◇ 4月は0.6%減少を予想 = 経済産業省は31日、2月の鉱工業生産統計を発表した。それによると、生産は前月比で2.3%と大幅に減少。出荷は1.0%減、在庫は0.8%減だった。生産の減少は3か月ぶり。原因は1月に3.8%増と大きく伸びたことの反動と、特に大雪による操業停止が影響した。
生産は15業種中、11業種で低下した。なかでも携帯電話などの情報通信機械工業は8.9%、輸送用機械工業は5.8%と、減少幅が大きかった。輸送用機械のうち乗用車だけをみると、6.1%の減産となっている。鉱工業生産全体に占める輸送用機械工業の割合は、きわめて大きい。したがって業種別にみると、2月の生産低下は自動車の減産によるところが大きい。
経産省は「大雪という特殊事情の影響が強かったための生産低下で、生産は回復基調にある」という判断は変えなかった。また同時に発表した予測調査でも、3月は0.9%の増加、4月は0.6%の減少。この通りだと、消費増税による駆け込み需要やその反動減は予想以上に小さくなる。
ただ自動車工業会がまとめた14年度の新車販売台数は、13年度を15.8%も下回ると予測している。こうした販売予測からみると、たとえば4月の生産減少が0.6%にとどまるのかどうか。自動車以外の業種が増産するか、あるいは自動車の輸出が大きく伸びるか。4-6月期の生産水準には、注意が必要だ。
≪31日の日経平均 = 上げ +131.80円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
生産は15業種中、11業種で低下した。なかでも携帯電話などの情報通信機械工業は8.9%、輸送用機械工業は5.8%と、減少幅が大きかった。輸送用機械のうち乗用車だけをみると、6.1%の減産となっている。鉱工業生産全体に占める輸送用機械工業の割合は、きわめて大きい。したがって業種別にみると、2月の生産低下は自動車の減産によるところが大きい。
経産省は「大雪という特殊事情の影響が強かったための生産低下で、生産は回復基調にある」という判断は変えなかった。また同時に発表した予測調査でも、3月は0.9%の増加、4月は0.6%の減少。この通りだと、消費増税による駆け込み需要やその反動減は予想以上に小さくなる。
ただ自動車工業会がまとめた14年度の新車販売台数は、13年度を15.8%も下回ると予測している。こうした販売予測からみると、たとえば4月の生産減少が0.6%にとどまるのかどうか。自動車以外の業種が増産するか、あるいは自動車の輸出が大きく伸びるか。4-6月期の生産水準には、注意が必要だ。
≪31日の日経平均 = 上げ +131.80円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 先行きは予想以上に悪化 = 日銀は1日、3月に実施した企業短期経済観測調査の結果を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス17で、昨年12月調査を1ポイント上回った。この水準は07年12月以来の高さ。大企業・非製造業はプラス24で、前回調査より4ポイント上昇している。こちらは91年11月以来の高水準。
業況判断の好転は、中小企業にも及んでいる。中小企業全体の判断指数はプラス7。前回調査より4ポイント改善した。景気の回復傾向に加えて消費増税前の駆け込み需要が、企業の売り上げや利益を増大させたためとみられる。こうした現況判断をみる限り、企業の業績は絶好調。満開の状態にあると言えるだろう。
ところが花には嵐? 3か月後の先行き判断をみると、企業の予想は思ったより慎重だ。大企業・製造業はプラス8と、現況より9ポイントも低下すると予想している。大企業・非製造業は11ポイント、中小企業も5ポイント悪化するという回答だった。これは企業が増税による駆け込み需要の反動を、かなり大きいとみて警戒していることを示している。
慎重な先行き見通しを反映して、利益や設備投資についての姿勢も低い。全規模・全産業でみた14年度の経常利益は2.2%の減少。また設備投資計画も、4.2%減少する予想だ。政府は4-9月中に公共事業を集中するなどして、駆け込み需要の反動による景気の落ち込みを浅くする方針。その結果として企業経営者の慎重さを払拭できるかどうか。できないと、次回6月の短観は梅雨寒むの光景を描き出すことになってしまう。
≪1日の日経平均 = 下げ -35.84円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
業況判断の好転は、中小企業にも及んでいる。中小企業全体の判断指数はプラス7。前回調査より4ポイント改善した。景気の回復傾向に加えて消費増税前の駆け込み需要が、企業の売り上げや利益を増大させたためとみられる。こうした現況判断をみる限り、企業の業績は絶好調。満開の状態にあると言えるだろう。
ところが花には嵐? 3か月後の先行き判断をみると、企業の予想は思ったより慎重だ。大企業・製造業はプラス8と、現況より9ポイントも低下すると予想している。大企業・非製造業は11ポイント、中小企業も5ポイント悪化するという回答だった。これは企業が増税による駆け込み需要の反動を、かなり大きいとみて警戒していることを示している。
慎重な先行き見通しを反映して、利益や設備投資についての姿勢も低い。全規模・全産業でみた14年度の経常利益は2.2%の減少。また設備投資計画も、4.2%減少する予想だ。政府は4-9月中に公共事業を集中するなどして、駆け込み需要の反動による景気の落ち込みを浅くする方針。その結果として企業経営者の慎重さを払拭できるかどうか。できないと、次回6月の短観は梅雨寒むの光景を描き出すことになってしまう。
≪1日の日経平均 = 下げ -35.84円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 上半期に10.3兆円を投入 = 安倍首相は先週末の閣議で「新年度予算の執行を4-9月期に集中するよう」指示した。具体的には公共事業費や備品・事務用品の購入費12兆円分について、その4割以上を6月末までに、6割以上を9月末までに実行する。財務省によると、13年度予算の場合、9月末の執行率は49%だった。
すでに政府は13年度の補正予算に関しても、執行の前倒しを決めている。具体的には3兆4000億円分を6月末までに7割以上、9月末までに9割を執行する方針だ。したがって14年度予算と13年度補正予算を合計すると、上半期中に公共事業費など約10兆3000億円の財政資金が集中的に投入されることになる。
こうした措置は、消費増税が景気に及ぼす悪影響をできるだけ小さくすることが目的。増税によって企業や家計の資金が政府に吸い上げられるほか、4-9月期には駆け込みの反動による需要減少が確実に現われる。これによる景気の落ち込みをできるだけ小さくしないと、来年10月に予定する消費税10%の実現も危うくなってしまう。
民間の調査機関やエコノミストの予測を総合すると、1-3月期のGDP成長率は駆け込み需要の影響もあって、年率5%程度の伸びになった模様。これが4-6月期にはマイナス4%前後に低下する。ただ7-9月期になると回復して、2.2%程度のプラス成長に戻るという見方が大勢を占めている。政府支出の前倒し措置は、こうした予測を現実のものとするための政策と考えていいだろう。
(続きは明日)
≪2日の日経平均 = 上げ +154.33円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
すでに政府は13年度の補正予算に関しても、執行の前倒しを決めている。具体的には3兆4000億円分を6月末までに7割以上、9月末までに9割を執行する方針だ。したがって14年度予算と13年度補正予算を合計すると、上半期中に公共事業費など約10兆3000億円の財政資金が集中的に投入されることになる。
こうした措置は、消費増税が景気に及ぼす悪影響をできるだけ小さくすることが目的。増税によって企業や家計の資金が政府に吸い上げられるほか、4-9月期には駆け込みの反動による需要減少が確実に現われる。これによる景気の落ち込みをできるだけ小さくしないと、来年10月に予定する消費税10%の実現も危うくなってしまう。
民間の調査機関やエコノミストの予測を総合すると、1-3月期のGDP成長率は駆け込み需要の影響もあって、年率5%程度の伸びになった模様。これが4-6月期にはマイナス4%前後に低下する。ただ7-9月期になると回復して、2.2%程度のプラス成長に戻るという見方が大勢を占めている。政府支出の前倒し措置は、こうした予測を現実のものとするための政策と考えていいだろう。
(続きは明日)
≪2日の日経平均 = 上げ +154.33円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 技術者・職人が足りない! = 政府の“予算執行10兆円前倒し作戦”が成功するかどうかは、公共事業に必要な労働力を確保できるかどうかにかかっている。東日本大震災の復興事業に加えて、国や地方自治体による老朽化インフラの改修工事も始まった。民間のビルやマンション建築も高水準が続く。建設・土木関係の人手不足は、しだいに深刻になりつつある。
だいいち建設業界で働く人の数が減っている。建設業界の雇用者数は12年で503万人。ピークだった97年の685万人に比べると、26%も減っている。長引いた不況のために転職した人も多い。きつい仕事というイメージが強く、若者が敬遠しがちだ。特に技術者と職人の不足が著しい。
厚生労働省が全国のハローワークを通じてまとめた2月の有効求人倍率は、全体が1.05倍。求人数が求職者数をやや上回っているにすぎない。ところが建築・土木・測量関係の技術者だけをみると、倍率は3.97倍。建設躯体工事関連では、なんと7.37倍に上昇している。求職者数1人に対して、求人数は7倍を超えた。絶対的な不足と言っていい。
こんな状況のところへ、10兆円に近い公共事業が発注される。公共事業はすべて入札で行われるが、入札不調が相次ぐといった事態は避けられるのだろうか。工事ができなければ、予算を前倒ししても景気浮揚の効果は期待できない。その結果として7-9月期の成長率が2%を下回れば、安倍首相も消費税10%の決断は下しにくくなるだろう。
≪3日の日経平均 = 上げ +125.56円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
だいいち建設業界で働く人の数が減っている。建設業界の雇用者数は12年で503万人。ピークだった97年の685万人に比べると、26%も減っている。長引いた不況のために転職した人も多い。きつい仕事というイメージが強く、若者が敬遠しがちだ。特に技術者と職人の不足が著しい。
厚生労働省が全国のハローワークを通じてまとめた2月の有効求人倍率は、全体が1.05倍。求人数が求職者数をやや上回っているにすぎない。ところが建築・土木・測量関係の技術者だけをみると、倍率は3.97倍。建設躯体工事関連では、なんと7.37倍に上昇している。求職者数1人に対して、求人数は7倍を超えた。絶対的な不足と言っていい。
