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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
ことしの夏も 電力ピンチ!
2023-04-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府はこの1年間なにをやったのか? = 日経新聞は29日の夕刊(東京版)で「電力需給、今夏も逼迫」と報じた。経済産業省がこの夏の電力予備率を予測したところ、東京電力管内では「7月が3.0%、8月が3.9%」になる見通し。電力の安定供給には3%の予備率が必要な最低限度。また政府は予備率が5%を下回ると「電力需給逼迫注意報」を出すことにしている。したがって、この数値は完全な危険水域だと言える。

予備率というのは、ピーク時の電力需要に対して供給力の余裕がどのくらいあるかを示す指標。供給力から需要を差し引いた値を需要で割って算出する。需要には常に3%程度の変動が伴うため、予備率が3%を下回ると需要が供給を上回って大規模停電を起こす危険度が高まるという。

昨年夏も電力はピンチだった。政府は6月に初の「電力需給逼迫注意報」を発令、企業や家庭に節電を呼びかけた。その結果もあって、なんとか停電は免れている。ことしは、どうだろう。全国の桜が例年より早く開花したことをみても、夏は暑くなりそうだ。またコロナが下火になったことから経済の正常化ガ進み、人々の社会・経済活動が活発になっている。需要は昨年よりも大きくなるのではないか。

その一方で、供給力はほとんど伸びていない。1年前に比べて原発の稼働数は増えていないし、太陽光や風力など再生エネルギーによる発電量の増加も微々たるものだ。その結果、発電に使用されるエネルギーの大半は輸入燃料に頼る火力。温暖化ガスの排出は減らないし、燃料の輸入代金がかさんで貿易赤字は年間20兆円を超える。購買力の海外流出が巨大なため、景気も浮上しない。この1年間、政府は何をやってきたのだろうか。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +258.55円≫

        【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】     


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今週のポイント
2023-04-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金融不安の減退で活気づいた株式市場 = ダウ平均は先週1037ドルの大幅な値上がり。昨年11月上旬以来の週間上げ幅となった。終り値は3万3000ドルを回復、金融不安による落ち込み分をほぼ取り戻している。特に大きな上げ材料はなかったが、シリコン・バレー銀行の倒産から3週間たって金融不安がほぼ解消したことが心理的な支えになった。

日経平均は先週656円の値上がり。終り値は2万8000円台を回復した。こちらも金融不安の減退が、基本的には安心材料。それに先週は年度末で配当目当ての買いも大きかった。これで3月は595円の上げ。インバウンドの増加期待で内需株が買われた一方、銀行・保険株は戻りも遅かった。年度末の株価は、昨年末比で1946円の上昇となっている。

シリコン・バレー銀行に端を発しスイスに飛び火した金融不安は、金融当局の素早い対応もあって一段落したようだ。たとえばニューヨーク市場の恐怖指数と呼ばれるVIXも、シリコン・バレー銀行以前の水準にまで低下した。この安心感は、今週も続くだろう。ただアメリカでは同時に、景気後退に入る可能性が急速に高まっている。この新たな不安を、市場はどう消化するのだろうか。

今週は3日に、3月の日銀短観、新車販売。7日に、2月の毎月勤労統計、家計調査、景気動向指数。アメリカでは3日に、3月のISM製造業景況指数。5日に、2月の貿易統計、3月のISM非製造業景況指数。7日に、3月の雇用統計が発表される。

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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景気後退への 注意報 : 日銀短観
2023-04-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 23年度の純利益は3.8%の減少へ = 日銀は3日、3月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス1で、昨年12月調査に比べて6ポイントの悪化だった。業種別では石油・石炭がマイナス46で13ポイントの悪化、電機がプラス3で15ポイントの悪化、自動車がマイナス9で5ポイントの改善などとなっている。悪化の原因は原材料・エネルギー価格の高騰、欧米諸国の金融引き締め。自動車は部品供給体制の回復で改善した。

大企業・非製造業はプラス20で1ポイントの改善。コロナ規制の解除やインバウンドの復活が、全体を下支えした。業種別では小売りがプラス18で10ポイントの改善、情報サービスがプラス42で2ポイントの改善、対個人サービスがプラス24で4ポイントの改善。宿泊・飲食サービスは0で前回と変わらずだった。宿泊・飲食サービスは、人手不足が改善を妨げている。

3か月後の予想をみると、大企業・製造業はプラス3で2ポイントの改善、大企業・非製造業はプラス15で5ポイントの悪化。物価高・人手不足・規制解除の効果一巡に加えて、世界経済の低迷が重荷となってくる。この結果、22年度と23年度の純利益は大企業・製造業が6.5%の増益から6.1%の減益へ。大企業・非製造業は22.7%の増益から5.5%の減益へ。全規模・全産業でも10.5%の増益から3.8%の減益へと悪化する見込みだ。

内閣府が発表した昨年10-12月期のGDP改定値は年率換算で0.1%、速報値の0.6%から大きく下方修正された。短観の結果から推測すると、1-3月期のGDPも拡大はムリ。下手をすると、マイナスに落ち込む可能性も小さくはない。世界経済が明らかに下降線をたどり始めたなか、政府は114兆円にのぼる巨大予算を編成した。だが成長部門への支出が少ないため、企業は先行きに明るさを感じ取れない。日銀の短観は、景気後退への注意報だと読み取れる。

