◇ SARSの場合との違いは? = 投資家は経済の先行きに不安を感じると、直ちに資金の投下先を変更する。たとえば中東地域で戦火が上がったり、米中経済戦争の緊張度が増したりすると、株式市場からは資金が引き揚げられ、金や国債市場に投入されることが多い。今回の新型肺炎は、戦争や経済摩擦とは全く性格を異にしている。しかし投資家の行動は、ほぼ同じだ。
武漢市で発生した新型肺炎のニュースが市場を驚かせたのは、先週20日の月曜日夜だった。この日の日経平均株価の終り値は、まだ2万4000円台をキープ。ところが2週間後の現在、株価は2万3200円にまで落ち込んだ。ほぼ800円の値下がりだ。一方、ニューヨーク市場はこの日、キング牧師誕生記念日でお休み。前週末のダウ平均は2万9300ドルを超えて、史上最高値を更新中だった。それが現在は2万8200ドルで、この間に1000ドル以上も下げている。
SARSは同じ中国で02年11月に発生、03年7月に終息した。異常事態は約9か月間続いたわけである。ところが日経平均は最初の5か月は下落したものの、03年4月からは急速に上昇した。当時の株価はバブル崩壊で相当に売り込まれていたこと、イラク戦争が瞬時に終わったこと、それにSARS拡大の勢いが止まったことが、大幅な反発の原因だった。
このように、SARSは株価の下げ局面で発生している。これに対して、新型肺炎は上げ局面で発生した。もっと大きいのは、世界経済に占める中国の比重が、当時より格段に大きくなっていること。中国経済の鈍化が加速したり、生産拠点としての能力が低下すると、世界全体が大きな打撃を被るだろう。市場はそれを懸念する。とにかく新型肺炎の拡大スピードが、一日も早く鈍ることが最重要だ。
≪31日の日経平均 = 上げ +227.43円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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武漢市で発生した新型肺炎のニュースが市場を驚かせたのは、先週20日の月曜日夜だった。この日の日経平均株価の終り値は、まだ2万4000円台をキープ。ところが2週間後の現在、株価は2万3200円にまで落ち込んだ。ほぼ800円の値下がりだ。一方、ニューヨーク市場はこの日、キング牧師誕生記念日でお休み。前週末のダウ平均は2万9300ドルを超えて、史上最高値を更新中だった。それが現在は2万8200ドルで、この間に1000ドル以上も下げている。
SARSは同じ中国で02年11月に発生、03年7月に終息した。異常事態は約9か月間続いたわけである。ところが日経平均は最初の5か月は下落したものの、03年4月からは急速に上昇した。当時の株価はバブル崩壊で相当に売り込まれていたこと、イラク戦争が瞬時に終わったこと、それにSARS拡大の勢いが止まったことが、大幅な反発の原因だった。
このように、SARSは株価の下げ局面で発生している。これに対して、新型肺炎は上げ局面で発生した。もっと大きいのは、世界経済に占める中国の比重が、当時より格段に大きくなっていること。中国経済の鈍化が加速したり、生産拠点としての能力が低下すると、世界全体が大きな打撃を被るだろう。市場はそれを懸念する。とにかく新型肺炎の拡大スピードが、一日も早く鈍ることが最重要だ。
≪31日の日経平均 = 上げ +227.43円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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◇ 日米とも大幅に続落 = 新型肺炎の伝染が加速したため、日米の株価は大幅に続落した。なにしろ感染者数は1週間で10倍に増え、1万人を超えている。このためダウ平均は先週734ドルの値下がり。日経平均も622円の値下がりとなった。武漢市で肺炎が発生してから2週間。この間の下げ幅はダウが1092ドル、日経平均が836円となっている。大きく下げたあとは反発もしているが、下げ止まらない。
東京市場の場合は、中国人旅行者の減少を危惧する感じが強い。このため高級衣類や宝飾品、運輸やホテル、飲食やレジャー関連の銘柄が売られている。いわゆるインバウンド関連銘柄だ。一方、ニューヨークの場合は、中国経済の混乱を心配している。このため需要の減少が見込まれる石油や航空、機械関連の銘柄を中心に売られた。
ニューヨーク株式は2週間前まで、史上最高値を更新し続けていた。SP500種のPER(株価収益率)は18.8倍にも達していたから、自律調整の力も加わったようだ。東京市場の株価は出遅れ気味だったから、高値調整の感じは薄い。しかし間もなく始まる12月期の決算発表は、あまり明るくなさそうだ。いずれにしてもコロナ・ウイルスの感染者の増加に歯止めがかかるまでは、株安の傾向は止まらないだろう。
今週は3日に、1月の新車販売。7日に、12月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは3日に、1月のISM製造業景況指数。5日に、12月の貿易統計と1月のISM非製造業景況指数。7日に、1月の雇用統計。また中国が3日に、1月の製造業と非製造業のPMI。7日に、1月の貿易統計を発表する。なお4日には、トランプ大統領の一般教書演説。
≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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東京市場の場合は、中国人旅行者の減少を危惧する感じが強い。このため高級衣類や宝飾品、運輸やホテル、飲食やレジャー関連の銘柄が売られている。いわゆるインバウンド関連銘柄だ。一方、ニューヨークの場合は、中国経済の混乱を心配している。このため需要の減少が見込まれる石油や航空、機械関連の銘柄を中心に売られた。
ニューヨーク株式は2週間前まで、史上最高値を更新し続けていた。SP500種のPER(株価収益率)は18.8倍にも達していたから、自律調整の力も加わったようだ。東京市場の株価は出遅れ気味だったから、高値調整の感じは薄い。しかし間もなく始まる12月期の決算発表は、あまり明るくなさそうだ。いずれにしてもコロナ・ウイルスの感染者の増加に歯止めがかかるまでは、株安の傾向は止まらないだろう。
今週は3日に、1月の新車販売。7日に、12月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは3日に、1月のISM製造業景況指数。5日に、12月の貿易統計と1月のISM非製造業景況指数。7日に、1月の雇用統計。また中国が3日に、1月の製造業と非製造業のPMI。7日に、1月の貿易統計を発表する。なお4日には、トランプ大統領の一般教書演説。
≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 1週間に100倍以上のスピードで蔓延中 = 新型肺炎の伝染力は、専門家の推測をはるかに上回っている。中国政府の発表によると、3日午前0時の時点で中国国内の感染者は1万7205人、死亡者は361人に達した。中国以外の26か国・地域でも180人以上の感染者が確認されている。驚くべきは、その感染力。たとえば中国での患者数は、1月24日の830人から31日には1万1791人へと14.2倍の急増ぶりをみせた。
中国では南部の広東省や香港を中心に、SARS(重症急性呼吸器症候群)と呼ばれる疫病が猛威を振るったことがあった。発生は02年11月で、9か月後の03年7月に終息している。WHO(世界保健機関)のまとめによると、このSARSの感染者は8096人、うち774人が死亡した。今回の新型肺炎は死亡率こそSARSより低いが、感染者数ではすでにはるかに多くなっている。
問題は新型肺炎の感染者増加率が、いつになったら鈍るかということだろう。増加率が鈍化すれば、終息のメドもついてくる。この点で注目したいのは、国立感染症研究所がウイルスの分離に成功したというニュースだ。これで簡易検査法や治療薬、予防ワクチンの製造にも道が開かれる。ただワクチンの製造には時間がかかり、間に合いそうもない。
ここからは全く素人の考え。SARSもワクチンが間に合わなかったが、それでも終息した。この種の呼吸器疾患ウイルスは高温多湿に弱く、それで7月に終息したのではないか。国立感染症研究所では分離したウイルスを使って、ぜひ確かめてもらいたい。確認できればオリンピックへの影響も小さくなるし、全世界の人たちへ安心感を与えることができるだろう。
≪3日の日経平均 = 下げ -233.24円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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中国では南部の広東省や香港を中心に、SARS(重症急性呼吸器症候群)と呼ばれる疫病が猛威を振るったことがあった。発生は02年11月で、9か月後の03年7月に終息している。WHO(世界保健機関)のまとめによると、このSARSの感染者は8096人、うち774人が死亡した。今回の新型肺炎は死亡率こそSARSより低いが、感染者数ではすでにはるかに多くなっている。
