2023年9月17日〜9月22日
 走行日数6日間
 累計走行距離345km(140231km〜140576km)

◎道路
 これが非常に良かった。別に道の至る所に自転車道が整備されてる訳でも無いし、むしろ結構な割合で側道もない道路脇を走らされることが多かったと感じるが、この国は「必要な場所にキチンと自転車道を敷いている」という意味で自転車のことをよく分かってる。なお車両は右側走行。
 このため都市部や町中では自転車道を辿って移動がスムーズに行えるし、町の郊外に出て「そろそろ交通量が減ったな・・・」というタイミングで自転車道も消失するため、道路での走行にもそれほどストレスがかからない。更には主要な国道だと峠道もつづら折れを重ねて斜度を緩やかにする配慮までなされている。細いローカル道路を走ればこの限りでは無いが、スロベニアは1度走り方を覚えてしまえば自転車にとって非常に走りやすく快適な走行を約束してくれる国だと自信を持っていえるかな。

◎治安
 問題ないでしょう。首都のリュブリャナ中心部でも嫌な雰囲気は感じなかったし、その周辺にスラム街みたいな危険な地域があるようにも思えない。田舎に関してはもう本当に田舎なので、そんなリスクある行動でもしない限りトラブルに遭う確率は低いと思うが、そういえば2日目にテント張る場所探して夜中町中で地図確認してたら廃墟から瓦礫か何かが落ちてきたことがあった。それも2回。
 恐らく浮浪者か何者かが廃墟に住んでて威嚇行為してきたのだと想像するが、これ大都市じゃなくて人口1000人そこそこっぽい小さな町での出来事なんだよね。それを思うとスロベニアはそんな田舎町ですら浮浪者が溢れているという可能性もあるため、気は抜かない方が良いのかもしれん。

◎ビザ・出入国
 シェンゲン協定加盟国なので出入国における審査は必要ない。クロアチアとの国境上には立派なイミグレーションが建ってたけれど、これは今年(2023年)になってクロアチアがシェンゲン協定の加盟国に加わったことの名残であり、現在では出国フリーパス状態なため気にする必要はない。
 ちなみに国境沿いにある免税店と両替ショップもイミグレーション同様に潰れていたが、これらの施設は車両がアッサリ通過できるようになった関係で経営が立ち行かなくなったということなのだろうか?

◎交通事情
 側道のない国だったけど町中はキッチリ自転車と区分けがなされているし、道路を走ってる際には基本安全と思える幅を開けて追い越ししてくれるマナーの良いドライバーが多く危険を感じたことはない。横断歩道で待っていると、車両は停車して自転車を優先的に通してくれるマナーのあるドライバーが多くて非常に素晴らしい。まぁ走っててストレス感じることはあまり無いかと思われます。

◎特徴
 このスロベニアから南、バルカン半島の国々は旧ユーゴスラビア連邦として構成されていた。このユーゴスラビアが解体されたのが1991年で、スロベニアの独立も同年であるため比較的若い国だといえる。
 んで私の目から見た限り、スロベニアは旧社会主義国というより西欧諸国の色合いが濃く、建物や住民の生活レベルも西欧のそれを感じさせるものに感じられた。これから先、旧ユーゴスラビアの構成国を回っていくつもりだが、この辺が国によってどう感じ方変わるのか?・・・という点に結構興味を持っている。

◎気候
 滞在期間中は毎日どこかのタイミングで雨雲が広がる天気だったし、雨模様の天気に悩まされたスロベニア。このことから9月のスロベニアは割と天候が安定しない傾向にある・・・くらいのことは言っても良いんじゃないかな?
 1ヶ月ほど前にも大雨で国内の至る所で洪水被害が発生しニュースになったので、知ってる人は知ってると思う。そういう意味でも夏から秋にかけてのスロベニアは割と雨対策を気にした方が良いんじゃないかな。