        ≪3日の日経平均 = 上げ +146.67円≫

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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分水嶺に立たされた NY株式
2023-04-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気後退は敵か味方か = シリコン・バレー銀行の倒産に端を発した金融不安は、どうやら収束したようだ。このため先週のニューヨーク市場では、株価が大幅高を演じている。だが連鎖倒産などの危険性はなくなったが、その副作用はまだ色濃く残っている。たとえば株式市場では銀行、保険などの金融株が売られたまま。金融機関の企業に対する融資態度も、にわかに厳しさを増した。市場はこの副作用をどう評価するのか。

金融不安の最中だったにもかかわらず、FRBは利上げを継続した。これで政策金利は年5.0%に。景気を抑制する力は、一段と強くなった。そこへ金融不安の副作用が加わる。このため「ことし後半には景気後退入り」という見方が、急速に広まった。と同時に市場では「ことし後半に利下げ」の期待も急速に強まり、株価を押し上げた。

FRBは金融不安に対処するため、金融機関に対して巨額の資金を貸し出した。結果的には、これが量的緩和と同じ効果を挙げ、株価の上げ要因となった。しかし金融不安の収束でこの措置は終了、FRBは再び量的引き締めに戻る。市場としてはやはり警戒せざるをえない。リスク回避の動きが高まり、資金は債券、金、MMFなどに移動しつつある。

金融不安の収束が、株式市場にとってプラス材料だったことは確か。だが同時に、景気後退の影が間近に迫ってきた。これでFRBの利下げが早まればいいが、企業の業績が悪化すれば株価にとっては打撃となる。その境目は、景気後退の深さと長さによって決まる可能性が大きい。ニューヨーク市場は、いまその見極めを迫られた形。実体はどちらに転ぶのか、市場は分水嶺に立たされている。

        ≪4日の日経平均 = 上げ +99.27円≫ 

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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大丈夫かな? こども家庭庁
2023-04-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 大きすぎる仕事量をこなせるのか = こども家庭庁が発足した。内閣府・文部科学省・厚生労働省に分かれていた子ども関連の部署を一本化し、タテ割りを廃して子ども問題の司令塔とすることが目的。だが職員は総勢430人で、官庁としてはかなり小ぶり。ところが今年度の予算は、4兆8000億円ときわめて大きい。このことは職員1人当たりの仕事量が、非常に多いことを暗示しているようだ。

最初の仕事は、政府が3月末に公表した「少子化政策のたたき台」を肉付けすること。この「たたき台」は、児童手当の所得制限撤廃や出産費用の保険適用から、男性の育休取得や保育士の配置基準見直しなど、きわめて多岐にわたっている。こども家庭庁は、その1つ1つについて具体案を作成、必要な経費を計算しなければならない。

さらに内閣府から引き継いだ保育所と認定こども園については、調査し改革案を作らねばならない。また関係省庁や地方自治体、あるいは民間団体との情報交換も大事な仕事。勧告権という強力な武器は与えられたが、それを使うようでは司令塔としては失格だろう。そうならないためには日ごろから綿密な関係を構築する必要があるが、これには大変な努力と気遣いを要する。

とにかく結婚・出産から育児・教育、さらには働き方改革からいじめや自殺防止まで。扱う問題は限りなく幅広い。しかも少子化対策は待ったなし。いちいち官邸にお伺いを立てていたのでは、間に合わない。だが、こども家庭庁には、財源を決める権限はない。こうした状況で、はたして膨大な仕事をこなして行けるのか。最初からケチを付ける気は全くないが、どうにも心配になってしまう。

        ≪5日の日経平均 = 下げ -474.16円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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原油価格は もう下がらない! (上)
2023-04-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 電気値上げ圧縮は空振りか? = 大手電力6社は、家庭向け規制料金の値上げ幅を圧縮して再申請した。経済産業省の要請に従い、原油や天然ガスの輸入価格が低下した昨年11月-本年1月を積算の根拠とすることで圧縮が可能となった。たとえば東京電力の場合、当初は29.3%の値上げを申請していたが、再申請では17.1%に縮小されている。経産省は値上げ申請のあった北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄の7社に圧縮を要請したが、北陸電力だけは応じなかった。

話は飛ぶが、OPEC(石油輸出国機構)プラスと呼ばれる産油国連合のうちの8か国が2日、5月から自主減産することで合意した。サウジアラビア・イラク・アラブ首長国連邦・クウェート・カザフスタン・アルジェリア・オマーン・ガボンの8か国で、日量116万バレルを減産する。またOPECプラスは、昨年10月から続けている日量200万バレルの減産も再確認。このうちロシアは日量50万バレルの減産を継続する。

この合意を受けて、原油の国際価格は急騰。ニューヨーク取引所のWTI(テキサス産軽質油)の先物相場は、1バレル=70ドル強から81ドル台にまで急上昇した。この相場はこの冬60ドル台に落ち込んでおり、経産省はその水準を土台に値上げ申請をやり直すよう指導したわけ。それがホッとする間もなく、国際価格は80ドルに乗せてしまった。運が悪かったと言うしかない。

原油の国際価格は、これまでも大きな変動を繰り返してきた。世界経済が上向いて需要が増えれば上昇、需要が減って価格が下がれば産油国が減産して支えるという構図だった。だから今回も「しばらくすれば、また下がる」と見る人は多い。しかし、この1-2年で世界各国間の政治・経済的な力学は、大きく変動した。その結果、原油の国際価格は下がりにくくなったと考えられる。その状況を、もう少し掘り下げてみると・・・。

                     (続きは明日)

