◇ EU離脱の国民投票も = ギリシャ政府が大変な苦境に陥っていることは確かである。財政改革を進めなければ、EUやIMFから融資を受けられない。だが緊縮財政を断行すれば、内閣の存続が危うくなる。前にも後ろにも進めず、身動きがとれない。だから財務相会議でも、はっきりした受け答えができなかった。だが迷っているうちにも、状況は刻々と悪化して行く。
デフォルトへの心配が強まり、国内銀行が保有する預金残高は急速に減りつつある。不況の進行で、不良債権は激増している。10年もの国債の金利は13%に、3年ものは30%近くに上昇。これでは国債の発行そのものが不可能だ。チプラス内閣の支持率も、この1か月で72%から38%に下落した。
そんななかで最近ささやかれ始めたのが、総選挙あるいは国民投票の実施説。再び議会を解散して国民に信を問う。その結果、現政権が負ければEUの指示に従い緊縮財政を実行する新政権が国政を担う。勝てば反緊縮を貫き、EUからの支援は断念する。この場合はデフォルトの可能性が、限りなく高まるだろう。
国民投票はもっとストレートに、EU離脱の是非を問うものになる。もし離脱が決まれば、ギリシャはユーロ圏からもはずれる。かつての自国通貨ドラクマを発行することになるだろう。もっともギリシャがここまで覚悟すれば、EU側も態度を和らげるかもしれない、という読みが働いているのかもしれない。いずれにしても5月11日が、ギリシャの命運を決定する日になりそうである。
≪30日の日経平均 = 下げ -538.94円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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デフォルトへの心配が強まり、国内銀行が保有する預金残高は急速に減りつつある。不況の進行で、不良債権は激増している。10年もの国債の金利は13%に、3年ものは30%近くに上昇。これでは国債の発行そのものが不可能だ。チプラス内閣の支持率も、この1か月で72%から38%に下落した。
そんななかで最近ささやかれ始めたのが、総選挙あるいは国民投票の実施説。再び議会を解散して国民に信を問う。その結果、現政権が負ければEUの指示に従い緊縮財政を実行する新政権が国政を担う。勝てば反緊縮を貫き、EUからの支援は断念する。この場合はデフォルトの可能性が、限りなく高まるだろう。
国民投票はもっとストレートに、EU離脱の是非を問うものになる。もし離脱が決まれば、ギリシャはユーロ圏からもはずれる。かつての自国通貨ドラクマを発行することになるだろう。もっともギリシャがここまで覚悟すれば、EU側も態度を和らげるかもしれない、という読みが働いているのかもしれない。いずれにしても5月11日が、ギリシャの命運を決定する日になりそうである。
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◇ 責任は誰もとらない = 太陽光発電を電力会社に強制買い取りさせる制度は、その設計が杜撰だったために破綻した。結果的に太陽光発電への新規参入は難しくなり、地方自治体や関連企業は計画の見直しを迫られている。再生可能エネルギー全体の将来見通しも、不透明になってしまった。その一方で、企業や家庭向けの電気料金は今後とも上昇を免れない。この責任は誰が負うのか。
再生エネルギー買い取り法案は11年4月に国会へ提出され、同年8月に成立した。いずれも民主党の菅内閣時代である。このため自民党のなかには「責任は民主党」という声もある。これに対して民主党は「自民党内閣になってからの運用が悪かった」と反論する。しかし、この法案は衆参両院とも全会一致で可決されていることを忘れてはならない。
法案の作成に当たったのは、経済産業省と資源エネルギー庁だ。その後の過程で行き当たりばったりの対策を講じて、混乱を大きくしたのも経産省とエネ庁である。民間企業なら。担当者はとっくに左遷されているだろう。そのお役人たちは「有識者の会議で決めたこと」と責任逃れの口実を、ちゃんと作っている。
「初めてのことで試行錯誤になった」という言い訳は利かない。ドイツとスペインという前例があったからだ。ドイツとスペインは日本より3年ほど早く買い取り制を導入。電気料金が高くなりすぎて、やはり挫折した。こんなお手本があったにもかかわらず、日本は前車の轍を踏んでしまったのである。
(続きは来週サタデー)
≪1日の日経平均 = 上げ +11.62円≫
【今週の日経平均予想 =3勝1敗】
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再生エネルギー買い取り法案は11年4月に国会へ提出され、同年8月に成立した。いずれも民主党の菅内閣時代である。このため自民党のなかには「責任は民主党」という声もある。これに対して民主党は「自民党内閣になってからの運用が悪かった」と反論する。しかし、この法案は衆参両院とも全会一致で可決されていることを忘れてはならない。
法案の作成に当たったのは、経済産業省と資源エネルギー庁だ。その後の過程で行き当たりばったりの対策を講じて、混乱を大きくしたのも経産省とエネ庁である。民間企業なら。担当者はとっくに左遷されているだろう。そのお役人たちは「有識者の会議で決めたこと」と責任逃れの口実を、ちゃんと作っている。
「初めてのことで試行錯誤になった」という言い訳は利かない。ドイツとスペインという前例があったからだ。ドイツとスペインは日本より3年ほど早く買い取り制を導入。電気料金が高くなりすぎて、やはり挫折した。こんなお手本があったにもかかわらず、日本は前車の轍を踏んでしまったのである。
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【今週の日経平均予想 =3勝1敗】
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第4章 物価って、なんだろう? ⑤
◇ 原料や材料のコスト = 物価が上がったり下がったりする原因は、ほかにもあります。たとえば商品を作るのに必要な原料や材料が値上がりしたり、値下がりした場合です。砂糖の値段がうんと上がったとき、お菓子屋さんは大福もちやケーキを値上げしないと、いくら売れてももうかりません。
逆に砂糖の値段が下がったときには、作ったお菓子を値下げするでしょう。値下げしないと、よその値下げしたお店の方が安くなってしまい、売れ行きが悪くなるからです。このように、商品を作るのに必要な原料や材料の価格を、原材料コストと言います。
砂糖の値段が上がる原因は、世界中で砂糖に対する需要が高まったり、砂糖きびの生育が悪くて供給が減った場合です。この意味では、お菓子屋さんを悩ませる砂糖の価格変動も、元を正せば需要と供給にたどりつくと言えるでしょう。
商品の値段は、地域によっても違うことが多いのです。たとえば魚や野菜は生産された場所の近所では安く、遠くになるほど高くなるのがふつうです。この理由はもう判りますね。そう、商品を遠くに運ぶために運送料がかかるからです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 原料や材料のコスト = 物価が上がったり下がったりする原因は、ほかにもあります。たとえば商品を作るのに必要な原料や材料が値上がりしたり、値下がりした場合です。砂糖の値段がうんと上がったとき、お菓子屋さんは大福もちやケーキを値上げしないと、いくら売れてももうかりません。
逆に砂糖の値段が下がったときには、作ったお菓子を値下げするでしょう。値下げしないと、よその値下げしたお店の方が安くなってしまい、売れ行きが悪くなるからです。このように、商品を作るのに必要な原料や材料の価格を、原材料コストと言います。
砂糖の値段が上がる原因は、世界中で砂糖に対する需要が高まったり、砂糖きびの生育が悪くて供給が減った場合です。この意味では、お菓子屋さんを悩ませる砂糖の価格変動も、元を正せば需要と供給にたどりつくと言えるでしょう。
商品の値段は、地域によっても違うことが多いのです。たとえば魚や野菜は生産された場所の近所では安く、遠くになるほど高くなるのがふつうです。この理由はもう判りますね。そう、商品を遠くに運ぶために運送料がかかるからです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 月末の大幅安をどうみるか = 日経平均は先週30日、突然539円の大幅安となった。ことしになって最大、1年3か月ぶりの下げ幅である。きっかけはアメリカの1-3月期GDP速報値が年率0.2%の増加に急減速したこと。ギリシャの金融不安再燃なども影響して、利益確定売りが集中した。この結果、日経平均は週間488円の値下がり。
ところがGDP速報値の発表があった29日、ダウ平均は75ドルしか下げていない。むしろ日経平均の大幅安を受けて、あくる30日に195ドル下落している。週間では56ドルの値下がり。東京市場の方が過剰に反応した形となった。このため市場関係者の間では、またまた「5月は売り」の声が囁かれている。だが一昨年5月の株価は86円の下げ、昨年5月は328円の上げ。ここ2年間でみる限り、この格言は通用していない。
「5月は売り」の最大の原因は、企業経営者が年度の初めで慎重な見通しを打ち出すことにある。ことしも、その傾向が強い。日経新聞が4月中に決算を発表した239社を集計したところ、15年3月期の経常利益は15%増。しかし16年3月期の予想は7%増と控えめだ。慎重になっている最大の理由は、むしろアメリカの景気動向に不安を感じているからではないだろうか。
今週は連休のため、経済統計の発表なし。アメリカでは5日に、3月の貿易統計と4月のISM非製造業景況指数。8日に、4月の雇用統計。中国が8日に、4月の貿易統計。9日に、4月の消費者物価と生産者物価を発表する。またイギリスでは7日に、総選挙が実施される。
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ところがGDP速報値の発表があった29日、ダウ平均は75ドルしか下げていない。むしろ日経平均の大幅安を受けて、あくる30日に195ドル下落している。週間では56ドルの値下がり。東京市場の方が過剰に反応した形となった。このため市場関係者の間では、またまた「5月は売り」の声が囁かれている。だが一昨年5月の株価は86円の下げ、昨年5月は328円の上げ。ここ2年間でみる限り、この格言は通用していない。
「5月は売り」の最大の原因は、企業経営者が年度の初めで慎重な見通しを打ち出すことにある。ことしも、その傾向が強い。日経新聞が4月中に決算を発表した239社を集計したところ、15年3月期の経常利益は15%増。しかし16年3月期の予想は7%増と控えめだ。慎重になっている最大の理由は、むしろアメリカの景気動向に不安を感じているからではないだろうか。
今週は連休のため、経済統計の発表なし。アメリカでは5日に、3月の貿易統計と4月のISM非製造業景況指数。8日に、4月の雇用統計。中国が8日に、4月の貿易統計。9日に、4月の消費者物価と生産者物価を発表する。またイギリスでは7日に、総選挙が実施される。
