自転車ときどき世界1周

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 2015年9月16日~2016年6月26日

 訪問国数       2カ国

 走行日数     285日間

 累計走行距離 21545km


 オセアニア各国のまとめはこちらから

 オーストラリア西部オーストラリア東部オーストラリア全体ニュージーランド
 アジア地域と同じく私が走行してきた各国において、独断と偏見で点数評価してみた。













道路 交通 物価 食事 宿 治安 総合

オーストラリア東部 9 8 3 6 2 10 38

オーストラリア西部 8 9 2 5 1 9 34

ニュージーランド 7 9 2 5 6 10 39

日本 6 9 3 9 2 10 39


 ※最低1点、最高10点 物価は安いほど点数高い

 自転車乗りとしての視点から感じる国の評価であり、別に国の善し悪しについては全く意識していない。物価が高い国は宿も高くなる傾向があるし、点数が高ければ良い国という意味では勿論ない。あくまで1旅行者が感じた感想である。

<食>
 両国ともイギリスからの影響が強く、いろんな意味で有名なフィッシュ&チップスのお店は所々で見かけた。ちなみに昼食は外で食べるという文化が強いようで、それに対応したテーブルやピクニックエリアが町中の至る所に散見される。自転車旅行してる人には実にありがたい設備である。

 割と海外レストランの数が多く、小規模の町でも中華レストランは必ずと言っていいほど姿を見かける。中規模以上の町ならば日本食屋も数多い。しかし反面オーストラリア・ニュージーランド料理!と歌ったお店は数少ない。
 スーパーなどの食材に対しては自国生産品を大々的に表していたり、わざわざオーガニックコーナーがあったりと健康に対する意識が高い。アジア圏と違って「食事は自宅で作る」というのが根底にあるのではなかろうか。これを証明するかのように、オセアニアの家庭におけるキッチン設備の素晴らしさは目を見張るものがあった。

 まぁ要するにアレだ。レストランの値段が高くて数えるほどしかお店なんて利用してないのだ。個人的に感じたことでは、アジアでの旅行の際には全く日本食が食べたいと思わなかった私だが、オーストラリア以降は定期的に日本食への欲求が高まることがあった。そういう意味で、食文化が完全に異なる土地へ来たのだなぁと感じたりもした。

<宿・土地>
 先進国2ヶ国なので宿泊施設の料金は大層高額である。大まかに先進国ほど治安のいい傾向があると踏んでいたが、その考え通りオセアニア地域において野営するリスクは低く、また共にキャンプ大国であるためそうした設備が高いレベルで揃っており、宿泊の大半をテント泊で過ごした。

 キャンプするのに最適な土地という意味でBBQテーブルの存在を上げておきたい。町中公園等の施設に置かれているそれは、スイッチを入れるだけで稼働する無料のお手軽ホットプレートであり、BBQだけに関わらず炒め物からお湯の沸騰まで実に様々な用途に使用することができる。これが便利すぎるため、オセアニアでのバーナーの使用機会は限られたポイントのみになったりすることも。

 レストエリア等にシェードがあることが多く、こうった設備はテント泊する人にとってありがたい。経験豊富な方はお分かりだろうが、例え晴れていても屋根の下にテントを張るというのは、そうでない場合と比べて翌朝の水滴の付着状況が大きく変わってくるのであり積極的に利用していた。ニュージーランドでは雨も多かったし。

 割とオーストラリアとニュージーランドは対照的に語られることが多く「平地の国と山の国」「水がない国と水の豊富な国」「暑い国と寒い国」等といった点では私も大いに同意する。そんなわけであんまり一括りにしてまとめるのもどうかと思うので、情報気になる方は各国のまとめをご覧ください。

<気候>
 オーストラリアは暑くてニュージーランドは寒い。このため旅行するならば夏の時期にニュージーランド、冬の時期にオーストラリアというのが理想。まぁ私は真逆の時期に両国を走って大変な思いをした人であるが。

 そんな経験をした上で語るならば、「夏の40度と冬のー5度が耐えられるなら両国ともシーズン外れに行っても大丈夫」ではある。一応どちらの国でも他のサイクリストに出会ったので、このシーズンでも全く走っている人がいないわけではない。

 湿度においても低湿度のオーストラリア(東海岸除く)、高湿度のニュージーランドと違いがはっきりしている。ニュージーランドは寒くて湿度が高いという、日本ではなかなか聞かない環境であり毎朝テントの水滴取るのに実に苦労したりと思い出深い。

 なお両国共に直射日光が非常に強い。紫外線でお肌に影響が・・・とかそういうのはどうでもいいのだが、日光が出ているかどうかで体感する温度が全く変わってくるため、常に天気の状態と日陰があるか否かということを意識していた。なおサングラスは必須。ほとんどの旅行者が晴天時にはサングラスをかけていたのが印象的である。

<注意点>
 治安に対しての心配が少ない反面、物価の高さと人の少なさ、そして食料補給に気を配らなくてはならない。特にオーストラリアは驚異的な無人区間が頻発するため、事前準備をしっかりしなくては途中で動けなくる危険が非常に高い。交通量がわりとあるため命の危機を感じることは少ないが、何らかの異常やトラブルが起きた際に自力で対応したり、道行く他人に助けを求めることができない人では、こうした土地を走るのは危険すぎる。

 携帯の電波が届く地域も限られているため、都市部でない地域においてエマージェンシーを求めることが極めて難しい。このためアウトドア系の店にはそうした人達用に、緊急シグナルの発信機だとかそうした道具も販売されている。

 オーストラリアでは幾つかの野生動物によって毎年被害者が出ている。毒蛇やクロコダイル、鮫などが危険生物の筆頭ではあるが、他にハエやサンドフライに蟻といった生命に危険はなくとも非常に厄介な生き物が日本の比ではない数いるため事前に知識と対策を準備しておく方が良い。

 また乾季には山火事が頻発することも多い模様。大抵町の外れには山火事が発生する危険度を示した看板が掲げられており、時々最大危険の「extreme」という表示に針が示されていた時は、笑っちゃだめなんだろうけど笑ってしまった。エクストリームを駆け抜ける自転車旅行。

 ドライバーのマナーが良いため、日本での長距離走行経験がある人ならば一般的な運転をしている限りそれほど危険な思いをすることはない。ただし、多くの交差点がランナバウトと呼ばれる信号なしの円形交差点であるため、慣れないと侵入のタイミング取るのに困ることがあるかもしれない。

<道>
 すこぶる良好である。先進国だし道路状況がいいことは予想できたが、それ以上に自転車に対する人たちの理解が大きいことを感じる。土地面積と人口比が日本より遥かに割合がいいことも大きくて車両に対する苦労が少ない。