        ≪6日の日経平均 = 下げ -340.63円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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原油価格は もう下がらない! (下)
2023-04-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカの中東に対する影響力が低下 = 世界各国間の政治・経済的な力学が大きく変動したきっかけは、アメリカがシェール石油の増産に成功したことだ。これでアメリカは石油の純輸出国となり、中東産原油に頼る必要がなくなった。産油国側にとっても、アメリカは‟上客”ではなくなった。こうした間隙を突いて、中国がサウジアラビアとイランの関係を修復。この結果、サウジアラビアはロシアとの関係を深めることになった。OPECプラスの結束は強化されたと言えるだろう。

さらに産油国は、ここ数年で多くのことを学習した。価格の引き上げを目指して減産し過ぎると、一部の産油国は収入の減少に耐えられなくなる。また先進国の景気が悪化して、原油の需要を減らしてしまう。だから大幅な減産はしないし、減産できる国だけで減産すればいい。国際価格が70ドルに近付けば減産を強化し、80ドル台に引き上げる。先進国の景気が回復すれば100ドル以上も可能。--これが最近のOPECプラスの戦略のようだ。

今回の産油8か国による自主減産をみても、5月からの総減産量は世界需要の約4%にとどめている。かつてのように1割とか2割といった大幅な減産は避けている。OPECプラスはこうした巧妙な戦略で、原油の国際価格を通じて世界経済をコントロールしようとしているかのようだ。したがって原油の国際価格は、70ドル以下には下がりにくくなっている。

原油価格の高止まりは、日本経済に大きな悪影響を及ぼす。物価の高騰と大幅な貿易赤字。これによって国民の生活は苦しくなり、景気はよくならない。にもかかわらず、政府は抜本的な対策を何も打たない。原油の中東依存度は95%と、むしろ上昇してしまった。少しずつでも原油の輸入量を減らして行く政策を、もっと真剣に考えるべきである。

        ≪7日の日経平均 = 上げ +45.68円≫

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今週のポイント
2023-04-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金融不安の後遺症に注目 = ダウ平均は先週211ドルの値上がり。3週連続の上昇で、この間の上げ幅は1600ドルを超えた。失業保険の申請件数が増えたり、景況感指数の低下にもかかわらず、株価は堅調。ただ週の後半は雇用統計の発表を控えて、株価の動きは鈍くなった。

日経平均は先週523円の値下がり。終り値はまたまた2万8000円を割り込んだ。週初は日銀短観が業況感の低下を伝えたが、株価は上昇。しかし、その後はアメリカ景気に対する懸念が出て、利益確定売りに押された。こども家庭庁が発足し、国会では少子化対策が議論されている。だが、その財源は増税や社会保険料の引き上げになりそう。市場はその行く方を、早くも気にし始めた。

金融不安の後遺症は、まだ残っている。アメリカでは中小銀行から流出した預金が、全く戻ってこない。このため中小銀行は、貸し出しが出来なくなっている。これが実体経済に、どんな影響を及ぼすのか。景気の下降を促進するのか、注目されている。日本では今週から日銀の新体制がスタート。しかし当面は、政策に変化はないとみられている。

今週は10日に、3月の景気ウオッチャー調査。12日に、3月の企業物価、2月の機械受注。アメリカでは12日に、3月の消費者物価。13日に、3月の生産者物価。14日に、3月の小売り売上高、工業生産、4月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が11日に、3月の消費者物価と生産者物価。13日に、3月の貿易統計を発表する。

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


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垣間見えた NY市場の混迷
2023-04-11-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ グッド・フライデーのいたずら = 先週のダウ平均は211ドルの上昇。しかし水曜日は80ドル、木曜日は3ドルの値上がりにとどまった。これは金曜日に、3月の雇用統計が発表されるため。加えてこの日、株式市場はグッド・フライデーでお休み。どうなるか見当が付かないので売りと買いが拮抗、出来高も目立って縮小した。

グッド・フライデーはキリスト教の祝日。だが一般人は休まない。だから官公庁は普段通りで、雇用統計も発表される。そして不思議なことに為替市場は開かれるのに、株式市場は休む。いま雇用統計には大きな注目が集まっている。その結果しだいで、FRBの引き締め政策が変わると考えられているからだ。だが事前の予測は定まらず、市場は混迷した。

その金曜日に発表された3月の雇用統計。非農業雇用者の増加数は、前月比23万6000人の増加だった。2月の32万6000人よりは増加数が縮小しており、雇用情勢はやや緩んだとも考えられる。しかし失業率は3.5%で、前月より0.1ポイント低下。また平均時給も前月比0.3%増で、前月を0.1ポイント上回った。全体として雇用情勢はまだ強く、FRBが当面は引き締め政策を緩める可能性は少ないとみられている。

次回のFRB政策決定会合は、5月2-3日の予定。4月の雇用統計はまだ出ないが、それまでに物価や消費、それに景況感に関する統計が、いくつも発表される。それがFRBの引き締め緩和に繋がり、株価は買いなのか。それとも引き締め緩和は期待できずに売りなのか。景気後退の可能性が強まり、株は売りなのか。NY市場の混迷は、まだ続きそうだ。

        ≪10日の日経平均 = 上げ +115.35円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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教えて! 植田・新日銀総裁
2023-04-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜ、いまは利上げ出来ないのか? = 経済学者の植田和男氏が、第32代の日銀総裁に就任した。10日夜の初めての記者会見では「現在の大規模緩和政策は継続することが適当」「その副作用については、適当なタイミングで正常化へ」などと発言。サプライズもなく、まずは無難な船出だった。これを好感して11日の株価は上昇、為替は円安の方向に動いている。

