2018年6月26日~7月14日
 走行日数19日間
 累計走行距離1245km(82724km~83969km)

◎道路
 非常に広い側道があるため自転車で走るにおいてストレスが極めて少ない。車道と比べて路面が粗かったりとかする場所も多いがこれだけキチンと整備されてるなら文句は出ない。
 峠と呼べるような上り坂はまず出てこない反面、実は30m以下の緩やかで小規模なアップダウンで構成されてる道が多く、完全フラットな道はそれほど出てこない。どのくらいの緩さかといえば、ギアを1枚落とせば登れるくらいの斜度。そりゃときどき急斜面もあるけどさ。
 町中においても信号機は少ないし、交通量もそれほど多くないため走ってて危険を感じるようなことは少ない。流石にモンテビデオではそうも言ってられないが、それでも他の南米の首都と比べたら雲泥の差。南米で私が走った国の中では最も走りやすい国である。

◎治安
 南米の中では治安が良い国とか言われてるけど、別段そんなことはない。というかこの国は基本的に「人がいない」ので治安が良いと言える側面が強く、首都のモンテビデオは普通に雰囲気悪かった。なので首都近郊や各州の州都においてはそれなりの対策というか意識で臨んだ方が良い。
 それ以外の場所は要するに放牧地なのであり、パタゴニアや宝石の道で犯罪危険はないでしょう?というのと同じことだと思う。ウルグアイはその放牧地が9割強を占めてる国なので、確かに安全っちゃ安全かもしれないが。人が滞在する場所は残りの1割弱だと思うので何とも。そう考えると自転車旅行者にとっては気楽な国だった。

◎ビザ・出入国
 アルゼンチンへの陸路国境が合計3つあるのだが、自転車が走行して通過できるのは「コロン~パイサンドゥ」間の橋のみである。ただし北部の「コンコルディア~サルト」間には渡し舟があるため、無理してヒッチハイクをしなくても通行することは可能。いやまぁお陰様で酷い目にあったけど。
 肝心の入国自体は手続きに建物の中まで入ることなく、車両のゲートみたいな場所で簡単にスタンプ押してくれる簡単っぷり。しかし生鮮食品の持ち込みには厳しいようで荷物の中身を確認されたが。実は物価高と聞いてたので、この時点で肉を所持しており「没収か・・・」とか思ってたら普通にスルーされた経緯がある。見逃してくれたのか、袋に包んでいる食材は関係ないと思ったのかは分からない。とりあえず検査と言えるレベルではない適当なチェックだったことは間違いない。おっと滞在期間は90日間。仮にゆっくり国内1周しても1ヶ月を必要としない規模なのでその点は問題ない。

◎交通事情
 基本的にモンテビデオを除けば交通量が少ないので危険を感じるようなことがほぼない。クラックションを鳴らしてくるような人はおらず、わりかし交差点でも自転車や歩行者に対して道を譲ってくれたりもする。
 郊外は何もない道が続くため100km/hとかでぶっ飛ばしてる車が多いのだが、しっかり側道が作られてる関係で危険な思いをすることがないし。側道がないようなマイナー道路もあったけど、そんな道では10分に1台とかしか車両とすれ違わないため、やはり問題とはならない。アルゼンチンから来た身としては走行中のストレス度合いは段違いだったと言える。

◎特徴
 チリ・アルゼンチンと並んでATMにおける引き出し手数料がバカ高い。安い場合でも500円以上するし、ひどいATMでは1000円以上を取ってくる。そのクセ引き出し可能な金額の上限が2万円に届かないクソ仕様となっており、特に物価の高いウルグアイではこの手数料は洒落にならない。かといってカードを使っても大抵10%ほど料金上乗せさせられるため、あまりクレジット利用での料金的なメリットはない。
 しかしウルグアイのATMでは米ドルを引き出すことが可能であり、1回の上限金額も300USドルと現地通貨に比べて割が良い。特にUSドルだと両替レートを良くしてくれるアルゼンチンが隣接していることもあり、ウルグアイでUSドルを入手していく人は多い。
 私が確認した限りでパイサンドゥの町と首都のモンテビデオやタクアレンボ、サルトの町ではATMからUSドルを引き出す選択肢があった。

◎気候
 真冬の時期でもそれほど寒くないどころか北部にあっては日中汗ばむほどの気温となった。ということは夏の暑さは相当なものであることが伺える。あと湿度高い。
 雨季なのかもしれないが、それなり程度に雨が降るしガスってしまう日も多く、晴天の中を走れた割合は半々程度ではないかと思う。とにかく天気の良し悪しで走行の楽しさが激変する国なので、天気予報の確認は重要事項だと思っていた。

