月の企業向けサービス価格、3月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、2月の新築住宅販売。24日に、10-12月期の経常収支が発表される。
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 「悪い物価上昇だから緩和を続ける」とは = 日銀の黒田総裁は先週18日の記者会見で「消費者物価は4月以降、資源高や円安の影響で2%程度の上昇率になる」との見通しを明らかにした。また「この物価上昇は、日本にとって好ましいものではない」と発言した。ここまでは全く納得できる内容である。ところが「悪い物価上昇であるから、金融政策を修正する必要性を全く意味しない」と続けた。さあ、解らない。
悪い物価上昇が続くと、消費が阻害されて景気が悪化する。このため中央銀行は、金融を引き締めてインフレを防ぐ。これが常識であり、現にアメリカやイギリスの中央銀行は利上げに踏み切った。しかし日銀は、現在の超金融緩和政策を修正しないという。仮に経済の拡大に伴う物価上昇ならインフレになる懸念は小さいから、緩和政策を続けられる。だが日銀総裁のおっしゃることは、すべて真逆だ。
さらに黒田総裁は「現在の円安は、全体として日本経済にプラスだ」とも強調した。だが円安によって、いまの物価上昇が加速されており、企業や家計を圧迫していることは常識になっている。たとえば日経新聞も「円安による輸出の押し上げ効果は鈍く、株価も上がらない」という記事を書いている。にもかかわらず円安プラス論を主張したのは、日銀の緩和政策で内外金利差が拡大。円安が進んでいることへの批判をかわすためだと考えられる。
日銀総裁の発言は重い。黒田総裁が「悪い物価上昇だから、緩和政策を続ける」とか「円安はプラス」などと言うと、信じてしまう人も多いだろう。しかし総裁の記者会見での発言は詭弁であり、へ理屈だ。会見に出席した多くの記者がこの点に疑問を持たず、唯々諾々として記事を書いていることも不可解である。
≪22日の日経平均 = 上げ +396.68円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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悪い物価上昇が続くと、消費が阻害されて景気が悪化する。このため中央銀行は、金融を引き締めてインフレを防ぐ。これが常識であり、現にアメリカやイギリスの中央銀行は利上げに踏み切った。しかし日銀は、現在の超金融緩和政策を修正しないという。仮に経済の拡大に伴う物価上昇ならインフレになる懸念は小さいから、緩和政策を続けられる。だが日銀総裁のおっしゃることは、すべて真逆だ。
さらに黒田総裁は「現在の円安は、全体として日本経済にプラスだ」とも強調した。だが円安によって、いまの物価上昇が加速されており、企業や家計を圧迫していることは常識になっている。たとえば日経新聞も「円安による輸出の押し上げ効果は鈍く、株価も上がらない」という記事を書いている。にもかかわらず円安プラス論を主張したのは、日銀の緩和政策で内外金利差が拡大。円安が進んでいることへの批判をかわすためだと考えられる。
日銀総裁の発言は重い。黒田総裁が「悪い物価上昇だから、緩和政策を続ける」とか「円安はプラス」などと言うと、信じてしまう人も多いだろう。しかし総裁の記者会見での発言は詭弁であり、へ理屈だ。会見に出席した多くの記者がこの点に疑問を持たず、唯々諾々として記事を書いていることも不可解である。
≪22日の日経平均 = 上げ +396.68円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 上昇率がわずか0.9%にとどまる不思議 = スーパーやコンビニの棚に並ぶおびただしい数の商品。そのなかで「値上がりしていない品物は?」と問われたら、考え込んでしまうだろう。なにしろパンやうどん、バターや食用油、みそや醤油に至るまで、次々と値上がりした。さらに電気やガス代、ガソリンや灯油、とにかく値上げラッシュ。普通の人の感覚では、もうインフレがやってきている。
ところが総務省が発表した2月の消費者物価は、総合指数が前年比で0.9%しか上昇していない。価格変動が激しい生鮮食品を除く指数は0.6%の上昇にとどまっている。物価は1%も上がっていないのだ。費目別にみると、食料品は全体で2.8%の上昇、光熱・水道は15.3%も上がった。しかし価格が下がった費目もあるため、全体の物価指数はあまり上がらない。