問題は新型肺炎の感染者増加率が、いつになったら鈍るかということだろう。増加率が鈍化すれば、終息のメドもついてくる。この点で注目したいのは、国立感染症研究所がウイルスの分離に成功したというニュースだ。これで簡易検査法や治療薬、予防ワクチンの製造にも道が開かれる。ただワクチンの製造には時間がかかり、間に合いそうもない。
ここからは全く素人の考え。SARSもワクチンが間に合わなかったが、それでも終息した。この種の呼吸器疾患ウイルスは高温多湿に弱く、それで7月に終息したのではないか。国立感染症研究所では分離したウイルスを使って、ぜひ確かめてもらいたい。確認できればオリンピックへの影響も小さくなるし、全世界の人たちへ安心感を与えることができるだろう。
≪3日の日経平均 = 下げ -233.24円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 成長率は2期連続マイナスへ = 日本経済が景気後退期に突入したことは、間違いなさそうだ。まず昨年10-12月期の実質成長率が、マイナスになったことは確実。内閣府は17日にGDP速報を公表するが、その前に発表された民間調査機関の予測平均値はなんとマイナス4%という低さ。すでに発表されたアメリカはプラス2.1%、EUもプラス0.4%だった。そんななかで、日本だけがマイナス成長に落ち込む。
マイナス成長に落ち込んだ原因は、中国をはじめとする世界経済の減速、それに消費増税と大型台風の影響が加わった。経済産業省が31日に発表した10-12月期の鉱工業生産は、前期比で4.0%の大幅な低下。商業動態統計でも、小売り売上高は前年比3.8%の減少となっている。また財務省が発表した法人企業景気予測調査をみると、19年の経常利益は6.3%の減益になる見込みだ。
断わっておくが、以上は昨年10-12月期の状況である。そこへことしになって、新型肺炎の問題が発生した。中国からの訪日客が激減し、デパートや専門店の売れ行きが落ち込んでいることは、毎日のように報道されている。さらに中国国内では旅行規制などで大混乱。生産工場の休業も長引いており、世界に対する製品や部品の供給にも支障が出始めた。
新型肺炎の流行はまだ衰えをみせないから、こうした状況は持続すると覚悟しなければならない。輸出や生産は回復せず、消費の盛り上がりも期待できない。すると1-3月期のGDP成長率は、マイナスになる可能性がきわめて大きい。欧米流に言うと、2期連続のマイナス成長は「景気後退」である。
(続きは明日)
≪4日の日経平均 = 上げ +112.65円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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マイナス成長に落ち込んだ原因は、中国をはじめとする世界経済の減速、それに消費増税と大型台風の影響が加わった。経済産業省が31日に発表した10-12月期の鉱工業生産は、前期比で4.0%の大幅な低下。商業動態統計でも、小売り売上高は前年比3.8%の減少となっている。また財務省が発表した法人企業景気予測調査をみると、19年の経常利益は6.3%の減益になる見込みだ。
断わっておくが、以上は昨年10-12月期の状況である。そこへことしになって、新型肺炎の問題が発生した。中国からの訪日客が激減し、デパートや専門店の売れ行きが落ち込んでいることは、毎日のように報道されている。さらに中国国内では旅行規制などで大混乱。生産工場の休業も長引いており、世界に対する製品や部品の供給にも支障が出始めた。
新型肺炎の流行はまだ衰えをみせないから、こうした状況は持続すると覚悟しなければならない。輸出や生産は回復せず、消費の盛り上がりも期待できない。すると1-3月期のGDP成長率は、マイナスになる可能性がきわめて大きい。欧米流に言うと、2期連続のマイナス成長は「景気後退」である。
(続きは明日)
≪4日の日経平均 = 上げ +112.65円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 甘すぎる政府の景気判断 = 欧米諸国では、GDP成長率が2四半期連続でマイナスに陥ると「景気後退」と判定する国が多い。だが日本では内閣府が毎月発表する景気動向指数を、景気の局面を判断する基準にしている。しかも専門家による判定会議は数か月後に開かれるので、結論はきわめて遅い。その景気動向指数は昨年10月と11月には低下。あす7日には1月分の発表があるが、おそらく低下が続くだろう。
さらに奇妙なのは、政府がこれとは別に「月例経済報告」という公式見解を公表していることだ。原案は閣議に提出され、了承を得て発表される。この月例報告はずっと「景気は回復している」という見解に固執しており、1月分の報告でも「景気は緩やかに回復」という基調判断だった。ところがGDP成長率も景気動向指数も、さらには月例経済報告の原案も作っているのは内閣府だから、話はややこしい。
安倍首相をはじめ主要な経済閣僚が、ほんとうに「景気は緩やかに回復中」と考えているのかどうか。もし政府が「回復は終わった」と言えば、心理的に悪影響を及ぼすと懸念しているのかもしれない。また「直ちに景気対策を」の声が上がるのを警戒してのことだろうか。真相はどうも判らない。
しかし政府の認識が甘く、景気対策に失敗した例は数多い。景気が下降局面に入ったとき、早めに手を打てば対策の規模も小さくて済む。だが対応が遅れれば遅れるほど、コストは大きくなってしまう。かつては金融面からの支援もあったが、いまは日銀が動けなくなっている。甘すぎる政府の景気判断には、危険が付きまとうと知るべきだろう。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 上げ +234.97円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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さらに奇妙なのは、政府がこれとは別に「月例経済報告」という公式見解を公表していることだ。原案は閣議に提出され、了承を得て発表される。この月例報告はずっと「景気は回復している」という見解に固執しており、1月分の報告でも「景気は緩やかに回復」という基調判断だった。ところがGDP成長率も景気動向指数も、さらには月例経済報告の原案も作っているのは内閣府だから、話はややこしい。
安倍首相をはじめ主要な経済閣僚が、ほんとうに「景気は緩やかに回復中」と考えているのかどうか。もし政府が「回復は終わった」と言えば、心理的に悪影響を及ぼすと懸念しているのかもしれない。また「直ちに景気対策を」の声が上がるのを警戒してのことだろうか。真相はどうも判らない。
しかし政府の認識が甘く、景気対策に失敗した例は数多い。景気が下降局面に入ったとき、早めに手を打てば対策の規模も小さくて済む。だが対応が遅れれば遅れるほど、コストは大きくなってしまう。かつては金融面からの支援もあったが、いまは日銀が動けなくなっている。甘すぎる政府の景気判断には、危険が付きまとうと知るべきだろう。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 上げ +234.97円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景気対策基金を創ったらいかが = 「政府の景気に対する認識は甘い」と批判したら、安倍首相は「そんなことはない。対策もちゃんと講じている」と反論するに違いない。19年度の補正予算と20年度の本予算で、災害復旧から消費増税による需要減少、さらにはオリンピック後の景気対策まで、十分な手当てが済んでいると説明するはずだ。どうも安倍首相は官僚が作ったこの説明を信じ切っているようだが、ほんとうに大丈夫なのだろうか。
政府の説明によると、これらの景気対策による総事業規模は26兆円にのぼるという。だが、これが怪しい。というのも19年度の財政支出総額は、補正予算を含めると105兆1000億円だった。これに対して今回の対策による支出総額は105兆8500億円で、わずかに7500億円しか増えていない。これで景気を押し上げる効果があるのだろうか。
そこで提案がある。景気対策基金を創ったらどうだろう。たとえば予算とは別に、財務省に20兆円程度の基金を創設しておく。もちろん新しい法律を作って、国会の承認も得ておく。財源は特別国債の発行しかないだろう。そして仮に景気がはっきりと下降に転じた場合、政府は国会の同意を得て、この基金から必要な金額を早急に支出できるようにする。
新型肺炎はいつ終息するか、現状では見当がつかない。もし短期で終息すれば、基金を使う必要はない。長引いて景気が悪化すれば、適宜に発動する。こういう仕組みを作っておけば、景気対策が手遅れになる危険性を小さくすることが可能だろう。また企業や個人も、心理的に安心できる。長い目でみれば、財政支出の総額も少なくて済むのではないか。
≪6日の日経平均 = 上げ +554.03円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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政府の説明によると、これらの景気対策による総事業規模は26兆円にのぼるという。だが、これが怪しい。というのも19年度の財政支出総額は、補正予算を含めると105兆1000億円だった。これに対して今回の対策による支出総額は105兆8500億円で、わずかに7500億円しか増えていない。これで景気を押し上げる効果があるのだろうか。
