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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2016-08-01-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ それぞれの金融政策 = FRBは先週のFOMC(公開市場委員会)で、金融政策の“現状維持”を決めた。大方の予想通りだったので、市場は冷静に受け止めている。ただFRBが声明のなかで「短期的なリスクは弱まってきた」と述べたことを、どう解釈するか。次の利上げは9月なのか、12月なのか。見方は伯仲したが、ダウ平均が小幅に下げ続けたところからみると、9月説がやや上回ったのかもしれない。ダウ平均は週間139ドルの値下がり。

日銀は先週の金融政策決定会合で、新たな緩和政策を決めた。ETF(上場投資信託)の買い入れ額を、現行の年間3兆3000億円から6兆円に拡大するという内容。日銀は何もしないという予想で下落していた株価は、この発表を受けて急反発している。日経平均は週間58円の値下がり。それでも7月は993円の値上がりだった。

問題は為替市場。日銀の緩和策に敬意を表する形で株価は反発したが、外為市場では円が急上昇している。緩和の内容が不十分という評価で、海外市場では1ドル=101円台まで急騰した。今週はこのムードが株式市場にも伝染するので、株価も重い足取りになるだろう。円相場の動きが最大のポイントになる。

今週は1日に、7月の新車販売台数。2日に、7月の消費動向調査。5日に、6月の毎月勤労統計と景気動向調査。アメリカでは1日に、7月のISM製造業景況指数。2日に、7月の新車販売台数。3日に、7月のISM非製造業景況指数。5日に、7月の雇用統計と6月の貿易統計。また中国が1日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお2日に、新経済対策の閣議決定。5日からはリオ・オリンピックが始まる。

      ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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“秋の陣”を意識した? 日銀
2016-08-02-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 9月が大勝負のときだ = 政府は9月の臨時国会で第2次補正予算を成立させ、新しい経済対策の実行に着手する。その事業規模は28兆円で、第2次安倍政権になってからは最大。だが、それで景気がどのくらい押し上げられるかは、不安定な海外経済の動きもあって、なかなか予測が難しい。そこで政府・与党としては、どうしても日銀の支援が欲しい。日銀としてもよく判っているから、手持ちの政策手段はできるだけ9月に温存しておきたかった。

しかし安倍首相が新経済対策の規模を早々と漏らしてしまったため、市場では金融緩和への期待も高まることになった。何もしなければ、株価は大幅安になるかもしれない。そう考えた日銀は株価を支えることを目的に、ETF(上場投資信託)の買い入れ増加だけを打ち出した。だが為替市場では失望感が強く、円相場の急上昇を招いてしまったというのが現在の状況である。

新経済対策で、政府は6兆5000億円の現金を支出する。ところが財源は税の自然増収や税外収入、予算の使い残しなどを集めても3兆円になるかどうか。残りの4-5兆円は建設国債の増発に頼らざるをえない。つまり国債の新規発行がそれだけ増えるわけで、日銀としては国債の買い入れ枠を拡大する口実ができることになる。

マイナス金利の深掘りについては、評判が悪く抵抗も大きい。だが日銀は新たに検証して再評価し、強引に断行するかもしれない。また国債の直接引き受けを意味するヘリコプター・マネーの導入は時期尚早だが、そのミニ版ぐらいは考えるかもしれない。実は現行制度でも、借換債については直接引き受けている。この制度を少し手直しすれば、数兆円のヘリなら飛ばせる可能性がある。

      ≪1日の日経平均 = 上げ +66.50円≫

      ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ


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全国的な人手不足 の ナゾ (上)
2016-08-03-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 求人倍率が全都道府県で1倍超す = 厚生労働省の発表によると、6月の有効求人倍率は前月より0.01ポイント上昇して1.37倍になった。この水準は24年10か月ぶりの高さ。特に初めて全都道府県で1倍を超えたことが目立つ。同時に発表した失業率は3.1%、失業者数は73か月連続で前年を下回った。

有効求人倍率というのは、ハローワーク(公共職業安定所)に寄せられた求職者数と求人数の比率。求人数が求職者数を上回れば倍率が1倍を超える。地域別にみると、最高は東京都の2.05倍。最低は沖縄県の1.01倍。この結果、すべての都道府県で求人倍率が1倍を上回った。つまり全国的に人手不足の状態に陥ったことになる。

有効求人倍率が過去最高の水準に達し、失業率が過去最低の水準に低下した理由はいくつか考えられる。まず少子化と高齢化の進行によって、働き手の数が大幅に減少していること。15歳以上の人口のうち、働いている人と職を探している人を合計した労働力人口は、この6月時点では6707万人だった。ピークだった1998年の6892万人に比べると、185万人も減った。働き手が減ってしまったので、人手不足になるのは当然と言える。

次に仕事がきつい割に賃金が安い仕事は、敬遠されがちなこと。6月の新規求人数をみても、宿泊業・飲食サービス業が前年比18.0%増。建設業と生活関連サービス業がともに7.4%増、医療・福祉業が7.3%増となっており、それだけ人手不足がきついことを示している。特に若い人が就職したがらないようだ。

                                  (続きは明日)

      ≪2日の日経平均 = 下げ -244.32円≫

      ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ


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全国的な人手不足 の ナゾ (下)
2016-08-04-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気浮揚力は弱い = 労働関係の統計だけを見ていると、雇用の状態はまさに絶好調だ。ところが景気の現状は、あまりよくない。なぜ雇用と景気が連動しないのだろう。安倍首相はじめ政府は「賃金の上がり方が不十分で、雇用の増加が消費の拡大に結び付いていないため」と考えているようだ。だが本当にそうなのか。

求人倍率を上昇させ失業率を低下させた主な原因が労働力人口の減少にあるとしたら、雇用の改善と景気の回復とは関係が薄くなる。安倍首相が「アベノミックスの成果だ」と強調するのは論理的ではないということにもなるだろう。同時に雇用の改善が景気を押し上げる力も、それほど大きくはないということになる。

この点については、もう1つナゾがある。6月の求人倍率をみると、正規社員は0.88倍でまだ1倍に達していない。その半面、パートは1.30倍と高くなっている。このように企業の求人は非正規社員に向いており、結果として就職した人の給与は平均よりずっと低くなる。すると労働者全体の平均賃金は下がらざるをえない。

