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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2019-12-02-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NYに追随した東京市場 = ダウ平均は先週176ドルの値上がり。週の前半は続伸して史上最高値を更新したが、最終日には反落した。前半の上げは、米中交渉についてオブライエン大統領補佐官が「年内の合意も可能」と述べたことが材料に。週末の反落は、トランプ大統領が香港人権法案に署名したためだった。結局は米中交渉に振り回された形だが、年末商戦が好調にスタートしたことも市場を元気づけた。

日経平均も先週は181円の値上がり。ほとんどニューヨークの市況に追随する形で、前半は上げ最後は下げている。景気の悪化を示す鉱工業生産や小売り売上高の指標も発表されたが、市場は全く動揺しなかった。これで11月は367円の上げ。3か月間の連騰となった。円相場がやや円安に振れたのも、支援材料になっている。

トランプ政権が中国製品に対する関税の再引き上げを予告している期日、12月15日が近づいてきた。それまでに米中両国が、部分合意に達するかどうか。年内の株価を決める最大の要因だが、香港人権法の問題が出てきて見通しは全く霧のなか。今週もその見通しに、一喜一憂することになるだろう。

今週は2日に、7-9月期の法人企業統計、11月の新車販売。6日に、10月の毎月勤労統計、家計調査。アメリカでは2日に、ISM製造業景況指数。4日に、ISM非製造業景況指数。5日に、10月の貿易統計。6日に、11月の雇用統計、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、11月の貿易統計を発表する。

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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設備投資が増えた理由は?
2019-12-03-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 財務省の説明はおかしいぞ = 財務省は2日、7-9月期の法人企業統計を発表した。その結果には、米中経済戦争や消費増税、さらにはオリンピック需要の減衰などの影響が色濃く反映されている。まず全産業の売上高は前年比2.6%の減少。このうち製造業は1.5%、非製造業は3.1%の減少だった。消費増税前の駆け込み需要で増えたはずの卸・小売業が4.0%の減収となったのは、やや不思議。建設業は8.6%の売り上げ減となっている。

全産業の経常利益は5.3%の減少。2四半期連続の減益で、製造業は15.1%の減少。非製造業は0.5%の増益だった。米中経済戦争の影響で輸出が落ち込み、自動車や電機を中心に利益が縮小した。非製造業は売り上げが減ったのに、利益はわずかながら増加した。この面には、駆け込み需要の影響があったのだろうか。

利益が伸び悩んだ割に、企業の設備投資は増加した。全産業では前年比7.1%の増加。これで12四半期の連続増加となっている。製造業は6.4%、非製造業も7.6%の増加だった。これには増税前の駆け込みが影響していると考えられるが、日経新聞によると財務省は「増税の影響はない」と説明したそうだ。ちょっと納得できない。

法人企業統計の結果は、来週9日に内閣府が発表する7-9月期のGDP改定値に反映される。設備投資の伸び率が予想外に高かったので、GDP改定値が上方修正されることは間違いない。ただ設備投資の数値が増税前の駆け込みによるものだとすれば、10-12月期にはその反動が起こりうる。GDPがマイナスになる可能性は大きい。財務省はそんな予測が広がるのを警戒して、説得性に欠ける説明をしたのではないか。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +235.59円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ


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水平飛行が続く 円相場
2019-12-04-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことしの値幅は8円以内 = 円の対ドル相場が、異常と言っていいほど動かない。11月は1ドル=108円台で始まり、109円台で終わっている。月間の値幅は1円60銭以内に収まった。ことし1-11月間をみても、最高値は1月の104円台。最安値は4月の112円台で、年間を通しても値幅は8円以内にとどまっている。かつては1年間に50円ぐらい変動しても、全く不思議ではなかった。いったい、どうして動かなくなったのだろう。

円相場を決める最大の要因は、日米間の金利差であるということが定説になっている。FRBはことし7月末に政策転換し、利下げに踏み切った。日本の金利は一貫してゼロだから、8月以降は円相場に上昇圧力が加わるはず。ところが円相場は、やや下げ気味に推移している。この動きは、為替の専門家でも予測できなかった。

もちろん、円相場を決める要因は、ほかにも多数ある。たとえば国際緊張の高まり、世界経済の回復基調、あるいは日本の対外純資産の増加などは、円の上昇要因に。また国際緊張の緩和、世界経済の不調、あるいは日本の貿易黒字縮小、日本企業の海外債券投資などは円の下落要因になると考えられている。

最近はこれらの要因が強まったり弱まったりして、全体として均衡しているのではないか。そして重要なことは、各国の金利水準がゼロに近づいたため、金利差が圧縮されてきた。その結果、金利差による為替変動が起こりにくくなったのではないか。もし、こういう状態が続けば、円相場の膠着状態は長期にわたる可能性がある。喜ぶのは、日本の経営者と株式投資家ということになりそうだ。

       ≪3日の日経平均 = 下げ -149.69円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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新車が売れない理由は?
2019-12-05-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 消費増税の影響だけではない = 業界団体の集計によると、軽自動車を含む11月の新車販売台数は38万5859台で前年同月を12.7%下回った。内訳は普通車が23万8844台で14.6%の減少、軽自動車が14万7015台で9.4%の減少だった。消費税が10%に引き上げられた10月は前年比で24.9%も減少していたから、減少率は半分程度に縮小している。だが、それにしても販売不振は厳しすぎる。なぜ、売れないのだろう。

消費税が5%から8%に引き上げられたのは、14年の4月だった。そのときの販売状況は、4月が前年比5.5%の減少。5月は1.2%減少にまで戻している。それに比べると、今回の販売減少はやや異常なほどだ。政府はこうした需要の減退を防ぐために減税措置を講じたが、その効果もなかったと言えるだろう。