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◇ ムードが一変する可能性 = アメリカでは1-3月期のGDP成長率が年率0.2%にまで急低下して、大きな波紋を生じている。この季節にはいろいろ悪条件が重なったため、成長率は1%程度に減速すると予想されていた。しかし予想を大きく下回ったことから、アメリカ経済の先行きを不安視する見方も台頭している。
悪条件というのは、ドル高と原油安。それに東部を襲った大寒波、西部の港湾ストなど。米商務省が発表したGDPの内容をみると、個人消費は前期の4.4%増から1.9%増へ鈍化。設備投資は3.4%減、輸出は7.2%減へと縮小した。特にドル高、寒波、港湾ストの影響を受けた輸出の減少ぶりが大きい。
こうした経済の停滞を反映して、1-3月期は雇用情勢の改善も一休みとなった。景気の回復を反映して毎月25万人のペースで増加してきた農業を除く雇用者の増加数は、3月になると12万6000人に急減。関係者を驚かせた。しかし寒波と港湾ストはすでに消滅、ドル高はストップ、原油価格は反騰に転じている。したがって4月以降は、雇用の改善も元のペースに戻るという見方は強い。
仮に4月の雇用者増加数が20万人を超えれば、この楽観論が力を得ることになるだろう。4-6月期のGDP成長率も2-3%に回復するという予想が強まるに違いない。だが反対に雇用者の増加数が20万人を下回ると、景気の先行きに対する悲観論が広まる可能性が高くなる。重要性がいつにも増して強まった4月の雇用統計は8日に発表される。
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悪条件というのは、ドル高と原油安。それに東部を襲った大寒波、西部の港湾ストなど。米商務省が発表したGDPの内容をみると、個人消費は前期の4.4%増から1.9%増へ鈍化。設備投資は3.4%減、輸出は7.2%減へと縮小した。特にドル高、寒波、港湾ストの影響を受けた輸出の減少ぶりが大きい。
こうした経済の停滞を反映して、1-3月期は雇用情勢の改善も一休みとなった。景気の回復を反映して毎月25万人のペースで増加してきた農業を除く雇用者の増加数は、3月になると12万6000人に急減。関係者を驚かせた。しかし寒波と港湾ストはすでに消滅、ドル高はストップ、原油価格は反騰に転じている。したがって4月以降は、雇用の改善も元のペースに戻るという見方は強い。
仮に4月の雇用者増加数が20万人を超えれば、この楽観論が力を得ることになるだろう。4-6月期のGDP成長率も2-3%に回復するという予想が強まるに違いない。だが反対に雇用者の増加数が20万人を下回ると、景気の先行きに対する悲観論が広まる可能性が高くなる。重要性がいつにも増して強まった4月の雇用統計は8日に発表される。
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◇ 消費増税の影響くっきり = 統計の面からみる限り、1-3月期の小売業は悪戦苦闘だった。経済産業省の集計によると、1-3月期の卸売業と小売業を合計した商業全体の販売額は114兆9620億円で前年比5.1%の減少。このうち小売業は34兆6110億円で4.8%の減少となっている。昨年1-3月期には消費増税前の駆け込み需要があったために、前年比はどうしても減少してしまうわけだ。
小売業の販売額を業態別にみると、大型小売店は4兆9350億円。前年比は3.9%の減少だった。このうちデパートは1兆6945億円で6.9%の減少。スーパーも3兆2405億円で2.3%減少した。こうしたなかで気を吐いたのがコンビニ。販売額は2兆5343兆円、前年を5.0%上回っている。
コンビニの健闘は商品やサービスを充実させたことにもよるが、消費増税の影響を受けにくかった点が大きい。つまり衣類や機械器具などは駆け込み需要の反動が大きく、デパートやスーパーはその分の落ち込みをカバーできなかった。これに対してコンビニは、駆け込みの対象となる商品が少なかったと言えるだろう。
さて、昨年4月以降は駆け込み需要の反動で、小売業の売り上げは減少した。したがって、ことしの4月以降は前年比でみた販売額は増加するはずである。各業態の増加率がどこまで伸びるか。影響が少なかったコンビニの勢いは続くのかどうか。景気の先行きを占うためにも、4月分の統計に注目が集まっている。
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小売業の販売額を業態別にみると、大型小売店は4兆9350億円。前年比は3.9%の減少だった。このうちデパートは1兆6945億円で6.9%の減少。スーパーも3兆2405億円で2.3%減少した。こうしたなかで気を吐いたのがコンビニ。販売額は2兆5343兆円、前年を5.0%上回っている。
コンビニの健闘は商品やサービスを充実させたことにもよるが、消費増税の影響を受けにくかった点が大きい。つまり衣類や機械器具などは駆け込み需要の反動が大きく、デパートやスーパーはその分の落ち込みをカバーできなかった。これに対してコンビニは、駆け込みの対象となる商品が少なかったと言えるだろう。
さて、昨年4月以降は駆け込み需要の反動で、小売業の売り上げは減少した。したがって、ことしの4月以降は前年比でみた販売額は増加するはずである。各業態の増加率がどこまで伸びるか。影響が少なかったコンビニの勢いは続くのかどうか。景気の先行きを占うためにも、4月分の統計に注目が集まっている。
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◇ 10年ぶりの売れ行き = アメリカでは景気の先行きに不透明感が広がるなかで、新車の販売が好調を持続している。オートデータ社の集計によると、4月の販売台数は145万4951台。前年同月を4.6%上回り、4月としては10年ぶりの高水準を記録した。特に高級車、小型トラック、SUV(多目的スポーツ車)の売れ行きがいい。
こうした車種はアメリカのメーカーが多く造っている。このためGM,フォード、FCAUS(旧クライスラー)などは軒並み6%前後の伸び。日本車では日産が健闘したが、トヨタやホンダはあまり振るわなかった。新車の販売が好調を維持しているのは、主としてガソリンが値下がりしたため。ガソリンを多量に消費する高級車・大型車が売れた半面、省エネ車や小型車に対する関心は薄れる結果となっている。
一方、日本国内の新車販売は停滞気味。関係団体の集計によると、4月の販売台数は31万9482台で前年を7.5%下回った。昨年4月は消費増税前の駆け込みに対する反動で、販売台数が落ち込んでいる。その水準に比べても、ことしの4月はさらに減少したわけだ。特に軽自動車の凋落が目立っている。
軽自動車の4月の販売台数は12万1111台だった。これは前年同月より22.5%も少ない。最大の原因は、この4月から軽自動車税が年間1万0800円に引き上げられたこと。この増税を見込んだ3月までの駆け込み需要の反動が出た。またガソリンの値下がりも、消費量が少ない軽自動車にはあまり効果がない。業界では、反動減がいつまで続くのかに関心を強めている。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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こうした車種はアメリカのメーカーが多く造っている。このためGM,フォード、FCAUS(旧クライスラー)などは軒並み6%前後の伸び。日本車では日産が健闘したが、トヨタやホンダはあまり振るわなかった。新車の販売が好調を維持しているのは、主としてガソリンが値下がりしたため。ガソリンを多量に消費する高級車・大型車が売れた半面、省エネ車や小型車に対する関心は薄れる結果となっている。
一方、日本国内の新車販売は停滞気味。関係団体の集計によると、4月の販売台数は31万9482台で前年を7.5%下回った。昨年4月は消費増税前の駆け込みに対する反動で、販売台数が落ち込んでいる。その水準に比べても、ことしの4月はさらに減少したわけだ。特に軽自動車の凋落が目立っている。
軽自動車の4月の販売台数は12万1111台だった。これは前年同月より22.5%も少ない。最大の原因は、この4月から軽自動車税が年間1万0800円に引き上げられたこと。この増税を見込んだ3月までの駆け込み需要の反動が出た。またガソリンの値下がりも、消費量が少ない軽自動車にはあまり効果がない。業界では、反動減がいつまで続くのかに関心を強めている。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 地方創生の一手段に = 総務省が4月1日時点で推計した15歳未満の子ども人口は1617万人。34年連続で減少した。総人口に占める比率も12.7%に低下している。地域別にみると、増加したのは東京都だけ。福岡県と沖縄県は増減なしだったが、あとの44道府県はすべて減少。少子化の進行が明確に表れてきている。
なかでも深刻なのが秋田県。子ども人口は112万人、人口比は10.8%で全国最低になった。総務省が先ごろ発表した昨年10月時点の人口推計をみると、人口がいちばん増加したのは東京都。いちばん減少したのは秋田県だった。要するに大人が増えれば子どもの数も増え、減れば減ってしまうということだろう。
いま政府は、地方創生のための政策作りを急いでいる。その中核は、各地方の特産品を売り出すことのようだ。秋田県にもいろいろあるだろうが、忘れてならない“特産品”は教育だ。小中学生を対象にした全国学力テストでは、毎年のように好成績を挙げている。ここに注目して、秋田県を「教育特区」にしたらどうだろう。
小中学生に対する教育をもっと進化させると同時に、それぞれ法律・経済・科学・医療・芸術・スポーツを重視した高校を設立。全国から生徒を勧誘する。家族ぐるみの移住も歓迎したらいい。それにはカネもかかるが、まず秋田県が方針を決めることが先決だ。そのうえで、政府に「特区」指定を迫ったらいい。
≪7日の日経平均 = 下げ -239.64円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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なかでも深刻なのが秋田県。子ども人口は112万人、人口比は10.8%で全国最低になった。総務省が先ごろ発表した昨年10月時点の人口推計をみると、人口がいちばん増加したのは東京都。いちばん減少したのは秋田県だった。要するに大人が増えれば子どもの数も増え、減れば減ってしまうということだろう。
いま政府は、地方創生のための政策作りを急いでいる。その中核は、各地方の特産品を売り出すことのようだ。秋田県にもいろいろあるだろうが、忘れてならない“特産品”は教育だ。小中学生を対象にした全国学力テストでは、毎年のように好成績を挙げている。ここに注目して、秋田県を「教育特区」にしたらどうだろう。
小中学生に対する教育をもっと進化させると同時に、それぞれ法律・経済・科学・医療・芸術・スポーツを重視した高校を設立。全国から生徒を勧誘する。家族ぐるみの移住も歓迎したらいい。それにはカネもかかるが、まず秋田県が方針を決めることが先決だ。そのうえで、政府に「特区」指定を迫ったらいい。
≪7日の日経平均 = 下げ -239.64円≫