家計調査でも同様の結果が出る。世帯当たりの平均収入は低下し、そのため平均支出額も減少してしまう。この現象は非正規社員の雇用が増えれば増えるほど、強く現われる。それをみて「家計の消費支出が伸びないから、景気が回復しない」と嘆くのは、いかがなものか。政府やマスコミも、平均値のマジックについて再考してみる必要があるのでは。

      ≪3日の日経平均 = 下げ -308.34円≫

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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企業業績は 急な下り坂 : 4-6月期
2016-08-05-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 外需も内需も不振 = 上場企業の業績が急速に悪化している。日経新聞が4-6月期の決算発表を終えた536社の経常利益を集計したところによると、前年比で24%の減益となった。新興国経済の減速と円高の進行で、自動車や電機など輸出企業の採算が悪化。加えて国内でも消費が伸び悩み、小売り業などの収益も減少している。全社の決算発表が終わっても大勢は変わらず、3四半期連続の減益決算になる可能性が大きい。

SMBC日興証券も、1部上場企業の利益を集計した。それによると、金融を除く526社の税引き後利益は前年比31.8%の減少。業種別では輸送用機械が51.5%、電機が45.0%の減益。小売り業は26.4%、食料品は25.5%の減益などとなっている。この結果、17年3月期の業績予想についても、慎重な見方をする経営者が増えているという。

今後の注目点は、やはり円相場の行くえ。この点については、日銀の金融政策が大きなカギを握っている。また内需の振興は、政府による新経済対策がどの程度まで効果を発揮するか。いずれにしても、落ち込み始めた企業業績を上向かせることが出来るかどうかで、アベノミックスの最終的な評価が決まることになりそうだ。

日経新聞によると、業績は下り坂だが、それでも日銀が異次元緩和を打ち出した13年の水準よりは高いという。だが、そう書かれてもピンとこない。というのも企業の業績については時系列的な統計がなく、現在と過去を比較しにくいからだ。たしかに上場企業の社数が変わったり、技術的に難しい問題はあるだろう。しかし日経平均株価は一定のルールのもとに、きちんと算出されている。ぜひ企業業績指数という統計を作成してもらいたいものだ。

      ≪4日の日経平均 = 上げ +171.78円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 貯蓄する 日本人 ⑩
2016-08-06-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きい住宅ローンの圧力 = 日本人はなぜ貯蓄に励むのだろう。基本的には、国民性なのかもしれない。たとえばアメリカ人はカードで物を買い、マイナスになった口座をあとから給料で埋めるのが一般的だ。日本人はまず口座をプラスにしておき、それからカードを使う。こうした日本人の潔癖性が、いまの経済的環境によって一段と強められているように感じられる。

家計調査をもとに、年代別に経済的環境を探ってみよう。まず2人以上世帯で、世帯主が40歳未満の場合。平均貯蓄額は608万円だった。しかし負債額が942万円もある。このうち土地・住宅のための負債額は896万円、ほとんどが住宅ローンというわけだ。この年代の平均収入額は595万円だから、年収以上の借金をしていることになる。

40歳未満の人でも、借金ゼロの人がいる。このため40歳未満の世帯主で借金のある人だけを集計してみると、環境はもっと重苦しくなってしまう。貯蓄額の平均は582万円、負債額は1796万円にものぼる。貯蓄に比べて、負債は3倍という状態。これでは支出を切り詰めるしかない。

この年代層は、育児や教育にも負担がかかる。給与も伸びない。したがって生活費を切り詰めても、できるだけ早くローンを返済しようと考える。この節約志向が、個人消費の拡大を阻害する大きな原因になっていると同時に、貯蓄を増やす強い動機にもなっている。

                                (続きは来週サタデー)

      ≪5日の日経平均 = 下げ -0.44円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   
           

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2016-08-07-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ①

◇ 国債は国の借金 = サトシくんは、近ごろ嬉しくてたまりません。お父さんが「2階にサトシくんの部屋を作ってやる」と約束してくれたからです。でも少し心配なこともあります。新しい部屋を作るためには500万円かかりますが、家には300万円しか貯金がありません。そこで親せきの人に200万円を借りることにしたのです。そんなに借金して大丈夫なのかしら。

このように一般の家庭では、おカネが不足したときに借金をすることがあります。会社もよく借金をします。そして国もおカネが足りなくなると、借金をするのです。その方法は国債を発行して、これを銀行や個人や外国人に買ってもらいます。だから国債は、国の借用証だと考えてもいいでしょう。

借金は決められた時点で返済しなければなりませんね。またおカネを借りたお礼として、利息(りそく)を支払う必要があります。国債にはいろいろな種類がありますが、それはみな返済する時点と支払う利息が違っているからなのです。たとえば10年後に返済、利息は年に1%というように。

いま日本では、国債の発行が多すぎて問題になっています。いま実行されている16年度(16年4月ー17年3月)の予算では、国債の発行額は34兆4320億円。17年3月末の国債発行高は、過去に発行した分を含めて838兆円にも達する見込みです。この借金はいずれ国民が納める税金で返すことになりますが、この838兆円を国民1人当たりにすると、なんと664万円にもなるのです。

                                (続きは来週日曜日)
 
                    
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今週のポイント
2016-08-08-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY市場は、いつか来た道 = ニューヨーク株式市場は先週、弱含みで推移していた。イタリア銀行の経営不安に加えて、アメリカでも4-6月期のGDP成長率が1.2%止まり。さらに原油価格が40ドルを割り込んだことも売り材料になった。ところが金曜日に発表された7月の雇用統計では、非農業雇用者の増加数が予想をはるかに上回る25万5000人に。株価はこれで大幅に反発し、ナスダックは史上最高値を更新。ダウ平均は週間111ドルの値上がりで終わった。

日経平均は先週315円の値下がり。円相場が一時100円台にまで急騰し、4-6月期の企業収益も大幅な減益見通しとなったことが響いた。政府は2日の閣議で事業規模28兆1000億円の新経済対策を決めたが、市場は全く反応を示さなかった。8月27日に日銀が追加の金融緩和策を打ち出して以来、日経平均は先週末までに129円下げている。