増税前の駆け込み需要は、たしかにあった。一般車でみると、8月が4.0%増、9月が12.8%増。軽自動車では8月が11.5%増、9月が13.2%増だった。10月以降、その反動が現われたことは間違いない。だが販売不振の理由は、それだけではなさそうだ。加えて複数の原因が、微妙に影響しているように思われる。

たとえば台風や大雨の影響。あるいは増税により生じた消費者の節約志向。また将来の生活に対する不安。さらに本格的なEV(電気自動車)の登場待ちや若者の車ばなれ・・・。一過性の天候不順を除けば、その他の要因は長引く可能性が大きい。世界経済の停滞で、輸出にも暗雲が。自動車業界は、消費増税を機に、下り坂に入ったのかもしれない。

       ≪4日の日経平均 = 下げ -244.58円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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最後のトリデは 個人消費 / アメリカ
2019-12-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年末商戦は活況の滑り出し = アメリカでは、先週28日が感謝祭の休日。毎年この日の夕刻から、恒例のXマス大売出しがスタートする。ことしの滑り出しは、きわめて好調。デパートや専門店には、行列ができたという。調査会社の予測では、売上総額が7300億ドル(約80兆円)、前年の4%増になる見通し。この年末商戦は12月中旬まで続くので、トランプ大統領も中国製品への追加関税引き上げを12月15日まで延期した。

これまでも個人消費は堅調に推移してきた。7-9月期も前年比2.9%の伸びを維持している。失業率が3.6%と50年ぶりの低さとなり、賃金も3%台の上昇率を維持していることが原動力だ。こうしてみると、アメリカ経済は底堅い動きをしているように思われる。しかし半面、製造業は深刻な状態に陥っている。工業生産はことし6月以降、8月を除いて減少中。ISM(サプライ・マネジメント協会)による景況感調査は、11月まで4か月連続で好不況を分ける50を下回った。

アメリカのGDPは、個人消費が7割を占める。製造業の比重は1割強しかない。したがって個人消費の堅調が続けば、そのうちに製造業の業況も回復する。だから経済の将来に不安はない。こう考える人が、いまは過半数を占めている。もちろん、その可能性も小さくはない。だが一方で、落とし穴もないではない。

と言うのも、Xマス商戦の売れ筋は玩具やゲーム、化粧品など。その多くは中国製品であって、アメリカ製品はむしろ少ない。このため年末商戦が活況でも、アメリカの製品在庫は減りにくい。また現在の消費ブームは、15日以降の高関税を見越した“駆け込み”かもしれない。仮にそうだと、消費は年明けから鈍る可能性もないではない。楽観は禁物である。

       ≪5日の日経平均 = 上げ +164.86円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


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「読解力」急落の 衝撃 !
2019-12-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 学校教育が悪いのか? = OECD(経済協力開発機構)は3年に1度、世界79か国の15歳60万人を対象に、PISA(国際学習到達度調査)を実施している。昨年の実施結果が先週3日発表され、大きな話題を呼んだ。というのも「読解力」の部門で、日本が前回の8位から15位に転落したからだ。文部科学省は「SNSなどで短文のやり取りが増え、読書などで長文に触れる機会が減ったためではないか」と解説。テレビ番組では、専門家が「学校教育に問題がある」と力説している。

PISAは「読解力」のほか「数学的応用力」と「科学的応用力」についても調査している。日本は「数学的応用力」部門では5位、また「科学的応用力」部門では6位だった。世界第1位は中国(北京、上海、江蘇、浙江)で、第2位はシンガポール。第3位はマカオだった。中国、シンガポール、マカオは、それぞれ3部門で1位、2位、3位を占めている。

本や新聞などを読まなくなったことが、読解力を低下させる原因になったことは明らかだ。OECDが同時にアンケート調査した結果では、本を読まない生徒は中国が3.3%だったのに対して、日本は25.7%に達している。では、なぜ本を読まなくなったのか。この点については実にさまざまな意見が出ているが、なかで最も多いのが「学校教育に問題がある」という主張のようだ。

しかし何でも学校のせいにするのは、いかがなものか。もちろん、学校教育やSNSも読解力を低下させる原因になっているのだろう。だがゲームはどうだろう。長時間ゲームに熱中すれば、読書の時間などは無くなるに決まっている。文科省はゲームと読解力の相関性について、調べるべきだ。さて、ゲーム時間を短縮させるには? 本来は親の責任だと思うが、叱り過ぎると「虐待だ」と言われるこのごろ。難しい世の中になったと思う。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +54.31円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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今週のポイント
2019-12-09-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界は2つのイベントを凝視 = いよいよ12日と15日が、間近に迫ってきた。イギリスの総選挙と、アメリカの中国製品に対する追加関税引き上げの期限である。いずれも現状では、その結果を予測できない。推測や結末を巡って、今週の市場は揺れ動くのか。それとも静かに成り行きを注視するのか。

ダウ平均は先週36ドルの値下がり。前半は製造業の景況感が悪化したり、トランプ大統領が「中国との合意は大統領選挙後でもいい」と発言したりして下げ続けた。しかし後半になると、予想を大きく上回る雇用統計が発表されるなどして、株価は大幅に反発した。これでFRBによる利下げはなくなったとみられるが、市場は景気の順調な拡大の方を重視した。

日経平均は先週60円の値上がり。こちらも売り買いが交錯したが、一時は年初来高値を更新した。中国の製造業の景況感が改善したことで、中国関連銘柄が上昇。やや円安になったことも、下支えになった。政府が総額13兆2000億円の景気対策を決めたため、建設株も買われている。ただ景気対策に対する市場の反応は、きわめて限定的だった。