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◇ ドイツとスペインの教訓 = 太陽光発電の将来性に最も早く着目したのは、ドイツとスペインだった。ドイツは2000年に、スペインは1994年に普及制度の構築を始めている。特にドイツは04年に電力会社による買い取り価格を大幅に引き上げ、05年には発電量が日本を抜いて世界一になった。07年末の発電量は386万㌔㍗、03年の9倍になっている。その当時のスペインの発電量は180万㌔㍗だった。
東日本大震災のあと、ドイツは「脱原発」の長期的な方針を決定。太陽光発電を、20年には電源の35%に高める目標を打ち出した。このため買い取り価格を急速に引き上げ、12年5月には2200万㌔㍗、原発20基分の発電量を記録している。ところが電力会社の買い取りコストを電気料金に上乗せすることから、たとえば14年の家庭向け電気料金は1㌔㍗時当たり6.24ユーロ。日本円に換算すると、年間2万8392円にまで上昇してしまった。
このため国民の不満が爆発。政府も12年6月、法律を修正して政策を大転換。太陽光発電の増加を抑制することになった。固定価格で20年間の買い取りを保証する制度を撤廃、さらに買い取り価格を1-2か月で見直し引き下げるという荒療治。これによってドイツの太陽光ブームは終焉した。スペインでも、ほぼ同様の経過を辿っている。
日本の買い取り制度は、ほとんどドイツのシステムを取り入れている。だから3年ほど遅れて、ドイツと同じ問題を惹き起こしてしまった。だが日本が本格的な買い取り制度を導入したころ、ドイツではすでに欠陥に気付いて修正作業が始まっていた。そのうえ太陽光発電の普及を急ぐあまり、当初の買い取り価格はドイツよりも高く設定している。経済産業省は、ドイツやスペインの教訓を全く無視してしまった。
(続きは来週サタデー)
≪8日の日経平均 = 上げ +87.20円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝0敗】
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東日本大震災のあと、ドイツは「脱原発」の長期的な方針を決定。太陽光発電を、20年には電源の35%に高める目標を打ち出した。このため買い取り価格を急速に引き上げ、12年5月には2200万㌔㍗、原発20基分の発電量を記録している。ところが電力会社の買い取りコストを電気料金に上乗せすることから、たとえば14年の家庭向け電気料金は1㌔㍗時当たり6.24ユーロ。日本円に換算すると、年間2万8392円にまで上昇してしまった。
このため国民の不満が爆発。政府も12年6月、法律を修正して政策を大転換。太陽光発電の増加を抑制することになった。固定価格で20年間の買い取りを保証する制度を撤廃、さらに買い取り価格を1-2か月で見直し引き下げるという荒療治。これによってドイツの太陽光ブームは終焉した。スペインでも、ほぼ同様の経過を辿っている。
日本の買い取り制度は、ほとんどドイツのシステムを取り入れている。だから3年ほど遅れて、ドイツと同じ問題を惹き起こしてしまった。だが日本が本格的な買い取り制度を導入したころ、ドイツではすでに欠陥に気付いて修正作業が始まっていた。そのうえ太陽光発電の普及を急ぐあまり、当初の買い取り価格はドイツよりも高く設定している。経済産業省は、ドイツやスペインの教訓を全く無視してしまった。
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第4章 物価って、なんだろう? ⑥
◇ 卸売り業と小売り業 = 町のスーパーや電気屋さんの店先には、いろんな品物が並んでいますね。お母さんは毎日、買い物をしています。あなた自身も買い物をするでしょう。このように、家庭で使うものを売っているお店のことを「小売り店」と言います。
小売り店に並んだたくさんの商品は、みな遠くから運ばれてきました。たとえば海で獲れた魚は、港にある市場に運ばれます。そこで魚を買った人は、トラックで大きな町にある市場へ運びます。みなさんの家のそばにある魚屋さんは、そこから魚を買ってくるのです。
お米や野菜も同じです。お菓子もそれを作った工場から運ばれてきました。テレビや冷蔵庫などの電気製品も、同じように工場から送られてくるのです。外国から届けられた商品は何か、当ててみてください。
このように、町の小売り店に品物が並ぶまでには、たくさんの人が働いて品物を運んでいます。この段階の仕事を「卸売り業(おろしうりぎょう)」と呼んでいます。卸売り業は、小売り店からの注文を生産する人に伝えたり、生産者から品物を買って小売り店に届ける仕事だと覚えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ 卸売り業と小売り業 = 町のスーパーや電気屋さんの店先には、いろんな品物が並んでいますね。お母さんは毎日、買い物をしています。あなた自身も買い物をするでしょう。このように、家庭で使うものを売っているお店のことを「小売り店」と言います。
小売り店に並んだたくさんの商品は、みな遠くから運ばれてきました。たとえば海で獲れた魚は、港にある市場に運ばれます。そこで魚を買った人は、トラックで大きな町にある市場へ運びます。みなさんの家のそばにある魚屋さんは、そこから魚を買ってくるのです。
お米や野菜も同じです。お菓子もそれを作った工場から運ばれてきました。テレビや冷蔵庫などの電気製品も、同じように工場から送られてくるのです。外国から届けられた商品は何か、当ててみてください。
このように、町の小売り店に品物が並ぶまでには、たくさんの人が働いて品物を運んでいます。この段階の仕事を「卸売り業(おろしうりぎょう)」と呼んでいます。卸売り業は、小売り店からの注文を生産する人に伝えたり、生産者から品物を買って小売り店に届ける仕事だと覚えておいてください。
(続きは来週日曜日)
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◇ イエレン議長の警告 = ニューヨーク株式市場は冷水を浴びたあと、温水プールに浸かって一息ついた。冷水はイエレンFRB議長が6日に発した警告めいた一言。アメリカの株式市場について「かなり高い水準にある」と論評した。FRB議長としては異例とも言えるストレートな発言である。そのあと8日に発表された4月の雇用統計が堅調さを取り戻したため、株価は大幅に反発した。
イエレン議長の発言は、連休明けのタイミングで東京市場に伝わった。その半面、雇用統計の方は土曜日にならないと判明しない。このため日経平均は先週、2営業日で152円の値下がりとなった。逆にダウ平均は週間167ドルの値上がり。こうした時差の要因から、今週の東京市場は反発のエネルギーを抱えて始まることになる。
イギリスの総選挙は、予想に反してキャメロン首相が率いる保守党が単独過半数を獲得した。この結果、当面はイギリスの政局を心配する必要はなくなった。国際情勢で残るのはギリシャ問題。今週11日にはユーロ圏の財務相会議が開かれる。この場でギリシャ側が十分な財政再建案を提示できないと、またまたギリシャ発の金融不安が再燃するだろう。
今週は12日に、3月の景気動向指数。13日に、3月の国際収支と4月の景気ウォッチャー調査。15日に、4月の企業物価と消費者態度指数。アメリカでは13日に、4月の小売り売上高。14日に、4月の生産者物価。15日に、4月の工業生産と5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、4月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが13日に、1-3月期のGDP速報を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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イエレン議長の発言は、連休明けのタイミングで東京市場に伝わった。その半面、雇用統計の方は土曜日にならないと判明しない。このため日経平均は先週、2営業日で152円の値下がりとなった。逆にダウ平均は週間167ドルの値上がり。こうした時差の要因から、今週の東京市場は反発のエネルギーを抱えて始まることになる。
イギリスの総選挙は、予想に反してキャメロン首相が率いる保守党が単独過半数を獲得した。この結果、当面はイギリスの政局を心配する必要はなくなった。国際情勢で残るのはギリシャ問題。今週11日にはユーロ圏の財務相会議が開かれる。この場でギリシャ側が十分な財政再建案を提示できないと、またまたギリシャ発の金融不安が再燃するだろう。
今週は12日に、3月の景気動向指数。13日に、3月の国際収支と4月の景気ウォッチャー調査。15日に、4月の企業物価と消費者態度指数。アメリカでは13日に、4月の小売り売上高。14日に、4月の生産者物価。15日に、4月の工業生産と5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、4月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが13日に、1-3月期のGDP速報を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ さまざまな解釈が飛び交う = FRBのイエレン議長は先週6日、ワシントンでIMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事と対談。そのなかで現在の株式市場に話が及ぶと「概して高い水準だ」と明言した。中央銀行のトップとしては、かなり異例な発言。日米の株価も“敬意を表する”形で下落している。だが、この発言を巡っては解釈もさまざま。その真意についての論争は、当分続きそうだ。
FRB議長が株価に言及した例は、ないわけではない。たとえば1996年にITバブルで高騰した株価に、当時のグリーンスパン議長が「根拠なき熱狂だ」と批判した話は有名だ。だが現在のニューヨーク株式市場に、バブル的な感触は少ない。じっさい、ダウ平均は年初来370ドル程度、率にして2%しか上昇していない。
「女性同士の対談で、つい喋ってしまったのでは」という見方もある。しかしイエレン女史の性格からして、そんな可能性は小さいだろう。むしろ周到に準備したうえでの発言に思える。「株価が早く上がってしまうと、利上げの時期も早くなる。長期失業者数など雇用の内容が十分に改善していないので、それは避けたい」との意思表示? 否定はできないが、やや説得力に欠ける。
ニューヨーク市場では最近、低格付けの債券に資金が流入している。これに対する警鐘という見方もあるが、それなら具体的に言った方が有効だろう。結局は「利上げをしたとき株価が上がりすぎていると、暴落する危険がある。それを避けるための牽制球」という解釈が、最も常識的のようだ。それにしても、利上げの前哨戦が始まったことだけは確かである。