こんな状況のところへ、10兆円に近い公共事業が発注される。公共事業はすべて入札で行われるが、入札不調が相次ぐといった事態は避けられるのだろうか。工事ができなければ、予算を前倒ししても景気浮揚の効果は期待できない。その結果として7-9月期の成長率が2%を下回れば、安倍首相も消費税10%の決断は下しにくくなるだろう。
≪3日の日経平均 = 上げ +125.56円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 電気・ガス料金は過去最高 = 電力10社と都市ガス大手4社は先週、5月の新料金を発表した。これらのエネルギー料金は、主として使用する燃料費と再生エネルギーの買い取り金額、それに今回は消費税の増税分が加算されて決められる。このうち消費増税分は4月からではなく、5月から適用されることになった。料金の値上げはこれで4か月連続、過去最高の水準である。
料金は地域によってさまざまだが、全国でいちばん高い東京電力の場合を例にとってみよう。標準的な家庭の月額料金は8541円になる。4月に比べると430円の値上げ。このうち増税分が230円、再生エネルギー買い取りの転嫁分が116円、燃料費の増加が84円という内訳だ。大震災前の料金に比べると、40%に近い上昇である。
今後も料金は上がり続ける公算が強い。消費増税は来年10月までないが、燃料費は原発の再稼働が始まらない限り大きく減る見込みは薄い。その一方で再生エネルギー買い取りの転嫁分は、確実に増えて行く。政府は14年度の買い取り価格を引き下げたが、その水準はまだまだ高い。太陽光発電などへの新規投資は増え続け、電力会社の買い取り総額は増大せざるをえない情勢だ。
買い取り制度をいち早く導入したドイツでは、標準家庭の電気料金が月額1万円を突破。それ以上の値上がりを防ぐため買い取り料金を大幅に下げたところ、設備の普及が激減。制度は破綻してしまった。メルケル首相は、この夏までに新しい再生可能エネルギー政策を立て直すと言明している。どうやら日本も、このドイツが辿った道を周回遅れで歩んでいるように思われてならない。
(続きは来週サタデー)
≪4日の日経平均 = 下げ -8.11円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
料金は地域によってさまざまだが、全国でいちばん高い東京電力の場合を例にとってみよう。標準的な家庭の月額料金は8541円になる。4月に比べると430円の値上げ。このうち増税分が230円、再生エネルギー買い取りの転嫁分が116円、燃料費の増加が84円という内訳だ。大震災前の料金に比べると、40%に近い上昇である。
今後も料金は上がり続ける公算が強い。消費増税は来年10月までないが、燃料費は原発の再稼働が始まらない限り大きく減る見込みは薄い。その一方で再生エネルギー買い取りの転嫁分は、確実に増えて行く。政府は14年度の買い取り価格を引き下げたが、その水準はまだまだ高い。太陽光発電などへの新規投資は増え続け、電力会社の買い取り総額は増大せざるをえない情勢だ。
買い取り制度をいち早く導入したドイツでは、標準家庭の電気料金が月額1万円を突破。それ以上の値上がりを防ぐため買い取り料金を大幅に下げたところ、設備の普及が激減。制度は破綻してしまった。メルケル首相は、この夏までに新しい再生可能エネルギー政策を立て直すと言明している。どうやら日本も、このドイツが辿った道を周回遅れで歩んでいるように思われてならない。
(続きは来週サタデー)
≪4日の日経平均 = 下げ -8.11円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
第16章 失業率って、なんだろう? ⑩
◇ 景気の後追い指標 = きょうは失業率について、知っておくと役に立つ知識を2つ勉強しましょう。失業率の高さは、ふつう景気のよしあしを示しているのでしたね。ところが景気が悪いときでも、失業率が下がる。こんなことも、たまにはあるのです。景気が悪いと失業者の数は増えるはずですが、逆に少なくなる場合もあることを知っておいてください。
それは景気が悪くなると、それまで仕事を探していたのに「こんなに景気が悪いのだから、仕事はとても見付からないだろう」と、仕事探しをあきらめてしまう人が増えたときに起ります。こういう人たちは失業者ではなく、非労働力人口に数えられてしまうのでしたね。特にアメリカでは、ときどき起こるようです。
もう1つは景気と失業率の関係で、失業率はいつも景気の動きに遅れて変動するという事実です。たとえば景気がピークを超えて下がり始めてから、しばらくして失業率は上昇し始めます。景気がよくなるときも同じで、失業率は数か月あとになってから下がり始めるのです。
景気が悪くなると、会社の経営者は従業員を減らそうと考えます。しかし契約期間などの問題もあって、すぐには減らせません。また景気が上向いたとき、経営者は本当に景気の上昇が続くかどうか見極めようとするので、すぐには人員を増加しない傾向があります。このため失業率は、いつでも景気より一足遅れて動くのです。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 景気の後追い指標 = きょうは失業率について、知っておくと役に立つ知識を2つ勉強しましょう。失業率の高さは、ふつう景気のよしあしを示しているのでしたね。ところが景気が悪いときでも、失業率が下がる。こんなことも、たまにはあるのです。景気が悪いと失業者の数は増えるはずですが、逆に少なくなる場合もあることを知っておいてください。
それは景気が悪くなると、それまで仕事を探していたのに「こんなに景気が悪いのだから、仕事はとても見付からないだろう」と、仕事探しをあきらめてしまう人が増えたときに起ります。こういう人たちは失業者ではなく、非労働力人口に数えられてしまうのでしたね。特にアメリカでは、ときどき起こるようです。
もう1つは景気と失業率の関係で、失業率はいつも景気の動きに遅れて変動するという事実です。たとえば景気がピークを超えて下がり始めてから、しばらくして失業率は上昇し始めます。景気がよくなるときも同じで、失業率は数か月あとになってから下がり始めるのです。
景気が悪くなると、会社の経営者は従業員を減らそうと考えます。しかし契約期間などの問題もあって、すぐには減らせません。また景気が上向いたとき、経営者は本当に景気の上昇が続くかどうか見極めようとするので、すぐには人員を増加しない傾向があります。このため失業率は、いつでも景気より一足遅れて動くのです。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 株価は上放れムード = 日経平均は先週368円の値上がり。3月だけをみると、13円の下落だった。これで年明けから3か月の連続安になってしまったが、ウクライナ問題や中国経済への不安が高まった割には、よく凌いだと言えるだろう。一方、ダウ平均は先週90ドルの値上がり。1-3月間でみると、140ドルの下落だった。
日経平均は1-3月間で1460円の下落だった。このため13年度の上げ幅は2429円、率にして19.6%となっている。期末の株価が上がったことにより、上場企業の含み益は3割増、個人の株式資産も6兆円増大した。これらの利益が設備投資や消費に向けられる可能性は、決して小さくない。
金曜日に発表されたアメリカの雇用統計は、市場にとって消化しにくい内容だった。3月の非農業雇用者数は19万2000人増加したが、実体経済を重視する投資家にはやや不満。ところがマネーサプライを重視する投資家には、量的緩和の縮小を促進する警戒材料と映ったようだ。このためダウ平均は大きく反落したが、市場ではアメリカ経済の回復力を改めて評価する声が強まっている。4月の株式は日米ともに、買われる環境が整ってきたようだ。
今週は7日に、2月の景気動向指数。8日に、2月の国際収支と3月の景気ウォッチャー調査。10日に、2月の機械受注。11日に、3月の企業物価。アメリカでは11日に、3月の生産者物価と4月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、3月の貿易統計。11日に、3月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
日経平均は1-3月間で1460円の下落だった。このため13年度の上げ幅は2429円、率にして19.6%となっている。期末の株価が上がったことにより、上場企業の含み益は3割増、個人の株式資産も6兆円増大した。これらの利益が設備投資や消費に向けられる可能性は、決して小さくない。
金曜日に発表されたアメリカの雇用統計は、市場にとって消化しにくい内容だった。3月の非農業雇用者数は19万2000人増加したが、実体経済を重視する投資家にはやや不満。ところがマネーサプライを重視する投資家には、量的緩和の縮小を促進する警戒材料と映ったようだ。このためダウ平均は大きく反落したが、市場ではアメリカ経済の回復力を改めて評価する声が強まっている。4月の株式は日米ともに、買われる環境が整ってきたようだ。
今週は7日に、2月の景気動向指数。8日に、2月の国際収支と3月の景気ウォッチャー調査。10日に、2月の機械受注。11日に、3月の企業物価。アメリカでは11日に、3月の生産者物価と4月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、3月の貿易統計。11日に、3月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 戻った雇用者の増加数 = アメリカ経済が景気回復力を取り戻したようにみえる。米労働省が4日に発表した3月の雇用統計では、非農業雇用者の増加数が19万2000人だった。大雪の影響で1月には14万人台に低下して心配されたが、この数字を見るかぎり雇用者の増加数は昨年並みのペースを回復している。これで過去1年間の月平均増加数は18万3000人となった。
雇用の増加は建設業、小売りなどサービス業で著しい。注目されるのは、中央・地方政府による雇用者数が前月と変わらなかったこと。つまり3月の場合は、雇用者の増加がすべて民間部門で達成された。景気の回復力が強いことを示している。また失業率は6.7%で、前月と変わらなかった。原因は新たに職を求める人が増えたためと説明されており、この現象も景気の好転が続いている証拠だと言えるだろう。
このほか最近明らかになった景気指標をみても、たとえば2月の個人消費は前月比0.3%の増加。小売り売上高も0.3%増えている。大寒波のなかでも、個人の消費意欲は衰えなかった。また2月の製造業受注額は1.6%増加しており、生産部門も異常気象の影響を受けなかったことが判る。そして3月の新車販売台数は前年比5.7%増加。