 大都市にも自転車道路が整備されていることが多く、速度を出さない自転車旅行者にとってはこちらの道を利用することも多かった。この言い方は、自転車専用道路とは別に道路脇にも大きな路側帯が存在しており、そちらを走ることも可能な道があるということを示している。

 総じて信号機の数が少なく、大多数の交差点はランナバウトこと円形交差点で構成されている。都会では信号機も多いが、日本と比較してしまえばそれなり程度。トンネルなんて1度も見てないような気がする。

 基本的に主要な道路を走っていれば、未舗装の道路を走ることはまずない。それとは別にMTB用の整備されたトレイルロードも随所に見られるため、ツーリング以外の自転車ライドも非常に楽しめるかと。

 日本と違って町中においても道路幅が狭い場所は少ないし、自転車専用道路が整備されている場所も多い。それでいて道路の数自体は少ない(というか日本が無駄な道路が多すぎると思う)ため、道迷いなどの心配はまずない。実際、この2国で私が乗せてもらった車にカーナビを付けていた人は1人もいない。

<総括>
 実は世界1周という側面から見ると、オセアニアって行かなくても1周するのに割と支障が少ない地域ではないかとも思う。特に自転車旅行ではまともに走れる国数も2ヶ国のみだし、両国とも出入国が飛行機一択なのも難しいところ。

 大陸を走りながら国境を越えて国々を渡っていく・・・というのではなく、1つの島国(というにはオーストラリアはデカすぎるが)を走り回るスタイルになることなども、この地域ならではの違いだといえる。

 しかし南半球で治安が良く安全に走ることができるという意味で、大変貴重な地域ではあるまいか?他の南半球である南米やアフリカ地域と比べて情報・インフラ・言語の通用度といった面で突出していることもあり、旅行経験が少ない私のようなタイプが最初に訪れる南半球の地域として素晴らしいと思う。

 おそらく他のどの地域よりもキャンプに関しての設備が整っていることもあり、キャンプを主体とする自転車旅行であるならば、こうした国で場数を踏んでレベルアップするのは、個人的に全くもって理にかなっていると思う。
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 2016年5月13日〜6月26日

 走行日数45日間

 累計走行距離2591km(38579km~41170km)


◎北島と南島

 主要な2つの島(実は3つらしいが)で構成されているニュージーランド。北島は人口が多くやや小さい(約11万㎢)のに対し、南島は人口が少なくやや大きい(約15万㎢)構成である。そのため北島の方が交通量が多くて自転車旅行的には大変だと言われたりもしたが、実際走ってみた感想としては「ニュージーランド国内では比較的多い」という程度。

 むしろ北島は全体的にアップダウンが少ない傾向にあるため、体力的な意味では楽な日が多かった。かといって南島が坂道ばかりというわけではないし、北島に関しても峠道や山だってある。

 全体的な傾向として「そういう傾向があるよ」くらいに捉えておいてほしい。

 ただし気温は2つの島でかなり違う。冬の時期だったこともあり南島ではとにかく寒い思いをしたが、北島に入ってからはかなり楽になった。実際、北島からは上着を薄手のタイプに交換したりしている。


◎道路

 路面は主要道路なら全て舗装されてると思って良い。田舎道では少々コンディションが悪いこともあるが、このレベルで文句出すようじゃ他の国で走れないとは思う。そのくらいレベル高いですよ。

 なおニュージーランドは山の国で、アップダウンばかりだと多くの人に言われたが、実際には急激な斜度の坂は少ないし、1つ1つの峠も標高は大したことない。走ってるうちに数百メートル登ってた・・・みたいなことも結構多く、それほど坂で困窮した思いはない。ただし1日で1本くらいは峠を登らされるのもまた事実。

 側道や自転車道路も充実しており、そもそも都市部を除けば車両の数自体が少ないため、何とも気持ちよく走ることができる。日本と同じく左側走行なので戸惑いも少ない。

 また町の距離が大体100km前後に1つはある感じで、自転車旅行をするものとしては「毎日ちょうど良い」程度の距離で町へと辿り着くことができるため、無駄に食料を持ち運ばずに済み楽である。

 何だか良いことづくめの気もするが、郊外の山道でも制限速度100kmとか普通で、ワインディングで先が見えない道から猛スピードで車が出てきたり、追い抜いかれたりもする。どの国でも言えることだが過信は禁物。

 あと田舎道における小さな橋は大抵1車線に縮小されているため、少々注意が必要。50mほど手前に「ONE LANE BRIDGE」って道路に描かれているのが目印。


◎治安

 問題無し。初日に「ニュージーランドでは盗難が多いから充分注意した方が良い」とか言われたのだが、都市部はともかく田舎じゃそんな危険ないですよ。過信は禁物だろうけど、先住民に対する差別意識とかも全く見られなかったし、道行く人達は実に朗らかに挨拶してくれるですよ。

 というか、そもそも住んでる人があんまりいない。田舎では住民よりも旅行者の姿を多く見かけるような国なので、どちらかというと羽目を外しすぎてる旅行者とかに注意した方が良いかもしれない。日本よりも一回り小さいとか評されるこの国の人口は約420万人。とりあえずギスギスしている印象はない。


◎ビザ

 日本人ならノービザで最大90日間までの滞在が可能。なおこの国はワーキングホリデービザを発給しており、取得することで1年間の滞在が可能であるが、国土の大きさ的にそんな長期間の滞在は必要ない。というか別にワーホリビザは自転車で走り回るための長期滞在ビザではなかったな。

 んなことよりノービザ入国の場合、ニュージーランド出国用のチケットを事前に予約しておかないと飛行機に搭乗させてくれないという罠がある。このため入国時には既に次の国へとフライトプランを計画しておくことが求められ、ニュージーランドサイクリングは強制的に制限時間有りでのサイクリングとなってしまう。ダミーチケットで通過できるのかは知らん。

 とりあえず私はオーストラリア出国の時点で第3国へのフライトチケット掲示を求められたし「チケットなければ入国できないわよ」と空港職員に直接言われた。なんちゃってルールの国も多いとは聞くが、ニュージーランドはかなり厳格にこのルールを採用している印象なので、渡航する人は注意されたし。


◎交通事情

 直線道路がひたすら続くというのは嘘ではないが、真実でもないニュージーランド。むしろ私としてはアップダウンを含んだワインディングロードが数多くあるという印象。そんな道ばかりだからか、ニュージーランド人は全体的に運転が上手いと感じた。