≪11日の日経平均 = 上げ +241.72円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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FRB議長が株価に言及した例は、ないわけではない。たとえば1996年にITバブルで高騰した株価に、当時のグリーンスパン議長が「根拠なき熱狂だ」と批判した話は有名だ。だが現在のニューヨーク株式市場に、バブル的な感触は少ない。じっさい、ダウ平均は年初来370ドル程度、率にして2%しか上昇していない。
「女性同士の対談で、つい喋ってしまったのでは」という見方もある。しかしイエレン女史の性格からして、そんな可能性は小さいだろう。むしろ周到に準備したうえでの発言に思える。「株価が早く上がってしまうと、利上げの時期も早くなる。長期失業者数など雇用の内容が十分に改善していないので、それは避けたい」との意思表示? 否定はできないが、やや説得力に欠ける。
ニューヨーク市場では最近、低格付けの債券に資金が流入している。これに対する警鐘という見方もあるが、それなら具体的に言った方が有効だろう。結局は「利上げをしたとき株価が上がりすぎていると、暴落する危険がある。それを避けるための牽制球」という解釈が、最も常識的のようだ。それにしても、利上げの前哨戦が始まったことだけは確かである。
≪11日の日経平均 = 上げ +241.72円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 2年連続で最高益の見通し = 上場企業の決算発表がピークを越えた。日経新聞はこれまでに発表を終えた3月期決算企業の結果をもとに、上場企業1368社全体の利益を推計している。それによると、15年3月期の経常利益は30兆4200億円に達する見通し。この水準は金融危機以前の08年3月期を上回り、7年ぶりに過去最高の高さになる。
SMBC日興証券も、同様の手法で15年3月期の利益を推計した。それによると、1部上場企業の税引き後利益は前期より10%程度増えて20兆円を突破。過去最高の水準になる見通しだ。なかでもトヨタ自動車は税引き後利益が2兆1733億円。前期を19.2%上回っている。
利益の源泉は、円安と原油安。円安で輸出関連企業の利益が膨らんだほか、原油安が製造業だけでなく非製造業のコスト引き下げにもつながった。こうした要因に加えて、今後は賃上げによる消費の増加が内需産業にもプラス効果を与えると期待される。そのため16年3月期についても利益はさらに10%ほど増加し、2年連続の最高益が見込めるとという予想が強い。
ただ新聞や調査機関の予想は上向きだが、個々の企業経営者は慎重な見方を崩していない。その結果、株価の上値は重くなっているのが現状だ。よく言われる「5月は売り」の大きな原因にもなっている。このカベを打破するためには、賃上げによる消費の増加が現実に表れてくることだろう。実際に賃上げがどのくらい進んだのか。焦点はそこにある。
≪12日の日経平均 = 上げ +3.93円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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SMBC日興証券も、同様の手法で15年3月期の利益を推計した。それによると、1部上場企業の税引き後利益は前期より10%程度増えて20兆円を突破。過去最高の水準になる見通しだ。なかでもトヨタ自動車は税引き後利益が2兆1733億円。前期を19.2%上回っている。
利益の源泉は、円安と原油安。円安で輸出関連企業の利益が膨らんだほか、原油安が製造業だけでなく非製造業のコスト引き下げにもつながった。こうした要因に加えて、今後は賃上げによる消費の増加が内需産業にもプラス効果を与えると期待される。そのため16年3月期についても利益はさらに10%ほど増加し、2年連続の最高益が見込めるとという予想が強い。
ただ新聞や調査機関の予想は上向きだが、個々の企業経営者は慎重な見方を崩していない。その結果、株価の上値は重くなっているのが現状だ。よく言われる「5月は売り」の大きな原因にもなっている。このカベを打破するためには、賃上げによる消費の増加が現実に表れてくることだろう。実際に賃上げがどのくらい進んだのか。焦点はそこにある。
≪12日の日経平均 = 上げ +3.93円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 4月の統計に集まる視線 = 日本経済の先行きを予測するうえで、いま最も重要なポイントは実質賃金がプラスになるかどうかだろう。実質賃金がプラスに転じれば、個人消費の増加が期待できる。消費が増えれば景気は上向き、企業は潤沢な手持ち資金を設備投資や人件費に投入する。これが安倍首相が言うところの“経済の好循環”だ。そのスタート台になるかもしれない4月の実質賃金に、いま注目が集中している。
景気の回復を反映して、賃上げは昨年に続いて今春も広範な分野で実施された。経団連が4月に行った第1次集計によると、賃上げ率は2.59%で98年以来の大幅なものとなった。昨年の2.34%をわずかながら上回っている。また連合の調査では、賃上げ幅の平均が6670円。上昇率は2.24%となっている。
財務省も3月から4月にかけて調査した。それによると、15年度に賃上げを行う企業の割合は92.6%で昨年度の91.9%を上回った。特に注目されるのは、中小企業でも89.1%が賃上げを実施すると答えた点だ。大企業だけではなく、中小企業にも賃上げの波が及んでいることを示している。ただ残念なことに、この調査では賃上げ率を聞いていない。
こうした調査からも判るように、昨年度もある程度の賃上げは実施された。ところが毎月勤労統計によると、3月の実質賃金は2.6%の減少。これで23か月連続して前年を下回ってしまった。これでは経済の好循環は始まらない。賃金が増えたのになぜ実質賃金が減ってしまったかというと、それは消費増税によって物価が上昇したためだ。その増税の影響が、この4月からなくなる。その結果、実質賃金はプラスになるのだろうか。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 上げ +139.88円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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景気の回復を反映して、賃上げは昨年に続いて今春も広範な分野で実施された。経団連が4月に行った第1次集計によると、賃上げ率は2.59%で98年以来の大幅なものとなった。昨年の2.34%をわずかながら上回っている。また連合の調査では、賃上げ幅の平均が6670円。上昇率は2.24%となっている。
財務省も3月から4月にかけて調査した。それによると、15年度に賃上げを行う企業の割合は92.6%で昨年度の91.9%を上回った。特に注目されるのは、中小企業でも89.1%が賃上げを実施すると答えた点だ。大企業だけではなく、中小企業にも賃上げの波が及んでいることを示している。ただ残念なことに、この調査では賃上げ率を聞いていない。
こうした調査からも判るように、昨年度もある程度の賃上げは実施された。ところが毎月勤労統計によると、3月の実質賃金は2.6%の減少。これで23か月連続して前年を下回ってしまった。これでは経済の好循環は始まらない。賃金が増えたのになぜ実質賃金が減ってしまったかというと、それは消費増税によって物価が上昇したためだ。その増税の影響が、この4月からなくなる。その結果、実質賃金はプラスになるのだろうか。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 上げ +139.88円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 判定はきわめて微妙 = 毎月勤労統計をもう一度見直してみよう。3月の労働者1人当たりの現金給与総額は27万4924円。現金給与総額というのは、基本給に残業料や一時金などを加えた金額。要するに給与所得の全額ということになる。前年比では0.1%の増加だった。また1-3月間でみると、給与総額は前年比0.2%の増加となっている。
このように給与の総額は、わずかながらもプラスになっている。ところが実質賃金は3月が前年比2.6%の減少、1-3月間でみても2.4%の減少だった。これは物価が上昇したためで、実際の購買力は低下したことを意味している。したがって実質賃金がプラスになるためには、賃金の増加率が物価の上昇率を上回らなければならない。
3月の消費者物価は前年比2.3%の上昇だった。日銀によると、このうち消費増税による値上がり分は約2%。この分が4月からは抜け落ちるから、4月の物価は0.2-0.5%程度の上昇になる公算が大きい。賃上げによる現金給与総額の増加率が、これを上回るかどうかが勝負ということになるわけだ。
経団連などの調査で、賃上げ率は2%を超している。しかし賃上げしない企業が多ければ、1人当たりの現金給与総額は下がる。また企業はいまパートやバイトの雇用を増やしているが、このことも平均給与を引き下げる。したがって4月の現金給与総額が0.2-0.5%を超えるかどうかは、きわめて微妙だ。やや難しいかもしれないという気もする。
≪14日の日経平均 = 下げ -194.48円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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このように給与の総額は、わずかながらもプラスになっている。ところが実質賃金は3月が前年比2.6%の減少、1-3月間でみても2.4%の減少だった。これは物価が上昇したためで、実際の購買力は低下したことを意味している。したがって実質賃金がプラスになるためには、賃金の増加率が物価の上昇率を上回らなければならない。
3月の消費者物価は前年比2.3%の上昇だった。日銀によると、このうち消費増税による値上がり分は約2%。この分が4月からは抜け落ちるから、4月の物価は0.2-0.5%程度の上昇になる公算が大きい。賃上げによる現金給与総額の増加率が、これを上回るかどうかが勝負ということになるわけだ。
経団連などの調査で、賃上げ率は2%を超している。しかし賃上げしない企業が多ければ、1人当たりの現金給与総額は下がる。また企業はいまパートやバイトの雇用を増やしているが、このことも平均給与を引き下げる。したがって4月の現金給与総額が0.2-0.5%を超えるかどうかは、きわめて微妙だ。やや難しいかもしれないという気もする。
≪14日の日経平均 = 下げ -194.48円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 根拠のない電源構成案 = 経済産業省は4月末「2030年の望ましい電源構成」案を公表した。それによると、原子力は全体の20-22%、再生可能エネルギーは22-24%となっている。再生エネルギーのうち太陽光は7.0%、風力は1.7%など。電源構成というのは、このように電力をどのエネルギーでどれだけ賄うかを示すもの。長期エネルギー計画の土台になる重要な指針だ。