ダウ平均はGDPで下げ、雇用統計で上げた。だが雇用が予想以上に好調だったため、市場ではまたまた9月の利上げ説が復活している。実体経済の回復を採るのか、FRBの利上げを警戒するのか。ウォール街は今週、いつか来た道へ迷い込むことになる。一方、東京市場の場合は、どうして財政・金融面からの経済対策を無視するのか。円高には勝てないと言ってしまえば、それまでだが。

今週は8日に、6月の国際収支と7月の景気ウォッチャー調査。10日に、7月の企業物価、6月の機械受注と第3次産業活動指数。アメリカでは12日に、7月の小売り売上高と生産者物価、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、7月の貿易統計。9日に、7月の消費者物価と生産者物価。12日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが12日に4-6月期のGDP改定値を発表する。

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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ガソリンは安い 夏休み
2016-08-09-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原油価格が40ドル割れ = ニューヨーク商品市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は先週、一時3か月ぶりに1バレル=40ドルを下回った。このため株価が低落、東京市場でもエネルギー関連株が売られている。世界的に原油の増産が進む半面、アメリカのガソリン消費が伸び悩んだことが原因。一方、日本国内のガソリン小売り価格は、夏休みにもかかわらず下げ続けている。

原油を増産しているのは、敵対関係にあるイランとサウジアラビア。イランは日量360万バレルまで生産を増やした。これに対抗する形でサウジも1000万バレルを超える勢い。加えてアメリカのシェール生産もリグ(掘削設備)の数が増えるなど、久しぶりに拡大に転じている。その一方、アメリカ国内では夏休みを当て込みガソリンの精製量を増やしたが、消費はそれほど伸びずガソリン在庫が増えてしまった。

ただ秋以降は、原油の需給がひっ迫するとみられている。IEA(国際エネルギー機関)はインドや中国などの需要が増大し、年末に向けて原油価格は上昇すると予測している。しかし価格が50ドルを超えると、アメリカのシェール生産が急増する可能性が強い。したがって、原油価格は40ドル弱~50ドルで推移するという見方が広まっている。

資源エネルギー庁の調べによると、8月1日時点でレギュラー・ガソリンの小売り価格は全国平均1㍑=122円10銭だった。ここ5週間は連続で下げており、昨年8月初めに比べると19円20銭安くなっている。ことしの夏休みは、少し遠くにまで出かけても大丈夫なようだ。

      ≪8日の日経平均 = 上げ +396.12円≫

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


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トヨタにみる 円高対処法
2016-08-10-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 想定レートをより円高に修正 = トヨタ自動車は先週、17年3月期の業績予想を下方修正すると発表した。売り上げを前年比8%減少の26兆円に。営業利益を44%減の1兆6000億円、純利益を37%減の1兆4500億円に、それぞれ変更する。これはトヨタ車の販売台数が減るためではない。円高の進行に備えて、経営的に想定する為替レートを、従来より円高に設定し直したからである。

トヨタは17年3月期の為替レートを、当初は1ドル=105円、1ユーロ=120円と想定していた。しかし為替市場で予想以上に円高が進んだため、これを7月以降は1ドル=100円、1ユーロ=110円に改めることにしたもの。これにより期中の対ドル・レートは102円ということになる。

仮に当初から1ドル=100円を想定していれば、17年3月期の売り上げや利益はその分だけ低くなっていたはず。その場合と今回のように期中で下方修正しても、実際の売り上げや利益が変わるわけではない。実際の売り上げや利益は、市場での為替相場によって決まるからだ。だが株式市場の受け取り方は、全く違ってくる。

投資家は一般的に、業績予想が下方修正されることを嫌う。だから今回のトヨタの発表は、株式の売り材料になるはずだった。しかし為替の想定レートを円高の方向に修正したため、今後は業績を下方修正する可能性が小さくなった。投資家はこの点を好感して、トヨタの株価は逆に急伸した。自動車や電機など他の輸出企業も同様の措置をとれば、円高の進行による株価の下落をある程度まで防ぐことができるだろう。各社がトヨタ流の経営にどこまで追随するか、注目したい。

      ≪9日の日経平均 = 上げ +114.40円≫

      ≪10日の日経平均は? = 下げ


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企業版もスタート : ふるさと納税
2016-08-12-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 個人版は順調に拡大中 = 総務省は先週、全国87の自治体に対して企業版ふるさと納税の受け入れを認可した。企業が地方自治体を選んで納税すると、その金額の約6割が法人税から控除される仕組み。個人版ふるさと納税制度とは違って、物品などの見返りはない。自治体が定めた地域の再生事業を総務省が認可し、企業はその事業に寄付する形となる。総務省は今後も認可を増やして行く方針。

個人版ふるさと納税制度は08年から実施された。こちらは自治体へ納税すると、その寄付額から2000円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除される。自治体側はお礼の意味で地元の特産品などを送るから、納税者は2000円で特産品を手に入れることができるわけだ。したがって個人の場合は、欲しい特産品のある自治体を選ぶことが多い。

これに対して企業の場合は、自治体との癒着を避けるため、お礼の送付は禁じられている。企業としては、会社の創業地であるとか工場を操業しているとか、なんらかの地縁がある自治体を選ぶことになるだろう。この意味では同じ「ふるさと納税制度」と言っても、個人版と企業版では全く性質が異なると言える。

個人版ふるさと納税制度は、きわめて順調に拡大中だ。総務省の集計によると、15年度の納税額は合計1653億円。前年度の4.3倍に増加した。返礼品が充実したこと、寄付額の上限が2倍に引き上げられたことなどが影響している。最も多額の納税を受け取ったのは宮崎県都城市で、金額は42億3000万円。次いで静岡県焼津市が38億2000万円だった。

      ≪10日の日経平均 = 下げ -29.85円≫

      ≪12日の日経平均は? = 上げ


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サタデー自習室 -- 貯蓄する 日本人 ⑪
2016-08-13-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 老後の計画が立たない50歳代 = 世帯主が40歳代になると、負債額はピークに達する。家計調査によると、世帯平均の貯蓄額は1024万円。負債額は1064万円だった。貯蓄も増えて負債額に接近するが、まだ負債の方が多い。全体の64.6%に当たる世帯が負債を抱えており、負債保有世帯だけを取り出すと、貯蓄額が860万円なのに対して負債額は1653万円。まだまだ借金が重荷になっている。