◎言語
 スロベニア語らしい。基本的にスロベニア国内でしか使用されていない言語なので話者200万人ちょっとの言語。ヨーロッパはそういう国が多すぎて、単語を覚える前にもう出国しちゃうのが悲しいところ。
 なお英語が非常によく通じるため、コミュニケーション的な意味ではほぼ問題ない。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 リュブリャナの安宿とか相場調べたりしたけど東欧の物価感覚では泊まれる場所がない。基本的にスロベニアは西欧諸国のイメージで宿泊施設も探すべき国であり、そのため私は森に入ってテントを張っていた。
 何故か野営地探しに苦労して夜遅くまで走ることが多かった国だが、基本的に町を離れれば農地と森林が織りなす野宿しやすい国なので、水場の近くという条件を加えても尚テント張る場所で苦労することは少ないと思う。
 私の場合は天候が不安定で屋根のある場所を求めたりと、条件を増やしたことが野営地見つからず苦労した理由であるため普通にスロベニアを自転車旅行するならあまり問題はないと思う。
 なおネット関連だが、スロベニアでは自国のスーパーが割と台頭しておりWi-Fiを備えたチェーン店系のスーパー数がやや少ない。私もこの国ではWi-Fiはスーパーで利用することは少なく、その代わりにガソリンスタンドが大活躍していた。名前「PETOROL」だったかな?多分スロベニアで1番規模の大きなガソスタにはどうやら全店FreeWi-Fiがあるし、そうでなくともカフェが併設してたりする規模の大きなガソスタでは大概ネットが通じてた印象。大きな町なら市内でWi-Fiも飛んでたし、非常に優秀でこの点気にすることなかったわ。

◎動物
 大して動物に遭遇した覚えがない。何処にでも飼育されてる牛・豚・ヤギの他に朝になって鶏の鳴き声がうるさいなと思ったことが1度あったかどうか。田舎走っててもそうした家畜と道路とははっきり区分けされているので道路上に牛の大群が!とかそういうイベント起きません。
 犬に関しても同様で自転車見かけて吠えてくるのは所詮庭から出られない犬ばかり。というかこの国でそうでない野良犬をみた記憶がない。

◎自転車店
 何故か小型バイクの販売店舗と一緒になってる店が多かった。都市部で自転車用レーンを原付バイクが爆走してるのみて「結構ヤンチャしてるのいるなぁ」とか思ったのだが、その後同様のバイクを何台も見かけたことから、小型バイクは自転車と似たような扱いとなっている国なのだろうと思ったり。お店もそうした延長線上にあるのかもしれない。
 商品のラインナップに関しては普通かやや落ちる店が多い。その割にバッグ類がオルトリーブ製品だったりチグハグさを感じたが、自転車部品の取り扱ってる種類が少なくプロショップというより町の自転車屋さんに近い感じのイメージがある。私が訪れた店がそうだっただけかもしれないけどさ。

◎物価・食事
 かなり高い。地理的な位置では東奥に位置する国だけど、物価的にはむしろ隣国オーストリア寄りとすら言える程には。まぁ流石にオーストリアよか大分安いけども。
 ともあれ東欧諸国の物価感覚で旅行すると思った以上に出費を強いられるため、その辺はしっかり引き締めておかねばならない。ちなみにポイストナ鍾乳洞の入場料金は35ユーロ(約5500
円)と書いたけど、チェコで体験した鍾乳洞は約1000円だったからね。如何にスロベニア物価お高いかが分かると思う。
 流石にスーパーの食材に関してはそこまで厳しい値段じゃなかったし、ビールは100円を切る値段で販売されてる種類が1つくらいある印象。普通に自炊主体のスタイルならば1日2000円を越えるほどではないかと思う。

◎総括
 いよいよ旧ユーゴスラビア圏の国に入るということでガラッと雰囲気変わるかと想像してたが、スロベニアの雰囲気(物価も)はむしろ西欧諸国のそれに近いと思った。
 地理的に最も西欧からの影響を受けやすい場所であるし、ここからバルカン半島におけるスラブ人国家の特色がグラデーションのように徐々に現れていくのだとしたら、その変化が現れ始めるスロベニアという国は非常に面白いと思う。
 自転車で走る国としてもなかなか快適な道でありつつ海・山が適度に揃って走り甲斐のある土地となっているため、国土の小さい国とはいえヨーロッパ走るのであれば外せない国の1つだといえよう。