東日本大震災の前、10年度の電源構成は原子力が29%、水力を含めた再生エネルギーが10%だった。したがって30年には、原子力が約3分の2に減り、再生エネルギーは2倍以上に増える。原発に批判的な人にも、再生エネルギー推進論者にも配慮した、一見よさそうな案にみえないこともない。
ところが、30年にこうした電源構成が実現する根拠は皆無と言っていい。たとえば30年に何基の原発が動いているのか。現状では全く予想しがたい。太陽光発電についても、電力会社による強制買い取り制度が破綻したため、30年の発電量を想定することは困難になってしまった。
先が全く見えないにもかかわらず、経産省はなぜこんな根拠のない電源構成案を作成したのだろうか。それは6月のG7(先進7か国)首脳会議に出席する安倍首相が、温暖化防止対策として日本のCO2削減計画を報告しなければならないためだ。削減計画は電源構成が決まらなければ作成できない。だからムリヤリ構成案を作ったが、安倍首相は根拠のない構成案を基にしたCO2削減案を国際的に約束することになる。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +162.68円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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東日本大震災の前、10年度の電源構成は原子力が29%、水力を含めた再生エネルギーが10%だった。したがって30年には、原子力が約3分の2に減り、再生エネルギーは2倍以上に増える。原発に批判的な人にも、再生エネルギー推進論者にも配慮した、一見よさそうな案にみえないこともない。
ところが、30年にこうした電源構成が実現する根拠は皆無と言っていい。たとえば30年に何基の原発が動いているのか。現状では全く予想しがたい。太陽光発電についても、電力会社による強制買い取り制度が破綻したため、30年の発電量を想定することは困難になってしまった。
先が全く見えないにもかかわらず、経産省はなぜこんな根拠のない電源構成案を作成したのだろうか。それは6月のG7(先進7か国)首脳会議に出席する安倍首相が、温暖化防止対策として日本のCO2削減計画を報告しなければならないためだ。削減計画は電源構成が決まらなければ作成できない。だからムリヤリ構成案を作ったが、安倍首相は根拠のない構成案を基にしたCO2削減案を国際的に約束することになる。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +162.68円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第4章 物価って、なんだろう? ⑦
◇ いろいろな段階の物価 = みんなが食べたり、使ったりする品物は、それを生産する人たちのところから卸売り業の人たちの手を通じて、小売り店に届けられるのでした。生産者→卸売り業者→小売り店→みなさんの家 という流れを覚えておいてください。
生産者が卸売り業の人に品物を売るときの値段を、生産者物価と言います。次に卸売り業者が小売り店に売るときの値段が、卸売り物価です。さらに小売り店が町のお客さんに売るときの値段が、小売り物価です。
同じ品物でも、このように各段階で値段が違ってきます。働く人の賃金や運送費が加算されて行くため、値段はだんだん高くなり、小売り価格がいちばん高くなるのがふつうです。
小売り価格は、品物の値段を指しています。品物のほかに、生活するためにはサービスも買う必要がありますね。たとえば電気や水道の料金、電車やバスの運賃など。これらのサービス料金と品物の小売り価格を合わせた物価を、消費者物価と呼んでいます。
(続きは来週日曜日)
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◇ いろいろな段階の物価 = みんなが食べたり、使ったりする品物は、それを生産する人たちのところから卸売り業の人たちの手を通じて、小売り店に届けられるのでした。生産者→卸売り業者→小売り店→みなさんの家 という流れを覚えておいてください。
生産者が卸売り業の人に品物を売るときの値段を、生産者物価と言います。次に卸売り業者が小売り店に売るときの値段が、卸売り物価です。さらに小売り店が町のお客さんに売るときの値段が、小売り物価です。
同じ品物でも、このように各段階で値段が違ってきます。働く人の賃金や運送費が加算されて行くため、値段はだんだん高くなり、小売り価格がいちばん高くなるのがふつうです。
小売り価格は、品物の値段を指しています。品物のほかに、生活するためにはサービスも買う必要がありますね。たとえば電気や水道の料金、電車やバスの運賃など。これらのサービス料金と品物の小売り価格を合わせた物価を、消費者物価と呼んでいます。
(続きは来週日曜日)
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◇ 2万円台への再挑戦 = 日経平均は先週354円の値上がり。2万円の大台まで、あと270円に迫った。今週は連休前4月28日以来の2万円台に、再挑戦することになる。アメリカの景気に持ち直しの兆候がみられること。ヨーロッパの成長率がやや拡大するなど、外部的な環境は悪くない。そして何よりも、日本の企業業績が過去最高の水準に達したことが大きい。
ダウ平均は先週81ドルの値上がり。注目された4月の非農業雇用者の増加数が、22万3000人にまで回復したこと。さらに減益になると予想されていた1-3月期の企業収益が、一転して増益になる見込みになったことが株価を押し上げた。ドル高と原油安が、ともにストップしたためである。
ただ問題がないわけではない。たとえば先週12日の日経平均は初め大幅に下げていたが、午後に急反発して終り値では4円の上昇となった。これは日銀が361億円ものETF(上場投資信託)を購入したためだ。量的金融緩和を進めるための措置だが、市場の足腰は弱くなる。またEUとギリシャの交渉が霧に包まれてしまったことも、気にかかる。時限爆弾が一つ残されたという感触だ。
今週は18日に、3月の機械受注と第3次産業活動指数。20日に、1-3月期のGDP速報と4月の訪日外国人旅行者数。21日に、3月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、5月のNAHB住宅市場指数。19日に、4月の住宅着工戸数。21日に、4月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数。22日に、4月の消費者物価。また中国が18日に、4月の主要70都市住宅価格。21日に、5月のHSBC製造業PMIを発表する。
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ダウ平均は先週81ドルの値上がり。注目された4月の非農業雇用者の増加数が、22万3000人にまで回復したこと。さらに減益になると予想されていた1-3月期の企業収益が、一転して増益になる見込みになったことが株価を押し上げた。ドル高と原油安が、ともにストップしたためである。
ただ問題がないわけではない。たとえば先週12日の日経平均は初め大幅に下げていたが、午後に急反発して終り値では4円の上昇となった。これは日銀が361億円ものETF(上場投資信託)を購入したためだ。量的金融緩和を進めるための措置だが、市場の足腰は弱くなる。またEUとギリシャの交渉が霧に包まれてしまったことも、気にかかる。時限爆弾が一つ残されたという感触だ。
今週は18日に、3月の機械受注と第3次産業活動指数。20日に、1-3月期のGDP速報と4月の訪日外国人旅行者数。21日に、3月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、5月のNAHB住宅市場指数。19日に、4月の住宅着工戸数。21日に、4月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数。22日に、4月の消費者物価。また中国が18日に、4月の主要70都市住宅価格。21日に、5月のHSBC製造業PMIを発表する。
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 時限爆弾になったギリシャ = EU経済が予想外の頑張りをみせている。EU統計局の発表によると、ユーロ圏19か国の1-3月期の実質成長率は前期比でプラス0.4%。年率に換算すると1.6%のプラス成長だった。これはユーロ圏としては4年ぶりの高い伸び。ユーロ安で輸出が増加し、原油安が内需の拡大に貢献した。
ユーロの対ドル相場は、前年比で13%下落し13年ぶりの低水準になっている。また原油の北海ブレンド価格は、この半年間で6割も下落した。ガソリンの値下がりで、1-3月期の新車販売台数は前年比4.7%増加している。ユーロ安はECB(ヨーロッパ中央銀行)の金融緩和によるものだが、原油安は思わぬプレゼントとなった形。各国の成長率もドイツを除いて上昇しているが、ギリシャは依然としてマイナス成長から抜け出せないでいる。
EUの景気拡大は世界経済にとっても朗報だが、ギリシャ問題はまだ未解決のままである。ユーロ圏各国の財務相は先週11日に会合を開いて協議したが、合意できなかった。ただ、これまで緊縮政策の受け入れに強く抵抗していたギリシャが、態度を軟化させたとも伝えられる。しかし年金の削減や最低賃金の引き上げ凍結は、選挙公約に違反するとして拒否しているらしい。
だが時間はもうない。EUが約束する72億ユーロ(約9700億円)の支援は、6月末になると失効してしまう。ギリシャは11日に、IMFへ7億5000万ユーロを返済したが、6月中に年金や給与の支払い25億ユーロ、さらに8月までには100億ユーロの国債を償還しなければならない。デフォルト(債務不履行)やEU離脱という時限爆弾の秒読みは、まだ進行している。
≪18日の日経平均 = 上げ +157.35円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ユーロの対ドル相場は、前年比で13%下落し13年ぶりの低水準になっている。また原油の北海ブレンド価格は、この半年間で6割も下落した。ガソリンの値下がりで、1-3月期の新車販売台数は前年比4.7%増加している。ユーロ安はECB(ヨーロッパ中央銀行)の金融緩和によるものだが、原油安は思わぬプレゼントとなった形。各国の成長率もドイツを除いて上昇しているが、ギリシャは依然としてマイナス成長から抜け出せないでいる。
EUの景気拡大は世界経済にとっても朗報だが、ギリシャ問題はまだ未解決のままである。ユーロ圏各国の財務相は先週11日に会合を開いて協議したが、合意できなかった。ただ、これまで緊縮政策の受け入れに強く抵抗していたギリシャが、態度を軟化させたとも伝えられる。しかし年金の削減や最低賃金の引き上げ凍結は、選挙公約に違反するとして拒否しているらしい。
だが時間はもうない。EUが約束する72億ユーロ(約9700億円)の支援は、6月末になると失効してしまう。ギリシャは11日に、IMFへ7億5000万ユーロを返済したが、6月中に年金や給与の支払い25億ユーロ、さらに8月までには100億ユーロの国債を償還しなければならない。デフォルト(債務不履行)やEU離脱という時限爆弾の秒読みは、まだ進行している。