値下がりした費目をみると、家具・家事用品が0.8%の下落。大きいのは通信で、なんと33.8%も下がっている。これは菅前首相が携帯電話の通信料金を大幅に下げさせたため。これだけで、消費者物価指数を1.5ポイントも押し下げた。ただし、この押し下げ効果は4月から消滅する。この結果、4月以降の物価指数は2%を超す上昇になるとみられている。
だが、それにしても庶民感覚とのかい離は大きすぎる。その1つの原因は、たとえば食料品の10000分の2626、光熱・水道の10000分の693というウエイトの付け方にあるのでは。また毎日のように消費する食料やエネルギーと、金額は大きいが支出頻度が極めて低い住宅や自動車の取り扱い。改善の余地はないのだろうか。
≪23日の日経平均 = 上げ +816.05円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが総務省が発表した2月の消費者物価は、総合指数が前年比で0.9%しか上昇していない。価格変動が激しい生鮮食品を除く指数は0.6%の上昇にとどまっている。物価は1%も上がっていないのだ。費目別にみると、食料品は全体で2.8%の上昇、光熱・水道は15.3%も上がった。しかし価格が下がった費目もあるため、全体の物価指数はあまり上がらない。
値下がりした費目をみると、家具・家事用品が0.8%の下落。大きいのは通信で、なんと33.8%も下がっている。これは菅前首相が携帯電話の通信料金を大幅に下げさせたため。これだけで、消費者物価指数を1.5ポイントも押し下げた。ただし、この押し下げ効果は4月から消滅する。この結果、4月以降の物価指数は2%を超す上昇になるとみられている。
だが、それにしても庶民感覚とのかい離は大きすぎる。その1つの原因は、たとえば食料品の10000分の2626、光熱・水道の10000分の693というウエイトの付け方にあるのでは。また毎日のように消費する食料やエネルギーと、金額は大きいが支出頻度が極めて低い住宅や自動車の取り扱い。改善の余地はないのだろうか。
≪23日の日経平均 = 上げ +816.05円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 自民・公明が1人5000円案を検討中 = 自民・公明両党が、またまた広範囲に現金給付する案を検討し始めた。物価高騰の影響を緩和することが目的で、最初は年金生活者に限って「1人5000円」を給付する案だった。ところが両党内から「対象者をもっと広げないと、不公平だ」という声が出て、対象を広げることになった。岸田首相も前向きだと伝えられる。
現金給付と言えば、政府が21年度中に実施した「国民1人当たり10万円」給付とか、「子ども1人当たり10万円」給付が思い出される。その総額は14兆5000億円にものぼった。結果は多くが貯蓄に回ったなどの指摘もあったが、その検証は全くなされていない。衆院選を前にしたバラマキだったという批判もあったはずだ。にもかかわらず、こんども参院選を前に実施が検討されている。
自民・公明両党の政策には、目前の問題だけを解消するための施策が多い。もちろん、それも重要だが、そうした‟対症療法”だけでは将来を見据えた進歩がない。たとえば今週は、地震の影響もあって関東や東北地域が電力不足の状況に見舞われた。これも将来を見据えたエネルギー対策を怠った結果だと言えるだろう。
目前の問題にも将来の課題にも、財政支出が出来るのならいい。しかし財源には限りがあるから、すべてにおカネは出せない。そこで選択が必要になるが、将来への支出は選挙の票になりにくい。そこで選挙が近づくと、目に見える現金給付に走りやすい。政治家個人が現金をバラ播けば、手が後ろに回る。だが政党が政策として支出すれば、合法ではあるのだが・・・。
≪24日の日経平均 = 上げ +70.23円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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現金給付と言えば、政府が21年度中に実施した「国民1人当たり10万円」給付とか、「子ども1人当たり10万円」給付が思い出される。その総額は14兆5000億円にものぼった。結果は多くが貯蓄に回ったなどの指摘もあったが、その検証は全くなされていない。衆院選を前にしたバラマキだったという批判もあったはずだ。にもかかわらず、こんども参院選を前に実施が検討されている。