そこで提案がある。景気対策基金を創ったらどうだろう。たとえば予算とは別に、財務省に20兆円程度の基金を創設しておく。もちろん新しい法律を作って、国会の承認も得ておく。財源は特別国債の発行しかないだろう。そして仮に景気がはっきりと下降に転じた場合、政府は国会の同意を得て、この基金から必要な金額を早急に支出できるようにする。
新型肺炎はいつ終息するか、現状では見当がつかない。もし短期で終息すれば、基金を使う必要はない。長引いて景気が悪化すれば、適宜に発動する。こういう仕組みを作っておけば、景気対策が手遅れになる危険性を小さくすることが可能だろう。また企業や個人も、心理的に安心できる。長い目でみれば、財政支出の総額も少なくて済むのではないか。
≪6日の日経平均 = 上げ +554.03円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 中国で疑いある人の増加が鈍った = 新型コロナ・ウイルス肺炎の蔓延は、いぜんとして勢いが衰えない。日本国内の感染者数は7日時点で86人。1週間で70人増えている。東京湾に停泊中のクルーズ船には3600人近くの乗客・乗員が閉じ込められており、武漢市からは第4次の帰国チャーター便も帰ってきた。感染者の人数は、まだまだ増加しそうだ。
中国本土での感染者拡大も止まらない。国家衛生健康委員会の発表によると、感染者数は6日時点で3万1161人で、3万人を突破。死亡者も717人に増えている。このうち発生源となった武漢市の感染者数は、4日時点で8351人。全国の約3分の1を占めている。特に武漢市では死亡率が高く、関係者の間で問題になっているという。
中国以外の国・地域の感染者は、6日時点で27か国、合計254人となっている。内訳では、日本の45人が最も多い。このため太平洋の島国ミクロネシアは、日本からの入国を規制すると発表した。日本に次いで感染者が多いのは、シンガポール、タイ、香港、韓国など。香港とフィリピンで、それぞれ1人ずつの死者が出ている。
そんななかで注目されたのは、中国で「疑わしい人」の増加数が縮小し始めたこと。国家衛生健康委員会の発表によると、4日だけで「新たに感染が疑われる人」は3971人増えた。しかし2日と3日には5000人以上増えていたのが、3000人台の増加に収まったという。これが終息の兆しなのかどうかは判らないが、真っ暗闇のなかのかすかな光明ではある。この数字が順調に縮小して行くことを祈りたい。
≪7日の日経平均 = 下げ -45.61円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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中国本土での感染者拡大も止まらない。国家衛生健康委員会の発表によると、感染者数は6日時点で3万1161人で、3万人を突破。死亡者も717人に増えている。このうち発生源となった武漢市の感染者数は、4日時点で8351人。全国の約3分の1を占めている。特に武漢市では死亡率が高く、関係者の間で問題になっているという。
中国以外の国・地域の感染者は、6日時点で27か国、合計254人となっている。内訳では、日本の45人が最も多い。このため太平洋の島国ミクロネシアは、日本からの入国を規制すると発表した。日本に次いで感染者が多いのは、シンガポール、タイ、香港、韓国など。香港とフィリピンで、それぞれ1人ずつの死者が出ている。
そんななかで注目されたのは、中国で「疑わしい人」の増加数が縮小し始めたこと。国家衛生健康委員会の発表によると、4日だけで「新たに感染が疑われる人」は3971人増えた。しかし2日と3日には5000人以上増えていたのが、3000人台の増加に収まったという。これが終息の兆しなのかどうかは判らないが、真っ暗闇のなかのかすかな光明ではある。この数字が順調に縮小して行くことを祈りたい。
≪7日の日経平均 = 下げ -45.61円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ はしゃぎ過ぎの株式市場 = 日米の株価は、予想を大きく超えて反発した。ダウ平均は先週846ドルの値上がり。新型肺炎による下落分を完全に取り戻して史上最高値を更新したが、最終日には反落した。ただ新型肺炎による被害は世界に拡大中。さしたる好材料も出なかったのに、株価は急騰した。その根底には、トランプ大統領が選挙を前に景気対策を打ち出すだろうという期待。FRBも利下げに傾くだろうという期待があったと解説されている。
最終日には1月の雇用統計が発表され、非農業雇用者の増加数は22万5000人。事前の予測を大きく上回った。ところが株価は反落した。高値を警戒した利益確定売りが出たことは確かだが、雇用の好調で景気対策や利下げに対する期待が薄れたことも値下がりの一因になったという。つまりニューヨーク市場は、金融緩和に頼る“カネ余り”相場の様相を濃くしているようだ。
日経平均は先週623円の値上がり。こちらも具体的な好材料に欠けたまま、ニューヨークの活況に引きずられた。新型肺炎の蔓延が止まらないなかで、こうした一見はしゃぎ過ぎの相場は、どこまで続くのだろうか。どこかで実体経済の悪さとの乖離に気付くことになるだろうが、なにしろカネの投資先に困っている投資家が多いから、もう少しは続くのかもしれない。
今週は10日に、1月の景気ウォッチャー調査。13日に、1月の企業物価。14日に、12月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、1月の消費者物価。14日に、1月の小売り売上高と工業生産、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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最終日には1月の雇用統計が発表され、非農業雇用者の増加数は22万5000人。事前の予測を大きく上回った。ところが株価は反落した。高値を警戒した利益確定売りが出たことは確かだが、雇用の好調で景気対策や利下げに対する期待が薄れたことも値下がりの一因になったという。つまりニューヨーク市場は、金融緩和に頼る“カネ余り”相場の様相を濃くしているようだ。
日経平均は先週623円の値上がり。こちらも具体的な好材料に欠けたまま、ニューヨークの活況に引きずられた。新型肺炎の蔓延が止まらないなかで、こうした一見はしゃぎ過ぎの相場は、どこまで続くのだろうか。どこかで実体経済の悪さとの乖離に気付くことになるだろうが、なにしろカネの投資先に困っている投資家が多いから、もう少しは続くのかもしれない。
今週は10日に、1月の景気ウォッチャー調査。13日に、1月の企業物価。14日に、12月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、1月の消費者物価。14日に、1月の小売り売上高と工業生産、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 少なくとも5-6隻が行き先不明 = 豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に着いてから10日。まだ船内には3600人の乗客・乗員が、閉じ込められたままだ。続いて日本に寄港しようとしていた「ウエステルダム」は、日本政府が石垣島への入港を拒否。現在は寄港を認めてくれる国を探して、台湾の沖合を南下中だという。武漢市で突如として発生した新型肺炎は、クルーズ船の乗客・乗員、運営会社に思わぬ悲劇をもたらしている。
ことし1月以降に中国を訪れたクルーズ船は21隻。そのうち11隻が、福岡・長崎・那覇など日本の港に停泊した。これら11隻の乗客は合計で約5万人。そのほとんどが国内ツアーに参加したとみられるが、新型肺炎の感染は報告されていない。そこへ「ダイヤモンド・プリンセス」の事件が発生。日本政府はその後、中国に寄港したクルーズ船の日本国内への入港は認めない方針だ。
日本だけではない。台湾・韓国・フィリピン・ベトナムなども、一斉に中国に立ち寄ったクルーズ船への対応を厳しくした。ミクロネシアなどは、日本へ寄港した船の入港も拒否している。このためイタリア船籍の「コスタ・セレーナ」と「コスタ・ベネチア」の2隻は、いま次の寄港地を求めて東シナ海を回遊中。アメリカの「シーボーン・オペレイション」は2日に香港を発ったあと、いまだにベトナム沖を航行しているという。
このように入港を許可してくれる国を探して“さまよっている”クルーズ船は、現状で5-6隻。新型肺炎の感染が広がれば、この数はさらに増える可能性がある。楽しい船旅を夢見て出発した乗客たちは、とんだ悲劇に襲われたものである。またクルーズ船に対する信頼感も、いつになったら回復できるのだろう。豪華クルーズ船業界も、漂流し始めたようだ。