 それに付随して国民的な気質か知らないが、交通弱者に理解のある運転手が非常に多い。横断歩道で待っていると、大概の車が止まって譲ってくれる。今のところこの原則をきちんと守ってくれる国は、ニュージーランド以外に私は知らない。

 一部に自転車のスレスレを通過するような危険なトラックがいたりもしたが、そういう輩は何処の国でもいるもので、少なくともニュージーランドはその絶対数が実に少ないと思う。

 町から出てしまえばすぐに制限速度が100km/hになるが、怖い思いをした経験は片手で数えるほどかと。ベトナムやインドネシアなんかでは、1日2~3回くらいドキッとしたことを思うと雲泥の差である。


◎特徴

 1、自転車による旅行者が非常に多い国として有名。私が訪れた時は冬季のオフシーズンだったこともあり、数組の旅行者としか出会わなかったが、それでも休日には自転車ツーリングチームと出会ったり、多くの車が自転車を積載して走行しているのを目撃している。

 そうした需要に応えてなのか、そもそも設備が良かったから旅行者が増えたのか定かでないが、自転車による配慮が非常に高いレベルで備わっている。特にユースホステルことYHAの自転車旅行者が利用できる「Low Carbon Traveler」サービスは何度も利用させてもらった。最初は料金が一律になるのかと思っていたが、どうやら一定の割引き率(32.5%)なのだとのこと。この国のユースは最も安い場所で23.4ドル(会員価格)、都会の高額な場所では29ドルまで開きがあり、またフライチャンズ系列のユースの名前だけ利用しているホステルではこのサービスは利用できない。詳しくはこちらのHPに詳細が乗ってる。色々あるけど他のバックパッカー宿よりほぼ確実に安価で宿泊できるので、利用価値は極めて高い。

 2、キーウィ(kiwi)の意味。

 ①ニュージーランドの国鳥。日本で言うところのキジ(ん、トキかな?)のポジションに位置する鳥で、ニュージーランドにしか生息してない。

 天敵がいないために翼が退化して飛べなくなってしまった鳥で、運がいいと出会うこともある。というかそれっぽいのを見かけたのだがすぐに逃げてしまったし、今考えると野ウサギだった可能性も否定できない。まぁロマンだロマン。

 ②ニュージーランド人の通称。私が出会った多くのニュージーランド人は自分たちのことをキーウィと呼んでいた。ネットとかでは「侮蔑の意味を含む」とか書かれていたけど全然そんな雰囲気はなかったな。

 でもなぜそう呼ばれているのかは知らん。

 ③ニュージーランドフルーツことキウイ。やたらと安価でたくさん見かけることが多かったキウイフルーツはニュージーランドが原産らしい。そもそも名前が鳥のキーウィに似ているから命名されたらしい。栄養価高くて値段も手頃なため、割と食べる機会も多かった。


◎言語

 英語。割と発音に特徴があるらしいが、そんなに気になることもなく。ああ、でもオーストラリアよりヒアリングで苦労したような気もするな。旅行者が多い国だけども、とりあえず英語で喋っておけば問題なかった。ヨーロピアンもアジア人もアフリカ系も「とりあえず共通語は英語」という感じ。そりゃそうか。

 それとは別に日系人の旅行者もかなり多いようで、公共施設等の注意書きには日本語による説明も一緒に加えられている。ATMとか100%日本語による言語変換できたので非常に楽だった。もうATM関連で出てくる単語は覚えたから英語でも良いけど、安心感が違う。


◎宿(野宿)・Wi-Fi

 特徴の項でも揚げたがYHAにおける自転車旅行者割引き制度があるため、存在を教えてもらって以降はYHAにしか宿泊していないし、それ以外の安宿に宿泊するメリットがほぼない。特にニュージーランドはWi-Fi事情が厳しく、無料でWi-Fi使えるスポットが非常に少ない上に、バックパッカー宿では1日にネットで使用できる容量上限が決められている宿が多いらしい。この点、YHAにはそうした容量縛りが存在しないので、ニュージーランドではお世話になることが多かった。

 あと単純に訪れた季節が冬期であった関係上、物価高の先進国にしては結構な割合で宿泊を繰り返した。自転車旅行者割引きだと1泊13ドル(約940円)とかキャンプ場より安くなることもあったりで、つくづく町中にあるホリデーパークというキャンプ場は使えないと思ったよ。無料Wi-Fiあるかと思いきやほとんど有料だし。本当、この国で完璧に無料でWi-Fi使わせて貰ったのは図書館以外記憶がない。

 町の公共施設の軒下にテントを張らせてもらう等、野宿も行なってはいるけども、オーストラリアと比較すると野宿事情はやや厳しい。というかオーストラリアが楽すぎただけかもしれない。郊外にあるレストエリアも単なる空き地だし、施設が揃っている場所は有料であることがほとんど。宿泊はそれなりにお金を使わされましたとも。


◎自転車店

 中規模以上の大きさを誇る町(目安は2大スーパーのどちらかがある町)でないとサイクルショップがないことも多い。山岳国なことが影響してか、そのラインナップはMTB系統が非常に多くツーリングバイク的商品はかなり珍しい。要するにマラソンシリーズ等のタイヤの調達とかはやや困難なので注意されたし。

 総じてスタッフは自転車旅行者に慣れてるようで、こちらが下手くそな英語でも問題なく作業・商品を出してくれるので有難い限り。んで、お店には国内のおすすめサイクリングルートガイドマップ(無料)があったりして、便利に活用させてもらっていた。

 しかし自転車旅行者が非常に多い国であるため、もっとお店の数が多くて良いと思うんだけども。お店とは違うけどもYHAには自転車旅行者用の鍵付き倉庫とか、空気入れの貸し出しがされていたりと設備自体は充実していた印象。


◎物価・食事

 高い。オーストラリアと商品大体同じだが、円相場の関係で同じ値段がつけられている場合はオーストラリアより5~10%ほど安くなる。ところが大抵の商品がオーストラリアよりも10~20%、物によっては倍の値段がつけられているため、実際にはニュージーランドの方が物価高。

 自転車旅行者の頼みの綱である2大スーパーことカウントダウン&ニューワールド、それに小さな町で大活躍のフォースクエアの計3店には割安のホームブランド商品があるが、これの値引率がそれほどでもないためか全体的に物価高のイメージを後押しした感がある。

 あと北島にはパックンセーブ、南島にはフレッシュチョイスのスーパーがあり、この2店舗が値段的には最も安かった。

 結局ニュージーランドでもレストラン系の店に入ることは1度もなく。マック?だからアレは1ドルで使えるWi-Fiのお店だといっておろう。なおニュージーランドではマックのWi-Fi接続に電話番号(これにPWが送られてくる)が必要であるため、事前準備してないとネットができない罠。