副作用が最も大きいのは、長期金利を0.5%以下に抑え付けるイールドカーブ・コントロール政策。債券市場の機能が損なわれ、事業会社が10年以上の社債を発行できなくなってしまった。このため市中では、植田新総裁はこの問題から手を着けるという見方が強い。具体的には10年もの国債の利回り変動幅を0.75%に広げる。あるいはコントロールの対象を2-5年もの国債に移すなどの政策変更が、取り沙汰されているようだ。

もし10年もの国債の利回り変動幅を0.75%に広げれば、それは政策金利を引き上げたことになる。だから黒田前総裁も踏み切れなかったし、植田新総裁もいまのところは慎重な姿勢を崩していない。たしかに金利を上げれば、景気にとってはマイナス要因となるだろう。しかしプラス要因も非常に大きいのではないだろうか。

たとえば仮に預金に1%の金利が付けば、個人や企業には年間10兆円もの利子収入が見込める。これは景気にとっても大きなプラス。また為替も円高になりやすく、物価の引き下げに貢献する。もちろん借金をしている企業や個人にとっては、負担が増えるだろう。だが、そこは政府が補助金などの政策で救済する手もあるだろう。メリットの大きい利上げが出来ない理由は何か。植田教授にぜひ教えて頂きたいものである。

        ≪11日の日経平均 = 上げ +289.71円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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なぜ政府は 静観なのか? : 敦賀原発
2023-04-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 責任の所在を明確にせよ = 原子力規制委員会は5日、日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)について「安全審査を中断する」と発表した。理由は日本原電が提出した資料に「多数の記載ミスが発見されたため」だという。規制委員会は、提出された書類の一部を8月末までに修正するよう行政指導した。この結果、安全審査はさらに長引き、敦賀原発2号機の再稼働は遠のくことになった。

敦賀原発2号機の安全審査は、原子炉建屋の直下に活断層があるかどうかが焦点。日本原電は15年、再起動に向けた安全審査を規制委員会に申請した。ところが資料の書き換えなどが発覚、21年に審査が中断。昨年12月に審査を再開したが、また資料の不備で中断したことになる。日本原電がケアレス・ミスを続けているのか、正しい資料だと審査に合格しないと考えているのかは判らない。しかし、これがきわめて重大な問題であることは確かだ。

いま日本は、この夏も電力不足の心配がある。ウクライナ戦争の影響を受けて輸入燃料の価格が高騰、貿易赤字は年20兆円を超えた。このため物価が上昇、購買力の流出が大きく景気は低迷している。政府も「原発は最大限活用する」方針を打ち出した。そんなとき敦賀原発2号機が再起動できれば、1兆6000億円分のLNG(液化天然ガス)輸入を減らせる。

もちろん安全でない原発を動かすわけにはいかない。だが、そのための安全審査が資料不備のために遅々として進まないのは大問題だ。それなのに、政府はなぜ静観を決め込んでいるのだろう。安全審査に口を出すわけではない。安全審査を円滑に進めるために、責任の所在を明らかにすることぐらいは実行すべきだと思うのだが。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +159.33円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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遅すぎた 技能実習制度の見直し
2023-04-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は魅力の少ない国になっている = 政府の有識者会議は10日、技能実習制度の廃止を提案する中間報告書をまとめた。途上国への技術移転という本来の目的と実態とが、乖離してしまったからだという。実態は労働者不足を補うための補完的労働者に。管理も十分でなく、給料の不払いや酷使、暴力行為もしばしば問題となっている。現在の人数は約34万人。21年には約7000人が失踪した。

こうした問題は早くから指摘されていた。だから廃止の提案は遅きに失したと言えるだろう。しかも制度をどう変えるかの方向性は、なお疑問だらけだ。有識者会議は「人材確保を目的とする制度の新設を検討すべし」と主張している。だが、これでは「技術移転という衣を脱いで、労働力が欲しいという鎧を見せつける」ようなもの。どう考えても、制度の改善につながるとは思えない。

外国人実習生を雇用した企業に対しては、監理団体が監督することになっている。だが機能していないケースも多く、それが過酷な労働環境の放置につながる原因となっている。しかし有識者会議は、この監理団体による監督のやり方を続けることにした。どうも目指している方向が労働力確保の一点張りであり、日本で働こうとする若い外国人の方を向いていない。

外国人実習生に対しては、日本の最低賃金制度が適用される。しかし日本の賃金水準は、すでに台湾や韓国よりも低くなってしまった。東南アジアの若者が出稼ぎに行く国として、日本の魅力は低下している。そんな状況で、人材確保だけを目的とした新制度を作るのは考えものだ。「日本で真面目に働いたら、こんないいことがあるよ」と言われるような制度を作ってもらいたい。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +74.27円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (最終回)
2023-04-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナの即時データがなくなる = コロナのパンデミック(世界的大流行)状態を示す毎日の感染者数と死亡者数は、米メリーランド州のジョンズ・ホプキンズ大学が当初から集計して公表してきた。ところが、この作業は3月末で停止。理由は多くの国が毎日の集計を止めてしまったからである。WHO(世界保健機関)も最初に中国が公表を停止したときには批判したが、今回は沈黙。今後は即時データがないまま、手さぐりでコロナ・ウイルスと対決して行かねばならなくなった。