今週は9日に、7-9月期のGDP確定値、10月の国際収支、11月の景気ウオッチャー調査。11日に、10-12月期の法人企業景気予測調査、11月の企業物価。12日に、10月の機械受注。13日に、12月の日銀短観。アメリカでは11日に、11月の消費者物価。12日に、11月の生産者物価。13日に、11月の小売り売上高。また中国が10日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


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景気対策としては 力不足 (上)
2019-12-10-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ “おせち料理”型の財政支出 = 政府は先週5日の閣議で、新しい景気対策を決定した。国と地方の財政支出は13兆2000億円。事業規模は約26兆円。19年度補正予算と20年度本予算に分けて執行される。①災害からの復旧と復興②海外経済の下振れ対応③オリンピック後の活力維持――の3点を目標としており、政府はこれによりGDPを21年度までに1.4%引き上げる効果があると試算している。

財政難の折から、この程度の財政支出が精一杯だろう。だが事業規模が支出の2倍に増えるという推計は、どう考えても大きすぎる。事業規模というのは、民間などからの支出を当て込んだ計算。たとえば中小企業の設備投資や畜産農家の事業拡大に、補助金を出す。すると企業や畜産農家が、同額の支出をすると期待するわけだ。経済の先行き見通しが不透明な現在、そんなに甘くはないだろう。

事業規模が2倍にならなければ、GDPの押し上げ効果も小さくなる。仮に押し上げ効果が1%強だとすると、果たして海外経済の下振れやオリンピック需要の消滅に耐えられるのか、という問題が出てくるわけだ。この点については、かなり心もとない。しかも景気対策の中身をみると、規模の小さい事業の寄せ集めになっている。これでは景気浮揚力も弱い。

まとまった支出は、公共事業の6兆円ぐらい。堤防補強やダムのカサ上げ、高速道路の車線増加、成田空港の滑走路整備、無電柱化、送電線の整備などに使われる。あとは半導体技術の開発、畜産農家への奨励金、小中学校で1人1台のパソコン配備、ポイント還元予算の増額など実に細かい。感じとしては“おせち料理”だ。1品1品は美味しくても、主菜にはならない。

                              (続きは明日)

       ≪9日の日経平均 = 上げ +76.30円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気対策としては 力不足 (下)
2019-12-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 補正予算を隠れ蓑にする悪弊 = たとえば高速道路を造れば、鉄鋼やセメントなどの需要も増加する。だがポイント還元では、消費者が全体の支出を増やすとは限らない。だから景気に対する浮揚効果は小さくなってしまう。今回の景気対策では、こういう事業が多くなりすぎた。というのも政府自身が、景気の現状をそれほど心配していないからかもしれない。政府の公式見解である月例経済報告では、いまだに「景気は回復中」という判断を続けている。

したがって、この程度の“おせち料理”対策でも、景気は維持できると考えているのだろう。しかし輸出の停滞から、製造業は苦境に陥っている。景気動向指数は、明確に「景気の後退」を告げている。本当にこの対策で、世界不況やオリンピック後の需要減少を乗り切れるのかどうか。ここが最大の疑問点になってくる。

もう1つの問題点は、補正予算の組み方である。総額13兆2000億円の財政支出のうち、19年度補正予算の規模は4兆3000億円に達する。台風や大雨の被害を復旧するための財政支出は、不可欠である。だが今回の補正予算をみると、畜産農家への奨励金や小中学校へのパソコン配備、それにポイント還元予算の増額までが組み込まれた。

補正予算は本来、想定外の緊急事態に対処するための方策である。そこに緊急でない対策を盛り込むのは、本予算の規模をできるだけ小さく見せようとする、政府の巧妙な手口に他ならない。また国会での審議を免れるための手段ともなっているようだ。安倍内閣は毎年のように補正予算を組み、この方策を活用してきた。防衛予算を紛れ込ませたことさえある。いい加減にしてほしい。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -20.51円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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イギリスは 分解の危機?
2019-12-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 運命を決めるきょうの総選挙 = イギリスではきょう12日、EU離脱の是非を問う総選挙が行われる。最近の調査では、EU離脱を掲げるジョンソン首相が率いる保守党が43%、離脱には反対で国民投票の再実施を主張する労働党が33%の支持率。年配層は保守党、若年層は労働党といった傾向が明確になってきた。特に若年層の労働党支持が急速に増えているので、結果は予断を許さないという。

考えられる結果は次の3通りだ。①保守党が過半数を制し、イギリスは来年1月31日にEUから離脱する②保守党が過半数を獲れず、現状のままの混迷が続く③労働党が勝って、国民投票が実施される。このうち③のケースは、きわめて確率が小さい。残るのは①と②だが、そのどちらの場合でも、新しく2つの大問題が発生する可能性がある。イギリスが分解するかもしれない大問題だ。

1つはスコットランド。ウイスキーや機械類の輸出で、EUへの依存度が高い。このため残留派が圧倒的に多い。イングランドとの対抗意識も強く、最大の地域政党であるスコットランド民族党は「大英帝国からの独立を目指す住民投票の実施」を掲げている。保守党が過半数を上回っても下回っても、スコットランドでは独立運動が盛んになるという見方が強い。

もう1つは北アイルランド。ジョンソン首相の離脱案では、英本国との間に関税などの境界線が敷かれる。これは「北アイルランドの切り捨てだ」という批判が急速に高まった。同時に、プロテスタント系とカトリック系の対立が再燃する危険性も指摘されている。スコットランドや北アイルランドが独立すれば、大英連合帝国は分解する。だがイングランド南部地方では「それでもEU離脱を強行すべきだ」という世論が強まっている状態だから、イギリスは歴史的な危機に立たされたと言えるだろう。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -18.33円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ


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寒波襲来 : 10-12月期の景況感
2019-12-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界経済・消費増税・悪天候が重なって = 内閣府と財務省は11日、10-12月期の法人企業景気予測調査を発表した。それによると、大企業・全産業の景況判断指数はマイナス6.2。前期のプラス1.1から一挙にマイナスへ落ち込んだ。このうち製造業はマイナス7.8、非製造業はマイナス5.3となっている。世界経済の減速で、自動車などの輸出が減ったほか、消費増税による需要の反動減、それに台風や大雨の影響が重なった。

この調査は全国1万1000社以上を対象に、11月15日時点で実施された。景況判断指数は「前期より景況が上昇した」という回答の比率から「下降した」という回答の比率を差し引いた数字。中堅企業はマイナス10.7、中小企業はマイナス16.3で、規模が小さい企業ほど景況感の悪化が激しい。

注目されるのは、来年1-3月期の見通し。大企業・全産業はプラス2.0で、急速に回復する予想となっている。非製造業がプラス2.6となる一方で、製造業もプラス0.7と再び水面上に顔を出す。ただ中堅企業はマイナス0.9、中小企業はマイナス9.6で、改善はするものの、まだ水面下の状態が続く見通しだ。

ここで消費増税や悪天候の影響が大きかった非製造業が、年明けにプラスとなるのは理解できる。しかし世界経済の低迷が大きな原因となって景況感が悪化した製造業は、どうだろう。米中経済戦争が解決に向かうと予想しているのか。それとも政府の景気対策に期待をかけているのか。やや楽観的に過ぎるという感じがする。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +32.95円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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大英帝国の 波高き船出 (上)
2019-12-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ EU との厳しい条件交渉 = イギリスの総選挙は、ジョンソン首相が率いる保守党の圧勝に終わった。多くの有権者は3年間にわたる堂々巡りの政局に嫌気がさしており、離脱一本で臨んだ保守党に決着を託したように思われる。労働党は国民投票の再実施を公約したが、これでは再び混迷状態に陥ると懸念されたようだ。もし労働党が残留一本で戦っていたら、結果は違っていたかもしれない。

この結果、イギリスが来年1月31日にEUを離脱することは確実となった。進むべき航路が決定したわけである。だが「よかったね、おめでとう」とは言いにくい。これから乗り出す海路には、暴風が吹き荒れていると予想されるからである。その最大の難関は、EUとの条件交渉。イギリスとEUは来年2月から年末までの移行準備期間のうちに、数多くの協定を結ばなければならない。

イギリス側にとっての理想は、これまで通りEUとの間で「ヒト、モノ、カネ」の行き来が自由に出来ることだ。しかしEU側としては、EUの政策に従わず分担金も支払わない国に、そんな待遇を与えるわけにはいかない。ここで甘い顔を見せれば、加盟国のなかから離脱を希望する国が出てくる可能性を生みかねない。

たとえばFTA(自由貿易協定)を結ぶにしても、ヒトの往来は自由にする。しかしモノの出入りには、関税をかける。カネの移動も全く自由にはさせないという具合に。すると品目別の関税率をどう決めるか。カネの移動をだれが監視するかなど、おそらく1000を超える項目について交渉しなければならない。その結果によってイギリス経済への影響が変化し、ロンドンの経済的地位が変動する。

                               (続きは明日)

       ≪13日の日経平均 = 上げ +598.29円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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大英帝国の 波高き船出 (下)
2019-12-15-Sun  CATEGORY: 政治・経済
◇ ノー・サイドで結束できるのか = 総選挙で圧勝したから、ジョンソン内閣は議会の運営には困らなくなるだろう。しかし問題は、スコットランドと北アイルランドの抵抗。ラグビー発祥の地ではあるけれど、ノー・サイドというわけにはいかなさそうだ。このうちスコットランドは、もともとウイスキーや機械類の輸出先としてEUへの依存度が高い。このため残留派が多く、スコットランド民族党は「独立のための住民投票」を掲げて総選挙を戦い、議席を大幅に増やしている。

スコットランドでは、14年に独立の賛否を問う住民投票が実施された。このときは独立が否定されている。ただ当時は、イギリス全体のEU離脱などは考えられていなかった。しかし今回は、離脱が現実のものとなった。おそらく住民投票が行われれば、こんどは独立派が勝つだろう。したがってジョンソン首相が、いかにしてスコットランドの住民投票機運を抑えるか。なかなか難問であることに違いはない。

北アイルランドの問題は、もっと微妙である。ジョンソン首相がEU側と合意した案によると、イギリスがEUを離脱した場合、北アイルランドとイギリス本島との間には関税などの境界線が敷かれる。これは「北アイルランドを差別する措置だ」と、現地では怒りの声が強い。また独立国アイルランドとの間は自由往来のまま。それに賛成する人たちと反対する人たちの対立。宗教問題もからんで、不穏な様相を呈している。ジョンソン首相は、その衝突を回避できるのだろうか。

イギリスは1927年に、イングランド、ウエールズ、スコットランド、それに北アイルランドが加わって、現在の連合王国となった。正式名称は「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」である。もしイギリスのEU離脱がきっかけとなってスコットランドあるいは北アイルランドが独立すれば、大英帝国は分解することになる。      
         

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今週のポイント
2019-12-16-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「13日の金曜日」は吉日だった = 先週「13日の金曜日」はイギリス労働党には厄日だったが、世界中の投資家にとっては吉日となった。まずイギリスの総選挙で保守党が圧勝、そのあと米中両国が経済交渉での「第1段階の合意」を確認した。このため将来に対する不安が薄れ、世界の株価は一斉に上昇した。特に日経平均は600円近くも跳ね上がり、年初来高値を更新している。