50歳代になると、ようやく貯蓄額が負債額を超える。世帯平均の貯蓄額は1751万円。負債額の645万円を大きく上回った。負債のある世帯も、全体の54.6%に減少。負債保有世帯だけの集計でも、貯蓄額は1324万円で、負債額の1181万円を上回った。借金の返済にもメドがついて、ローンの重荷から解放される年代だ。

ところが一息ついてはいられない。子どもたちが大学に進んだり、結婚したり。高額の一時金も必要になってくる。さらにサラリーマンならば、どうしても定年がしだいに現実味を帯びてくる。定年後に年金はちゃんと貰えるのか。医療や介護の問題は大丈夫なのか。まだ先の話だとしても、少しずつ真剣に考え始める時期なのだ。

金融広報中央委員会の調査によると、50代の男女で老後の資金計画を立てている人は38%にとどまっている。老後に必要な生活費を知っている人は54.4%、将来受け取れる年金額を計算している人は40.3%だったという。つまり50歳代は老後の心配をし始めてはいるが、まだ十分には考えていない年代なのだろう。

                              (続きは来週サタデー)

      ≪12日の日経平均 = 上げ +184.80円≫

      【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2016-08-14-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ②

◇ 収入の35%が国債 = みなさんの家でも、ことしは貯金をいくら増やそうとか、新しいテレビを買おうとか、いろいろ計画を立てますね。その場合に、おカネがいくら入ってきて、いくら出て行くのか。そうしたおカネの出し入れを、あらかじめ計画的に作っておく。それが予算です。政府も毎年4月から翌年3月までの1年間について、予算を作ります。これが国の予算です。

それでは2016年度(ことし4月-来年3月)の予算を、ざっと見てみましょう。国がこの1年間に支出するおカネの総額を歳出(さいしゅつ)と言いますが、その金額はは96兆7000億円です。政府はこのおカネを使っていろいろ仕事をするわけですが、この歳出のなかに「国債費」という項目があって、23兆6000億円もの支出を予定していることを覚えておいてください。

また、この1年間に入ってくるおカネの合計を歳入(さいにゅう)と言います。歳入額は歳出額と同じ96兆7000億円です。その中身をみると、税金による収入が58兆6000億円。ほかに「国債」という項目があって、その金額は34兆4000億円にものぼっています。ここでは、国債による収入が全体の35%にものぼっていることを頭に入れておいてください。

「国債=国の借金」ということは、すでに勉強しました。つまり税金による収入よりも、借金の方が多くなってしまったのです。たとえば安倍くんの家にたとえると、1年間にどうしても967万円の支出が必要です。ところが、お父さんとお兄さんの収入では576万円しか見込めません。あと貯金などを使っても足りない分が344万円。それを借金するという計画です。日本はいま、こんなにひどい状況になってしまいました。


                                  (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2016-08-15-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ リスク取り始めた投資家 = ダウ平均は先週木曜日、終り値で1万8614ドルまで上昇。史上最高値を更新した。金曜日にはやや反落したが、週間では33ドルの値上がり。原油の国際価格が大幅に反発、デパートなど小売業の収益が予想ほど悪化しなかったことが、主な買い材料となった。その背景には、世界的に大きな不安材料が影を潜めたことがある。

そうした環境のなかで、日経平均も先週は665円の値上がり。日銀がETF(上場投資信託)の買い入れを増やしたことで、下値の心配がかなり薄くなったようだ。企業の決算は芳しくなかったが、その安心感が株価を支えている。今後は政府が打ち出した新経済対策の効果と、日銀が9月に公表する金融政策の検証に関心は移って行くだろう。

日経平均は7月中、6.4%の値上がりだった。日経新聞によると、過去の経験では7月に上昇すると、8月も75%の確率で値上がりするという。その予想が当たるかどうかは、まず世界的に新しい悪材料が発生しないこと。もう1つは、これ以上の円高にならないことが基本的な条件になる。この点、世界的にリスクが後退したにもかかわらず、円安にならないことが気にかかる。

今週は15日に、4-6月期のGDP速報。17日に、7月の訪日外国人客数。18日に、7月の貿易統計と6月の全産業活動指数。アメリカでは15日に、NAHB住宅市場指数。16日に、7月の工業生産、消費者物価、住宅着工戸数。18日に、7月のカンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


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ゼロすれすれの 成長率 : 4-6月期
2016-08-16-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ マイナス金利は住宅だけ刺激 = 内閣府が15日発表した4-6月期のGDP速報によると、年率に換算した実質成長率は0.2%にとどまった。1-3月期の2.0%成長から急減速しており、ほとんどゼロに近い水準に低下している。企業の設備投資と輸出が振るわず、住宅投資と政府による公共事業が下支えした形。景気の状態は決してよくない。

各需要項目の増減を年率換算でみると、個人消費は0.6%増。住宅投資は21.3%増、設備投資は1.5%減。公共投資は9.5%増、輸出は5.9%減だった。ここからみる限り、日銀のマイナス金利政策は住宅ローンの引き下げを通じて住宅投資を押し上げただけ。個人消費や設備投資には、全く効果がなかったとみていい。

最も重要な個人消費はプラスにはなったが、景気を力強く持ち上げるほどの勢いはなかった。雇用者報酬が名目値で1-3月期は2.5%増、4-6月期も1.9%増加した割に、支出は伸び悩んだ。賃上げが個人消費の増加に結び付かない現状が、ここにも表れている。

実質GDP成長率は14年度がマイナス0.9%、15年度がプラス0.8%。そして16年度の第1四半期がプラス0.2%となった。この2年以上にわたって、成長率はほとんどゼロに近い状態で推移している。政府はこの間ずっと「景気は回復基調」と言い続けてきたが、それを反省すること。そのうえで、なぜ消費が増加しないのかを徹底的に究明すべきだろう。さもないと、安倍首相の新経済対策も線香花火になりかねない。

      ≪15日の日経平均 = 下げ -50.36円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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漂流する TPP (上)
2016-08-17-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 多岐にわたる行くえ = アメリカ民主党の大統領候補となったヒラリー・クリントン氏は先週、ミシガン州で演説し「大統領になってもTPP(環太平洋経済連携協定)には反対する」と明言した。共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏は、当初から「TPPには絶対反対」の立場を崩していない。このため、どちらが次期大統領に当選しても、TPPの構築は困難な情勢となった。