 余談だが、ニュージーランドではスーパーの総菜パンを割と好んで食べていた。特にニューワールドのパンは割引きされてることもままあり多々お世話に。和食派の私ですが、今やすっかり洋食っ子ですよ。

 重要な点として、ビールの値段は食材と比較するとやや安価であること。恐らく酒税の関係とかそんなところだろうけど、全体的にオーストラリアよりも割安だと感じたのはビールくらいだった気がしないでもない。アウトドアのアクティビティとか平気で100ドル以上の料金をふっかけてくるし、誰もが大好き温泉ことホットスプリングも入用料20ドル(約1500円)とか当たり前。

 あと過疎地域では商店の品物値段が倍になったりするため、個人商店しかないような町は要注意。国道基準であれば、最大でも150km以上に渡ってチェーン店が存在する町と町の距離が開いてることはないので、事前に大きな町で食料を買い込んでおく方が吉。


◎総括

 強く思ったのは「冬季に自転車旅行で来ると色々苦労する」ということだろうか。まぁ夏は夏で旅行者が多すぎてキャンプ場に泊まることすらできないとか、各種アクティビティも予約必須だったりとかで大変らしいが。

 とはいえ路面凍結もしていなかったし、北島に来てからはそれなりに暖かくなり楽できたのも事実。観光客でごった返すのが苦手な人は、あえてオフシーズンを狙ってみるのも良いかもしれない。ただし、トレッキングとかの遊びや一部のキャンプ場なんかはクローズされてるけれど。

 意外なことに犬には結構吠えられた。ただしその大半は、庭の敷地内から自転車に乗った私を見つけて威嚇しているというもので、要するに「ちゃんと番犬してる」ということ。東南アジアみたいにバッグや人に向かって噛み付いてくるような恐怖感は全くない。

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 2015年9月16日〜2016年5月13日(オーストラリア全体)
 走行日数239日間
 累計走行距離18954km(19625km〜38579km)

 ※なお家に泊めてくれた人様のお家は多少場所をズラしているのであしからず。個人情報の保護とか何とかそんな感じ。


◎治安
 悪いと感じたことはほぼなかった。割と現地のオーストラリア人は「アボリジニに気をつけろ!あいつらはクソだ。」的なことを語っていたが、彼等は直接「金くれ」という人はいても、危害を加えるタイプにはそんなに見えなかった。というか所々で食べ物貰ったり泊めてもらったり等、親切も多々受けている。ただし大きな町中で話しかけてくるヤツは、確かに面倒くさい感じに絡んでくるけど。
 なお田舎ではお店閉まる時間が早いので、田舎町では夜間に人が歩き回っている光景はそうそう見かけない。が、大都会では普通に夜でも人通りが多いし、東部の大都市にはコンビニだってある。まぁここらへんは日本と変わらんです。
 大きな声ではいえないが、何かしらの大きな施設の敷地を間借りしてテントを張っていた時も、夜間に警備員がくるようなことはほとんどない。流石に外を歩けば自動販売機にぶち当たる日本とはまた違うだろうが、治安に関してはかなり安心しても良いのではないかと感じる。

◎ビザ
 ノービザの入国で90日間の滞在が可能。ただし、オーストラリアは入国に際してETASという電子チェック精度を採用しているため、事前にPC等を介した手続きが必要となる。
 私の場合はノービザでは明らかに日数が足りないと踏んでいたので、ワーキングホリデービザを取得し入国した。このビザの細かい説明はこちらから。
 実はオーストラリアを自転車で1周しようと試みる人は結構いるのだが、そういう人はかなりの確立でワーホリビザを取得していた印象である。というか1周しようとした場合、どうしても半年以上の期間が必要になってくるため、最も簡単に入手できるビザの種類がワーホリビザなのだ。
 ただし補足として、現在オーストラリアのワーホリビザは申し込み時点で30歳以下の人間しか申請できない。私の場合はオーストラリア滞在中に31歳を迎えているが、申請した時点で30歳だったので大丈夫であった。滑り込みセーフというやつである。

◎物価・食事
 東南アジアから渡ってきた身としては最初「ギャグなのか!?」と思ってしまった程に物価高である。ただし、全ての物の値段が一律に高いということではないため、やりくり次第でかなり安価に旅行することもまた可能。なお、水の品質レベルが高い国であるため、一部地域を除いて水道からの水を普通に飲める。なので特にこだわりがなければ水分摂取に関してはノーマネーフィニッシュも不可能ではない。実際私は出発地点のダーウィン以外で水を購入したことはない。
 スーパーは日本のそれとほとんど違いがないものの、割引き対象商品の値下げ率が99%近くまで下落することがままあり、運が良いと信じられないくらい安価で食料を入手することもできる。また、大手2大スーパーの「コールス」と「ウールワース」にはホームブランド商品があり、これが他社の同製品と比べて5〜6割の値段で購入できるため、私のリアボックスには常にこれらの商品が積載されていた。安価な商品を狙っていけば、1日の食費が平均で10ドルを下回ることも難しくはない。ただし肉や魚は高いので、安く済ませようとすると食事内容の選択肢は狭まってゆく。

 そんなワケで食事の9割以上を自炊で賄った私ではあるが、親切な人にオゴって貰った時や自分でも数回程度はレストランというかファストフード店に入ったこともある。なお感想を述べるならば、コストパフォーマンス悪すぎ!利用してないがマックのセットですら10ドルを越えてくる料金表示を見てしまうと、手間がかかっても自分で作ろうという気持ちになる。同じ系統の店に複数回行ったのは、オーストラリアの中ではまだコスパが良いハンバーガー店ことハングリージャックスだけであった。なお、ハングリージャックスとは他国におけるバーガーキングのことである。

◎特徴
1、そこら中で森林火災ことブッシュファイアが発生している国である。湿度が低いためにアッサリ炎が拡大するらしく、常日頃何処かしらで火災が発生している。私の旅行中にも、数人の旅行者やファームで生活してる人が大規模な森林火災で亡くなったと教えられた。
 余りにも規模が大きすぎるため、日本の消防的な「消火する」活動ではなく「火災の状況をコントロールする」ことがこの土地における消防の対処の仕方。オーストラリア全土の山火事等情報サイトで「DFES」というサイトがあり、ここから情報を入手していたのだが、面白いのは「火災がコントロール下にあるか」という点で示されたりする点。つまり「安全だよ」という情報ではあっても、鎮火してるとは限らなかったりするのであり、ナニそれ怖い。