日経平均は先週669円の値上がり。終り値では、1年2か月ぶりに2万4000円を回復した。一方、ダウ平均は週間120ドルの値上がり。こちらは史上最高値を更新した。しかし世紀の大問題が、これで解決したわけではない。イギリスはEUとの困難な条件交渉を控えているし、米中交渉も“第2段階”へ進める可能性はきわめて小さい。市場がこの辺の評価を、どう下すか。

先週の株価からみる限り、東京市場の方がニューヨークより楽観的なようにみえる。東京では「年末にかけて一段高」の見方も増えているが、ニューヨークの方は警戒感も残っている。しかも実体経済は、アメリカよりも日本の方が悪い。今週は東京市場の楽観ムードが、なお持続するかどうか。世界が注目している。

今週は18日に、11月の貿易統計と訪日外国人客数。20日に、11月の消費者物価。アメリカでは16日に、12月のNAHB住宅市場指数。17日に、11月の工業生産と住宅着工戸数。19日に、11月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数。20日に、7-9月期のGDP確定値。また中国が16日に、11月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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“部分合意”は 中国の遠謀深慮 (上)
2019-12-17-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 足元を見られたトランプ大統領 = 米中両国政府は13日「経済協議が部分合意に達した」と発表した。今回の合意を“第1段階の合意”と位置づけており、その内容は知的財産権、技術移転、食品・農産物、金融サービス、為替レート、貿易の拡大などの項目に及んでいる。中国がアメリカからの輸入を大幅に拡大する見返りに、アメリカは15日に予定していた中国製品2500億ドル分に対する追加の関税引き上げを見送る。また9月に発動した1200億ドル分に対する関税率を、15%から7.5%に引き下げることになった。

米中両国による関税引き上げ競争は18年7月に始まったが、関税が下げられるのはこれが初めて。これにより米中関係が改善に向かうのではないかという見方も出て、世界中の株価が高騰した。ダウ平均株価は史上最高値を更新、日経平均も1年2か月ぶりに2万4000円を回復している。だが、これは少し喜び過ぎだろう。

たとえば中国は、アメリカからの輸入をどれだけ増やすのか。アメリカ側の発表では「2年間に2000億ドル。農産物は現在の年間240億ドルを500億ドルに増やす」と明示した。トランプ大統領は農民層に向けて「大型トラクターを早く買い入れないと、チャンスを逃すぞ」とハッパをかけ、とにかく上機嫌だった。

ところが中国側の発表では、全く輸入数量には触れていない。また今回の合意には含まれなかった中国の国有企業に対する補助金やファーウェイを巡る問題など。トランプ大統領は、これらを協議する“第2段階”の交渉を「すぐにでも始める」と言明した。しかし中国政府は「今回の合意による結果をよく見極めてから」と、そっけない。

                               (続きは明日)

       ≪16日の日経平均 = 下げ -70.75円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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“部分合意”は 中国の遠謀深慮 (下)
2019-12-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 本当の勝負はこれから = 米中両国には、それぞれの思惑があった。アメリカの場合は、何といっても来年11月に迫った大統領選挙。仮に15日に予告通り中国製品2500億ドル分に40%の関税をかけたら、日用品や玩具の値段が大幅に上昇する。すると消費者や小売業界の票を減らすかもしれない。関税を据え置くことで中国の農産物輸入を増やせれば、農村地帯の支持を確実なものとすることが出来る。これがトランプ氏の思惑だったに違いない。

一方の中国では、景気の鈍化が止まらない。来年は成長率が6%を割る危険性まで出てきた。同時に物価は4.5%の上昇に。これにはアフリカ豚コレラの流行が大きく影響している。5億頭といわれる豚が4割も減ったためだ。アメリカ産の豚を大量に輸入すれば、物価の上昇と国民の不満を抑えられる。その見返りでアメリカの輸入関税が下がれば、景気にとってもプラスになる。これが習主席の思惑だったに違いない。

さらに中国側は、トランプ氏は大統領選挙が近づくにつれて焦りを濃くするだろうと洞察している。たとえば養豚の数が激減しているから、大豆の需要は減っている。そこで大豆の輸入を減らし、ほかの農産品を増やしたら、アメリカは混乱するだろう。大豆農家に「大型トラクターを買え」と言ったトランプ氏は、票を失うかもしれない。

押したり引いたり、手段はいくらでもある。これからは中国が、交渉のペースを握る。そして国家政策の根幹に関わる補助金の問題や技術開発政策については、絶対に譲らない。習政権はこう考えているが、アメリカはそれでは納得しないだろう。したがって、米中間の経済戦争はこれからが本番と見ておく方が賢明だ。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +113.77円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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輸出 12か月連続で減少中!
2019-12-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 全地域向けで縮小している = 輸出の減少が際立ってきた。財務省が18日発表した11月の貿易統計によると、輸出は6兆3800億円で前年比7.9%の減少。輸入は6兆4600億円で15.7%の減少だった。この結果、貿易収支は821億円の赤字となっている。これで輸出は12か月連続の減少を記録した。世界経済の停滞を反映したものとはいえ、日本の輸出は異常な状態に陥っている。

輸出の状況を地域別にみると、ほとんど全地域向けで減少した。アメリカ向けは1兆2000億円で12.9%の減少。アジア向けは3兆6000億円で5.7%の減少。うち中国向けは1兆3100億円で5.4%の減少。EU向けは7000億円で6.1%の減少だった。全世界を見渡しても輸出が増加したのは台湾、カナダ、スイス、それに中東諸国ぐらいなもの。これも異常な現象だ。