≪10日の日経平均 = 下げ -142.00円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ことし1月以降に中国を訪れたクルーズ船は21隻。そのうち11隻が、福岡・長崎・那覇など日本の港に停泊した。これら11隻の乗客は合計で約5万人。そのほとんどが国内ツアーに参加したとみられるが、新型肺炎の感染は報告されていない。そこへ「ダイヤモンド・プリンセス」の事件が発生。日本政府はその後、中国に寄港したクルーズ船の日本国内への入港は認めない方針だ。
日本だけではない。台湾・韓国・フィリピン・ベトナムなども、一斉に中国に立ち寄ったクルーズ船への対応を厳しくした。ミクロネシアなどは、日本へ寄港した船の入港も拒否している。このためイタリア船籍の「コスタ・セレーナ」と「コスタ・ベネチア」の2隻は、いま次の寄港地を求めて東シナ海を回遊中。アメリカの「シーボーン・オペレイション」は2日に香港を発ったあと、いまだにベトナム沖を航行しているという。
このように入港を許可してくれる国を探して“さまよっている”クルーズ船は、現状で5-6隻。新型肺炎の感染が広がれば、この数はさらに増える可能性がある。楽しい船旅を夢見て出発した乗客たちは、とんだ悲劇に襲われたものである。またクルーズ船に対する信頼感も、いつになったら回復できるのだろう。豪華クルーズ船業界も、漂流し始めたようだ。
≪10日の日経平均 = 下げ -142.00円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 給与は20年前より3万円も減った = 厚生労働省が発表した19年の毎月勤労統計によると、労働者1人当たりの平均賃金である現金給与総額は月平均で32万2689円だった。前年に比べると0.3%の減少、給与が前年より減ったのは6年ぶり。このうち正社員は42万5288円で0.3%の増加だったが、パートは9万9758円で前年と変わらなかった。それでも全体の給与総額が減少したのは、賃金の低いパートの人数が増えたためである。
安倍首相は経済界に対して、たびたび賃金の引き上げを要請してきた。勤労者の所得が増えれば消費が増大し、景気が良くなるからである。しかし、なかなか実現はしない。もっと長い目でみると、給与の水準はむしろ下がっている。たとえば10年前の現金給与総額は31万5294円で、昨年よりはやや低い。だが20年前は35万3679円で、昨年を3万円以上も上回っていた。
毎月勤労統計というのは、厚労省が常用雇用者が5人以上いる全国3万3000の事業所を対象に毎月行っている大掛かりな調査。最近はパートタイムで働く労働者が急増。19年の調査では、労働者全体の31.53%を占めている。このため全体の平均賃金は、どうしても下がってしまう。この点は時代の流れを反映していると言えるだろう。
だが毎月勤労統計には、大きな欠陥がある。それは労働者の年齢構造を、全く反映していないことだ。いま団塊の世代が定年に達し、少子化で学卒者も減る傾向にある。すると正規雇用者の平均年齢は下がるが、そのことが統計には現われてこない。たとえば39-41歳の平均賃金を算出して前年と比べれば、生活水準に密着した賃金動向が判明する。現在の統計では賃金の水準が低く出過ぎて、いたずらに節約志向をあおっているのではないか。安倍さん、どう思いますか。
≪12日の日経平均 = 上げ +175.23円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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安倍首相は経済界に対して、たびたび賃金の引き上げを要請してきた。勤労者の所得が増えれば消費が増大し、景気が良くなるからである。しかし、なかなか実現はしない。もっと長い目でみると、給与の水準はむしろ下がっている。たとえば10年前の現金給与総額は31万5294円で、昨年よりはやや低い。だが20年前は35万3679円で、昨年を3万円以上も上回っていた。
毎月勤労統計というのは、厚労省が常用雇用者が5人以上いる全国3万3000の事業所を対象に毎月行っている大掛かりな調査。最近はパートタイムで働く労働者が急増。19年の調査では、労働者全体の31.53%を占めている。このため全体の平均賃金は、どうしても下がってしまう。この点は時代の流れを反映していると言えるだろう。
だが毎月勤労統計には、大きな欠陥がある。それは労働者の年齢構造を、全く反映していないことだ。いま団塊の世代が定年に達し、少子化で学卒者も減る傾向にある。すると正規雇用者の平均年齢は下がるが、そのことが統計には現われてこない。たとえば39-41歳の平均賃金を算出して前年と比べれば、生活水準に密着した賃金動向が判明する。現在の統計では賃金の水準が低く出過ぎて、いたずらに節約志向をあおっているのではないか。安倍さん、どう思いますか。
≪12日の日経平均 = 上げ +175.23円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 市場は10兆ドルのインフラ投資に反応せず = トランプ大統領は10日、21年度(20年10月-21年9月)の予算教書を議会に送付した。歳出総額は4兆8290億ドル(約530兆円)で、前年度比0.8%の増加となっている。このなかで、インフラ投資を10年間で1兆ドル支出するという景気対策を打ち出した。高速道路や鉄道に8100億ドル、高速通信や水道に1900億ドルを振り向けている。
そのほか防衛費は5.7%の増加、メキシコ国境のカベ建設には20億ドルの支出を要求している。その一方で、社会保障費などは0.3%削減。この結果、財政赤字を5年後には半減させると約束した。野党の民主党は防衛費の削減と社会保障費の増額を主張しているから、議会の審議ではこの辺が最大の対立点になると思われる。
トランプ大統領にしてみると、10年間に1兆ドルのインフラ投資は、大統領選挙を前に繰り出した“切り札”だったに違いない。だが専門家による評価はいま一つ。今後5年間に毎年3%成長することが土台となっているために、全体の構想が甘すぎると受け取られたようだ。市場もこの予算教書をほとんど無視、好材料とは認めていない。
空振りとなった形のインフラ投資。トランプ大統領は選挙前に、まだ何枚かの“切り札”を使いたいところ。しかし中国は新型肺炎で、揺さぶりをかけにくい。中東情勢で強腰に出ても、選挙の票にはなりにくい。カナダやメキシコ、日本との貿易交渉も終わってしまった。どうやらカード切れになったらしい。あとはFRBに圧力をかけて、金融を緩和させるか。トランプ大統領の新しいカード探しが始まろうとしている。
≪13日の日経平均 = 下げ -33.48円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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そのほか防衛費は5.7%の増加、メキシコ国境のカベ建設には20億ドルの支出を要求している。その一方で、社会保障費などは0.3%削減。この結果、財政赤字を5年後には半減させると約束した。野党の民主党は防衛費の削減と社会保障費の増額を主張しているから、議会の審議ではこの辺が最大の対立点になると思われる。
トランプ大統領にしてみると、10年間に1兆ドルのインフラ投資は、大統領選挙を前に繰り出した“切り札”だったに違いない。だが専門家による評価はいま一つ。今後5年間に毎年3%成長することが土台となっているために、全体の構想が甘すぎると受け取られたようだ。市場もこの予算教書をほとんど無視、好材料とは認めていない。
空振りとなった形のインフラ投資。トランプ大統領は選挙前に、まだ何枚かの“切り札”を使いたいところ。しかし中国は新型肺炎で、揺さぶりをかけにくい。中東情勢で強腰に出ても、選挙の票にはなりにくい。カナダやメキシコ、日本との貿易交渉も終わってしまった。どうやらカード切れになったらしい。あとはFRBに圧力をかけて、金融を緩和させるか。トランプ大統領の新しいカード探しが始まろうとしている。
≪13日の日経平均 = 下げ -33.48円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ バカ言ってんじゃねーよ! = 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は先週「20年度の診療報酬改定案」をまとめ、加藤厚労相に答申した。内容の中核は医師らの技術料を0.55%引き上げることにあったが、ここに「ギャンブル依存症の治療に公的保険を適用する」という一項も潜り込ませている。政府はこの答申を受けて4月から実施する方針だが、全く冗談じゃない。
ギャンブル依存症というのは、パチンコや競馬などのギャンブルにのめり込み、日常生活に支障が出ても止められない一種の病気。いま日本では約320万人いると言われる。この時点で公的保険の適用案が飛び出したのは、政府が推進中のIR(統合型リゾート)にカジノが開設されることと無関係ではありえない。
健康保険や国民健康保険などの公的医療保険は、加入者が病気になった場合にみんなで助け合って負担を軽くする制度。しかし高齢化の進展などでみな大赤字。国や地方自治体が、税金で赤字を埋めている。それでも赤字のため、出産費用やインフルエンザ予防接種、花粉症治療などは適用の対象になっていない。