こうした結果から、ISM(サプライ・マネジメント協会)が調査した3月の製造業景況指数も53.7に上昇した。この指数は50を上回れば、景気がいいことを表わしている。このようにアメリカの景気は悪天候による一時的な停滞を乗り越え、再び上昇軌道に復帰したと思われる。その傾向が長続きするかどうかのカギは、4月の株価動向が握っている。
(続きは明日)
≪7日の日経平均 = 下げ -254.92円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
雇用の増加は建設業、小売りなどサービス業で著しい。注目されるのは、中央・地方政府による雇用者数が前月と変わらなかったこと。つまり3月の場合は、雇用者の増加がすべて民間部門で達成された。景気の回復力が強いことを示している。また失業率は6.7%で、前月と変わらなかった。原因は新たに職を求める人が増えたためと説明されており、この現象も景気の好転が続いている証拠だと言えるだろう。
このほか最近明らかになった景気指標をみても、たとえば2月の個人消費は前月比0.3%の増加。小売り売上高も0.3%増えている。大寒波のなかでも、個人の消費意欲は衰えなかった。また2月の製造業受注額は1.6%増加しており、生産部門も異常気象の影響を受けなかったことが判る。そして3月の新車販売台数は前年比5.7%増加。
こうした結果から、ISM(サプライ・マネジメント協会)が調査した3月の製造業景況指数も53.7に上昇した。この指数は50を上回れば、景気がいいことを表わしている。このようにアメリカの景気は悪天候による一時的な停滞を乗り越え、再び上昇軌道に復帰したと思われる。その傾向が長続きするかどうかのカギは、4月の株価動向が握っている。
(続きは明日)
≪7日の日経平均 = 下げ -254.92円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 生まれるか、景気と株価の好循環 = アメリカのGDPは、その7割が個人消費で構成される。したがって景気の動向は、個人消費支出の伸びしだいと言ってもいい。その消費支出が、異常な大雪にもめげず健闘したことが明らかになった。4年にわたる景気の回復で、家計の債務が3割ほど減ったことが根底にある。
今後も個人消費が伸び続けるためには、家計資産の増加というエネルギーが必要だ。その最大の燃料が、株価の上昇である。株価が上がれば家計に余裕が生まれ、これが消費を拡大する。消費が伸びれば、景気はさらに好転し、これがまた株価を押し上げる。この景気と株価の好循環を実現できるかどうか。
雇用統計が発表された4日朝、ダウ平均株価は60ドル近く上昇して、一時は史上最高値を更新する場面があった。しかし午後は急速に値を崩し、結局この日は160ドルの値下がりとなってしまった。高値で利益確定売りも出たが、雇用の改善が進んだことでFRBによる金融緩和の縮小は避けられないという警戒感が、再び盛り上がったのだと伝えられる。
もともとニューヨーク市場の株高は、FRBの量的緩和を土台に築き上げられた。だから緩和の縮小を恐れる気持ちも判らないではない。この金融重視派にそろそろ退場願うには、やはり実体経済の持続的な拡大を見せつける以外に手だてはないだろう。この意味でも、株価と景気の好循環が始まるかどうか。4月に発表される景気指標に目をこらそう。
≪8日の日経平均 = 下げ -201.97円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
今後も個人消費が伸び続けるためには、家計資産の増加というエネルギーが必要だ。その最大の燃料が、株価の上昇である。株価が上がれば家計に余裕が生まれ、これが消費を拡大する。消費が伸びれば、景気はさらに好転し、これがまた株価を押し上げる。この景気と株価の好循環を実現できるかどうか。
雇用統計が発表された4日朝、ダウ平均株価は60ドル近く上昇して、一時は史上最高値を更新する場面があった。しかし午後は急速に値を崩し、結局この日は160ドルの値下がりとなってしまった。高値で利益確定売りも出たが、雇用の改善が進んだことでFRBによる金融緩和の縮小は避けられないという警戒感が、再び盛り上がったのだと伝えられる。
もともとニューヨーク市場の株高は、FRBの量的緩和を土台に築き上げられた。だから緩和の縮小を恐れる気持ちも判らないではない。この金融重視派にそろそろ退場願うには、やはり実体経済の持続的な拡大を見せつける以外に手だてはないだろう。この意味でも、株価と景気の好循環が始まるかどうか。4月に発表される景気指標に目をこらそう。
≪8日の日経平均 = 下げ -201.97円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 上場企業ゼロは19年ぶり = 東京商工リサーチの集計によると、13年度の企業倒産件数は1万0536件で前年度を10%下回った。これは91年度以来の低水準。また負債総額は2兆7750億円で、前年度比9.7%の減少。89年度以来24年ぶりに3兆円を割り込んでいる。倒産の発生は、バブル崩壊前の状態に戻ったと言えるだろう。
特に大型倒産が減少した。負債総額10億円以上の倒産は308件。89年度以来の低水準だった。このため東証1部、2部の上場会社は、19年ぶりに倒産ゼロとなっている。また大型倒産が減少した結果、負債総額1億円未満の小規模倒産が全体の7割以上を占めることになった。
業種別にみても、倒産は金融・保険を除く全業種で減少した。建設、製造、卸し、小売り、不動産業では過去20年間で最少の倒産件数となっている。個別の倒産で負債がいちばん大きかったのは、カブトデコム(北海道、建設業)の5061億円。次いでエス・エス・アール(東京都、不動産業)の1650億円など。
倒産は景気のバロメーターと言ってよい。その件数が減ったのは、景気の回復が進行した証拠だろう。特に建設業などは、震災復興のための需要増加が大きく貢献した。そうしたなかで気になるのは、前年度比で40%減少したとはいえ、震災関連の倒産がまだ282件もあったこと。14年度は消費増税関連の倒産を、どこまで抑えられるかが課題となるだろう。
≪9日の日経平均 = 下げ -307.19円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
特に大型倒産が減少した。負債総額10億円以上の倒産は308件。89年度以来の低水準だった。このため東証1部、2部の上場会社は、19年ぶりに倒産ゼロとなっている。また大型倒産が減少した結果、負債総額1億円未満の小規模倒産が全体の7割以上を占めることになった。
業種別にみても、倒産は金融・保険を除く全業種で減少した。建設、製造、卸し、小売り、不動産業では過去20年間で最少の倒産件数となっている。個別の倒産で負債がいちばん大きかったのは、カブトデコム(北海道、建設業)の5061億円。次いでエス・エス・アール(東京都、不動産業)の1650億円など。
倒産は景気のバロメーターと言ってよい。その件数が減ったのは、景気の回復が進行した証拠だろう。特に建設業などは、震災復興のための需要増加が大きく貢献した。そうしたなかで気になるのは、前年度比で40%減少したとはいえ、震災関連の倒産がまだ282件もあったこと。14年度は消費増税関連の倒産を、どこまで抑えられるかが課題となるだろう。
≪9日の日経平均 = 下げ -307.19円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 靖国問題をどう処理する = オバマ米大統領は今月23日から25日にかけて来日、安倍首相と会談する。北朝鮮や中国に対する共通認識の再確認、TPP(環太平洋経済連携協定)の行き詰まり打開などが主要な議題となる見通し。もう1つ、オバマ大統領としては日韓関係の改善を強く要望するに違いない。
アメリカの北アジア戦略からみれば、日米韓の3国が一枚岩になっていなければ意味がない。ところが盟友となるべきはずの日韓両国が、このところ角突きあっている。オバマ大統領が日本のあと韓国を訪問するのも、両国の不仲をなんとか調停したいと考えている証拠だろう。だが、ここで最大のネックになりそうなのが、安倍首相の靖国参拝問題だ。
北朝鮮対策とかTPP問題は、事前に日米の官僚が調整しているから、首脳会談ではなんらかの“成果”が出るはずである。しかし靖国問題は安倍首相の個人的な信念に基づく行為だから、役人が事前に調整というわけにはいかない。結局は安倍首相が自分で判断して、オバマ大統領の意向に沿うかどうかである。
君子豹変という言葉がある。中国の易経に出てくる言葉で、「豹の毛が季節的に抜け替わり斑紋が鮮やかになるように、徳のある君子は過ちを改めて善い方へ移り変わる」という意味。大局的な見地から自分の信念を捨てる勇気がなければ、豹変はできない。豹変できなければ、日米関係にもミゾを掘ってしまう危険性がある。
≪10日の日経平均 = 上げ +0.43円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
アメリカの北アジア戦略からみれば、日米韓の3国が一枚岩になっていなければ意味がない。ところが盟友となるべきはずの日韓両国が、このところ角突きあっている。オバマ大統領が日本のあと韓国を訪問するのも、両国の不仲をなんとか調停したいと考えている証拠だろう。だが、ここで最大のネックになりそうなのが、安倍首相の靖国参拝問題だ。
北朝鮮対策とかTPP問題は、事前に日米の官僚が調整しているから、首脳会談ではなんらかの“成果”が出るはずである。しかし靖国問題は安倍首相の個人的な信念に基づく行為だから、役人が事前に調整というわけにはいかない。結局は安倍首相が自分で判断して、オバマ大統領の意向に沿うかどうかである。
君子豹変という言葉がある。中国の易経に出てくる言葉で、「豹の毛が季節的に抜け替わり斑紋が鮮やかになるように、徳のある君子は過ちを改めて善い方へ移り変わる」という意味。大局的な見地から自分の信念を捨てる勇気がなければ、豹変はできない。豹変できなければ、日米関係にもミゾを掘ってしまう危険性がある。
≪10日の日経平均 = 上げ +0.43円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 統計を正しく読む = 再生可能エネルギーに関する統計は、なかなか複雑だ。統計を読み違えると、とんでもないことになりかねない。たとえば経済産業省が発表した昨年12月末の「再生可能エネルギー発電設備の導入状況」をみると、買い取り制度を始めた12年7月以来の設備認定容量は3031万㌔㍗に達した。つまり政府はこれだけの設備容量に対して、買い取りOKの認定を出したことになる。
この数字はとても大きい。大震災前、日本では54基の原発が稼働し、年間4900万㌔㍗の電力を生み出していた。その6割を超す再生エネルギー発電設備が認定されたことになる。これはスゴイ。と思ったら大間違い。なぜなら認定されても、実際に設備を造らないケースがあるからだ。そこで経産省の資料で「運転を開始した設備導入量」をみると、合計2760万㌔㍗。だが、これも実際は老朽化や天候の具合などでフル稼働にはほど遠い。