この1年間、円の為替レートは小動きに終始した。したがって為替相場の影響は、そんなに大きくない。しかし11月の輸出をみると、数量で5.0%、価格で3.1%減っている。やはり相手先の景気が鈍化し、値引きをしても売りにくくなっていることを示しているようだ。特に景気がいいとされるアメリカ向けが落ち込んできたことは、どう解釈するべきなのだろう。

かつての日本経済なら、これだけ輸出が減退すると景気はすぐに悪化した。しかし現在は製造業の比重が2割強に減っているから、景気はすぐには下降しない。しかし輸出の停滞が長く続けば、その影響はじわじわと現われてくる。すでに製造業の求人は低調になってきた。輸出はいつ回復に向かうのか。来年の焦点になってくる。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -131.69円≫

       ≪19日の日経平均は? = 下げ


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大学共通テストは 必要なのか?
2019-12-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 文部科学省の“砂上の楼閣” = 萩生田文部科学相は17日、大学入学共通テストに「国語と数学の記述式問題を導入することを延期する」と、正式に発表した。すでに英語の民間委託は見送っているので、文科省が声高に宣伝してきた共通テストの改革案はすべて消滅したことになる。国語と数学の記述式問題は、適正な採点が期待できないため。また英語の民間委託は、交通が不便な地域に住む学生が不利になることが実施不可の理由になった。

萩生田文科相は「さらに検討を重ねて不備をなくす」と述べているが、不備を補う名案はなさそうだ。関係者によると、記述式問題の導入や民間委託案には早くからその欠点が指摘され、反対意見も少なくなかった。にもかかわらず、こうした案が浮上したのは各種の審議会の席上で、原案を作成した文科省の担当者が強引に議事を進めたからだという。

皮肉なことに、今回の一連の事件は萩生田氏自身の発言が引き金となっている。文科相に就任した直後のテレビ番組で、英語の民間委託に関して生じる不公平について「身の丈に合わせて」と発言。ここから民間委託の問題点が、世間の注目を集めることになった。さらに、これが国語と数学の記述式問題にも飛び火。すべてがご破算となったわけである。

ここまでくると、そもそもの大学入学共通テストについても、疑問が湧いてくる。文科省は「高校教育のレベルを上げるため」と説明しているが、詳しい趣意書を読んでもピンとこない。高校教育のレベルアップなら、高校の先生を対象にすればいいわけで、なぜ共通テストが必要なのだろう。まさか、文科省が天下り先を作ったとは思わないが。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -69.58円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ


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横断歩道で 止まらない車
2019-12-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ワースト・ワンは三重県? = 信号機のない横断歩道。歩行者が渡ろうとしているが、車は止まらない。こんな歩行者無視の車が、最も多いのは三重県。最も少ないのは長野県。JAS(日本自動車連盟)の実態調査で、こんな結果が判明した。長野県では100台のうち68.5台が停止したのに対して、三重県では3.4台しか止まらなかった。

長野県に続いて成績がよかったのは静岡県で、停止率は52.8%。第3位は兵庫県で43.2%となっている。反対に成績が悪かったのは三重県、青森県、富山県の順。全国平均は17.1%で、前年の8.6%から大幅に改善した。それでもまだ8割以上の車が、歩行者を無視していることになる。なお東京都は5.5%、大阪府は16.5%だった。

ただし、この調査で「長野が最良、三重が最悪」と決めつけるわけにはいかなそうだ。というのもJAFの調査では、各都道府県について2箇所ずつしか調べていないからだ。もちろん、全部の横断歩道を調査することは難しい。だがサンプルに選んだ横断歩道によって、結果はかなり違ってしまうと思われる。

それでも、この調査結果でおよその傾向は判るかもしれない。悪い数値が出た都道府県は、それなりに対策を考える必要があるだろう。それにしても、なぜ長野と三重では、こんなに大きな差が生じるのか。その理由を解明できれば、事故はもっと減らせるに違いない。大学のモーター・クラブなど、研究テーマに取り上げてはいかが。

       ≪20日の日経平均 = 下げ -48.22円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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今週のポイント
2019-12-23-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NYについて行けない東京 = ダウ平均は先週320ドルの値上がり。史上最高値を更新して、2万8500ドルに迫っている。一方、日経平均は反落。週間206円の値下がりだった。2万4000円をあっさりと割り込んでおり、ニューヨークの活況にもついて行けなかった。市場の空気はニューヨークは強気、東京はやや弱気に傾き始めている。

その差は、主として経済の先行きに対する信頼度の違いにあるようだ。アメリカ経済は雇用が堅調で、年末商戦も活況を呈しており、個人消費も強い。このため企業の業績回復も早いと、投資家は期待している。これに対して日本経済の見通しは重苦しく、企業の業績回復にも期待が持てない。先週は来年度予算の編成も終了したが、市場はほとんど反応しなかった。

こんな調子で年末年始を迎えることになるが、ニューヨークはダウ平均のさらなる新高値を見込む投資家が多い。その一方、東京では日経平均が2万4000円台を回復できるかどうか。ニューヨークに追随するのか、年末を控えて利益確定売りが強まるのか。週初は上げても、その勢いが続くのかどうか。

今週は23日に、10月の全産業活動指数。25日に、11月の企業向けサービス価格。26日に、11月の住宅着工戸数。27日に、11月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計。アメリカでは23日に、11月の新築住宅販売が発表される。