自民・公明両党の政策には、目前の問題だけを解消するための施策が多い。もちろん、それも重要だが、そうした‟対症療法”だけでは将来を見据えた進歩がない。たとえば今週は、地震の影響もあって関東や東北地域が電力不足の状況に見舞われた。これも将来を見据えたエネルギー対策を怠った結果だと言えるだろう。
目前の問題にも将来の課題にも、財政支出が出来るのならいい。しかし財源には限りがあるから、すべてにおカネは出せない。そこで選択が必要になるが、将来への支出は選挙の票になりにくい。そこで選挙が近づくと、目に見える現金給付に走りやすい。政治家個人が現金をバラ播けば、手が後ろに回る。だが政党が政策として支出すれば、合法ではあるのだが・・・。
≪24日の日経平均 = 上げ +70.23円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 中国で1年2か月ぶりに死亡者 = 世界の感染者は累計4億7577万人、この1週間で1186万人増加した。この増加数は前週より40万6000人縮小している。死亡者は610万4407人、週間4万6103人の増加だった。この増加数は前週より1万0022人拡大した。やはり高水準のパンデミックが続いている。ただ一時は多数の感染者・死亡者を出していたインドとメキシコが大幅に改善、死亡者はともに500人程度に減少したことが目立つ。
アメリカの感染者は累計7985万人、死亡者は97万4834人。死亡者数は週間6491人で、前週より1967人拡大した。各国の死亡者数はブラジルが65万人台、インドが51万人台、ロシアが35万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアとインドネシアが15万人台、フランスが14万人台、イランが13万人台となっている。前週はこの10か国すべてで死亡者の増加数が縮小したが、この1週間はアメリカとイギリスで拡大した。
韓国の状況が改善しない。感染者は1000万人を超えた。人口比でみると、世界でも最悪の状況と言える。死亡者は累計1万3902人、この1週間で2421人増加した。前週比で586人の増加だった。また中国の死亡者数が4638人となり、前週より2人増えた。中国の死亡者が増えたのは、昨年1月以来1年2か月ぶりのこと。徹底したゼロ・コロナ対策をとっている中国で、今後も新規死亡者が出るのかどうか注目される。
日本の感染者は累計624万7508人、この1週間で27万2093人増えた。この増加数は前週より8万4705人の縮小。6週連続の減少だった。死亡者は累計2万7502人、週間703人の増加だった。この増加数は前週より374人縮小している。こうした改善の傾向をみて、政府は「まん延防止措置」の全面的な解除に踏み切った。しかし3回目のワクチン接種者は4割にとどいておらず、年度末を控えて感染の再拡大が懸念される。
≪25日の日経平均 = 上げ +39.45円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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アメリカの感染者は累計7985万人、死亡者は97万4834人。死亡者数は週間6491人で、前週より1967人拡大した。各国の死亡者数はブラジルが65万人台、インドが51万人台、ロシアが35万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアとインドネシアが15万人台、フランスが14万人台、イランが13万人台となっている。前週はこの10か国すべてで死亡者の増加数が縮小したが、この1週間はアメリカとイギリスで拡大した。
韓国の状況が改善しない。感染者は1000万人を超えた。人口比でみると、世界でも最悪の状況と言える。死亡者は累計1万3902人、この1週間で2421人増加した。前週比で586人の増加だった。また中国の死亡者数が4638人となり、前週より2人増えた。中国の死亡者が増えたのは、昨年1月以来1年2か月ぶりのこと。徹底したゼロ・コロナ対策をとっている中国で、今後も新規死亡者が出るのかどうか注目される。