結局、再生可能エネルギーによる発電量は現在いくらなのか。これを表示する統計は見当たらない。電力会社は13年度中に、買い取り制度で4800億円の電力を買い入れた。ここから大ざっぱに逆算すると、再生エネによる発電量は原発1-2基分にしか当たらない。もちろん電力会社に売らず自分で消費した分もあるわけだが、経産省の数字との差はどこから生じるのか。
ほかに太陽光発電のように、業界団体が太陽電池の生産量や出荷量を集計している統計もある。たとえば13年の国内生産量は62万㌔㍗、出荷は204万㌔㍗だ。出荷の方が大きいのは、輸入分が加わるため。輸出される分もあって、この統計もなかなか複雑である。
(続きは来週サタデー)
≪11日の日経平均 = 下げ -340.07円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
この数字はとても大きい。大震災前、日本では54基の原発が稼働し、年間4900万㌔㍗の電力を生み出していた。その6割を超す再生エネルギー発電設備が認定されたことになる。これはスゴイ。と思ったら大間違い。なぜなら認定されても、実際に設備を造らないケースがあるからだ。そこで経産省の資料で「運転を開始した設備導入量」をみると、合計2760万㌔㍗。だが、これも実際は老朽化や天候の具合などでフル稼働にはほど遠い。
結局、再生可能エネルギーによる発電量は現在いくらなのか。これを表示する統計は見当たらない。電力会社は13年度中に、買い取り制度で4800億円の電力を買い入れた。ここから大ざっぱに逆算すると、再生エネによる発電量は原発1-2基分にしか当たらない。もちろん電力会社に売らず自分で消費した分もあるわけだが、経産省の数字との差はどこから生じるのか。
ほかに太陽光発電のように、業界団体が太陽電池の生産量や出荷量を集計している統計もある。たとえば13年の国内生産量は62万㌔㍗、出荷は204万㌔㍗だ。出荷の方が大きいのは、輸入分が加わるため。輸出される分もあって、この統計もなかなか複雑である。
(続きは来週サタデー)
≪11日の日経平均 = 下げ -340.07円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
第16章 失業率って、なんだろう? ⑪
◇ 有効求人倍率の見方 = 雇用の状況を調べるときに、失業率と並んでよく使われる統計に「有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ)」があります。名前はむずかしいのですが、その内容は簡単。全国の公共職業安定所(愛称はハローワーク)に仕事を探しにきた人数と、会社が働く人を探している人数の割合なのです。ここで仕事を探しにきた人数を求職者数、働く人を探している人数を求人数ということを覚えておきましょう。
求人倍率は、求人数を求職者数で割って計算します。たとえば求人数が100人で、求職者数が80人だとすると、求人倍率は 100÷80=1.25 ということになります。逆に求人数が80人で、求職者数が100人だとどうなるでしょう。答は0.8ですね。ここからも判るように、求人倍率が1より大きいと「働く人が足りない状態」、1より小さいと「働く人が余る状態」を示しているのです。
では実際の数字を調べてみましょう。ここ5年ほど、倍率はずっと1を下回る状態が続いていました。景気が悪かったためですね。それが昨年10月に1を上回り、ことし2月は1.05倍になっています。景気がやっと回復し、人手がやや不足する状態になったことを示しています。
有効求人倍率はハローワークに仕事を探しにきた人、企業が働く人を探したいと言ってきた人数しか反映されません。たとえば雑誌やネットなどで職業を探したり、働く人を募集する人数は含まれません。また中学、高校、大学の卒業生についてもカウントされません。ですから雇用情勢をみる場合には、就業者数や失業者数、失業率と求人倍率や新卒の就職内定率などを総合的に分析する必要があります。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 有効求人倍率の見方 = 雇用の状況を調べるときに、失業率と並んでよく使われる統計に「有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ)」があります。名前はむずかしいのですが、その内容は簡単。全国の公共職業安定所(愛称はハローワーク)に仕事を探しにきた人数と、会社が働く人を探している人数の割合なのです。ここで仕事を探しにきた人数を求職者数、働く人を探している人数を求人数ということを覚えておきましょう。
求人倍率は、求人数を求職者数で割って計算します。たとえば求人数が100人で、求職者数が80人だとすると、求人倍率は 100÷80=1.25 ということになります。逆に求人数が80人で、求職者数が100人だとどうなるでしょう。答は0.8ですね。ここからも判るように、求人倍率が1より大きいと「働く人が足りない状態」、1より小さいと「働く人が余る状態」を示しているのです。
では実際の数字を調べてみましょう。ここ5年ほど、倍率はずっと1を下回る状態が続いていました。景気が悪かったためですね。それが昨年10月に1を上回り、ことし2月は1.05倍になっています。景気がやっと回復し、人手がやや不足する状態になったことを示しています。
有効求人倍率はハローワークに仕事を探しにきた人、企業が働く人を探したいと言ってきた人数しか反映されません。たとえば雑誌やネットなどで職業を探したり、働く人を募集する人数は含まれません。また中学、高校、大学の卒業生についてもカウントされません。ですから雇用情勢をみる場合には、就業者数や失業者数、失業率と求人倍率や新卒の就職内定率などを総合的に分析する必要があります。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 売り込まれた東京市場 = 株式市場にとっては、きびしい一週間だった。ダウ平均は先週386ドルの値下がり。日経平均は大きく売り込まれて、週間1104円の大幅安。高値警戒とか利益確定の売り物とか、あるいはウクライナ情勢とか中国経済への不安とか、いろいろ理由づけされているが、それだけではどうも説明できない。
ニューヨーク市場では雇用統計が堅調だったことから、FRBの金融緩和縮小は継続されるという予測が強まっていた。そこで投資家は実体経済を重視する姿勢に変わろうとしたが、運悪くハイテク企業の業績悪化という事態に直面。ステラ・モータースやフェイスブック、アマゾンなどの株価が急落した。これで地合いがいっぺんに悪化したようだ。
東京市場は、このニューヨークの動きに引きずられた。加えて日銀の黒田総裁が「追加的な緩和は考えていない」と明言したため、円相場が急騰。これでまず輸出株が売られ、さらに消費増税の影響が不透明なことから内需株も売られることになった。輸出株と内需株のダブルパンチで、下げ幅が08年10月以来の大きさに広がったとみることができる。今週は反発の動きがみられるかどうか。
今週は17日に、4月の月例報告と3月の消費者動向調査。18日に、2月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、3月の小売り売上高。15日に、3月の消費者物価と4月のNAHB住宅市場指数。16日に、3月の工業生産と住宅着工戸数。また中国が16日に、1-3月期のGDP速報、3月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。18日に、主要70都市の住宅価格を発表する。
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
ニューヨーク市場では雇用統計が堅調だったことから、FRBの金融緩和縮小は継続されるという予測が強まっていた。そこで投資家は実体経済を重視する姿勢に変わろうとしたが、運悪くハイテク企業の業績悪化という事態に直面。ステラ・モータースやフェイスブック、アマゾンなどの株価が急落した。これで地合いがいっぺんに悪化したようだ。
東京市場は、このニューヨークの動きに引きずられた。加えて日銀の黒田総裁が「追加的な緩和は考えていない」と明言したため、円相場が急騰。これでまず輸出株が売られ、さらに消費増税の影響が不透明なことから内需株も売られることになった。輸出株と内需株のダブルパンチで、下げ幅が08年10月以来の大きさに広がったとみることができる。今週は反発の動きがみられるかどうか。
今週は17日に、4月の月例報告と3月の消費者動向調査。18日に、2月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、3月の小売り売上高。15日に、3月の消費者物価と4月のNAHB住宅市場指数。16日に、3月の工業生産と住宅着工戸数。また中国が16日に、1-3月期のGDP速報、3月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。18日に、主要70都市の住宅価格を発表する。
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ とうとう日本にも上陸 = 東京株式市場は先週、大幅に下落した。日経平均は週間1100円を超える値下がりで、終り値は年初来安値を記録している。ニューヨーク株価の不調やウクライナ問題などの悪材料にも引っ張られたが、新たな売り要因が出現して株価の下げを助長した。それはアメリカで蔓延し、猛威を振るった“金融緩和病”である。
日銀の黒田総裁は8日の記者会見で質問に答え「現時点で追加的な緩和は考えていない」と発言した。一見、なんの変哲もない内容にも受け取れる。この発言は午後4時すぎだったため、東京市場には大きく影響していない。ところがシカゴ市場では円の対ドル相場が急騰、日経平均の先物が売り込まれた。
この流れが9日の東京市場に押し寄せた。円相場は1円の上昇、日経平均は307円下げている。ニューヨーク市場が不振だったこともあって、東京市場でもこの地合いが週末まで続いてしまった。日銀総裁のこの程度の発言が、これほど市場に影響を与えたことはかつてなかった。
アメリカではここ数年、FRB議長の何でもない発言が市場をしばしば揺り動かしている。「環境が整えば金融緩和政策を縮小するのは当たり前」という発言で、株価が暴落したこともある。また雇用統計などに改善がみられると、それでは「金融緩和は縮小か」と解釈されて株価が下がる。つまり景気がよくなると株は売りといった、理屈に合わない市場行動がまかり通ってきた。
(続きは明日)
≪14日の日経平均 = 下げ -49.89円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
日銀の黒田総裁は8日の記者会見で質問に答え「現時点で追加的な緩和は考えていない」と発言した。一見、なんの変哲もない内容にも受け取れる。この発言は午後4時すぎだったため、東京市場には大きく影響していない。ところがシカゴ市場では円の対ドル相場が急騰、日経平均の先物が売り込まれた。