TPPは日本やアメリカなど太平洋を取り囲む12か国が、輸入関税の撤廃など経済交流の自由化を目指して設立する新しい経済圏。これら諸国のGDPを合計すると、世界全体のGDPの36%にも達する。中心はアメリカと日本であり、この両国が批准しないと協定は発効しない取り決めになっている。このため仮にアメリカが批准しないと、協定は成立しない。

こうした条件のもとで、今後の進展はどうなるのか。考えられる岐路は、いくつもある。まずTPPの設立に努力してきたオバマ大統領が、来年1月の退任までに議会を説得して批准に漕ぎ着ける可能性。11月の大統領選挙が終われば議員も冷静さを取り戻すことに賭けるわけだが、時間がほとんどなく成功する確率はきわめて小さい。

次にクリントン氏が勝った場合。TPPについては「大統領になっても反対」と明言したが、同時に「自由貿易には原則的に賛成」とも付け加えている。ここから推測できることは、TPPの合意内容に修正を加えれば賛成という姿勢だ。しかし参加国は再び合意に向けた交渉を行わなければならない。修正の内容が過大だと、協議は難航する可能性もある。

                                 (続きは明日)

      ≪16日の日経平均 = 下げ -273.05円≫

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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漂流する TPP (下)
2016-08-18-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府・与党に戦略と覚悟はあるのか = 共和党のトランプ候補が大統領になった場合、少なくとも4年間はアメリカがTPPに参加することは期待できない。トランプ氏は「大統領になれば、クリントン候補はTPPに賛成するに違いない」と牽制。クリントン氏はやむなく「大統領になっても反対」と言わざるをえなかった。そのトランプ氏が大統領になって態度を豹変させることはありえない。

政府は9月の臨時国会に、TPP関連法案を一括して提出する。その審議でTPPの行くえについて、政府側は「アメリカ大統領選挙の結果を見てから考える」と答弁するだろう。だが、そんな悠長な姿勢でいいのだろうか。少なくともクリントン大統領の場合に備えて、再交渉の戦略を十分に練り上げておく必要がある。

大統領選挙戦を通じて、特に自動車業界と医薬品メーカーの強いTPP反対が明らかになった。クリントン大統領は、この2つの分野を中心にTPP協定の見直しを求めてくる公算が大きい。日本としては、どのように対応するのか。いまから十分に作戦を練り上げておくべきだ。国内企業との調整も必要になってくる。

トランプ大統領の場合は、どうするのか。アメリカが批准しなければ、現在のTPP協定は発効しない。そのとき日本はTPPを断念するのか。あるいはTPPに賛成した10か国をまとめて、アメリカ抜きの新しいTPP協定を作る方向で努力するのか。それには相当のリーダーシップが不可欠だが、安倍首相と政府・与党の幹部がそれだけの覚悟とチエを持ち合わせているかどうか。

      ≪17日の日経平均 = 上げ +149.13円≫

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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10か月連続で減った輸出 : 7月
2016-08-19-Fri  CATEGORY: 政治・経済
自動車、鉄鋼、電機そろって減少 = 財務省が18日発表した7月の貿易統計によると、輸出は5兆7300億円で前年を14.0%下回った。この減少率は9年10月以来6年9か月ぶりの大きさ。一方、輸入は原油価格の低落で5兆2100億円にとどまった。前年比は24.7%の減少。輸入が大幅に減少したため、貿易収支は5100億円の黒字となっている。

輸出を地域別にみると、アジア向けは13.9%の減少。そのうち中国向けは12.7%の減少だった。最大の輸出先であるアメリカ向けは11.8%、EU向けも6.5%減少している。また商品別にみると、自動車が11.5%減少したのをはじめ、鉄鋼は21.7%、電機も13.4%減少した。そのほか、ほとんどの輸出品目が前年比で減少を記録している。

輸出の減少は、これで10か月続いた。その主な原因が円高にあることは間違いない。ちなみに7月の平均円相場は103円14銭。昨年7月に比べると、16.2%の円高となっている。加えて輸出相手国の経済が停滞気味だったことも、輸出不振の原因になった。さらに言えば、需要を喚起するような新製品の開発がなかったことも、輸出の減少につながった。

国内の景気回復は、輸出がダメなら内需に頼るしかない。だが内需は経済の先行きに不安があるため、なかなか拡大しない。となると、円相場の下落を期待するだけなのか?  しかし原油価格の低落で、貿易収支は黒字を保つ。これが円高の原因にもなっている。この行き詰まりを打開できるのは、政府・日銀の政策だけかも。秋の新経済対策に、そんな力があるのだろうか。

      ≪18日の日経平均 = 下げ -259.63円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 貯蓄する 日本人 ⑫
2016-08-20-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 高齢者は資金が足りるのか不安 = 一般的に言って、60歳以上の高齢者はお金持ちだ。借金はほとんど返し終わり、世帯主が無職の場合の平均貯蓄額は2430万円にのぼっている。形としては経済的に安定しているが、悩みのタネは人生を全うするまでの生活資金が足りるかどうかの問題。その一方で、この年代では貧富の差がきわめて大きくなっている。

家計調査によると、世帯主が60歳以上の2人以上世帯では、その3分の1が2500万円を超える貯蓄を保有していた。ところが半面、貯蓄がない人や100万円未満の人も全体の8%に達している。また厚生労働省の集計によると、ことし3月時点で生活保護を受けている65歳以上の高齢者世帯は82万6700世帯。保護を受けている世帯全体の半数をはじめて上回った。

びっくりするのは、博報堂が60-74歳を対象に実施した意識調査の結果だろう。「欲しいものは」という問いに返ってきた答えは「おカネ」が40.6%で、「幸せ」の15.7%をはるかに上回った。また「先の見通しは暗い」と答えた人は46.7%にも達している。今後の生活資金を心配している様子が、端的に表れている。

じっさい、年金制度の将来には不安がある。受け取る年金額も、保険料の引き上げでだいぶ目減りしてきた。貯蓄を増やそうとしても、預金金利はゼロに等しい。国債の利回りもマイナスになってしまった。ゼロ金利政策の影響で、一時払い終身保険も販売停止。そのうえ日銀は、物価の上昇にご執心だ。だから将来がますます不安になる。