日本の感染者は累計624万7508人、この1週間で27万2093人増えた。この増加数は前週より8万4705人の縮小。6週連続の減少だった。死亡者は累計2万7502人、週間703人の増加だった。この増加数は前週より374人縮小している。こうした改善の傾向をみて、政府は「まん延防止措置」の全面的な解除に踏み切った。しかし3回目のワクチン接種者は4割にとどいておらず、年度末を控えて感染の再拡大が懸念される。
≪25日の日経平均 = 上げ +39.45円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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◇ 3月第2週が大底だった = ダウ平均は先週106ドルの値上がり。週初はパウエルFRB議長が「今後は0.5%の利上げも否定しない」と発言したことで下げたが、その後は上下動を繰り返し、終り値は3万4861ドルまで戻している。2週間の連騰で、この間の上げ幅は1917ドルに達した。直近の安値だった3月8日に比べると、2228ドルの上昇となっている。
日経平均は先週1322円の値上がり。先々週から9日間の連騰となり、この間の上げ幅は2987円にのぼった。終り値は2万8150円で、直近の安値だった3月9日に比べると、3432円の上昇となっている。円安が進行したが、市場はプラスの恩恵を受ける金融株を中心に買い進んだ。政府が「まん延防止措置」を全面解除したことも、好感している。
こうした推移からみて、日米の株価は「3月の第2週が大底だった」と確認できるだろう。ただウクライナ情勢、コロナの状況が、いぜんとして大きな不確定要因であることに変わりはない。このため株価が、今後も一本調子で上げる可能性はむしろ小さい。特に日本株は回復が急だったから、反落場面もありうるだろう。いずれにしても、市場の関心は景気の動向、特に企業業績の変化に向かいそうだ。
今週は29日に、2月の労働力調査。30日に、2月の商業動態統計。31日に、2月の鉱工業生産。1日に、3月の日銀短観、新車販売。アメリカでは29日に、1月のFHFA住宅価格指数、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、10-12月期のGDP確定値。1日に、3月の雇用統計、ISM製造業景況指数。また中国が1日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は先週1322円の値上がり。先々週から9日間の連騰となり、この間の上げ幅は2987円にのぼった。終り値は2万8150円で、直近の安値だった3月9日に比べると、3432円の上昇となっている。円安が進行したが、市場はプラスの恩恵を受ける金融株を中心に買い進んだ。政府が「まん延防止措置」を全面解除したことも、好感している。
こうした推移からみて、日米の株価は「3月の第2週が大底だった」と確認できるだろう。ただウクライナ情勢、コロナの状況が、いぜんとして大きな不確定要因であることに変わりはない。このため株価が、今後も一本調子で上げる可能性はむしろ小さい。特に日本株は回復が急だったから、反落場面もありうるだろう。いずれにしても、市場の関心は景気の動向、特に企業業績の変化に向かいそうだ。
今週は29日に、2月の労働力調査。30日に、2月の商業動態統計。31日に、2月の鉱工業生産。1日に、3月の日銀短観、新車販売。アメリカでは29日に、1月のFHFA住宅価格指数、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、10-12月期のGDP確定値。1日に、3月の雇用統計、ISM製造業景況指数。また中国が1日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 長期にわたるウクライナ戦後処理が重荷 = 日米の株価は、このところ大きく反発した。たとえばダウ平均は年初から3月8日までに3705ドル下げたが、そこからは先週末までに2228ドル上げた。ちょうど6割ほど戻したことになる。こうした足取りからみて、今回の株価調整は3月中旬が大底だったと確認できるだろう。しかし今後もV字型の上昇が続くかというと、その可能性はほとんどない。
ウクライナ戦争はロシア側の消耗もはなはだしく、予想外に早く終わるかもしれない。だが問題は、その戦後処理だ。これまでの経緯からして、停戦が実現したからといってアメリカやNATOは直ちに制裁を解除するわけにはいかない。その時点からはウクライナ対ロシアの戦争ではなく、アメリカ・NATO対ロシアの交渉が始まることになる。この交渉は予想以上に長引くかもしれない。