この流れが9日の東京市場に押し寄せた。円相場は1円の上昇、日経平均は307円下げている。ニューヨーク市場が不振だったこともあって、東京市場でもこの地合いが週末まで続いてしまった。日銀総裁のこの程度の発言が、これほど市場に影響を与えたことはかつてなかった。
アメリカではここ数年、FRB議長の何でもない発言が市場をしばしば揺り動かしている。「環境が整えば金融緩和政策を縮小するのは当たり前」という発言で、株価が暴落したこともある。また雇用統計などに改善がみられると、それでは「金融緩和は縮小か」と解釈されて株価が下がる。つまり景気がよくなると株は売りといった、理屈に合わない市場行動がまかり通ってきた。
(続きは明日)
≪14日の日経平均 = 下げ -49.89円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 重視される日銀総裁の発言 = 黒田総裁が金融の“異次元緩和”をブチ上げたのは、昨年の4月4日。したがって8日の記者会見は、この1年を総括する意味もあった。ところが市場関係者のなかには、2年目を迎えて新たな金融緩和策を打ち出すのではないかという期待も芽生えていたことは確か。1年を経て異次元緩和の効き目が薄れてきたこと、それに消費増税の悪影響を少しでも軽減する必要があるのでは、と考えたからである。
しかし単なる「期待外れ」を、ただちに大量の円買い・株売りにつなげる手法は新しい。こうして他の投資家を巻き込み、相場の上下動を拡大する。この手法は、アメリカの金融緩和病に見られる症状と全く同じだ。今回の円買い・株売りも、おそらくはアメリカ系のヘッジ・ファンドが主導したものと思われる。
もともとリーマン・ショックのあと、日米の株価は中央銀行による強力な金融緩和政策によって回復した。だから市場が金融緩和政策を重視するのは、むしろ当然かもしれない。だが、それが行き過ぎると異常な現象を起こす。たとえば景気がいいと株は売り。あるいは株価の下がること自体が、中央銀行の政策に影響を及ぼしかねない。
こうした異常現象を排除するためにアメリカのイエレンFRB議長は就任以来、雑音には耳を傾けず金融緩和縮小の路線を守っている。このためアメリかでは、金融緩和病がやや下火になってきた。その代わりと言ってはなんだが、こんどは日本に伝染してきたようだ。やや口数の多い黒田総裁、今後は“唇寒し”とならぬようご用心を。
≪15日の日経平均 = 上げ +86.65円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
しかし単なる「期待外れ」を、ただちに大量の円買い・株売りにつなげる手法は新しい。こうして他の投資家を巻き込み、相場の上下動を拡大する。この手法は、アメリカの金融緩和病に見られる症状と全く同じだ。今回の円買い・株売りも、おそらくはアメリカ系のヘッジ・ファンドが主導したものと思われる。
もともとリーマン・ショックのあと、日米の株価は中央銀行による強力な金融緩和政策によって回復した。だから市場が金融緩和政策を重視するのは、むしろ当然かもしれない。だが、それが行き過ぎると異常な現象を起こす。たとえば景気がいいと株は売り。あるいは株価の下がること自体が、中央銀行の政策に影響を及ぼしかねない。
こうした異常現象を排除するためにアメリカのイエレンFRB議長は就任以来、雑音には耳を傾けず金融緩和縮小の路線を守っている。このためアメリかでは、金融緩和病がやや下火になってきた。その代わりと言ってはなんだが、こんどは日本に伝染してきたようだ。やや口数の多い黒田総裁、今後は“唇寒し”とならぬようご用心を。
≪15日の日経平均 = 上げ +86.65円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 1年5か月ぶりの低水準 = 日経平均は先週1103円の値下がり。半年ぶりの低水準に落ち込んだ。今週の市場は、下げすぎの訂正から反騰に転じている。そんななかで、市場関係者が関心を寄せているのがPER(株価収益率)。内外の投資家が、このPERに注目してくれれば日本株は再び上昇軌道に乗ると期待している。
PERというのは、ある企業の株価がその企業の予想される1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標。倍数が大きければ株価は買われすぎ、小さければ売られすぎということになる。市場全体の様子をみる場合は、日経平均やTOPIXが使われる。たとえば日経平均の場合は、225社の1株当たり利益で割って算出する。
先週末の日経平均PERは、13.70倍だった。この数値は1年5か月前、野田前首相が衆院解散を表明した12年11月14日の13.58倍とほぼ同じ。一般に14-16倍が適正な水準と言われているから、明らかに売られすぎということになる。ちなみに昨年のピークは23倍を超えている。また現在の水準はアメリカが15.94倍、ドイツが13.69倍だ。
日本企業の経常利益は、14年度に約1割の増益と見込まれている。したがって仮に株価が同水準なら、PERはさらに下落する。ただし利益が減少すれば、PERは上昇してしまう。この点で消費増税と円高が、今後の利益にどんな影響を与えるのか。影響が軽微と判ればPERに注目が集まり、日本株の割安感が浸透することになる。
≪16日の日経平均 = 上げ +420.87円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
PERというのは、ある企業の株価がその企業の予想される1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標。倍数が大きければ株価は買われすぎ、小さければ売られすぎということになる。市場全体の様子をみる場合は、日経平均やTOPIXが使われる。たとえば日経平均の場合は、225社の1株当たり利益で割って算出する。
先週末の日経平均PERは、13.70倍だった。この数値は1年5か月前、野田前首相が衆院解散を表明した12年11月14日の13.58倍とほぼ同じ。一般に14-16倍が適正な水準と言われているから、明らかに売られすぎということになる。ちなみに昨年のピークは23倍を超えている。また現在の水準はアメリカが15.94倍、ドイツが13.69倍だ。
日本企業の経常利益は、14年度に約1割の増益と見込まれている。したがって仮に株価が同水準なら、PERはさらに下落する。ただし利益が減少すれば、PERは上昇してしまう。この点で消費増税と円高が、今後の利益にどんな影響を与えるのか。影響が軽微と判ればPERに注目が集まり、日本株の割安感が浸透することになる。
≪16日の日経平均 = 上げ +420.87円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
◇ ロシアの読み勝ち? = G20(主要20か国会議)は先週オーストラリアで首脳会議を開き、「ウクライナ支援を支持する」共同声明を採択した。これにはロシアも賛成したから、一見するとウクライナ問題は解決に向かって前進したかのように見受けられる。しかしウクライナ国内の情勢は緊張を強める一方。G20会議で得をしたのはロシアだけ、という結果に終わったようだ。
ロシアのクリミア併合宣言に反発した西側先進国は、G8(主要8か国会議)からロシアを追放した。もともと米英日などの先進国は、結束を強めるため1976年にG7(先進7か国会議)を結成。98年にロシアが参加して出来たのがG8だった。したがって先進国側の算術としては、7+1=8だったものが8-1=7に戻っただけということになる。
だがロシアの計算法は違っていた。新興諸国の国力が大きくなったことから、中国やインドなどの新興国を含めたG20が99年に結成されている。だからG8が消滅しても、ロシアも加盟しているG20を利用すればいい。8-1=20、これがロシアの算術だった。
G20は参加国が多く、話はまとまりにくい。今回の首脳会議でも、ウクライナを「経済的に支援することを支持する」ことで一致するのが精いっぱいだった。ロシアはウクライナに対して、多額のカネを貸し込んでいる。そのウクライナが財政破綻すると最も困るのはロシア。G20会議の成果をそこまで読み込んでいたとすれば、ロシアのしたたかさには驚くしかない。
≪17日の日経平均 = 下げ -0.15円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
ロシアのクリミア併合宣言に反発した西側先進国は、G8(主要8か国会議)からロシアを追放した。もともと米英日などの先進国は、結束を強めるため1976年にG7(先進7か国会議)を結成。98年にロシアが参加して出来たのがG8だった。したがって先進国側の算術としては、7+1=8だったものが8-1=7に戻っただけということになる。
だがロシアの計算法は違っていた。新興諸国の国力が大きくなったことから、中国やインドなどの新興国を含めたG20が99年に結成されている。だからG8が消滅しても、ロシアも加盟しているG20を利用すればいい。8-1=20、これがロシアの算術だった。
G20は参加国が多く、話はまとまりにくい。今回の首脳会議でも、ウクライナを「経済的に支援することを支持する」ことで一致するのが精いっぱいだった。ロシアはウクライナに対して、多額のカネを貸し込んでいる。そのウクライナが財政破綻すると最も困るのはロシア。G20会議の成果をそこまで読み込んでいたとすれば、ロシアのしたたかさには驚くしかない。
≪17日の日経平均 = 下げ -0.15円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 遅れている日本 = GWEC(世界風力エネルギー会議)の予測によると、2017年の世界の風力発電量は5億3610万㌔㍗になる。12年の実績は2億8280万㌔㍗だったから、2倍近くに増加するわけだ。一方、EPIA(欧州太陽光発電協会)は世界の太陽光発電量が12年の1億0215万㌔㍗から、17年には2億8822万㌔㍗になると予測している。
こうした数値からも判るように、世界では風力発電の方が太陽光発電よりずっと多い。たとえば再生可能エネルギーの利用で最先端を走っているドイツの例を見てみよう。13年の総発電量に占める比率は石炭火力が45.2%、原子力は15.4%。風力は7.9%、太陽光は4.5%だった。再生可能エネルギー全体では23.4%に達している。ちなみに10年の原発の比率は22.2%、再生エネルギーは16.6%だった。
そのドイツでは再生可能エネルギー買い取り制度の結果、家庭用の電気料金が急騰。メルケル内閣は制度の見直しを余儀なくされた。新しい政策では洋上風力発電の買い取り価格を相対的に高く設定。また全体の買い取り平均価格を、現在の17セントから15年には12セントに引き下げることとした。