IRの開発についての世論調査は、圧倒的に反対が多い。それでも政府が推進するのは、IRで儲かる地方自治体や関係業界からの圧力が強いからだろう。しかしカジノを作れば、ギャンブル依存症は増えるに決まっている。その病気の温床を作る一方で、病人が出たら保険金を使って治療する。なんとも不思議な考え方だ。与野党の議員が黙り込んでいるのも不思議だ。もうギャンブルに毒されてしまったのだろうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -140.14円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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ギャンブル依存症というのは、パチンコや競馬などのギャンブルにのめり込み、日常生活に支障が出ても止められない一種の病気。いま日本では約320万人いると言われる。この時点で公的保険の適用案が飛び出したのは、政府が推進中のIR(統合型リゾート)にカジノが開設されることと無関係ではありえない。
健康保険や国民健康保険などの公的医療保険は、加入者が病気になった場合にみんなで助け合って負担を軽くする制度。しかし高齢化の進展などでみな大赤字。国や地方自治体が、税金で赤字を埋めている。それでも赤字のため、出産費用やインフルエンザ予防接種、花粉症治療などは適用の対象になっていない。
IRの開発についての世論調査は、圧倒的に反対が多い。それでも政府が推進するのは、IRで儲かる地方自治体や関係業界からの圧力が強いからだろう。しかしカジノを作れば、ギャンブル依存症は増えるに決まっている。その病気の温床を作る一方で、病人が出たら保険金を使って治療する。なんとも不思議な考え方だ。与野党の議員が黙り込んでいるのも不思議だ。もうギャンブルに毒されてしまったのだろうか。
≪14日の日経平均 = 下げ -140.14円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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◇ コロナ肺炎と企業業績に揺れる市場 = 株式市場は、新型肺炎の状況を伝えるニュースと企業業績の見通しを軸に上下動した。ダウ平均は先週296ドル上昇して、いぜん史上最高値の水準を維持している。一方、日経平均は先週140円の値下がり。1月23日以来、ずっと2万4000円割れが続いている。注目されるのは新型肺炎に対する受け取り方が、日本とアメリカでは異なってきたことだ。
新型肺炎に対する警戒感は、病気そのものの広がり方と、それが中国をはじめ世界経済に及ぼす悪影響の2つに向けられる。このうちアメリカでは国内の感染者がまだ10人程度なので蔓延に対する関心度は低く、経済的な影響が重視されている。しかし日本では、両方に強い警戒感が出始めた。また企業業績の見通しも、アメリカより日本の方がかなり悪い。
そんな環境のなかで日本ではきょう17日、昨年10-12月期のGDP速報が発表される。事前の民間予測ではマイナス成長となっていたが、マイナス幅が大きいと市場にもショックが走るだろう。これまで大量の資金を投入して相場を支えてきた投資家の行動に、変化を生じるかどうか。今週はその結果が、見極められることになるだろう。
今週は17日に、10-12月期のGDP速報。19日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数、12月の機械受注。21日に、1月の消費者物価と12月の全産業活動指数。アメリカでは19日に、生産者物価と住宅着工戸数。20日に、1月のカンファレンス・ボード景気先行指数。21日に、1月の中古住宅販売が発表される。
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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新型肺炎に対する警戒感は、病気そのものの広がり方と、それが中国をはじめ世界経済に及ぼす悪影響の2つに向けられる。このうちアメリカでは国内の感染者がまだ10人程度なので蔓延に対する関心度は低く、経済的な影響が重視されている。しかし日本では、両方に強い警戒感が出始めた。また企業業績の見通しも、アメリカより日本の方がかなり悪い。
そんな環境のなかで日本ではきょう17日、昨年10-12月期のGDP速報が発表される。事前の民間予測ではマイナス成長となっていたが、マイナス幅が大きいと市場にもショックが走るだろう。これまで大量の資金を投入して相場を支えてきた投資家の行動に、変化を生じるかどうか。今週はその結果が、見極められることになるだろう。
今週は17日に、10-12月期のGDP速報。19日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数、12月の機械受注。21日に、1月の消費者物価と12月の全産業活動指数。アメリカでは19日に、生産者物価と住宅着工戸数。20日に、1月のカンファレンス・ボード景気先行指数。21日に、1月の中古住宅販売が発表される。
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 増税の影響は大きかった = 内閣府は17日、昨年10-12月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は前期比で1.6%の減少。年率に換算すると、マイナス6.3%だった。事前の民間予測を大きく上回る落ち込みで、マイナス幅は14年4-6月期以来の大きさ。消費増税の影響が大きかったのに加えて、台風や暖冬、さらには中国経済の鈍化などが重なったためと考えられる。
内訳をみると、GDPの6割を占める個人消費が年率11.5%の減少。企業の設備投資は14.1%の減少。住宅投資は10.4%の減少だった。また輸出も0.4%の減少で、GDPを構成する主要項目がすべてマイナスとなっている。ただ輸入が10.1%減少したため、外需はGDPを押し上げる要因となった。しかし輸入の減少も国内需要の低下を反映したもので、喜ばしい現象ではない。
大問題は、ことし1-3月期の経済がどうなるかだ。昨年10-12月期のGDP統計には、コロナ肺炎の影響が全く反映されていない。年明け以降、増税や台風の影響はしだいに和らぐものと考えられる。しかし中国経済の状況は、混乱の度を深めている。そして肺炎の影響は、インバウンド縮小やサプライ・チェーンの不具合などを通じて強まりつつあるのが現状だ。
冷静に観察しても、1-3月期のGDPがプラスに転じる兆候は読み取れない。だとすると、GDP成長率は昨年10-12月期に続いてV字型のマイナスになる可能性が高い。本来ならば、政府は早めに大型減税などの対策を用意すべきところだろう。だが政府にその余裕はないし、日銀も動きがとれない。どうやら、景気後退は避けられそうにない。
≪17日の日経平均 = 下げ -164.35円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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内訳をみると、GDPの6割を占める個人消費が年率11.5%の減少。企業の設備投資は14.1%の減少。住宅投資は10.4%の減少だった。また輸出も0.4%の減少で、GDPを構成する主要項目がすべてマイナスとなっている。ただ輸入が10.1%減少したため、外需はGDPを押し上げる要因となった。しかし輸入の減少も国内需要の低下を反映したもので、喜ばしい現象ではない。
大問題は、ことし1-3月期の経済がどうなるかだ。昨年10-12月期のGDP統計には、コロナ肺炎の影響が全く反映されていない。年明け以降、増税や台風の影響はしだいに和らぐものと考えられる。しかし中国経済の状況は、混乱の度を深めている。そして肺炎の影響は、インバウンド縮小やサプライ・チェーンの不具合などを通じて強まりつつあるのが現状だ。
冷静に観察しても、1-3月期のGDPがプラスに転じる兆候は読み取れない。だとすると、GDP成長率は昨年10-12月期に続いてV字型のマイナスになる可能性が高い。本来ならば、政府は早めに大型減税などの対策を用意すべきところだろう。だが政府にその余裕はないし、日銀も動きがとれない。どうやら、景気後退は避けられそうにない。
≪17日の日経平均 = 下げ -164.35円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 3月期決算の予測は困難に = 企業の12月期決算発表は、いまピークを迎えている。市場は常に先を読みたがるから、最大の関心事は最終的に3月期の決算がどうなるかだ。ところが、ことしはそれが読めない。コロナ肺炎の影響がどこまで拡大するかが不明なため、大半の企業が1-3月期の業績を予測できなくなっているからだ。肺炎の蔓延が続けば続くほど、企業の業績は濃い霧のなかで悪化して行く。市場はそれを心配している。
日経新聞が10日までに12月期の決算発表を終えた1342社について集計したところ、3月期の純利益は前年比8.4%の減益となった。昨年11月時点の予測より、減益幅が1.6ポイント拡大している。製造業は22%の減益、非製造業もわずかな減益になる見通し。これまでのピークだった18年3月期に比べると、約13%低い水準だという。