2、特に内陸部においてハエがウザい。数百匹単位で周囲を飛び回るわ体中に引っ付くわしてくる。とにかく水分のある場所に寄り集まってくる傾向があるので、顔をハエ避けネットで保護してないと、悲惨を通り越して発狂してしまうのではなかろうか?
 殺虫剤等でいくら殺しても、無限に湧き出てくるため効果が薄い。結局夜になって姿が消えるのを待つしかないというのが現実で、日中を「如何にしてやり過ごすか」という対処療法が求められる。「身を守る」以上に有効な方法があるのならば、むしろ私が教えてほしいくらいだチクショウめ。
 なお東海岸や町中では蠅の数は1%程度まで減少する。そういった意味でもオーストラリアにおける町の存在が如何にオアシス的なものであるかが分かるというものだ。
 全体的に夏の時期に最も数が多くなるため、気候的な観点からも4〜9月くらいの冬の時期を走行する方が吉。私の場合は一番厳しい真夏の時期が南部だったので、まだ難を逃れたクチだと思っている。

3、一般旅行者はどうあがいても飛行機を利用しないと出入国できない。そのため「飛行機予約」と「輪行」という2つの山を乗り越えなければならないこととなる。参考までに、格安航空会社の2大巨頭「ジェットスター」と「ヴァージンオーストラリア」だが、ジェットスターは荷物の制限と超過料金額がすこぶる厳しく自転車旅行には不向き。
 とりあえずヴァージンオーストラリアやカンタスならば、飛行場カウンターにて大体20ドルくらいで自転車用の梱包ダンボールを買うことができる。自転車店がないような僻地の町に隣接した空港も多いので、このサービスは割と有難い。

◎言語
 完全英語圏ではあるが、その発音には結構クセがあると感じた。国の成り立ちの関係でイギリス英語が基礎となっているため、アメリカ英語を勉強してきた日本人からすると単語の発音に違和感を感じることもしばしば。ちなみに私は「エイ」の言葉を「アイ」と発音する違いでかなり戸惑った。「貴方は旅行開始から何回死にましたか?(ワット ダイ トゥ スタート トラベル?)」みたいに勘違いして「コイツは何を言っているのだ?」とか思ったり。
 まぁそうはいっても同じ英語だ。自転車旅行であれば嫌でも現地人との会話が増えるしヒアリング力も上がる。英会話の上達というのは個人差があるだろうが、少なくとも意思を疎通させることは難しくない。実際私は電話における英会話は殆ど成立しないレベルであるが、直接対面しての意思疎通ならばかなりいけると思っている。要するに幾つかの重要英単語を使えれば、後はコミュニケーション次第でどうとでもなるよ。

◎SIMカード
 オーストラリアの携帯会社は「テルストラ」と「オプタス」「ボーダフォン」の3大勢力であるのだが、都市部以外へ行くのであれば選択肢は実質「テルストラ」1択である。元々国営の電話会社だったテルストラだけが、人口過疎地域(つまり町の外)に対しても電波を飛ばしているため、町中以外で宿泊する機会の多い自転車旅行者にとって救いとなる存在だといえる。
 それでもなお大きすぎるオーストラリアの国では電波の届かない地域が多数存在するのだが、まぁそこら辺は道中で「200km電波が無い」か「2000km電波が無い」かで選べば良いと思う。ちなみにテルストラは料金割高。
 そういう意味では用途と料金で見事に住み分けができているといえ、日本のどの会社を選んでも対して違いが分からん!という状況より遥かに良いと思う。クソみたいな基本使用料とかないし。
 なお私が使用していたプリペイドチャージは、リチャージ1回30$で700Mのデータ通信が使用できる(期限1ケ月間)のだが、実際にはもっと大量に使えた事実。よく分からんですが月1.5Gくらい使えてた感じ。なお40$・50$とプランが選べるので、個々の使用量でお好みのものを選べば良い。大抵これにボーナスとか付いてくるので実際にはそれ以上に使えることが多い。
 もちろん通話時間もプリペイド式で定められているのだが、海外に連絡するならSkypeやLINEで事足りるし、旅行者がオーウトラリアで知り合った人達に電話をかけたりする時間は、最低チャージ料金の30$でも余りあるほどの時間であった。

◎宿・Wi-Fi
 初日に予約していたダーウィンのユースホステルとタスマニア島。200日を越える滞在をしていながら、料金を支払って「屋根の下で眠った宿」については以上である。それ以外は全て野宿・キャンプ場か親切な人様の家や、その裏庭に泊めさせてもらったことになる。
 というのもオーストラリアの宿は値段が高すぎる!料金最底辺の安宿でも、その値段は20ドルを越えてくるのが当たり前で、お金を切り詰めたい長期旅行者が気軽に何日も宿泊できるものではない。まぁ宿内の設備は整っているし、プールやビリヤード台が無料で利用できる宿も多い。お国柄なのか宿泊客はキッチンが使用できるため、道具を持ってなくとも宿に泊まれば自炊は可能。私が利用した数少ない宿では全てWi-Fiが利用できたし、速度も速かった。ただし、宿泊者数の数も多いため、常に快適に利用できるとは限らないが。

 こうしたゲストハウス以外にも、オーストラリアではキャラバンパークという主にキャンピングカーを対象にしているキャンプ場や普通に有料のキャンプ場も数多くある。わざわざお金払ってテント泊するなんて無駄が多いと思われるかもだが、温水シャワーと充電設備に大抵の場合はキッチンまで併設して10〜20ドル程度の料金ならば、厳しい環境下にある北西部や内陸部では利用価値があると思う。
 なおキャラバンパークの利用には、モーテルの室内である「キャビン」、水と電源が併設されておりキャンピングカーが主に活用する「パワードサイト」、普通のテントサイトである「アンパワードサイト」と分かれており、ご想像の通り料金は大きく変動する。なお前者2つの料金は
 ・キャビン・・・・・・100ドル前後が普通。部屋内に個人キッチンやトイレがある
 ・パワードサイト・・・30〜50ドルくらいの印象。完全にキャンピングカーが対象。
 といった感じ。なおPC等の充電に関しては、洗濯室やシャワールーム等に電源コンセントがあるため問題ない。ちなみに洗濯機は全て有料だった。私は洗濯機を1度も利用してないため何ともいえないが、1回2〜4ドルという金額は決して馬鹿にできない金額であると思う。
 あとウルル(エアーズロック)周辺は、他に逃げ場のない恐怖の高級リゾート地。キャンプ場1泊で37ドルという値段が最安値という暴利。野宿もまともにできない環境・立地ではあるが、それでもどうしても!という人はユララから約10km離れた場所にキャンプ可能なレストエリアがある。