≪18日の日経平均 = 上げ +157.35円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ だから、どうなるの? = 財務省はことし3月末の「国の借金」残高を発表した。それによると、国の借金残高は1053兆3572億円。1年前より28兆4000億円増加した。その内訳は国債が881兆円、借入金が55兆円、政府短期証券が117兆円となっている。さらに16年3月末には1167兆円に達する見通しだという。
05年3月末の国の借金は782兆円だった。この10年間で272兆円も増加したことになる。原因は言うまでもなく、高齢化の進展で医療費や年金といった社会保障費が急増しているためだ。この結果、GDPに占める国家債務の比率も、先進国のなかで圧倒的に高い。財政状況が深刻化していることは確かである。
その深刻さを裏付けるために、財務省はいつも「国民1人当たりの借金」を公表する。国の借金総額を人口で割っただけの単純な数字。ことし3月末では、それが約830万円になった。だが、こんな数字を見ても、大部分の人はピンとこない。まずは自分の所得税や住民税に上乗せされる心配はないからである。
それでも子や孫の代が、支払うことになるという指摘もある。しかし現状をみると、国の借金の中核である国債は、日銀が大量に買い入れているではないか。日銀の国債保有量は260兆円にも達しており、さらに年間80兆円のペースで増える見込みだ。これなら子孫が借金を返すことも必要ない? 財務省の「1人当たり」キャンペーンは、全く意味を持たなくなってしまった。
≪19日の日経平均 = 上げ +136.11円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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05年3月末の国の借金は782兆円だった。この10年間で272兆円も増加したことになる。原因は言うまでもなく、高齢化の進展で医療費や年金といった社会保障費が急増しているためだ。この結果、GDPに占める国家債務の比率も、先進国のなかで圧倒的に高い。財政状況が深刻化していることは確かである。
その深刻さを裏付けるために、財務省はいつも「国民1人当たりの借金」を公表する。国の借金総額を人口で割っただけの単純な数字。ことし3月末では、それが約830万円になった。だが、こんな数字を見ても、大部分の人はピンとこない。まずは自分の所得税や住民税に上乗せされる心配はないからである。
それでも子や孫の代が、支払うことになるという指摘もある。しかし現状をみると、国の借金の中核である国債は、日銀が大量に買い入れているではないか。日銀の国債保有量は260兆円にも達しており、さらに年間80兆円のペースで増える見込みだ。これなら子孫が借金を返すことも必要ない? 財務省の「1人当たり」キャンペーンは、全く意味を持たなくなってしまった。
≪19日の日経平均 = 上げ +136.11円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 1-3月期は2.4%成長 = 内閣府が20日発表したGDP速報で、1-3月期の実質成長率は前期比0.6%の増加。年率に換算して2.4%のプラス成長だった。まだ低成長の域を脱したとは言えないが、昨年10-12月期のプラス1.5%に比べると成長率は明確に加速している。個人消費や住宅投資、それに企業の設備投資といった内需の増加が、成長率を押し上げた。
内訳をみると、内需の中核である個人消費は前期比0.4%の増加で、前期と変わらなかった。しかし住宅投資が前期の0.6%減少から1.8%増加に。また設備投資も前期の0.0%減から0.4%増へと好転。ともに4四半期ぶりにプラスを記録した。一方、輸出は前期比2.4%伸びたが、輸入が2.9%増加。このため外需は、成長率を0.2%分引き下げている。
同時に発表された14年度の実質成長率は、マイナス1.0%だった。リーマン・ショック後の09年度以来のマイナス成長である。言うまでもなく、これは消費増税による経済の混乱を反映したもの。だが1-3月期のGDPをみると、増税から1年を経て混乱はようやく収まったと考えられる。
4月以降は、物価の面から増税の影響が消える。このため個人消費は増加するだろう。また企業の設備投資も拡大する兆候をみせている。住宅投資の環境も変わらないだろう。ただ外需はアメリカや中国の景気動向、それにギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念など、やや不安定。内需の力でどれだけ成長率を上げられるかが、勝負となってくる。
≪20日の日経平均 = 上げ +170.18円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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内訳をみると、内需の中核である個人消費は前期比0.4%の増加で、前期と変わらなかった。しかし住宅投資が前期の0.6%減少から1.8%増加に。また設備投資も前期の0.0%減から0.4%増へと好転。ともに4四半期ぶりにプラスを記録した。一方、輸出は前期比2.4%伸びたが、輸入が2.9%増加。このため外需は、成長率を0.2%分引き下げている。
同時に発表された14年度の実質成長率は、マイナス1.0%だった。リーマン・ショック後の09年度以来のマイナス成長である。言うまでもなく、これは消費増税による経済の混乱を反映したもの。だが1-3月期のGDPをみると、増税から1年を経て混乱はようやく収まったと考えられる。
4月以降は、物価の面から増税の影響が消える。このため個人消費は増加するだろう。また企業の設備投資も拡大する兆候をみせている。住宅投資の環境も変わらないだろう。ただ外需はアメリカや中国の景気動向、それにギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念など、やや不安定。内需の力でどれだけ成長率を上げられるかが、勝負となってくる。
≪20日の日経平均 = 上げ +170.18円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 平均寿命は世界一だが = WHO(世界保健機関)は先週「日本が世界一の長寿国」であることを確認した。発表によると、13年の男女を合わせた日本の平均寿命は84歳。前年に続いて世界一の座を維持している。世界全体の平均値は71歳。たとえば韓国は82歳、アメリカは79歳、中国は75歳などとなっている。
日本人としては歓迎すべきニュースだが、手放しで喜んでばかりはいられない。それだけ高齢化が進み、医療費などの財政負担が増大するからだ。それを防ぐ唯一の方策は、健康寿命を延ばすことだろう。健康寿命というのは、人が「健康上の問題を抱えず、介護を必要とせずに日常生活を送れる期間」である。この概念は00年にWHOが打ち出した。
厚生労働省はかつて10年の健康寿命を推計したことがある。それによると、男性は70.42歳、女性は73.62歳だった。10年の平均寿命と比べてみると、男性は9.13年、女性は12.68年の差がある。言い方を変えると、それだけの年月が“健康でない期間”ということになる。この期間をできるだけ短縮することが重要なわけだ。
健康寿命が延びることは、本人にとっても望ましい。国の財政負担の縮小にもつながる。そこで政府も健康寿命の延長に向けて、いろいろな施策を講じてはいる。だが、その成果がよく判らない。厚労省が10年以降の健康寿命を推計していないからである。その後“健康でない期間”が縮まったのかどうか。いちばん関心のある点が、抜け落ちている格好だ。
≪21日の日経平均 = 上げ +6.31円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日本人としては歓迎すべきニュースだが、手放しで喜んでばかりはいられない。それだけ高齢化が進み、医療費などの財政負担が増大するからだ。それを防ぐ唯一の方策は、健康寿命を延ばすことだろう。健康寿命というのは、人が「健康上の問題を抱えず、介護を必要とせずに日常生活を送れる期間」である。この概念は00年にWHOが打ち出した。
厚生労働省はかつて10年の健康寿命を推計したことがある。それによると、男性は70.42歳、女性は73.62歳だった。10年の平均寿命と比べてみると、男性は9.13年、女性は12.68年の差がある。言い方を変えると、それだけの年月が“健康でない期間”ということになる。この期間をできるだけ短縮することが重要なわけだ。
健康寿命が延びることは、本人にとっても望ましい。国の財政負担の縮小にもつながる。そこで政府も健康寿命の延長に向けて、いろいろな施策を講じてはいる。だが、その成果がよく判らない。厚労省が10年以降の健康寿命を推計していないからである。その後“健康でない期間”が縮まったのかどうか。いちばん関心のある点が、抜け落ちている格好だ。
≪21日の日経平均 = 上げ +6.31円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 実現できない経産省の案 = 経済産業省が作成した「30年の望ましい電源構成」案によると、原子力の比重は20-22%となっている。仮に30年の電力需要量が現在と変わらないとしても、これには20基以上の原発が必要だ。しかし、それだけの原発が規制委員会の安全審査をパスするのか。もし「40年廃炉」の原則を貫くと、30年には15基の原発しか残らない。足りない分は新増設するのだろうか。
資源エネルギー庁の発表によると、昨年末時点で稼働している太陽光発電の設備は合計2035万㌔㍗分だった。この設備が100パーセント発電していると仮定しても、全電源に占める割合は2%にすぎない。経産省案の7%にするには3.5倍に増大させることが必要である。電力買い取りの保証をなくしてしまったから、新規参入はそんなに見込めない。
たしかに昨年末の時点で、認可された設備の総量は7000㌔㍗にも及んでいる。だが、これらの設備がすべて動き出せば、送電線がパンクするから電力会社は買い取りを拒否するだろう。そういう状態の下で、認可を受けた設備のうち何割が実際に稼働するのか。見通しはそんなに明るくない。
風力や地熱も含めた再生可能エネルギーの電源に占める割合が、経産省案のように24%になると仮定すると、電力会社の買い取りに必要な金額は4兆円に達するという試算もある。電気料金は15年度でも、この上乗せ分が標準家庭で年5700円、標準的な中小工場で50万円にも達している。買い取り額が4兆円になれば、この上乗せ額は15年度の3倍以上になってしまう。こんなことは政治的にも許容されるはずがない。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 上げ +61.54円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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資源エネルギー庁の発表によると、昨年末時点で稼働している太陽光発電の設備は合計2035万㌔㍗分だった。この設備が100パーセント発電していると仮定しても、全電源に占める割合は2%にすぎない。経産省案の7%にするには3.5倍に増大させることが必要である。電力買い取りの保証をなくしてしまったから、新規参入はそんなに見込めない。