資源エネルギー庁によると、日本の総発電量に占める割合は12年度でLNGが42.5%、石炭27.6%、石油18.3%。続いて水力が8.4%、原子力1.7%、そして再生可能エネルギーは1.6%に過ぎなかった。その再生エネルギーのなかでは、太陽光発電が突出。風力発電はまだ微々たるものにすぎない。国際的にみると、日本の再生可能エネルギー利用は、数量的にも内容的にも遅れている。
(続きは来週サタデ―)
≪18日の日経平均 = 上げ +98.74円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
こうした数値からも判るように、世界では風力発電の方が太陽光発電よりずっと多い。たとえば再生可能エネルギーの利用で最先端を走っているドイツの例を見てみよう。13年の総発電量に占める比率は石炭火力が45.2%、原子力は15.4%。風力は7.9%、太陽光は4.5%だった。再生可能エネルギー全体では23.4%に達している。ちなみに10年の原発の比率は22.2%、再生エネルギーは16.6%だった。
そのドイツでは再生可能エネルギー買い取り制度の結果、家庭用の電気料金が急騰。メルケル内閣は制度の見直しを余儀なくされた。新しい政策では洋上風力発電の買い取り価格を相対的に高く設定。また全体の買い取り平均価格を、現在の17セントから15年には12セントに引き下げることとした。
資源エネルギー庁によると、日本の総発電量に占める割合は12年度でLNGが42.5%、石炭27.6%、石油18.3%。続いて水力が8.4%、原子力1.7%、そして再生可能エネルギーは1.6%に過ぎなかった。その再生エネルギーのなかでは、太陽光発電が突出。風力発電はまだ微々たるものにすぎない。国際的にみると、日本の再生可能エネルギー利用は、数量的にも内容的にも遅れている。
(続きは来週サタデ―)
≪18日の日経平均 = 上げ +98.74円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
第16章 失業率って、なんだろう? ⑫
◇ 増えている非正規労働者 = 景気の回復で失業者が減り、失業率も下がってきました。しかし半面、就職者のなかで非正規労働者と呼ばれる人たちが増えて問題となっています。非正規労働者というのは、正規に採用されていない労働者です。具体的には契約社員、派遣社員、パート、アルバイト、嘱託という資格で働いている人たち。
正規に「社員」として採用された人たちは、給与も安定していて、ふつう定年まで働くことが保証されています。これに対して非正規労働者は、働く期間が短かったり給料も低い場合が多いのです。13年の労働力調査をみると、正規の職員・従業員が3302万人だったのに対して、非正規の職員・従業員は1906万人でした。非正規労働者の全体に占める割合は36.6%、10年前に比べると6ポイント以上も上昇しています。
パートやバイトは、長時間働くことができない主婦や学生にとっては便利な働き口です。しかし、その収入で一家を支えているような人にとっては、いつ収入が途絶えるやら判らない不安定な働き方。そこで正規採用を強く希望しますが、企業にとっては景気が悪化したとき人件費を節約できる便利な制度になっているのです。
企業がこういう人たちを解雇すれば、失業者が増え失業率は上昇することになるでしょう。こういう観点からも、景気の持続的な回復は重要です。さらに景気がよくなって人手が不足するようになれば、企業も労働力を確保するために正規労働者を増やすことになるでしょう。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 増えている非正規労働者 = 景気の回復で失業者が減り、失業率も下がってきました。しかし半面、就職者のなかで非正規労働者と呼ばれる人たちが増えて問題となっています。非正規労働者というのは、正規に採用されていない労働者です。具体的には契約社員、派遣社員、パート、アルバイト、嘱託という資格で働いている人たち。
正規に「社員」として採用された人たちは、給与も安定していて、ふつう定年まで働くことが保証されています。これに対して非正規労働者は、働く期間が短かったり給料も低い場合が多いのです。13年の労働力調査をみると、正規の職員・従業員が3302万人だったのに対して、非正規の職員・従業員は1906万人でした。非正規労働者の全体に占める割合は36.6%、10年前に比べると6ポイント以上も上昇しています。
パートやバイトは、長時間働くことができない主婦や学生にとっては便利な働き口です。しかし、その収入で一家を支えているような人にとっては、いつ収入が途絶えるやら判らない不安定な働き方。そこで正規採用を強く希望しますが、企業にとっては景気が悪化したとき人件費を節約できる便利な制度になっているのです。
企業がこういう人たちを解雇すれば、失業者が増え失業率は上昇することになるでしょう。こういう観点からも、景気の持続的な回復は重要です。さらに景気がよくなって人手が不足するようになれば、企業も労働力を確保するために正規労働者を増やすことになるでしょう。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 政府・日銀首脳の“口先介入” = 日米の株価は先週ともに反発した。日経平均は週間556円の値上がり。週間の上げ幅としては、昨年11月中旬以来の大きさだった。特に16日は421円の大幅な上昇を記録している。一方、ダウ平均は週間382ドルの値上がり。1万6400ドル台を回復した。
株価の反発は、基本的に先々週の下げすぎを訂正する動きだった。加えて東京市場の場合は、政府・日銀首脳の“口先介入”が株高を誘っている。まず15日には安倍首相と黒田日銀総裁が会談。両者は景気動向しだいでは「躊躇なく政策調整を行う」ことで一致した。さらに麻生財務相は16日「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株買いに出動する」可能性を示唆。これで株価は一気に高騰した。
ただ先週の反発でダウ平均は先々週の下げをほぼ取り戻したのに対し、日経平均はちょうど半分しか値を戻していない。これは海外投資家が、日本株への関心を薄めているためだ。この関心を東京市場に向けるには、日本企業の好調な業績が何よりも役に立つ。その意味で、今週も続く企業の決算発表に注目したい。
今週は21日に、3月の貿易統計。24日に、3月の企業向けサービス価格。25日に、3月の消費者物価と2月の全産業活動指数。アメリカでは21日に、カンファレンス・ボードの3月・景気先行指数。22日に、3月の中古住宅販売と2月のFHFA住宅価格指数。23日に、3月の新築住宅販売。また中国では23日に、4月のHSBC製造業PMIが発表される。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
株価の反発は、基本的に先々週の下げすぎを訂正する動きだった。加えて東京市場の場合は、政府・日銀首脳の“口先介入”が株高を誘っている。まず15日には安倍首相と黒田日銀総裁が会談。両者は景気動向しだいでは「躊躇なく政策調整を行う」ことで一致した。さらに麻生財務相は16日「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株買いに出動する」可能性を示唆。これで株価は一気に高騰した。
ただ先週の反発でダウ平均は先々週の下げをほぼ取り戻したのに対し、日経平均はちょうど半分しか値を戻していない。これは海外投資家が、日本株への関心を薄めているためだ。この関心を東京市場に向けるには、日本企業の好調な業績が何よりも役に立つ。その意味で、今週も続く企業の決算発表に注目したい。
今週は21日に、3月の貿易統計。24日に、3月の企業向けサービス価格。25日に、3月の消費者物価と2月の全産業活動指数。アメリカでは21日に、カンファレンス・ボードの3月・景気先行指数。22日に、3月の中古住宅販売と2月のFHFA住宅価格指数。23日に、3月の新築住宅販売。また中国では23日に、4月のHSBC製造業PMIが発表される。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ ご心配はもっともだが = 政府・日銀首脳が株価をなんとか引き上げようと、しきりに“口先介入”を始めた。先週15日には安倍首相と黒田日銀総裁が会談、景気の動向しだいでは「躊躇なく政策調整を行うことで一致」と喧伝した。あくる16日には麻生財務相が「6月以降、GPIFが動き出す」と発言、この日の日経平均を420円も押し上げている。
GPIFというのは、年金積立金管理運用独立行政法人のこと。要するに厚生年金や国民年金の積立金を管理・運用している組織だ。昨年12月末の運用資金額は、なんと128兆5790億円。世界最大の年金基金であることは、あまり知られていない。ただ、その運用方針は安全第一。国債や政府保証債が大半を占め、株式投資の比重は13%程度にすぎない。
そこで株式投資を増やして株価の引き上げを図ろうというのが、麻生発言の真意。仮に1割増やすことになれば、株式市場には13兆円が流れ込む計算だ。市場が沸いたのもムリはない。政府としてはいま株価が上昇することで、なんとか消費増税後の景気低迷を防ぎたい。首脳たちの口先介入が、それを狙った心理的な作戦であることは間違いない。
だが現職の閣僚が株価を動かすようなニュースを口にするのは、本来“禁じ手”のはず。仮に麻生さんの関連する会社や親族が16日に株の取り引きで大儲けしたら、インサイダー取り引きの疑いをかけられる危険性だってないことはない。景気の動きを心配する気持ちはよく判るが、口先介入はくれぐれも慎重に。
≪21日の日経平均 = 下げ -3.89円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
GPIFというのは、年金積立金管理運用独立行政法人のこと。要するに厚生年金や国民年金の積立金を管理・運用している組織だ。昨年12月末の運用資金額は、なんと128兆5790億円。世界最大の年金基金であることは、あまり知られていない。ただ、その運用方針は安全第一。国債や政府保証債が大半を占め、株式投資の比重は13%程度にすぎない。
そこで株式投資を増やして株価の引き上げを図ろうというのが、麻生発言の真意。仮に1割増やすことになれば、株式市場には13兆円が流れ込む計算だ。市場が沸いたのもムリはない。政府としてはいま株価が上昇することで、なんとか消費増税後の景気低迷を防ぎたい。首脳たちの口先介入が、それを狙った心理的な作戦であることは間違いない。
だが現職の閣僚が株価を動かすようなニュースを口にするのは、本来“禁じ手”のはず。仮に麻生さんの関連する会社や親族が16日に株の取り引きで大儲けしたら、インサイダー取り引きの疑いをかけられる危険性だってないことはない。景気の動きを心配する気持ちはよく判るが、口先介入はくれぐれも慎重に。