◎言語
 スペイン語。それほど南米の他国と比べて違いがあるとは思わなかったかな。チリ・アルゼンチンと同様に南米における先進的なポジションの国であり、しかしながら英語を解する人の割合は脾臓に少ない。モンテビデオのホステル受付ですら全く英語喋れなかった。1つのホステルだけで判断するのは無茶な気もするが、まぁ英語一本じゃかなり苦労するのだろうなとは思う。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 宿泊したのがモンテビデオとサルトのみなので大したことは言えないのだが、そもそもこの国ではホステル系の安宿がある町が少ない。世界遺産認定のコロニアと首都モンテビデオを除くと私が通ったルートではドミトリー形式のホステルを有する町は見なかった。見落としてるだけかもしれないけども。でも第2の都市であるサルトにすらドミは存在しないあたり、まぁそういうことだろう。
 値段は高いが、高いだけの設備が整ってはいる。というかホステル内でエレベーターを見たのはこの旅行始まって以来かもしれない。ネットは高速なんだけど不安定でよく回線が落ちた。私が泊まったホステルだけが悪いのか、ウルグアイ全般的にインフラが整ってないのかは分からない。ガソスタとかのWi-Fiが安定してたことを鑑みるに恐らく前者だとは思う。
 とりあえずある程度の規模の町だと町外れのパルケにキャンプエリアが併設されてる可能性が高いので、気にしなければそうした場所を利用することで宿泊費はほとんど使うことなく旅行することが可能。ただまぁ週末はマフラー外した爆音バイクで走り回ってる輩が多かったりするため安眠は難しそうだし安全面でもオススメはしない。私は州都クラスの大きな町では避けるようにしていた。
 ちなみにWi-Fiに関してはチリ・アルゼンチンと同様にガソスタが優秀。速度も申し分ないし、充電と合わせてつかわせてもらうことが多かった。特にウルグアイ国有スタンドのアンカップを好んで利用していたな。なお主要道路ではない国道6号線沿いでは1度もWi-Fi使えるガソスタが出てこなかった。主要道路でないと設備レベルは落ちるのかもしれない。

◎犬
 1度ぶっ叩いたかな、そういえば。それほど凶悪な雰囲気ではなかった気もするが、だからといって手加減するような気持ちはペルーに置いてきた。向かってくるならやり合いますよ私は。
 あと野営してるとおこぼれを求めてすり寄ってくる犬がやたら多いと感じたウルグアイ。それは別にいいのだが、そのままテント脇で眠ってしまい、明け方になってから鶏だかの声に反応して吠えまくられたことがあり、安易に餌あげてはいけないなとか思ったり。

◎自転車店
 そういえばほとんど見なかった。首都のモンテビデオにはスタジアムの近くにプロショップが数件あるよとサイクリスト仲間から教えてもらったが、わりかし大きい町でも自転車が販売されてるのはおもちゃ屋とかで「自転車も合わせて売ってるよ」という方式が多かった。まぁサルトの町では先進的なショップがあったし、扱われるパーツもハイグレードから庶民派まで一揃えされていた。
 割とこの国ロードやMTBで郊外を走ってる人は一定数いるので、もっと探せば色々とショップもあるのだろうな。

◎物価・食事
 これはハッキリ高い。アルゼンチンなぞ敵ではないし、チリと比較してどっこいなレベル。ビール大瓶1本で350~400円というのはアルコール類が高い日本と比較しても大差ない価格ではなかろうか?ちょっと日本のビール代金忘れかけてるので自信ないが。ああ、でも安ワインがビールとほぼ同値段で販売されてるのは嬉しかったな。
 これだけ牧場だらけの国の割に、牛も鶏肉も安いという程ではない。ただ国土が小さいことがあるためか、小さな町の小売店等でも物価はさほど変化しなかった。1割くらい上乗せされるイメージ。キャンプ場の売店でも似たような値段で野菜以外の食品は購入できたので、この国ではそれほど食材を持ち運ぶという行為のメリットが少なく、あまりそこに気を使う必要はない。
 唯一アルゼンチンより安かったのが袋タイプのインスタントラーメンなのだが、これがチェーン店スーパーじゃないと扱ってないのであり、欲しくてもなかなか買えない思いをしたことがある。
 そんな感じなので結局100%近く自炊で賄った。試しに売店のサンドイッチとか食べたこともあるが、値段の割に少ないし美味いとも思えない。
 そういえばチリとウルグアイの1番安いホームブランドスパゲティだが、一般的なスパだと500gのところ容量400gに削減されている。地味なところでセコい。最近の日本も似たようなことやってると聞いたが。

◎総括
 ウルグアイという国は、町から離れて広がる牧草地帯を走ってこそ真価を発揮する国である。町なんぞ行っても物が無い、あっても高い、割と雰囲気も悪い、見所も無いと散々な印象。そこから郊外へと抜けると世界は一変、緑色した大地が広がる景色の中を気分良く走れる自転車乗りにとってのある種の理想郷へと姿を変える。日本で例えると夏の北海道のスケールを大きくした感じ。
 ということでウルグアイは自転車で旅行しましょう。最低でもバイク。キャンプ場で月明かりに照らされながら、満天の星空を眺めつつ静かにビールを飲み、始めてウルグアイという国の魅力に気付くのだと思う。