それでも、この程度なら利益の水準はまだ高い。しかしトヨタをはじめ多くの企業が、今回は3月期の見通しを明らかにしていない。言うまでもなく、コロナ肺炎が経済に及ぼす悪影響を計測できないためである。その悪影響は、①インバウンドの縮小②中国経済の鈍化③サプライ・チェーンの崩壊④世界経済全体への影響――などに現われるが、現時点ではそのどれについても予測は不可能だ。
加えて日本国内での肺炎の流行も、大きな問題になってきた。近いうちに終息のメドが付けばいいが、長引けば長引くほど影響は拡大する。とにかく株価を形成する最大の要因は、企業の収益であることに間違いはない。その収益が落ち込めば、株価は下がらざるをえない。市場はこれからも、肺炎の動向を注視することになるだろう。
≪18日の日経平均 = 下げ -329.44円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経新聞が10日までに12月期の決算発表を終えた1342社について集計したところ、3月期の純利益は前年比8.4%の減益となった。昨年11月時点の予測より、減益幅が1.6ポイント拡大している。製造業は22%の減益、非製造業もわずかな減益になる見通し。これまでのピークだった18年3月期に比べると、約13%低い水準だという。
それでも、この程度なら利益の水準はまだ高い。しかしトヨタをはじめ多くの企業が、今回は3月期の見通しを明らかにしていない。言うまでもなく、コロナ肺炎が経済に及ぼす悪影響を計測できないためである。その悪影響は、①インバウンドの縮小②中国経済の鈍化③サプライ・チェーンの崩壊④世界経済全体への影響――などに現われるが、現時点ではそのどれについても予測は不可能だ。
加えて日本国内での肺炎の流行も、大きな問題になってきた。近いうちに終息のメドが付けばいいが、長引けば長引くほど影響は拡大する。とにかく株価を形成する最大の要因は、企業の収益であることに間違いはない。その収益が落ち込めば、株価は下がらざるをえない。市場はこれからも、肺炎の動向を注視することになるだろう。
≪18日の日経平均 = 下げ -329.44円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 政治日程がすべてガタガタに = 習近平政権は、3月5日に開幕する予定の全国人民代表大会を延期することになった。この全人代は憲法で「最高の国家権力機関」と規定され、全国から約3000人の地域代表が北京の人民大会堂に参集。冒頭に首相が施政方針演説、予算や重要法案の審議が行われる。この全人代が延期されることになったのは、言うまでもなくコロナ肺炎の蔓延が収まらないからだ。同時並行的に北京で開かれる全国政治協商会議も、延期されることになる。
規定によって、全人代は毎年1-3月中に開くことになっている。したがって中国政府としては3月中の開幕を模索するだろうが、まだ見通しは立っていない。仮に3月末の開幕となっても、4月上旬に予定される習近平国家主席の日本訪問はムリ。中止か延期に追い込まれるだろう。コロナ肺炎のせいとは言っても、こうした政治日程の混乱は大きな汚点。伝染病の初期対策に失敗した結果だという批判が広がりかねない。
中国におけるコロナ肺炎の現状をみると、19日時点で感染者が7万4185人。死者は2004人に達した。感染者の増加数は1日2000人を下回るようになってはきたが、まだ最悪の状態を脱したという見方は出ていない。特に湖北省や浙江省では地方議会を開くことが出来ず、全人代へ参加する準備も出来なかったという。
病気の蔓延が収まらず全人代の開催が遅れれば、中国は外交や経済の面にも政策的な遅れが生じかねない。特に経済面では、肺炎の問題が起こる前からGDP成長率の鈍化が目立っていた。これに対して、政府はどのような見通しを持っているのか。どんな対策を講じようとしているのか。全人代の延期で、この辺の情報が国民の耳に届かなくなってしまった。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +206.90円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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規定によって、全人代は毎年1-3月中に開くことになっている。したがって中国政府としては3月中の開幕を模索するだろうが、まだ見通しは立っていない。仮に3月末の開幕となっても、4月上旬に予定される習近平国家主席の日本訪問はムリ。中止か延期に追い込まれるだろう。コロナ肺炎のせいとは言っても、こうした政治日程の混乱は大きな汚点。伝染病の初期対策に失敗した結果だという批判が広がりかねない。
中国におけるコロナ肺炎の現状をみると、19日時点で感染者が7万4185人。死者は2004人に達した。感染者の増加数は1日2000人を下回るようになってはきたが、まだ最悪の状態を脱したという見方は出ていない。特に湖北省や浙江省では地方議会を開くことが出来ず、全人代へ参加する準備も出来なかったという。
病気の蔓延が収まらず全人代の開催が遅れれば、中国は外交や経済の面にも政策的な遅れが生じかねない。特に経済面では、肺炎の問題が起こる前からGDP成長率の鈍化が目立っていた。これに対して、政府はどのような見通しを持っているのか。どんな対策を講じようとしているのか。全人代の延期で、この辺の情報が国民の耳に届かなくなってしまった。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +206.90円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ “ゼロ成長”説も現われる = 政治の混乱は、経済にも悪影響を及ぼす。たとえば景気対策。中国のGDP成長率は米中経済戦争の影響もあって、昨年下半期には6.0%まで低下した。この水準は、習政権が公約した目標の下限。しかしコロナ肺炎の蔓延で生産や流通に支障が生じたため、この1-3月期は4%前後にまで低下するとみられている。さらに疫病の流行が長引けば、20年の成長率はゼロに近づくという観測さえ現われた。
中国政府としては、強力な景気対策の必要性を感じているはずだ。ところが中国の場合、財政支出の大半は中央政府の命令を受けた地方政府が実行する。だが地方政府の多くは、いま肺炎対策で手いっぱい。地方債を発行したり、新しい公共事業を推進する余力がない。その結果、景気対策の実施は遅れてしまう。
また中国はアメリカとの経済協議で、第1段階の合意を取り付けた。さる14日には、両国が関税の一部を引き下げている。だが中国はこの合意のなかで、大豆や豚肉などの農産物を年内に500億ドル輸入することも約束した。しかし肺炎の蔓延で流通が混乱し消費も鈍っている状態で、どこまで約束を守れるのか。
仮に約束を守れなかった場合に、トランプ大統領がどう反応するのかは予測できない。コロナ肺炎だから仕方がないと考えるかもしれないが、関税の再引き上げなど強硬な態度に出る可能性もないではない。もしそうなると、習近平主席の立場はもっと苦しくなるだろう。中国にとっても習政権にとっても、正念場である。
≪20日の日経平均 = 上げ +78.45円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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中国政府としては、強力な景気対策の必要性を感じているはずだ。ところが中国の場合、財政支出の大半は中央政府の命令を受けた地方政府が実行する。だが地方政府の多くは、いま肺炎対策で手いっぱい。地方債を発行したり、新しい公共事業を推進する余力がない。その結果、景気対策の実施は遅れてしまう。
また中国はアメリカとの経済協議で、第1段階の合意を取り付けた。さる14日には、両国が関税の一部を引き下げている。だが中国はこの合意のなかで、大豆や豚肉などの農産物を年内に500億ドル輸入することも約束した。しかし肺炎の蔓延で流通が混乱し消費も鈍っている状態で、どこまで約束を守れるのか。
仮に約束を守れなかった場合に、トランプ大統領がどう反応するのかは予測できない。コロナ肺炎だから仕方がないと考えるかもしれないが、関税の再引き上げなど強硬な態度に出る可能性もないではない。もしそうなると、習近平主席の立場はもっと苦しくなるだろう。中国にとっても習政権にとっても、正念場である。
≪20日の日経平均 = 上げ +78.45円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ インフルエンザで死者が1万2000人超す = 横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から、約330人のアメリカ人が政府差し回しの航空機で帰国した。ところが50人ほどの乗客は、元気なのに帰国しなかった。そのうちの1人は、こう話したという――「帰っても14日間は隔離される。そのあと自由になっても、いまのアメリカはもっと危ないから帰らないんだ」と。えっ、どういうこと?