日本も同じ。政府は5月8日から「コロナの感染法上の位置づけを季節性インフルエンザ並みの5類に移行」する。それと合わせて、都道府県による毎日の集計・発表も停止することになった。この結果、新規のコロナ感染者数は少なくとも1週間後、死亡者数は2か月後でなければ判明しなくなる。これまでのように、夜にはその日の感染者数や死亡者数が報道される状態ではなくなるわけだ。

ところが皮肉なことに、いま日本の感染者数は少しずつ増え始めている。たとえば4月14日時点の感染者数は累計3357万3266人。この1週間で5万6407人増加した。この増加数は前週より1万5907人多く、昨年9月から続いてきた縮小傾向は終わったようにも見える。また死亡者数も累計7万4211人。この1週間で141人増加した。この増加数は前週より3人多くなっている。

‟第8波”はなんとか終了したようだ。現在の緩やかな増加傾向は‟第9波”の始まりというよりか、低い丘の始まりとい感じが強い。だが即時データがなくなってしまうため、その判断には時間がかかる。即時データの停止が「人類がコロナに打ち克った証拠」なのかどうか。そうであることを祈りながら、このコラムも終了することとする。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +336.50円≫

        【今週の日経平均予想= 4勝1敗】     


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今週のポイント
2023-04-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 好材料が重なって活気づいた市場 = ダウ平均は先週401ドルの値上がり。4週連続の上昇で、一時は3万4000ドルを覗いた。好材料が重なったことで、買いに勢いが付いている。その好材料は、まず金融不安が遠のいたこと。また物価上昇が鈍化したこと。さらに雇用の状態が良くも悪くもなく、FRBの引き締め政策にも景気の見通しにも影響しなかったこと・・・。

日経平均は先週975円の値上がり。先々週末から6連騰となった。終り値は2万8500円に接近、金融不安が起きる前の水準に戻している。こちらも金融不安の後退・経済正常化による旅行やインバウンドの回復・2月決算企業の健闘・植田日銀体制の無難な船出。それにウォ―レン・パフェット氏の援護までが加わった。この世界的に有名な投資家は「日本株への投資を増やす」と発言、同調する買い物を誘っている。

こうした好材料の影響は、時間とともに薄れて行く。しかし今週も、その効力は持続するだろう。しかし株価水準が上昇したため、利益確定売りが増えることは避けられない。にもかかわらず上昇基調を維持できれば、株価の勢いはかなり底堅い。また下げたとしても、その幅が大きくなる可能性は小さいと思われる。ただしニューヨーク市場よりも、東京市場の方が下げやすくはなっている。

今週は19日に、3月の訪日外国人客数。20日に、3月の貿易統計、2月の第3次産業活動指数。21日に、3月の消費者物価。アメリカでは17日に、4月のNAHB住宅市場指数。18日に、3月の住宅着工戸数。20日に、3月の中古住宅販売。21日に、4月の製造業PMI。また中国が18日に、1-3月期のGDP速報、3月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


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人手が 足りなーい! (上)
2023-04-18-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 生産年齢人口が12年連続で減少 = 総務省は先週12日、22年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2494万7000人で、前年より55万6000人減少した。東京都を除く46道府県のすべてで減少している。このうち日本人は1億2203万1000人で75万人の減少。外国人は291万6000人で19万4000人の増加だった。出生児数は79万9000人、死亡者数は153万人で、差し引き73万1000人が自然減少ということになる。

また生産年齢人口(15-64歳)は7420万8000人、前年より29万6000人減少した。減少は12年連続。このうち日本人は7173万人で、前年より47万2000人減少した。生産年齢人口というのは‟働き盛り”の年齢という意味で、働いていない人も含まれる。これに対して、実際に働いている人に失業者を加えたのが労働力人口(15歳以上)。その労働力人口は6902万人で、前年より5万人減少した。

少子高齢化の影響がはっきりと表れ、人口の減少が止まらない。特に生産年齢人口や労働力人口の減少は、人手不足の根本的な原因になる。政府はいま少子化対策に懸命となっているが、その効果が現われるまでには相当な時間を要することは明らか。したがって当面の対策としては、外国人に頼るかロボットを普及させるしかない。

そこで政府は、遅まきながら技能実習制度の改善に乗り出した。ところが大問題は、東南アジアの若者たちにとって「日本は魅力的な出稼ぎ先」ではなくなってしまったこと。たとえばスイスの研究所による調査では、日本の魅力度は63か国中54番目に落ちている。これは言葉の問題、年功序列などが嫌われているせいでもあるが、最大の原因は賃金水準が低いこと。管理職クラスはもちろん、一般職の給与も台湾や韓国に抜かれてしまった。

                        (続きは明日)

        ≪17日の日経平均 = 上げ +21.31円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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人手が 足りなーい! (下)
2023-04-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナが変えた働く意識 = いま「人手が足りなーい」と大騒ぎをしているのは、飲食や宿泊サービス業界だ。経済の正常化で外出や旅行が盛んになり、外国人旅行客も戻ってきた。ところがコロナ時に減らした従業員が、なかなか復帰してこない。若い人たちが接客業を敬遠する一方で、製造業や金融業からの転職も難しい。

コロナによって、働く人の意識が変わった面も見逃せない。在宅勤務に慣れた人のなかには、通勤電車に乗ることを嫌がり自宅での仕事を探した例もある。失業手当をもらって生活したら、働くのが嫌になった人もいる。そして少なからぬ人が、よりよい待遇や賃金を求めて転職を考えるようになった。こうした動向が、一部の業種では人手不足を助長している。