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


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増えない 財政支出 : 20年度
2019-12-24-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気を押し上げる力なし = 政府は20日の閣議で、20年度の予算案を最終決定した。一般会計の総額は102兆6580億円で、前年度比1.2%の増加となっている。最大の支出項目は社会保障費で35兆8608億円、前年度比5.1%も増加した。公共事業費は6兆8671億円で、500億円ほど減っている。また消費増税後の景気テコ入れに、1兆7788億円を投入したことが大きな特徴だ。

新聞やテレビは「2年連続で100兆円を突破」とか「過去最大の規模」と報道した。だが、この捉え方には何となく違和感がある。というのも、政府はこのところ必ず年度末に補正予算を編成しているからだ。今回も19年度の補正予算として、3兆1946億円を計上した。この支出は大半が20年度に実施されるから、20年度中の財政支出は両方の合計額と考えるのが正しいだろう。

この観点でみると、財政支出額はすでに18年度に100兆円を突破している。また19年度は合計105兆1000億円だった。政府が組み上げた20年度予算と19年度補正予算の合計額は、105兆8500億円。すると20年度の財政支出は、ほとんど増えていないことが判明する。景気を押し上げる力は、全くないといえるだろう。

本予算であれ補正予算であれ、財源はどこからか捻り出さなければならない。したがって財政の将来に対する影響度は、補正予算を含めて考えることになる。また政府の公的な支出が景気に与える影響も、同様だろう。政府は財政再建の見地から本予算を小さく見せることばかり考えているが、これではコトの本質を見失う恐れがある。新聞やテレビも反省すべきだ。

       ≪23日の日経平均 = 上げ +4.48円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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来年度も ダラダラ景気?
2019-12-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府見通しは1.4%成長 = 政府は先週18日の閣議で、20年度の政府経済見通しを了承した。それによると実質経済成長率は1.4%で、19年度に見込まれる0.9%を上回る形を想定している。景気対策の効果を評価したためで、内需は1.5%の押し上げ、外需は0.1%の押し下げ効果と計測した。しかし民間研究機関の予想は平均値で0.49%となっており、政府の見通しより1ポイント近くも低い。民間は景気対策の効果を、政府ほどは期待していないからだ。

物価の上昇を加味した名目成長率は2.1%の見通し。これも19年度に予想される1.8%成長を上回っている。仮にこの予測通りになるとすると、20年度の名目GDPは約570兆2000億円に。第2次安倍内閣がスタートした13年度と比べると、87兆円の増加。この間の年平均成長率は2.6%という計算になる。

過去の実績を調べてみると、政府見通しが達成されたのは13年度と17年度だけ。あとはすべて見通しが甘かった結果に終わっている。たとえば18年度の実質成長率は、政府見通しが1.8%だったのに対して、実績は0.3%。また19年度は政府見通しが1.3%なのに、現状での政府予想は0.9%。実際はもっとゼロ成長に近づきそうである。

なぜ政府は、甘い見通しを出すのだろうか。1つは高めの見通しを出さないと税収見積もりが下がってしまい、予算が組めないこと。もう1つは、政府自らがあまりにも低い見通しは出せないと考えるからだろう。しかし、こんな調子が続くと、だれも政府見通しを信用しなくなってしまうに違いない。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +9.47円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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100倍に薄めたら : 原発処理水 (上)
2019-12-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 空中散布は問題を拡散させるだけ = 経済産業省は23日、福島第1原発で溜った処理水の廃棄案を初めて公表した。その内容は①薄めて海に放出する②蒸発させて大気中に放出する③その両方を併用する――の3案。有識者会議が6年にわたって検討してきた結果だが、実施時期については言及していない。風評被害を恐れる地元では、早くも3案すべてに反対する声が高まっている。

福島第1原発では、溶融した核燃料を冷却するために使った水に、大量の放射性物質が含まれる。これが汚染水。この汚染水から、化学的処理で放射性物質を除去した水を、処理水と呼んでいる。ただ放射性物質のうち、水素によく似た性質を持つトリチウムだけは、現在の技術では完全には除去できない。

このため福島原発では現在、敷地内に991基のタンクを造って処理水を貯め込んでいる。処理水は毎日170トンずつ増えており、貯蔵量は120万トンに及ぶ。タンクを増設するための敷地にも制約があり、東京電力では「22年夏ごろには限界になる」と予測している。つまり、この辺で何とかしないと処理水があふれ出す。そんなギリギりの状態になったために、やっと処理方法の具体案を公表したわけだ。

最大の難関は、地元の風評被害。これから地元を説得しなければ、処理水を減らすことはできない。その観点からみると、処理水を蒸発させる方法は農業者を巻き込むことになり、問題を拡散させるだけ。したがって、方法はやはり海に流すしかないと言える。では、どうしたら風評被害をなくし、漁業者にも納得してもらえるのだろうか。

                             (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 下げ -47.71円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


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100倍に薄めたら : 原発処理水 (下)
2019-12-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ≪10万分の1≫にして海に流す = 福島第1原発の敷地内に林立するタンクに貯め込まれた120万トンの処理水。そこに含まれる放射性物質トリチウムの量は、ごく微量だ。大気中に自然に含まれているトリチウムの濃度の1000分の1だという。だから国際的にも海に流すことが認められており、世界中の原発や日本国内の原発も、同様の処理水を海に放出している。

しかし地元の漁業者は、この程度の説明では納得しない。原発事故のあとの風評被害で、魚が全く売れなくなった。最近になって、ようやく売り上げも回復してきた。そこへ処理水を海に流せば、再び風評被害に見舞われるのではないか。漁業者たちの心配も、よく理解できる。そこで解決策を――。

海岸に大きなプールを作り、そこで処理水に海水を加えて100倍に希釈する。つまりトリチウムの濃度を、自然濃度の10万分の1にまで薄めるわけだ。これを少しずつ海に流す。さらに総理大臣とまでは言わないが、経済産業相や環境相は幹部を引き連れて現地をたびたび訪れ、獲れた海産物を食ってみると約束する。