西側の経済制裁が続く限り、ロシア産の原油やLNG(液化天然ガス)、希少金属や小麦の輸出はかなり絞られる。なにしろロシアの原油生産量は世界全体の1割、パラジウムは43%に達する。その供給が滞れば、品物が不足し価格が高騰する。こうした状態が数年も続くと覚悟する必要があるかもしれない。
エネルギーや資源の価格高騰は、企業と家計を直撃する。消費は減退し、企業業績は悪化するだろう。しかしインフレが進行するから、各国は金融を引き締めざるをえない。景気や企業業績にとっては、二重の重石になって来る。株式市場にとっての環境は、決して明るくない。その兆候は、まず企業の業績予想となって現われる。
≪28日の日経平均 = 下げ -205.95円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ウクライナ戦争はロシア側の消耗もはなはだしく、予想外に早く終わるかもしれない。だが問題は、その戦後処理だ。これまでの経緯からして、停戦が実現したからといってアメリカやNATOは直ちに制裁を解除するわけにはいかない。その時点からはウクライナ対ロシアの戦争ではなく、アメリカ・NATO対ロシアの交渉が始まることになる。この交渉は予想以上に長引くかもしれない。
西側の経済制裁が続く限り、ロシア産の原油やLNG(液化天然ガス)、希少金属や小麦の輸出はかなり絞られる。なにしろロシアの原油生産量は世界全体の1割、パラジウムは43%に達する。その供給が滞れば、品物が不足し価格が高騰する。こうした状態が数年も続くと覚悟する必要があるかもしれない。
エネルギーや資源の価格高騰は、企業と家計を直撃する。消費は減退し、企業業績は悪化するだろう。しかしインフレが進行するから、各国は金融を引き締めざるをえない。景気や企業業績にとっては、二重の重石になって来る。株式市場にとっての環境は、決して明るくない。その兆候は、まず企業の業績予想となって現われる。
≪28日の日経平均 = 下げ -205.95円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 岸田首相に危機感はあるのか = 岸田首相は29日の閣僚懇談会で「物価高騰に対処するための緊急対策」を作成するよう関係閣僚に指示した。その内容は①原油などのエネルギー対策②食料・飼料の安定供給策③中小企業への支援策④生活困窮者の支援策――の4本柱から成っている。財源は新年度予算の予備費から捻出、関係閣僚が4月末までに法案を作成することになった。
具体的には、ガソリン価格の高騰を抑えるため、ガソリン税の一時的な引き下げを実施するかどうか。食料・飼料の輸入先の拡大、中小企業の資金繰り援助、年金生活者などに一律5000円を給付する案などが検討されるという。だが内容として、新しいものは全くない。これで物価騰貴が収まるとは、全く考えられない。むしろ、こんな内容の対策を作るのに1か月もかかることに驚いてしまう。
岸田首相は本当に、いまの物価騰貴に危機感を持っているのだろうか。現在は非常時だという認識を持っているのだろうか。たとえば原子力規制委員会とも協議して、この非常事態が終わるまでは1基でも多くの原発を稼働させることが出来ないか。あるいはガソリンや電気・ガス料金にかかる消費税を一定の期間だけ停止できないか。こんなことを関係閣僚に検討させれば、大きなインパクトがあっただろう。
また日銀に対して、金利の上昇を容認するよう要請したらどうか。日銀は連日のように指し値オペを実施、長期金利を0.25%以下に抑え込んでいる。その結果は円安が進行し、輸入物価を2割以上も押し上げているのが現実だ。とにかく、いまは非常時。「政府は金融政策に口を出さない」などと言ってはいられない。そのくらいのことをやらなければ、物価の高騰は収まらない。
≪29日の日経平均 = 上げ +308.53円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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具体的には、ガソリン価格の高騰を抑えるため、ガソリン税の一時的な引き下げを実施するかどうか。食料・飼料の輸入先の拡大、中小企業の資金繰り援助、年金生活者などに一律5000円を給付する案などが検討されるという。だが内容として、新しいものは全くない。これで物価騰貴が収まるとは、全く考えられない。むしろ、こんな内容の対策を作るのに1か月もかかることに驚いてしまう。