たしかに昨年末の時点で、認可された設備の総量は7000㌔㍗にも及んでいる。だが、これらの設備がすべて動き出せば、送電線がパンクするから電力会社は買い取りを拒否するだろう。そういう状態の下で、認可を受けた設備のうち何割が実際に稼働するのか。見通しはそんなに明るくない。
風力や地熱も含めた再生可能エネルギーの電源に占める割合が、経産省案のように24%になると仮定すると、電力会社の買い取りに必要な金額は4兆円に達するという試算もある。電気料金は15年度でも、この上乗せ分が標準家庭で年5700円、標準的な中小工場で50万円にも達している。買い取り額が4兆円になれば、この上乗せ額は15年度の3倍以上になってしまう。こんなことは政治的にも許容されるはずがない。
(続きは来週サタデー)
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【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第4章 物価って、なんだろう? ⑧
◇ 需要と供給では決まらない物価 = 魚に対する需要が強いと、魚の値段は上がります。弱いと下がります。野菜の供給が少ないと、野菜の値段は上がります。多いと下がります。そう、物価が需要と供給の関係で決まることは、もう勉強しました。
でも、すべての物価が需要と供給の関係で決まるわけではありません。たとえば電車賃やバス代。いつもは100円なのに、きょうは乗る人が多いから120円に値上げしますというふうに変わったら、みんな困ってしまうでしょう。
電気代やガス代、水道代も同じです。このように大勢の人たちが、生活するために毎日のように使うもの。だから値段がたびたび変わったら、とても不便になって困るもの。これを公共料金と言っています。
公共料金も変わることがあります。しかし、そのときには役所に理由を説明して、OKしてもらわなければなりません。ですから、ふつうは何年に1度という程度でしか変更されないのです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 需要と供給では決まらない物価 = 魚に対する需要が強いと、魚の値段は上がります。弱いと下がります。野菜の供給が少ないと、野菜の値段は上がります。多いと下がります。そう、物価が需要と供給の関係で決まることは、もう勉強しました。
でも、すべての物価が需要と供給の関係で決まるわけではありません。たとえば電車賃やバス代。いつもは100円なのに、きょうは乗る人が多いから120円に値上げしますというふうに変わったら、みんな困ってしまうでしょう。
電気代やガス代、水道代も同じです。このように大勢の人たちが、生活するために毎日のように使うもの。だから値段がたびたび変わったら、とても不便になって困るもの。これを公共料金と言っています。
公共料金も変わることがあります。しかし、そのときには役所に理由を説明して、OKしてもらわなければなりません。ですから、ふつうは何年に1度という程度でしか変更されないのです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 「2万2000円まで行く」の声も = 日経平均株価は6日間の連騰。先週だけで531円の値上がり。終り値は2万0264円と15年ぶりの高値を更新した。東証1部の時価総額は史上最高を記録している。ことし3月期に加えて、16年3月期の業績予想が大きく好転したことが原因。円安基調が崩れそうにないことも、市場に安心感を与えている。
ダウ平均は先週41ドルの小幅な値下がり。週初は上昇して史上最高値を更新したが、さすがに利益確定売りに押されて後半は反落した。アメリカでも企業業績の見通しが減益からやや増益に改善しているが、経済の先行き見通しはまだ不安定。ドル高傾向の持続が、市場に影を落としている。このため投資資金が、ニューヨークから東京とフランクフルトに移動している形跡も見受けられる。
東京市場は強気ムード。日経平均の「次の目標は2万2000円」の見方が増えてきたようだ。たしかに、国内的には大きな障害物も見当たらない。ただ、やはり海外の情勢には注意が必要だ。1つはギリシャ問題。ギリシャ側は「支援がなければ、借金は返せない」とデフォルト(債務不履行)を予告するような態度に出ている。もう1つは中国の株価。経済の不調を尻目にバブル的な高騰をみせているが、大丈夫なのだろうか。
今週は25日に、4月の貿易統計。26日に、4月の企業向けサービス価格。27日に、5月の月例経済報告。28日に、4月の商業販売統計。29日に、4月の消費者物価、家計調査、労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数、自動車生産台数。アメリカでは26日に、3月のFHFA住宅価格、4月の新築住宅販売、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、中古住宅販売。29日に、1-3月期のGDP改定値が発表される。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ダウ平均は先週41ドルの小幅な値下がり。週初は上昇して史上最高値を更新したが、さすがに利益確定売りに押されて後半は反落した。アメリカでも企業業績の見通しが減益からやや増益に改善しているが、経済の先行き見通しはまだ不安定。ドル高傾向の持続が、市場に影を落としている。このため投資資金が、ニューヨークから東京とフランクフルトに移動している形跡も見受けられる。
東京市場は強気ムード。日経平均の「次の目標は2万2000円」の見方が増えてきたようだ。たしかに、国内的には大きな障害物も見当たらない。ただ、やはり海外の情勢には注意が必要だ。1つはギリシャ問題。ギリシャ側は「支援がなければ、借金は返せない」とデフォルト(債務不履行)を予告するような態度に出ている。もう1つは中国の株価。経済の不調を尻目にバブル的な高騰をみせているが、大丈夫なのだろうか。
今週は25日に、4月の貿易統計。26日に、4月の企業向けサービス価格。27日に、5月の月例経済報告。28日に、4月の商業販売統計。29日に、4月の消費者物価、家計調査、労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数、自動車生産台数。アメリカでは26日に、3月のFHFA住宅価格、4月の新築住宅販売、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、中古住宅販売。29日に、1-3月期のGDP改定値が発表される。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 強気派が台頭した理由 = 株価は7日間の連騰で、15年ぶりの高値を回復した。東証1部の時価総額は、バブル時の水準に肩を並べた。市場の空気は一気に明るさを増し、株価は「2万2000円」とか「2万2500円」とかの予想も飛び交っている。株価を押し上げ、強気の予想を育んだ原因はなんだろう。
最大の原因は、絶好調の企業業績。日経新聞の集計によると、上場企業の15年3月期の純利益は前期比7%の増加。金融危機前に最高益を出した08年3月期の水準を上回り、7年ぶりに記録を更新した。さらに16年3月期も13%の増益が見込まれている。こうした増益の結果、株価が上昇したにもかかわらずPER(株価収益率)はむしろ低下している。
PERというのは、一株当たり利益の何倍まで買われているかを示す数字。たとえば3月末時点のPERは18倍を超えていた。それが4月には16倍台に落ち、その後の株高でもまだ17倍前後にとどまっている。アメリカの20倍、ドイツの17倍に比べても、決して高い水準ではない。それだけ日本株の割高感は薄まり、安心して買えることになる。
もう1つの原因は、当分は円安が持続するという予想。アメリカの利上げは年内に実施されるという見方が強く、この状況が続く限りは、円相場が大きく円高に振れることはない。さらに消費増税の副作用がなくなり、日本の景気は上昇期に入るという見方も株価を支えている。ギリシャや中国から悪いニュースが伝えられない限り、株価2万2000円はそう遠くないうちに達成されるだろう。
≪25日の日経平均 = 上げ +149.36円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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最大の原因は、絶好調の企業業績。日経新聞の集計によると、上場企業の15年3月期の純利益は前期比7%の増加。金融危機前に最高益を出した08年3月期の水準を上回り、7年ぶりに記録を更新した。さらに16年3月期も13%の増益が見込まれている。こうした増益の結果、株価が上昇したにもかかわらずPER(株価収益率)はむしろ低下している。
PERというのは、一株当たり利益の何倍まで買われているかを示す数字。たとえば3月末時点のPERは18倍を超えていた。それが4月には16倍台に落ち、その後の株高でもまだ17倍前後にとどまっている。アメリカの20倍、ドイツの17倍に比べても、決して高い水準ではない。それだけ日本株の割高感は薄まり、安心して買えることになる。
もう1つの原因は、当分は円安が持続するという予想。アメリカの利上げは年内に実施されるという見方が強く、この状況が続く限りは、円相場が大きく円高に振れることはない。さらに消費増税の副作用がなくなり、日本の景気は上昇期に入るという見方も株価を支えている。ギリシャや中国から悪いニュースが伝えられない限り、株価2万2000円はそう遠くないうちに達成されるだろう。
≪25日の日経平均 = 上げ +149.36円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 前年比8%増加したが = 財務省が発表した4月の貿易統計によると、輸出は6兆5500億円で前年比8.0%増加した。輸入は6兆6000億円で4.2%の減少。この結果、貿易収支は534億円の赤字だった。輸出額は4月としては過去最大。輸出が伸びて輸入が減ったため、赤字幅は前年同月よりも93.5%縮小している。正にケタ違いの改善だ。
輸出の動きを地域別にみると、アメリカ向けが21.4%と大きく伸びた。アジア向けは6.0%増、このうち中国向けは2.4%の増加にとどまっている。EU向けは0.8%しか増加しなかった。商品別では自動車と電機が好調。一方、輸入では燃料が大幅に減少した。原油・粗油は34.6%、LNG(液化天然ガス)は35.0%も減少している。
このような数字をみていると、日本の輸出力は回復したようにも思われる。たしかに輸出額の伸びは、昨年の4.8%増から最近は2倍の増加率を示すようになった。しかし、たとえば4月の自動車をみても輸出額は7.2%増加しているが、輸出数量は0.5%しか増えていない。音響機器などは金額で12.9%伸びたが、数量は23.2%も減った。