≪21日の日経平均 = 下げ -3.89円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ これでは何も判らない = 安倍政権が閣議決定した新しいエネルギー基本計画。原発を主要な電源の一つとして位置づけ「安全性が確認された原発から再稼働すること」を明記した。民主党政権が12年9月に打ち出した「30年代の原発稼働ゼロ」を完全に否定したわけで、新聞やテレビはこの姿勢転換を重視して大々的に報道した。
エネルギー基本計画というのは、電力の安定供給を図り産業競争力を高めるための基本戦略だ。ふつう3年ごとに見直される。たとえば3年後あるいは5年後に、どのような電源を確保するのが望ましいか。そのためには、どのような政策を実施すべきか。それらを描き出したビジョンと考えていい。
東日本大震災の前、10年の年間総発電量は1兆㌔㍗時。その電源構成は、原子力とLNG(液化天然ガス)がそれぞれ全体の29%、石炭が25%、水力が9%、石油が8%となっていた。それが今後はどうなるのか。たとえば20年の総発電量を推定し、それだけの電力をどんな電源構成で確保すべきか。そんな将来像を描き出すのが、エネルギー基本計画である。
ところが今回のエネルギー基本計画には、こうした数値が全くない。わずかに再生可能エネルギーについて「30年には約2割の比率を上回ることが目標」と書かれているだけだ。その他の目標は全く判らない。目標がないのに、計画が作成された。世にも珍しい基本計画と言えるだろう。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 下げ -123.61円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
エネルギー基本計画というのは、電力の安定供給を図り産業競争力を高めるための基本戦略だ。ふつう3年ごとに見直される。たとえば3年後あるいは5年後に、どのような電源を確保するのが望ましいか。そのためには、どのような政策を実施すべきか。それらを描き出したビジョンと考えていい。
東日本大震災の前、10年の年間総発電量は1兆㌔㍗時。その電源構成は、原子力とLNG(液化天然ガス)がそれぞれ全体の29%、石炭が25%、水力が9%、石油が8%となっていた。それが今後はどうなるのか。たとえば20年の総発電量を推定し、それだけの電力をどんな電源構成で確保すべきか。そんな将来像を描き出すのが、エネルギー基本計画である。
ところが今回のエネルギー基本計画には、こうした数値が全くない。わずかに再生可能エネルギーについて「30年には約2割の比率を上回ることが目標」と書かれているだけだ。その他の目標は全く判らない。目標がないのに、計画が作成された。世にも珍しい基本計画と言えるだろう。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 下げ -123.61円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 腰が引けている安倍内閣 = 政府の新エネルギー基本計画が、驚くほど空疎な内容になってしまったのには訳がある。それは原発の将来が全く見通せないからだ。基本計画では「安全性が確認できた原発から再起動する」と明示したものの、実際問題としてどれだけの原発をいつ動かせるようになるかは誰にも判らない。電源としての原発の比重が不明なので、他のエネルギーの比重も考えようがない。
原子力規制委員会は、ようやく九州電力の川内原発1-2号機についての安全性を優先的に審査することになった。ところが審査の進捗状況は霧のなか。次にどの原発が審査されるのかも明らかでない。こういう状況では、エネルギー需給の将来図を描こうとする方がムリというものだったろう。
安倍内閣は国民の批判を恐れて、原発の安全審査については完全に口を閉ざしている。しかし政府として規制委員会に審査のスピードアップを要請するとか、少なくとも毎月の作業状況を公表するよう指示することぐらいは可能だろう。それを責任逃れから放置している間にも、輸入燃料代の支払いを通じて巨額の国富が海外に流出してしまっている。
無理矢理に原発を再起動させろ、と言っているわけではない。安全性が確認できなければ、原発は動かなくても仕方がない。ただ、そういう方向が早く確認されれば、再生可能エネルギーの普及に全力を挙げる政策も選択できる。最もいけないのは、現在のように政府が原発について逃げ腰になっていること。きちんとしたエネルギー基本計画が長期間にわたって作れない事態は、政権の怠慢であると知るべし。
≪23日の日経平均 = 上げ +157.50円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
原子力規制委員会は、ようやく九州電力の川内原発1-2号機についての安全性を優先的に審査することになった。ところが審査の進捗状況は霧のなか。次にどの原発が審査されるのかも明らかでない。こういう状況では、エネルギー需給の将来図を描こうとする方がムリというものだったろう。
安倍内閣は国民の批判を恐れて、原発の安全審査については完全に口を閉ざしている。しかし政府として規制委員会に審査のスピードアップを要請するとか、少なくとも毎月の作業状況を公表するよう指示することぐらいは可能だろう。それを責任逃れから放置している間にも、輸入燃料代の支払いを通じて巨額の国富が海外に流出してしまっている。
無理矢理に原発を再起動させろ、と言っているわけではない。安全性が確認できなければ、原発は動かなくても仕方がない。ただ、そういう方向が早く確認されれば、再生可能エネルギーの普及に全力を挙げる政策も選択できる。最もいけないのは、現在のように政府が原発について逃げ腰になっていること。きちんとしたエネルギー基本計画が長期間にわたって作れない事態は、政権の怠慢であると知るべし。
≪23日の日経平均 = 上げ +157.50円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 3年間で19兆円の悪化 = 貿易収支の異常な赤字が続いている。財務省が発表した13年度の貿易統計によると、輸出は70兆8600億円。前年度比10.8%増加した。一方、輸入は84兆6100億円。前年度比17.3%の増加だった。この結果、貿易収支は13兆7500億円の記録的な赤字となっている。
東日本大震災を境に、日本の貿易構造は一変した。震災前の10年度と比べてみれば、その変転ぶりがよく判る。まず13年度の輸出額は、10年度の実績に比べ4.5%増加した。しかし輸入額は35.5%も増大している。この結果、貿易収支は5兆3000億円の黒字から13兆7000億円の赤字に転落。19兆円も悪化したことになる。
収支の面で特筆されるのは、対アメリカの伸長と対中国の不振。13年度の対アメリカ収支は6兆円の黒字で、10年度比34%の増加だった。これに対し中国との収支は5兆6000億円の赤字、10年度比では赤字額が12倍に増えている。また中東諸国との収支は13兆7000億円の赤字。10年度に比べると、赤字額は約6割増えた。
輸入面で問題となっているのは、原発の停止を補うための火力発電用の燃料。13年度の鉱物性燃料の輸入額は28兆4000億円。10年度に比べ、ちょうど10兆円増加した。なかで原油・粗油は約5割、LNGは2倍の伸びを示している。とにかく1年間で14兆円に近いおカネが海外に流出している。消費増税による税収の増加分4兆5000億円に比べれば、その大きさが実感できるだろう。
≪24日の日経平均 = 下げ -141.28円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
東日本大震災を境に、日本の貿易構造は一変した。震災前の10年度と比べてみれば、その変転ぶりがよく判る。まず13年度の輸出額は、10年度の実績に比べ4.5%増加した。しかし輸入額は35.5%も増大している。この結果、貿易収支は5兆3000億円の黒字から13兆7000億円の赤字に転落。19兆円も悪化したことになる。
収支の面で特筆されるのは、対アメリカの伸長と対中国の不振。13年度の対アメリカ収支は6兆円の黒字で、10年度比34%の増加だった。これに対し中国との収支は5兆6000億円の赤字、10年度比では赤字額が12倍に増えている。また中東諸国との収支は13兆7000億円の赤字。10年度に比べると、赤字額は約6割増えた。
輸入面で問題となっているのは、原発の停止を補うための火力発電用の燃料。13年度の鉱物性燃料の輸入額は28兆4000億円。10年度に比べ、ちょうど10兆円増加した。なかで原油・粗油は約5割、LNGは2倍の伸びを示している。とにかく1年間で14兆円に近いおカネが海外に流出している。消費増税による税収の増加分4兆5000億円に比べれば、その大きさが実感できるだろう。
≪24日の日経平均 = 下げ -141.28円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
◇ エネルギー計画は闇の中 = 東日本大震災の前、日本では54基の原発が稼働していた。その当時、発電に使用されたエネルギーの比率は、原子力とLNG(液化天然ガス)がともに29%で最大。再生可能エネルギーは1%にも満たなかった。それが今後はどうなって行くのか。現状では全く判らない。
政府は先ごろの閣議で、新しい「エネルギー基本計画」を決定した。ところが、そこに書かれていたのは「安全性が確認された原発から再起動する」「再生可能エネルギーは、30年には約2割の比率を上回ることを目標にする」の2点だけ。ほかの原油やLNG、水力などの比率については全く言及していない。将来のエネルギー計画とは言えない、お粗末な基本計画になってしまった。
その原因は、原発についての見通しが立たないためである。原発は再稼働されるのか、されないのか。再稼働されるとしたら、いつから何基ぐらいが動き出すのか。それが不明だから、エネルギー計画など作りようがない。仕方がないから現在は、火力発電を増強してしのいでいる始末。このため燃料の輸入が激増、貿易収支は大赤字を出し続けている。
エネルギーの大消費国である日本が、長期間にわたってその調達・供給計画が立てられないというのは異常な事態である。原発の再稼働が想定される限り、再生可能エネルギー産業の将来に確固たるビジョンは立てにくい。そのうえ電力料金の高騰を抑えるため、電力会社の買い取り価格は急速に引き下げられるだろう。政府のエネルギー政策は、破綻に近づいているのではないか。
≪25日の日経平均 = 上げ +24.27円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
☆Please click here ⇒
政府は先ごろの閣議で、新しい「エネルギー基本計画」を決定した。ところが、そこに書かれていたのは「安全性が確認された原発から再起動する」「再生可能エネルギーは、30年には約2割の比率を上回ることを目標にする」の2点だけ。ほかの原油やLNG、水力などの比率については全く言及していない。将来のエネルギー計画とは言えない、お粗末な基本計画になってしまった。