岸田首相は本当に、いまの物価騰貴に危機感を持っているのだろうか。現在は非常時だという認識を持っているのだろうか。たとえば原子力規制委員会とも協議して、この非常事態が終わるまでは1基でも多くの原発を稼働させることが出来ないか。あるいはガソリンや電気・ガス料金にかかる消費税を一定の期間だけ停止できないか。こんなことを関係閣僚に検討させれば、大きなインパクトがあっただろう。
また日銀に対して、金利の上昇を容認するよう要請したらどうか。日銀は連日のように指し値オペを実施、長期金利を0.25%以下に抑え込んでいる。その結果は円安が進行し、輸入物価を2割以上も押し上げているのが現実だ。とにかく、いまは非常時。「政府は金融政策に口を出さない」などと言ってはいられない。そのくらいのことをやらなければ、物価の高騰は収まらない。
≪29日の日経平均 = 上げ +308.53円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ インフレ抑制で利上げラッシュ = 多くの新興国がインフレを抑制するため、続々と金利を引き上げている。アメリカが利上げに踏み切ったことから資金がアメリカに引き揚げられ、自国通貨が下落。輸入物価が上がってインフレになりやすい。加えてウクライナ紛争でエネルギーや資源価格が高騰。新興国としては経済成長を犠牲にしても、やむなく政策金利を引き上げざるをえなくなった。
利上げを余儀なくされたのは、南アフリカ・メキシコ・ブラジル・シンガポール・フィリピン・インドネシア・・・など。このうちブラジルの金利は11.75%にまで上昇した。このブラジルをはじめ南アフリカ、メキシコは、すでに経済成長率がマイナスに沈んでいる。物価騰貴と不況が共存する、典型的なスタグフレーションに陥っているわけだ。それでもインフレを抑えるため、まだ利上げしなければならない。
そんななかでも、インドネシア・マレーシア・チリなどの新興国は、比較的に落ち着いている。これらは資源国であり、ウクライナ戦争で資源価格が急騰、輸出が伸びているためだ。これら諸国はアメリカの利上げに対して、早くから対応策を講じてきた結果だと考えられる。一方、同じ資源国でも対応が遅れたブラジル、南アフリカなどは苦境に追い込まれた。
実質実効為替レートという統計がある。多くの国の通貨に対する交換レートを、貿易量や物価変動を加味して算出する統計だ。BIS(国際決済銀行)の試算によると、日本円の実質実効レートはことし1月時点で50年ぶりの低さとなった。そのあとアメリカに続いて新興国の多くが利上げしたから、円の実効レートはもっと下がったに違いない。それだけ輸入品の価格は上昇しているわけである。
≪30日の日経平均 = 下げ -225.17円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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利上げを余儀なくされたのは、南アフリカ・メキシコ・ブラジル・シンガポール・フィリピン・インドネシア・・・など。このうちブラジルの金利は11.75%にまで上昇した。このブラジルをはじめ南アフリカ、メキシコは、すでに経済成長率がマイナスに沈んでいる。物価騰貴と不況が共存する、典型的なスタグフレーションに陥っているわけだ。それでもインフレを抑えるため、まだ利上げしなければならない。
そんななかでも、インドネシア・マレーシア・チリなどの新興国は、比較的に落ち着いている。これらは資源国であり、ウクライナ戦争で資源価格が急騰、輸出が伸びているためだ。これら諸国はアメリカの利上げに対して、早くから対応策を講じてきた結果だと考えられる。一方、同じ資源国でも対応が遅れたブラジル、南アフリカなどは苦境に追い込まれた。
実質実効為替レートという統計がある。多くの国の通貨に対する交換レートを、貿易量や物価変動を加味して算出する統計だ。BIS(国際決済銀行)の試算によると、日本円の実質実効レートはことし1月時点で50年ぶりの低さとなった。そのあとアメリカに続いて新興国の多くが利上げしたから、円の実効レートはもっと下がったに違いない。それだけ輸入品の価格は上昇しているわけである。
≪30日の日経平均 = 下げ -225.17円≫
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