その根底には、生産年齢人口や労働力人口の減少がある。大きな不況にでも見舞われれば別だが、人手不足の傾向は今後もずっと続くに違いない。その傾向を緩和するには、リスキリング(学び直し)や求人と求職のミスマッチを無くす努力が必要だ。しかし看護師や介護士などの資格を持ちながら家庭に引きこもった人たちを呼び込むには、やはり賃金の引き上げが欠かせない。

OECD(経済協力開発機構)の集計によると、日本の平均賃金は21年時点で3万9711ドル、30年前の91年時点の3万7866ドルからほとんど増えていない。これでは外国人も、しだいに日本へは来なくなる。外国人留学生が日本の企業に就職する割合は、ついに5割を割ってしまった。逆に日本人が高い賃金を目指して外国へ働きに行くケースも、確実に増えている。人手は足りなくなるばかりだ。

        ≪18日の日経平均 = 上げ +144.05円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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エネルギー無策を露呈 : G7会議 (上)
2023-04-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 議長国・日本がぶち壊し役に = 札幌市で開かれたG7(主要7か国)気候・エネルギー・環境相会合は16日、閣僚声明を発表して閉幕した。ところが、この声明の内容は迫力ゼロ。実質的には、ほとんど意味がないものになっている。出席した欧米の閣僚たちは、口々に「議長国の日本が多くの問題で水を差した」と恨み節。確固たるエネルギー計画を持たない日本の欠点が、思わぬところで露呈してしまった。

最大の関心事である化石燃料の扱い。声明は「CO₂排出削減対策のない化石燃料の使用を段階的に停止する」と書いた。CO₂排出削減対策というのは、CO₂を回収して地下に貯蔵する措置など。これまでも段階的に停止することは合意されていたので、今回はその対象に天然ガスを含めたことだけが新しい。また「世界の温室ガス排出量を、35年までに19年比で60%削減することの緊急性が高まっている」とも書かれているが、これは国連の政府間パネルが3月に発表した文面と全く同じだ。

石炭火力発電の問題。ヨーロッパ各国とカナダが、廃止時期の明示を強く主張した。しかし日本の反対で、明示はせず。声明には「段階的な廃止を目指す」とだけ書き込まれた。これは昨年のG7会合で発表された閣僚声明と全く同じ内容。何も進歩がなかったことを意味している。当然、各国代表からは失望の声が上がった。

当面の関心事である排ガス自動車の販売規制。アメリカやイギリスは明確な日時の設定を強く主張したが、日本は反対。その結果、声明には「35年までに00年比で50%削減する可能性に留意する」という、全く意味不明な文章が書き込まれた。また欧米各国が要望したEV(電気自動車)の導入目標については、全く触れられなかった。

                        (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 下げ -52.07円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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エネルギー無策を露呈 : G7会議 (下)
2023-04-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原発にみる各国の基本的な考え方 = G7気候・エネルギー・環境相会合は、原発と再生可能エネルギーについてはきわめて現実的に対応した。閣僚声明では、ドイツとイタリアを除く5か国が「原発は安価で低炭素のエネルギーとなる可能性を認識する」と書き込んでいる。これはヨーロッパ各国が、原発に対する基本的な考え方を明確にしているからに他ならない。

たとえばドイツは15日、最後に残った3基の原発を運転停止。17基あった原発を完全に廃棄する。福島第1原発の事故を受けて、当時のメルケル首相が脱原発を決断。内閣が変わっても、この方針を貫いた。今後は風力を中心とした再生エネルギーによる発電を拡大して行く。またイタリアも脱原発の方針を決めている。

これに対してイギリスとフランスは、原発を増やして脱炭素を進める方針。このように姿勢がはっきりしているので、共同声明も異例な形になった。だが日本はどうだろう。岸田首相は「原発は最大限活用する」と、しばしば言明している。これを受けて、政府部内には「次世代型の原発を新設する案」も浮上しているのが現状。だが原発による発電比率をどこまで高めようとしているのか、全く不明。だから現実的な計画とは、言うことが出来ない。

原発の占める大きさが不明だから、太陽光や風力など再生エネルギーの比重もよく判らない。もちろんドイツのように原発をゼロにすると宣言する必要はないし、フランスのように可能な限り原発を増やすと決める必要もない。だが将来を見据えた実現可能な電源計画を持つことは、何より重要だ。それがないから、G7会合で日本は防戦一方になってしまった。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +50.81円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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急速に戻ってきた 外国人観光客
2023-04-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟おもてなし”の質を維持できるか = 観光局は19日、3月の訪日外国人客数を発表した。それによると推計値は181万7500人で、コロナ前19年3月の65.8%にまで回復した。コロナ禍で21年には24万人に落ち込んだが、各種の規制解除で予想以上に回復は早い。デパートなどでも、免税売り上げが急速に増加。JTBでは、ことし通年の訪日客数は2110万人に達すると予測している。

3月の訪日客数を国別にみると、トップは韓国で46万6800人。19年3月の79.7%まで回復した。続いて台湾、アメリカの順。中国は規制が残った影響で7万5700人、コロナ前の11.0%にしか戻していない。一方、アメリカ・シンガポール・ベトナム・オーストラリアからの客数は、すでに19年3月の実績を上回った。

観光庁は19日、ことし1-3月に来日した外国人客の1人当たり支出額を発表した。それによると、旅行中の消費支出額は18万5616円でコロナ前に比べて28.3%増加している。政府はこの支出額を24年度に20万円にする目標を打ち出しており、その目標にぐっと近づいた。ただし1-3月の増加には、物価高と円安の影響が大きく作用している。こうした一種のバブルで目標が達成されても、あまり意味はない。