                              (続きは来週サタデー)

      ≪19日の日経平均 = 上げ +59.81円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2016-08-21-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ③

◇ 古い国債の歴史 = いまのような国債は、オランダで16世紀に誕生しました。それまでヨーロッパの各国では、国王が勝手に債券を発行して戦争の費用などに充てていました。それを議会が承認して、政府が発行する形に変えたのです。この方式がイギリスに伝わって、さらに改善されました。多くの国々がその制度を取り入れ、今日にいたっています。

日本がはじめての国債を発行したのは1869年(明治3年)のことです。東京ー横浜間に鉄道を作る資金にするためでした。ところが、この最初の国債は国内ではなく、イギリスのロンドンで販売されたのです。国内では売れる見込みがなかったため、当時は金融がいちばん発達していたロンドンで売り出されたのでした。国内では1877年(明治11年)になって、はじめて国債が売り出されています。

戦後は1947年(昭和22年)に、経済を復興するための国債が発行されました。経済が立ち直ると、景気のいい状態が続いたので、国債はそれほど発行されませんでした。税金による国家の収入が伸びたために、国も借金する必要がなかったのです。しかし1990年代に入ると、バブル経済の崩壊で景気が悪くなり、政府は94年から本格的な国債の発行を再開しています。

それでも1999年(平成11年)末の発行残高、つまりそれまでに発行した国債の総額はまだ320兆円でした。それが5年後には489兆円に。さらにことし3月末には812兆円。このまま行くと来年3月末には838兆円にふくれ上がる見通しになっているわけです。最近になって国債の発行が急増しているのは、景気を良くするための対策と高齢化による福祉関係の費用が増えているからだと言えるでしょう。


                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2016-08-22-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 真夏の夜の夢 = ニューヨーク市場は先週、やや不可解な動きに終始した。FRBの議事録で利上げに慎重な姿勢が示され、消費者物価の上昇率が予想より低かったことなどから「9月の利上げはない」という見方が市場に広がった。だが株式市場はこの見方にあまり反応せず、ダウ平均は週間24ドル値下がりしている。ところが為替市場では大きく反応し、ドル安が進んだ。

この流れを受けて、東京市場でも円相場は何度か99円台にまで上昇。これが大きな原因となって、日経平均は週間374円の値下がりとなった。ダウ平均が上昇しなかったのは、史上最高値の水準にあって利益確定の動きが強まったからかもしれない。一方、円相場には「8月は円高になりやすい」という季節的な要因が作用したのかもしれない。しかし、それにしても「真夏の夜の夢」のように、やや現実感に乏しい一週間だった。

「真夏の夜の夢」は、今週も続くかもしれない。夏休みで投資家が市場から離れていることもあって、株式市場は小休止の状態が続きそうだ。しかし為替相場の方は、参加者が少ない方が動きやすい。そして動くとすれば、円高に振れやすい。政府・日銀が口先介入でもしない限り、円相場は95円に向かう危険性もある。要注意だ。

今週は25日に、7月の企業向けサービス価格。26日に、7月の消費者物価。アメリカでは23日に、7月の新築住宅販売。24日に、7月の中古住宅販売と6月のFHFA住宅価格。26日に、4-6月期のGDP改定値が発表される。

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円高の根底に潜む 日銀不信感
2016-08-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 9月の政策検証に疑念 = 円高圧力が、またまた強まってきた。円の対ドル相場は先週、何回かにわたって100円を突破。6月下旬以来2か月ぶりの99円台を記録している。6月の場合はイギリスのEU離脱で緊張が高まり、安全資産と目される円が買われた。だが今回は、特に円買いを刺激するような原因は見当たらない。

新聞などの解説によると、FRBによる利上げは遠のいたという見方が強まり、ドル安・円高になったという。だが、その根拠はあまり判然としない。その証拠にニューヨーク株式市場は先週、小幅に下落していた。また過去の例からみて、夏場は円高になりやすいという説明も流布している。たとえば10年と11年、さらに昨年も夏には円高となった。特に11年は75円台の過去最高値を付けている。

だが、それにはそれなりの理由があった。10年はギリシャの財政危機、11年は東日本大震災。そして昨年は中国の経済不安が、円相場を押し上げる原因となった。しかし今回は何もない。もちろん中国の経済不安は続いているし、イギリスのEU離脱問題も尾を引いている。けれども、これらの不安要因はいずれも小康状態に入っており、市場もそれほど警戒しなくなってきている。

そんななかで外国人投資家が気にし始めたのは、日銀が9月に発表する「金融政策の検証」である。マイナス金利政策は、景気に対しても物価に対しても効果がない。逆に副作用の方が大きくなっている。この事実を踏まえて、日銀はマイナス金利政策を縮小の方向で修正するかもしれない。メンツの問題から「政策は継続する」と言ったとしても、マイナス金利政策の深掘りはないだろう。こうした読みが浸透して、円を買う投機家が増えているのではないか。

       ≪22日の日経平均 = 上げ +52.37円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ

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“陥没”は免れた イギリス経済 (上)
2016-08-24-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 7月の経済は堅調に推移 = イギリスのEU離脱を決めた国民投票から、ちょうど2か月が経過した。だがイギリスの経済に、いまのところ大きな動揺はみられない。最近発表された7月の経済指標を眺めても、たとえば小売り売上高は前月比1.4%増加。消費者物価は前年比0.6%上昇、失業者数は8600人減少という具合。国民投票前の状態と特に変わった点は見出せない。

国民投票の前、仮にEU離脱となればイギリス経済は厳しい状況に陥るとの予測が相次いだ。CBI(イギリス産業連盟)は「経済的な損失は16兆円にのぼり、100万人の雇用が失われる」と警告した。IMF(国際通貨基金)も「19年までにGDPは5.6%減少するだろう」と予測した。

だが離脱決定から2か月、いまのところ混乱の兆しはない。離脱決定で急落したポンドの相場は、このところ上昇している日本円に対しても国民投票前の水準をやや下回る程度にまで戻してきた。ロンドン株式市場のFTSE指数は、離脱前の水準を上回っている。もちろん将来のことはまだ不明だが、少なくとも離脱決定直後の“陥没”は回避できたと言える。