◎右回り・左回り
 この国を1周する場合、主要道路がほぼ海岸線に沿っていることもあり、最初に右回りか左回りかという選択をすることとなる。そして起伏の少ない国であるため、この選択は「風の影響がどう違うのか?」という話に終始できる。
 なお厳しい環境下である北部地域ではタウンズビル〜テナントクリーク間で東風が強く、ブルーム〜カーナーボン間は西風が強かった。なのでどちらを選択しても、楽な場所と厳しい場所を走らされることになるのは覚悟した方が良い。
 それでも個人的には私の走った「左回り」ルートの方が、やや楽であったと思う。ナラボー平原において、追い風が吹く確立が高いのと、西→東ルートだと町の手前1kmで食料の検閲となるのだが、東→西ルートでは中間である600km地点で検閲されるため。私のように町でしか食料を買わない自転車旅行者の場合、この制約はかなり厳しい。

 余談だが、右回りならばケアンズ、左回りならばメルボルンかシドニー辺りから出発する方が最初に楽な東海岸を走行でき経験踏めるのでオススメだと思う。単純に距離の近さだけでダーウィンスタートとかして、私のような目にあうのも面白いけどさ。

◎野宿
 宿泊施設の料金が高いため、それまでとは比べ物にならない頻度で野宿を繰り返すことになった。実はオーストラリアはどこでもテントを張って良いワケではなく、テントを張るにしても場所を選ぶ必要がある。そうした中で、最も多く使ったのが「レストエリア」と呼ばれる無料の休憩施設だ。幹線道路であれば100kmも走れば大きめのレストエリアが1〜2つはあるため、こうしたレストエリアへ向けて、如何に上手く距離を合わせていくかがオーストラリア走行の基本プランとなる。
 この他にも無料のキャンプ場はそれなりに利用している。その設備はレストエリアとあまり違いはないものの、場所次第で電源コンセントやキッチンが付属していたこともあったので無料だからと侮れない。
 オーストラリア人はキャンプ大好き国民であるため、大きめのレストエリアであれば大抵の場合他のキャンパーもいる。色々と話をしてオススメスポットを聞いたりと、私のオーストラリア情報は9割をこのパターンで成立させていた。
 誰もいないような僻地レストエリアでの野宿も多数行ったが、きちんとテントを設営していれば動物による被害を被る心配はほとんどない。私の場合はテントに小さな蛇が付いていたことと、夜の間に牛に囲まれてたことがあったくらいか。
 とりあえずアプリのwikicampsがあれば、オーストラリア全土のレストエリアにキャンプ場、安宿情報が分かるためこれ1つあれば大抵の場合はどうにでもなる。ときどき嘘情報を掴まされたりもするものの、オフライン状態でも使用できる極めて優秀な情報アプリだ。有料アプリではあるが、7ドルという金額は1回の宿泊料金にも満たない料金であるため、悩むくらいならとりあえずDLしとけ。最初の1週間はお試し無料期間だし。
 なおこの国では野宿することを「ブッシュキャンプ」と表現する。野宿する場所を聞く時に「キャンプ」という言い方をすると有料施設であるキャラバンパークへと案内されかねないのでご注意をば。

◎総括
 とにかくデカい国である。西部・東部にまとめの内容を分けてもこの分量。いくらでも書くことが出てくるほどには長期間の滞在でもあった。思ったのが、世界1周の自転車旅行者でオーストラリアを丸1周しようと試みる人は少数派のようで、この国はそもそもオーストラリア1周や横断などといった目的を持ったサイクリストが多い。
 私は大体1周したクチの人だが、そんなことしてるから8ケ月とか、1つの国にかける時間とは思えないほど長期間となってしまうんだぜ。
 だがしかし。オーストラリアという国は、それほど長い期間を走るに足る魅力満載の国であったことも事実だ。「何もないのがオーストラリア」とか評されることもままあるが、そんなことはない。この国の人達は自転車旅行者を放っておかない親切心で満ちている。
 毎日大勢のオーストラリア人と話し、笑い、ときには泊めてもらったりもした。辛い場所でも楽しく走っていけたのは、間違いなく多くのオーストラリアで出会った人達のおかげである。
 ちなみに犬は東南アジアのそれと全く別の生き物と考えて良い。私が海外に出て以降、犬を可愛いと思ったのはこの国が始めてである。
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 2015年12月29日〜2016年5月13日
 走行日数134日間
 累計走行距離10512km(28067km〜38579km)

◎道路
 西部もなかなかだが更に道路状況は良い。車線も片側2車線・3車線が多数存在するし、路側帯も広くて走りやすい場合がほとんど。それに比例するように交通量が増えるので、一概に安全!走りやすい!と言えるわけではないけれども。
 高い標高を走らされることは少ないが、思いの外アップダウンが多い。特にタスマニア島西部とNSW州においては厳しい上り坂も見られ「坂道の無いオーストラリア」という意識でいるとやや面食らうかもしれない。
 交差点がランナバウトと信号機の割合が半々くらいになった印象。信号はさておき日本人に馴染みの薄いランナバウトは慣れるまでやや怖い。個人的にはこちらの方が無意味に自転車止めさせられることが少なくて好きだけども。
 あと東海岸にはモーターウェイという正しい意味での高速道路があり、名ばかりのハイウェイとは異なり自転車が走行禁止となる区域もある。すなわちモーターウェイであっても自転車走行可能な区域もある。日本と違って無料であるためハイウェイからいきなりモーターウェイへと移行したりするため、都市部近郊では看板表示を見逃さないようにしたい。

◎交通事情
 西部とそれほど違いはないものの、東海岸においてはロードトレインがいないため(恐らく走行が禁止されている)アホみたいに長い車両が追い越しをかけてくるような恐怖はない。とはいえ単純に車両の数が多いため、それに伴う危険はあるけども。
 ただまぁ東部で怖い思いをした記憶はほとんどない。道路状況の良さが交通量の多さを上回っているとでも言うべきか。
 どの国にもマナーの悪いドライバーはいるし、オーストラリアもそれは同様。しかしそうしたドライバーの割合という意味で、この国は非常に優秀ですよ。
 あと先進国だけあって、自転車に対するルールもきちんとしている。ヘルメットの着用は義務だし、夜間はライトを点灯していないと法令違反となる。特に前者は警察も厳しく取り締まっているそうなので、暑いからといってヘルメット被らずに走行してはならない。実際、オーストラリアで自転車に乗ってる人は、必ずヘルメットを被っていた。