最大の問題は、観光客を迎える側の人手不足。各種の調査によると、飲食・宿泊サービス業界では8割以上の企業が人手不足に陥っている。観光客が増えるのは喜ばしいが「日本の‟おもてなし”は質が落ちた」と言われたら大変。ベトナム人のツアー客が日本料理屋に入ったら、応対したのはベトナム人のアルバイトだったなどというのは、笑い飛ばせる話ではないだろう。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -93.20円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】      


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今週のポイント
2023-04-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 来週は0.25%の利上げでほぼ確定 = ダウ平均は先週78ドルの値下がり。FRBは来週3日に金融政策を発表するが、0.25%の利上げになることはほぼ確定的。市場は完全に織り込んでおり、話題にもなっていない。代わりに関心は、1-3月期の企業業績に移っている。すでに発表された金融は増益と減益が交錯。ヘルスケアやテクノロジーは業績の悪化で売り込まれた。

日経平均は先週71円の値上がり。20日には2万8658円で年初来高値を付けたが、あとは利益確定売りに押されて下げている。買われたのは、食品・小売り・鉄道などの内需関連株。値上げの浸透で業績が好転するという思惑が働いた。中国経済の立ち直りや外国人観光客の順調な回復も、買い材料になっている。

ニューヨークでは今週、大手IT企業の決算が発表される。その予想はあまり芳しくなく、景気の先行きに関して悲観論が強まるかもしれない。一方、東京市場はニューヨークしだい。高値警戒感で売られやすくなっていることは確かだろう。また27-28日には日銀の政策決定会合が開かれる。植田新総裁が会見で、どんな発言をするか。

今週は25日に、3月の企業向けサービス価格。28日に、3月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数、4月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは25日に、2月のFHFA住宅価格指数、3月の新築住宅販売、4月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1-3月期のGDP速報、3月の中古住宅販売。またEUが28日に、1-3月期のGDP速報を発表する。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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効き目が薄い 引き締め政策 / アメリカ (上)
2023-04-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ インフレ圧力が衰えない  FRBは来週5月2-3日に開くFOMC(公開市場委員会)で、政策金利をさらに0.25%引き上げる見込み。物価上昇の勢いが衰えないためで、市場も完全に織り込んでいる。年内には利下げに転じるという期待も、ほぼ消滅した。この結果、かつては5.1%程度と想定された年末の政策金利は、ついに6%に近付くという予想が一気に強まっている。

アメリカのインフレ圧力は、一見すると鈍化したようにもみえる。たとえば3月の消費者物価は、前年比5.0%の上昇にとどまった。2月の6.0%上昇からは、目に見えて改善している。ところがエネルギーと食品を除いたコア指数は5.6%の上昇で、2月より上げ幅が0.1ポイント拡大した。要するに総合指数の改善は、原油の国際価格が下落したことによるもの。金融引き締めの効果が出たわけではなかった。

人手不足がもたらす賃金面からのインフレ圧力も、いぜん続いている。3月の雇用統計によると、平均時給は前年比4.2%の増加となお高い。このためヘルスケア・小売り・旅行部門では値上げが続き、物価水準全体を押し上げている。人手不足はコロナ禍で離職を余儀なくされた人が、なかなか元の職場へ復帰しない。少しでも高い賃金を求めて転職する人が増えているためだ。

インフレ抑制のため、FRBが金融政策を引き締めに転換したのは昨年3月。そこから急ピッチで利上げを繰り返し、政策金利の水準はすでに5%に達した。またFRBは昨年7月から量的引き締めも開始、原則として毎月950億ドルの国債などを市場に売り戻している。だが、こうした大規模な金融引き締め政策にもかかわらず、インフレ圧力は収まらない。なぜだろう。

                     (続きは明日)

        ≪24日の日経平均 = 上げ +29.15円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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効き目が薄い 引き締め政策 / アメリカ (下)
2023-04-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ カネ余り状態が解消しない = アメリカでは政策金利の急速な引き上げにもかかわらず、エネルギーや食品を除いた物価の上昇が続く。その一因は、人手不足で賃金が上がったことに求められる。また将来のインフレ期待が弱まらないためだという説も強い。さらに基本的には、カネ余り状態が少しも解消していないことが原因だと考えられる。

FRBは昨年6月から、金融の量的引き締めも実施している。保有している国債や住宅ローン担保証券を毎月950億ドルずつ市場で売り戻し、資金を吸収する操作だ。しかし、それまでの緩和政策で市中に放出した資金量は膨大。まだその1割程度しか吸収し切れていない。たとえば市場でリスク感が高まると、資金の多くはMMFにいったん逃避する。MMFというのは短期国債などで運用する投資信託。その残高は現在、5兆2800億ドル(約70兆円)もある。

その一方で、利上げの副作用は確実に現われ始めた。住宅ローンの上昇で不動産価格が低落、消費者ローンの上昇で小売りが低迷、中小企業のカネ繰りも苦しくなった。そこへ金融不安の影響で、銀行の融資態度が急に厳しさを増す。景気の先行きに対する見方は、ますます慎重になってきた。物価高と不況が共存するスタグフレーションを警戒する声も強い。

量的引き締めがまだ不十分だから、カネ余り状態は解消しない。豊富な資金が市中に滞留しているから、株価の腰は強い。悪材料が姿を消すと、すぐに上がる。しかしFRBとしては、利上げや量的引き締めを続けなくてはならない。その気配が強まると、株価は下がる。上値は重い。なんとも矛盾に満ちた状況だが、これが現実なのだろう。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +26.55円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