そのイミを調べてみて、びっくり仰天した。アメリカでは、いまインフルエンザがコロナ肺炎をはるかに上回る猛威を振るっているのだ。アメリカ疾病対策センターの発表によると、インフルエンザの感染者数は14日時点で2200万人。死者は1万2000人を超えた。中国ではコロナ肺炎の感染者が7万人を超え、死者も2000人に達したが、それどころではない。
ところがアメリカ人に聞いてみると、新聞やテレビは中国や日本のコロナ肺炎については報道しているが、国内のインフルエンザに関するニュースはあまり見ないという。人々もマスクなどはしない。旅行制限もないし、イベントの中止もない。一般人の感覚は、インフルエンザの流行はよくあること。治療法も確立されているし、ワクチンもある。だがコロナ肺炎は治療法もワクチンもないから心配なのだ、ということらしい。
アメリカのマスコミが騒ぎ立てないせいか、日本の新聞やテレビも報道しない。日本の外務省も「1万2000人の死者が出ている」ことは情報として流したが、渡航注意報は出していない。でも人口の多さを勘案すれば、アメリカの死者数は、中国の20倍に達する。やはり、なんだか割り切れない。アメリカ人は勇敢なのか、それとも鈍感なのか。
≪21日の日経平均 = 下げ -92.41円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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そのイミを調べてみて、びっくり仰天した。アメリカでは、いまインフルエンザがコロナ肺炎をはるかに上回る猛威を振るっているのだ。アメリカ疾病対策センターの発表によると、インフルエンザの感染者数は14日時点で2200万人。死者は1万2000人を超えた。中国ではコロナ肺炎の感染者が7万人を超え、死者も2000人に達したが、それどころではない。
ところがアメリカ人に聞いてみると、新聞やテレビは中国や日本のコロナ肺炎については報道しているが、国内のインフルエンザに関するニュースはあまり見ないという。人々もマスクなどはしない。旅行制限もないし、イベントの中止もない。一般人の感覚は、インフルエンザの流行はよくあること。治療法も確立されているし、ワクチンもある。だがコロナ肺炎は治療法もワクチンもないから心配なのだ、ということらしい。
アメリカのマスコミが騒ぎ立てないせいか、日本の新聞やテレビも報道しない。日本の外務省も「1万2000人の死者が出ている」ことは情報として流したが、渡航注意報は出していない。でも人口の多さを勘案すれば、アメリカの死者数は、中国の20倍に達する。やはり、なんだか割り切れない。アメリカ人は勇敢なのか、それとも鈍感なのか。
≪21日の日経平均 = 下げ -92.41円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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◇ 天井が見えた株式相場 = 円相場が久しぶりに大きく動いた。ニューヨーク市場では20日、対ドル相場が112円台に下落。10か月ぶりの安値となった。これはアメリカ経済の堅調が続く一方で、中国市場への依存度が高い日本やヨーロッパの景気が悪化したためだと解説されている。ところがドル高にもかかわらず、ダウ平均は先週406ドルの値下がり。円安にもかかわらず、日経平均も301円の下落となった。
ダウ平均の反落は、中国経済の混乱が世界経済に与える悪影響が無視できなくなったため。日経平均の続落も、コロナ肺炎の蔓延が止まらないことへの警戒感が主因だという。つまりアメリカでは国内経済の堅調、日本では大幅な円安という好材料よりも、肺炎の脅威が上回ったことになる。
これでダウ平均は、当面の目標だった3万ドル載せから少し遠ざかった。日経平均も2万4000円台の回復は、難しくなった。もっとも投資資金はあり余っているので、下げれば押し目買いも入るだろう。しかしアメリカや日本が想定外の景気対策でも打ち出さない限り、大幅な反発は期待薄だ。日米の株価には、天井が見えている。
今週は25日に、1月の企業向けサービス価格。28日に、1月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは25日に、12月のFHFA住宅価格と2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、1月の新築住宅販売。27日に、10-12月期のGDP改定値、1月の中古住宅販売。また中国が29日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ダウ平均の反落は、中国経済の混乱が世界経済に与える悪影響が無視できなくなったため。日経平均の続落も、コロナ肺炎の蔓延が止まらないことへの警戒感が主因だという。つまりアメリカでは国内経済の堅調、日本では大幅な円安という好材料よりも、肺炎の脅威が上回ったことになる。
これでダウ平均は、当面の目標だった3万ドル載せから少し遠ざかった。日経平均も2万4000円台の回復は、難しくなった。もっとも投資資金はあり余っているので、下げれば押し目買いも入るだろう。しかしアメリカや日本が想定外の景気対策でも打ち出さない限り、大幅な反発は期待薄だ。日米の株価には、天井が見えている。
今週は25日に、1月の企業向けサービス価格。28日に、1月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは25日に、12月のFHFA住宅価格と2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、1月の新築住宅販売。27日に、10-12月期のGDP改定値、1月の中古住宅販売。また中国が29日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ アザ笑うように株価は全面安 = サウジアラビアの首都リアドで開かれたG20(主要20か国)財務相・中央銀行総裁会議が23日、共同声明を発表して閉幕した。会議では新型コロナ肺炎が世界経済に及ぼす悪影響が大きなテーマに取り上げられたが、共同声明は「世界経済のリスク監視を強化する」「全ての利用可能な政策手段を用いる」と表現されただけ。なんとも具体性のない内容になっている。
G20会議は世界経済のグローバル化が進み、新興国の経済水準も向上してきたことから、先進国と主要新興国が一緒に話し合う場を設けるために設置された。財務相・総裁会議は1999年に発足している。しかし先進国と新興国の意見がしばしば対立し、意見の一致をみることは少なく、その存在意義を疑問視する声も少なくない。
ただ今回の会議では、先進国と新興国が対立したわけではない。世界経済が悪化した場合、景気対策を打ち出すのは先進国が主体となるが、その先進国には財政支出を増大したり、金融を緩和する余裕がない。このため共同声明でも「利用可能な政策」とは書いたが、「財政」とか「金融」とか具体的な政策には言及できなかった。
はたして週明け24日のニューヨーク市場では、株価が1000ドル以上も暴落した。ヨーロッパやアジアの株価も一斉に大きく下落、世界同時株安の様相を呈している。G20会議では「コロナ肺炎の世界経済に与える打撃を再確認したものの、具体的な対策を打ち出せるはずはない」と、市場が断定したかのようだ。G20会議にも肺炎が伝染し、集中治療室に搬送されたようである。
≪25日の日経平均 = 下げ -781.33円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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G20会議は世界経済のグローバル化が進み、新興国の経済水準も向上してきたことから、先進国と主要新興国が一緒に話し合う場を設けるために設置された。財務相・総裁会議は1999年に発足している。しかし先進国と新興国の意見がしばしば対立し、意見の一致をみることは少なく、その存在意義を疑問視する声も少なくない。
ただ今回の会議では、先進国と新興国が対立したわけではない。世界経済が悪化した場合、景気対策を打ち出すのは先進国が主体となるが、その先進国には財政支出を増大したり、金融を緩和する余裕がない。このため共同声明でも「利用可能な政策」とは書いたが、「財政」とか「金融」とか具体的な政策には言及できなかった。
はたして週明け24日のニューヨーク市場では、株価が1000ドル以上も暴落した。ヨーロッパやアジアの株価も一斉に大きく下落、世界同時株安の様相を呈している。G20会議では「コロナ肺炎の世界経済に与える打撃を再確認したものの、具体的な対策を打ち出せるはずはない」と、市場が断定したかのようだ。G20会議にも肺炎が伝染し、集中治療室に搬送されたようである。
≪25日の日経平均 = 下げ -781.33円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 「景気回復」は国民への欺瞞 = 安倍内閣は、いぜんとして「景気は回復中」の判断に固執している。政府の正式な景気判断を示す2月の月例経済報告をみると、景気の現状について「輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」と、なんとも矛盾に満ちた表現。連日のように景気の悪化を示す経済指標が発表されているなかで、なぜ「景気は回復中」と言い続けるのだろうか。