その最大の理由は、イギリス政府がEUに対する正式な離脱申請を遅らせていることにある。申請をしていないから、現在のイギリスとEUの関係は国民投票前と何も変わっていない。したがってロンドンなどに拠点を置いている海外の企業は、イギリス脱出の用意はしながらも様子見で動かない。このためイギリス経済は“陥没”を免れ、ほぼ正常に機能している。

                                 (続きは明日)

      ≪23日の日経平均 = 下げ -100.83円≫

      ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“陥没”は免れた イギリス経済 (下)
2016-08-25-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 将来展望はやはり厳しい = EUに対する離脱通告をできるだけ遅らせるというイギリス政府の作戦は、いまのところ効果をあげている。その結果、イギリス経済は離脱決定直後の“陥没”を回避することができた。だがイギリス政府は今後、加盟国と大差のない待遇を獲得することを目指して、EUと交渉しなければならない。その道はどう考えても、決して楽ではなさそうだ。

イギリスが求めるのは、おそらくEEA(ヨーロッパ経済地域)型かスイス型だろう。EEAというのはアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが結成。スイスはEUと特別な経済協定を結ぶことで、いずれもEUとの間で加盟国に近い待遇を得ている。イギリスとしてはEUとの新しい関係をこうした形で構築したいと考えているようだが、はたしてうまく行くかどうか。

EUはイギリスに対して、表向きは「離脱通告を早くするよう」要求している。だが事実上はイギリスの時間稼ぎを黙認しているようにみえる。というのもイギリス経済が大混乱に陥れば、EUにも大きな被害が生じるからだろう。しかし大国であり離脱を決めたイギリスに、EEAやスイス並みの待遇を与えるとは考えにくい。他の加盟国に離脱の口実を与えることになりかねないからである。

EUとイギリスの交渉はすでに始まっているが、その落ち着く先は全く予測できない。おそらく交渉は1年以上かかるだろう。その間、いろいろな情報や推測が飛び交い、そのたびに世界の金融市場が反応する。日本をはじめイギリスに本拠地を構える企業は、本拠地の移転を決断するかどうか迷わされる。いずれにしても、イギリス経済はゆっくりと追い詰められて行くのではないか。

      ≪24日の日経平均 = 上げ +99.94円≫

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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姑息な 金融庁のNISA改正案
2016-08-26-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 期間延ばしてワク削る = 金融庁がNISA(少額投資非課税制度)の改正に乗り出した。NISAというのは、毎年120万円を限度に、株式や投資信託への投資で得た売買益や配当を非課税にする制度。14年1月にスタートし、ことし3月末には口座数が1012万件に達した。だが最近は口座数がほとんど増えなくなったため、金融庁が制度を改正しテコ入れすることになった。

改正案の内容は、現在5年間となっている非課税期間を20年に延長する。その代わり、いまは毎年120万円となっている預け入れ限度額は年60万円程度に縮小するというもの。この2点を軸に財務省ともすり合わせ、来年度の税制改正大綱に盛り込む方針。非課税の期間は延ばすが、利用できる限度ワクは縮小する。これでは優遇措置が強化されたのかどうか、きわめて判りにくい。

政府はことし4月から、ジュニア版NISAも発足させた。こちらは未成年の子どもや孫を名義人とし、親や祖父母が非課税で投資できる制度。毎年80万円が限度で、教育資金の積み立てや生前贈与の促進を狙っている。ところが成績は絶不調。5月末で4万8600件しか利用されていない。業界では、名義人が18歳になるまで引き出せない規制がネックになったと指摘している。

だがジュニア版がスタートした4月から5月末までに、日経平均はわずかではあるが下落している。こうした環境では、投資はしにくい。おとな版NISAが伸び悩んだのも、株価の低迷が響いているのだろう。金融庁は姑息な改正案よりも、株価を上昇させるような政策を考えることが本道と心得るべきだ。

      ≪25日の日経平均 = 下げ -41.35円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


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サタデー自習室 -- 貯蓄する 日本人 ⑬
2016-08-27-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 好きで貯蓄しているわけではない = 「日本人は貯蓄好きだ」と、よく言われる。だが現代の日本人は、好きで貯蓄しているわけではない。家計調査で各年代が置かれた経済的環境をみると、すべての年代が貯蓄せざるをえない状況にあることが判る。まず若年層は収入が低く、それほど貯蓄できる状態ではない。しかし収入の増加が見込めないため、少しでも貯蓄しておこうと努力する。

中年層は住宅ローンの返済に、一生懸命だ。というのも借金を抱えたままで、定年を迎えたくない。年金制度は大丈夫なのか。医療や介護についても、将来の不安は絶えない。老後に備えて、貯蓄を増やしておきたい。さらに老年層は人生を終えるまでの生活費を、いかにして確保すればいいのか。そう考えると、やはり貯蓄の重要性が頭から離れない。

要するに各年代とも、将来に不安を感じている。財政の状況からみると、長期的に増税は避けられないのではないか。年金は減らされるのではないか。医療費や介護費は高騰するのではないか。こうした点に関する政府の長期ビジョンは、どうも明確ではない。それなら自分で貯蓄を増やし、自衛するのが賢明だ。

安倍内閣は賃金を上げることによって消費が拡大し、経済の好循環が始まることを期待している。だが多少の賃上げが実施されても、国民の大多数が将来に不安を感じていれば貯蓄を増やすだけに終わってしまうだろう。日本人の貯蓄は、政府が財政・年金・医療・介護の将来像をきちんと描けないことが原因である。

      ≪26日の日経平均 = 下げ -195.24円≫

      【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2016-08-28-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第11章 国債って、なんだろう? ④

◇ たくさんの種類 = 国債には、いろいろな種類があります。その種類の分け方も、なかなか複雑です。たとえばチューリップを分類するとき、赤や白や黄色といった色で分けたり、花の大きさや形で分けたり、くきの高さで分けたりできますね。これと同じように、国債もいくつかの面から分類することができます。