◎補給
 東海岸は完全に余裕。毎日スーパーに行くことができるレベル。補給が厳しくなってくる地域は内陸部に入ってからで、私のルートではマウントアイザ以西がそれに相当する。西海岸と同様に、補給が厳しい地域でのスーパーがある町を書き出してみると

○マウントアイザ・・・・・・・・・・ウールワース&コールス&フードワークス
  ⇅約660km
○テナントクリーク・・・・・・・・・IGA系のスーパー
  ⇅約500km
○アリススプリングス・・・・・・・・ウールワース&コールス
  ⇅約450km
○ユラーラ・・・・・・・・・・・・・IGA

 となる。特にマウントアイザ〜テナントクリーク間は凶悪で、道中で水分補給できる場所が実質2カ所しかない(3カ所あるのだが、1つは町から近すぎて意味がない)。逆にスチュアートハイウェイに入ってしまえば道中R.Hが沢山あるため補給自体は難しくない。
 ということで自転車旅行者は割とレストエリアの雨水を溜めたウォータータンクの水を飲んでいる。注意書きに「Don't drink」とか書いてあるけど気にすんな。飲んでも体調悪くならなかったし、んなことより水の確保の方が大切だ。
 なおこのテの水の補給が厳しい地域において、どれくらいの量の水分を運ぶかであるが、冬の時期なら最低ラインが10ℓ以上であると思う。夏ならばこの2倍はあるほうが安心できる。私は後半戦では1度経験したというのと秋という季節であることも考慮して13ℓの水を運んでいた。なお後半戦で水が空になったことは1度もない。

◎気候
 タスマニア島では真夏に20度を切る気温だったが、北部地域では秋でも35度を超えてくる気温となる。基本的に南部の都市は過ごしやすいため問題はなく、東部でも対処に苦労するのは赤道が近づく北部地域、特に海岸線から離れた内陸部においてである。
 海岸線から離れると湿度は0%近くに低下し、アウトバックでは日光を遮る木々がなくなり数字以上に暑さを感じる。実際、気温の測定というのは基本的に炎天下ではなく百葉箱(オーストラリアでどうなのか知らんが)に入れられた日陰の中で測定されるものだ。数字以上の暑さを叩き出していることは間違いないと思う。
 内陸も奥地に入ると砂漠気候となるため、日が沈むと気温も一転して20度以下となる。この気温が移行する時間は割と短いため、快適な時間を選んで走行しようなどと考えているとほとんど距離を走れずに終わる。別に距離が走れなくても良いかもしれないが、人工的なシェードがあるのはレストエリアくらいだし、そのレストエリアは場所にもよるが50kmに1つとかしか存在しない。そのため如何に上手く「1番厳しい時間帯をやり過ごすか」という観点で走行プランを立てる方が現実的である。
 ちなみに夏に差し掛かる西部を走行した時よりも状況はかなり楽であった。何のかんのいっても気温が下がる冬の時期が近づくにつれ、走行難易度は下がっていくことがよく分かる。オーストラリア北部におけるベストシーズンは7〜8月なのだそうだ。

 それとこの国は土壌の水はけが悪い場所が多く、特に北部地域は雨季のスコール等で道路冠水が頻発するとのこと。これについては西部地域でも同様であり、町を出てすぐの看板に道路の走行可否状況が表示されている点も同じ。
 アウトバック旅行中大雨に遭遇し、町を囲むように道路が冠水してしまい先へ進むも戻るもできなくなった・・・といった話も聞いたので、こうした点からも雨季本番である12〜3月中の走行はそれなりのリスクがあるという点を考慮したい。

◎自転車店
 たくさんある。州都となるような町では10とか20ものショップがあるし、ママチャリという文化がないこの国ではショップの大半がスポーツサイクル店である。
 しかしその主役となるマシンはロードレーサーであるようで、旅行に適した「重たいけれど丈夫」系の部品は西部ほど簡単には見つからなかった。特にアデレードの町ではMTBのパーツを探して7〜8店ものショップを回ったりして無駄に大変な思いもした。
 特に南部では自転車旅行者ともたくさん邂逅したので需要はあると思うのだが。そういった旅行関係のパーツを多く取り扱う自転車店をたまたま見つけられなかっただけかもしれない。タウンズビルでは旅行用自転車の専門店でお世話にもなったし、結局マラソンシリーズのタイヤを見つけることに苦労はしなかった。パーツだって「ちょっと探せば見つかる」程度のことであり、全体的には素晴らしい国だと思う。

◎総括
 「オーストラリアの簡単な方」をまとめたもの。人がたくさん住んでいるため、走行よりも夜中寝る場所を見つけるのに苦労した印象。海岸線走っている限りはハエに悩まされることもないし、毎日のようにビールを飲むこともできた。もはや東と西では別の国といっても良いくらいの差かもしれない。
 内陸部にさえ入らなければ、100km以上の人が住んでない地域を走ることは稀(ないわけではない)。この国を全体的に自転車で楽しみたいのならば、とりあえず東海岸で感じをつかんでから・・・というのが賢い方法である。と賢くない選択をした私は申し上げたい。
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 2015年9月16日〜2015年12月28日
 走行日数105日間
 累計走行距離8442km(19625km〜28067km)

◎道路
 実は道路状況は可もなく不可もないという程度。一般的に許容範囲の道(綺麗な舗装されてる道路)であっても、郊外においては制限速度が100km/hを越えているため、路側帯も無いような道路幅では狭すぎると感じる。交通量が極めて少ないため問題となることは少ないが、自転車・追い抜き車・対向車が横一列に並んだりすると非常に危険。
 田舎地域で幹線道路でない道を走る場合は、ほぼ未舗装路であると考えた方が良い。そのため、アドベンチャー的な観光をする場合、そういった場所を走行するに足る装備であることが必須。
 また国道1号線を始めとする主要幹線道路においてもその路面状態は様々で、悪いところだと砂利石をロードローラーで圧力加えただけだろ!的な場所もあるため、余りにも過信しすぎないほうが良いかと。ただし主要道路で未舗装路に当たることはまずない。というか北部に関してはその主要道路は1つしか無い。
 なおパース南部を除いて走行が大変と思うような坂道はほとんど見られない。むしろ起伏が少ない関係なのか、かなり強い風が吹き続けることの方が問題。