月例報告の中身をみると、企業の設備投資、収益、輸出、生産の各項目については、いずれも「弱含んでいる」と認めている。しかし個人消費は「持ち直して」おり、雇用情勢は「改善している」と断定した。つまり個人消費と雇用情勢のプラス要因が、生産や輸出などのマイナス要因を上回っているから、全体としては「緩やかな回復」と主張しているわけだ。
だが、この理屈にはムリがある。個人消費は増税の反動減から立ち直る過程で、持ち直すのは当たり前。しかし増税前の水準に戻るほどの勢いはない。加えてコロナ肺炎の悪影響。訪日外国人が減少しただけでなく、イベントや旅行のキャンセルなど日本人の消費活動も抑制されている。それなのに「景気は回復中」と宣伝する神経は、不可解だ。
人手不足で失業率も最低水準に。たしかに雇用情勢は改善している。だが、これは経済活動に携われる生産年齢人口(15-64歳)が減っているためで、景気が良いからではない。生産年齢人口は1997年の8700万人から、現在までに1100万人も減っているのだから、人手が不足するのは当然。失業率が上昇し始めたら、それは景気が相当に悪化したときだろう。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -179.22円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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月例報告の中身をみると、企業の設備投資、収益、輸出、生産の各項目については、いずれも「弱含んでいる」と認めている。しかし個人消費は「持ち直して」おり、雇用情勢は「改善している」と断定した。つまり個人消費と雇用情勢のプラス要因が、生産や輸出などのマイナス要因を上回っているから、全体としては「緩やかな回復」と主張しているわけだ。
だが、この理屈にはムリがある。個人消費は増税の反動減から立ち直る過程で、持ち直すのは当たり前。しかし増税前の水準に戻るほどの勢いはない。加えてコロナ肺炎の悪影響。訪日外国人が減少しただけでなく、イベントや旅行のキャンセルなど日本人の消費活動も抑制されている。それなのに「景気は回復中」と宣伝する神経は、不可解だ。
人手不足で失業率も最低水準に。たしかに雇用情勢は改善している。だが、これは経済活動に携われる生産年齢人口(15-64歳)が減っているためで、景気が良いからではない。生産年齢人口は1997年の8700万人から、現在までに1100万人も減っているのだから、人手が不足するのは当然。失業率が上昇し始めたら、それは景気が相当に悪化したときだろう。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -179.22円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景気はすでに下降している = 昨年10-12月期のGDP成長率はマイナス6.3%で、予想をはるかに下回った。1月の輸出は前年比2.6%の減少で、14か月連続の前年割れ。12月の実質消費支出は前年比4.8%の減少。企業の3月期決算予想では、純利益が11%減る見通し。さらに景気動向指数は、昨年12月まで5か月にわたって「悪化」が続いている。これが最近の経済指標。景気の回復を示すものは何もない。
このうちGDP成長率は、この1-3月期もマイナス成長になることは確実だ。アメリカやヨーロッパの主要国では、マイナス成長が2四半期続けば「景気後退」と判定される。日本では景気動向指数が判定の基準となるが、これも「悪化」が続くだろう。景気は明らかに後退局面に入っている。にもかかわらず、政府は「緩やかな回復」という公式見解を出し続ける。なぜだろう。
月例経済報告は内閣府が作成し、安倍首相をはじめ主要な経済閣僚が了承して発表される。ここで異論が出ないのは、経済閣僚たちが勉強不足なのか。もっとも政府が景気後退を認めれば、すぐに景気対策を迫られる。麻生財務相などは、それを嫌うのかもしれない。また景気後退は、アベノミックス景気の終了を意味する。もしかして得意の忖度が働き、それを回避したのかもしれない。
見解の相違という反論もあるだろう。だが、ここまでくると見解の相違ではなく、立派なねつ造、ウソだと言わざるをえない。こんなウソが続くと、国民の多くは政府の公式な見解を信用しなくなるだろう。それでも政府は、いつまでウソをつき続けるつもりなのだろうか。
≪27日の日経平均 = 下げ -477.96円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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このうちGDP成長率は、この1-3月期もマイナス成長になることは確実だ。アメリカやヨーロッパの主要国では、マイナス成長が2四半期続けば「景気後退」と判定される。日本では景気動向指数が判定の基準となるが、これも「悪化」が続くだろう。景気は明らかに後退局面に入っている。にもかかわらず、政府は「緩やかな回復」という公式見解を出し続ける。なぜだろう。
月例経済報告は内閣府が作成し、安倍首相をはじめ主要な経済閣僚が了承して発表される。ここで異論が出ないのは、経済閣僚たちが勉強不足なのか。もっとも政府が景気後退を認めれば、すぐに景気対策を迫られる。麻生財務相などは、それを嫌うのかもしれない。また景気後退は、アベノミックス景気の終了を意味する。もしかして得意の忖度が働き、それを回避したのかもしれない。
見解の相違という反論もあるだろう。だが、ここまでくると見解の相違ではなく、立派なねつ造、ウソだと言わざるをえない。こんなウソが続くと、国民の多くは政府の公式な見解を信用しなくなるだろう。それでも政府は、いつまでウソをつき続けるつもりなのだろうか。
≪27日の日経平均 = 下げ -477.96円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ キャッシュ・カード詐取が増加している = 警察庁の集計によると、19年中に起こった特殊詐欺事件は1万6836件。その被害総額は301億5000万円だった。このうちオレオレ詐欺は6697件で、前年より2448件減っている。その代りに増えたのが、キャッシュ・カードを封筒に入れさせて騙し取り現金を引き出す詐欺盗と呼ばれる犯罪。3773件で、前年の2.8倍に急増した。詐欺グループも悪知恵を働かせて、イノベーションに励んでいるのだろう。
このほか架空請求詐欺が3546件。還付金詐欺が2383件などとなっている。地域的には首都圏が圧倒的に多く、東京都は3816件で全体の22.7%を占めた。次いで神奈川県、埼玉県、千葉県と続き、第5位が大阪府。金持ちの高齢者世帯が多く、交通の便がよくて受け子が動きやすい地域なのだろう。
摘発された件数は6773件で、前年比1223件の増加。人数は2911人で、前年より74人多かった。件数、人数ともに過去最多となっている。このうち逮捕された主犯格は58人、未成年者は633人だった。大ざっぱに言うと、起こった詐欺事件の3分の1以上が逮捕されており、警察の努力は褒められていい。
未成年者の多くは、カネを受け取りに行く受け子。アルバイト感覚で、つい犯罪に加担した例が少なくないという。そこで一つ提案。警察庁はこうした犯罪者が裁判の結果、どんな刑罰を受けることになったのかを公表したらいかが。もちろん代表的な事例を、いくつか仮名で示すだけ。こうするだけで、受け子になる若者は減るに違いない。
≪28日の日経平均 = 下げ -805.27円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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このほか架空請求詐欺が3546件。還付金詐欺が2383件などとなっている。地域的には首都圏が圧倒的に多く、東京都は3816件で全体の22.7%を占めた。次いで神奈川県、埼玉県、千葉県と続き、第5位が大阪府。金持ちの高齢者世帯が多く、交通の便がよくて受け子が動きやすい地域なのだろう。
摘発された件数は6773件で、前年比1223件の増加。人数は2911人で、前年より74人多かった。件数、人数ともに過去最多となっている。このうち逮捕された主犯格は58人、未成年者は633人だった。大ざっぱに言うと、起こった詐欺事件の3分の1以上が逮捕されており、警察の努力は褒められていい。
未成年者の多くは、カネを受け取りに行く受け子。アルバイト感覚で、つい犯罪に加担した例が少なくないという。そこで一つ提案。警察庁はこうした犯罪者が裁判の結果、どんな刑罰を受けることになったのかを公表したらいかが。もちろん代表的な事例を、いくつか仮名で示すだけ。こうするだけで、受け子になる若者は減るに違いない。
≪28日の日経平均 = 下げ -805.27円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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