これが付加価値の高い製品を輸出した結果なら問題はない。だが実際は円安の恩恵によるところが大きいようだ。この4月の対ドル為替レートは119円89銭。前年同月より17%の円安だった。これだけの円安ならば、輸出は金額で2ケタの伸びが欲しいところ。この面から眺めると、輸出力の回復はまだ道半ばという気がする。
≪26日の日経平均 = 上げ +23.71円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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輸出の動きを地域別にみると、アメリカ向けが21.4%と大きく伸びた。アジア向けは6.0%増、このうち中国向けは2.4%の増加にとどまっている。EU向けは0.8%しか増加しなかった。商品別では自動車と電機が好調。一方、輸入では燃料が大幅に減少した。原油・粗油は34.6%、LNG(液化天然ガス)は35.0%も減少している。
このような数字をみていると、日本の輸出力は回復したようにも思われる。たしかに輸出額の伸びは、昨年の4.8%増から最近は2倍の増加率を示すようになった。しかし、たとえば4月の自動車をみても輸出額は7.2%増加しているが、輸出数量は0.5%しか増えていない。音響機器などは金額で12.9%伸びたが、数量は23.2%も減った。
これが付加価値の高い製品を輸出した結果なら問題はない。だが実際は円安の恩恵によるところが大きいようだ。この4月の対ドル為替レートは119円89銭。前年同月より17%の円安だった。これだけの円安ならば、輸出は金額で2ケタの伸びが欲しいところ。この面から眺めると、輸出力の回復はまだ道半ばという気がする。
≪26日の日経平均 = 上げ +23.71円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 増税の影響が消えた結果は = 消費に関する3つの重要な経済指標が、この週末に発表される。1つはきょう28日に発表される4月の商業動態統計。あとの2つは、あす29日に発表される4月の消費者物価と家計調査だ。昨年4月の消費増税で、物価がポンと2%ほど上昇した。その増税による物価のカサ上げ分が、前年比ではこの4月から消える。結果として、これらの数値がどう変わったか。そこが見どころである。
まず消費者物価。総合指数の前年比をみると、昨年3月の1.6%上昇が4月は増税の影響で3.4%上昇に跳ね上がった。その後はずっと2-3%台の上昇が続き、ことし3月は2.3%上昇となっている。日銀によると、増税による上昇分は2%前後だという。したがって、4月は0.3-0.6%程度の上昇になると推定される。
次は家計調査。この調査によると、勤労者世帯の実収入は昨年4月が前年比で7.1%の減少だった。その後もずっとマイナス状態が続いている。ことしの3月は名目値では2.5%増加したが、実収入は0.3%の減少だった。景気の回復で賃上げも実施されたが、まだ物価の上昇分を吸収できていない。これが4月にはプラスになるかどうか。
最後は商業動態統計。このなかで小売り業の売上高がどうなるか。昨年3月は増税前の駆け込みで、前年比11.0%の大幅増加。それが4月には4.3%の減少に落ち込んだ。その後は多少のプラスもあったが、ほとんどマイナスで推移。ことし3月は9.7%の減少となっている。家計の実質収入が大幅に改善される4月に、小売り業の販売高がどこまで回復したか。
≪27日の日経平均 = 上げ +35.10円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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まず消費者物価。総合指数の前年比をみると、昨年3月の1.6%上昇が4月は増税の影響で3.4%上昇に跳ね上がった。その後はずっと2-3%台の上昇が続き、ことし3月は2.3%上昇となっている。日銀によると、増税による上昇分は2%前後だという。したがって、4月は0.3-0.6%程度の上昇になると推定される。
次は家計調査。この調査によると、勤労者世帯の実収入は昨年4月が前年比で7.1%の減少だった。その後もずっとマイナス状態が続いている。ことしの3月は名目値では2.5%増加したが、実収入は0.3%の減少だった。景気の回復で賃上げも実施されたが、まだ物価の上昇分を吸収できていない。これが4月にはプラスになるかどうか。
最後は商業動態統計。このなかで小売り業の売上高がどうなるか。昨年3月は増税前の駆け込みで、前年比11.0%の大幅増加。それが4月には4.3%の減少に落ち込んだ。その後は多少のプラスもあったが、ほとんどマイナスで推移。ことし3月は9.7%の減少となっている。家計の実質収入が大幅に改善される4月に、小売り業の販売高がどこまで回復したか。
≪27日の日経平均 = 上げ +35.10円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ デフォルトを覚悟した? = EUとギリシャの交渉が、いぜん難航している。EU側が財政再建の加速化を要求しているのに対し、ギリシャ政府は年金の増額と最低賃金の引き上げは選挙公約だから撤回できないと拒否。また消費税引き上げと軽減税率の廃止については議会と世論が猛反対しており、政府も手が付けられない状態に追い込まれている。
ギリシャは6月中に、IMF(国際通貨基金)に対して16億ユーロ(約2100億円)を返済しなければならない。国庫にそれだけの余裕があるかどうかは定かでないが、ブチス内務相は「カネがないから、支払いはできない」と述べている。これがEU側に対するブラフ(脅し)なのか、それともデフォルト(債務不履行)を覚悟したうえでの発言なのか。
EU側も厳しい姿勢を崩さない。G7(先進7か国)は28日から、ドイツのドレスデンで財務相・中央銀行総裁会議を開く。ドイツなどはこの場でギリシャ問題について説明すると予想されるが「ギリシャのデフォルトは避けられそうにない」という内容になることも否定はできない。仮にそうだとしても、それがEU側のブラフなのかどうか。
最も現実的な見通しは、EUが最小限度の“つなぎ融資”を行い、6月中のデフォルトを回避することだろう。しかしEUとIMFがギリシャに約束した72億ユーロの金融支援は、6月末で失効してしまう。いずれにしても、ギリシャがいよいよデフォルトという名の滝壺の間近にまで流されてきたことは確かである。
≪28日の日経平均 = 上げ +78.88円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ギリシャは6月中に、IMF(国際通貨基金)に対して16億ユーロ(約2100億円)を返済しなければならない。国庫にそれだけの余裕があるかどうかは定かでないが、ブチス内務相は「カネがないから、支払いはできない」と述べている。これがEU側に対するブラフ(脅し)なのか、それともデフォルト(債務不履行)を覚悟したうえでの発言なのか。
EU側も厳しい姿勢を崩さない。G7(先進7か国)は28日から、ドイツのドレスデンで財務相・中央銀行総裁会議を開く。ドイツなどはこの場でギリシャ問題について説明すると予想されるが「ギリシャのデフォルトは避けられそうにない」という内容になることも否定はできない。仮にそうだとしても、それがEU側のブラフなのかどうか。
最も現実的な見通しは、EUが最小限度の“つなぎ融資”を行い、6月中のデフォルトを回避することだろう。しかしEUとIMFがギリシャに約束した72億ユーロの金融支援は、6月末で失効してしまう。いずれにしても、ギリシャがいよいよデフォルトという名の滝壺の間近にまで流されてきたことは確かである。
≪28日の日経平均 = 上げ +78.88円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 辻ツマ合わせの発電コスト = 経済産業省は4月末、30年に想定される電源別の発電コストを公表した。その特徴は、原子力による発電コストが最も低いことを異常に強調した点である。それによると、原発による1㌔㍗時の発電コストは10.1円。事故後の損害賠償や立地自治体への交付金などを計算に入れても、安全対策の強化で事故の確率が半減するので、こういうコストになるのだという。
一方、再生可能エネルギーでは水力がいちばん安く11.0円。あとは地熱が19.2円。陸上風力が21.9円、太陽光は非住宅系で24.3円など。また化石燃料ではLNG火力が13.7円。最も高いのは石油火力で30.6円かかると試算している。これだけの数値をみても、経産省が原発の多用と石油火力の縮小を願っていることがよく判る。
だが、これらの推定値には大きな疑問が付きまとう。たとえば大震災の直後に発表した前回の試算では、風力発電のコストが原発を下回っていた。それが今回は技術開発費を大きくみることで、風力のコストを引き上げている。その結果、原発のコストが最低になった。
もっと奇妙なことは、廃炉が決定した原発を除く43基の原発がすべて稼働する前提になっている点だ。その実現性は全くないだろう。また先に発表した「30年の望ましい電源構成」案では、原発の比率が全体の20-22%となっている。この場合、稼働する原発は20基あまりで足りてしまう。同じ役所がほぼ同じ時期に作成したのに、どうしてこんな矛盾を見逃しているのだろう。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 上げ +11.69円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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一方、再生可能エネルギーでは水力がいちばん安く11.0円。あとは地熱が19.2円。陸上風力が21.9円、太陽光は非住宅系で24.3円など。また化石燃料ではLNG火力が13.7円。最も高いのは石油火力で30.6円かかると試算している。これだけの数値をみても、経産省が原発の多用と石油火力の縮小を願っていることがよく判る。
だが、これらの推定値には大きな疑問が付きまとう。たとえば大震災の直後に発表した前回の試算では、風力発電のコストが原発を下回っていた。それが今回は技術開発費を大きくみることで、風力のコストを引き上げている。その結果、原発のコストが最低になった。
もっと奇妙なことは、廃炉が決定した原発を除く43基の原発がすべて稼働する前提になっている点だ。その実現性は全くないだろう。また先に発表した「30年の望ましい電源構成」案では、原発の比率が全体の20-22%となっている。この場合、稼働する原発は20基あまりで足りてしまう。同じ役所がほぼ同じ時期に作成したのに、どうしてこんな矛盾を見逃しているのだろう。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 上げ +11.69円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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