◎交通事情
 とにかく車はぶっ飛ばす。私も何度か乗車する機会があったたのでよく分かるが、車の立場からすると変化のない道がひたすら続くことになるためスピード上げるし運転中の集中力も低い。そのため他国と違って郊外こそが危険だったという印象。殆どの車は自転車に対し大きく迂回して避けてくれるのだが、100台に1台とかの確立ではあっても、超高速の車がすぐ脇を通り抜けていくのは安心できるワケがない。
 町中の方が制限速度厳しいし、自転車道が充実している関係でよほど気が楽である。何しろこの国の人達は信号を守るし標識に従うのである。日本人が持つ普通の感覚で成り立っている車社会だと思ってもらって構わないと思う。即ち一般人の運転レベルは全体的に低いということでもある。

◎補給
 西オーストラリアを走るにあたって最大の試練となる一翼を担う。最大で288kmに渡りロードハウスはおろか、水すら補給できないという区域もあるため、大量の食材を備蓄しながらの走行が求められる。特に厳しい気候と相まって、北部地域では如何に大手スーパーで上手く補給できるかが(節約志向の)自転車旅行の要となる。
 ダーウィンからジェラルトン間における国道1号線沿いの町において「ウールワース」「コールス」というオーストラリア2大スーパー若しくは「IGA」というスーパーがある町は

○ダーウィン・・・・・・・・・・ウールワース&コールス
   ⇅約300km
○キャサリン・・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約500km
○カナララ・・・・・・・・・・・コールス
   ⇅約250km
○ホールズクリーク・・・・・・・IGA
   ⇅約300km
○フィッツロイクロッシング・・・IGA
   ⇅約200km
○ダービー・・・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約100km(ただし私はこの町訪れてない)
○ブルーム・・・・・・・・・・・ウールワース&コールス
   ⇅約500km
○ポートヘッドランド・・・・・・ウールワース
   ⇅約15km
○サウスヘッドランド・・・・・・コールス
   ⇅約200km
○ウィックハン・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約50km
○カラサ・・・・・・・・・・・・ウールワース&コールス
   ⇅約600km
○カーナーボン・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約400km
○ジェラルトン・・・・・・・・・ウールワース&コールス&IGA

 ・・・と限られている。なお、これらの道中には約100〜150km位の間隔でコンビニ兼ガソリンスタンドであるロードハウスが存在することが多く、スーパーの3〜5倍の料金ではあるが補給ができないというわけではない。
 町の数が少ない北部に対して、ジェラルトン以南のパース周辺では町と町の間隔が短いため補給で苦労することは少ない。しかし、オーストラリア南部の東西を結ぶ「ナラボー平原」道路においてはノースマン〜セデューナ間が実に1200kmにも及ぶ広大な平野区域があるため油断は禁物である。
 この中間にはロードハウス以外の村というべきなのか、ユークラという唯一の集落が存在するものの、商店の品揃えも物価も最悪レベルなので、財布に優しい補給は不可能に近い。(とか言ってるが、セデューナ手前の約50km地点にあるパノンという町があり、そこなら補給は可能)
 個人的には北部のブルーム〜ポートヘッドランド間、カラサ〜カーナーボン間が最も厳しい走行であった。あとカーナーボン〜ジェラルトン間におけるロードハウスの水道水は濃度が高い塩水で飲むことができないため、充分な水の携行が必要となる。
 そうはいってもどの地域でも交通量が皆無ということは無いため、本当に身の危険を感じたら走行中の車に助けを求めれば、野たれ死ぬようなことはまずない。

◎気候
 非常に広い国であるため、北部と南部ではその気候も全く異なるといって良い。私が走行した時は夏季本番ではなかったにもかかわらず日中の気温が40℃を超える日があったりする等、北部地域における環境の厳しさは凄まじい。なお暑さの主要要因が直射日光によるもののため、日陰に避難することでかなり厳しさは緩和される。まぁ、その日陰が存在しないのがオーストラリアなのだけども。とにかく日差しを避けるための帽子等の装備は重要。
 南部に移動するに従って快適な気温の時間帯が増え、終いには朝夕は寒くて仕方ないレベルにまで気温は下落する。というかこの国は1日の気温変動が激しいため、それなりに体調管理に気を配らないと風邪引いたりする危険は高い。
 同じ南部地域であってもナラボー平原東部からは気温も上がる。その周辺では20℃とかで快適な気温がいきなり倍近くに上昇したりするのであり、せめて気持ちの準備をして訪れたいところ。

 なお「キンバリー地域」と呼ばれる西オーストラリア州北部及びその周辺では、11月から4月の雨季にかけて道路が水没して走行不能になる恐れがある。私も時期的にゆっくり走りすぎると先へと進めなく恐れがあったため、ポートヘッドランドの町まではかなりハイペースでの走行を意識していた。ちなみにこの地域における町の周辺には、国道1号線の通行可否状況が看板に表示されている。

◎自転車店
 大体どの町にも1つくらいは自転車店がある。品揃えも非常に素晴らしく、特に長期自転車旅行がこぞって活用するマラソンプラスタイヤを多数の店で見かけたことは心強い。路面状況が良いためメカニカルトラブルに陥ることが少なく、修理等を依頼したことがなかったので店の質に関しては何とも。
 お国柄なのだろうか、他の国ではあまり見かけない牽引用のリアカーとかを何度も見かけ、面白かったのを覚えている。起伏が少なく町と町との距離が離れている関係で、荷物を大量に運ぶ必要に駆られるオーストラリアを走るのであれば、リアカー牽引のメリットが最大限生かせるため、実に理に適った販売方式だと思う。

◎総括
 いわゆる「オーストラリアの大変な方」をまとめたもの。西半分の土地に人口の20%程度しか居住者がいないことからも分かるように、ひたすら広大な土地を次の町目指して走り続けることになる。
 特に北部地域は厳しい自然環境も相まって、充分な事前準備をしていかないと泣きを見ることになるので要注意。
 場所にもよるが、野生動物でクロコダイルとか毒蛇等、死ぬ危険性のある生き物が出てくる地域も多岐に渡る。例え電波があって救急車が呼べたとしても、現場まで最寄りの町から数時間の距離・・・という状況は珍しくないため、安易に危険地域の海や川で泳いだり、草地の奥まった方へと入り込んではいけない。
 自転車で走り回るにはかなり辛い地域であることは確かだが、設備が充実している先進国でもあるため、キャンプツーリングに慣れたサイクリストであれば、走破する難易度自体はそれほど高くはないと思われる。2000kmくらい信号機が無いとかザラなので、走行していて気持ち良いの何のって。
 内陸部を含めるとオーストラリアの自然を楽しむ的観光はおおよそ西側に集中しているのだが、とかくその地点までアクセスするのが大変なのであり、目的地までの距離と必要日数は事前によく吟味しておくことが重要かと。
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