きょうは国債の利子と返済されるまでの期限によって、分類してみましょう。国債の利子は半年に1回支払われます。その利子の金額がずっと変わらない国債を固定利付き債、毎回支払われる利子が変わる国債を変動利付き債と言っています。このうち固定利付き債の返済期限は、2年、5年、10年、20年、30年、40年と6種類もあります。40年とは、ずいぶん長い期間ですね。

この国債の返済期限のことを、正しくは償還(しょうかん)期限と呼ぶことも覚えておいてください。たとえば償還期限10年の固定利付き債を100万円買ったとしましょう。仮に利子が年2%だとすると、1年間の利子は2万円ですね。それを半年に1回支払ってくれますから、半年ごとに1万円の利子を受け取ることができるわけです。そして10年後には元金の100万円も返ってくることになります。

一方、変動利付き債の償還期限は、10年と15年の2種類だけ。こちらの金利は、そのときの金融状況によって変わりますから、半年に1回受け取る利子は1万円より多いこともあれば少ないこともあるわけです。ただ元金が10年あるいは15年たつと返ってくるのは、固定利付き債の場合と同じです。
                    

                                  (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2016-08-29-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2日の米雇用統計がすべて = イエレンFRB議長は先週26日、ワイオミング州で「雇用は改善し、追加利上げの条件は整った」と講演した。さらにフィッシャー副議長は「年内2回の利上げの可能性」を否定しなかった。このニュースが流れると、ダウ平均株価は大幅に上昇したあと反落。円の対ドル相場は2円近くも下落した。市場の目は、9月2日に発表される8月の雇用統計に釘づけとなっている。

夏休みの影響もあって、先週の市場は方向感に乏しい動きを続けていた。それが週末になって、一気に目を覚ました感じ。いつものように利上げができるほどアメリカ経済は堅調だという見方と、利上げで市場への資金流入が縮小するという見方が交錯した。結局は警戒感がやや勝って、ダウ平均は週間157ドルの値下がり。日経平均は185円の下落だった。

2日に発表される雇用統計で、8月の非農業雇用者数が20万人以上増加すれば、FRBが20-21日に開く政策決定会議で再利上げが決まるだろう。それがニューヨーク市場の株価にどう響くかは、やや不鮮明だ。しかし円相場は下落する公算が大きいから、東京市場にとってはプラス要因になる。逆に雇用統計の内容が悪いと、円高が進んでしまう結果になりかねない。

今週は30日に、7月の労働力調査、家計調査、商業動態統計。31日に、7月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計と8月の新車販売台数。2日に、8月の消費動向調査。アメリカでは30日に、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数と6月のSPケースシラー住宅価格。31日に、7月の中古住宅販売。1日に、8月のISM製造業景況指数と新車販売台数。2日に、8月の雇用統計と7月の貿易統計。また中国が1日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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日銀が ETFを買い控えるワケ
2016-08-30-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ アテがはずれた市場 = 日銀は7月29日、金融緩和の追加策を決定した。その内容は、市場から買い入れるETF(上場投資信託)の額を年間3兆3000億円から6兆円に拡大するというもの。これを1日平均にすると250億円にもなる。株価にとっては強力な下支えになるとみられ、市場は歓迎ムードに包まれた。日経平均は8月半ばまでに500円ほど上昇している。だが現在は再び7月末の水準に戻ってしまった。

8月の後半に株価が下落した大きな理由の1つは、日銀がETFをそんなに買っていないことが判明したことにある。株価が下がっても買わない日も多く、8月中の購入額は計画の6割にも達していない。これでは株価の下支え役としては何とも頼りない。市場はこのところ、日銀に対する信頼感をすっかりなくしているようだ。

なぜ日銀は決定した緩和策を実行しないのか。これについては、いろいろな憶測が飛び交っている。いちばん有力なのは、昨年の失敗を反省したという説。昨年は年間3兆円を買い入れる計画だったが、9月末までに2兆5000億円を使ってしまった。市場はこれをみて、年末の買い出動は弱いと考え、売りに回った。ことしはその二の舞いを避けるために、買い控えているというわけだ。

また株価が下がったときに必ず買い出動すると、短期売買の投機筋に利用されかねない。その目をくらますための作戦だという見方もある。だが、いちばん大きな理由は、政府との連携プレーを華やかに演出するための材料を温存しておきたいと考えているからだろう。政府は9月の臨時国会で補正予算を成立させ、新経済対策を実行に移す。そのとき日銀も国債の購入額を増やすだろうが、同時にETFの買い入れ余力もあることを誇示したいのではないか。

      ≪29日の日経平均 = 上げ +376.78円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


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構造改革は どこへ行った? (上)
2016-08-31-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 迫力に欠ける新経済対策 = あすから9月。臨時国会が召集され、アベノミックスの総仕上げともなる新経済対策の審議が始まる。その焦点は総額4兆5221億円にのぼる16年度第2次補正予算。事業規模は28兆1000億円に達し、政府はGDPを1.3%押し上げる効果があると試算している。だが一般の受け取り方は、むしろ冷ややか。株式市場などの反応も薄い。どうにもパンチ力に欠けているように感じられるからだ。

補正予算の内容をみると、大型クルーズ船の来航に備えた港湾整備などに1兆1056億円。保育の受け皿整備などに7137億円。東日本と熊本地震被害の復興に1兆9688億円などとなっている。また財政投融資を3兆6022億円増加し、リニア新幹線の建設を促進する。これにより16年度の一般会計予算は100兆円を突破した。財源として建設国債を2兆7500億円、財投債を3兆1000億円増発する。

政府は年内に編成する17年度予算についても公共事業費などを増額し、切れ目のない景気対策を実施して行く方針だ。だが、こうした経済政策は過去に何回も実施してきている。その結果、一時的に成長率は高まるが、政策の効果が切れると景気は逆戻り。あとに残るのは、財政赤字だけという経験を繰り返している。国民はこのことをよく知っているから、冷ややかに眺めているのだろう。

経済成長を持続させるためには「構造改革が必要だ」と、よく言われる。専門家だけではなく、安倍首相をはじめ政府・与党の幹部もそう言い続けてきた。ところが今回の新経済対策には、その点が抜け落ちている。だから「これなら景気は持続的に上昇しそうだ」という印象が湧いてこない。構造改革は、どこへ行ってしまったのだろう。

      ≪30日の日経平均 = 下げ -12.13円≫

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ


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