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貿易大赤字が 教えること (上)
2023-04-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 燃料輸入の急増が景気の足を引っ張る = 22年度の貿易収支は、驚くほどの大赤字だった。財務省の発表によると、輸出は前年度比15.5%増の99兆2265億円。輸入は32.2%増の120兆9550億円。輸出も健闘したが輸入が伸びすぎたために、記録的な大赤字となってしまった。これまでは13年度の13兆7500億円が最大の赤字額、それを一挙に飛び越したことになる。

輸入が大幅に増加した最大の原因は、燃料輸入の激増。原油・粗油は13兆6932億円で前年比70.8%の増加、LNG(液化天然ガス)は8兆8923億円で77.6%の増加、石炭にいたっては8兆5806億円で2.4倍の増加となっている。燃料全体では実に35兆1924億円、前年比では77.0%の増加だった。言うまでもなく燃料の国際価格が急騰したうえに、円安の効果が加わったことによる。

ここで話を分かりやすくするため、実際にはありえない状況を考えてみよう。仮りに日本が燃料を100パーセント自給し輸入はゼロだったとしたら、どうだろう。当然、輸入代金の35兆円は支払わないから、国内に残る。もし、その大半が消費や設備投資に回されたら、景気はよくなり成長率も上昇したに違いない。逆に巨額の輸入代金を支払ったために、景気は足を引っ張られたと言ってもいい。

もちろん、日本が燃料を100パーセント自給することはありえない。しかし仮に自給率を1割上げて輸入を1割減らせば、3兆5000億円ものおカネが国内に留まるわけだ。こういう考え方から、アメリカやヨーロッパ諸国はみなエネルギーの自給率を上げている。ところが日本は努力が足りず、自給率が上がらない。貿易の大赤字は、その結果なのである。

                         (続きは明日)

        ≪26日の日経平均 = 下げ -203.60円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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貿易大赤字が 教えること (下)
2023-04-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「自民党が野党になった」ことが一因? = EIA(米エネルギー情報局)の発表によると、アメリカでは多くの州が補助金免税措置をとって再生可能エネルギーの普及に努力している。この結果、たとえばテキサス州では風力、カリフォルニア州では太陽光による発電比率が急増した。全米でみると、再生エネルギー発電の比率が20%を超え、石炭火力を抜いて天然ガスに次ぐ2位となっている。

EUでも22年中に、風力と太陽光を中核とする再生エネルギー発電が6200万㌔㍗分増加した。この結果、再生エネルギー発電の比率は22%に上昇、天然ガスの20%を上回った。ウクライナ戦争前に比べて、太陽光発電は24%も増加している。さらに23年も補助金の効果で、再生エネルギー発電は大幅に増える見込み。化石燃料による発電の比率は20%を下回ると推計されている。

日本は、どうだろう。資源エネルギー庁の集計によると、21年度のエネルギー自給率は13.4%。つまり9割近くを輸入に頼っているのだから、国際価格が高騰すれば貿易収支は大赤字になるのは当然だ。したがって自給率を高めることが必要だが、それが遅々として進まない。たとえば発電に占める再生エネルギーの割合は、21年度で20.3%。前年より0.5ポイントしか上昇しなかった。しかも火力による発電比率は72.9%で、世界でもズバ抜けて高い。

その一因は「自民党が野党化したことによる」と言ったら、飛躍し過ぎだろうか。電気・ガス・ガソリン価格の高騰に対して、自民党は補助金を出して価格を抑える政策を継続した。かつては野党が主張したような対策である。この結果、自給率を上げるような政策には予算が回らなくなった。だから貿易の大赤字が続く。そして野党は、選挙で勝てなくなった。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +41.21円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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プラス成長を死守せよ! ; 人口縮小対策
2023-04-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の人口は70年までに3割も減ってしまう = 「日本の人口は2070年に8700万人」「出生数は59年に50万人割れ」「生産年齢人口は3000万人も減る」--厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口推計である。新聞紙上にこんな大見出しが躍ったから、びっくりした読者も多かったろう。日本は大丈夫なのだろうか。心配しない方が、おかしいくらいだ。

ただ一種の錯覚もないではない。こういう数字を突き付けられると、普通の人はつい現在の世界と比較して見てしまう。つまり現在の世界のなかで、人口が8700万人に縮小した日本を想像してしまうわけだ。しかし50年後、アメリカやEU、中国やロシア、インドや他の新興諸国がどうなっているか。これは全く見当が付かない。したがって、そうしたなかでの日本の立ち位置も実は想定不能なのである。

縮小する人口への対策。徹底した少子化対策、ロボットなど機械化の推進、外国人の誘致、生産性の向上などなど。新聞各紙はほとんど一致して対応策を挙げている。これは全く正しい。だが、そのすべてで成果を挙げることは、まずムリと言わざるをえない。こうしたなかから、何を重点的に選択して資源を投入するか。その議論を十分にしないと、またバラマキになってしまう。

もう1つ、政府はあらゆる手段を講じても、プラス成長を死守してもらいたい。たとえば平均0.5%の低成長でもいい。GDPの総額が減らない限り、人口が減少すればするほど1人当たりGDPは増えることになる。人々の生活水準は、少しずつでも上昇するわけだ。2070年に生きる孫の世代が明るい経済環境の下で暮らせるよう、これだけは努力しよう。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +398.76円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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