これから日本中で 老朽化した原発の廃炉作業が始まる。汚染水どころか、放射能にまみれた汚染物質、さらには使用済みの燃料棒などが大量に出てくることは明らかだ。政府は困難なコトを先送りすることを止め、もっと毅然とした行動をとらなければ、問題の解決は覚束ない。福島原発の処理水を処理する方策に6年の歳月をかけているようでは、全く先が思いやられる。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +142.05円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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日本人の目が あぶない!
2019-12-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 子どもたちの視力が急激に低下 = 小学生・中学生・高校生の視力が、大幅に落ちている。文部科学省が発表した19年度の「学校保健統計調査」で、実に心配な結果が明らかになった。それによると、裸眼の視力が1.0以下の子どもは、小学生で全体の34.57%。中学生で57.47%、高校生で67.64%だった。小学生では3人に1人、中学生では6割近く、また高校生では7割近くが目を悪くしていることになる。

「学校保健統計調査」というのは、文科省が「幼児・児童・生徒の発育・健康状態を明らかにすること」を目的に、1948年から毎年実施している。全人数の25%を対象にしているから、抽出調査ではあるが、確度はかなり高い。今回の調査では、子どもたちの虫歯が大幅に減っていることも判明した。

裸眼の視力1%の人を「目が悪い」と言えるのかどうかには疑問もある。しかし過去のデータと比べてみると、子どもたちの目が悪くなってきたことは否定できない。たとえば1970年の調査では、小学生の「1.0以下」は17.91%だった。それが今回の調査では、ほぼ2倍に増えている。中学生や高校生の割合も、大幅に増加した。

こんな調子が続けば、21世紀後半の日本人は白い杖をつく人ばかりになるかもしれない。最近、子どもたちの英語や長文の読解力が落ちたと問題になっているが、視力の低下の方がもっと重大ではないか。なぜ子供たちの視力が低下してきたのか。その原因を徹底的に追及して対策を講じないと、取り返しのつかないことになる。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -87.20円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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増税の反動は 大きかった
2019-12-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小売高の減少は前回を上回る = 消費増税後の需要減退は、想像以上に大きかった。経済産業省が27日発表した11月の商業動態統計によると、商業全体の販売額は37兆5600億円で前年同月より6.7%減少した。このうち小売業の販売額は11兆8670億円で、前年に比べて2.1%減少している。この小売業の販売減少は11月に高温が続き冬物衣類の売れ行きが伸び悩んだせいもあるが、大半は消費増税前に起こった駆け込み需要の反動だと思われる。

小売業の販売減少率は、増税直後の10月は7.0%と大きかった。それが11月は縮小しているが、まだ2.1%も落ち込んだ。前回の消費増税時と比べてみると、増税直後の14年4月は4.3%、5月は0.4%だったから、今回の方が減少率は大きい。季節的な違いがあったり、高温の影響があったりして、単純には結論を下せない。しかし大勢としてみれば、今回の方が影響は大きかったと言えそうだ。

11月の販売動向を業種別にみると、デパートは5.7%の減少。スーパーは0.1%の増加、コンビニは2.3%の増加。また家電量販店は5.5%の減少、自動車小売業は5.9%の減少となっている。ここからみても、軽減税率が適用された飲食料品の比重が低い業種で、増税の反動減が続いていることが読み取れる。

増税の前、政府や民間の研究機関は「今回の反動減は前回より小さい」と予測していた。消費税の引き上げ幅が小さいこと、それに軽減税率やポイント付与で影響が和らぐと考えたからである。だが実際には、そうならなかった。その理由は、消費者が増税を機に、節約志向を強めたからではあるまいか。12月分の商業動態統計が、その答えを出してくれるだろう。

       ≪30日の日経平均は? = 下げ


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日経平均は 29年ぶりの高値に
2019-12-31-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウは年間最大の上げで史上最高値 = 日経平均株価は2万3656円62銭で、19年の取り引きを終えた。年間の上げ幅は3642円、上昇率は18.2%だった。大納会の終り値としての水準は、1990年以来29年ぶりの高さである。5月と8月には大きく下げたが、10月以降は大幅に上げた。株価を上下動させた最大の要因は米中経済戦争だったが、全体として株価を持ち上げたのは各国の金融緩和政策が生んだカネ余りだったと言えるだろう。

ダウ平均株価は、先週末の終り値が2万8645ドル。年初からの上げ幅は5318ドル、上昇率は23%となっている。この年間の上げ幅は過去最大。やはり米中経済戦争に振り回されたが、FRBが再び金融緩和政策に戻ったことで景気の見通しが好転。11月からは連日のように史上最高値を更新し続けた。現在の時価総額は36兆3200億ドル(約4000兆円)、前年より7兆5000億ドル増加している。

このように日米の株価は、明るい空気のなかで20年を迎える。しかし東京市場の気分は、ニューヨーク市場ほど楽観的ではない。というのもアメリカは景気の先行きが開けており、企業業績回復への期待感も強い。しかし日本の場合は景気の見通しが不透明で、企業の収益改善にもメドが立たない状態だからだ。

新年になっても米中経済戦争は続き、株価を大きく揺さぶるだろう。また日米両国は、それぞれ独自の問題点も抱えている。アメリカの場合は、11月の大統領選挙。まだ勝敗予想も出来ない段階だが、仮に民主党のリベラル派が勝利すると、大企業には強い逆風が吹く。株式市場にとっては、これが怖い。一方、日本の場合はオリンピックの後遺症。景気の落ち込みを防げるかどうか。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -181.10円≫


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