その原因は、原発についての見通しが立たないためである。原発は再稼働されるのか、されないのか。再稼働されるとしたら、いつから何基ぐらいが動き出すのか。それが不明だから、エネルギー計画など作りようがない。仕方がないから現在は、火力発電を増強してしのいでいる始末。このため燃料の輸入が激増、貿易収支は大赤字を出し続けている。
エネルギーの大消費国である日本が、長期間にわたってその調達・供給計画が立てられないというのは異常な事態である。原発の再稼働が想定される限り、再生可能エネルギー産業の将来に確固たるビジョンは立てにくい。そのうえ電力料金の高騰を抑えるため、電力会社の買い取り価格は急速に引き下げられるだろう。政府のエネルギー政策は、破綻に近づいているのではないか。
≪25日の日経平均 = 上げ +24.27円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
☆Please click here ⇒
第16章 失業率って、なんだろう? ⑬
◇ 株価と失業率の不思議な関係 = アメリカではここ数年、雇用統計に大きな関心が集まっています。というのも雇用統計の結果、あるいは事前の予測でさえも、株価を大きく動かすことが多いからです。しかも失業率が下がったのに株価は下落。こんな奇妙な現象もしばしば生じています。なぜでしょう。
08年秋に起こったリーマン・ショックによる不況を克服するため、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は徹底的な金融緩和政策を断行しました。金利をゼロ近くにまで下げ、さらに市場から大量の国債などを買い入れることで、巨額の現金を民間に供給したのです。当時の失業率は10%に届きそうな高さ。FRBは「失業率が6.5%に下がるまではゼロ金利政策を止めない」と宣言しました。
こうした金融緩和政策の効果もあって、アメリカの景気は回復。株価も史上最高値に近い水準で推移しています。しかし景気が良くなれば、金融緩和は必要がなくなる。だから雇用統計の結果がいいと、金融緩和政策は縮小される。すると株式市場への資金流入も減少する。株式は売りという考え方が強まってしまったのです。
実例をみてみましょう。アメリカ労働省は今月4日、3月の雇用統計を発表しました。その内容は、失業率は6.7%で前月と変わらず。農業を除いた雇用者数は19万2000人と、予測を上回って増加したのです。本来ならばアメリカ経済の順調な回復ぶりが好感されて、株価は上がるはずですね。ところが4日のダウ平均株価は160ドルも下げてしまいました。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 株価と失業率の不思議な関係 = アメリカではここ数年、雇用統計に大きな関心が集まっています。というのも雇用統計の結果、あるいは事前の予測でさえも、株価を大きく動かすことが多いからです。しかも失業率が下がったのに株価は下落。こんな奇妙な現象もしばしば生じています。なぜでしょう。
08年秋に起こったリーマン・ショックによる不況を克服するため、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は徹底的な金融緩和政策を断行しました。金利をゼロ近くにまで下げ、さらに市場から大量の国債などを買い入れることで、巨額の現金を民間に供給したのです。当時の失業率は10%に届きそうな高さ。FRBは「失業率が6.5%に下がるまではゼロ金利政策を止めない」と宣言しました。
こうした金融緩和政策の効果もあって、アメリカの景気は回復。株価も史上最高値に近い水準で推移しています。しかし景気が良くなれば、金融緩和は必要がなくなる。だから雇用統計の結果がいいと、金融緩和政策は縮小される。すると株式市場への資金流入も減少する。株式は売りという考え方が強まってしまったのです。
実例をみてみましょう。アメリカ労働省は今月4日、3月の雇用統計を発表しました。その内容は、失業率は6.7%で前月と変わらず。農業を除いた雇用者数は19万2000人と、予測を上回って増加したのです。本来ならばアメリカ経済の順調な回復ぶりが好感されて、株価は上がるはずですね。ところが4日のダウ平均株価は160ドルも下げてしまいました。
(続きは来週日曜日)
☆Please click here ⇒
◇ 消化不良と先行き不透明 = 東京市場の株価は、方向感を見失った。午前中は上げても午後になると下落する日が続いて、日経平均は先週87円の値下がり。頼みの綱の企業業績は増益基調ではあるものの、減益となった企業も少なくない。そのうえ今後の見通しについて、経営者からは元気な発言があまり出てこない。やはり消費増税の影響を見極めないとという空気が、市場の底に淀んでいる。
最大のイベントだった日米首脳による共同声明。その中核であるTPP(環太平洋経済連携協定)は、非常に曖昧模糊とした決着となった。一般の国民もそうだったろうが、市場もこの結末を全く消化できなかった。今週は残りの決算発表と、増税後の経済指標を注視して行くしかない。
ダウ平均は先週22ドルの値下がり。少しずつ水準を切り上げていたが、週末になってウクライナ国境に展開するロシア軍が戦闘態勢に入ったというニュースが出て急落した。こちらも根底には、企業業績の先行きに対する不安がある。このような日米の市況を見ていると、アメリカの「Sell in May,and go away」、日本の「鯉のぼりを見たら、株は売れ」という相場格言をついつい思い出してしまう。
今週は28日に、3月の商業販売統計。30日に、3月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、4月の新車販売台数。2日に、3月の労働力調査と家計調査。アメリカでは28日に、3月の中古住宅販売。29日に、2月のSPケースシラー住宅価格と4月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。3日には、1-3月期のGDP速報。1日に、4月のISM製造業PMI。2日には、4月の雇用統計が発表される。また中国が1日に、4月の製造業PMI。3日に、4月の非製造業PMIを発表の予定。
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
最大のイベントだった日米首脳による共同声明。その中核であるTPP(環太平洋経済連携協定)は、非常に曖昧模糊とした決着となった。一般の国民もそうだったろうが、市場もこの結末を全く消化できなかった。今週は残りの決算発表と、増税後の経済指標を注視して行くしかない。
ダウ平均は先週22ドルの値下がり。少しずつ水準を切り上げていたが、週末になってウクライナ国境に展開するロシア軍が戦闘態勢に入ったというニュースが出て急落した。こちらも根底には、企業業績の先行きに対する不安がある。このような日米の市況を見ていると、アメリカの「Sell in May,and go away」、日本の「鯉のぼりを見たら、株は売れ」という相場格言をついつい思い出してしまう。
今週は28日に、3月の商業販売統計。30日に、3月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、4月の新車販売台数。2日に、3月の労働力調査と家計調査。アメリカでは28日に、3月の中古住宅販売。29日に、2月のSPケースシラー住宅価格と4月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。3日には、1-3月期のGDP速報。1日に、4月のISM製造業PMI。2日には、4月の雇用統計が発表される。また中国が1日に、4月の製造業PMI。3日に、4月の非製造業PMIを発表の予定。
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
◇ 自信満々の紙面作り = 世界中が注視した日米首脳会談。最重要議題のTPP(環太平洋経済連携協定)で話し合いがまとまらず、オバマ大統領が離日する直前に共同声明が公表されるという異例な事態となった。その共同声明ではTPPについて「本日、両国はTPPに関する2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と書かれている。
何やら意味ありげな文面だが、具体的なことは判らない。確かなことは、共同声明に「合意した」とは書かれていない点だ。要するに、両首脳の指示を受けて甘利TPP相とフロマン代表が徹夜で交渉したが「合意」には至らなかったとしか解釈の仕様がない。そこで25日の夕刊各紙は、たとえば朝日が「日米合意見送り、溝は埋まらず」。日経は「合意見送り、前進の道筋確認」などと報じた。
ところが読売だけは違った。「日米、TPP実質合意}とぶち上げたのである。あくる26日の朝刊も、朝日は「TPP妥結見通せず」、日経は「協議を継続」と前日夕刊の延長線上で続報した。これに対し、読売は「実質合意、TPP妥結へ期待」と、実質合意を前提として報道している。
さらに驚いたことに、読売は「交渉舞台裏」という解説記事で「甘利、フロマンの2人は主要論点のすべてで折り合った」という交渉筋の証言を紹介。共同声明に「大筋合意」の文言を入れなかったのは、27日に投開票される衆院鹿児島2区補欠選挙への悪影響を懸念した日本側の要請によるものだと説明している。大新聞がこれだけ書き込むのは、並大抵の自信ではない。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 下げ -141.03円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
何やら意味ありげな文面だが、具体的なことは判らない。確かなことは、共同声明に「合意した」とは書かれていない点だ。要するに、両首脳の指示を受けて甘利TPP相とフロマン代表が徹夜で交渉したが「合意」には至らなかったとしか解釈の仕様がない。そこで25日の夕刊各紙は、たとえば朝日が「日米合意見送り、溝は埋まらず」。日経は「合意見送り、前進の道筋確認」などと報じた。
ところが読売だけは違った。「日米、TPP実質合意}とぶち上げたのである。あくる26日の朝刊も、朝日は「TPP妥結見通せず」、日経は「協議を継続」と前日夕刊の延長線上で続報した。これに対し、読売は「実質合意、TPP妥結へ期待」と、実質合意を前提として報道している。
さらに驚いたことに、読売は「交渉舞台裏」という解説記事で「甘利、フロマンの2人は主要論点のすべてで折り合った」という交渉筋の証言を紹介。共同声明に「大筋合意」の文言を入れなかったのは、27日に投開票される衆院鹿児島2区補欠選挙への悪影響を懸念した日本側の要請によるものだと説明している。大新聞がこれだけ書き込むのは、並大抵の自信ではない。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 下げ -141.03円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
| ホーム |